長期給付関係 公的年金制度の現況について
1 被用者年金制度一元化以降における公務員年金制度の現状 ⑴ 被用者年金制度の一元化 ( 平成 27 年 10 月 1 日施行 ) 平成 24 年 8 月に成立し 同月に公布された 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律 により 平成 27 年 10 月より共済年金制度は厚生年金保険制度に統一され これにより公務員についても厚生年金保険制度に加入することとなりました この改正の趣旨は 社会保障 税一体化改革大綱 に基づき 今後の制度の成熟化や少子高齢化の一層の進展に備えるため 次のとおりとされております なお この被用者年金制度一元化に伴い それまで共済年金制度独自の公的年金であった 職域年金相当部分 は廃止され 新たな公務員制度となる 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) が設けられました 1 年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高める 2 民間被用者 公務員を通じ 将来に向けて 同一報酬であれば同一の保険料負担 同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保し 年金制度全体に対する国民の信頼を高める ⑵ 一元化後における厚生年金保険被保険者の種別 被用者年金制度一元化により すべての被用者が厚生年金保険に加入することとされましたが 職種に応じて被保険者の種別が次の表のとおり異なります 被保険者の種別加入する被保険者実施機関 第 1 号厚生年金被保険者 (1 号厚年被保険者 ) 第 2 号厚生年金被保険者 (2 号厚年被保険者 ) 第 3 号厚生年金被保険者 (3 号厚年被保険者 ) 第 4 号厚生年金被保険者 (4 号厚年被保険者 ) 第 2 号 第 4 号厚生年金被保険者以外の民間被用者等国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金被保険者地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金被保険者私立学校振興 共済事業団の加入者たる厚生年金被保険者 日本年金機構国家公務員共済組合国家公務員共済組合連合会地方公務員共済組合全国市町村職員共済組合連合会地方公務員共済組合連合会日本私立学校振興 共済事業団 ⑶ 決定する年金種別の違い 組合員 ( 被保険者 ) 期間を有する方が一定要件を満たす場合に年金が決定され 受給権発生年月日が一元化施行日 ( 平成 27 年 10 月 1 日 ) 前後で決定される年金が次のとおり異なります 1 一元化施行日前に受給権が発生 退職共済年金 2 一元化施行日後に受給権が発生 老齢厚生年金 なお 被用者年金制度一元化に伴い 共済年金独自の 職域年金相当部分 ( 旧 3 階部分 ) は廃止されましたが 一元化施行日後に受給権が発生した方で 平成 27 年 9 月 30 日までの組合員期間を有している場合は 経過措置として一元化前までの期間を算定基礎とする 退職共済年金 ( 経 15
過的職域加算額 ) が 老齢厚生年金とは別に決定されます また 職域年金相当部分 が一元化に伴い廃止されましたので 一元化以降は 新たな公務員制度となる 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) が設けられ これにより平成 27 年 10 月 1 日以降の組合員期間は 一定の要件を満たす場合に厚生年金とは別に支給されます ⑷ 一元化による保険料率の統一 公務員の方にかかる厚生年金 ( 平成 27 年 9 月までは共済年金 ) の保険料率は 毎年度 3.54 ずつ引き上げられております これは 第 1 号厚生年金被保険者の負担率に合わせるためで 平成 30 年度までに183 ( 上限 ) で統一されることとなります 2 公的年金制度のしくみ ⑴ 公的年金制度の体系 現在の公的年金制度は 国民年金と被用者年金 ( 厚生年金保険制度 ) に大別され この公的年へんせん金制度は 下図のとおり これまでいくつかの変遷を経て現在の制度体系となりました 