建材用断熱材フロンの処理技術

Similar documents

2

<4D F736F F D DC58F4994C5816A8C9A8DDE E9197BF88EA8EAE2E646F6378>

1

スライド 1

untitled

新表紙~2

建築材料学特論 7/23発表PPT

事例6_住宅用断熱材

コンクリート下地仕上材の種類一般的な使用ボード類乾燥状態Ⅲ 2 石工事 タイル工事 建築接着工法編 2.1 陶磁器質タイル 石材用接着剤建築現場で手張り方式により陶磁器質タイル及び石材を張り付ける工事に用いられる接着剤は J IS A 5548 陶磁器質タイル用接着剤 に品質 性能が規定されており

5.1.2 気密材の種類と特長気密層は 室内と外気の境界部分に連続して設けなくてはならない 一口に気密層といっても 躯体工法 断熱工法の違いにより 必ずしも部材構成として新たに一層増えるわけではなく 従来のほかの目的を持つ部材 例えば防湿層 断熱材 防風層 あるいは構造躯体自体を気密層として考えるこ

事例2_自動車用材料

事前調査の方法参考資19 外壁リフォームの設計標準施工法標準施工法標準施工法リフォーム工法部分へのリフォーム工法外壁リフォームニチハMARCシステム11 適用条件 3) 適合地域 建築地域条件高さ (m) 13m 超料木胴縁工法RC造タイル外壁への施工高さ13mを超える1 外壁リフォームの設計 1)

CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐火性能の評価 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLTによる木造建築物の設計法の開発 ( その 3) ~ 防耐火性能の評価 ~ 建築防火研究グループ上席研究員成瀬友宏 1 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐

Microsoft Word without O's house( ).docx

世界をリードするオーウェンスコーニング オーウェンスコーニングは 住宅用 商業用建築材料 グラスファイバー強化材および複合材市場において世界をリードする会社の一つです フォーチュン 500 に 58 年連続して選出され 持続可能な社会の実現に向けて 様々な課題に対するソリューション提供 市場変革 生

< C CA9955C E786C73>

JIS A9521 F JIS A9521 F 計資料 JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521

ヨドルーフハゼシリーズ標準部品設計価格 192ハセ 166ハセ 140ハセ 108ハセ 90ハセ 66ハセ 棟用フレーム 妻用フレーム 妻用金具 単独フレーム 断熱金具 音鳴り低減仕様用断熱金具 軒下面戸 換気面戸 エプロン 化粧フレーム 3,700 円 /m 2,300 円 /m 2,700 円

スライド タイトルなし

現場発泡時にはその自己接着性によって接着剤なしで外壁内部に接着させることができる ポリエチレン樹脂を原料とする高発泡ポリエチレンは 他の発泡系断熱材と比べると柔軟性があり施工箇所や用途の幅が広い断熱材である 透湿係数が低いため耐吸湿 吸水性が高く防湿層は必要ない 一般用途のほか 屋根断熱防水用や配管

Microsoft Word - ★ 改正省エネ講習QA doc

<4D F736F F D D FC897DF8F8091CF89CE8D5C91A294BB95CA8E9197BF81698AC888D594C5816A2E646F63>

ホンパネル断熱冊子_P06-P07

< F2D E7B8D FC90B3816A2E>

Microsoft Word - 茨城県建設リサイクル法届出の書き方について

Microsoft Word - 防露試験ガイドライン doc

資料 4 H 検討会 木造庁舎計画 設計基準の熱負荷計算について (1) 木造建築物に使用する材料の熱定数表を下に示す 熱伝導率 容積比熱 材料名 λ cρ [W/(m K)] [kj/(m 3 K)] 複合金属サイディング 55% アルミ- 亜鉛めっき鋼板 45 3,600 + 硬質

