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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

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目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

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Quarterly Market Watch Summary Report 季報 Market Watch サマリーレポート <1 年 7~9 月期 > 中古マンション 首都圏の動き ( 成約物件 ) 件数 7,588 件 ( -9.%) m単価.3 万円 / m ( +5.5%) 価格

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年 2 月期関西圏 中京圏 福岡県賃貸住宅指標 大阪府 京都府 兵庫県 愛知県 静岡県 福岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新

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住宅取得支援政策とその効果

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Economic Indicators   定例経済指標レポート

不動産経済 表紙OL

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211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

中古マンション概況 首都圏における 214 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,993 件 ( 前年同期比 3.4% 増 ) で 1 期連続で前年同期を上回っています 都県 地域別に見ると埼玉県および横浜川崎地域を除く各都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

目次 1 調査概要 P2~P4 2 平成 29 年度の販売見込みについて ( 住宅事業者 ) P5~P6 3 平成 29 年度の住宅の買い時感について ( 一般消費者 ) P7 4 住宅で重視するポイントは?( 住宅事業者 一般消費者 ) P8~P9 5 建物の性能で重視する事項は?( 住宅事業者

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中古マンション概況 212 における首都圏中古マンションの成約は 31,397 件 ( 前比 8.7% 増 ) 3 ぶりに前を上回り 過去最高のとなっています 都県 地域別に見ても すべての都県 地域で増加となっています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で 万円 ( 前比 1.9% 下

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1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

目次 1. 調査の概要 調査の目的 調査対象 対象地域 調査方法 回収状況 結果の概要 住み替え 建て替え リフォームに関する事項 住み替えに関する意思決定 リフォーム

住宅着工戸数の見通し(2017・18年度)

中古マンションの平均成約価格は 2,547 万円 前比 4. 下落 前年同比は 2 か連続下落 価格指数は で前比 5.3 ポイント低下 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格

Ⅰ.市場の総括 (1) 首都圏マンション市場 新規供給 数 2,260 件 35,898 前年 (35,772 ) 比 0.4% 増 4 年ぶりに前年を上回る 総販売 数 35,952 前年 (35,043 ) 比 2.6% 増 新規物件の平均初 販売率 68.1% 前年 (68.8%) より0.7

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不動産経済 表紙OL

【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

プレスリリース                        2011年9月27日

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中古マンションの平均成約価格は 2,661 万円 前比.4 上昇 前年同比は 5 か連続下落 価格指数は で前比.6 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 前年同比 登録価格比 東京 23 区 3,

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Microsoft Word - 第4回(2015年4月)国際指数_記者発表_final

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート<2005年2月号>

野村不動産グループPRESSRELEASE

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407-1 No.

2011年12月21日

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ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

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1. 新築戸建登録価格 成約価格 新築戸建の登録価格は首都圏平均で1 戸あたり 3,4 万円 前年同比 1.3 上昇し 14 か連続のプラス 成約価格は同 3,44 万円 同 2.6 上昇し 14 か連続のプラス 平均価格は 3 かぶりに登録価格の平均を上回る 16 年 12 の首都圏の新築戸建登録

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調査のポイント 1 調査の概要住宅事業者 一般消費者及びファイナンシャルプランナーに対し 今後の住宅市場に関する事項についてアンケート調査を実施し その結果を取りまとめた資料です 2 調査結果の主なポイント 平成 30 年度の住宅取得環境 住宅事業者の平成 30 年度 ( 平成 30 年 4 月 ~

2017年度 決算説明会資料

木造住宅の価格(理論値)と建築数

マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

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2011年12月21日

第7回DIレポート

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SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

成績表 (バタフライ)

平成10年7月8日

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 27 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

第6回 国際不動産価格賃料指数(2016年4月現在)