昭和 61 年 4 月に制度体系の再編成を含む年金制度の大改正が行われ それまで国民年金 厚生年金保険制度及び共済年金制度は単独で制度を運営していましたが 国民年金が公的年金制度の土台 (1 階部分 ) となる全国民共通の基礎年金制度として導入され 被用者年金制度 ( 厚生年金保険制度及び共済年金制度 ) は その上乗せ年金 (2 階部分 ) として改正が行われました また 共済年金制度は 独自に 職域年金相当部分 (3 階部分 ) がありましたので 3 階建ての年金制度となっておりました 現在は 平成 27 年 10 月に行われた一元化により 共済年金制度は 厚生年金保険制度に統合され 公務員の方についても第 3 号厚生年金被保険者として厚生年金保険制度に加入することとなり 制度的差異は厚生年金保険制度に合わせることとなりました ( 図 1) 国民年金 ( 基礎年金 ) と被用者年金制度の体系 ( 平成 27 年 10 月 ) 退職等年金給付 ( 新 3 階 ) 業年金 経過的職域加算額 ( 旧 3 階 ) 国民年金基金 ( 加入 ) 厚 生 年 金 保 険 報酬比例部分 2 階 国民年金 ( 基礎年金 ) 自営業者等 公務員等 民間サラリーマンの被扶養配偶者 民間サラリーマン 公務員等 定額部分 1 階 ⑵ 年金給付の種類 現在 原則として20 歳以上 60 歳未満の公務員在職中は 国民年金 ( 基礎年金 ) に加入しておりますので 全国民共通の基礎年金 ( 国民年金 ) を受けることができます この基礎年金は 保険料を納めた期間に比例した定額年金となっております 16
また 公務員の方は 国民年金以外に厚生年金保険制度にも加入しておりますので 基礎年金 に上乗せする報酬比例部分の年金も受けることとなります 年金給付の種類は次表のとおりです ( 表 1) 現在の公的年金の種類 区分 老齢 退職給付 障害給付 遺族給付 厚生年金 老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金 国民年金 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 ( 注 1) 平成 27 年 9 月までに受給権が発生した共済年金 ( 退職共済年金 障害共済年金及び遺族共済年金 ) は 平 成 27 年 10 月以降も引き続き共済年金として支給されます ( 注 2) 老齢基礎年金の年金額は 20 歳から60 歳までの40 年間 (480 月 ) 保険料を納付された場合 779,300 円 ( 平 成 30 年 4 月現在 ) が支給されます ⑶ 国民年金における被保険者種別と保険料国民年金は全国民共通の年金制度になります 被保険者の種別等は 次表のとおりです ( 表 2) 国民年金の被保険者の種別 種別対象となる人保険料納付方法 第 1 号被保険者 第 2 号被保険者 20 歳以上 60 歳未満の方であって 第 2 号及び第 3 号被保険者に該当しない者 ( 自営業者 学生など ) 厚生年金保険の被保険者 (65 歳未満 ) 民間サラリーマン 公務員等 自身で保険料を納める 加入している年金制度から納める 第 3 号被保険者 第 2 号被保険者の被扶養配偶者で20 歳以上 第 2 号被保険者が加入している 60 歳未満の方 年金制度から納める ( 注 ) 第 2 号被保険者が60 歳未満で被保険者資格を喪失 ( 退職 ) し 再就職しないときは 60 歳になるまで国民年金第 1 号被保険者となり 保険料を自身で納めることとなります また 第 3 号被保険者であった被扶養配偶者についても同様で 被保険者資格を喪失することになりますので 60 歳になるまでは国民年金第 1 号被保険者となり 自身で保険料を納めなければなりません ( 保険料を納めない期間は 保険料未納期間となり年金額に反映されません ) 3 年金の総則的事項 ⑴ 組合員とは 組合員とは 市区町村役場等に常時勤務する地方公務員 ( 職員 ) のことで 一般職の職員だけではなく 市町村長等の特別職の職員も含まれ 共済組合の資格を取得した者となります この場合 原則 厚生年金保険制度の被保険者となります 17
