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(病院・有床診療所用) 院内感染対策指針(案)

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総合生支援センター カムさぁ

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特別養護老人ホーム愛敬苑 感染症及び食中毒防止のための指針 1. 総則特別養護老人ホーム愛敬苑 ( 以下 施設 という ) は 生活者及び利用者 ( 以下 生活者 という ) の使用する食器及びその他の設備について 衛生管理に努め 衛生上必要な措置を講ずるとともに 医薬品及び医療用具の管理を適正に行

平成29年度感染症対策研修会(基礎編)

感染症の基礎知識

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手洗いについて できてる? 手を洗う機会 ( 利用者 入所者 ) 来所時 食事前後 トイレ後 外出後 粘土など共有のリハビリ用品等を触った後 動物を触った後 手が汚れてしまった後 手を洗う機会 ( 看護 介護職員 ) 来所時 ( 通勤後 ) 調理時 配膳時 食事介助時 薬を扱う時 トイレの手伝い後

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平成 24 年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金 ( 老人保健健康増進等事業分 ) 高齢者介護施設における 感染対策マニュアル 平成 25 年 3 月

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感染対策の基礎知識 1 感染対策の原則 感染成立の 3 要因への対策と 病原体を 1 持ち込まない 2 持ち出さない 3 拡げないが基本です 感染成立の 3 要因と感染対策 感染症は 1 病原体 ( 感染源 )2 感染経路 3 宿主の 3 つの要因が揃うことで感染します 感染対策においては これらの

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H30資料:15_① 感染症予防等.pptx

はじめに 高齢者施設等で抵抗力が低い利用者をケアするには 介護スタッフの感染予防が必要です 施設は重度の利用者が中心になり さまざまな基礎疾患を抱えているため 感染しやすい状態の方が急増しています 介護スタッフが感染源にならないための予防策と 介護スタッフ自身の安全なケアの方法が重要となってきます

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感染対策マニュアル

衛生管理マニュアル 記載例

各都道府県介護保険担当課 ( 室 ) 各保険者介護保険担当課 ( 室 ) 各介護保険関係団体御中 厚生労働省老健局高齢者支援課 介護保険最新情報 今回の内容 高齢者介護施設における感染対策マニュアル ( 平成 25 年 3 月 ) の送付について 計 105 枚 ( 本紙を除く ) Vol.319

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講義資料(1)

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高齢者介護福祉施設における感染対策マニュアル

感染症対策

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2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

事例を通して考える 感染拡大防止対策

説明 感染症の対応について

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放射線部


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インフルエンザ(成人)

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42 HBs 抗原陽性で HBe 抗原陰性の変異株が感染を起こした場合は, 劇症肝炎を起こしやすいので,HBs 抗原陽性 HBe 抗原陰性血に対しても注意が必要である. なお, 透析患者では, 感染発症時にも比較的 AST(GOT),ALT(GPT) 値が低値をとること,HCV 抗体が出現しにくいこ

Microsoft Word - WIDR201839

6/10~6/16 今週前週今週前週 インフルエンザ 2 10 ヘルパンギーナ RS ウイルス感染症 1 0 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 8 10 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目 )

スタンダードプリコーション (標準予防策) と 感染経路別予防策

10/3~10/9 今週前週今週前週 インフルエンザ 7 1 百日咳 1 0 RS ウイルス感染症 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 急性出

感染症 食中毒の予防及びまん延防止のための指針 社会福祉法人慈愛会特別養護老人ホーム田平ホーム短期入所生活介護事業所田平ホーム 1

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(2) 清掃 い a. 日常的 清掃 各 原則 日 回 式清掃 気 空気 入 え 行い乾燥 必要 応 床 消毒 行い う 使用 雑巾 洗浄 乾燥 う 汚 い場合 新 汚 発生 い場合 入 者 職員 接触 多い部 回数 増 見 目 汚 置 い う 汚 発生 い場合 失禁 伴う 痢 入 者咳 喀痰 多い

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神戸市感染症予防実務者講習会

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胃腸炎による入院患者の管理胃腸炎患者の症状が重くて 入院することがあります 入院患者の管理をしなければいけないことが 病院小児科の特異的なところだと思いますので その点に重点を置いてこれからお話しします 胃腸炎の患者が入院しなければいけない時には多くの患者が脱水になっているため 適切な補液が最も重要

