untitled

Similar documents
に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

Microsoft Word - 研究報告書(崇城大-岡).doc

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

診断ワークショップ5

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

耐性菌届出基準

病原性真菌 Candida albicans の バイオフィルム形成機序の解析および形成阻害薬の探索 Biofilm Form ation Mech anism s of P at hogenic Fungus Candida albicans and Screening of Biofilm In

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

A. terreus などの菌種が知られている.Aspergillus は, 菌糸と胞子を構成要素とする糸状菌であり, 図 2 に示すように, 菌糸の一部から空中に伸びた分生子柄の先端部 ( 分生子頭 ) に多数の分生子を形成する. アスペルギルス症は, 免疫不全に陥った宿主が空中に浮遊した分生子を

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

シトリン欠損症説明簡単患者用


肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

スライド 1

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

<4D F736F F D DC58F4994C5817A53544C2094E789BA928D5F8AB38ED28CFC834B F94CC94848CB392C78B4C C5292E646F63>

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお


解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

スギ花粉の捕捉Ys ver7.00

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

ある ARS は アミノ酸を trna の 3 末端に結合させる酵素で 20 種類すべてのアミノ酸に対応する ARS が細胞質内に存在しています 抗 Jo-1 抗体は ARS に対する自己抗体の中で最初に発見された抗体で ヒスチジル trna 合成酵素が対応抗原です その後 抗スレオニル trna

Microsoft PowerPoint - 新技術説明会配付資料rev提出版(後藤)修正.pp

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム


されており これらの保菌者がリザーバーとして感染サイクルに関与している可能性も 考えられています 臨床像ニューモシスチス肺炎の 3 主徴は 発熱 乾性咳嗽 呼吸困難です その他のまれな症状として 胸痛や血痰なども知られています 身体理学所見には乏しく 呼吸音は通常正常です HIV 感染者に合併したニ

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

<4D F736F F D204E6F2E342D F28DDC91CF90AB8BDB82C982C282A282C482CC C668DDA94C5816A F315F372E646F63>

博士学位論文審査報告書

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

<4D F736F F D F D F095AA89F082CC82B582AD82DD202E646F63>

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http


今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

1 2

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

topics vol.82 犬膿皮症に対する抗菌剤治療 鳥取大学農学部共同獣医学科獣医内科学教室准教授原田和記 抗菌薬が必要となるのは 当然ながら細菌感染症の治療時である 伴侶動物における皮膚の細菌感染症には様々なものが知られているが 国内では犬膿皮症が圧倒的に多い 本疾患は 表面性膿皮症 表在性膿

2009年8月17日

スライド 1

娠中の母親に卵や牛乳などを食べないようにする群と制限しない群とで前向きに比較するランダム化比較試験が行われました その結果 食物制限をした群としなかった群では生まれてきた児の食物アレルゲン感作もアトピー性皮膚炎の発症率にも差はないという結果でした 授乳中の母親に食物制限をした場合も同様で 制限しなか

Microsoft Word - <原文>.doc

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - ③中牟田誠先生.docx

1 編 / 生物の特徴 1 章 / 生物の共通性 1 生物の共通性 教科書 p.8 ~ 11 1 生物の特徴 (p.8 ~ 9) 1 地球上のすべての生物には, 次のような共通の特徴がある 生物は,a( 生物は,b( 生物は,c( ) で囲まれた細胞からなっている ) を遺伝情報として用いている )

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

<4D F736F F D D8ACC8D6495CF8AB38ED282CC88E397C38AD698418AB490F58FC782C982A882A282C48D4C88E E B8

PowerPoint プレゼンテーション

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

Transcription:

第 49 回東邦大学薬学部公開講座 = 薬と健康の知識 = 真菌感染症 -からだにつくカビを退治する- 講演要旨 2010 年 5 月 15 日 ( 土 ) 13 時 30 分より 主催東邦大学薬学部共催東邦大学薬学部臨床薬学研修センター協賛 ( 社 ) 日本薬学会後援船橋市教育委員会 習志野市教育委員会市川市教育委員会 浦安市教育委員会佐倉市教育委員会 八千代市千葉県薬剤師会 千葉県病院薬剤師会千葉県学校薬剤師会 ( 社 ) 千葉県製薬協会