フロン回収・破壊法の改正内容等について

接着パネル保冷 冷凍バン解体マニュアル 株式会社トランテックス

PowerPoint プレゼンテーション

結露の発生を防止する対策に関する試験ガイドライン

性能基準 計算ルート 性能基準 計算ルート の評価フロー項目 床 壁 天井等は断熱材以外にも色々な材料で構成されていますので 各材料の熱伝導率と厚さで熱抵抗値を求 め それを合算して各部位のを逆算します 計算で求める方法が3種 あらかじめ示された構成の数値で求 める方法が2種あります 面積を拾う 詳

1 いるいかんそうき私たちの家にあるエアコン 衣類乾燥機 自動車 スプレーなどにはフロンが使われています どのような種類のフロンが使われているか見てみましょう 以前は冷蔵庫にもフロンが使われていましたが ほとんどがノンフロンになりました 他の製品もノンフロン化を進めましょう エアコン カーエアコン

フォームフォーム考資料ウレタンフォーム押出法ポリスチレンフォーム断熱ェノールフォームフ材 A 建材名称 λ A 1 種 b B C A 2 種 b B C A B a C D 硬質ウレタンポリエチレン吹付け硬質 熱貫流率 (U 値 ) 計算

研究報告61通し.indd

石綿飛散防止小委員会 石綿含有建材成形板等について 平成 30 年 11 月 21 日一般社団法人 JATI 協会技術参与浅見琢也 一般社団法人 JATI 協会 1

製品紹介 クイック 2 丸穴開口でケーブル 電線管貫通 ( 片面壁 ) 片面壁 ( 強化せっこうボード 21mm 重張壁 ) にも対応しています 共住区画 ( パイプシャフト住戸 ) 丸穴貫通部に! ( パテエース ) 本体を挿入 パテを充填 本体を挿入し パテを充填するだけの簡単施工で

H1-4_1504.ai

スライド 1

ハーフェクトハリア_H1-H4_ _cs2.ai

国土交通省告示第五百十五号

< AAF95F18C668DDA A819A C8EAE88EA8EAE817A2E786C73>

HP_GBRC-141, page Normalize_3 ( _GBRC-141.indb )

Microsoft Word - 大気汚染防止法の改正に伴う解体等工事に関する事務手続の取扱いについて(通知).doc

プラストシート12刷.indd

untitled

Taro-101 サッシ施工(H17改正)

PowerPoint プレゼンテーション

ご注意安全上の230 商品の選定施工基準かかる前に標準施工法施工方法納まり納まり位の納まり工法施工方法施工方法維持管理参考資料設計基準 施工に施工部材の木造下地の鉄骨下地のその他各部外張断熱装飾部材の軒天材の工事管理 9. 外張断熱工法 1 設計施工上のポイント 外張断熱工法については 住宅会社 設

CW_Panel01*

8. 音環境に関すること 住戸グループ分表

建築材料学特論 7/23発表PPT


ロックウールMG 製品

災害廃棄物の発生原単位について ( 第一報 ) 震災対応ネットワーク ( 廃棄物 し尿等分野 ) 取り纏め : 国立環境研究所 家屋の全壊に伴って排出される災害廃棄物 ( 解体廃棄物 ) の発生原単位について既存の文献をレビューした 基本的には被災自治体が公開した発生原単位は現地調

見直し後11 基準相当1.64GJ/ m2年hh11 基準相当見直しH11 基準と見直し後の省エネ基準の比較について 住宅 建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会平成 24 年 8 月 31 日第 2 回合同会議資料 1-1 より抜粋 設備機器の性能向上により 15~25% 程度省

2016_11月版

本試験は 本来は実際の建築物を使用して調査票の作成を行う試験であるが 実際の建築物を確保できない場合のみ 仮想の建築物と写真を使用して行っている 実際の建築物を使用するため 本来は 資料公開できない試験であるが 仮想の建築物と写真を使用する場合には 状況設定及び写真等の一部資料のみを公開する - 1

