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母体血 cell-free DNA 胎児染色体検査 妊婦さんの血液中にある 25-30 塩基対くらいの短い DNA の断片をすべてランダムに増幅させて配列を調べ それがどの染色体由来の断片であるかということを決めるだけです もちろん DNA 断片の中には胎児のものだけではなく母親由来のものもありますが ダウン症の胎児を妊娠している妊婦さんの血液中には 正常の胎児を妊娠している妊婦さんよりも 明らかに大量の 21 番染色体由来の DNA 断片があることがわかります 横軸が染色体の番号です ちょうど中央部くらいのところに 21 番染色体があります 赤 がダウン症胎児を持つ母親 青 が正常の胎児を持つ母親の血液中の DNA 断片の量です 赤 が青 よりも 10% くらい多くなっています ( 栃内新 北大理学部教授 ブログ 5 号館のつぶやき 2008.10.10. 母親の血清中にある DNA 断片で胎児のダウン症診断 から ) 何を調べるか 染色体異常 ( ダウン症候群 =21 トリソミーなど ) 遺伝性疾患 ( デュシャンヌ型筋ジストロフィーなど ) 胎児形態異常 臓器奇形 ( 二分脊椎など ) 胎児感染症 ( 風疹症候群など ) など. 診断の結果胎児の障害が発見された場合 妊娠中絶は可能か? 刑法 214 条 医師, 助産婦 が女子の嘱託を受け, 又はその承諾を得て堕胎させたときは,3 月以上 5 年以下の懲役に処する 母体保護法第 14 条 1 項 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師 ( 以下 指定医師 という ) は, 次の各号の一に該当する者に対して, 本人及び配偶者の同意を得て, 人工妊娠中絶を行うことができる 一妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの二暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの診断の結果胎児の障害が発見された場合 母体保護法において, 胎児が, 母体外において, 生命を保続することのできない時期 平成 8 年 9 月 25 日厚生省発児第 122 号厚生事務次官通知 第二人工妊娠中絶について 1 一般的事項法第 2 条第 2 項の 胎児が, 母体外において, 生命を保続することのできない時期 の基準は, 通常妊娠満 22 週未満であること 母体保護法第 2 条 2 この法律で人工妊娠中絶とは, 胎児が, 母体外において, 生命を保続することのできない時期に, 人工的に, 胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう ] 有森直子 妊娠中の女性の不安 出生前検査は 安心 だけをもたらすのか 二〇一二 一一 一三日本産科婦人科学会公開シンポ 出生前診断-母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える- から有森直子 妊娠中の女性の不安 出生前検査は 安心 だけをもたらすのか 二〇一二 一一 一三日本産科婦人科学会公開シンポ 出生前診断-母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える- から

有森直子 妊娠中の女性の不安 出生前検査は 安心 だけをもたらすのか 二〇一二 一一 一三日本産科婦人科学会公開シンポ 出生前診断-母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える- から有森直子 妊娠中の女性の不安 出生前検査は 安心 だけをもたらすのか 二〇一二 一一 一三日本産科婦人科学会公開シンポ 出生前診断-母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える- から遺伝相談 出生前診断と法的責任 遺伝相談 出生前診断に関して問われる可能性がある法的責任としては, まず第一に, 重篤な障害を持つ子 ( 以下, 障害児 という ) が生まれた場合に, それが遺伝相談 出生前診断上の過失 (= 注意義務の違反 ) によるものであるとして親が医療側に対して追及する損害賠償責任が考えられる アメリカなどでは, この責任を追及する訴訟をロングフル バース (wrongful birth) 訴訟と呼んでいる 遺伝相談 出生前診断における医療者の義務 (1) 母親の高齢 障害児出産の既往 風疹等の罹患, 服薬, 放射線被曝 家系内の遺伝疾患罹患状況 遺伝子変異の存在についての情報 超音波検査 などから障害児が生まれるリスクを正しく認識するとともにそれを依頼者に適切に説明する義務 ( 正しく, 適切に 過失なく ) [ リスクの認識が可能であることが前提となる ] 遺伝相談 出生前診断における医療者の義務 (2) 障害児が生まれるリスクを確認するために利用可能な検査法 ( 胎児に関する羊水, 絨毛, 胎児血, 母体血清マーカー, 母体血中胎児細胞, 超音波 [, 胚生検 着床前診断 ] など, 母 先子に関する検査 ) について 適切に説明する [ 依頼者が希望する場合には ] 正しく実施する その結果に基づいて正しい診断を下す 正確な診断を適切に依頼者に説明する 義務 [ 検査が可能であることが前提となる ] 遺伝相談 出生前診断における医療者の義務 (3) 障害児出産のリスクが高い場合に, 避妊避妊 人工妊娠中絶 [ 男女産み分け?] など, 障害児の出生を回避するためにとりうる手段を適切に説明し, 依頼者が希望する場合には, それを適切に実施する ( ないしは, その実施が得られる施設を紹介する ) 義務 [ 出生回避の方法があることが前提となる ( 技術的に, 法的に )]

