抗菌薬の適正使用

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耐性菌届出基準

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第11回感染制御部勉強会 『症例から考える抗MRSA治療薬の使い方』

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「抗菌薬②」(2017年5月10日開催)

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ



よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

市中肺炎に血液培養は必要か?

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

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2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

Staphylococcus aureus (MSSA) 薬剤感受性情報 2017 年 05 月 1 薬剤感受性結果 系統 薬剤記号 商品名 株数 S( 感性 ) % I( 中間 ) R( 耐性 ) CEZ セファメシ ン CTM ハ ンスホ リン セフェ

改訂の理由及び調査の結果直近 3 年度の国内副作用症例の集積状況 転帰死亡症例 国内症例が集積したことから専門委員の意見も踏まえた調査の結果 改訂することが適切と判断した 低カルニチン血症関連症例 16 例 死亡 0 例

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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

正しくビビろう血培陽性

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

医療関連感染サーベイランス

「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容

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シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

帝京大学 CVS セミナー スライドの説明 感染性心内膜炎は 心臓の弁膜の感染症である その結果 菌塊が血中を流れ敗血症を引き起こす危険性と 弁膜が破壊され急性の弁膜症による心不全を発症する危険性がある 治療には 内科治療として抗生物質の投与と薬物による心不全コントロールがあり 外科治療として 菌を

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい


は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

常識を覆した感染症 ~今年話題になった感染症について~

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第39回セミナー 講演および症例提示に関するQ&A

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

抗菌薬マニュアル

背景 ~ 抗菌薬使用の現状 ~ 近年 抗微生物薬の薬剤耐性菌に伴う感染症の増加が国際的にも大きな課題の一つに挙げられている 欧州及び日本における抗菌薬使用量の国際比較 我が国においては 他国と比較し 広範囲の細菌に効く経口のセファロスポリン系薬 キノロン系薬 マクロライド系薬が第一選択薬として広く使

平成 28 年度 ( 第 29 回 ) 和歌山県臨床検査技師会臨床検査精度管理調査 微生物検査速報結果

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グラム染色と培養のハナシ

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

2009年8月17日

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Ⅲ. 検査検査は軽症 (0 項目 ) と中等症 (1 2 項目 ) では肺炎球菌尿中抗原 必要によりレジオネラ尿中抗原とインフルエンザ抗原 中等症 (1,2 項目 ) と重症 (3 項目 ) ではさらに喀痰グラム染色 喀痰培養を追加 超重症 (4,5 項目 ) ではさらに血液培養 血清検査とストック

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Microsoft Word - 届出基準

抗菌療法

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

入した場合には 経気道的な散布巣として臓側胸膜から 2-3mm 離れた内側に小葉中心性粒状影や tree-in-bud といわれる小葉中心性病変を呈しますが この所見をみた場合には呼吸器感染症を強く疑います 汎小葉性病変は 小葉間隔壁に囲まれた ほぼ 1, 2cm 四方の小葉内が細胞浸潤や滲出物ある

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プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「血液培養」(2017年4月19日開催)

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

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Infection 平成 25 年度モーニンク カンファレンス 2013/05/23 抗菌薬の適正使用 Control 松山赤十字病院 ICT Team ( 腎臓内科 ) 岡英明 スライド請求先 :okanokao0818@yahoo.co.jp

抗菌薬のよくある間違い Ⅰ 1 発熱 WBC 上昇 CRP 高値だから取り敢えず抗菌薬を投与しよう 例えるなら 腫瘍マーカーが高いから取り敢えず抗癌剤を投与しよう と同じ 心筋梗塞 薬剤熱 手術侵襲 血腫の吸収熱 DVT などでも起こりうる 2 解熱して CRP も下がっているので今の抗菌薬を続けよう 感受性が判明したら より狭域でより安価な抗菌薬に de-escalation を 効果判定は臓器症状を より重視する ( 肺炎なら喀痰量 酸素化 意識 脈拍 etc.)

