小学校における情報モラルインターネットの特性と情報モラル教育 平成 27 年 4 月 20 日担当 : 笠井俊信 この授業の内容 目的 小学校において情報モラルを指導する能力 小学校で求められている情報モラル教育 情報モラルの本質を理解 情報モラルを指導するための考慮点 インターネット環境での情報活用実践 情報モラル教育の指導案作成 1
メールの送受信 送信時の注意点 携帯メールとの違いを意識 携帯メールはメモ,PCメールは手紙 メールアドレスは半角で入力 入力間違いがないか十分に注意 件名 は簡潔に 添付ファイルの容量 相手の状況で判断 一般的には 1MB 以内 メールの書き方 ( マナー ) 住所 ( アドレス ) とは別に本文に相手の名前を付ける ( 相手が目上の場合は特に ) 本文に自分の名前を入れる 署名とは別に本文の頭で 改行を適当に入れる 返信には適切な引用を入れる 敏速な返事を期待しない PC メールは相手に直接届かない 2
最低限のポイント メールの本文に相手の名前があるか? メールの本文に自分の名前があるか? メールの本文に用件が書かれているか? 最低限のメール本文例 先生 コースの です 課題を提出します よろしくお願いします ----- 署名 3
結果 提出者数 22 相手の名前あり 3 14% 自分の名前あり 4 18% 署名だけ 6 27% 用件あり 5 23% すべてOK 3 14% すべてなし 17 77% 情報モラル教育の考え方 表面的な 内容 例に振り回されないこと 背景, 全体像, 位置づけ, 他との関係 情報モラルでは, なぜ今情報モラルが必要? 従来と何が違うのか? 道徳教育との関係は? 情報教育との関係は? 4
なぜ情報モラルが必要? インターネットの出現 これまでは 限られた社会で大人たちが保護 家庭, 学校, 地域 道徳 ( 道徳的価値の自覚及び自己の生き方 ) 身近な人たちとの間のモラル 道徳的価値の自覚及び自己の生き方 相手が悪意を持っていないことが前提 危険回避 限られた社会から出ないように指導 インターネットの出現 限られた社会を簡単に脱出可能 大人が保護することができない 悪意を持った人間の存在 危険回避の重要性 影響範囲が無限大に 少しの失敗 取り返しのつかない事態 ー > インターネットの特性を理解 5
インターネットの世界の特性 誰でも簡単に世界中に ( の ) 情報の発信 入手が可能 子どもでも, 資金 特殊な機器 能力がなくても 1 人 1 人が巨大な 力 を手に入れた 情報の発信 入手ともに大きな責任が発生コンピュータ間の情報通信が目的 コンピュータを誰が使用しているかは不明 ( 匿名性 ) 文字情報 ( デジタル ) が中心 誤解, 情報操作が容易非対面式, 非同期のコミュニケーション入口の多様化 ネットコミュニケーションでのトラブル見知らぬ人とのトラブル ネット依存 実世界で考えてみると 世界中に ( の ) 情報の発信 入手可能 人間は瞬間移動ができる 匿名性 人間は透明人間になれる, 変装もできる 物理的な攻撃などはできない お金, 経済活動は実世界と同様に存在 悪人が多数存在 インターネットを自由に子どもに使わせる この世界で自由に遊ばせること 6
情報モラル教育のポイント 問題の本質の理解が第一 その上で周りの大人が何をすべきかを考えましょう 子どもの目線で問題を考えましょう 発達が十分ではないこと 友達関係の重要性 物心がついた時からインターネットが存在大きくなってから少しずつインターネットが普及 同じ? できることが少しずつ増えていくその度に経験的に学んでいく インターネット ( 子ども利用 ) の問題 1 普段は感じない第三者 ( 悪人 ) の存在 関わりのない人たちのことは通常は無関心 騙す相手, 攻撃のネタを探している人たちが確実に存在 10,000 人に 1 人としても日本だけで数千人 ちょっとしたきっかけで山のようにやってきます 公開範囲を意識しづらい ネットは基本的に全面公開の世界 サービス ( 企業 ) が無理やり壁を用意 絶対安全な壁はない, 少なくとも企業にはつつぬけ チャット ( トーク ) もインターネットのサービス 利用者はインターネット利用の意識は低い 7
