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阿蘇山の二酸化硫黄放出量算出における地形の影響を受けた風特性について 気象庁火山課火山監視 情報センター 飯野英樹 札幌管区気象台火山監視 情報センター小山寛 仙台管区気象台火山監視 情報センター内田東 福岡管区気象台火山監視 情報センター 佐藤孝久 高松政美 阿蘇山火山防災連絡事務所 後小路義弘 山下隆丞 1. はじめに 火口から放出される火山ガスにはマグマ起源の二酸化硫黄 ( 以下 SO 2 と示す ) をはじめとして 二酸化炭素 硫化水素 水蒸気などが含まれている このため火山ガス放出量の変化を知ることは火山活動の評価をする上で重要と考えられる 阿蘇山における SO 2 放出量の観測は 1977 年以降九州大学によって COSPEC を用いて行われた 2000 年代に入り COSPEC に変わる新たな SO2 放出量の計測機器の開発が世界的に進み 日本では COMPUSS( 小型紫外線スペクトロメータシステム ) と呼ばれる小型紫外分光計 (USB2000; Ocean Optics 社製 ) を用いた計測システム 1) が開発された 阿蘇山では 2003 年から COMPUSS を用いた SO2 放出量の観測が京都大学 産業総合研究所 東京工業大学 東京大学によって行われている 気象庁でも 2007 年 1 月から阿蘇山測候所 (2008 年 4 月より阿蘇山火山防災連絡事務所 ) が中心となり 火山活動の評価を目的として COMPUSS を用いた SO 2 放出量の観測を開始している 阿蘇山の火山活動と SO 2 放出量は密接に関連しており 噴火期間中の SO 2 放出量は日量 2,000 トンを超えるが 静穏期には日量 500 トン以下となる また SO 2 放出量の変化は表面活動に先行して現れることが多いことも報告されている 2) このように, 阿蘇山の火山活動を評価する上で SO 2 放出量の変動を計測することは重要な要素である 一方 SO 2 放出量の算出に風データは重要なパラメーターであり 風の流れが一定であることを前提としているが これまで行った観測結果から 実際には風の流れが阿蘇山特有のカルデラ地形の影響を受けて複雑に変化したことに起因すると考えられる異常値が観測されている このため阿蘇山における SO 2 放出量観測では 地形の影響を受けた風の特性を把握することが より精度の高い観測を行う上で重要であることがわかってきた 3) - 146 -

そこで 阿蘇山集中観測の一環として 阿蘇山の SO 2 放出量算出における風の影響について詳細に検討することを目的とし 2008 年 9 月に産業技術総合研究所 東京大学と中岳第一火口からの SO 2 放出量の合同観測を実施した 本稿では 合同観測の結果と 風の特性に対する調査結果について報告する 2. 阿蘇山周辺の地形 ( 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 ) 阿蘇山は東西およそ 17km 南北およそ 25kmのカルデラのほぼ中央部に位置する火口丘群である カルデラを囲む外輪山は西側で一部が途切れており 東側は中央火口丘群のひとつである根子岳の山腹と重なっている カルデラ内は中央火口丘群によって南北 杵島岳 烏帽子岳 箱石峠 中岳高岳日の尾峠 根子岳 砂千里 に分けられた地形になっており カルデラ底 の標高はおよそ 400~700m である カルデ ラ内は南北とも周囲を外輪山と中央火口丘 Km 0 1 2 3 4 5 に囲まれているが 西側が開けた地形となっており ここで国道 57 号と 325 号が合流している なお カルデラの東側は箱石峠 (900m 前後 ) を越える国道 265 号で北と南がつながっている 中央火口丘群は 根子岳 (1438m) と 日ノ尾峠 (990m) によって隔てられている高岳 (1592 m) 中岳 (1506m) 杵島岳 烏帽子岳 往生岳など 標高 1000m 以上の山々から成る 中岳 第 1 火口縁の標高はおよそ 1270m で 最高峰の高岳より 300m 以上 中岳山頂より 200m 以上 低い位置にあり 第 1 火口縁から東側は南北に高低差が 100m 前後の壁のような急峻な地形が およそ 2km 続いている この急峻な地形の南端付近に砂千里 ( 第 1 火口の南 ~ 南東側 ) が位置 し その南は山麓に下っている また 火口の西側は杵島岳 烏帽子岳までの間およそ 2.5km が盆地地形となり それらの山を越えると麓まで下る地形となっている : 中岳第一火口図 1 阿蘇山周辺地形図 3. 観測及び結果 3-1. 観測概要 SO 2 放出量観測は 2008 年 9 月 23 日から 27 日にかけて阿蘇火山周辺で実施した ( 図 2) 今回の観測は 火山ガス( 以下 SO 2 ガス ) の広がり方を把握することを試みるために2 班に分かれ 2セットの COMPUSS を用いてトラバース観測を実施した 表 1 風向風速観測地点 観測地点 阿蘇山測候所乙姫高森広域消防本部火口西展望所 略称機関 AWS OTH TKM SYB WTB 気象庁 阿蘇市 阿蘇振興局 SNK 熊本県 - 147 -