⑵ 組合員 ( 被保険者 ) 期間の計算 1 基本的な組合員 ( 被保険者 ) 期間の計算 組合員 ( 被保険者 ) 期間の資格取得は 職員となった日からその資格を取得し 退職等した日の翌日に資格を喪失いたします この場合 組合員 ( 被保険者 ) 期間を計算すると 資格を取得した日の属する月から その資格を喪失した日の属する月の前月までを月単位で計算します ( 図 2) 組合員 ( 被保険者 ) 期間の取り方 〇〇年 4 月 1 日 〇〇市区町村役場 〇〇年 3 月 31 日 4 月 1 日 就職 ( 資格取得 ) 退職日 資格喪失日 組合員 ( 被保険者 ) 期間 例えば 平成元年 4 月 1 日に組合員として資格取得した者が 平成 30 年 3 月 31 日に普通退職した場合 資格喪失日が平成 30 年 4 月 1 日となり 組合員 ( 被保険者 ) 期間は348 月 (29 年 0 月 ) となります 2 月の中途で退職したときの組合員 ( 被保険者 ) 期間の計算 月の中途で退職の場合は 前記 1 同様 退職日の翌日が資格喪失日となり 喪失日の属する月の前月までが組合員 ( 被保険者 ) 期間となりますので 退職月は組合員 ( 被保険者 ) 期間として含めることが出来ません ( 図 3) 月の中途の組合員 ( 被保険者 ) 期間の取り方 〇〇年 4 月 1 日 〇〇市区町村役場 〇〇年 2 月末日 3 月 15 日 3 月 16 日 就職 ( 資格取得 ) 退職日 資格喪失日 組合員 ( 被保険者 ) 期間 含まれない 例えば 平成元年 4 月 1 日に組合員として資格取得した者が 平成 30 年 3 月 15 日に普通退職した場合 資格喪失日が平成 30 年 3 月 16 日となり 組合員 ( 被保険者 ) 期間は347 月 (28 年 11 月 ) となります ⑶ 年金と税金 老齢厚生 ( 退職共済 ) 年金は 所得税法上では 雑所得として取り扱われ 課税の対象となります その年の支給年金額が 65 歳未満は108 万円以上 65 歳以上は80 万円以上の方を対象に行われます 源泉徴収対象者の方は 毎年 公的年金等の扶養親族等申告書 を共済組合へ提出することにより 基礎的控除額と人的控除額が受けられます なお 障害厚生 ( 共済 ) 年金及び遺族厚生 ( 共済 ) 年金は非課税年金です 65 歳以上の方で老齢基礎年金 ( 国民年金 ) が発生しない方は 158 万円以上の方が対象となります 18
⑷ 年金の支給期月 年金は 給付事由が生じた日の属する月 ( 受給権発生年月日 ) の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分が支給され 年金の定例支給日は 偶数月の15 日となります ただし 15 日が金融機関の休業日の場合は 前倒しとなり 直前の営業日となります ( 表 3) 年金の支給期月 支給期月 支払われる年金 2 月 12 月 1 月分 4 月 2 月 3 月分 6 月 4 月 5 月分 8 月 6 月 7 月分 10 月 8 月 9 月分 12 月 10 月 11 月分 9 月 15 日に年金を受け取る権利が生じた場合は その翌月である10 月 から年金が支給されますので 12 月支給期が初回支給期となります ⑸ 年金の請求と時効 年金は 年金を受ける権利を取得した方の請求に基づき決定がなされます この年金を受け取る権利を 基本権 といい 基本権に基づき各支給期月に支給される年金の請求権を 支分権 といいます この権利を一定期間不行使の状態が続いた場合 その権利が消滅することとなり これを 消滅時効 といいます 年金である給付を受ける権利の消滅時効期間は 基本権 支分権 ともに5 年間となり 起算日は次のとおりとなります 権利不行使にかかる一定期間の起算日 1 基本権法律上 年金決定の請求をすることができることとなった日 ( 受給権発生年月日 ) の翌日 2 支分権支給期月の翌月の初日 4 年金給付の概要 ⑴ 65 歳になるまでの老齢を事由とする年金給付 公務員として勤務した期間を有する方が一定の要件を満たす場合には 老齢厚生年金が支給され 平成 27 年 9 月以前に引き続く1 年以上の組合員 ( 被保険者 ) 期間を有する場合には 併せて退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) が支給されます この老齢厚生年金と退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) は 本来 65 歳からの支給と定められて 19
