2014.11.29土曜 東邦大学医療センター佐倉病院 市民公開講座 認知症と共に歩む 診断と治療 Toho Sakura Neurology 認知症の治療: 神経内科より 東邦大学佐倉病院 神経内科 舘野冬樹 榊原隆次 Toho university, sakura medical center, japan Toho Sakura Neurology SAKURA: CHERRY BLOSSOM
もの忘れ外来 月曜 ~ 金曜一般枠 / 金曜午後特別枠 ( 神経内科一同 / 榊原 ) 認知症スケール 脳 MRI, 脳血流 SPECT, 脳波 自律神経検査等を駆使した 認知症の早期診断と 治療のご相談に応じます かかりつけ先生に 簡単な紹介状をお願いして下さい かかりつけ先生に 佐倉病院宛 電話予約をお願いして下さい ( 佐倉病院代表 :043-462-8811)
臨床心理士尾形さん Toho Sakura Neurology 認知症と歩行障害 : 介護保険 認知症 : 自立支援医療制度 認知症 : 成年後見制度 歩行障害 : 身体障害者手帳 肢体不自由 尿失禁 / 過活動膀胱 : おむつ補助 レヴィー小体型認知症 / パーキンソン病 : 特定疾患 など
認知症の非薬物療法 Toho Sakura Neurology 軽 中等度症例で有効とされています 記憶見当識の訓練 / リハビリ / 再学習 ( エビデンスレベル 2) 言語 ( 話しかける [ 現実見当識訓練 ]) 動作道具 ( 行う ) 患者さん : 自分自身を刺激する人と話す ( 挨拶 声かけ 訪問 同居 ) 外出をする ( 買い物 行楽 デイサービス ) 介護者 : イエス, バットの法則そうだね と一度受け入れる ( 理由を考える ) 必要ならでも違うよ と訂正する 音楽療法 ( エビデンスレベル 2) 音楽 (big band jazz, 好きな音楽 etc.) 興奮や攻撃性が低下, 記憶が改善 その他 ( エビデンスレベル 3 以下 ) 回想法 ( 思い出 ), グループホーム入所 メモ 愛玩動物 皮膚電気刺激 光照射 white noise 暴露 運動散歩 礼拝
神経内科外来で使っている生活指導の紙です ( 暮らしと健康に掲載 )
Toho Sakura Neurology clioquinol キレート作用 スタチンプロテアーゼ阻害薬 ソマトスタチンアナログ メマンチン抗 Glu 作用 ( 第一三共アスビオ ) ( ワインなど ) ( ウコン~カレー ) ドネペジル, リバスチグミン, ガランタミン gantenerumab (RO4909832) ( エーザイ ファイザー ) ( 小野 ) ( ヤンセン 武田 ) アルツハイマー病
4 つの認知症治療薬 ドネペジル ( アリセプト ) ガランタミン 1) ( レミニール ) リバスチグミン 2) ( リバスタッチ / イクセロンパッチ ) メマンチン 1) ( メマリー ) 軽度 中等度 :5mg * 効能 効果 : アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 軽度 中等度 :8mg * 2 回症状に応じて 12mg * 2 回 効能 効果 : 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 効能 効果 : 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 高度 :10mg 中等度 高度 :20mg 効能 効果 : 中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 軽度中等度高度 重症度により使い分ける
認知症治療薬の作用機序 メマンチン コリンエステラーゼ阻害薬 グルタミン酸 シナプス前膜 アセチルコリンエステラーゼ NMDA 受容体 Ca 2+ シナプス後膜 アセチルコリン受容体 コリンエステラーゼ阻害薬 アセチルコリン メマンチン メマンチンは NMDA 受容体拮抗作用により 過剰な NMDA 受容体の活性化を抑制します コリンエステラーゼ阻害薬は アセチルコリンエステラーゼを阻害することにより アセチルコリンの分解を抑制します [Parsons CG.et al.:neuropharmacology 2007;53(6):699-723 より作図 ] [McGleenon BM.et al.:br J Clin Pharmacol 1999;48(4):471-480 より作図 ]