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

48小児感染_一般演題リスト160909

外来部門

感染拡大攻略法 ~流行前から備えるべし~

【事務連絡】高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版

横浜市感染症発生状況 ( 平成 30 年 ) ( : 第 50 週に診断された感染症 ) 二類感染症 ( 結核を除く ) 月別届出状況 該当なし 三類感染症月別届出状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 細菌性赤痢

A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 第 50 週の報告数は 前週より 39 人減少して 132 人となり 定点当たりの報告数は 3.00 でした 地区別にみると 壱岐地区 上五島地区以外から報告があがっており 県南地区 (8.20) 佐世保地区 (4.67) 県央地区 (4.67) の定点当たり報告数は

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成


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Microsoft Word - 届出基準

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( 別記報告様式 1 ) 記載例 2 感染症等 ( 疑 ) 発生報告票 1 報告年月日 平成 1 9 年 4 月 1 日 ( 日 ) 1 5 時 0 0 分現在 2 施設等の名称 学校法人 函館学院 函館保健所幼稚園 ( 種 別 ) ( 私立幼稚園 ) 4 報 告 者 職 氏 名 園 長 名 函 館

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Q&A(最終)ホームページ公開用.xlsx

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医療関連感染

針刺し切創発生時の対応

熊本県感染症情報 ( 第 31 週 ) 県内 170 観測医の患者数 (7 月 28 日 ~8 月 3 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 0 1 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 7 0 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

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PEGとは

目次 石巻赤十字病院の概要 1 防火 防災管理 2 感染防止対策について 4 機密保持及び個人情報保護 9

感染対策マニュアル

医療安全対策 医療安全のため 高血圧と歯科診療上の注意 必要な問診事項について確認を行った 下記についてすぐ対応できるか確認した 1 血圧測定など 2 緊急時の対処 3 必要な薬剤の準備 4 その他 患者さんへの歯科診療上の注意事項 特に外科処置時

特別支援学校における介護職員等によるたんの吸引等(特定の者対象)研修テキスト

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熊本県感染症情報 ( 第 14 週 ) 県内 165 観測医の患者数 (4 月 4 日 ~4 月 10 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 10 8 ヘルパンギーナ 6 5 咽頭結膜熱 A 群溶血性連鎖球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

インフルエンサ 及び小児感染症の疾病別推移グラフ 平成 年 京都市 _ 本年 全国 _ 本年 京都市 _ 過去 5 年平均値 全国 _ 過去 5 年平均値 6 インフルエンザ 8 手足口病 RS ウイルス感染症

と役割を明確化し 医療機関内のすべての関係者の理解と協力が得られる環 境を整えること ( 感染制御チーム ) 病床規模の大きい医療機関 ( 目安として病床が 床以上 ) においては 医師 看護師 検査技師 薬剤師から成る感染制御チームを設置し 定期的に病棟ラウンド ( 感染制御チームによ

1-11. 三種混合ワクチンに含まれないのはどれか 1 破傷風 2 百日咳 3 腸チフス 4 ジフテリア 疾患と症状との組合せで誤っているのはどれか 1 猩紅熱 コプリック斑 2 破傷風 牙関緊急 3 細菌性赤痢 膿粘血便 4 ジフテリア 咽頭 喉頭偽膜 予防接種が有効なはど

本文は 2014 年に発行された Infectious diseases prioritisation for event-based surveillance at the European Union level for the 2012 Olympic and Paralympic Games

説明 感染症の対応について

第51回日本小児感染症学会総会・学術集会 採択結果演題一覧

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

耐性菌届出基準


1-11. 三種混合ワクチンに含まれないのはどれか 1. 破傷風 2. 百日咳 3. 腸チフス 4. ジフテリア 第 17 回按マ指 疾患と症状との組合せで誤っているのはどれか 1. 猩紅熱 - コプリック斑 2. 破傷風 - 牙関緊急 3. 細菌性赤痢 - 膿粘血便 4. ジフテリア

2019 年 7 月 4 日 ( 木 ) 愛知県保健医療局健康医務部健康対策課感染症グループ担当内田 久野内線 ダイヤルイン 手足口病警報を発令します!! 愛知県では 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 に基づき 県内の小児科を標榜する

