平成23年度事例集04

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資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

ことを想定しているが これは既に違反対象物の公表制度を実施している消防本部の運用実態等を参考に 当該制度の実施に伴う事務負担やその効果等について検討を行った結果 特に都市部における建物の利用者数等による火災危険性が高いことを考慮したものである なお その他の消防本部においても政令指定都市の消防本部の

隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

事務連絡 平成 27 年 3 月 31 日 各都道府県消防防災主管課 東京消防庁 各指定都市消防本部 御中 消防庁予防課 認知症高齢者グループホーム等の火災対策の充実のための介護保険部 局 消防部局及び建築部局による情報共有 連携体制の構築に関するガイドラインに係る執務資料の送付 認知症高齢者グルー

火対象物の公表の要否を決定するものとする ( 公表の予告 ) 第 5 条署長は 前条第 4 項の規定により公表が必要であると決定した場合は 公表予告書 ( 第 2 号様式 ) により関係者に対し公表の予告をするものとする 2 前項に規定する公表の予告は 査察規程第 20 条第 1 項に規定する立入検

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ごと又は施行規則第 1 3 条第 1 項第 2 号に規定する小規模特定用途複合防火対象物における特定の用途部分ごとに設置義務が生じるときも同様とする ( 報告及び公表の決定 ) 第 4 条査察員は 立入検査において 公表の対象となる違反を認めた場合は 立入検査結果通知書により署長に報告するものとする

基準2 消防用設備等の設置単位の取扱いに関する基準

( 裏 ) 工事等の概要7東京消防ビル 2 階の東京消防オフィスのテナント入居に伴う使用開始の届出である 添付書類のとおり 8 配置図 備考 1 届出者が法人の場合 氏名欄には その名称及び代表者氏名を記入すること 2 同一敷地内に管理権原が同一である 2 以上の防火対象物がある場合は 主要防火対象

予防課関係の要綱,通達改正案

178 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 小規模特定用途複合防火対象物 ( 政令別表第 1⒃ 項イに掲げる防火対象物のうち 特定用途に供される部分の床面積の合計が当該部分が存する防火対象物の延べ面積の10 分の1 以下であり かつ 300m2未満であ

目次 ( )

消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について ( 参考資料 ) 別紙 1 1 改正理由 (1) 背景住宅宿泊事業法 ( 平成 9 年法律第 65 号 ) が平成 30 年 6 月 15 日に施行され 住宅宿泊事業に係る事前の届出が同年 3 月 15 日に開始された ( 住宅宿泊事業法の施行期

2 病院次のいずれにも該当する病院のうち 相当程度の患者の見守り体制を有するもの ( 火災発生時の消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの ) 以外のもの ( ア ) 特定診療科名を有するもの ( イ ) 一般病床又は療養病床を有する病院 火災発生時の延焼を抑制

すぐ連絡! すぐ実施! 杉並消防署からのお知らせ 自衛消防訓練を実施しましょう 自衛消防訓練は 火災が発生した場合に消防隊が現場に到着するまで 自衛消防 活動により 迅速 的確に人命の保護と災害の拡大防止の措置をとれるようにする ことを目的としています 訓練の種別 自主的に訓練することが必要です!

消防法 ( 抄 ) ( 昭和 23 年 7 月 24 日法律第 186 号 ) 最終改正 : 平成 27 年 9 月 11 日法律第 66 号 第 17 条 ( 消防用設備等の設置 維持と特殊消防用設備等の適用除外 ) 学校 病院 工場 事業場 興行場 百貨店 旅館 飲食店 地下街 複合用途防火対象

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

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さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 第 4 渡り廊下で接続されている場合の取り扱い 155 第 4 渡り廊下で接続されている場合の 取り扱い

平成21年6月1日施行

ホテル火災対策検討部会報告書 ( 概要 ) < 検討の目的及び体制 > 平成 24 年 5 月 13 日 ( 日 ) 広島県福山市において死者 7 名 負傷者 3 名が発生したホテル火災を踏まえ ホテル 旅館等の火災被害拡大防止対策及び火災予防行政の実効性向上等に関する検討を実施 予防行政のあり方に

第 3 点検の期間点検の期間は 次の表の上欄 ( 左欄 ) に掲げる用設備等の等並びに同表中欄に掲げる点検の内容及び方法に応じ 同表下欄 ( 右欄 ) に掲げるとおりとする ただし 特殊用設備等にあっては 法第 17 条第 3 項に規定する設備等設置維持計画に定める期間によるものとする 用設備等の等

