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国際バカロレア科目 知の理論 (TOK) と教科学習の連携に関する研究 早稲田大学修士課程大塚恵理子 eriko.macheri@gmail.com

目次 1. 研究の目的 2. IBの概要 2.1 インターナショナルスクールの歴史 2.2 IB 資格 2.3. IBプログラム 3. TOKの概要 3.1. TOKの位置づけ 3.2. TOKの概念図 3.3. 基本的な問いかけ 3.4. 知識の分類 3.5. 2つの概念ツール 4. TOKと教科学習との連携 4.1. 連携の現状 4.2. 先行研究 4.3. 課題の確認 4.4. アンケート調査 4.5. アンケート結果 4.6. 結果に対する考察 5. まとめ 1

1. 研究の目的 国際バカロレア ( 以下 IB) の後期中等教育段階であるディプロマ プログラム ( 以下 DP) のコア科目 知の理論 (Theory of Knowledge) ( 以下 TOK) と 同プログラムにおける他の教科学習との連携に関する課題の所在を明らかにし その解決策を提案すること 2

2. IB の概要 2.1. インターナショナルスクールの歴史 1924 年ジュネーヴ インターナショナルスクール誕生 徐々に増加 戦後さらに拡大 2つの課題 1 教育の位置づけ 信頼性 2 各国大学入学資格の壁 3

2. IB の概要 2.2. IB 資格 1968 年 IB(International Baccalaureate) 始動 2015 年 3 月 7 日時点で 4,065 校が採用しており 現在では国際的に認められている大学入学資格 注目ポイント 転載 )IBO の HP 英語圏 非英語圏 教育水準の高さ 多文化への配慮 大学との接続 欧米大へのパスポート 英語圏 : 学校改善や人気巻き返しのために教育パッケージとして取り入れるねらい 非英語圏 : 欧米大学進学のための切符として活用するねらい 4

2. IB の概要 2.3. IB プログラム キーワードは全人教育 探究する人 知識のある人 考える人 コミュニケーションができ る人 信念をもつ人 心を開く人 思いやりのある人 挑戦する人 バランスのとれた人 振り返りができる人 特徴 大学入試のためではなく 生涯役立つ教育を目指している 文化や価値観の違いを認め 理解する気持ちを育む工夫がプログラムに強く反映されている 徹底的に読み 考え 自分の言葉で書き プレゼンする 思考力と表現力に重点を置く 5

プログラムの構成 DP の場合 言語と文学 6グループから6 科目のうち 3 4 教科をHL その他をSL として選択する 中心はIBの必修であり 教科学習で得た知識を統合することが目的 言語の修得 理科 課題論文知の理論創造性 活動 奉仕 個人と社会 数学 芸術 6

3. TOK の概要 3.1. TOK の位置づけ 新しい知識を得ることが目的ではなく これまでの生活や教科学習 で培ってきた経験や知識を批判的に振り返ることが目的 学際的な観点から 教科学習で得る個々の知識体系と自己認識の地区質を徹底的に振り返る フランス バカロレア試験の哲学がモデルだが それとは似て非な るもの 批判的に思考するための TOK 独自の概念的ツールがある 7

3. TOK の概要 3.2. TOK の概念図 数学 土地固有の知識の体系 自然科学 宗教的知識の体系 知る人 ヒューマンサイエンス ( 人間科学 ) 倫理 歴史 芸術 8 出典 )IBO(2014) TOK 指導の手引き,p35 を参考に筆者作成

3. TOK の概要 3.3. 基本的な問いかけ 知識に関する主張 知識に関する問い 9

3. TOK の概要 3.4. 知識の分類 知識 個人的な知識 共有された知識 知識の領域 数 学 自 然 科 学 ヒューマンサイエンス( 人間科学 ) 歴 史 芸 術 倫 理 宗 教 的 知 識 の 体 系 土地固有の知識の体系 10

3. TOK の概要 3.5. 2 つの概念ツール 知るための方法 言語 知覚 感情 推論 想像 信仰 直感 記憶 知識の領域 範囲 応用 概念 言語 方法論 発展の歴史 個人的な知識 とのつながり 11

12

4. TOK と教科学習との連携 4.1. TOK と教科学習との関係 相互補完的な役割 教科学習を支え 教科学習に支えられる 協働設計 と 振り返り 引用 )IBO(2014) TOK 指導の手引き,p5 科目間のつながりや関係性を探究し さまざまな教科で共有されている知識 理解およびスキルを強化させること 学年縦断的および教科横断的な連続性のなかで行われること 13

