日小循誌 表 年齢 歳 死亡群 合計 9例 3 2 上室性期外収縮 心室性期外収縮 享 表3 房室解離 洞房ブロック 発症後の期間 月 2月 月 房室ブロック LVH例 全例数 心室性および上室性期外収縮 LVHの率 2 33

Similar documents

1 正常洞調律 ;NSR(Normal Sinus Rhythm) 最初は正常洞調律です P 波があり R-R 間隔が正常で心拍数は 60~100 回 / 分 モニター心電図ではわかりにくいのですが P-Q 時間は 0.2 秒以内 QRS 群は 0.1 秒以内 ST 部分は基線に戻っています 2 S

更生相談・判定依頼のガイド

PowerPoint プレゼンテーション

大学教職員の心臓検診の現状 * 和井内由充子 大学保健管理センターの主要業務のひとつに 健康診断とそれに基づく健康管理がある 突然 死にもつながる心疾患の早期発見と管理は重要 である 大学生の心疾患管理に関しては以前報 告 1-6) した 大学のもうひとつの主要構成員で ある教職員の管理の現状を今回

心房細動1章[ ].indd

を示しています これを 2:1 房室ブロックと言います 設問 3 正解 :1 ブルガダ型心電図正解率 96% この心電図の所見は 心拍数 56/ 分 P-P 間隔 R-R 間隔一定の洞調律 電気軸正常です 異常 Q 波は認めません ST 部分をみると特に V1 V2 誘導で正常では基線上にあるべき

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性


胸痛の鑑別診断持続時間である程度の鑑別ができる 数秒から1 分期外収縮筋 骨格系の痛み 心因性 30 分以内 狭心症食道痙攣 逆流性食道炎 30 分以上 急性心筋梗塞 解離性大動脈瘤 肺塞栓症 急性心膜炎自然気胸 胸膜炎胃 十二指腸潰瘍 胆嚢炎 胆石症帯状疱疹 急性心筋梗塞の心電図変化 R P T

1. 期外収縮 正常なリズムより早いタイミングで心収縮が起きる場合を期外収縮と呼び期外収縮の発生場所によって 心房性期外収縮と心室性期外収縮があります 期外収縮は最も発生頻度の高い不整脈で わずかな期外収縮は多くの健康な人でも発生します また 年齢とともに発生頻度が高くなり 小学生でもみられる事もあ

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

Microsoft Word - 日本語要約_4000字_.docx

ある ARS は アミノ酸を trna の 3 末端に結合させる酵素で 20 種類すべてのアミノ酸に対応する ARS が細胞質内に存在しています 抗 Jo-1 抗体は ARS に対する自己抗体の中で最初に発見された抗体で ヒスチジル trna 合成酵素が対応抗原です その後 抗スレオニル trna

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

PowerPoint プレゼンテーション

埼玉医科大学電子シラバス

スライド 1


10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

058 肥大型心筋症

受給者番号 ( ) 患者氏名 ( ) 告示番号 72 慢性心疾患 ( ) 年度小児慢性特定疾病医療意 書 新規申請用 経過 ( 申請時 ) 直近の状況を記載 2/2 薬物療法 強心薬 :[ なし あり ] 利尿薬 :[ なし あり ] 抗不整脈薬 :[ なし あり ] 抗血小板薬 :[ なし あり

心電図がキライな理由 胸部誘導の肋間がわかりにくい 電極の付け間違いをしていないか不安 結果を聞かれるのがイヤ 患者が女性だと ちょっと 難解な用語ばかり AF? AFL? VT? VF? PSVT? SPVC? PVC? VPC? APC? あぁぁー??? 2

要件の判定に必要な事項 1. 患者数 ( 平成 24 年度医療受給者証保持者数 ) 3,144 人 2. 発病の機構不明 ( 心筋収縮蛋白の遺伝子異常が主な病因であると考えられている ) 3. 効果的な治療方法未確立 ( 根治治療なし ) 4. 長期の療養必要 ( 心不全などの治療の継続が必要である


2009年8月17日

また カスタムメイドの 1Fr 電極カテーテルを用いて in vivo で心臓電気生理学検査を施行し His 束心電図記録を行った さらに ex vivo の検討として 摘出心を Langendorff 還流し 電位感受性色素 (di 4-ANEPPS) および高速 CMOS カメラシステムを用いて