ウ火元責任者は 自主検査の結果 異常が認められたときは 防火管理者及び防火管理責任者 ( 工事責任者 ) に報告し 指示を受けて対処する (2) 放火対策ア建物の外周部及び階段等には 可燃性の工事用資材又は梱包材等は置かないようにする やむを得ず置く場合は整理整頓し防炎シート等で覆い保管する イ工事

保育所の設備及び運営に関する基準 保育室等 屋外 遊戯場 設備 ( 必置 ) 面積設備 ( 必置 ) 面積 調理室 便所 0 1 歳児 乳児室及びほふく室 医務室 2 歳以上児 保育室又は遊戯室 乳児室 ほふく室 3.3m2 / 人 保育室 遊戯室 1.98m2 / 人屋外遊戯場 近隣の都市公園を代

第1号様式(第9条第1項関係)

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3 署長は 前条の申請のあった防火対象物について 該当する審査項目のいずれかが判定基準に適合していないと認めたときは 申請者に対して その旨を第 3 号様式による防火基準不適合通知書により通知するものとする 4 署長は 第 2 項の規定による通知を行ったときは 第 4 号様式による防火基準適合表示対

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第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

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消防法令が改正され 防火防災管理体制が強化されます! ~ 消防法第 8 条の 2 統括防火防災管理者制度 ~ 近年 雑居ビル等で多くの死傷者を伴う火災が相次いで発生していることや東日本大震災での激しい揺れにより 高層ビル等において人的 物的被害が発生したことを受け 防火 防災体制を強化するために消防

別添 ( 用語の定義 ) 消防法( 昭和 23 年法律第 186 号 ) 法 消防法施行令( 昭和 36 年政令第 37 号 ) 令 消防法施行規則( 昭和 36 年自治省令第 6 号 ) 規則 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令 ( 平成 20

PowerPoint プレゼンテーション

平成  年  月  日

消 防 計 画

江東区 「自転車条例」の手引

Microsoft Word - 宅地造成・区画形質変更の手引

東京都建築安全条例の見直しの考え方

みなし登録電気工事業者 ( 建設業者 ) 開始届出必要書類 ( 法第 34 条関係 ) 建設業法に基づく許可を受けた者が電気工事業を開始した ( 営業を行う ) ときは 電気工事業開始届出書 に下表の添付書類を添えて 遅滞なく提出すること 番 届出内容の種類 個人申請法人申請 号 必要書類の名称 主

○新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例

消防用設備・機械器具等に係る最近の検討状況等

5 条条例 9 条 2 項の規定による勧告は 空き家等改善勧告書 ( 式 4 ) により行うものとする ( 命令 ) 6 条条例 1 0 条 1 項の規定による命令は 空き家等改善措置命令書 ( 式 5 ) により行うものとする ( 公表の方法 ) 7 条条例 1 1 条 1 項の規定による公表は

( 第二面 ) 建築設備の状況等 1. 建築物の概要 イ. 階 数 地上 階 地下 階 ロ. 建築面積 m2 ハ. 延べ面積 m2 ニ. 検査対象建築設備 換気設備 排煙設備 非常用の照明装置 給水設備及び排水設備 2. 確認済証交付年月日等 イ. 確認済証交付年月日 昭和 平成 年 月 日 第 号

Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

学校施設管理について

年次業務報告書記載に関する留意点

第 3 章 1. の既往調査研究 1で紹介した 小規模多機能サービスに関する調査報告書 にも指摘されていたように 小規模多機能サービス事業所の整備にあたっては 建築基準法 消防法上の取り扱いの点で検討の余地を残している これに関して 2006 年 1 月に長崎県大村市の認知症高齢者グループホームで発

番号 特定共同住宅等の種類と必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等 二方向避難型特定共同住宅等である (1) 初期拡大抑制性能 ( その 2) 図面番 ア地階を除く階数が 5 以下のもの 消火器具屋外消火栓設備動力消防ポンプ設備 又は住戸用及び共同住宅用非常警報設備 イ地階を除く階数

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訓令・通達一覧

小規模建築物用消防計画の手引き〔本文〕

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報設備 共同住宅用非常コンセント設備 特定小規模施設用自動火災報知設備 加圧防排煙設備及び複合型居住施設用自動火災報知設備第二講習の対象講習は 消防法施行規則 ( 昭和三十六年自治省令第六号 以下 規則 という ) 第三十一条の六第六項各号のいずれかに該当する者を対象とするものとする 第三講習科目及