第 49 回東邦大学薬学部公開講座プログラム テーマ : 真菌感染症 日時 :2010 年 5 月 15 日 ( 土 ) 場所 : 東邦大学習志野キャンパス薬学部 C 館 C-101 講義室 総合司会 : 高橋良哉 ( 薬学部公開講座委員長 / 生化学教室 ) 13:30~13:35 開会の挨拶 井上義雄 ( 東邦大学薬学部長 ) 13:35~14:45 講演 1 司会 : 大林雅彦 ( 臨床薬剤学教室 ) 演者 : 渋谷和俊 ( 東邦大学医学部病院病理学講座教授 ) 14:45~15:10 休憩 ( ドリンクサービス ) 15:10~16:25 講演 2 司会 : 奥平和穂 ( 薬物動態学教室 ) 演者 : 村山琮明 ( 北里大学大学院感染制御科学府病原微生物分子疫学研究室講師 ) 16:25~16:30 閉会の挨拶 高橋良哉 1

真菌感染症 - からだにつくカビを退治する - 東邦大学医学部病院病理学講座 渋谷和俊 北里大学大学院感染制御科学府病原微生物分子疫学研究室 村山琮明 はじめに最初に述べておきたいのは 真菌は微生物の中でも細菌とは異なって 核膜のある真核生物であるということである 分類学的には植物より動物に近いとされる そのため 遺伝子や表現形質もわれわれヒトに近いものが少なくない そのため 診断や治療薬開発に求められる 真菌特異的なマーカーや標的の選択性が困難である その形態は多様で キノコ カビ ( 糸状菌 ) あるいは酵母( こうぼ ) を含めて真菌という 黴菌 ( ばいきん ) とは有害な微生物の俗称であるが 黴 は黒という字が部首に含まれるように カビが生え黒くすすけた斑点 すなわちカビを意味し 菌 は 細菌 をさすとされている 黴という字は暗く湿っぽいあまり良い印象を与えないが 真菌は 人類が最も古くから認識し 利用してきた微生物である 真菌は自然界において主に動植物由来の有機物を分解することにより 環境の維持を担う 真菌は外部から栄養 ( 有機物 ) を吸収するために 他の動植物を構成するセルロース コラーゲン リグニンのような高分子化合物を炭素 窒素 リンの低分子化合物分解している たとえば 森林の植物の落葉などの成分である セルロースやリグニンは多くの動物は分解できない しかし 真菌はこれらを分解し 自分の身体とする 真菌を摂取することにより 動物は植物遺体を取り込むことができる すなわち 生態系のサイクルに戻す分解者としての役割を担っている すべての生物が途絶えても 生き残る最後の生物といわれるゆえんである 真菌は人間の生活にきわめて密接に役立っている 真菌の仲間のキノコは多くが食用として知られている シイタケ マッシュルームそしてトリュフなど 洋の東西を問わず食べられてきた 日本に独特の麹 ( こうじ ) カビは 味噌 醤油 日本酒 焼酎などを作る上で欠かせない真菌である 酵母は ワイン ビールそしてパン チーズなどの製造にかかせない そのほか 貴腐ワインの生産には果皮につくボトリティス シネレアというカ 3