観測期間前後の風の状況を把握するため 阿蘇山周辺のアメダス観測点 (3 地点 ) に加え 熊本県および阿蘇市の協力で 中岳第一火口付近や阿蘇カルデラ内に設置されている3 地点の風向風速の実況値も利用した ( 表 1) また 気象庁数値予報のメソスケールスペクトルモデル ( 境界はグローバルスペクトルモデル使用 ) に準じた設定の非静力学モデル (JMA-NHM) を用いて面的な風向風速分布のシミュレーションを行い 4) 実況値や SO 2 放出量観測結果との比較を試みた モデルの水平格子数は 66 66 で 格子間隔は1km である 今回は SO 2 放出量観測実施時間帯の直前の初期値を用いて2 時間先までの予報を行う設定で 900hPa 面 ( 地上約 1000mに相当 ) と地上面 ( 地上約 500m に相当 ) の面的な風向風速のシミュレーションを行った 日の尾峠線 国道 265 号 国道 57 号 中岳第一火口 マウントカー道路 砂千里歩行ルート 町道上洗川長迫線 国道 325 号 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 図 2 風向風速データ観測地点 ( 図中 +) およびトラバース観測ルート ( 図中黒線 ) 3-2. 観測結果観測状況を表 2にまとめた 23~25 日にかけては 期間を通して日射に恵まれず 一時的に雨も降るなど SO 2 放出量観測に適した気象条件ではなかった 23 日と 24 日は山上での観測ができなかったため 2 観測班とも山麓の同じルートで観測を行い 25 日は山麓で火口までの距離が異なるルートに分かれて観測を行った 26 日と 27 日は 2 班が山頂付近と山麓に分かれて測定を行った 27 日に山頂で実施した観測では測定機器不良のためデータ取得できなかった 今回の観測で SO 2 ガスが検知された領域は1 北東 2 東 3 南東 4 西に大別される 観測期間中における表 1で記載した風向風速観測点の実況値を表 3にまとめた また JMA-NHM のシミュレーション結果例として 9 月 26 日 13 時の地上面と 900hPa 面のシミュレーション結果 - 148 -

を図 3 に示す 表 2 SO 2 放出量観測状況 (2008 年 9 月 23 日 ~27 日 ) ( ) 内はトラバース回数 観測日付時間 9/23 11:00 ~12:40 10:10 ~10:20 9/24 11:00 ~11:15 9/25 09:30 ~13:00 9/26 14:00 ~16:00 9/27 09:10 ~10:40 SO2 ガス検知方向 観測ルート (25 日以降は 2 班に分かれて実施 ) 東国道 265 号 (2) 日の尾峠線 (1) 南東国道 265 号 (1) 南東町道上洗川長迫線 (1) 北東日の尾峠線 (6) 国道 265 号 (4) 南東砂千里 (1) 国道 265 号 町道上洗川長迫線 (6) 西 国道 57 325 号 (4) 備考 曇一時雨 山頂は霧のため観測不可 曇 山頂は霧のため観測不可 曇のち雨 山麓班 : 機器障害小雨 雨のち曇 晴れ一時曇 山頂班 : 機器障害 中岳第一火口 中岳第一火口 : 風向風速観測地点 : 風向風速観測地点 図 3 JMA-NHM によるシミュレーション結果例 (2008 年 9 月 26 日 13 時 ) 左 :900hPa 面予想風右 : 地上風予想風 図中の枠内は図 1 の描画範囲に対応 表 3 風向風速データ実況値 (SO 2 放出量観測の実施時間帯を抜粋 ) - 149 -