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

循環器 Cardiology 年月日時限担当者担当科講義主題 平成 23 年 6 月 6 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 17 日 ( 金 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 20 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 1

, 360ml P , 360ml P , 360ml P , 40, 720ml P , 14, 2

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

Clinical Training 2007

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

要件の判定に必要な事項 1. 患者数 ( 平成 28 度医療受給者証保持者数 ) 4,667 人 2. 発病の機構不明 ( 心筋収縮蛋白の遺伝子異常が主な病因であると考えられている ) 3. 効果的な治療方法未確立 ( 根治治療なし ) 4. 長期の療養必要 ( 心不全などの治療の継続が必要である

平成14年度研究報告

第1 総 括 的 事 項


生理検査部門 ( 日 ) 富山市民病院検査科浅井泰代

Microsoft Word - 12川口_不整脈.doc

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

心房細動の機序と疫学を知が, そもそもなぜ心房細動が出るようになるかの機序はさらに知見が不足している. 心房細動の発症頻度は明らかに年齢依存性を呈している上, 多くの研究で心房線維化との関連が示唆されている 2,3). 高率に心房細動を自然発症する実験モデル, 特に人間の lone AF に相当する

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

2. 巨細胞性心筋炎 5 3. 好酸球性心筋炎 5 4. 慢性心筋炎 7 5. 小児心筋炎 7 6. 新生児期の心筋炎 心臓サルコイドーシス 7 2. 膠原病性心筋炎 8 3. 薬剤性心筋炎 9 9 ( 無断転載を禁ずる ) 改訂にあたって 心筋炎は炎症性疾患である. 確定診断が困難な

心電図判読講座  ~第一回 肥大・拡大~

循環器系疾患 特発性拡張型心筋症 1. 概要拡張型心筋症は 心筋収縮と左室内腔の拡張を特徴とする疾患群であり 高血圧 弁膜性 虚血性 ( 冠動脈性 ) 心疾患など原因の明らかな疾患を除外する必要がある 2. 疫学 1998 年に施行された厚生省の特発性心筋症調査研究班による全国調査では 拡張型心筋症

妊婦甲状腺機能検査の実施成績 東京都予防医学協会母子保健検査部 はじめに て乾燥させたろ紙血液を検体とする 検体は本会の 妊婦の甲状腺機能異常による甲状腺ホルモンの 過不足は 妊娠の転帰に影響を与えるばかりでなく 代謝異常検査センターに郵送される 2 検査項目と検査目的および判定基準 生まれてくる子

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

ここが知りたい かかりつけ医のための心不全の診かた

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

188-189

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

課題名

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について

2005年 vol.17-2/1     目次・広告

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350


腎動脈が瘤より分枝し腎動脈再建を要した腹部大動脈瘤の3手術例

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

頻拍性不整脈 tachyarrhythmias 速く異常な電気興奮が頻拍性不整脈の原因となります. 様々な種類の頻拍性不整脈を鑑別する上で 12 誘導心電図が有用です. その原因の発生部位により以下のように分類されます. 心室性頻拍 : 心室内に頻拍の発生源が存在. 心室頻拍 心室細動 上室性頻拍

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

saisyuu2-1

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

フィリップス12誘導アルゴリズム 診断用ガイド

4 表2 CE角 dysplastic Y軟骨閉鎖 18 3LO 8例 Y軟骨未閉鎖 1L4 8例 例 58例 例 46例 例 26例 24例 78例 例 表3 治療前の病変程度とCE角 dysplastic 8

情報提供の例

パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者


Microsoft Word - 第14回定例会_平田様_final .doc

<4D F736F F D20926E C5E B8FC797E192E88B CC8DC489FC92E88E9696B D2E646F63>

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

心電図読解入門

P001~017 1-1.indd

CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

8. 胸部 X 線写真 (4 月 11 日 ) 心臓 大血管陰影 ( 右第 1 2 弓 左第 1 4 弓 ) X 線像 : 拡大 の意義 左房拡大所見 心臓の血行力学的回転 心胸郭比の求め方と正常値 心不全における X 線写真の肺野所見 ( 血流の再分布 間質性肺水腫 肺胞性肺水腫 ) 9. 心臓超