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

スライド 1

東京大会と感染症サーベイランス ~ 普段とどこがちがうのか ~ 疾患疫学が変化する可能性 多数の訪日外国人の流入 多くのマスギャザリングイベント 事前のリスク評価に基づいたサーベイランスと対応の強化の必要性を検討する 体制構築の観点から 行政と大会組織委員会の責任範囲と協力体制の構築が必要 国内移動

Transcription:

感染症対策マニュアル 施設における感染症対策について集団生活の場である施設でも 感染症が流行する可能性があり その対策が必要です 利用者は年々 高齢化 重度化しています 抵抗力が弱く 障害や疾病を持つ高齢者の場合 健康な人には特に問題のない菌にも感染する危険性があり 正しい認識のもとに適切な対応が要求されます 各種感染症について 1. 多剤耐性菌感染症 健康な人に感染を起こすことは少ないが 感染抵抗性の減弱した人に感 染する感染症 1 MRSA (methcillin resistant Staphylococcus aureus) 2 緑膿菌 2. 血液媒介型感染症 集団感染に発展する可能性が少ない感染症 1 肝炎 (B.C 型 ) 2 HIV 感染 ( ヒト免疫不全ウイルス感染 ) 3 梅毒 3. その他の感染症 入所者および職員にも感染が起こり 媒介者となる感染症で 集団感染 を起こす可能性がある感染症 1 疥 癬 ( ノミ シラミ ) 2 結 核 3 法定伝染病 ( コレラ 赤痢 腸チフス パラチフス 発疹チフス 猩紅熱 ジフテリア 流行性脳脊髄炎 ペスト 日本脳炎など ) 4 食中毒 ( 原因細菌 : 腸炎ビブリオ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 ウエルシュ菌 サルモネラ 病原大腸菌など ) 5 インフルエンザ 6 レジオネラ症 ( 媒介はしない ) 感染対策感染症に対する対策の柱として 1 感染源の排除 2 感染経路の遮断 3 人間の抵抗力の向上 が挙げられる 1 感染源とは 感染症の原因となる微生物 ( 細菌 ウイルスなど ) を含んでるもののことで 次のものは感染源となる可能性がある 1. 排泄物 ( 嘔吐物 便 尿など ) 2. 血液 体液 分泌物 ( 喀痰 膿みなど ) 3. 使用した器具 器材 ( 刺入 挿入したもの ) 4. 上記に触れた手指で取り扱った食品など 1.2.3. は 素手で触らず 必ず手袋を着用して取り扱う 手袋を脱いだ後は 手洗い ( 必要時 手指消毒 ) が必要 - 1 -

2 感染経路には 空気感染 ( 咳 くしゃみなどで 飛沫核として伝播する 空中に浮遊し 空気の流れによって飛散する 結核菌 麻疹ウイルス 水痘ウイルスなど ) 飛沫感染 ( 咳 くしゃみ 会話などで感染する 飛沫粒子は1m 以内に床に落下し 空中を浮遊しつづけることはない インフルエンザウイルス 風疹ウイルス レジオネラなど ) 接触感染 および針刺し事故などによる血液媒介感染( 手指 食品 器具を介して伝播する 最も頻度の高い伝播経路 ノロウイルス 腸管出血性大腸菌 MRSA 緑膿菌など ) などがある 感染経路の遮断とは 1. 感染源 ( 病原体 ) を持ち込まない 2. 感染源 ( 病原体 ) を拡げない 3. 感染源 ( 病原体 ) を持ち出さない感染経路を遮断するためには 手洗いの励行 うがいの励行 環境の清掃が重要となる また 血液 体液 分泌物 排泄物などを扱うときは 手袋を着用するとともに これらが飛び散る可能性のある場合に備えて マスクやエプロン ガウンの着用も必要に応じて対応できるように検討しておく 感染症は 施設内でまったく新規に発生することはまれであると考えられる つまり 新規入所者 職員 面会者などが施設外で罹患して施設内に持ち込むことが多い よって 施設における感染対策では 施設の外部から感染症の病原体を持ち込まないようにすることが重要 中でも職員は 入所者と日常的に長時間接触するため 等に注意が必要 日常から健康管理を心がける 3 入所者の健康管理 入所時の健康状態の把握 内科嘱託医による入所時健康診断の実施 胸部 X-P 撮影 ( 最終撮影時期の確認 ) 感染症に関する既往歴などの確認 全身状態の観察 ( 発熱 咳 痰 吐き気 嘔吐 下 痢などの症状の有無 皮膚の状態 など ) 入所後の健康管理 日常から入所者の抵抗力を高め 感染予防をはかる取り組みが重要 1. 定期健康診断 内科嘱託医による健康診断 (2 回 / 年 5 月と10 月 ) 2. 健康状態の把握 食事摂取状況の観察体重測定 血圧測定 (1 回 / 月 ) 排泄状況の観察 3 職員の健康管理 感染媒体となりうる職員 一般的に 職員は 施設の外部との出入りの機会が多いことから 施設に病原体を持ち込む可能性が最も高いことを認識する必要がある また 日々の業務において 入所者に密接に接触する機会が多く 入所者間の病原体の媒介者となるおそれが高いことから 日常からの健康管理が重要となる 職員への健康管理 1. 定期健康診断 内科嘱託医による健康診断 (2 回 / 年 9 月と 3 月 ) 2. 予防接種 ワクチンで予防可能な疾患については できるだけ予防接種を受ける 予防接種要注意者は 一般的な健康管理を充実強化しておく ( インフルエンザワクチンなど ) - 2 -