抗菌薬のよくある間違い Ⅱ 3 CRP が下がり止まったので 別の抗菌薬に変更しよう 効果判定はやはり臓器症状を重視する 悪化してなければ改善とも捉えられる CRP にはタイムラグあり 推奨治療期間を満たしたら検査の正常化 (CRP や C-Xp) を待たず治療終了を考慮 変更するのは 新たな感染症の発生を疑って培養を提出してから 4 MIC が一番低い抗菌薬を選択しよう MIC は低い方が良いが 異なる抗菌薬同士で比較するのは無意味 組織移行性も考慮する 移行が問題になる focus は髄膜炎 眼内炎 前立腺炎 膿瘍 etc.

適切な感染症診断 抗菌薬適正使用の効果 耐性菌の減少 医療費の削減 目前の患者の予後改善 将来の患者の予後改善

感染症診断の 3 本柱 患者背景 ( 基礎疾患, 重症度, 腎機能 ) 感染臓器 微生物 3 つが揃えば 治療薬 投与量 治療期間が自ずと決まる ( 例 ) 腸球菌 による 自己弁 の 感染性心内膜炎 MRSA による 透析患者 の シャント感染 風邪ウイルス による 元気な若者 の 上気道炎

推奨される標準的な治療期間 但し 血流障害 尿路通過障害 気管支閉塞 膿瘍 人工物 免疫不全 etc. の存在下では治療期間を延長 Clin Infect Dis 2011; 52: 1232-1240 サンフォート 感染症治療ガイドより引用改変 最短 14 日に短縮可能な条件 : 1 非糖尿病 2 非免疫抑制状態 3 カテーテル抜去済 4 血管内に人工物無し 5 エコーで心内膜炎 血栓性静脈炎が否定的 6 治療開始 72 時間以内に解熱 血培陰性化 7 播種性の感染症 ( 膿瘍 etc.) 無し

推奨期間が守られなかった難治例 症例 73 歳男性 既往歴 ASO AAA に対して FF バイパス Y グラフト置換術後 病歴 2011 年 11 月膵臓手術を施行 周術期にはCV 管理 術後 SSI( 非 MRSA) を生じたが軽快し12 月退院 12 月末に発熱 嘔吐のため再入院し 血培でMRSA(+)

CT; focus 不明 再入院 1/1 VCM MRSA(+) VCM CT; focus 不明 心エコー ; IE 否定 1/17 2/6 MRSA(+) VCM 2/17

3/5 MRSA(+) 3/9 VCM Op 心エコー ; IE 否定 3/7 回診 状態が許せば経食道心エコーを 鑑別は IE, 血栓性静脈炎, ク ラフト感染 推奨治療は VCM 6~8 週間 ± リファシ ン (RFP) 代替薬はサ イホ ックス (LZD) 単剤 VCM 3/29 残念ながら VCM3 週間で治療中止され 4 月上旬に退院 退院後 39 台の発熱を認め他院に入院 5 月上旬に亡くなられた とのこと

何故 短期間で 3 回 (4 回?) も繰り返したのか? 投与量が不十分? 投与期間が不足? (13 日, 10 日, 21 日 ) TDM を施行し VCM トラフ 15~22μg/ml をキープ 目標の 10(15)~20 を達成しており投与量は十分! 黄ブ菌は創部や異物 ( カテ 人工血管 人工弁 ) に定着し易く 消え難い Focus 不明 =IE や骨髄炎などを想定し 最低 4~6w は治療 青木眞, レジデントのための感染症診療マニュアル第 2 版. 医学書院. 2012 Clin Infect Dis 2011; 52: 1232-40 実は IE が潜在? 経胸壁心エコーの感度は 46~62% と低い! 経食道心エコーでも 92~93% Role of echocardiography in infective endocarditis UpToDate 2012