ビがつくことが必要であり 鰹節もカビがあの旨みを作っている 人類の食生活は真菌なくしては貧しいものになっていただろう また 青かびといえば1929 年 アレクサンダー フレミングが発見した世界初の抗生物質のペニシリンである 肺炎を起こしたイギリス首相チャーチルがこれで命を救われたのは有名である ペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質が医学の面で果たした役割は計り知れない その他に高脂血症治療薬であるスタチンなども真菌の生成物である 一方 真菌によってもたらされる病気は 感染症 アレルギー 中毒などである 真菌症は最も古くから認識されてきた感染症であった 1. 真菌の特徴真菌は キノコからカビ コウボを含む生物群であり 現在認識されている種数が8 万種程度 推定種数は150 万種に及ぶと考えられている その中で本日とりあげる 問題になる病原性真菌は400 種程度である 1) 真菌の形態的特徴形状は 単細胞の酵母か 多細胞の菌糸を形成する糸状菌 ( いわゆるカビ ) になる また 外的条件によっては両方の形態をとることのできる カンジダのような二形性菌がある 細胞内には ミトコンドリア リボソームなどの細胞内小器官を有するが 葉緑体は持たない ヒトにはない細胞壁は キチン β-グルカンやマンナンを含み 鞭毛を持たないものが大部分である 2) 真菌の生活環と学名真菌の分類 命名に関しては 歴史的に植物に近縁とされてきたため 未だに国際植物命名規約 (ICBN) に拘束されている 真菌の生活環は 世代交代を行い 有性胞子による有性生殖を行う場合と無性胞子による無性生殖を行う場合がある 無性生殖では 酵母の出芽や分裂 または糸状菌の胞子 ( 分生子 無性胞子 ) によって 基本的には同一クローンが増殖を続ける このような場合 その菌を無性世代 ( アナモルフ ) または不完全世代という 有性生殖では 反対の接合型 ( 性 ) を示す菌株と混合培養することによって 減数分裂による遺伝的組換えを経て 有性胞子を形成する このような有性胞子 ( 配偶子 ) を形成する菌を 有性世代 ( テレオモルフ ) または完全世代という ICBN の規定では 同じ生物種の菌株であっても 有性世代と無性世代の各々に別の学名が与えられ 同じ菌に有性世代名と無性世代名が与えられている場合は 有性世代名を優先する 例えば 無性世代名クリプトコックス ネオフォルマンスは 有性世代ではフィロバシジエラ ネオフォルマンスといい 結婚をしたら姓が 4

変わるようなものである まぎらわしいことに 名前の方まで変わるような命名の菌種もある 2. 真菌の分類真菌は 主に有性胞子の形成様式に基づいた4つの門に分類されている ( 表 1) このうちカエルの病原菌として新聞をにぎわせたツボカビ門は ヒトに対する病原菌が知られていない この分類は あくまでも有性世代における分類である そのため かつては多くの真菌が有性世代が見いだせず 不完全菌門 として分類されていた 近年は 分子系統学的に分類され このあいまいな門は廃止された たとえば カンジダ属は子嚢菌門に分類された 表 1 真菌の分類と病原真菌の属の例 門子嚢菌門担子菌門接合菌門ツボカビ門 ニューモシスチスアスペルギルストリコフィトンヒストプラスマカンジダ クリプトコックスロドトルラマラセチア ムーコルリゾプス 病原菌種例 3. 真菌による病気 ( 感染症以外 ) 真菌によってもたらされる病気は 感染症 アレルギー 中毒などである 本公演の主体は感染症であるが アレルギー 中毒について簡単に述べる 1) 真菌を原因としたアレルギー夏型過敏性肺炎や気管支肺アスペルギルス症などの 呼吸器系のアレルギー疾患がよく知られている その原因となる真菌菌種は多種であり またその抗原 ( アレルゲン ) と疾患との関連は必ずしも十分に解明されていない アトピー性皮膚炎において 真菌がアレルゲンになっていて 抗真菌薬の投与により症状の改善が認められるケースがある しかし 抗真菌剤の免疫修飾作用による症状の改善であるとの説もあり 真の原因であるのか 増悪因子になっているのかは 明らかになっていない 5