衛生管理 1) 施設内の衛生管理 (1) 環境の整備 施設内の環境の清潔を保つことが重要 施設内の整理整頓を心がけ 清掃 消毒などを行う (2) 排泄物の処理 入所者の排泄物 吐物を処理する際には 手袋やマスクをし 汚染場所及びその周囲を次亜塩素酸ナトリウム ( 塩素濃度 200ppm) で清拭 消毒する 処理後は 十分な手洗い ( 手指消毒 ) を行う (3) 血液 体液の処理 職員への感染を防ぐため 入所者の血液など体液の取扱には十分注意する 血液などの汚染物が付着している場合には 必ず手袋を着用し 処理する 血液などの汚染物がついた手袋 ガーゼ 衣類などは 他のゴミと別のビニール袋に密封し 直接触れないように感染性廃棄物として 分別処理をする ( 内科嘱託医に処理依頼 ) 血液などが付着した床等は 適切な薬剤 ( アルコール消毒など ) を使用し 噴霧または拭き上げる 処理後は十分な手洗い ( 手指消毒 ) を行う 2) 介護 看護ケアと感染対策 (1) 標準的な予防策感染を予防するためには 1 ケア 1 手洗い の徹底が必要 また 日常のケアにおいて入所者の異常を早期発見するなど 日常の介護場面での感染対策が必要である 感染予防の基本は 手洗い 次に 手袋の着用 必要に応じてマスク エプロンの着用も必要となる 手袋を外したときにも 石鹸と流水により手洗いをする 針刺し事故防止のために 注射針のリキャップは必要最小限にし 感染性廃棄物として取り扱う ( インスリン注射に関係する注射針 アルコール綿は 処方箋を出した病院へ処分を依頼 ) (2) 手洗い手洗いは 1 ケア 1 手洗い ケア前後の手洗い が基本 職員の手指を介した感染は 感染経路として最も気を付けるべき点である 万が一汚染された場合にも 直ちに流水下で洗浄することにより 感染を防止することができる 手洗いにおける注意事項 手を洗うときは 流水で洗う 時計や指輪などの装飾品はなるべく外す 爪は短く切っておく 手洗いが雑になりやすい部位は 注意して洗う 使い捨てのペーパータオルを使用する 水道栓の開閉は 手首 肘などで簡単にできるものが望ましい 水道栓は洗った手で止めるのではなく 手首 肘などで止めることが不可能なときは 手を拭いたペーパータオルで止める 手を完全に乾燥させる - 3 -

手洗いの順序 (3) 配膳 食事介助配膳 食事介助の際には 必ず十分な手洗いを行い 清潔な器具 食器で提供する (4) 排泄介助 ( おむつ交換を含む ) 排泄介助の際は 必ず使い捨て手袋を着用して行う 手袋を外したら 手洗いを実施する おむつ交換の際は 入所者一人ごとに使い捨て手袋を替え その都度手洗いも行う ( 必要時 手指消毒も行う ) おむつ交換車の使用はできるだけしない (5) 日常の観察異常の兆候をできるだけ早く発見するために 入所者の健康状態を 常に注意深く観察する 体の動きや声の調子 食欲などがいつものその人らしくない と感じたら要注意 さらに 発熱 嘔吐 下痢 咳 咽頭痛 鼻水 発疹 ( 皮膚の異常 ) などの症状には 注意が必要 入所者の健康状態の異常を発見したら 速やかに嘱託医または主治医 ( 協力医療機関 ) に連絡し 適切な対応を取る - 4 -