黄色ブドウ球菌菌血症は最も怖い! (SAB;Staphylococcus aureus bacteremia) 敗血症の起因菌 1MRSA 22.0% 2 大腸菌 14.0% 3 肺炎桿菌 11.8% 4MSSA 9.7% 5 緑膿菌 9.2% 6エンテロバクタ属 7.4% 7 肺炎球菌 6.0% 死亡のオッズ比 日本集中治療医学会第 1 回 Sepsis Registry 調査 (2007.10-12) 1MRSA 2.7 2 真菌 ( 非カンシ タ ) 2.66 3 カンジダ 2.32 4MSSA 1.9 5 緑膿菌 1.6 6 混合感染 1.69 Crit Care Med 2006; 34: 2588-2595

臨床的に重要な細菌分類 PC 感受性 嫌気性菌 - ブドウ球菌横隔膜より上 PC + GPC コアグラーゼ試験 陽性 = 黄ブ菌 (MSSA,MRSA) 陰性 = CNS( 表ブ菌,S.lugdunensis, 他 ) 連鎖球菌 肺炎球菌溶連菌, 腸球菌 ペプトストレプトコッカス フソバクテリウム, 他 横隔膜より下 バクテロイデス フラジリス ほぼ 100%β ラクタマーセ 産生 + -~+ CLDM 感受性 耐性が強い GNR 腸内細菌群 E.coli, クレフ シエラ, 他ブドウ糖非発酵菌 緑膿菌, マルトフィリア, 他 その他 GPR GNC コリネバクテリウム ナイセリア ( 淋菌, 髄膜炎菌 ) リステリア モラクセラ カタラーリス ( 食中毒, 髄膜炎 ) ほぼ 100%β ラクタマーセ 産生

ヘ ニシリン系 各菌に対する抗菌薬選択 (=Definitive therapy) GPC ブドウ球菌 MSSA MRSA MR-CNS 連鎖球菌 肺炎球菌 PSSP, PISP, 溶連菌腸球菌 E. faecalis, GNR 腸内細菌群 E.coli, クレフ シエラ, 他 ESBL 産生 ( ),ESBL 産生 (+) ブドウ糖非発酵菌 緑膿菌, CEZ(1 世代 ) VCM PRSP E. faecium 1~3 世代, 他 マルトフィリア PCG 大量 (12~2400 万 U) CTRX, LVFX, VCM 嫌気性菌 横隔膜より上 横隔膜より下 カルハ ヘ ネム系 (CMZ が有効なことも ) PIPC, CAZ(3 世代 ),4 世代, カルハ ヘ ネム系 ST, MINO ヘ ニシリン系,CLDM Β- ラクタマーセ 配合ヘ ニシリン系 CMZ(2 世代 ), カルハ ヘ ネム系

Empiric therapy と de-escalation (definitive therapy)

Empiric therapy 時の抗菌薬選択のポイント 1 敗血症性ショックになっていないか? ショック状態で初期治療が外れると予後不良 培養採取後に直ぐ治療開始 ESBL 産生 GNR や緑膿菌のカバーを考慮 2 最近の抗菌薬暴露 長期入院や施設入所がないか? 耐性の強い緑膿菌や MRSA のカバーを考慮 3 過去の培養結果がないか? 緑膿菌は一度使った薬に耐性を獲得し易いので 同じ薬剤は避ける MRSA 保菌 or 感染の既往があれば抗 MRSA 薬を考慮 カンジダが複数箇所から検出されていれば抗真菌薬を考慮 4 上記が無ければ 安易に緑膿菌をカバーしない! 重要なのは以下の判断!! 急いで empiric therapy が必要か? ク ラム染色の結果を確認してからでも遅くないのでは?

