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~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

火山ガスの状況( 図 8-5 図 9-4) 12 日 18 日 25 日 27 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の1 日あたりの放出量は 900~1,600 トン (11 月 :700~1,800 トン ) と 増減を繰り返しながら概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の状

火山ガスの状況 ( 図 8-5 図 9-4) 10 月 2 日 9 日 17 日 18 日 23 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の 1 日あ たりの放出量は 500~1,700 トン (9 月 :90~1,400 トン ) と 概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の状況

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200km 20 30km EDM GPS JERS-1 SAR

地震や微動の発生状況( 図 8-2~4 図 9-23 図 10~11 表 1~4) 火山性地震は 3 月から5 月にかけて一時的に減少した期間もありましたが 概ね多い状態で経過しました 火山性地震の震源は 主に中岳第一火口付近のごく浅い所から深さ0km に分布しました 孤立型微動は 3 月以降増加し

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(1) 近年の火山噴火近年 火山活動が全国的に活発化している 図 1 は 日本周辺における火山について 2010 年 1 月から 2016 年 12 月までの噴火警戒レベルが 2 以上 火口周辺危険または周辺海域警戒である火山 ( 以下 活動が活発な火山 とする ) の総数の推移を表したものである

11 月 25 日 10 時 11 分に 阿蘇火山博物館火口カメラで 噴火を確認し 現地調査では 12 時 00 分に灰白色の噴煙が火口縁上 500m まで上がっているのを確認しました 11 月 26 日以降は連続的に噴火が発生し 11 月 27 日には噴煙が火口縁上 1,500mまで上がるなど活発

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4:10 防災科学技術研究所第 2 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 9:34 防災科学技術研究所第 3 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 11:50 防災科学技術研究所職員が熊本県庁 ( 熊本県災害対策本部 ) に到着 16:00

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この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

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津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

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土木学会平成 29 年度全国大会研究討論会研 -01 資料 複合的自然災害に関する 工学的視点からみた地域防災の有り方 阿蘇地域での事象を例として 座 長鈴木素之山口大学 話題提供者中村洋介福島大学 山里平 気象庁 中濃耕司東亜コンサルタント ( 株 ) 千葉達朗アジア航測 ( 株 ) 瀬戸真之福島大学安養寺信夫 ( 財 ) 砂防 地すべり技術センター 日時平成 29 年 9 月 11 日 ( 月 )13:00~15:00 場所九州大学伊都キャンパス 教室センター 2 号館 2303 火山工学研究小委員会 斜面工学研究小委員会 - 1 -

はじめに 複合的自然災害に関する工学的視点からみた地域防災の有り方 - 阿蘇地域での事象を例として - 2016 年 ( 平成 28 年 ) 熊本地震 ( 震度 7), 地震後の土砂災害,2016 年 10 月 8 日阿蘇山噴火 ( 噴火警戒レベル 3), そして 2017 年 7 月九州北部豪雨災害と九州中央部の火山地域での 複合的自然災害 が続いている ここで 複合的自然災害 とは, 一つの自然災害が発生し その後に二つ目の自然災害が発生することにより, 単独自然災害被害の単純和とはならない災害, とここでは定義する 一つ目の自然災害と二つ目の自然災害の間隔, それぞれの自然災害の種類と規模を想定することが困難なので, 対策検討に必要な被害シナリオを設定できず, 対応が非常に遅れている 例えば 複合的自然災害 として, 地震時の液状化により沈下した河川堤防において, 復旧途上で大雨による洪水災害が発生する場合である また,2016 年熊本地震では, 山地斜面において地盤に亀裂や緩みが発生し, これらが原因となりその後の大雨による土砂災害につながる場合である 首都圏では, 直下型の地震と富士山噴火が連動する可能性が指摘されている このような複合的災害は, 被害シナリオを設定することが困難であるが, 日本では地震, 豪雨, 火山噴火等の自然災害が複合的に発生するケースが想定できるので, 複合的自然災害に対する減災 防災を考える意義は大変大きい そこで, 九州の阿蘇地域を事例として, 工学的視点からみた地域防災のあり方について, 研究討論会を行うこととなった 地盤工学委員会では熊本地震と阿蘇山噴火の災害調査を実施したので, その成果をまとめ, 複合的自然災害の実情と問題点を以下のとおり論議する 1 阿蘇火山と熊本地震の特性を解説しどのような被害が起こったのか 2どのような調査や対策がされたのか 3 今後の課題はどこにあるのか 総合討論ではこれらの研究成果をもとに, 地震 豪雨と火山噴火の複合的自然災害への減災 防災のあり方を討論する 土木学会地盤工学委員会前委員長後藤聡 - 1 -