2) マイコトキシン ( カビ毒 ) 真菌の種類によっては 種々の条件下でカビ毒いわゆるマイコトキシンを産生する場合がある マイコトキシンとは ヒトの健康に障害を与える真菌の二次代謝産物である 主なマイコトキシンとしてはアフラトキシンやオクラトキシンがあげられるが ほとんどが低分子で耐熱性であることが多く 酸性状態にも比較的強いので 加工や調理による毒性の低下が期待できない その毒性は 消化器 腎 肝障害ばかりでなく発ガン作用もあるところから 食品中のマイコトキシンは 国際的には問題になっている 戦後の日本で黄変米として穀物の汚染が問題になったが 幸い日本では輸入ピーナッツやトウモロコシからアフラトキシンが検出されても 国産のものでは検出されていない アフラトキシンを産生するカビは 土埃や土壌をすみかとしているため 収穫後の保管や処理場の不衛生が汚染の原因であり 植物病害菌ではないことが救いである マイコトキシンが真菌感染症の発生メカニズムに関連しているとの報告もあるが まだ解明はされていない 3) キノコ中毒平成 16 年から平成 20 年までに日本全国で 年間 77~232 人のキノコ食中毒患者が発生している 死亡事故も毎年起きている 日本には200 種以上の毒キノコがあるとされ 注意をする必要がある 4. 真菌感染症 ( 真菌症 ) 真菌症の病型は 感染部位によって分類される 表在性真菌症 ( 皮膚真菌症 ) 深部真菌症と深在性 ( 内臓 ) 真菌症である 表在性真菌症と深部真菌症の大部分は皮膚科領域の疾患であるので 今回の話はそれを除いた深在性真菌症について述べる 1) 日本における主たる深在性真菌症日本は 湿度が高く 近年亜熱帯地域といっても良いほどに気温の上昇がみられる 真菌は一般的に1 湿度 80% 以上 2 気温 25~30 そして3 栄養分豊富 であることを好むことから カビ天国日本と言っても過言ではない しかし 幸いなことに日本における深在性真菌症は 糖尿病 火傷 免疫抑制薬の使用 移植医療の確立などの免疫不全患者にみられる日和見感染症 すなわち健康な人では感染症を起こさないような病原性の弱い真菌が原因で発症するものがほとんどである 近年 高度医療の増加そして高齢化に伴い その頻度は益々増加している 表 2に日本で見られる深在性真菌症とその原因菌を示した 6

表 2 日本における深在性真菌症とその起因菌 真菌症 起因菌 形態 侵入経路 カンジダ症 カンジダ アルビカンスカンジダ グラブラータカンジダ トロピカーリスなど 二形性 常在菌 ( 口腔, 膣, 腸管, 皮膚 ) 内因性感染 アスペルギルス症 アスペルギルス フミガ - ツスアスペルギルス フラバスアスペルギルス ニガーアスペルギルス テレウスなど 菌糸 大気 ( 腐生菌 ) クリプトコッカス症 クリプロコッカス ネオフォルマンス 酵母, 莢膜を持つ 大気, トリ ( ハト ) 接合菌症 ムーコル属, リゾパス属 菌糸 大気 ( 腐生菌 ) ニューモシスチス症 ニューモシスチス イロベジー 酵母 大気 日本の3 大真菌症は アスペルギルス症 ( 図 1) カンジダ症 そしてクリプトコッカス症である 近年カンジダ症は 病理解剖からの集計によると第一位の座をアスペルギルス症にあけ渡したが 最も注意すべき真菌症であることは間違いない というのはカンジダ アルビカンスなどのカンジダ属はヒトの常在菌として 口腔 腸管 膣 皮膚などに存在するため 完全に取り除くことは難しく ヒトの抵抗力が落ちた時に 起因菌となって真菌症を発症するからである カンジダ属以外にも人体には意外なほど真菌が多く常在している 常在真菌とその菌による真菌症を表 3に示した 図 1 侵襲性肺アスペルギルス症の顕微鏡写真 7

表 3 人体に常在する真菌と関連する真菌症 部位口腔 腸管 膣 皮膚 外耳道, 鼻腔 菌種カンジダ アルビカンスなどのカンジダ属菌 カンジダ アルビカンスなどのカンジダ属菌トリコスポロン属, サッカロミセス セレビジエ カンジダ アルビカンスなどのカンジダ属菌 カンジダ アルビカンスほか多数 クラドスポリウム属, アスペルギルス属, ペニシリウム属など 大気中ペニシリウム属, クラドスポリウム属, ( 屋内 屋外 ) アスペルギルス属, フザリウム属, アルテルナリア属など多数 関連する真菌症口腔カンジダ症 fungaltranslocation 真菌血症 カンジダ膣炎 カテーテル感染 真菌血症 外耳道炎 副鼻腔真菌症 日本で見られるその他の真菌症原因菌は 大気中や土壌に存在するものがほとんどである そのため 空気中に浮遊している胞子などを吸引して 副鼻腔や肺に定着し 感染するのが通常である 日和見深在性真菌症の頻度は 病理解剖からの頻度では 白血病を伴う例と伴わない例では 2001 年度のデータで25.1% と 3.7% と 6.8 倍もの差があった 免疫能がいかに真菌感染の成立に寄与しているかが明らかである また 日本のエイズ拠点病院におけるエイズ症例に合併する疾患発症率の2005~2007 年の集計で ニューモシスチス肺炎が50.6% と最も高頻度にみられ 次にカンジダ症が30.3% と高率に認められる すなわちエイズ診療上最も重要な感染症が真菌症であることがわかる 2) 地域流行型真菌症 ( 輸入真菌症 ) 輸入真菌症とは 本来日本には常在しない真菌に海外で感染した者が 日本国内で把握されたものを指す 一般にわが国でみられる深在性真菌症が日和見感染であるのに対し 輸入真菌症は 生来健康な人に発生する点が 大きく異なっている 病原性の強い菌が多い 中でもコクシジオイデス症は真菌症の中でもっとも危険なものとされている 表 4に主な輸入真菌症について示した 8