平成 30 年度循環ブロック講義重要ポイント 1. 循環器疾患の症候学 (2 月 1 日 ) 狭心症の問診のポイント (Nitroglycerin SAVES angina.) 不整脈の問診のポイント 心不全の重症度を表す NYHA の重症度分類 起座呼吸 発作性夜間呼吸困難 中心性チアノーゼと末梢

Microsoft Word - H28度循環ブロック講義の重要ポイント WEB配信用.docx

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

埼玉29.indb

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

せてから検査する 手足を切断している人 病的な震えがある人の場合には 吸着型導子を腸骨稜の前縁や肩峰に吸着させて肢電極とする 脊椎弯曲や関節硬直などがある場合には 座布団をあてるなどの方法で安楽にさせ 無理に伸展させなくてもよい 電極をとりつける皮膚の汗 皮脂 ほこりなどはタオル ガーゼ 純アルコー

山田先生.indd

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

スライド 1

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

障害程度等級表 心臓機能障害 1 級 心臓の機能の障害により 自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの 2 級 - 3 級 心臓の機能の障害により 家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの 4 級 心臓の機能の障害により 社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

Transcription:

日本小児循環器学会雑誌 3巻2号 23 2頁 987年 小児特発性心筋炎における心電図所見の研究 心筋炎後心肥大との関連について 昭和年月日受付 昭和2年2月日受理 日本大学医学部小児科学教室 宇 key 佐 美 等 words 心筋炎 肥大型心筋症 左室肥大 心電図 要 旨 小児特発性心筋炎の臨床経過について心電図所見を中心として検討した 対象は9例で発症時の平均 年齢は 歳 観察期間は平均2 7年 死亡例は8例であった ST Tの変化の長期の持続 病日以上 および心室性不整脈の出現と 予後不良との間に有意な相関が認められた 7例中例 59 にQRS の高電位差を認めた 高電位差の出現率は 発症後2ヵ月で と最高となり その後は漸減傾向が認 められた 発症5年後に剖検を行った例で左室壁の著明な肥厚が認められた また これら9例とは 別に 初診時に肥大型心筋症の疑いと診断され 経過観察中に正常化した2例を経験した これらは不 顕性心筋炎の後遺症であろうと思われた 心筋炎の経過中に高頻度に認められたQRSの高電位差は代 償性の肥大を反映している可能性があり 心筋炎後の心肥大はさほどまれではないと思われる 省小児特発性心筋炎研究班の診断の手びき に従って はじめに 小児特発性心筋炎の長期的な経過や予後は 分明 特発性心筋炎 以下 心筋炎 と診断された9例を対 確ではなく その部が特発性心筋症へ移行する可能 象とした 表 発症時の年齢は 2ヵ月から歳 平 性について議論が行われている 2 これらの多くは拡 均 歳 性別は 男例 8例であった このう 張型心筋症との関係について論じているものであ ち死亡例は9例であるが 事故死した例を除く8例 り 肥大型心筋症との関係について論じた報告は多 2 を死亡群とした 心電図所見の観察期間は 発 くない3 著者は 特発性心筋炎の回復期に 肥大型 症後ヵ月から 8年 平均2 7年 であり 例 53 心筋症に類似した臨床所見を呈した症例を経験し で2年間以上にわたって経過を追跡しえた 方 た5 方 肥大型心筋症を疑って経過を観察している 法 うちに 異常所見の改善ないし消失が認められた症例 経過中に記録されたすべての標準2誘導心電図につ も経験しており これらの症例は心筋炎の特異な経過 いて ST Tの変化 不整脈および左室肥大所見 を示しているものではないかと考える ここでは 小 LVH に注目して その推移や 予後との関係を検討 児特発性心筋炎の臨床経過について 心電図所見を中 した 小児心電図におけるLVHの判定にls 心として検討を行い これらの経験に基づいて 肥大 考慮する必要があり 単の基準を用いるのは適当で 型心筋症との関連についての考察を加えた ないと思われるので ここでは RV5 SV 心筋炎について 対 RV RV5 RV SV2のいずれかが 該当する年齢別 性別 の正常値7 の98パーセンタイル以上の場合をLVHと 象 日本大学医学部付属板橋病院小児科において 厚生 した STの変化については 心膜炎による影響を除く ためにSTの上昇は除外し 別刷請求先 73 東京都板橋区大谷口上町3 日本大学医学部小児科 年齢差を 宇佐美 等 PR部分を基線として 3 mv以上の低下をst低下とした ては avf V5 T波の変化につい Vでの陰転ないし平低化を陽性と

