1 なぜ体幹 腹筋のトレーニングが必要か? 体の構造上 お腹まわりは腰椎 ( 背骨 ) しか骨はなく その前は内臓 筋肉などで不安定な状態です 1 背筋の過剰な活動や腹筋の低下によって腰を反った姿勢になりやすい 2 腰が反った姿勢は腰痛になりやすい お腹の上下は肋骨や骨盤があり 比較的骨の構造として安定しています運動するときには不安定な場所に力が加わると さらに不安定となり痛みが生じやすくなります競泳選手で一番痛みが多い場所は腰痛! 腹筋 特にインナーマッスルを働かせることにより 腹圧を高め 腰 お腹まわりを安定させ腰痛の発生を予防することが大事です 3 腹筋について 腹筋と聞くとお腹の前にある 6~8 個に割れた腹筋 ( 腹直筋 ) を思い浮かべる人が多いと思います 腹筋と呼ばれるものにはいくつもの筋肉がありそれぞれが違った役割を持っています アウターマッスル体を曲げる 捻るなど大きく動かすときに働く筋体の表面から見やすい外側にある筋肉 2 腰痛について 体の曲げ伸ばし ( 腰椎の屈曲 伸展 ) を繰り返し行うと 骨 ( 腰椎 ) まわりの筋肉に負担がかかり 腰痛が発生しやすくなります 腹直筋外腹斜筋内腹斜筋 インナーマッスル身体の奥の方 ( 深層 ) にある筋肉腹圧を高め お腹まわりを安定さる コルセットのような役割をする筋肉 バタフライ 平泳ぎなどで 腰部の過度な曲げ伸 ばしを繰り返すと 腰痛が発生しやすくなります 背筋が過剰に働き 腹筋が弱いと 腰を過度に反った姿勢となります腰の周り ( 後ろ ) の筋肉がいつも過剰に働いていると 筋 筋膜性の腰痛となります腰を反ったストリームライン 泳ぐ姿勢となる場合は注意が必要です 腹横筋インナーマッスルをしっかり働かせると 腹圧が高まり お腹周りが安定して 腰痛になりにくくなります
1 体幹が安定すると早くなる? お腹まわりを安定させ 体幹が安定していると 泳いでいる時に 抵抗の少ない良い姿勢をキープできるようになり 速く泳げるようになる可能性があります体幹が安定せず 抵抗が大きい姿勢となれば 早く泳ぐことができない可能性があります また 脚が左右にぶれてしまうため 抵抗が大き くなります 平泳ぎでも 横から見ると 腹筋がしっかり働き 腹圧が高まった状態とな ると 体幹は安定し 泳いでいる姿勢は抵抗の少 ない良い姿勢となります 腹筋が弱く 腹圧が高まらないと腰が反ってし まい 脚が下がって 抵抗の大きい姿勢となって しまいます 腹筋の働きが弱く 腹圧が高まらないと 骨盤 下肢が下方に下がってしまい 抵抗が大きくなってしまいます腹圧が高まらず 腰椎が反ってしまうことでも抵抗は大きくなってしまいます 2 腹圧を高める腹横筋などのインナーマッスルを働かせると お腹を内側に引きこむように働くため 腹圧が高まります腹圧が高まると 腹部 腰部周囲が安定します腹横筋などインナーマッスルを お腹を引き込むように働かせることをドローインといいます 上から見ると 体幹が安定していると 体は真っ直ぐとなり 抵抗の少ない良い姿勢となります腹筋が弱く体幹が安定していないと 手を回す時に体幹が横にぶれて 抵抗が大きくなります 3 ドローインについて仰向けに寝て 両膝を立てますお腹を凹ますように力を入れると 腰骨 ( 上の図の 印付近 ) より少し内側にある筋肉が硬くなるのを指で触ることができます腰の下に タオルを少し丸めて タオルを下に押すように力を入れても 筋肉が働くことがあります 三重県水泳連盟医科学委員会