表 4 日本でみられる主な輸入真菌症 輸入真菌症 コクシジオイデス症 ヒストプラスマ症 ( 図 2) パラコクシジオイデス症 マルネッフェイ型ペニシリウム症 原因菌 コクシジオイデス イミティス ヒストプラスマ カプスラーツム パラコクシジオイデス ブラジリエンシス ペニシリウム マルネッフェイ 地 域 米国南西部 ( カリフォルニア州 ~ アリゾナ州 ~ ニューメキシコ州など ) メキシコ西部 アルゼンチンのパンパ地域の半乾燥地域 米国オハイオ州 ~ ミシシッピー渓谷南部に報告例が多く それ以外にも 中南米 東南アジア ヨーロッパ サンパウロを中心としたブラジル タイ ベトナム これまでの総計 60 名 64 名 19 名 4 名 輸入真菌症病原体の多くは 健常人にも感染する強毒菌である 海外との往来の増加にともない 輸入真菌症は今後も増加を続けると予想される しかし 国内の医療関係者の本症に対する認識 関心はいまだ十分ではなく 正確な診断でさえおぼつかない 今後十分な症例追跡と適切な対応が必要である 図 2 全身性ヒストプラズマ症 ( 写真は腎の顕微鏡写真 ) 3) 深在性真菌症の治療の基本的考え方深在性真菌症は診断がきわめて困難な上に 経過が早くしばしば急激に致死的な状態へと進行するので 診断確定を得るまで治療開始を待つことはできない したがって 特にリスクの高い血液内科領域や臓器移植では予防投与が行われ それ以外の呼吸器内科領域 外科 救急 集中治療領域では深在性真菌症疑いの段階で 経験的治療を行う 9

表 5 深在性真菌症の治療 予防投与 経験的治療 標的治療 白血病などが重篤なハイリスク患者へ, 感染症が起こると仮定して, 未発症の段階から治療を行う 特定のリスクファクターを有する宿主に真菌の定着が確認された段階, あるいは症状や検査値からわずかでも真菌症の可能性があれば, 抗真菌薬を投与して発症を防止する 原因菌が確定した倍医にターゲットを絞って治療を行う 5. 深在性真菌症の診断細胞壁を構成する多糖は 属により種類が異なり ヒトの体内で検出される ( 代謝される ) 多糖が診断に応用されている たとえば クリプトコックス属のマンナンはグルクロノキシロマンナンであり アスペルギルス属のマンナンはガラクトマンナンであり この違いを利用した真菌検出キットが開発されている ( 表 6) また ほとんどの真菌に共通に存在するβ-グルカンを利用した 血清からの真菌症診断法も本邦で開発された 対象疾患 表 6 深在性真菌症に対する血清診断法 ( 保険収載 ) 検出対象 a) モノクローナル抗体 b) ポリクローナル抗体 方 法 発色合成基質法 ( カイネテック ) キット ( 製造または販売元 ) ファンギテック G テスト ( 生化学工業 ) 真菌症全般 (1 3)-β-D-グルカン比濁時間分析法 ( カイネテック ) β-グルカンテストワコー ( 和光純薬 ) 220 カンジダ症 アスペルギルス症 クリプトコックス症 易熱性糖蛋白抗原 D- アラビニトール 細胞壁マンナン抗原 細胞壁ガラクトマンナン抗原 莢膜グルクロノキシロマンナン抗原 莢膜グルクロノキシロマンナン抗原 発色合成基質法 ( エンドポイント ) b) 逆受身ラテックス凝集反応 比色酵素法 逆受身ラテックス凝集反応 β- グルカンテストマルハ ( マルハ ) カンジテック ( ラムコジャパン )140 アラビニテック オート ( 極東製薬 )160 パストレックスカンジダ ( 富士レビオ ) ELISA b) プラテリアカンジダ ( 富士レビオ ) ELISA a) ユニメディカンジダ ( ユニチカ ) フロスルー型 EIA b) 逆受身ラテック a) ス凝集反応 ELISA a) 逆受身ラテック b) ス凝集反応 逆受身ラテック a) ス凝集反応 シカファンギテストカンジダ ( 関東化学 ) ユニメディ カンジダ モノテスト ( 極東製薬工業 ) パストレックスアスペルギルス ( 富士レビオ ) プラテリアアスペルギルス ( 富士レビオ ) セロダイレクト 栄研 クリプトコックス ( 栄研化学 ) パストレックスクリプトコックス ( 富士レビオ ) 保険点数 140 170 190 10