おりますが 支給要件を満たしていれば生年月日に応じた年齢で年金を受給することができ これを65 歳から支給される年金と区別して 特別支給の老齢厚生年金 特別支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) といいます 1 特別支給の老齢厚生年金の支給要件 次のいずれにも該当するときは 65 歳に達するまで共済組合から特別支給の老齢厚生年金が支給されます ⅰ 60 歳以上であること ⅱ 組合員 ( 被保険者 ) 期間 ( 平成 27 年 9 月以前の組合員期間も含む ) が1 月以上あり 厚生年金被保険者期間と合算して1 年以上あること ⅲ 被保険者期間等が10 年以上あること ( 注 1) 組合員 ( 被保険者 ) 期間とは 次の期間を合算した期間です 厚生年金の被保険者期間( 国家公務員 地方公務員 私立学校等の教職員 民間の被用者 ) なお 平成 27 年 9 月以前の公務員等における組合員期間についても厚生年金の被用者期間とみなされます ( 注 2) 被保険者期間等とは 上記の厚生年金被保険者期間と国民年金 ( 第 3 号被保険者期間 保険料免除期間及び合算対象期間等を含む ) を合算した期間です ( 注 3) 被保険者期間等が10 年以上 25 年未満であって 支給要件のⅰおよびⅱを平成 29 年 8 月 1 日時点で満たしている場合は 同日時点で受給権が発生します 2 特別支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) の支給要件 次のいずれにも該当するときは 65 歳に達するまで共済組合から特別支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) が支給されます ⅰ 平成 27 年 9 月以前に引き続く組合員期間が1 年以上あること ⅱ 特別支給の老齢厚生年金の支給要件 ( 上記 1 ⅰ ⅲ) を満たすこと ( 注 ) 平成 27 年 10 月 1 日をまたいで引き続く1 年以上の組合員 (2 号 3 号厚生年金被保険者 ) 期間を有する場合は 平成 27 年 9 月以前の組合員期間が1 年未満でも該当します 3 支給開始年齢の段階的引き上げ 65 歳までの年金となる特別支給の老齢厚生年金および退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) は 生年月日により支給開始年齢が引き上げられます 最終的には 昭和 36 年 4 月 2 日以後生まれの一般組合員 ( 特定消防組合員は 昭和 42 年 4 月 2 日以後生まれ ) の方からは 年金支給が65 歳支給となります 20
( 表 4) 生年月日による年金支給開始年齢の引上げ 一般組合員 生年月日昭和 32 年 4 月 2 日 昭和 34 年 4 月 1 日昭和 34 年 4 月 2 日 昭和 36 年 4 月 1 日昭和 36 年 4 月 2 日以後 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢 63 歳 64 歳 65 歳 特定消防組合員等 生年月日昭和 30 年 4 月 2 日 昭和 34 年 4 月 1 日昭和 34 年 4 月 2 日 昭和 36 年 4 月 1 日昭和 36 年 4 月 2 日 昭和 38 年 4 月 1 日昭和 38 年 4 月 2 日 昭和 40 年 4 月 1 日昭和 40 年 4 月 2 日 昭和 42 年 4 月 1 日昭和 42 年 4 月 2 日以後 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 65 歳 ( 注 ) 特定消防組合員とは 消防司令以下の消防職員であった方で 退職時または60 歳時点まで引き続き20 年以上当該消防職員として在職していた組合員をいいます ⑵ 65 歳からの老齢を事由とする年金給付 受給者が65 