<8DB782B591D682A62090DD8C768E7B8D488E77906A D38CA98B7982D189F1939A816988C4816A30322E786C73>

PowerPoint プレゼンテーション

資料2 フロン類等対策の現状と課題及び今後の方向性について(案)

3-1 2 修繕工事の実態 ( ヒアリング ) 計画修繕は 定期点検等で明らかになった建物の劣化の補修のため 調査 診断 修繕計画の作成 工事の実施へと 区分所有者の合意を形成しつつ 進められる 当勉強会で実施したヒアリングより 管理会社による点検 定期点検は 1 回 / 年の頻度で行っている 目視

1 1. ケイカルエース スーパーシリカの一般的な用途 ケイカルエース スーパーシリカは軽量性にもかかわらず 機械的強度が大きく 断熱性 能に優れ 経年変化が少ないことから 製品の安定性などに優れているため 常温から高 温度域 (1000 以下 ) までの主力保温材として広く以下の分野で使用されてい

untitled

Microsoft Word - UA_ηA計算補助資料

住宅の省エネエネ改修改修に伴う固定資産税固定資産税の減額制度減額制度について 平成 20 年 1 月 1 日以前に建てられた住宅 ( 賃貸住宅を除く ) について 平成 20 年 4 月 1 日から平成 32 年 3 月 31 日までの間に 一定の要件を満たす省エネ改修工事を行った場合 120 m2

M25 ホームマット快適・健康・エコ生活

平成○○年○○月○○日

事例8_ホール素子

スンサンレスイート49 ステンレスインサート ドブめっきインサート 安全にお使いいただくために SUS304 JISG4308,JISG3459,JISG4315 を使用することで高度な耐 久 耐食性が得られるインサートを各種製作いたしました 合板型枠 デッ キプレートに 軽天工事用から重設備用まで

Q A Q A Q A 1

【配布資料】

A 計算に使用したモデル ( 平面図 立面図 面積表 ) 自立循環型住宅設計ガイドライン設定モデル住宅 ( 一般モデル ) 木造 2 階建延床面積 m2 1~3 地域 4~7 地域 寒冷地モデル 温暖地モデル 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m] 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m

表2

CONTENTS

平成8年2月28日\(水\)

屋内床タイル

ARCHITREND ZERO 外皮性能計算編

両面接着テープ TW-Y01

2.E.1 半導体製造

第 15 章コンクリート補修工 15-1 ひび割れ補修工 (1) ひび割れ表面処理工 ( 研磨工 ) 15-1 (2) ひび割れ低圧注入工 15-1 (3) ひび割れ充填工 目地補修工 (1) 成型ゴム挿入工 15-4 (2) 充填工 既設水路断面修復 表面被

平成 29 年度家庭部門の CO 2 排出実態統計調査の分析事例 ( 参考資料 ) 平成 31 年 3 月 環境省地球環境局 低炭素社会推進室 1 はじめに環境省は 家庭部門の詳細な CO 2 排出実態等を把握し 地球温暖化対策の企画 立案に資する基礎資料を得ることを目的に 平成 29 年度から 統

結露防止のための優れた柔軟断熱材 Powered by TCPDF ( 密閉セル構造が耐結露性を向上 長期間の放冷損失熱量 ヒートゲイン を減らし エネルギー損失の削減 設計された断熱材厚みが 同一環境下であれば同じ 配管内温度で使用できます 熱伝導率 λ0 C 0.03

アド オオバンレール工法 株式会社アドヴァン

新築工事 建方施工計画書 平成 年 月 施工者株式会社 建設 現場代理人

<4D F736F F F696E74202D CC8A4F95C CF89CE8FA EA D322E >

034797_アスベスト調査の手引きH29.indd

建設業の 3R への取り組み 株式会社竹中工務店

Microsoft PowerPoint pptx[読み取り専用]