インターネット ( 子ども利用 ) の問題 2 入口の多様化, 新しいビジネスモデル ハード ( 機器 ) だけでなくソフトの問題 ハード ( 機器 ) を購入後, できることが変化していく ソフト ( サービス ) をインストールして利用 悪質な企業, ソフト ( サービス ) も存在 個人情報が抜き取られる可能性も 仮想マネーの存在 現実の紙幣 硬貨よりも使うことに抵抗が少ない 本当に欲しいか冷静に考える時間がない はまり 状態にさせて利益を回収するビジネスモデル 子どもは仮想マネーの知識 経験がない インターネットで注意すべき特性 仮想 (Virtual) 世界 空気 / 文脈 / 行間が読めない 忘れない 8
仮想 (Virtual) 世界の問題 インターネットの世界が代表的 仮想 ではなく Virtual Virtual: より現実的なもの トラブルの原因 現実世界との混同 Virtual を 仮想 と誤解 現実世界との混同 頭では現実と違うインターネット 熱中するうちに境界が曖昧に 例 出会い系サイト 最初は興味から ( 現実ではない安心感 ) 現実との境界が曖昧にー > 現実の世界へ 9
Virtual を 仮想 と誤解 インターネットの世界 匿名での参加 人間関係は希薄 -> 仮想的 で人によっては魅力も 実際には 世界中の人々と現実につながっている世界 例 ブログの内容で大問題に 仮想 (Virtual) 世界についての留意点 現実世界での生きる力の育成 Virtual 世界を正確に理解 インターネットの正確な理解 現実とは別の世界として活用 インターネットの特長 10
空気 / 文脈 / 行間が読めないの意味 人間の特性を考える ICT の活用 -> その裏に必ず人間 高度な情報補完能力 想像, 推測, 推理 人間は無意識に様々な情報を補完 インターネットの世界の特性 誰でも簡単に世界中に ( の ) 情報の発信 入手が可能 子どもでも, 資金 特殊な機器 能力がなくても 1 人 1 人が巨大な 力 を手に入れた 情報の発信 入手ともに大きな責任が発生コンピュータ間の情報通信が目的 コンピュータを誰が使用しているかは不明 ( 匿名性 ) 文字情報 ( デジタル ) が中心 誤解, 情報操作が容易非対面式, 非同期のコミュニケーション入口の多様化 ネットコミュニケーションでのトラブル 11
人間同士の直接対話 ポイント : 言葉を中心にその他の表現が補足 相手の反応が見える 誤解が生じても修正が容易 対象概念 意図 情報発信者 表現力 情報表現 表現手段 : 言葉表情ジェスチャ発信者の立場 肩書き特徴 : 同期型, 対面式 情報補完 情報受信者 ネットを介した対話 対象概念 意図 表現力 ポイント : 文字が独立していることが多い 相手の反応が見えない 誤解が生じたら修正が困難 情報表現 表現手段 : 文字が中心 情報補完 情報発信者 単なるラベル 特徴 : 非同期型, 非対面式 情報受信者 12
人間の情報補完能力 人間は情報補完を常に行っている 空気を読む 文脈を読む 行間を読む 本心 ー > 言動 裏を読む このような情報補完を無意識に 視覚情報の補完例 13
ネットを介した対話の問題 直接対話と区別ができていないと 情報量が少ない ( 文字数も短い ) ー > 情報補完の自由度が高い情報の受け取り側の責任も 情報がいつまでもそのままー > 情報補完のための十分な時間 相手と親しいほど正確な情報補完が可能ちょっとしたきっかけ ネガティブな情報補完 ( 邪推 ) 親しいほどショックが大きい 問題が大きくなる可能性 ネットを介した対話への対処 文字による対話についての指導 文字によるコミュニケーションの特性 発信時, 送信時の両方について指導 発信時 ( 非同期だからこそできること ) 曖昧な表現は使わない 誤解を与えないように読み直す 受信時 文字以上の情報を邪推しない 嫌な内容は消す, 読み返さない最初は保護者と練習期間を設けるのが望ましい 保護者も基本的な機能を知ることができる 14
まとめ 小学校で求められる情報モラル教育情報モラル教育の考え方 表面的な 内容 例に振り回されないこと 本質の理解が重要 背景, 全体像, 位置づけ, 他との関係 注意すべきインターネットの特性 仮想 (Virtual) 世界 空気 / 文脈 / 行間が読めない, 忘れない 15