歳に到達すると特別支給の年金受給権が消滅し 本来の年金の受給権が新たに生じることとなり この年金を 本来支給の老齢厚生年金 及び 本来支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) といい 併せて 老齢基礎年金( 国民年金 ) も受給することとなります 1 本来支給の老齢厚生年金の支給要件次のいずれにも該当するときは 共済組合から本来支給の老齢厚生年金が支給されます ⅰ 65 歳以上であること ⅱ 組合員 ( 被保険者 ) 期間が1 月以上あること ⅲ 被保険者期間等が10 年以上あること 2 本来支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) の支給要件 次のいずれにも該当するときは 共済組合から本来支給の退職共済年金 ( 経過的職域加算額 ) が支給されます ⅰ 平成 27 年 9 月以前に引き続く組合員期間が1 年以上あること ⅱ 本来支給の老齢厚生年金の支給要件 ( 上記 1 ⅰ ⅲ) を満たすこと 3 加給年金額について 厚生年金の被保険者 ( 組合員 ) 期間が合計 20 年以上ある方で 65 歳到達による本来支給の老齢厚生年金の受給権が発生したとき その受給者によって生計を維持していた65 歳未満の配偶 21
者 18 歳に達する日以後の3 月 31 日までの間にある子 または 20 歳未満で障害等級が1 級 2 級に該当する子がいるときは 加給年金額が加算されます ( 表 5) 配偶者および子にかかる加給年金額 1 配偶者がいる場合に加算される加給年金額 受給権者の生年月日昭和 9 年 4 月 1 日以前昭和 9 年 4 月 2 日 昭和 15 年 4 月 1 日昭和 15 年 4 月 2 日 昭和 16 年 4 月 1 日昭和 16 年 4 月 2 日 昭和 17 年 4 月 1 日昭和 17 年 4 月 2 日 昭和 18 年 4 月 1 日昭和 18 年 4 月 2 日以後 加算される加給年金額 224,300 円 257,400 円 290,500 円 323,600 円 356,600 円 389,800 円 2 子がいる場合に加算される加給年金額 子 の 人 数 加算される加給年金額 2 人まで1 人につき 224,300 円 3 人目から1 人につき 74,800 円 ( 注 1) 老齢厚生年金の受給権者と生計を共にしていた方のうち 恒常的な収入金額が将来に亘って 年額 850 万円 ( 所得 655.5 万円 ) 未満と認められた方に加算されます なお 配偶者については 事実上婚姻関係と同様の事情のある方を含みます ( 注 2) 加算対象となった配偶者の方が65 歳に到達したときは 配偶者自身に老齢基礎年金が支給さ れますので 加給年金額は支給されなくなります 4 老齢基礎年金 ( 国民年金 ) の支給要件次の条件を満たした場合に日本年金機構より支給されます ⅰ 保険料納付済期間または保険料免除期間を有する方が65 歳に達したとき ⅱ 保険料納付済期間と保険料免除期間および合算対象期間等を合算したときに25 年以上あること 年金額は 20 歳から60 歳までの40 年間 (480 月 ) 保険料を納付された場合 779,300 円 ( 満額 ) が支給されます ⑶ 障害を事由とする年金給付 障害厚生年金は 一定の保険料納付要件を満たした方が 厚生年金の被保険者である間に 初診日のある傷病がもとで 障害認定日において1 級から3 級に該当する程度の障害の状態になったときは 障害厚生年金が支給されます なお 障害等級が1 級または2 級に該当する程度の障害の状態になったときは 障害基礎年金 ( 国民年金 ) が併せて支給されます また これらの障害給付については 公務員在職中であっても支給されます 22