中村 活断層布田川断層の活動 - 2 -

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山里 2013-2016 年阿蘇山の噴火活動 阿蘇山の今回の噴火の概要を解説する 今回の活動経過図 火口湖 ( 湯だまり ) 湯量の減尐 火山性微動の活発化といった従来から知られた中岳の火山活動の典型的パターンがみられるとともに GNSS で草千里直下のマグマだまりの膨張が火山活動の高まりに対応して観測された 阿蘇山中岳の火山活動の典型パターンを示す 活動の高まりに応じて火口湖が干上がり 土砂噴出活動などを経て ストロンボリ式噴火 爆発的噴火が起きる 過去には爆発的噴火で死亡事故がたびたび起きている 噴火開始前年 2013 年からの活動経過を示す 湯だまりの湯量が次第に減尐して 2014 年 1 月に最初のごく小規模な噴火が発生した 噴火警戒レベルは前年暮れに 2 に引き上げられていた その後 活動が活発化 マグマ噴火に移行した 火口見物に多数の観光客が訪れ たびたび災害が起きていることもあり 昭和 40 年代から地元自治体等による火山防災体制が構築されている 現在は 気象庁の噴火警戒レベルに応じた規制 火山ガスによる規制がとられている 2014 年から 2015 年にかけては連続的に噴火が発生し この画像にあるように 典型的な阿蘇山の噴火のひとつであるストロンボリ式噴火もみられた そして 9 月には小規模な火砕流を伴うような噴火もあり 気象庁は一時噴火警戒レベルを 3 にまで引き上げている - 4 -

2016 年に入ってからは噴火頻度が減っていき 熊本地震に際しても. 火山活動には目立った変化は起きていない しかし 夏ころから マグマだまりの膨張が見られるようになるなど火山課有働は不安定な状態で推移 10 月 8 日の噴火は 噴火警戒レベル 2 の状態で発生した 噴火直後の火口周辺の写真である 大きな噴石が火口周辺に飛散しており 火砕流によると思われる変色域も見られた また 火口から 4km 離れたところに 7cm の程度の火山礫も降った 火山噴火は通常監視カメラで観測するが この噴火の際には天候が悪く噴煙の状態などが見えなかった しかしひまわりや気象レーダーで噴煙が捉えられた 今回の噴火の直前先駆現象を示す その前日から火山性微動の振幅の増大 二酸化硫黄放出量の急増 小規模な噴火があり B 型地震の急増 火口方向が隆起する傾斜変化が捉えられた 噴火直前には広帯域地震計で長周期パルスが観測された 気象庁は ひまわりの画像から推定した噴煙高度から降灰予報を 03 時 15 分に発表した 四国地方まで火山灰が降ることを予測したが 実際 聞き取り調査等では四国北部に降灰があったことが分かっている 1988~93 年以来のマグマ噴火であった今回の活動は 近年の中岳の噴火活動推移の範疇内での活動といえるが 前回にはわからなかった様々な現象が捉えられた 福岡管区気象台松末火山活動評価官 気象研究所新堀主任研究官から資料提供を受けた 御礼申し上げる - 5 -

中濃 熊本地震 豪雨による土砂災害 - 6 -

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千葉 UAV による阿蘇山 2016 年噴火災害の状況把握 - 9 -