日小循誌 3 2 987 表 年齢 歳 5 7 9 8 死亡群2 5 2 7 8 9 9 合計 9例 3 2 上室性期外収縮 心室性期外収縮 享 表3 房室解離 洞房ブロック 発症後の期間 月 2月 月 房室ブロック LVH例 全例数 5 2 3 3 心室性および上室性期外収縮 LVHの率 2 33 心筋炎における左室肥大所見 LVH の 時期別出現率 房室ブロック 死亡例 8例 2 および は各々同症例 3 房室ブロック 生存例 例 3 2 男 男 男 3 類 8 9 房室解離 房室ブロック 経過中に認められた不整脈 3度房室ブロック 房室解離 8 表2 度房室ブロック 種 脈 整 WPW症候群 5 3 不 男 男 男 2 対象 LVH 男 男 性別 男 男 男 生存群 235 5 年 2年 3 9 2 8 3 25 心室性期外収縮 5 5 LVHのない群では 3と差はなかった 発 心室性期外収縮 症年齢の平均はそれぞれ7 歳と5 歳であり LVH 心室性期外収縮 心室細動 を認めた例では年齢が高い傾向がみられたものの 統 計学的に有意な差はなかった LVHの出現時期は 発 した 部の症例では右室心内膜心筋生検により組織 所変を観察した 結 間から2年7ヵ月にわたっていた 果 ST Tの変化について 伝導障害を合併した2例 完全房室ブロックおよび WPW症候群各例 を除く7例について検討した T波の変化は全例に認められた このうち7例 ではST低下が認められた 症ヵ月以内から追跡しえた例についてみると 5 から病日 平均22病日 であった 持続期間は5日 ST Tの変化は 生存群で は9から37病日 平均29病日 まで認められ 以後は LVHの出現率の推移を知るため 各病月ごとに心 電図を検討しえた例数に対するLVH例の百分率を求 めた LVHは 発症後ヵ月以内で2 2ヵ月では と最高となり その後は年で3 と漸減傾向が 認められた 表3 LVHの出現とST Tの変化との 時期的な関係は定ではなく ST Tの改善とともに 正常化していたが 死亡群では3病日に死亡した例 LVHが出現した例と 両者が同時に認められた例が を除く全例で病日以後まで持続していた p 存在した ここで 興味深い症例について その臨床経過を提 5 示する 2 不整脈について 急性期には 種々の調律異常が認められた 表2 症例は 歳時に発熱と心不全で発症し急性心筋 心室性期外収縮が認められた例 2 は すべて 炎と診断された 心不全に対する治療のみで臨床的に 死亡群に属していた p 5 このうち例では 最 は改善したが 心電図および胸部レントゲン上の異常 初に心室性不整脈が認められてから2日のうちに心室 は続いていた 図 発症3年後の右室心内膜心筋生 細動が出現し これが直接の死亡原因となった この 検では心筋線維の肥大が認められた 患児は臨床症状 他の不整脈については 両群間に差を認めなかった もなく 軽度の運動制限以外は普通の日常生活を送っ ていたが 発症5年後に交通事故によって死亡した 3 LVHについて 剖検では 左室壁の厚さは 3 8cmであり 左室 上記の基準によって 経過中に度でもLVHと判 定された例は例で WPW症候群および完全房室ブ 自由壁および心室中隔の著明な肥厚とともに 図2 ロックの各例を除いた7例のうち59 に相当した 左室流出路で特に著しい心内膜の肥厚が認められた 表2 生存群中5例 5 死亡群中5例 3 組織学的には 心筋線維の直径にぼらつきが大きく で ほぼ同率であった 男比はLVHを認めた群では 異常に直径の大きな心筋線維が多く認められたが 錯