〇障害厚生年金の支給要件 1 障害認定日において障害の状態にあるとき 被保険者 ( 組合員 ) である間に初診日のある傷病により 障害認定日おいて障害等級が1 級から3 級に該当する程度の障害の状態にあるとき 2 障害認定日後に障害の状態になったとき ( 事後重症制度 ) 障害認定日において 障害等級が1 級から3 級に該当する程度の障害の状態になかった方が その後 65 歳に達する前日までの間に その傷病により3 級以上の障害の状態になったとき 3 他の障害と併合して初めて該当するとき ( 基準傷病制度 ) 65 歳に達する日の前日までの間において 被保険者 ( 組合員 ) である間に初診日のある傷病による障害とその他の傷病による障害とを併合して 障害認定日以後 65 歳に達する日の前日までの間に障害等級が1 級または2 級に該当する程度の障害の状態となったとき ( 注 1) 保険料納付要件とは 初診日の前々月までの被保険者 ( 組合員 ) 期間のうち 国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて期間が3 分の2 以上あることを言います ただし 平成 38 年 4 月 1 日前に初診日があるときは 初診日のある月の前々月までの1 年間に保険料未納期間がなければ保険料納付要件を満たすことになります ( 注 2) 障害認定日とは 初診日から起算して1 年 6か月を経過した日 または その期間内に傷病が治った日またはその症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日をいいます 症状が固定したときとは 次のようなケースをいいます 〇心臓ペースメーカー 人工弁を装着した日〇人工透析については 透析開始してから3か月を経過した日〇人工骨頭 人工関節については 挿入 置換えした日〇人工肛門については 造設した日から6か月を経過した日など ⑷ 死亡を事由とする年金給付 遺族厚生年金は 組合員 ( 被保険者 ) または組合員 ( 被保険者 ) であった方が 当該年金の支給要件に該当した場合に その方によって生計を維持していた遺族に支給されます なお 遺族厚生年金の支給を受けることのできる子のある配偶者 または 子の場合には 遺族基礎年金 ( 国民年金 ) も併せて支給されます 1 遺族の範囲 組合員 ( 被保険者 ) または組合員 ( 被保険者 ) であった方の死亡当時 その方と生計を共に ( 原則として同居 ) し かつ恒常的収入が近い将来に亘って年額 850 万円 ( 所得 655.5 万円 ) 未満と認められる方となります ⅰ 配偶者と子 ( 夫の場合は55 歳以上 この場合は18 歳に達する日以後の最初の3 月 31 日までの間にある未婚の子 または障害等級が1 級もしくは2 級の障害状態にある20 歳未満の未婚の子に限る ) 23
ⅱ 父母 (55 歳以上に限る ) ⅲ 孫 (18 歳に達する日以後の最初の3 月 31 日までの間にある未婚の孫 または障害等級が 1 級もしくは2 級の障害状態にある20 歳未満の未婚の孫に限る ) ⅳ 祖父母 (55 歳以上に限る ) 2 遺族厚生年金の支給要件 ⅰ 組合員 ( 被保険者 ) が在職中に死亡したとき ⅱ 組合員 ( 被保険者 ) であった方が退職後に 組合員 ( 被保険者 ) であった間の傷病が原因で 初診日から5 年以内に死亡したとき ⅲ 障害厚生 ( 共済 ) 年金または障害年金の受給権者 ( 障害等級が1 級または2 級であるものに限る ) が死亡したとき ⅳ 老齢厚生 ( 退職共済 ) 年金 ( 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25 年以上である方に限る ) の受給権者または保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25 年以上である方が死亡したとき 5 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) ⑴ 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) の概要 被用者年金一元化により共済年金は厚生年金に統一され 共済年金独自部分であった3 階部分の 職域年金相当部分 が廃止されました 廃止後 平成 27 年 10 月から新たな公務員制度として 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) ( 以下 退職等年金給付 という ) が創設されました この新しい給付は 地方公務員の退職給付の一部として設けられるもので 