感染症発生時の対応 1 発生状況の把握 入所者と職員の健康状態 ( 症状の有無 ) を 発生した日時も含め まとめる 受診状況 診断名 検査 治療の内容を記録しておく 2 感染拡大の防止 手洗いや排泄物 嘔吐物などの適切な処理を徹底し 必要に応じて施設内の消毒を行う 感染が明らかな入所者は なるべく個室対応をとる 協力病院や保健所などの協力をあおぐ 3 医療処置 内科嘱託医 主治医または協力病院へ速やかに受診し 治療をうける 4 行政への報告 施設長は ア ) 同一の感染症や食中毒による またはそれらが疑われる死亡者 重篤者が 1 週間以内に 2 名以上発生した場合 イ ) 同一の感染症や食中毒の患者 またそれらが疑われる者が 10 名以上または全利用者の半数以上発生した場合 ウ ) 通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ 特に施設長が報告を必要と認めた場合 迅速に 熊本市の社会福祉施設等主管部局に報告するとともに 保健所にも対応を相談する なお 医師が 感染症法 結核予防法または食品衛生法の届出基準に該当する患者またはその疑いがある者を診断した場合には これらの法律に基づき 医師は保健所への届出を行う必要があるので 留意する 5 関係機関への連携 嘱託医 協力病院 保健所などの関係機関に報告するとともに 対応を相談し 指示を仰ぐなど 緊密に連携をとる 同時に 職員への情報提供 周知 家族への情報提供も重要 感染症対策委員会の設置 入所者の安全管理の視点から 感染対策はきわめて重要であり 入所者の安全確保は施設の責務である 感染症対策委員会の主な役割は 感染症の予防 と 感染症発生時の対応 にある 特に 予防に重点を置いた活動が重要である 施設内感染対策の立案指針 マニュアル等の作成感染対策に関する 職員への研修新入所者の感染症の既往の把握入所者 職員の健康状態の把握感染症発生時の対応と報告各部署での感染対策実施状況の把握と評価 感染経路別予防策 - 5 -

(1) 空 気 感 染 結核 が該当 咳やくしゃみなどで飛散した飛沫核 (5μm 以下 落下速度 0.06~1.5cm/sec) で伝播し 感染する 飛沫核は空中に浮遊し続け 空気の流れにより飛散する 予防対策措置 1 入院による治療が必要 2 病院へ移送するまでの間は 原則として個室管理 3ケア時は 高性能マスク (N95など) を着用 4 免疫のない職員は 患者との接触を避ける (2) 飛 沫 感 染 インフルエンザ 流行性耳下腺炎( おたふくかぜ ) 風疹 などが該当 咳 くしゃみ 会話などで飛散した飛沫粒子 (5μm 以上 落下速度 30~80cm/sec) で伝播し 感染する 飛沫粒子は半径 1m 以内の床に落下し空中に浮遊し続けることはない 予防対策措置 1 原則として個室管理が望ましいが できないときはベッドの間隔 を2m 以上あける 2ケア時は 紙マスクを着用する 3 利用者 職員とも うがい を励行する (3) 接 触 感 染 経口感染 と その他の接触感染( 創傷感染 皮膚感染 ) に分けられる 経口感染には ノロウイルス( 感染性胃腸炎 ) 腸管出血性大腸菌( 腸管出血性大腸菌感染症 ) がある その他の接触感染には MRS A(MRSA 感染症 ) 緑膿菌( 緑膿菌感染症 ) 疥癬虫 ( 疥癬 ) がある 手指 食品 器具を介して起こる最も頻度の高い伝播 汚染物( 排泄物 分泌物など ) との接触で環境を汚染し 手指を介して拡がるので注意が必要 予防対策措置 1 原則として個室管理が望ましい 2ケア時は 手袋を着用する 汚物に触れたら手袋を交換する 3 手洗いを励行し 適宜手指消毒を行う 4 可能な限り個人専用の器具を使うようにする 5 汚染物との接触が予想されるときには 必要時ガウンを着用する - 6 -