1 お尻挙げ 3 お尻挙げ + 脚上下 両膝を立てて 仰向けになります お腹を凹ませるようにドローインした状態でお尻を挙げます この時 肩 股 膝関節が一直線になるようにしましょう ストリームラインをとるように両手を上に伸ばして行うと 難易度が上がります 腰を反らない お尻が下がらないように注意しましょう 2 お尻挙げ+ 脚挙げ お尻を挙げ 片足 ( 右 ) 脚を膝を伸ばすように挙げ その脚 ( 右 ) を上下に動かします 動かす脚 ( 右 ) 以外の場所は動かないように 特にお尻が動かないように注意しましょう 支えている脚 ( 左 ) にも力を入れて お尻が下がらないようにしましょう 姿勢を保ったまま動かせる回数を 5 回 10 回 20 回と増やしていきましょう 4 お尻挙げ + 脚左右 ドローインをして お尻を挙げた 1の姿勢から 片方 ( 左 ) の脚を 膝を伸すように挙げます ( 左 ) 脚以外はできるだけ動かないようにしましょう 脚を挙げるのと同時にお尻が上がったり 下がったり 動かないようにしましょう 脚を挙げる時 お尻が横に動かないようにしましょう 10 秒 20 秒 30 秒と姿勢が保てる時間を少しずつ伸ばしていきましょう お尻を挙げ 片足 ( 右 ) 脚を膝を伸ばすように挙げ その脚 ( 右 ) を左右に動かします 動かす脚 ( 右 ) 以外の場所は動かないように 特にお尻が動かないように注意しましょう 支えている脚 ( 左 ) にも力を入れて お尻が下がらないようにしましょう 姿勢を保ったまま動かせる回数を 5 回 10 回 20 回と増やしていきましょう
1 四つ這いでの運動 脚を挙げる時 腰を反ったり 背中が丸くなら ないように注意しましょう 4 四つ這い + 胸郭運動 お腹を凹ませるようにドローインした状態で 四つ這いとなります 横から見ると肩の下に手 股の下に膝をつき 手 肩 股 膝で四角を作るようにします 背中が丸くなったり 腰を反らないように注意しましょう 2 四つ這い + 手挙げ お腹を凹ませるようにドローインした状態で 四つ這いとなります 片手 ( 右 ) 手を頭に乗せるように挙げます 手を挙げる時 挙げる手 ( 右手 ) 以外は動かないようにしっかり力を入れましょう 背中が丸くなったり 腰を反らないように注意しましょう 四つ這い ドローインした状態で片手 ( 右 ) を前に挙げます 手を挙げる時 挙げる手 ( 右手 ) 以外は動かないようにしましょう 特に体が反対側 ( 左 ) に動いて 反対 ( 左 ) の肩が手の上からずれていかないように注意しましょう 手を挙げる時 腰を反ったり 背中が丸くならないように注意しましょう 3 四つ這い + 脚挙げ 四つ這い ドローインした状態で片脚 ( 右 ) を後ろに伸ばすように挙げます 脚を挙げる時 挙げる脚 ( 右脚 ) 以外は動かないようにしましょう 特に体が反対側 ( 左 ) に動いて 反対 ( 左 ) の股関節が膝の上からずれないように注意しましょう 手は頭に乗せたまま 肩甲骨を内側に動かし 肘を挙げるように 胸郭を広げます 動かす手 ( 右 ) 以外は動かないように 意識しましょう 肩甲骨を動かして 胸郭を広げるように意識しましょう ( 右 ) 手を挙げていく時 体が反対側 ( 左 ) に動いて行かないように ( 左 ) 肩は ( 左 ) 手の上から動いて行かないように注意しましょう 体の中心 頭から背骨 お尻までが動いてズレないように注意しましょう 体幹の安定性と 胸郭を広げる運動の両方ができます撮影協力甫本研太選手 ( 津アサヒ SS 出身 ) 右 左 両方 同じようにできるよう練習しましょう三重県水泳連盟医科学委員会