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瀬戸 地形変化, 被害の現状と対策 - 11 -

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安養寺 複合的自然災害に対する防災の在り方 複合的自然災害を定義づけるために, 自然災害の要因を再整理する 人間社会へ影響を与える災害現象に関して, 現象の発生メカニズムと規模が被害の種類や程度に関係する また複数誘因が組み合わさることによって, 災害現象が特徴づけられる そのような複合的自然災害の防災を考えてみたい 複合的自然災害を定義する際に 複合 のもつ意味を考える 複合的自然災害に対する防災対策はどのように考えれば良いのだろうか そのためにハザードとリスクの関連を考える 複合的自然災害に対する防災の基本とは, リスク評価と結果に対する意志決定の仕組みである 対策の実施には多様な制約が存在する リスク値はハザード要因の発生確率と, それがもたらす被害の論理積として表される - 13 -

複合災害を防止軽減するための対策では, 対策の効果に限界があることを理解する必要がある 発生現象の組み合わせとタイミングによって対策の取り方が異なる 具体的な防災対策はどのように考えるか? 予防的対策を進めながら, 災害状況に応じた緊急対策の組み合わせが重要 ソフト対策がより重要で, 二次災害防止などの警戒避難体制を複合災害のケースに応じて検討しておく必要がある 減災を図るためには避難行動につながる災害情報が必要である 複合災害が発生する条件が分からないと, 早期の避難行動や避難範囲の拡大を決定することができない 技術的問題として複合災害による対策の必要性を判断するためのリスク評価手法が求められる 様々な方法が考えられるが, 発生時間差に対応して脆弱性の変化を予測してはどうだろうか? 自然災害の影響を評価する際に, 災害要因の規模と時間変化による影響程度を測ることが重要である 時間変化は災害要因が進行する速度とその継続時間で表される その概念を導入して時間軸における脆弱性の変化を概念的に考えてみる 社会がもつ自然災害に対する脆弱性は, 災害現象の加害要因によって発生直後に急増する 一般には救援, 応急復旧, 復旧 復興によって社会の脆弱性は徐々に回復する しかし災害前の状態に回復する前に次の加害要因が影響を与えると, 脆弱性はさらに増大し, 場合によっては回復速度がより遅くなることも考えられる これを動的リスク評価として提案したい ソフト対策の一例として, 熊本地震後の豪雤による土砂災害警戒情報の引き下げを示す 震度 6 以上の地域では通常の雤量基準から 3 割減, 震度 5 強の地域では 2 割減が暫定基準とされた これは過去の事例に基づいているが, 今後は地質条件の相違などを考慮したより詳細な引き下げ率の検討が望まれる - 14 -

おわりに 日本列島は 世界でも屈指の 多くの地震や火山噴火を発せする変動帯であり また プレート運動による急峻な褶曲地形を持つ国であることは言うまでもありません さらに, 気候も, 高温 多雨で, モンス-ン気候から亜熱帯気候へと変化していく兆候も感ぜられ, 地震, 津波, 火山噴火, 豪雨など 様々な場面で 自然災害を被ってきました 今回の討論会の企画の時点においても 九州地方のみならず日本列島の各地で豪雨に見舞われ 多くの犠牲者を出しています この災害は 歴史的に見ても ただの偶然ではありません しかし 自然の脅威を止めることは 現在のところ できません では どうすればよいのでしょうか 我々は いかに 災害を減らすかを改めて考える必要があります これが 内閣府の目指す 国の強靭化政策にほかなりません 打たれ強い日本の創生 とでもいいましょうか. 内閣府は大学 官庁が中心になって政策を進めてはいますが まだまだ十分ではなく 被害を受けそうな地域住民も, 自ら, 災害に備えることが重要と考えます 公表されているハザードマップなどを参考に 自分の身は自分で守る を基本理念として 行動されるようにしてください 最後に 熊本 福岡で亡くなられた方々に対し 追悼の念を表すとともに 皆様のご冥福をお祈り申し上げます 土木学会地盤工学委員会 斜面工学研究小委員会 火山工学研究小委員会 - 15 -