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調査概要 調 査 名 称 投資用不動産サイト ノムコム プロ 不動産投資に関する意識調査 第 10 回 調 査 時 期 2018 年 5 月 18 日 木 5 月 31 日 木 調 査 対 象 ノムコム プロ 会員 会員数 約 19,000 人 2018 年 1 月時点 有効回答数 430 人 投資

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中古マンション概況 首都圏における 213 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,663 件 ( 前年同期比 12.2% 増 ) で 6 期連続で前年同期を上回り 増加率は 2 ケタに拡大しています すべての都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

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公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 29 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 29 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

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公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 26 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2006年5月号(訂正版)

中古マンションの平均成約価格は 2,783 万円 前年比 7.3 上昇し 4 年連続でプラス 価格指数は で前年比 9.5 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前年比 成約価格の登録価格比 成約価格 前年比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格 -1

1. 在庫物件の四半期動向 市況変動を捉えやすい在庫データ 本機構の市況レポートでは 主に成約物件や新規登録物件の件数 価格等の動きから市場の動向を説明してきたが 在庫物件の動きに触れることは少なかった 在庫データは月報 Real Time Eyes にも掲載されているが 今回は最新データに基づき在

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート9月号

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 30 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

21 年 1 月 29 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 1 都 3 県 TVI 推移 ( 過去 2 年間 ) 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 28 年

スライド 1

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リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2009年01月号

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公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 27 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

目 次 [Ⅰ] 調査方法 2 [Ⅱ] 地域区分図 3 [Ⅲ] アンケート調査票 4~5 [Ⅳ] 第 2 回不動産市況 DI 調査結果の概要 6 [Ⅴ] 設問ごとの回答内訳 [-1] 設問 2,3( 住宅地価格 ) 7~9 [-2] 設問 2,3( 商業地価格 ) 10~12 [-3] 設問 2,3(

調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向について 横ばい との見方が拡大自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (40.0%) が最も多く 続いて 横ばい (35.6%) 増加 (23.3%) の順となっている また 1 年後 については 横ばい (41.1%) が最も

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1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

平成 31 年地価公示動向 沖縄県 公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会 ニライカナイ アセッツ コンサルティング株式会社 髙平光一 1. 県内景気動向日本銀行那覇支店によると 県内景気は 全体として拡大している 個人消費は堅調に推移している 観光は好調に推移している 公共投資は底堅く推移している 設

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2007年11月号

Transcription:

の販売不振に長期化の懸念 ~ 割高な価格を一般取得層が敬遠 ~ < 要旨 > 201 年後半から販売が低迷している 特に 一般取得層を主な顧客層 とするマンションについて 発売戸数がかなり減少し 契約が低調である の発売価格は 2012 年から 3 近く上昇している しかし 一般取得層 の世帯年収の増加が緩やかであるため この価格上昇に一般取得層がついていけなく なっているとみられる その結果 一般取得層の一部が よりも割安となっ ている中古マンションや建売住宅 一時的には賃貸住宅にも流れていると考えられる 需要の早期回復は難しいと予想している 外部アンケートによれば 一 般取得層において 現在の住宅価格を相当高いと考え 買い時ではないと判断する人が 増加している とりわけ の価格上昇は急であるため この傾向が強いと 推察される 当面 の発売価格は多少調整される程度とみられ 需要は 暫く低迷する懸念が強い 1. 販売の低迷 9 8% 7% % % の売れ行きは 201 年後半から鈍くなり始め 201 年に入ってから一段と低迷し ている 図表 1 は 不動産経済研究所が発表する首都圏の初月契約率 (= 初月 契約戸数 初月発売戸数 ) の推移を示したものである 一般に その契約率が をわると 市 況が悪いと判断されており 201 年は殆どの月で に届いていない 価格帯別にみても 全価 格帯で 201 年の契約率が 201 年より落ち込んでいることを確認できる ( 図表 2) 図表 1 首都圏の初月契約率推移 好不調の境目 '1 '1 '1 201 年の発売戸数は 3. 万戸と 多くの新興ディベロッパーが破綻した直後の 2009 年と同程 度まで減少する見込みである ( 次頁図表 3) 価格帯別の発売戸数をみると 一般取得層を主な 顧客層とし ボリュームゾーンである 万円以下の落ち込みが大きい ( 次頁図表 ) 契約率の 低迷と合わせて考えると 一般取得層を顧客とするの市況は 特に悪化していると 言える 契約率9 8% 7% % 図表 2 首都圏の価格帯別契約率 ( 各年とも 1~11 月累計で算出 ) 201 201 201 以下 以下 8,000 以下 9,999 以下 10,000 以上の発売価格帯 1

