1 要点学習公民 : 現代の社会現代社会の特色 CJT3A1-Z1J1-01 30 分 要点 要点を読んで重要なポイントを確認しましょう 現代日本の特徴と課題 現代における日本の社会の特徴と課題について押さえよう ❶ 少子高齢社会 日本では, 少子化と高齢化が同時に進行し, 総人口に占める高齢者の割合が高くなっている ❷ 持続可能な社会 将来の世代の経済的 社会的利益をそこなうことなく, 現在の世代の要求を満たす社会 1 現代日本の歩み 1 経済成長とその影響 高度経済成長 :1950 年代後半からの約 20 年間で日本経済は急速な発展を遂げる 重化学工業の発展が経済成長を支える 工業の発展の一方で, 各地で住民の健康を奪う公害が発生する みなまたびょう 四大公害病 ( 水俣病 四日市ぜんそく イタイイタイ病 新潟水俣病) の被害は深刻 経済成長に伴う環境の悪化やエネルギーの大量消費などの問題点を教訓に, 環境問題や公害問題などへの対応が進む 2 少子高齢化 少子高齢化 : 子どもの数が減少し, 総人口に占める高齢者の割合が高くなること 日本では, 合計特殊出生率の低下によって少子化が進行し, 平均寿命が延びることで高齢化が進む 1 合計特殊出生率 :1 人の女性が一生に産む子どもの数の平均 日本は世界に類を見ない少子高齢社会となっている 少子高齢化が進むと, 高齢者を支えるための公的年金や医療保険, 介護保険などの社会保障にかかる費用が増大し, それを負担する生産年齢人口 (15~64 歳の人口 ) は減っていくため, 国民 1 人あたりの負担が重くなる 少子化対策 出産 育児をしやすい社会をつくることが求められる 出産 育児にかかる費用の支援や保育所の整備などが進められ,2003 年には少子化社会対策基本法が制定される 高齢化対策 高齢者福祉の充実と, 国民の経済的負担の軽減をいかに両立させていくかが大きな課題となっている バリアフリーや介護制度などの整備とともに, 高齢者がいきいきと活躍できる場の提供が進む
CJT3A1-Z1J1-02 2 持続可能な社会 差がつく 経済成長に伴い, 資源が大量に消費され, 環境破壊が起きている じゅんかんがたしゃかい 省エネルギーや資源の再利用の促進による循環型社会の実現が求められる 資源に限りがある地球の中で, 環境破壊を起こさない範囲で環境や資源を利用 消費し, いじ資源の循環をはかりながら, 地球規模の生態系を維持していく努力が求められる 循環型社会 2 持続可能な社会 : 将来の世代の経済的 社会的利益をそこなうことなく, 現在の世代の要求を満たす社会 環境 資源の面だけでなく, 経済的な発展や防災の取り組み, 平和の維持や人権面での配慮など, さまざまな課題を解決する必要がある
CJT3A1-Z1J1-03 現代日本と世界 現代の日本と世界とのかかわりについて押さえよう ❶ グローバル化する世界 地球規模の問題を解決するための国際協力や多文化共生の取り組みが重要な課題 ❷ 情報社会 情報化の進展により, 大量の情報がやりとりされ, 情報が重要な役割を果たす社会が出現 1 国際社会と日本のかかわり 1グローバル化 よく出る グローバル化 : 世界の一体化 政治 経済 文化などの諸分野で地球規模での結びつきが強まっている 輸送手段の発達により, 国境を越えての人 物などの移動や流通が容易になり, 情報通信技術 (ICT) の発達やインターネットの普及により, 世界各国の情報を簡単に入手できるようになる 経済のグローバル化により, 生活が便利になる一方で, 経済格差が広がったり, 巨大資本によって世界経済が独占的に支配されたりするといった事態も生じている 2 国際競争と国際分業 国際競争 輸送手段の発達によって貿易が盛んになったことで, 国内だけでなく他国の製品との価格や質の競争が生まれる 3 国際分業 それぞれの国が有利に生産できる産業に力を入れて商品を輸出し, 不得意な産業については外国からの輸入に頼ることで, 自国で生産する場合より効率よく商品を手に入れることができる 3 日本の食料問題 食の国際化 : 食生活の多様化や, 外国製の食料が安価に輸入できるようになったことにより, 日本では食の国際化が進む 日本の食料自給率は低下傾向にある ちょっとくわしく 輸入食品の安全性 輸入食品の増加に伴い, その安全性にも関心が高まっています 日本では食品への利用が認められていなかったり, 安全性が確認されていなかったりする成分を含む食品が, 輸入品として日本国内に入ってくる可能性もあり, 法や検査制度の整備が求められます