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議のうえ統括防火管理者として選任し 防火管理上必要な業務の内容について説明をしたうえで 全体についての防火管理業務を行わせなければならない 3 前項の規定により 統括防火管理者を選任したときは 防火管理対象物における管理権原者の主要な者として を代表者として指定し 代表者名をもって届出を行うものとす

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取得後の経過修繕 改築様式第 11 号 ( 第 62 条関係 ) 不動産り災申告書 ( 宛先 ) 消防署長 年月日 届出者 住 所 氏 名 印 職 業 電話便号 り災年月日年月日 り災物件 の所在地 り災物件と 届出者との関係 占有者 管理者 所有者 建築 取得年月 年 月 建築又は取得金額 1 坪

許可及び認定申請等

新旧対照表 (1/15)

2 スプリンクラー設備の設置基準の見直し 消防法施行令第 12 条第 1 項関係 スプリンクラー設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分に 次に掲げるもの 火災発生時の延焼を抑 制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く で延べ面積が 275 m2未満のものが追加さ

また 立入調査は 市職員又は市長が委任した者が行い 調査者については身分等を示す証明書を携帯し 関係者からの請求があった場合は提示しなければならないため 立入調査員証 ( 様式第 2 号 ) により身分を証明するものとします 参考 < 基本指針 > 一 7(p.12~13) <ガイドライン> 第 3

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屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(3). オ ) を準用すること (2) 高架水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(4). ア イ及びウ ) を準用するほか (1). ア イ及びウの例によること (3) 圧力水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第

参考資料 三郷市火災予防条例の一部を改正する条例案の素案 平成 26 年 9 月 三郷市消防本部 大規模な屋外催しにおける防火管理体制の構築について 1 改正の背景 1 京都府福知山市花火大会火災平成 25 年 8 月 15 日 京都府福知山市で行われた花火大会において 死者 3 名 負傷者 56

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神戸市 2018/4/1 認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額措置 通常の住宅と比べて特に長期にわたり良好な状態で使用できる構造や設備を備えている として市の認定を受けた住宅 ( 認定長期優良住宅 ) について 必要書類を添付して住宅所 在地の各区の市税事務所へ申告すれば 固定資産税が減額されま

静岡市の耐震対策事業

( 趣旨 ) 第 1 条この条例は, 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 50 条及び第 52 条第 5 項の規定により, 周辺環境との調和のとれた斜面地建築物の敷地の利用を図り, もってその周辺における良好な居住環境の確保に資するため, 斜面地建築物の階数に

東京都建築安全条例(昭和二十五年東京都条例第八十九号)新旧対照表(抄)

松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例施行規則平成 26 年 10 月 27 日規則第 65 号 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は, 松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例 ( 平成 26 年条例第 52 号 以下 条例 という ) の施行に関し必要な事

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立入検査手順一覧 1 事前の準備 2 事前の通知 3 防火対象物への立入 4 検査の実施 検査終了 あり 不備事項の有無 なし あり 違反処理 火災発生危険等緊急性の有無 なし 6 検査結果の通知 5 資料提出命令 報告徴収 8 指導記録簿の作成 立入検査終了 7 改修 ( 計画 ) 報告の指導 8

申請者等の概要 1. 申請者 氏名又は名称のフリガナ 電話番号 2. 代理者 氏名又は名称のフリガナ 電話番号 3. 建築主 氏名又は名称のフリガナ 電話番号 設計者 資格 ( 1 級 ) 建築士 ( 建設大臣 ) 登録 号 氏名 建築士事務所名 ( 1 級 ) 建築

( 案 ) 土地区画整理事業の施行に伴い設置される 公共施設の管理及び帰属等に関する協議書 埼玉県 ( 以下 甲 という ) と ( 土地区画事業施行 ( 予定 ) 者 ) ( 以下 乙 と いう ) とは 土地区画整理法に基づく土地区画整理事業の施行により設置される公共 施設の管理及び帰属等につい

坂戸市条例第 号

平成11年6月8日

第 6 火災予防上の自主点検消防用設備等及び建物等の自主点検は次のとおり実施する 1 建物等の自主点検は 別表 2に基づき ヶ月に回実施する 2 消防用設備等の自主点検は 別表 3に基づき ヶ月に回実施する 3 防火管理者は 自主点検の結果を 防火管理維持台帳 に保管する 4 不備 欠陥部分がある場