中枢アセチルコリン Toho Sakura Neurology 中枢コリン神経投射路 [ 11 C]donepezil PET Mesulam 1983 donepezil Okamura 2008
Toho Sakura Neurology アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは 脳が記憶を行う上で 神経伝達物質の存在が必要です 記憶の神経伝達物質としてアセチルコリン (ACh) があります アルツハイマー型認知症の患者さんでは海馬の神経細胞が変性し脳内のアセチルコリンの量が減っています Shinotoh 2001 Neurology アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は 脳内のアセチルコリンの分解を抑えアセチルコリン量を増加させる薬です
年配女性の患者さん 高校卒 / 主婦夫 息子との 3 人暮らし 主訴 同じ事を言う 置き忘れ ( 家族指摘 患者本人は困らない ) もの盗られ妄想はなし 現病歴 糖尿病 高血圧 末梢動脈疾患 糖尿病性神経障害 受診経緯 当院糖尿病代謝センター受診中の方で 認知症も進行しているのではないかとの家族の指摘で 当科紹介受診 所見 心理検査 : MMSE15/30, FAB9/18 と中程度の認知症がみられた 歩行 自律神経障害は目立たない 家族より処方の希望あり 患者さんも了解され コリン系薬剤を開始した
検査結果 MMSE 認知検査結果 ( 投与前 4 か月後再来 ) 時間見当識 (5 点 ) 場所見当識 (5 点 ) 即時再生 (3 点 ) 減算 (5 点 ) 1 1 2 1 3 2 1 1 遅延再生 (3 点 ) 口頭言語 (6 点 ) 読解 書字 (2 点 ) 構成 (1 点 ) 15 14 0 0 6 6 2 2 0 1 不変
検査結果 FAB 前頭葉機能検査結果 ( 投与前 4 か月後再来 ) 概念化 (3 点 ) 語流暢性 (3 点 ) 運動プログラミング (3 点 ) 0 0 1 2 1 1 葛藤指示 (3 点 ) 抑制コントロール (3 点 ) 把握運動 (3 点 ) 9 12 1 3 3 3 3 3 改善
検査結果 IADL 手段的日常生活動作結果 ( 投与前 4 か月後再来 ) 電話の使い方 買い物 食事の支度 家事 0 0 全く電話使用不可 0 0 全く買い物不可 0 0 他人に支度をしてもらう 0 1 簡単なことなら行える 洗濯 移動 外出 服薬の管理 金銭の管理 0 2 0 0 他人が行う 0 1 付き添いで電車バス可に 0 0 独りで不可 0 0 扱うことが出来ず 改善 おだやかな改善ではあるが 生活の質が良くなり 患者さん家族ともに笑顔がみられるようになった
副作用 : 吐き気が出ることがあるその場合は胃薬を併用すると良い Toho Sakura Neurology ドネペジルによる認知症の改善 70 点満点で 3-4 点のおだやかな改善 半年間
メマンチンとコリンエステラーゼ阻害薬の併用による長期的効果 ( 施設非入所率での検討 ) 施設入所までの期間 1.0 メマンチン + コリンエステラーゼ阻害薬併用群 (n=140) コリンエステラーゼ阻害薬単独群 (n=387) 非薬物治療群 (n=416) 非入所率 0.8 0.6 0.4 本検討では 未治療の方の 2 人に 1 人が 5 年で施設に入所している お薬により その期間を 8.5 年に延長できた 0.2 対象 方法 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 ( 年 ) 経過観察期間 1983 年以降 2004 年末においてピッツバーグ大学のアルツハイマー病研究プログラム又はアルツハイマー病研究センターの少なくとも 1 年以上評価可能なアルツハイマー型認知症患者 943 例 非薬物治療及びメマンチン又はコリンエステラーゼ阻害薬使用の有無による介護施設入所までの期間を追跡調査した [Lopez OL, et al.:j Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80(6):600-607]