別表 1 建築物の構造 建築物の状況 周辺状況 建築物に係る解体工事 木造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 鉄骨造 コンクリートブロック造 築年数年 棟数棟 周辺にある施設 住宅 商業施設 学校 病院 作業場所 作業場所 十分 不十分 搬出経路 障害物 有 無 前面道路の幅員 約 m 建

配管保護テープ No.303( フラットタイプ ) 非粘着タイプなので 施工性に優れています 曲折部にも簡単に施工できます 配管の保温 保護 分けに 屋外配管の簡易防水用に 湿気の多い地下室などの配管のさび防止に J 灰 塩化ビニル アイテムリスト P.63

第2章 事務処理に関する審査指針

037553_アスベスト調査の手引き2019.indd

横浜市のマンション 耐震化補助制度について

Microsoft Word - 平成 12 年 1399 号.doc

<88EA8EAE8C768FE38E5A8F6F97702E786C7378>

フォモ ジャパン株式会社について フォモ ジャパン株式会社は世界で初めて 1 液性簡易発泡 硬質ウレタンフォームを商業化したスイスに本拠を置く FLM グループの日本法人として 1993 年 7 月に設立されました それ以来 スイス工場 米国工場にて生産される 1 液性 2 液性ウレタンフォームを日

<31365F8C9A90DD838A E838B964082CC93CD8F6F2E786C7378>

もくじ 1. 表紙 2. もくじ 3. 床施工前 > 透湿防水シート 4. 床施工前 > 断熱材用受け材 5. 床施工前 >ユニットバス人通口 6. 床施工 > 床用透湿防水シートの施工 7. 床施工 >セルローズファイバー吹込み工事 8. 壁施工前 > 横胴縁 気密コンセントカバー 9. 壁施工前

Transcription:

第 2 章建材用フロン断熱材の概要 2.1 建材用フロン断熱材の概要 建材用フロン断熱材は 主に寒冷地における防寒 防露など居住環境の快適性向上や省エネルギーを目的に 広く普及してきました その種類は 硬質ウレタンフォーム (PUF) と押出法ポリスチレンフォーム (XPS) が主流であり 工法別には ボードやパネル等の成形品タイプと 現場施工での現場発泡吹付けタイプに区分されます 建材用断熱材について建材用の断熱材は 冷房 暖房のエネルギー効率を高めるために建物や冷蔵倉庫等で使用されており 建材用の断熱材は グラスウールなどの繊維系のものと フロンガス等を利用した発泡プラスチック系のものに大別できます 建材用断熱材 ( 発泡剤 ) にフロンが利用される用途は ウレタン等の発泡体内部にフロンガスを封入して発泡させることにより 材の中に気体の小胞が形成され これが 断熱機能を有することとなります 同時に この小胞の中に オゾン層保護や地球温暖化防止から適正な処理が求められるフロンが残留していることとなります また 発泡プラスチック系については 軽量性のみならず 断熱性 保温保冷性 衝撃性 遮音性に優れていることから 特に寒冷地における防寒 防露など居住環境の快適性向上や省エネルギーを目的に 屋根 壁 床 基礎部分などにおいて 広く普及してきました 屋根 壁 床 基礎 10