何でもエンピリックに広域抗菌薬 ではダメ Antibiotic management of suspected nosocomial ICU-acquired infection: Does prolonged empiric therapy improve outcome? Intensive care medicine. 2007 33(8):1369-78 ICU 関連の感染症疑い患者 195 人中 真の感染症 (= 培養陽性 ) は20% のみ 非感染者 (80%) の内 4 日以上エンピリック治療を受けた患者は死亡率が高かった ( オッズ比 3.8 だが多変量解析では有意差なし ) Aggressive versus conservative initiation of antimicrobial treatment in critically ill surgical patients with suspected intensive-care-unit-acquired infection: a quasi-experimental, before and after observational cohort study. The Lancet infectious diseases. 2012 12(10):774-80 ソ シン +VCMによるaggressive 治療 ( 平均 12hで開始 & de-escalationあり ) は 培養結果判明後に開始する conservative 治療 ( 平均 22hで開始 ) よりも死亡率が高い (27%vs13%;p=0.015) Septic shock 患者 (MAP 60) に限ってもaggressive 群が死亡率が高い (66%vs26%;p=0.0004)

抗菌薬投与量の問題 日本の保険適応用量は PK-PD 理論に基づいていない ( ものが多い ) 海外の推奨量の 50~70% と少ないものが多い ( 特に β ラクタム薬 ) ( 一回投与量 投与回数ともに ) 量が不足 治療期間の長期化 耐性菌出現 治療失敗 推奨投与量はサンフォート や GFR- 抗菌薬投与量 の表 etc. を参照

割愛 効果の高い経口抗菌薬 (= 静注薬との効果の差が少ない ) 経口抗菌薬 サワシリン オーグメンチン バイオアベイラビリティ 90% (CVA:60%) 第 1 世代経口セフェム ( 当院採用なし ) 99% シプロキサン クラビット アベロックス 70~99% * ミノマイシン 93~95% フラジール 100% バクタ 98% ダラシン 90% ザイボックス 100% * 制酸剤 (Mg Ca Al) や鉄剤 (Fe) により著明に吸収が低下

割愛 よくある外来感染症 外来感染症急性中耳炎急性副鼻腔炎急性咽頭炎気管支炎肺炎尿路感染症急性下痢症皮膚軟部組織感染症 ( 蜂窩織炎 ) 動物咬傷 ( ヒト, ネコ, イヌ ) 頻度の高い起因微生物 ウイルス, 肺炎球菌 ウイルス, 肺炎球菌 ウイルス,A 群溶連菌 ウイルス, 肺炎球菌, 百日咳 肺炎球菌, マイコフ ラス マ, 口腔内連鎖球菌 ( 誤嚥 ) 大腸菌 ウイルス, サルモネラ, カンヒ ロハ クター 黄色フ ト ウ球菌,A 群溶連菌 皮膚常在菌, 口腔内常在菌, ハ スツレラ

割愛 外来感染症の経口薬治療 外来感染症 1 st choice 2 nd choice 急性中耳炎 AMPC AMPC/CVA, ST, 2 nd -Cef, MCs 急性副鼻腔炎 AMPC ST, AMPC/CVA, 2 nd -Cef 咽頭炎 ( 溶連菌 ) AMPC* MCs, 1st-Cef, CLDM 気管支炎 ** AMPC, TCs MCs, NQs, ST, 2 nd -Cef 肺炎 AMPC, 2 nd~ 3 rd -Cef ±MCs AMPC/CVA, 2 nd~ 3 rd -Cef, TCs or NQs 尿路感染症 NQs AMPC, ST, 1 st~ 2 nd -Cef 皮膚軟部組織感染症 ( 蜂窩織炎 ) 1 st -Cef MCs, 3 rd -Cef, AMPC/CVA 動物咬傷 ( ヒト, ネコ, イヌ ) AMPC/CVA 2 nd -Cef, TCs * EBV の咽頭炎 ( 伝染性単核球症 ) では皮疹に注意 PCG では出ない ** 慢性呼吸器疾患の既往や百日咳 ( 疑 ) の場合を除き抗菌薬不要 赤字は吸収率の高い薬剤

抗菌薬だけじゃない! 感染症治療のトライアンク ル 病原菌 ハ イオフィルム 毒素 膿瘍 耐性化 敗血症 患者 免疫力 bacterial translocation 細菌叢 =microbiome 抗菌薬経腸栄養 probiotics 外科的処置 医師