CJT3A1-Z1J1-04 4 国際協力 グローバル化が進み, 一国では解決できない地球規模の問題に対する国際協力が求められるようになる 環境問題や地域紛争, 国家間の経済格差など 政府開発援助 (ODA): 先進国の政府機関が行う発展途上国への経済援助 きょうよ 経済開発や福祉の増進のために資金や技術を供与する 青年海外協力隊 : アジア アフリカ 中南米地域などを中心に派遣され, 農林水産業 土木建築 保健医療 教育文化 スポーツなどの分野で技術支援を行う 平和維持活動 (PKO): 国際連合 ( 国連 ) が監視団などを派遣し, 紛争地域の停戦監視や治安維持などにあたる活動 日本は,1992 年にPKO 協力法 ( 国連平和維持活動協力法 ) を制定し, 同年, カンボジアに自衛隊を派遣した 国際連合や政府機関以外に, 4 NGO ( 非政府組織 ) とよばれる民間の組織もさまざまな分野で活躍している ちょっとくわしく NGO NGO( 非政府組織 ) は国家の政治的利害による制約を受けにくいことが特徴で, 組織形態や規模もさまざまです 人権 環境 保健医療 スポーツ 教育など, 広い範囲にわたる組織が存在しています 5 多文化共生とボーダレス時代 ボーダレス : 国境がない という意味 国家の枠を超えた経済活動や情報のやりとりが盛んになったことにより国際化が進み, 国境のもつ意味が小さくなっていることをさす 日本に住む外国人, 外国に住む日本人も増加 異なる文化や価値観を尊重し合い, 協力していく 5 が求められる 制度の整備だけでなく, 一人一人の理解や協力が必要 多文化共生 社会の形成
CJT3A1-Z1J1-05 2 情報化 1 情報化とグローバル化 情報化 : 情報が大量にやりとりされ, それらが大きな価値をもつとともに, 重要な役割を果たすようになること 情報化が進んだ社会を情報社会とよぶ インターネットやコンピュータ, 携帯電話などの情報通信技術 (ICT) の発達により, 情報化が進む 情報化の進展は, 国境を越えた情報のやりとりを可能とし, グローバル化の一因となる 2マスメディア マスメディア : 不特定多数の人々に大量の情報を伝達する手段 活字メディア ( 新聞 雑誌など ) 音メディア( ラジオなど ) 映像メディア( テレビなど ) などがある 近年はインターネットの役割が拡大している 新聞 : 情報が一貫性をもち, 情報量も多い また, 読者が情報を選択することも可能 雑誌 : 広く深い専門知識や情報を提供 テレビ : 情報に速報性 同時性があり, 映像 音による臨場感もある マスメディアは情報を不特定多数の人々に伝えられるため, 政治に関する情報の提供や文化の普及に大きな役割を果たす 一方で, 誤った内容の報道や特定の立場にかたよった報道が行われると, 人々を誤った方向に導く危険性がある 3インターネット インターネット : 世界中に張りめぐらされたネットワーク ( 通信網 ) のこと パソコンや携帯電話, タブレット型端末などを通じて, 世界中の情報を瞬時に得たり, 情報を交換したりする手段となる ホームページの閲覧だけでなく, 商品の売買や金銭のやり取りなどもインターネットを通じて行うことができるようになる 4 情報社会の課題 インターネットは便利な反面, その普及によって, 個人情報の流出やインターネットを用いた犯罪の増加といった問題も発生している しゅしゃせんたく 情報をうのみにせず, 取捨選択して正しく活用する力 ( 情報リテラシー ) と, 情報を悪用 せず正しく利用していく態度 ( 6 情報モラル ) が必要 情報リテラシー マスメディアからの情報を主体的に読み取る力を, とくにメディア=リテラシーとよぶ 情報モラル 自分や他人の個人情報をインターネット上に不用意に公開しないことや, 著作権に考慮することなどが求められる コンピュータを使う能力の違いによる情報格差 ( デジタル=ディバイド ) が広がっている
CJT3A1-Z1J1-06 情報ネットワークによるつながり