( 万戸 ) 8 7 3 2 1 0.1 図表 3 首都圏の発売戸数推移. 201 年は 不動産経済研究所の予想 (2.9 万戸は 11 月までの実績 ) 3.......0 2. の価格高騰に一般取得層がついていけなくなった 3. 2.9 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '1 '1 '1 発売戸( 戸 ) 20,000 1 10,000 0 図表 首都圏の価格帯別発売戸数 ( 各年とも 1~11 月累計で算出 ) 201 201 201 以下 以下 8,000 以下 9,999 以下 10,000 以上の発売価格帯 数798 上記のような市況悪化の背景としては 価格高騰により一般取得層の取得意欲が減退し それが売れ行き不振に繋がっていることが考えられる 先ず 平均発売価格は 2013 年中頃の,00 万円程度から +3 近く上昇し 201 年半ば以降は,00 万円前後で高止まりしている ( 図表 ) バブル期に次ぐ高値まで上昇した要因としては RC 造の建築コスト上昇 (2013 年前半 18 万円 / m2前後 201 年 11 月 23.2 万円 / m2へ +28% 上昇 ) が大きい これは 建設会社が建設技能労働者の労務費上昇を見越し 建築コストに価格転嫁したためである また 特に都心部のような好立地のところでは 用地費がかなり上昇していることも影響している 一方 関東エリアにおける平均世帯年収は 2011 年の 72 万円を底に 201 年の 797 万円まで徐々に増加している ( 図表 ) しかし それ以上のペースで価格が高騰した結果 年収倍率 ( 平均価格 平均世帯年収 ) が 2012 年の.0 倍から 201 年の 7.0 倍まで上昇した この心理的な負担は 一般取得層にとって非常に大きいものと考えられる たとえ金利が歴史的低水準にあり 住宅ローン減税の拡大があっても 一般取得層がをこのタイミングでわざわざ買う必然性は乏しい 図表 首都圏価格と建築コストの推移 ( 万円 / m2 ),8 30,8 18.1 1 m2あたり住宅 RC 造建築コスト ( 右軸 ) '12 '13 '1 '1 '1 23.2 国土交通省 建築着工統計調査報告 より弊社作成 2 20 1 10 図表 首都圏の年収倍率推移 ( 倍 ) 900 9 800 700 00 00 00.8 関東エリアの平均世帯年収 72 年収倍率 ( 右軸 ) 78 797 総務省 家計調査 ( 貯蓄 負債編 ) より弊社作成.0 201 年は弊社予想数値 7.0 7.0 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '1 '1 '1 8 7 2