2. 申請を受けた者が指定確認検査機関の場合 申請を受けた指 名 称 印 定確認検査機 住 関 指定年月日及び 指定番号 指定をした者 申請受理日 平成 年 月 日 3. 申請を受けた者が登録住宅性能評価機関の場合 申請を受けた登 名 称 印 録住宅性能評価 住 機関 登録年月日及び 登録番号 登録

工場立地法の概要

様式 7 ( 17 条関係 ) 生駒市消防長 ( 生駒市消防署長 ) 資料提出命令書 所在 名称 用途 火災予防のため必要があるので 消防法 4 条 1 項の規定に基づき 下記のとおり命令する なお 本命令に従わない場合は 消防法 44 条 2 の規定により処罰されることがある 記 命令事項 ( 行

建築基準法第85条第4項の仮設建築物の許可基準

2 消防法令違反等の是正の徹底消防法令違反等の防火安全上の不備事項が認められた施設等について 特に違反が多く認められた防火管理面の対策の徹底等 重点的な是正指導を推進する 3 避難対策の充実等夜間を想定し 施設等の構造 入所者の人数 管理体制等の具体的状況に即した避難訓練の実施により 適切な避難誘導

消防計画

動車車庫については 隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物との距離は2m 以上とし 各階の外周部に準不燃材料で造られた防火壁 ( 高さ1.5m 以上 ) を設けること (3m 以上の距離を確保した場合を除く ) に改める 号通知 記 2 自動火災報知設備の設置について の一部改正記 2 中

Microsoft Word - 03_ 様式集(表紙・目次)

第 8 条を削り, 第 9 条を第 8 条とし, 第 10 条から第 12 条までを 1 条ずつ繰り上げる 別記第 1 号様式を次のように改める

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

教授 ) において 本件火災の発生状況や 今後の消防のあり方について検討が行われた 検討会での検討結果を踏まえてとりまとめられた報告書では 火災予防対策として 以下のように提言がなされた 延べ面積 150 m2未満の飲食店にあっては 一部の地方公共団体の火災予防条例により消火器の設置が義務付けられて

第 3 倉庫に係る防火安全対策 1 目的この基準は 近年 倉庫が大規模化し また 作業所的要素が出てくるなど特殊化する傾向が見られることから 倉庫に係る出火防止 延焼拡大防止 避難の安全確保等に係る具体的基準を定めたものである 2 指導対象この基準に基づき指導する防火対象物の範囲は次に掲げるものとす

自治基本条例素案のたたき台大和市自治基本条例をつくる会

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

変更・加算届出一覧表(提出方法・必要書類)【訪問介護】

1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

- 1 - 参照条文建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令案建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令(平成七年政令第四百二十九号)(抄) (通行障害建築物の要件)第四条法第五条第三項第二号の政令で定める建築物は そのいずれかの部分の高さが 当該部分から前面道路の境界線までの水平

Transcription:

違反是正事例 ( 事例 4-2) テーマ < 建物接続による建築基準法違反と消防用設備未設置に対する違反処理平成 20 年 > 市町村合併後の立入検査で 老舗の料亭が 耐火建物と 2 棟の木造建物を渡り廊下で接続して 1 棟として使用しており 内装等の建築基準法違反 屋内消火栓未設置等の消防法違反など 多数の違反事項が指摘されたため違反処理をした事例 防火対象物の概要防火対象物は 地域ではいわゆる老舗として著名な料理屋で 天保年間から創業しているもので ビジネスホテル 料理屋 飲食店舗及び住居からなる 3 棟の建物があった その後 地上 3 階建ての耐火構造建築物 1 棟と木造建築物 2 棟を通路 ( 構造不明 ) により接続して 1 棟とした そのため 全体として その他の構造 で 延面積 1,488 m2の 16 項イの防火対象物となった (1) 用途複合用途防火対象物 16 項イ (, 飲食店 5 項イ, ホテル ) (2) 構造 規模 1 3 階建て 2 平屋建て 3 2 階建て計 3 階 5 項イ 289 m2 289 m2 2 階 292 m2 住宅 167 m2 54 m2 513 m2 1 階 371 m2 55 m2 260 m2 686 m2 計 952 m2 55 m2 481 m2 1,488 m2 構造 耐火構造 木造 木造 その他構造 (3) 収容人員 全体 178 人 (1 階 94 人 2 階 72 人 3 階 12 人 ) (4) 無窓階判定 全階普通階 (5) 消防用設備等 既設消防用設備等 : 消火器 自動火災報知設備 誘導灯 未設置となる消防用設備等 : 屋内消火栓設備 避難器具