4. 考察 2007 年 1 月から 2008 年 1 月までのデータをもとに, 阿蘇山火山防災連絡事務所が昨年行った SO 2 ガスの流向と山頂の風の実況値の調査から, 以下の特徴が報告されている SO 2 ガスの流向と阿蘇山測候所の風向は良い相関を持つ ( 現在 SO 2 放出量の算出には阿蘇山測候所の風速が用いられている ) 山上の火口西展望所は一年を通して北北西風が卓越しており 地形の影響を強く受けている また 風向に依らず阿蘇山測候所よりも風速が大きくなる傾向が認められた ここでは 上記報告を踏まえ 今回の合同観測結果から風の特性について風向別に詳しく考察する 4-1. 北東に流れた場合 ( 観測期間 :9 月 25 日 09 時 30 分 ~11 時 30 分 ) 山上の阿蘇山測候所の風の実況値は 期間を通して南西 ~ 西南西の風で約 4m/s であった その他の観測点では 火口西展望所では北西風で8~10m/s それ以 外は西寄りの風 3~5 m/s であった ( 表 3) JMA-NHM によるシミュ 図 4 JMA-NHM によるシミュレーション結果 9 月 25 日 10 時 ( 左 :900hPa 右 : 地上 ) レーションと各観測点の実況値との整合は概ね良く 地上および 900hPa 面とも西 ~ 西南西の風が卓越する結果が得られた ( 図 4) 風速は 900hPa 面では山頂およびトラバースルート上とも約 10kt で特に差はみられないが 地上では トラバースルート上の 900hPa 面に比べ 5kt 程度小さい結果となった また 25 日は日の尾峠線と国道 265 号に分かれて並行観測を行ったが SO 2 ガスの検知範囲および濃度分布ピークはほぼ同様の結果となった トラバース毎によって多少のずれはあるものの 濃度分布のピークは概ね中岳第一火口の北東方向で観測された ( 図 5) 検知範囲の変動幅も小さかったことからも SO 2 放出量観測時間帯の風向風速は安定していたと考えられる 濃度分布に 最も整合する風向を示した観測点は阿蘇山測候所であった なお 風の条件が安定したことも一因と考えられるが 今回の観測では いずれのトラバース - 150 -

でも SO 2 ガスが検知されなくなった地点はほぼ同じであった 北東方向に流れるパターンでは SO 2 ガスの広がりに影響を及ぼすような複雑な地形はないものの 中岳や高岳の影響により 東 方向への広がりが制限される可能性が考えられる 日の尾峠線 国道 265 号線 ( 国土地理院発行の数値地図国土地理院発行の数値地図 50m( 50m( 標高標高 ) を使用を使用 ) 図中太線が SO 2 ガスの検知範囲 SO 2 濃度分布ピーク部分および SO 2 ガス検知開始 終了部分は 中岳第一火口と点線で結んでいる ( 以降の図でも同様 ) 南 北 日の尾峠線 南 北 国道 265 号線 図 5 トラバース観測結果 (9 月 25 日 09 時 25 分 ~09 時 35 分 ) 日の尾峠線および国道 265 号線で並行観測実施 4-2. 東に流れた場合 ( 観測期間 :9 月 23 日 11 時 00 分 ~12 時 40 分 ) 期間を通して風の実況値に大きな変化はなく概ね西風で 阿蘇山測候所で3~4m/s それ以外の山麓の観測点では1~3m/s と弱い状態であった 山上の火口西展望所では北寄りの風 5~7m/s と 局所的な特徴が認められた ( 表 3) JMA-NHM によるシミュレーションでは 実況値と比較して風向および風速ともに大きな違いはなく 中岳第一火口の風下側では地上 900hPa 面ともに風向は西で 900hPa 面の風速は山頂およびトラバースルート上とも5~10kt であった ( 図 6) 地上では 900hPa 面に比べ 5kt 程度小さい結果が得られた - 151 -