3. 一般取得層はどこへ消えたのか 一般取得層によるの取得が難しくなったとは言え ライフステージに応じて広い住宅に住む必要がある そこで に代わる住宅需要の受け皿となったのが 中古マンション 建売住宅 賃貸住宅 と考えられる (1) 中古マンション中古マンション ( 首都圏 ) の成約件数は 堅調に推移しており 長期に亘って増加傾向である 201 年には通期で初めての発売戸数を上回ると予想される ( 図表 7) 図表 8 の通り 中古マンションの価格は 2013 年中頃の 2,00 万円から 201 年 11 月の 3,027 万円まで +2 程度上昇している しかし の価格上昇 (+3 弱 ) よりは緩やかであることから 中古マンションの割安感は高まっている 図表 7 首都圏の発売戸数と中古マンション成約件数の推移 ( 万戸 ) 7 3 2 1 0 中古マンション 201 年は 11 月までの実績 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '1 '1 '1 3. 2.9 ( 公財 ) 不動産流通推進センター REINS より弊社作成 図表 8 首都圏の中古マンションとの価格推移,8,8 2,2 中古マンション 1,000 '12 '13 '1 '1 '1 3,027 ( 公財 ) 不動産流通推進センター REINS より弊社作成 ここで 野村不動産アーバンネット が行う住宅購入検討者を対象とした 住宅購入に関する意 識調査アンケート ( 以下 同アンケート ) を確認する 同アンケートでは マンション 戸建を問わず 新築 中古住宅の検討状況を聞いている 図表 9 の通り 新築住宅のみ を検討する人は 2013 年 1 月の 29% から 201 年 7 月の 2 へ徐々に減少した その分 中古住宅を検討に入れる人 ( 中古住宅のみ と 新築 中古住宅両方 の合計 ) の比率が上昇している つまり 新築物件 ( 特に ) の価格高騰を一因に 中古マンション等の中古物件を 検討する人が増加しているとみられる 図表 9 住宅 新築 中古検討状況 アンケート結果 10 9 29% 27% 27% 23% 22% 22% 19% 2 11% 11% 12% 11% 1% 3 1% 2% 3% % 7% % % 2 '13/1 '13/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 3 新築のみ中古のみ 新築 中古両方 ( 資料 ) 野村不動産アーバンネット 住宅購入に関する意識調査アンケート

(2) 建売住宅の高騰により 建売住宅にも住宅需要が一定数流れているとみられる 建売住宅 ( 首都圏 ) の契約率は 台半ばを中心に安定的に推移しており 201 年後半から販売不振のより好調である ( 図表 10) 首都圏中心に建売住宅を販売する某大手建売業者の話によれば 戸建のに対する割安感が住宅購入検討者に評価されている とのことだった 図表 10 首都圏建売住宅の契約率推移 3 2 '1 '1 '1 ( 資料 ) 不動産経済研究所 首都圏の建売市場動向 図表 11 の通り 建売住宅との発売価格は 2013 年半ばまで ほぼ同額で推移していた その後 価格が建売住宅に比して大幅に上昇したことから 建売住宅の割安感が一層高まっていると考えられる 建売住宅では 木造の建築コスト上昇が緩やかだっため 発売価格はやや高くなる程度に留まったとみられる ( 図表 12) 図表 11 首都圏の建売住宅との価格推移 7,000 図表 12 首都圏建売住宅価格と建築コストの推移 ( 万円 / m2 ) 30 建売住宅 2 建売住宅 1 m2あたり住宅木造建築コスト ( 右軸 ) 20 1 '09 '10 '11 '12 '13 '1 '1 '1 '11 '12 '13 '1 '1 '1 10 ( 資料 ) 不動産経済研究所 首都圏のマンション 建売市場動向 (3) 賃貸住宅 某住宅系リートの話によると 都内のファミリータイプマンションへの賃貸ニーズが高まってい る とのことである その要因分析として 本来は都内のを取得したいが 価格が余 りにも高いため 当面の住まいとして賃貸が選ばれている と説明していた ( 資料 ) 不動産経済研究所 首都圏の建売市場動向 国土交通省 建築着工統計調査報告 より弊社作成 次頁図表 13 は 東京カンテイが発表する 首都圏分譲マンションの平均募集賃料 ( 分譲マン ションで賃貸にまわされている物件が対象 ) の推移を示したものである 2,00~2,700 円 / m2の範 囲で概ね変動しており 比較的安定している このため 価格上昇が続く新築 中古マンションの 取得を急がずに 賃料の変動が小さい賃貸住宅を選ぶ人が一定数存在すると推測される