建材用発泡プラスチック系断熱材の種類現在 一般に使用されている発泡プラスチック系断熱材には 1 硬質ウレタンフォーム (PUF) 2 押出法ポリスチレンフォーム (XPS) 3フェノールフォーム (PF) 4 高発泡ポリエチレンフォーム (PE) 5ビーズ法ポリスチレンフォーム (EPS) の5 種があります 建材用の出荷割合は 硬質ウレタンフォームと押出法ポリスチレンフォームの合計が全体のほぼ9 割を占めていますすべての発泡プラスチック系断熱材に フロンが使われているわけではなく 例えば ビーズ法ポリスチレンフォームには 従来から フロンが使用されていません 1 硬質ウレタンフォーム (PUF) ( フロンが現在又は過去において使用されている実績がある ) 2 押出法ポリスチレンフォーム (XPS) ( フロンが過去において使用されている実績がある 2005 年以降は 100% ノンフロン化を達成 ) 3フェノールフォーム (PF) ( フロンが現在又は過去において使用されている実績がある ) 4 高発泡ポリエチレンフォーム (PE) ( フロンが現在又は過去において使用されている実績がある ) 5ビーズ法ポリスチレンフォーム (EPS) ( フロンは使用されていない ) 現場施工の現場発泡吹付け品 (JIS A 9526) とボードタイプ (JIS A 9511) の成形品がある 現場発泡吹付け品は 施工性の良さから成形品より使用割合が多く施工量が増加傾向にある 断熱性とともに 耐薬品性 耐水性 耐湿性に優れる 熱可塑性樹脂のため 他の発泡系断熱材に比べてリサイクルが容易であり メーカーによる新築工事での廃断熱材回収システムが確立している 断熱性能とともに 熱的 化学的に安定した性質を有する 防火性に優れるため需要は増加傾向にある 断熱性能とともに 柔軟性が高いので空隙充填や目地材 配管カバー ( 給油管やダクト ) の断熱材として使用されている 炭化水素系発泡剤を用いるノンフロン断熱材で 配管や円筒形の部位の保湿材 断熱材や梱包材として使用されている ( 出典 ) ノンフロン断熱材を使いましょう パンフレット ( 建設業 3 団体グリーン調達促進ワーキンググループ ) 11

硬質ウレタンフォーム断熱性能とともに 耐薬品性 耐水性 耐湿性に優れている 工場で生産されるボードやパネル等の成型品タイプと ウレタン原液及び発泡剤を使用場所まで運び 使用現場にて発泡体を吹付けたり 工場にて組み立てた面材 枠材の内部空間に注入して発泡させる現場発泡吹付けタイプとがあり 施工性の良さから 大型物件では現場発泡吹付けが採用されるケースが多い 硬質ウレタンフォームでのフロン利用は 1995 年ぐらいまでは CFC11 が主に使用され 1990 年代前半から HCFC141b がこれに代わり 2000 年代に入ると HFC245fa と HFC365mfc の混合フロンが利用されています 表硬質ウレタンフォームの建築物の用途分類用途例住宅 オフィスビルの断熱 ( 壁 床下 天井 屋根下等 ) 断熱建材 ( ラミネートボード 複合パネル サイディング材等 ) 建築浴槽 ( ステンレス FRP ほうろう ) 断熱冷凍倉庫 冷蔵庫倉庫 農業倉庫 畜舎等の断熱 ボイド充填 ( 断熱サッシ ) 恒温室 ( 農作物貯蔵 たばこ乾燥 ) 地域集中冷暖房断熱出典 : 日本ウレタン工業協会ウェブサイト (http://www.urethane-jp.org/index.htm) 表硬質ウレタンフォームのボード品と吹付け品の写真 硬質ウレタンフォーム ( ボード品 ) 大きなブロックから所定の寸法に切り出した成型品資料 : 日本ウレタン工業協会パンフレット 硬質ウレタンフォーム ( 吹付け ) 対象物に直接吹付けて発泡資料 : 日本ウレタン工業協会パンフレット ボードをコンクリート壁に張付け 現場吹き付け現場吹付け 端材 ボード品の張付けイメージ 現場吹付けイメージ 12