1 肘 - 膝での支持 3 肘 - 膝支持 + 脚挙げ 横から見ても前から見ても肩の下に肘が来るように着きます 肩 股 膝関節が一直線になるように肘と膝で支えるようにします ( 膝は曲げます ) この時 お腹を凹ませるようにドローインしましょう 背中が丸くならない お尻が下がらない 腰を反らないように注意しましょう 10 秒 20 秒 30 秒と姿勢が保てる時間を少しずつ伸ばしていきましょう 肘 - 膝で支持し ドローインした状態で片脚 ( 右 ) を後に挙げます 手を挙げる時 挙げる脚 ( 右脚 ) 以外は動かないようにしましょう 特に体が反対側 ( 左 ) に動いて お尻が左にずれていかないように注意しましょう 脚を挙げる時 背中が丸くならない お尻が下がらない 腰を反らないように注意しましょう 体幹が動かないように 左右交互に挙げられるようにしましょう 2 肘 - 膝支持 + 手挙げ 4 肘 - 膝支持 + 胸郭運動 肘- 膝で支持し ドローインした状態で片手 ( 右 ) を前に挙げます 手を挙げる時 挙げる手 ( 右手 ) 以外は動かないようにしましょう 特に体が反対側 ( 左 ) に動いて 反対 ( 左 ) の肩が手の上からずれていかないように注意しましょう 手を挙げる時 背中が丸くならない お尻が下がらない 腰を反らないように注意しましょう 体幹が動かないように 左右交互に挙げられるようにしましょう お腹を凹ませるようにドローインした状態で 肘 - 膝支持となります 片手( 右 ) の肩甲骨を内側に動かし 肘を挙げるように 胸郭を広げます 背中が丸くならない お尻が下がらない 腰を反らないように注意しましょう ( 右 ) 手を挙げていく時 体が反対側 ( 左 ) に動いて行かないように ( 左 ) 肩は ( 左 ) 手の上から動いて行かないように注意しましょう 体の中心 頭から背骨 お尻までが動いてズレないように注意しましょう 体幹の安定性と 胸郭を広げる運動の両方ができます
1 横向き 4 サイドブリッジ 下になっている手 ( 右手 ) をまっすぐ上に伸ばし 指先から足のつま先まで一直線になるように横向きになります 反対の手 ( 左 ) は体の上に置くか 胸の前で軽く支えます お腹を凹ませるようにドローインしましょう 体が前や後に傾かないように 腰が引けて く の字に曲がらないようにしましょう 2 体側部アーチ 横向きで指先からつま先まで一直線になるように横向きとなります ドローインした状態のまま 右のわき腹を挙げ アーチを作ります 体が前や後に傾かないように 腰が引けて く の字に曲がらないようにしましょう 胸郭の動きが柔らかいとアーチが作りやすくなります 横向きで 肩の下に肘を着き 肩 股 膝関節が一直線となるように肘と膝で支えます ( 膝は曲げます ) お腹を凹ませるようにドローインしましょう 体が前や後に傾かないように お尻が引けて く の字に曲がらないようにしましょう 前から見て 下側の肩 股 膝が一直線になるように お尻が下がらないようにしましょう 10 秒 20 秒 30 秒と姿勢が保てる時間を少しずつ伸ばしていきましょう 5 サイドブリッジ + 下肢拳上 3 横向き + 脚拳上 横向きで指先からつま先まで一直線になるように横向きとなります ドローインした状態のまま 両脚を挙げます 横を向いたまま 脚が前や後に動かないようにまっすぐ挙げましょう 体が前や後に傾かないように 腰が引けて く の字に曲がらないようにしましょう 4のサイドブリッジの姿勢となります ( 写真は肘と足での支持 ) 上の脚を上 下しましょう ( 脚を開いたり閉じたり ) 体が前や後に傾かないようにしましょう お尻が引けて体が く の字にならないように お尻が下がらないようにしましょう撮影協力小林祐馬選手 ( 四日市 SC 出身 ) 甫本研太選手 ( 津アサヒ SS 出身 ) 右 左 両方 同じようにできるよう練習しましょう三重県水泳連盟医科学委員会