図表 13 首都圏の分譲マンション賃料推移 ( 円 / m2 ) 3,00 2,00 1,00 1,000 '12 '13 '1 '1 '1 ( 資料 ) 東京カンテイ 分譲マンション賃料月別推移 ここまでを整理すると との比較で割安感が高まっている中古マンションや建売 住宅に 一部の住宅需要が向かっていると考えられる 更に 現在の価格水準で住宅を取得した くない人々は 賃貸住宅に流れていると推察できる. 需要回復の可能性 分譲会社の多くが 今後の売れ行きに比較的楽観的な見通しを持っていた 具体的には リーマンショック前後で多くの新興ディベロッパーが破綻し 分譲を行う企業数が少なくなり 供給が絞られた そのため 価格を少し調整すれば 需要が回復し 問題なく売れるだろう という見方である 先述のとおり の発売戸数は 2007 年の.1 万戸から 201 年の 3. 万戸へ相当絞られている また 現在 の主要プレーヤーは 総合不動産大手 鉄道系 商社系不動産子会社となっており 財務体力に比較的余裕のある先が多い そのような先は 完成在庫を多少抱えることを厭わないとみられ 発売価格を大きく引き下げて販売を急ぐとは考えにくい そのため 当面 の発売価格は少々下がる程度と推察される 一方で 需要側の市況判断として 同アンケートの住宅が買い時か否かを聞いた調査を確認 する 図表 1 の通り 買い時ではない と判断する人の比率は 2013 年 1 月の 13% から 201 年 7 月の 3% まで大幅に上昇している 10 9 3 2 図表 1 住宅 買い時 アンケート結果 23% 21% 23% 2% 23% 2% 23% 17% 13% 1% 1% 2 2% 3 3% 3% 7% 7% % 2% 3% 32% 3% 18% 1% 17% 12% 1% 11% 9% 1% '13/1 '13/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 不明 買い時ではない どちらかと言えば買い時 買い時 ( 資料 ) 野村不動産アーバンネット 住宅購入に関する意識調査アンケート

同アンケートでは 住宅価格が今後上がると思うか否かも質問している 住宅価格が 下がる とみている人の比率が 2013 年 7 月の 9% を底に 201 年 7 月の 31% まで著しく上昇しているのに対して 上がる が 201 年 1 月の 9% をピークとして 201 年 7 月に 2% へ低下している ( 図表 1) 住宅購入検討者は現在の価格水準を高すぎると考えており そろそろ下落に転じると考えているようである 図表 1 住宅 価格見通し アンケート結果 10 19% 17% 1% 1% 13% 1% 1% 11% 9 不明 1% 9% 11% 12% 17% 19% 2% 31% 下がる 29% 2% 31% 3 27% 37% 29% 3% 横ばい 3 2 % 9% % 29% 33% 2% 上がる '13/1 '13/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 '1/1 '1/7 ( 資料 ) 野村不動産アーバンネット 住宅購入に関する意識調査アンケート 以上を総合すると 現在 住宅の価格水準が余りにも高いため 買い時ではないと判断する人が増えていると理解できる とりわけ の価格上昇が急なため 中古マンション 建売住宅に対する割高感が強まっており 買い時ではないと感じている人が特に多いと推察できる したがって 筆者はについては 価格を少々引き下げる程度では売れ行きは回復しないと予想している もっとも 売れ行きの低迷が半永久的に続くとも考えていない 201 年に続き 2017 年の販売不振が続けば 不動産各社の財務負担が一層増すこととなる 2018~2020 年には複数の大規模プロジェクトの竣工が計画されており 今後 不動産各社は多額の資金を必要とする かかる中 販売も滞れば 財務バランスの悪化度合いが大きくなる そのため 販売価格が需要に見合う価格に相当程度調整されることで 売れ行きは相応に回復するとみている ( 産業調査第三チーム深山敬大 :Miyama_Takahiro@smtb.jp) 本資料は作成時点で入手可能なデータに基づき経済 金融情報を提供するものであり 投資勧誘を目的としたものではありません