これまでのわが国の判決 (1) 東京地裁判決昭和 54 年 9 月 18 日 ( 原告 = 子の両親, 被告 = 産婦人科医師 ) 被告は, 妊婦の血液検査の結果が HI 抗体価 512 倍であったにもかかわらず, 先天性異常児出産の危険はないと判断し, それについて説明することを怠った ( 慰謝料各 300 万円 ) (2) 東京地裁判決昭和 58 年 7 月 22 日 ( 原告 = 子の両親, 被告 = 国 ) 原告 ( 母 ) は, 子供が風疹に罹患したことを被告の設置する病院の産婦人科医師に告げたが, その産婦人科医師は, 抗体価検査をしなかった ( 慰謝料各 150 万円 ) (3) 東京地裁判決平成 4 年 7 月 8 日 ( 原告 = 子の両親, 被告 = 産婦人科医師でかつ産婦人科医院の経営者 ) 切迫流産の徴候がみられたため, 被告医院を受診, 翌日から 8 日間同院に入院した この間, 被告は切迫流産防止のための処置に追われ,4 回目の HI 検査実施は失念された ( 慰謝料各 450 万円 ) これまでのわが国の判決 (4) 前橋地裁判決平成 4 年 12 月 15 日 ( 原告 = 子の両親, 被告 = 病院開設者たる一部事務組合及び皮膚科医師 ) 被告医師は抗体価 64 倍という検査結果に, 再検査を指示せず風疹罹患の可能性を否定する診断をした ( 慰謝料各 150 万円 ) (5) 京都地裁判決平成 9 年 1 月 24 日 ( 原告 = 子の両親, 被告 = 病院経営者たる日本赤十字社及び産婦人科医師 ) 妊婦 (39) が, 妊娠満 20 週過ぎに羊水検査の実施を申し出たが, 被告医師は, 結果判明が法律上中絶可能な期間 ( 満 22 週未満 ) の後になるとしてこれを断り, 受検できる他の機関の教示もしなかった 児はダウン症であった 判決は, 申し出に従って実施された羊水検査でダウン症が判明しても, 中絶が可能な法定の期間を過ぎていたこと, 妊婦の申し出がない場合に羊水検査について説明すべき法的義務はないこと, などを理由に, 請求を退けた 東京地裁判決昭和 54 年 9 月 18 日 被告は, 原告の本件妊娠については, 妊娠のごく初期の段階で風疹に罹患したものであるから, 先天性異常児出産の可能性があり, かつその確率は相当に高いものであること, 仮に先天性風疹症候群児が出生した場合その臨床症状は, 眼, 心臓等人体の極めて重要な部分に重度の障害を呈する場合が多く, 悲惨なものであること等を, 医学的知識のない原告らにおいて出産すべきかどうかの判断が可能である程度に具体的に説明, 教示する義務があった 東京地裁判決昭和 58 年 7 月 22 日 風疹が全国的に流行した昭和 51 年当時, 妊娠初期に風疹に罹患した妊婦に対して人工妊娠中絶手術が施された例が多数あったこと, そして, 産婦人科医の中にはその優生保護法上の根拠として, 妊娠中に風疹に罹患したことが判明したため, 妊婦が異常児の出産を憂慮する余り健康を損う危険がある場合には同法 14 条 1 項 4 号 ( 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの )[ 現母体保護法 14 条 1 項 1 号 ] に該当する と唱える者があったことが認められる そして, 右の見解がいうような場合には, 人工妊娠中絶を行うことが適法と認め られる余地もあり得るものと解される 東京地裁判決平成 4 年 7 月 8 日 確かに, 生まれる子に異常が生ずるかどうかについて切実な関心や利害関係を持つ子の親として, 重篤な先天性異常が生じる可能性があるとわかったとき, それが杞憂に過ぎないと知って不安から開放されることを願い, 最悪の場合に備えて障害児の親として生きる決意と心の準備をし, ひいては, 妊娠を継続して出産すべきかどうかの苦悩の選択をするべく, 一刻も早くそのいずれであるかを知りたいと思うのが人情である 原告らが被告に求めたのも, このような自己決定の前提としての情報であり, 債務不履行又は不法行為によってその前提が満たされず, 自己決定の利益が侵害されたときには, 法律上保護に値する利益が侵害されたものとして, 慰謝料の対象になるものと解するのが相当である 前橋地裁判決平成 4 年 12 月 15 日 特殊教育費用等の請求に関して 裁判所は, 子の障害の原因は被告医師の誤診ではなく, 妊婦の風疹罹患であり, 子には, 障害を持って出生するか, 出生しないか, という可能性しかなかったことを指摘した また, 原告らの請求の当否は, 結局, 子が障害をもって出生したことと, 出生前に人工妊娠中絶されてしまって出生しなかったこととの比較をして, 損害の有無を判断することになるが, このような判断は, 到底司法裁判所のよくなしうることではなく, 少なくとも, 中絶されて出生しなかった方が, 障害をもって出生してきたことよりも損害が少ないという考え方を採用することはできない まして, 現在の優生保護法によって, 本件のような場合には, 人工妊娠中絶は認められないと解せられる として, 特殊教育費用等の賠償を否定した

前橋地裁判決平成 4 年 12 月 15 日 慰謝料の請求に関して もし, 被告医師が, 正確に診断し, その結果を原告 ( 母 ) に伝達していたとすれば, 原告らは, 中絶は不可能であったにしても, 子の出生までの間に, 障害児の出生に対する精神的準備ができたはずである しかし, 現実は, 信頼しきっていた被告医師の診断に反して, 先天性風疹症候群に基づく障害をもった子の出生を知らされたわけであるから, その精神的驚愕と狼狽は計り知れないものがあ り, この精神的苦痛については賠償の義務が課される 参考文献 佐藤孝道 出生前診断 ( 有斐閣,1999) 坂井律子 ルポルタージュ出生前診断 (NHK 出版,1999) 丸山英二編 出生前診断をめぐる法律問題 ( 尚学社,2008) 齋藤有紀子編 母体保護法とわたしたち ( 明石書店,2002) 信濃毎日新聞社編 生と死の十字路 ( 紀伊國屋書店,1998)