ドネペジル ガランタミン リバスチグミンの比較 各薬剤間における試験成績 認知機能 ( 薬剤 A vs 薬剤 B) WMD 95%CI 直接比較 ドネペジル vs ガランタミン (Jones ら 2004) ドネペジル vs ガランタミン (Wilcock ら 2003) ドネペジル vs リバスチグミン (Wilkinson ら 2002) -2.4-4.47 to -0.33 * (P<0.05) 1.21-0.97 to 3.39 0.15-1.56 to 1.86 調整間接比較 ドネペジル vs ガランタミンドネペジル vs リバスチグミンガランタミン vs リバスチグミン -6-4 -2 0 2 4 投与開始時とのスコアの加重平均変化量 (ADAS-cog) 薬剤 Aの結果優位薬剤 Bの結果優位 0.09-0.65 to 0.83 0.34-0.66 to 1.34 0.25-0.65 to 1.15 行動 心理症状 ( 薬剤 A vs 薬剤 B) RR 95%CI 直接比較 ドネペジル vs リバスチグミン (Bullock ら 2005) 0.54-1.68 to 2.70 調整間接比較 ドネペジル vs ガランタミン 注 ) リバスチグミンについてはデータが調整間接比較を行うのに不十分 -6-4 -2 0 2 4 投与開始時とのスコアの加重平均変化量 (NPI) 薬剤 Aの結果優位薬剤 Bの結果優位 -2.86-4.77 to -0.95 * (P=0.003) 全般臨床症状 ( 薬剤 A vs 薬剤 B) 調整間接比較 ドネペジル vs ガランタミンドネペジル vs リバスチグミンガランタミン vs リバスチグミン ほぼ横並びと思われる 薬剤 A の結果優位 0.5 1 2 RR(CIBIC plus) 薬剤 Bの結果優位 0.61 0.49 to 0.82 * (P<0.005) 0.87 0.63 to 1.21 1.42 1.05 to 1.93 * (P<0.05) Hansen RA. et al.:clinical Interventions in Aging, 3(2), 211-225(2008) ART-1833 一部改変 RR 95%CI
Gardoni ら 2006 中枢グルタミン酸 Toho Sakura Neurology Metabotropic GluR PET GluR complex グルタミン酸は脳内における興奮性のシグナル伝達物質であり 脳での記憶や学習に関わっています アルツハイマー型認知症の患者さんは 脳に異常なタンパク質が生成され グルタミン酸が常に放出されている状態となっています これによって 記憶が難しくなります Brown ら 2008
100 点満点で2 点のおだやかな改善 メマンチンによる認知症の改善 SIB score(0-100) memantine 半年間 Toho Sakura Neurology SIB score(0-100) (0-14) memantine プラス donepezil 半年間 対照群 donepezil のみ van Dyck CH 2007 Schmitt FA 2006 Sedation memantine 単独 memantine プラス donepezil memantine: tonic type NMDA 型グルタミン酸受容体のみを阻害 別系統の薬なので上乗せができる副作用 : 眠気がありえる夜内服も良い Aracava Y 2005
メマンチンとコリンエステラーゼ阻害薬の併用による長期的効果 ( 施設非入所率での検討 ) 施設入所までの期間 1.0 メマンチン + コリンエステラーゼ阻害薬併用群 (n=140) コリンエステラーゼ阻害薬単独群 (n=387) 非薬物治療群 (n=416) 非入所率 0.8 0.6 0.4 本検討では 未治療の方の 2 人に 1 人が 5 年で施設に入所している お薬により その期間を 8.5 年に延長できた 0.2 対象 方法 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 ( 年 ) 経過観察期間 1983 年以降 2004 年末においてピッツバーグ大学のアルツハイマー病研究プログラム又はアルツハイマー病研究センターの少なくとも 1 年以上評価可能なアルツハイマー型認知症患者 943 例 非薬物治療及びメマンチン又はコリンエステラーゼ阻害薬使用の有無による介護施設入所までの期間を追跡調査した [Lopez OL, et al.:j Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80(6):600-607]
SAKURA cherry blossom, The Flower of Japan 東邦大学医療センター佐倉病院 ご清聴 ありがとうございました ユーカリが丘