いずれのトラバース観測においても 濃度分布のピークは 中岳第一火口から見て概ね真東で 検知範囲もピークを中心に 30~35 の範囲と 期間を通して大きな 変化は認められなかっ た ( 図 7) 図 6 JMA-NHM によるシミュレーション結果 9 月 23 日 11 時 ( 左 :900hPa 右 : 地上 ) 中岳第一火口の東側には 中岳山頂 高岳 根子岳が位 置しているため 西風の条件 では風下側の地形の影響を 国道 265 号線 受けた複雑な風の流れとなることが考えられる 今回の観測でも 高岳および根子岳の南側から反時計回りに回りこん だことを示唆するような濃度分 布が得られた したがって 風 向のわずかな変化でも検知範 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 南 北 囲が異なる可能性が考えられ る 図 7 トラバース観測結果 (9 月 23 日 11 時 12 分 ~11 時 22 分 ) 4-3. 南東に流れた場合 ( 観測期間 :9 月 24 日 10 時 00 分 ~11 時 15 分 26 日 14 時 00 分 ~16 時 00 分 ) 26 日の観測中では 阿蘇山測候所の実況値は期間を通して概ね北西の風 5~6m/s であっ た また トラバースルートに近い高森では西風となり 4~5m/s であった ( 表 3) JMA-NHM に よるシミュレーションでは 900hPa 面は北西風 地上は高森付近が西 ~ 北西風 観測ルート付 近では北西風となり 実況値との整合もよい ( 図 8) 風速は 900hPa 面では山頂およびトラバー スルート上とも約 15kt で特に差はみられないが 地上では 10kt 程度と 900hPa 面に比べ 5kt 程度小さい結果が得られた 観測結果例を図 9 に示す 観測開始当初は 中岳第一火口の南東方向に濃度分布のピーク - 152 -

があり 検知範囲も南東を中心とした広がりが認められていたが 徐々にピークおよび検知範囲が南よりに変わる結果が得られた しかしながら 実況や JMA-NHM のシミュ レーションでは対応する 変化は認められなかった また 26 日には山頂付 図 8 JMA-NHM によるシミュレーション結果 9 月 26 日 14 時 ( 左 :900hPa 右 : 地上 ) 近と山麓に分かれ ほぼ同じ時間帯に並行観測を実施した 観測中の実況値は 阿蘇山測候所で北西風約 5m/s カルデラ南東部の高森で西風約 5m/s であった 並行観測での濃度分布を図 10 に示す 両者を比較すると SO 2 ガスの検知範囲の西端および濃度分布のピーク方向に大きな差は認められないが 検知範囲の東端は 山麓で東方向にずれている 高森での実況値を考慮すると 山麓に吹く西よりの風の影響により SO 2 ガスが東側に流された可能性がある 砂千里歩行ルート 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 西 東 国道 265 号線 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 西 東 砂千里歩行ルート 町道上洗川長迫線 図 9 トラバース観測結果 (9 月 26 日 13 時 50 分 ~14 時 00 分 ) 西 東 町道上洗川長迫線 - 153 - 図 10 トラバース観測結果 (9 月 26 日 15 時 ~15 時 30 分 ) 砂千里および町道上洗川長迫線で並行観測実施

なお 24 日は 観測期間中の阿蘇山測候所の風が主に北寄りで 1.9m/s 程度と非常に風が弱い条件での観測となり SO 2 ガスの検知範囲もやや広域に認められた 南東に SO 2 ガスが流れるパターンでは 地形の影響は小さく 山上と山麓の風向の偏差が殆どないため 検知範囲が広がりにくいことが考えられるが 今回の観測のように 山頂付近と山麓で風向の違いにより観測データに影響を及ぼす可能性が考えられる 4-4. 西に流れた場合 ( データ取得日 :9 月 27 日 09 時 10 分 ~10 時 40 分 ) 観測時間帯前後の高層観測によると 福岡 鹿児島ともに 850hPa 付近に明瞭な逆転層が認められ 逆転層より上では西風が 下では北 ~ 東寄りの風が観測されている 実況値 でも 期間を通して阿蘇山 測候所で北 ~ 北西風 山 麓の観測点で東よりの風 図 11 JMA-NHM によるシミュレーション結果 9 月 27 日 10 時 ( 上 :900hPa 下 : 地上 ) が観測されていたことから 阿蘇山地方でも 山頂付近の高度に逆転層が存在したと推 測される 国道 57 号線 SO 2 ガスの濃度変動と照らし合わせてみると SO 2 ガスは山頂付近で吹いていた北よりの風に一旦南側に流された後流下し その後下層の東よりの風に流され 中岳の西 側で検知された可能性が考えられる ( 図 12) 阿蘇山で SO 2 放出量観測を開始した 国土地理院発行の数値地図 50m( 標高 ) を使用 南 北 2007 年 1 月以降 西側で検知された観測 例はない 今回の観測条件は 逆転層の存 在により SO 2 ガスは複雑な流れを呈したこと が示唆されるが 西側で検知される条件で 図 12 トラバース観測結果 (9 月 27 日 9 時 37 分 ~9 時 48 分 ) のデータを蓄積して 特性を整理する必要がある - 154 -