1 3 階建て ( 耐火 ) 2 平屋建て ( 木 ) 料理屋 通路 屋内階段 ホテル 5 項イ屋料理屋内 階料理屋段 通路 宴会場 料理店 厨房 32 階建て ( 木 ) 屋内階段 住宅 飲食店 屋外階段 通路は 無確認で各建物間を接続したもの 1, 違反処理の概要 (1) 過去の査察経過市町村合併による旧市の防火対象物であり 旧市において査察は 積極的でなかったことから 本対象物の把握はしていたが 立入検査は実施されていなかった (2) 平成 19 年 7 月 4 日建築局と合同で 立入検査を実施 消防用設備等点検未実施と敷地内 3 棟が1 階部分の通路と接続されている状況が確認された ア立会者 ( 建物所有者 ) によると 私の代になった時には すでにこのような状態で 先代からは 特に経過等は聞いていない もともとは たぶん別々の建物で 後から通路を造って建物をつなげたと思う とのことであった イ 3 棟のうち 13 階建て 2 平屋建ての 2 棟については 防火対象物使用開始届出書等の関係資料により構造 面積等について確認できたが 32 階建てについては 不明であったため 全体像が確認できなかった ウ確認できる違反事項について立入検査結果通知書を交付し 消防用設備等点検未実施の指摘と建物全体の構造 面積等が明らかとなる図面等資料の提出を求めた 建築局は 防火設備 非常用照明装置 排煙設備 構造制限について文書による指導を行った 通路は それぞれの建物と一体化しており 一棟と判断した (3) その後違反調査と指摘ア平成 19 年 7 月 12 日 建物所有者から消防用設備等点検結果報告書が提出され 消火器の型式失効 自動火災報知設備の型式失効 一部断線不良 一部未警戒 及び誘導灯の予備電源不良等が報告されたため 是正指導を行った イ平成 19 年 9 月 2 日 建物所有者から建物図面が提出された ウ平成 19 年 9 月 11 日 建物所有者から提出された建築図面及び登記簿謄本等の資料及び消防用設備等点検結果報告を基に 名あて人の特定 面積 用途 収容人員 消防用設備等の状況等の違反事項を特定した (4) 平成 19 年 9 月 15 日 立入検査結果通知書の交付 指摘事項 1 防火管理者未選任 2 消防計画未作成

3 消防訓練未実施 4 消火器一部未設置 型式失効 5 屋内消火栓設備未設置 6 自動火災報知設備受信機の一部断線不良 型式失効 7 避難器具未設置 8 誘導灯一部未設置 予備電源不良 9 厨房設備と可燃物 ( 壁体 ) との離隔距離不適 ( 壁体は炭化していないものの黒く煤けており 火災予防条例に基づく火災予防上安全な距離が確保されていない状態であったため 壁体を不燃材料で有効に仕上げること 若しくは防熱板を設けるよう指導した ) 上記指摘事項 1~4 9については 是正をしたが 消防用設備等については 建物の改築を近く予定しているという理由から 平成 20 年 3 月 30 日までを改修期限とする改修 ( 計画 ) 書が提出され受理した しかし 改築の具体的な計画や資料の提出されないまま改修期限を過ぎてしまった なお 改築予定の説明は 2 階建て木造建物を除却し 駐車場にするとともに既存建物を改装し 別棟に厨房を増築するものというものであった (5) 違反処理への移行ア平成 20 年 4 月 8 日 実況見分の実施改築に関する資料の提出がされないまま 未改修であることから 現在の違反状況を特定するため 建物所有者を立会人として実況見分を行い 用途 建物構造及び規模は 防火対象物使用開始届出書 建物所有者から提出された図面を基に実測等で記録した 既設消防用設備等の状況は 点検結果報告書に基づく不備指摘事項を確認し記録した イ平成 20 年 4 月 16 日 質問調書の聴取指摘事項の是正状況 是正しない理由 今後の是正意志などを確認するため 建物所有者を被質問者として 質問調書を作成した ウ建物構造について実況見分において 2 階建て木造建物の天井裏等を立会者とともに確認したところ 明らかに木造建物であり 所有者に対する質問録取においても 異議を申し立てなかったことから その他の構造とした エ平成 20 年 5 月 2 日 命令を視野に入れた警告書の交付