押出法ポリスチレンフォーム押出発泡ポリスチレンには 中発泡及び高発泡のポリスチレン製品があり 中発泡ポリスチレンは食品容器やディスプレイ材等として用いられています 高発泡ポリスチレンは建材用断熱材や畳芯材等として用いられています 断熱性能とともに 吸湿 吸水性も小さく 湿気に強いため床への使用が多い 熱可塑性樹脂のため 他の発泡系断熱材に比べ リサイクルが容易です 押出法ポリスチレンフォームでのフロン利用は 1990 年までは CFC12 が主に使用され 1990 年から HCFC142b がこれに代わり 2005 年以降は 100% ノンフロン化を達成しています 表押出発泡ポリスチレンの建築用途 種類 分類 用途例 一般建築 断熱材 ( 屋根 壁 床 ) 住宅 断熱材 ( 屋根 壁 床 基礎 ) 冷凍倉庫 冷蔵庫 冷凍庫の断熱材 高発泡化学畳芯材等 ( 稲わら畳床及び稲わらサンドイッチ畳床 建材畳畳押出床 ) その他 軽量土木資材 ( 盛土 構造物背面盛土 基礎 構造物保護 中詰 埋戻し 拡幅 嵩上げ 仮設 復旧など ) 押出発泡ポリスチレン工業会へのヒアリング内容等整理 押出法ポリスチレンフォーム ( 住宅の屋根への施工例 ) 断熱材の種類 適用箇所 工法について一般的に 断熱材の施工方法については下表のように分類できます 表断熱材の施工方法の分類 施工方法名充填工法張付け工法打込み工法 施工方法の概要断熱材を根太や間柱などの下地材の間にはめ込む工法断熱材を接着剤 ボルト 釘などにより壁面等に張付ける工法ボード状断熱材を予めせき板に取付け ( またはせき板として用いて ) コンクリー トを打込むことにより取付ける工法 吹付け工法 断熱材を壁面などに吹付けて接着させる工法 13

断熱材の種類 適用箇所 工法について 工法 ( 充填 / 張付け / 打込み / 吹付け ) を 軸にして整理すると 下表のようになります 表断熱材の工法 使用部位による分離 分別難易度の目安 断熱材 - 工法対照表 ボード状断熱材 (PUF PS PE P F) 現場発泡断熱材 (PUFのみ) 凡例 : 印 適用可 充填張付け打込み吹付け 構造 部位 - 工法対照表 構造 施工部位 充填 張付け 打込み 吹付け 床 木造 壁 天井 屋根 凡例 : 印 一般によく適用される 印 適用可 構造施工部位充填張付け打込み吹付け現場打ち一般部位 コンクリー特殊部位 ト内断熱プレキャストコンクリ ート RC 造コンクリートブロック SRC 造現場打ち一般部位 CB 造コンクリー特殊部位 ト外断熱プレキャストコンクリ ートコンクリートブロック 凡例 : 印 適用 印 注意して適用 構造 施工部位 充填 張付け 打込み 吹付け S 造 一般部位 特殊部位 凡例 : 印 適用 印 注意して適用 出典 : 建築工事標準仕様書 JASS24 断熱工事 より作成 現場発泡断熱材の工法としては 吹付け のほか 吹込み もあるが 建築工事標準仕様書 JASS24 断熱工事 に適用箇所の記載がなく ヒアリング結果からも施工量はごくわずかと考えられるため除外した 鉄筋コンクリート造 (RC 造 ) 鉄骨鉄筋コンクリート造 (SRC 造 ) 鉄骨造 (S 造 ) コンクリートブロック造 (CB 造 ) 14