日本小児循環器学会雑誌 23 Case T Y εcg 8 7 9 y m s rtes r Ml II華 コ i 叶 g m lt2 L L 紬 H 巨 幽 m 璽 w山 Vh i 亡 申 三 畠ん 赫 叶 2 工 寸 赫 ih ー 下ー 糾 v 計聯 m 嘘 叫 瑞 73 3 9 ゐ3m戊 劉 蕎 竃 t 第2号 MyOC8rdnl8 8 9 3 y 8m T n JLv2非 PO8t 第3巻 図 症例の心電図の変化 左は発症直後 中は回復期 右は3年後の記録を示す ST Tの変化は正常化の傾向を示しているが 左軸偏位は増強し 左側胸部誘導のR 波は次第に増高している ただし WPW症候群であるため直ちにLVHと判定する ことはできない 細胞質に空胞変性が存在し 所々に収縮帯が観察され た 間質には巣状の線維化と軽度の小円形細胞の浸潤 が観察され 間質の浮腫も所々に認められた 図3 蛍光抗体法による検索では 心筋へのガンマグロブリ ソの沈着を広範囲に認め 自己免疫の関与が示唆され た 症例2は歳時に急性心筋炎に罹患し 第2病週に は著明なLVHが認められた 図 第病週には心 拡大と心電図の異常は消失した 歳時 発症年後 の心エコー図では 左室後壁がわずかに厚いが ASH は認めなかった 発症年後の心エコー図は全く正常 であった II 初診時に肥大型心筋症 以下 図2 症例の剖検所見 左室の横断面を示す 左室 後壁と心室中隔の著明な肥厚と 左室内腔の狭小化 が認められる HCM が疑われ その後正常化した例について 原因の明らかでないLVH所見を認め HCMの疑 いと暫定診断して経過観察を行っているうちに 正常 化の傾向を示した例を少数ではあるが経験した その 綜配列は認められなかった 心筋細胞の核は大型核が 多く 部には複核も認められた 心筋線維の部の 臨床経過を以下に述べる 症例2は歳で収縮期雑音を発見され 軽度の心拡

昭和2年月日 237 7 A M q7 8 8 5アー7 2 L v 下 ー 丁 旧 皿 LL寸 皿 v 皿上v ぬ rtil W y 辺 A i 2 9 W i No y ー惚ー CASE w ト L 謁f 欝 簿 蟻欝難欝睡鯉ざ 輪 獅 蒙 mp w 轟バ 撒 叶 灘ピ 灘 〆バ 症例の組織学的所見を示す 間質の線維化と 肥大した心筋細胞が認められる 画面上方に 軽度 の小円形細胞の浸潤が認められる 心筋線維の部 には 複核を有するものや 細胞質の空胞変性が認 メ L斗 図3 められた 図 症例2の心電図の経過 左は第2病週のもので V5誘導に高いRを認める 右は年後の心電図で V5のRの電位は約 2に低下し 正常範囲となって いる 大とLVHが認められた 7歳時に行われた心内膜心 筋生検では 巣状の線維化と心筋細胞の萎縮が認めら 考 察 心筋炎において観察された種々の心電図所見のうち れた 心電図上はLVHは改善傾向にあり 図5 心 で 死亡率と最も明らかな相関を示したのは ST Tの 拡大も正常化している 変化の持続期間および心室性期外収縮の出現であっ 症例2は5歳の時に偶然不整脈を発見された PR 間隔の延長と心室性期外収縮およびV2誘導の深いS た ST Tの変化は急性期には全例に認められたが 発 症後2ヵ月以上持続した症例はすべて死亡例であっ 波が認められた 歳時には期外収縮は消失した 3 た ST Tの変化が心筋障害を直接に反映していると 歳時の心エコー図は軽度のASHを示したが 歳時 考えると これらの事実とよく符合する には正常化した 現在も心電図異常は残っているが これら2例は いずれも 初診時に明らかな原因の ないLVHや心拡大が認められた しかし LVHの程 度は軽く 明らかなSTやTの異常を伴わず 心エ コー 図上の変化もあってもごく軽度であること が共 通する特徴であり 典型的な肥大型閉塞性心筋症との 相違であった 心室性期外収縮が認められた例はすべて死亡例で あり そのうちの例では心室性の不整脈が直接死因 症状はなく通常の生活を送っている であった これらの症例はホルター心電図が導入され る以前の例であり 心室性不整脈の頻度は実際には もっと高いと思われる しかし 死亡群と生存群の頻 度を比較すると統計学的に有意な差が認められた 著者がここで提示した症例は 典型的な心筋炎の 臨床経過を示したが 5年後の剖検所見は 左室壁の