退職年金 公務障害年金 公務遺族年金 の 3 種類の給付があります なお 退職等年金給付の財政運営方式は積立方式 給付方式はキャッシュバランス方式とし 保険料拠出リスクを抑制したうえで 保険料の上限 ( 労使あわせて1.5%) を法定するものです キャッシュバランス方式とは 年金の給付水準を国債利回りや予想死亡率に連動させることにより 給付債務と積立金とのかい離を抑制する仕組みをいいます 退職等年金給付の概要 〇給付部分の半分は有期年金 半分は終身年金 (65 歳支給 60 歳からの繰り上げも可能 ) とする 〇有期年金は 10 年又は20 年支給を選択 ( 一時金での受給選択も可能 ) 〇本人死亡の場合は 終身年金部分は終了 有期年金の残余部分は一時金として遺族に支給する 〇財政運営は積立方式とする 給付設計はキャッシュバランス方式とし 保険料の追加拠出リスクを抑制 〇 公務に基づく負傷又は病気により障害の状態になった場合や死亡した場合に 公務障害年金 公務遺族年金を支給 〇服務規律維持の観点から 現役時から退職後までを通じた信用失墜行為等に対する支給制限措置を導入 〇平成 27 年 10 月からの組合員期間について適用させる 24
⑵ 退職等年金給付における積立時と給付時のイメージ 共済年金の職域年金相当部分の給付は 現役世代の保険料 ( 掛金 ) 収入で受給者の給付を賄う 賦課方式 による給付でしたが この退職等年金給付は 将来の年金給付に必要な原資をあらかじめ保険料 ( 掛金 ) で積み立てる 積立方式 による給付になります 退職等年金給付は 組合員一人ひとりに仮想の個人勘定を設定し この個人勘定に各月の標準報酬月額及び標準期末手当等の額に付与率を乗じて得た付与額を利子とともに毎月積み立てます また 前年度に積み立てた累積額 ( 給付算定基礎額 といいます ) の残高について 年 1 回 ( 毎年 5 月頃 ) 組合員の皆さまに通知書 ( 給付算定基礎額残高通知書 といいます ) を送付してお知らせいたします 年金払い退職給付の掛金率と負担金率は 0.75% ずつとなります ( 労使折半 ) 付与率は1.5% に設定されています 基準利率は 次のとおり設定されています 平成 27 年 10 月 1 日 平成 28 年 9 月 30 日年利 0.48% 平成 28 年 10 月 1 日 平成 29 年 9 月 30 日年利 0.32% 平成 29 年 10 月 1 日 平成 30 年 9 月 30 日年利 0.00% ⑶ 年金給付の種類 1 退職年金 ( 年金払い退職給付 ) 退職年金は 1 年以上引き続く組合員期間を有する方が 退職した後 65 歳に達した時 又は 65 歳に達した日以後に退職した時に支給されます なお 60 歳からの繰り上げ または 70 歳までの繰り下げ受給が可能です この退職年金は 退職時まで積み立てた給付算定基礎額の半分は有期年金 残り半分を終身年金として支給され 有期年金の期間は 10 年又は20 年支給のいずれかを選択することになります ( 一時金で受給する選択も可能です ) 退職年金受給者が亡くなったことにより失権した場合は 終身部分の年金が終了し 有期年金の残余期間がある場合のみ遺族に一時金として支給されます 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) には 加入者の年齢制限はありません 共済組合の組合員期間中は退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) の加入者になり 退職したとき その翌日に資格喪失します 組合員期間中 ( 在職中 ) の退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) は 全額支給停止となります 2 公務障害年金 ( 年金払い退職給付 ) 公務により病気にかかり または負傷した方で その病気または負傷にかかる傷病 ( 公務傷病 ) の初診日において組合員であった方が支給要件に該当した場合に支給されます 支給要件については 障害厚生年金と同様です 3 公務遺族年金 ( 年金払い退職給付 ) 公務遺族年金は 公務による傷病により亡くなられた場合で 遺族に方がいるときに支給されます 25