警告書事項 1 平成 20 年 8 月 7 日までに 1 階及び 2 階に屋内消火栓設備を設置すること 2 平成 20 年 8 月 7 日までに 自動火災報知設備を技術上の基準に適合するよう改修すること ( 未警戒 警戒区域図未設置 配線の機能不良の改修 ) 以下 改修箇所を列挙 ( 省略 ) 3 平成 20 年 7 月 7 日までに 2 階及び 3 階に避難器具を設置すること 4 平成 20 年 7 月 7 日までに 誘導灯を技術上の基準に適合するよう改修すること ( 一部未設置 一部点灯不良 一部予備電源不良 ) 以下 改修箇所を列挙 ( 省略 ) オ平成 20 年 5 月 19 日 平成 20 年 8 月 7 日を履行期限とする改修 ( 計画 ) 書を受理した カ平成 20 年 7 月 7 日 警告事項 3 避難器具に関する事項及び 4 誘導灯に関する事項の履行を確認した キ平成 20 年 7 月 28 日 警告事項 2 自動火災報知設備に関する事項の履行を確認し この時に型式失効も改善した ク平成 20 年 8 月 8 日 警告事項 1 屋内消火栓に関する事項以外の警告事項の履行を確認した (6) 命令発動の留保屋内消火栓設備未設置について 法第 17 条の4に基づく消防用設置等設置命令を検討したが 建物の一部を除却する改修工事が 具体的に設計され 融資を申し込んでいること 及び建築施工業者との契約書類などが確認されたことから 消火器の増設 消防計画に基づく火気管理の徹底 消防訓練 従業員教育等の実施により命令発動を留保した 2, 違反処理の完結 平成 20 年 10 月 改修工事に伴う建築確認申請が行われ 建物の一部除却により屋内消 火栓設備の設置義務がなくなったことから違反是正を完結した

( 事例 4-2) グループ検討 テーマ < 建物接続による建築基準法違反と消防用設備未設置に対する違反処理平成 20 年 > 1, 立入検査結果通知書について平成 19 年 7 月 4 日に立入検査を実施し 約 2 か月後 関係者から提出資料に基づき 平成 19 年 9 月 15 日に結果通知書を交付していますが このような場合の通知書交付時期及び指導方法について 検討してください 2, 未把握建築物の確認について 各所属で 未把握対象物が確認された際の対応要領について 検討してください 3, 履行期限と追跡調査のあり方について相当期間が経過してからの立入検査であることや従来からの利用形態を考慮すると 各違反事項の履行や追跡調査のあり方として どのように考えて進行管理をすると効果が上がるか考えてください 4, 警告書について 警告書の交付時期について どのように考えますか 自己所属の場合でも警告書交付まで 円滑に実施できるか また 警告した内容 ( 設置期間など ) についても検討してください 5, 命令の留保について警告書が平成 20 年 5 月 2 日に交付され 同年 8 月 8 日時点で屋内消火栓未設置の違反が継続しています 履行期限 ( 平成 20 年 8 月 7 日 ) を経過しているにも関わらず命令を留保したことについて 検討してください アドバイザーが付加提示した課題の検討及びその他 グループで意見が出た内容 ( 警告書 : 次のページは違反処理標準マニュアルの警告書の一例です )

( 参考 ) 違反処理標準マニュアル [ 作成例 6 消防用設備等設置の警告 ] 県 市 町 丁目 番 号株式会社 代表取締役社長 殿 第 号平成 年 月 日 市消防本部 消防署長 印 警告書 所在 県 市 町 丁目 番 号 名称 ビル 用途 上記防火対象物は 消防法第 17 条第 1 項違反と認めるので 下記のとおり履行するよう警告する なお この警告に従わない場合は 消防法第 17 条の4 第 1 項の規定に基づく命令を行うことがある 命令を行ったときは 当該防火対象物に受命者の氏名 命令内容等を記載した標識の設置等により公示する 記警告事項平成 年 月 日までに 2 階部分に自動火災報知設備を設置すること ( 消防法施行令第 21 条第 1 項第 3 号 )