抗菌薬が感染症を増やす? 無症候性細菌尿に抗菌薬を投与すると尿路感染症が増える 若い女性で 無治療では大腸菌が減り 腸球菌の定着が増える 防御機構? Clin Infect Dis 2012;55: 771 777 単純性膀胱炎を長期間治療 (7 日以上 ) すると再発が増える JAMA internal medicine 2013; 173: 62-68 有効な抗菌薬を投与中に発熱や WBC/CRP 上昇が見られたら 偽膜性腸炎 (CDAD;clostridium difficile associated diarrhea) もしくは薬剤熱を疑う!

しばしば経験してしまう有害事象 電解質異常 ファンキ ソ ン アムヒ ソ ーム ) 低 K, 低 Mg バクタ 高 K ヘ ニシリン G 高 K (1.7mEq/100 万 U) 出血傾向 CMZ セフォン PT 合成阻害で PT-INR 抗菌薬全般 腸内細菌叢を乱し Vit.K 吸収阻害 皮疹 ( 機序不明 ) ヒ クシリン 単独で 7.5% アロフ リノール ( サロヘ ール ) との併用で 22.4% ( スルハ シリン ) 類似薬の尿酸降下薬の * フェフ リク でも経験あり 知っておきたい稀な有害事象 フロモックス メイアクト 等による乳幼児の低血糖 痙攣 ; ヒ ホ キシル基が関与した低カルニチン血症 2012 年度までに 38 例 ニューキノロンによるアキレス腱障害 ; 頻度 0.14-0.4% 高齢 腎不全 ステロイト リウマチ DM 等がリスク因子 ワーファリン内服中の出血リスク 抗菌薬全体 :2.01 アゾール系 :4.57 マクロライド :1.86 キノロン :1.69 ST 合剤 :2.70 ペニシリン :1.92 セフェム :2.45 * オッス 比 セフィローム による偽胆石症 ; 大量投与で 0~19% で症状あり 中止のみで自然消失

血腫除去 Op 症例 44 歳男性 ; 脳出血 (mg/dl) 20 ファーストシン (4 世代 ) メロヘ ン (/μl) 20000 10 CRP WBC 10000 0 4 月 4 日 4 月 7 日 4 月 10 日 4 月 13 日 4 月 16 日 0

さて どう考えるか? 本当に細菌感染症か? Focus はどこか? 起炎菌は何か? プロカルシトニンは陰性 血液培養は陰性 その他培養は未検査 造影 CTでdetect 出来ない 臓器症状 身体所見に乏しい 肝胆道系酵素の上昇はあるが 最初はCZOP 無効でMEPM 有効の菌? そしてMEPM 無効の菌に交代? 鑑別 感染症 ; 胆管炎 CDAD その他感染症 (TB, 真菌, SSI- 髄膜炎等 ) 非感染症 ; 薬剤熱 術後侵襲 脳出血

25 (mg/dl) 20 15 10 5 ファーストシンメロヘ ン メロヘ ン とアレヒ アチン を中止 CRP WBC アレヒ アチン 0 4 月 4 日 4 月 7 日 4 月 10 日 4 月 13 日 4 月 16 日 4 月 19 日 4 月 22 日 4 月 25 日 (/μl) 25000 20000 15000 10000 5000 0 診断 脳出血 + 術後侵襲 薬剤熱

Take home message 1 感染症では focus と起炎菌を意識する ; 臓器症状とグラム染色 ( 塗抹 ) で治療方針はかなり絞られる 2 抗菌薬は 狭く 十分な量を 推奨される期間 投与する 3 抗菌薬投与中の発熱 CRP/WBC 上昇は感染症悪化ではない ; 意外に多い CDAD と薬剤熱 メロヘ ン 無効 の原因は限られる 4 ブ菌は楽観視しない ; 黄ブ菌は最も危険 表ブ菌も意外にしつこい スライド請求先 :okanokao0818@yahoo.co.jp