4. TOK と教科学習との連携 4.1. TOK と教科学習との関係図 14

4. TOK と教科学習との連携 4.1. 連携の現状 IBO の指摘 TOK 教師と教科学習担当教師間の 理解不足 により 連携が不十分である 教師の意見 TOKの内容がわかりにくい 連携することのメリットがわからない 配点が低いので後回しになる 15

4. TOK と教科学習との連携 4.2. 先行研究 先行研究 Zemplen(2007): 知識の領域 の優劣に関して Gan(2009): 文化差と TOK Cole(2014):TOK をプログラムに統合していくことに関して 1 正しい認識の共有 2 学校全体の協力の重要性 16

4. TOK と教科学習との連携 4.3. 課題の確認 理解不足 という現状把握以上の具体的な課題点が明らかになっていない 困るのは教師 生徒双方 IB プログラム全体の質保証に支障を来す 17

4. TOK と教科学習との連携 4.4. アンケート調査 実施時期 2014 年 5 月 9 月 対象者 現職 IB 教員 50 名 18

アンケート項目 TOK と教科学習の連携点 A. 協働設計 1. TOK 教師と話し合いの機会を設けている 2. TOK で養われるスキルを理解している 3. TOK を自分の教科で活かしている B. 知識の前提理解 探究 1. 知識に関する主張 知識に関する問い を取り上げる 2. 知識の枠組み を利用する 3. 知るための方法 が果たす役割に触れる 19

4. TOK と教科学習との連携 4.5. アンケート結果 1 A.1. TOK 教師と話し合いの機会を設けている 20

A.2TOK で養われるスキルを理解している 21

A.3. TOK を自分の教科で活かしている 22

B.2 知識の枠組み を利用する 23

B.2 知るための方法 が果たす役割に触れる 24

4. TOK と教科学習との連携 4.5. アンケート結果 2 A. 協働設計 TOK 教師と教科学習担当教師の話し合いの機会が不十分 TOK と連携できていると感じている教師は少ない 教師自身の経験や文化的背景による TOK に対する態度の偏りがあ る 25

B. 知識の前提理解 探究 知識に関する主張 や 知識に関する問い をはじめ 知識の枠組み 知るための方法 等が既に教科学習と連携しているにも関わらず 教師がそれを自覚していない 知るための方法 が授業内で取り上げられているケースは少ない 26

4. TOK と教科学習との連携 4.6. 結果に対する提案 A. 協働設計 TOK 教師と教科学習担当教師の話し合いの機会が不十分 教師に依存せず TOK と教科学習が既に連携てしている点を TOK のツールや用語に置き換えて教科書に示すことで 教師の自覚的な態度を促す TOK と連携できていると感じている教師は少ない 前提確認 など曖昧にせず 教科学習と関連する 知るための方法 知識の枠組み を扱うことを意識する つまり ツールを把握する 教師自身の経験や文化的背景による TOK に対する態度の偏りがあ る 学問的誠実性 が西洋文化の影響を受けていることは事実 それを認めつつも TOK で扱われる概念は普遍性を持つことを伝える 27

B. 知識の前提理解 探究 知識に関する主張 や 知識に関する問い をはじめ 知識の枠組み 知るための方法 等が既に教科学習と連携しているにも関わらず 教師がそれを自覚していない 新しく取り入れる ではなく 既にあるものを特定する ことに重点を置く 特定する 自教科のテーマに近いツールを見極める 取り入れる ディスカッション等で 異なる観点を用いる時に使用す る 知るための方法 が授業内で取り上げられているケースは少ない 意図的に異なる観点からの話題を提供する際に有効 知るための方法 を用いたディスカッションを教師が経験する機会を 28

5. 今後の課題 授業観察からの分析の必要性 教員研修が果たしている役割の分析の必要性 TOK 教師 生徒へのインタビューの必要性 TOK と連携している教科とそうでない教科の学習成果の 違いの分析の必要性 29

参考文献 D. Cole Baker(1965), Towards an International University Entrance Examination, Comparative Education, Vol.2, No.1 November, Routledge. David A Cole, Susanne Gannon, Dr. Jacqueline Ullman, Paul Roony (2014), IB Progrramme: Theory of Knowledge(TOK): Exploring Learning outcomes, benefits and perceptions/ Prepared for the International Baccalaureate Organization: Final Report. Gan, A.(2009), Chinese students adjustment to the International Baccalaureate Diploma Programme, Journal of Research in International Education,8 (3), pp283-304. Zemplen, G. A. (2007), Conflicting agendas: Critical thinking versus science education in the international Baccalaureate Theory of Knowledge Course, Science & Education, 16, pp167-196. IBO(2014) TOK 指導の手引き 国際バカロレアの教育とは? プログラムの基準の実践要項 TOK 教師用参考書 DP 原則から実践へ 30