6. 抗真菌薬真菌症の治療は 基本的に抗真菌薬による しかし すでに述べたようにヒトと真菌は互いに細胞の構造や代謝系等が似ているので 真菌のみに選択的毒性を示す薬剤 特に内用抗真菌薬の開発は困難である 深在性真菌症 ( 内臓真菌症 ) 治療薬で 国内で上市されているのはわずか4 系統 9 薬剤である ( 表 7) 表 7 国内で発売されている深在性真菌症治療薬 クラスポリエン系ピリミジン系アゾール系キャンディン系 主な作用メカニズム 標的分子 細胞膜エルゴステロール チミジン酸合成酵素 ラノステロール 14 α- デメチラーゼ (P45014DM) 1,3-β- グルカン合成酵素 結 果 細胞膜物性の変化 細胞膜機能障害 チミジン酸合成阻害 DNA 合成阻害 エルゴステロール合成阻害 細胞膜機能障害 1,3-β- グルカン合成阻害 細胞壁構造障害 薬 一般名 ( 略号 ) アムホテリシン B (AMPH-B) アムホテリシン B リポソーム製剤 (L-AMB) フルシトシン (5FC) ミコナゾール (MCZ) フルコナゾール (FLCZ) イトラコナゾール (ITCZ) ホスフルコナゾール (F FLCZ) ボリコナゾール (VRCZ) ミカファンギン (MCFG) 剤 商品名 剤型 ファンギゾン ( 注射 ) アムビゾーム ( 点滴静注 ) アンコチル ( 錠 顆粒 ) フロリード ( 注射剤 ) ジフルカン ( カプセル 静注 ) イトリゾール ( カプセル ) イトリゾール ( 注射 ) 上市年 1962 2006 1979 1986 1989 1993 2006 プロジフ ( 静注 ) 2004 ブイフェンド ( 錠 静注 ) ファンガード ( 注射 ) ファンガード ( 点滴 ) 2005 2002 2006 1) 作用機構キャンディン系薬の標的は ヒトにはない細胞壁構成成分であるβ-グルカンである ポリエン系およびアゾール系薬の標的は真菌特異的な細胞膜脂質成分のエルゴステロールである ステロールは ヒトではその成分はコレステロールなので エルゴステロールを標的とする薬剤は選択毒性を持ち 静菌的または殺菌的に真菌に作用する ピリミジン系薬は 真菌細胞内に取り込まれた後 ヒトにはないシトシンデアミナーゼによって 5-フル 11