日本小児循環器学会雑誌 238 8 CASE 5 9 y 轟自ii V L ないことには注意する必要がある しかし 心筋炎が 2y 鴎 輯 エ する所見が高率に存在することは興味深い事実であ る この現象の原因は明らかでないが 機能している のコンプライアンスの低下のため 残存心筋に対する 負荷が増大した結果かも知れない 当教室では 実験 i m HCMの原因となりうるとする立場からは 従来低電 位差のみが強調されていたこの疾患で 左肥大を示唆 心筋細胞の数の減少と 線維組織の増加による心室壁 皿 亡v2 皿繊纂 第2号 心電図上の肥大と形態学的な肥大とが必ずしも致し R A 恥8 2 3 第3巻 的心筋炎において異常に直径の大きな心筋線維が出現 斗 W することを報告しており9 心電図上のLVHが同様な 変化を反映している可能性もあると思われる i 著者は原因不明のLVHを認め経過観察中に正常化 した例を少数であるが経験した これらの症例は い ずれもLVHを示唆する所見の程度が軽く 高度の ASHや SAMが認められなかったこと および自然 寛解が認められたことから考えて 肥大型閉塞性心筋 症とは異なる病態と思われる 心筋炎の後に過性の avfillill tll vtt 心肥大を示した例とこれらの症例との相違は 心筋炎 の既往の有無のみであり これらの症例の異常所見は 不顕性の心筋炎の後遺症と考えることが可能である 図5 突然死した小児で剖検により心筋炎の所見が見出され 症例2の心電図の経過を示す 歳時にはV5 ることが少なくないことは良く知られている また の高いRとVの深いSを認めたが 左 2歳時に Coxsackie は正常化している 右 B感染症を対象として心電図などの検査 を行ったところ 高率に異常所見が認められたと報告 著明な肥厚 左室内腔の狭小化 心筋線維の肥大など されており 他の多くの疾患と同様に 心筋炎におい HCMの形態的特徴を含んでいた これらの点から こ ても不顕性あるいは潜在性の病型はまれではないと思 の症例は心筋炎後の心肥大の典型例であると考えられ われる る このように極端な症例はまれなものと思われるが 症例で心筋炎の発症から数年後にも細胞浸潤と免 心筋炎のあとに拡張型のみならず肥大型の心筋症に類 疫グロブリンの沈着が認められたことは この症例に 似した状態も起こりうることは確かであると思われ 見られた心筋の変化が 数年間にわたる過程の結果で る3 この症例は WPW症候群であるため心電図上 あることと 自己免疫の関与とを示唆している 心筋 は肥大について正確な判断はできない しかし経過を 炎の経過や病像は 種々の知られていない要因によっ みるとQRS間隔もその形態も変化していないまま て多彩な変化を示すものと思われる そのうちには 左側胸部誘導の電位は次第に大きくなっており 左室 臨床的に認識されやすい急性過性の型から 慢性不 肥大を反映している可能性もあると思われる 顕性に経過して拡大型または肥大型の心筋症様の病像 著者は これ以外の心筋炎の例にLVHが認められ を示すものまでが含まれるものと考えることができ るかどうかを 定の基準のもとに検討したところ る この意味では心筋炎という病名はheterogeneous 59 に過性の高電位差を認めた 従来 心筋炎に特 な疾患群の総称と解するべきであろう 原因不明の 徴的な心電図所見とされているのは ST Tの変化 LVHが認められる例や 心筋炎の経過中にLVHを示 Q 波の出現 不整脈 低電位差傾向などであり 高電位 す例では その異常所見が軽度である場合は 見過ご 差の所見についての記載は極めて少ない8 著者の得 されている場合が少なくないと思われる このような た結果と従来の報告との不致の理由は明らかではな 症例では 心筋炎後の心肥大の可能性に留意して注意 い ここで認められた高電位差の意義を考えるうえで 深い検討を行うことが重要であると考える