2.2 建築物中に残存する建材用断熱材フロン 建材用フロン断熱材に含まれるフロンは 時間の経過ともに大気中に放出され フロンの放散速度は 断熱材の種類 フロンの種類 施工厚 温度等の因子によって決定されます 主要な発泡系断熱材のうち 押出法ポリスチレンフォームの放散速度が特に速く 一般的な建物寿命が経過した後では フロンが断熱材中にほとんど残存していないことが明らかになっています より効率的な断熱材フロンの回収 破壊を推進していくためには フロン破壊処理の対象とする建材用フロン断熱材を 建物用途 建物規模 断熱材の製造時期 含有フロンの種類などを勘案し 破壊処理の対象を絞り込むことも手法の一つとして考えられます 発泡剤フロンの放散速度主要な発泡系断熱材のうち 押出法ポリスチレンフォームのフロンの放散速度が特に速く 一般的な建物寿命が経過した後では フロンが断熱材中にほとんど残存していないことが明らかになっています フロンの種類に関しては CFC よりもHCFC の方が放散速度が速いことが明らかになっています また これまでの検討調査結果から 硬質ウレタンフォームと押出法ポリスチレンフォームを比較すると 押出法ポリスチレンフォームの方が 発泡剤フロンの放散速度が早い ( フロンが抜けやすい ) ことがわかっています ( 下図参照 ) 製造後 30 年程度が経過した押出法ポリスチレンフォームには 初期に封入されていたフロンの1 割以下しか残存しておらず 特に HCFCを使用している場合は ほぼ完全に放散されてしまっている可能性が高いという結果も得られています 1.0 0.8 硬質ウレタンフォーム CFC11 HCFC141b 1.0 0.8 押出法ポリスチレンフォーム CFC12 HCFC142b フロン残存比 0.6 0.4 フロン残存比 0.6 0.4 0.2 0.2 0.0 0 20 40 60 80 100 経過年数 拡散係数 CFC11 :4.2 10-14 (m 2 /s) 拡散係数 CFC12 :7.0 10-13 (m 2 /s) HCFC141b:1.0 10-12 (m 2 /s) HCFC142b:2.0 10-12 (m 2 /s) フォーム厚さ 30mm フォーム厚さ 30mm 0.0 0 20 40 60 80 100 経過年数 図断熱材中フロン残存比の経年変化 PUF と XPS の比較 データ : 平成 15 年度建材用断熱材フロン対策検討調査報告書 (IBEC) 15

建築物中に残存する建材用断熱材フロン除却時のフロン排出量ベースで見ると 2003 年時点では 硬質ウレタンフォームのボード (PUF-B) 由来のCFCが 全体の約 60% を占めています 一方 押出法ポリスチレンフォーム (XPS) は 断熱材ベースの排出量で見れば 全体の 50% 弱を占めて最大であるにもかかわらず フロンベースの排出量で見ると 全体の約 4 分の1となっており XPSからのフロン放散率が PUFのそれに比べて大きいことが この点からも確認できます 表断熱材の排出量及びフロンの除却時排出量 比較項目 総計 PUF-B PUF-S XPS 2003 年排出量 ( 断熱材ヘ ース ) ( トン / 年 ) 約 9,900 約 4,200 約 1,100 約 4,600 総計に占める割合 (%) - 約 42.4 約 11.1 約 46.5 除却時 CFC 1 排出量 2 ( トン / 年 ) 約 670 約 400 約 90 約 180 総計に占める割合 (%) - 約 59.2 約 13.9 約 26.8 2030 年排出量 ( 断熱材ヘ ース ) ( トン / 年 ) 約 60,000 約 14,000 約 37,000 約 16,000 総計に占める割合 (%) - 約 23.3 約 50.0 約 26.7 除却時 CFC 排出量 ( トン / 年 ) 約 1,000 約 570 約 340 約 110 総計に占める割合 (%) - 約 55.7 約 33.2 約 11.1 除却時 HCFC 排出量 ( トン / 年 ) 約 380 約 67 約 180 約 130 総計に占める割合 (%) - 約 17.5 約 47.5 約 35.0 除却時 HFC 排出量 ( トン / 年 ) 約 280 約 37 約 190 約 50 総計に占める割合 (%) - 約 13.4 約 67.1 約 19.5 1)2003 年に除却された断熱材には CFC 以外のフロンはほとんど使用されていない 2) 除却される断熱材に含まれるフロンの量 ( 推計値 ) 出典は 平成 15 年度建材用断熱材フロン対策検討調査報告 書 (IBEC) 以下 第 1 編において同じ 推計の前提条件の概要については 参考資料 1 断熱材及び断熱材フロンのマスバランス推計に係る仮定条件設定 の概要 を参照のこと 16