オロウラシルに変換され その後 RNA や DNA 合成阻害による殺菌的効果を発揮する 2) 薬剤耐性とその機構同じ属でも 菌種によって抗真菌薬に対する感受性が異なることは 基礎的にも臨床的にも報告されているので 起因菌種の同定が真菌においても重要なのは 細菌感染症と同様である たとえば 最も高頻度に検出されるカンジダ アルビカンスは ほぼすべての薬剤に感受性であるが 同じカンジダ属でも カンジダ グラブラータやカンジダ クルーセイは フルコナゾールに対して耐性である ( 自然耐性 一次耐性 ) また 接合菌の多くの菌種は抗真菌薬に対して感受性を示さない そのため 菌の同定が不可欠であり 場合によっては外科的処置をとるなど別の手段をこうじなければならない これらの自然耐性菌の耐性機構については 必ずしもそのすべてに説明がついているわけではない 一方臨床的に見出される薬剤耐性株については その機構解明が詳細になされているものも多い アゾール剤を例にあげる 1 作用標的の変異 2 作用標的の過剰発現 3 作用標的の欠失 4 薬剤の透過性低下 5 薬剤の細胞外排出ポンプの過剰発現 および6 液胞での抗真菌剤のトラップ などがあげられる 高頻度にみられる耐性が1であり カンジダ アルビカンスの標的であるP45014DM 遺伝子すなわちERG11 遺伝子の変異によるアミノ酸置換が知られている 薬剤の排出ポンプでは やはりカンジダ アルビカンスの多剤排出トランスポーターであるMSF ファミリーのMDR1 およびABC トランスポーターのCDR1 およびCDR2 の発現が上昇するために 細胞内薬剤濃度が低下し 耐性になっていることが報告されている 8. おわりに系統学的には細菌よりもヒトに近く ヒトの常在菌として身近にありながら あまりその存在が知られていない病原真菌について いくらかでも知っていただければ幸いである 12

第 50 回東邦大学薬学部公開講座予告 日 時 :2010 年 9 月 25 日 ( 土 )13:30~ 会 場 : 東邦大学習志野キャンパス 薬学部 C 館 C-101 講義室 ( 274-8510 船橋市三山 2-2-1 TEL047-472-0666) 参加費 : 無料 ( 申込みは不要 ) テーマ : 薬局を上手に利用していますか? 講演内容 : 1 OTC 薬の販売制度の改正について 2 OTC 薬販売時の薬剤師の必要性について 3 OTC 薬の安全な販売と販売時の注意事項 - 製造販売業会社の立場から- 演者 : 東邦大学薬学部元日本薬剤師会副会長エーザイ株式会社日本事業本部医薬販路政策部保険薬局販路 渡辺朋子氏 秋葉保次氏 馬瀬八尋氏

東邦大学薬学部公開講座今までに取り上げたテーマ ( 第 1 回 ~ 第 48 回 ) 第 1 回 薬の開発 使い方と副作用 第 2 回 花粉症 アレルギー 第 3 回 漢方と生薬 第 4 回 老化と成人病 第 5 回 食品添加物 食品汚物 第 6 回 糖尿病 第 7 回 病気と検査 第 8 回 薬が世にでるまで 第 9 回 痛み 第 10 回 身のまわりの毒 第 11 回 心臓病 第 12 回 肥満 第 13 回 皮膚と化粧品 第 14 回 ストレス 第 15 回 健康と食事 第 16 回 老年期痴呆 第 17 回 癌の予防と治療をめぐって 第 18 回 水 - 良い水悪い水 - 第 19 回 腰痛と頭痛 肩こり 第 20 回 目の健康 第 21 回 アレルギー 第 22 回 胃の病気と薬 第 23 回 血管の老化 第 24 回 骨粗しょう症 第 25 回 血液の病気 第 26 回 心の病気 第 27 回 関節の病気 第 28 回 睡眠 第 29 回 感染症 第 30 回 がんを知る がんを防ぐ がんを治す 第 31 回 スギ花粉症 第 32 回 医療に於ける薬剤師の役割 第 33 回 薬剤師の活躍による薬害防止 第 34 回 薬物治療の基礎と応用 ( くすりの効き方 使い方 ) 第 35 回 臨床検査から何がわかるのか 第 36 回 感染症から身を守るために 第 37 回 薬剤師の理想像を目指す 第 38 回 サプリメント 第 39 回 ウイルスの病気 第 40 回 食と健康 第 41 回 薬に頼らない健康法 第 42 回 肌とビタミン A E とコエンザイム Q 第 43 回 心臓の機能と病気 第 44 回 心の病気と生活習慣 第 45 回 香りの科学 第 46 回 薬の原点 第 47 回 クスリの かたち と ききめ 第 48 回 薬をもっとよく知ろう 公開講座などの案内はテレホンサービスおよびホームページ等をご利用ください テレホンサービス 047-471-1030 お問い合せ TEL 047-472-0666 ホームページ htp:/www.phar.toho-u.ac.jp/