5. SO 2 放出量 23~26 日のデータについて SO 2 放出量を計算した結果を表 4に示す 27 日のデータについては 山頂の風向と SO 2 ガスの検知方向が一致していないため算出していない SO 2 放出量の算出に用いた風速として 阿蘇山測候所における観測時間の実況平均値を用いた 25 日は 午前と午後の観測時間に開きがあったため それぞれの観測時間帯で風速を求めている また 26 日は山頂付近と山麓で並行観測を行っているが 計算には阿蘇山測候所の実況から求めた風速を用いている 期間を通して SO 2 放出量は日量概ね 500 トン以下の結果が得られた 26 日は良好な観測条件で実施できたが 阿蘇山測候所の実況平均値を用いて算出した SO 2 放出量は 山頂での観測では 1 日あたり約 150 トン 山麓では 1 日あたり約 360 トンと 山麓のデータを用いて求めた値が山頂のデータを用いた場合の 2 倍以上となった 過去の観測においても 同様の傾向が認められている これは SO 2 放出量の算出に山頂と山麓で同じ風速を用いることが要因の一つとして考えられる JMA-NHM のシミュレーションにおいても トラバース観測ルート上で 地表の風速値は 900hPa 面よりも小さい結果が得られており SO 2 ガスが流下して山頂付近よりも低い高度で流れる際は トラバース観測ルート上の風速は 山上の値よりも小さくなることが考えられる より精度の高い観測を行う上で 観測ルート上の風速算出を検討する必要がある 表 4 1 日あたりの SO 2 放出量 ( 単位は ton/day) <9 月 23 日 ~26 日 > 2 台の COMPUSS による観測結果を記載 用いた機器は字のスタイル ( 斜体 ) で区分している - 155 -

6. まとめ阿蘇山の SO 2 放出量算出における風の影響について調べることを目的として 集中観測の一環で SO 2 放出量の合同観測を実施した 天候の影響もあり 当初の計画通りに遂行できなかったが 北東 東 南東および西方向に SO 2 ガスが流れた条件で観測を行い 風の実況値や JMA-NHM と実際に得られた濃度分布との比較を行った また 初の試みとして 2 班に分かれ 2セットの COMPUSS を用いてトラバース観測を実施し 山頂と山麓で検知範囲がどのように異なるかを把握する観測を行った 得られたデータは1 例だけであったが SO 2 ガスの広がり方を検証する意味で有益であったと考えられる 今後も 観測データを蓄積するとともに 今回観測できなかった流向での特性および風速が違う条件での特性の変化等を分析することができると考える なお 今回の調査では トラバースルート上で風速を求める試みは行っていないため 山頂と山麓で SO 2 放出量算出に用いる整合性ある風速の取得についても検討を進めたい 謝辞東京大学大学院理学系研究科の森俊哉准教授および産業技術総合研究所の森健彦特別研究員には 平素より SO 2 ガス観測に関するご指導及びご助言をいただくとともに 今回実施した観測にも協力いただきました また 観測データの基礎資料として阿蘇市 熊本県阿蘇地域振興局および阿蘇広域行政事務組合消防本部には風向風速データを提供していただきました ここに記して感謝いたします 参考文献 1)Mori, T., Hirabayashi, J., Kazahaya, K., Mori, T., Ohwada, M.,Miyashita, M., Iino H. and Nakahori, Y., A COMPact Ultraviolet Spectrometer System (COMPUSS) for Monitoring Volcanic SO2 Emission: Validation and Preliminary Observation., Bull. Volcano. Japan., 2007 (in press).(mori et al., 2007) 2) 第 106 回火山噴火予知連絡会資料, 九州大学地震火山観測研究センター,2007 3) 福岡管区気象台技術通信 阿蘇山における火山ガスの観測 ( 後小路義弘 末峯宏一 : 阿蘇山測候所 ) 4) 数値予報課報告 別冊第 49 号 気象庁非静力学モデル,2003-156 -