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(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

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注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

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iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

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(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

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概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募

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1 どちらかをご選択特定口座と客さま般口座の特定口座の概要 特定口座とは 個人のお客さまが公募株式投資信託を換金され利益が出た場合は 原則 確定申告が必要ですが お客さまの確定申告にかかる負担を軽減させるべく当金庫が納税の代行などを行う制度として 特定口座 があります 特定口座 をご利用いただくこと

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以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

なるほどNISA 第3回 なぜ、どのような経緯でNISAが導入されたか?

(****) 非課税口座に設けられる勘定は 毎年 非課税管理勘定 (NISA) 又は累積投資勘定 ( つみたて NISA) のいずれかに限ります 更に 2016 年 4 月 1 日から2023 年 12 月 31 日までの期間 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称ジュニアNISA)

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3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

 

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. 個人投資家の年齢層と年収 個人投資家 ( 回答者 ) の年齢層 8% 6% 28% 2~3 代 5% 2% 3% 4 代 5 代 6~64 歳 65~69 歳 7 代以上 個人投資家 ( 本調査の回答者 ) の過半数 (56%) は 6 歳以上のシニア層 昨年調査 6 歳以上の個人投資家 56%

税金の課税方法 個人の税金の課税方法について確認しましょう 大きく分けて 総合課税と分離課税の二種類があります 総合課税 1 年間の所得を全部まとめて一定の税率で課税する方法 所得額によって異なる税率 金額に応じて確定申告を行う 源泉分離課税他の所得と分離して その所得の支払いの際に一定の税率で源泉

スライド 1

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6 成人年齢引下げに伴い一般 NISA つみたて NISA の対象年齢を 18 歳以上とするこ と 根拠法の制定 恒久化 1NISA 制度が国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度となるよう根拠法 (NISA 法 ) を制定すること 2 口座開設期間を恒久化すること 3 非課税期間を恒久化すること

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

平成 31 年度税制改正要望における主な要望項目 1. 家計の安定的な資産形成の実現 NISA 制度の恒久化等 相続した株式の譲渡における相続税 ( 株式分 ) の取扱いに関する見直し 金融所得課税の一体化 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化及び拡充 2. 金融のグローバル化への対応

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[ 課税対象化 ] POINT1. 1 の売却益が課税対象に 改正前 ( 平成 27 年 12 月 31 日まで ) 原則非課税 改正後 ( 平成 28 年 1 月 1 日から ) % 2 の申告分離課税 1 国債 地方債 外国国債 外国地方債 公募公社債 上場公社債 ゼロクーポン債等

供託者等の住所 氏名または名称および個人番号または法人番 号は 供託者等の口座管理機関から日本銀行に対して 課税事 務のために提供される 2 所得税の徴収 納 入 利付国債の利子または割引国債等 ( 国庫短期証券のうち その銘柄の価格競争入札における募入最低価格 ( 額面金額 100 円当り ) が

Invincible

本資料のポイント 平成 29 年度税制改正で 上場株式等に係る配当等 について 所得税 と 住民税 で異なる課税方式を選択することが可能であると明確化されました このことにより 課税所得 900 万円以下の場合 所得税は 総合課税 住民税は 申告不要 を選択することで 納税額を抑えることが可能となり

確定申告をする ( 下記のいずれか一方を選択 ) 総合課税 申告分離課税 確定申告をしない ( 確定申告不要制度 ) ( 注 1) 借入金利子の控除ありあり 税率累進税率上記 (ⅰ) と同じ 配当控除なし ( 注 2) なし - 上場株式等に係る譲渡損失との損益通算 なし あり 扶養控除等の判定 合

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平成 24 年度 税制改正要望項目 平成 23 年 9 月金融庁

平成平成 24 24 年度税制改正要望に関する基本的考え方 本年度は 東日本大震災からの復興支援を視野に入れつつ 以下の考え方を柱として 必要な税制上の措置を要望する 主な具体的要望項目 1. 東日本大震災からの復興支援 地方公共団体が委託者となる土地信託に係る登録免許税等の非課税措置 日本版レベニュー債の非課税債券化等 2. 金融資本市場の基盤整備に関して緊急に措置すべきもの 金融商品に係る損益通算範囲の拡大 少額株式投資非課税制度 日本版 ISA の利便性の向上 事務手続の簡素化 国際課税原則の見直し 総合主義 から 帰属主義 への変更 1

1. 東日本大震災からの復興支援 1 地方公共団体が委託者となる土地信託に係る登録免許税等の非課税措置 現状及び問題点 地方公共団体が自ら公共施設を建設し所有する場合には 登録免許税等が非課税 一方 地方公共団体が信託銀行等からの資金調達による土地信託を利用して公共施設整備を行う場合 形式的に信託銀行等の名義となるため 非課税の対象外 東日本大震災からの復興の基本方針 平成 23 年 7 月 29 日東日本大震災復興対策本部 には 民間の力による復興 として土地信託手法による復興の促進について盛り込まれている 要望事項 地方公共団体による公有地の土地信託に係る登録免許税 不動産取得税等を非課税とすること 登録免許税等の非課税化を要望 地方公共団体 委託者 3 公共施設をリースバック 4 リース料 1 公有地を土地信託 公有地 公共施設の建設 2 借入金 5 返済 金融機関 信託銀行等 受託者 2

海外投資家公社日本版レベニュー債の利子 1. 東日本大震災からの復興支援 2 日本版レベニュー債の非課税債券化等 現状及び問題点 現行 海外投資家が受ける振替社債 民間国外債の利子は 非課税とされているが その利子が発行体の利益等に連動する 利益連動債 は 非課税措置の対象外 公社等が発行する 日本版レベニュー債 は 利益連動債 に該当し非課税措置の対象外となるため 海外からの対日投資 復興資金等 が制約 日本版レベニュー債 とは 公社等が発行する債券で その利子が公社等の利益に連動するものをいう 住宅 水道 高速道路等のインフラを整備する資金を調達する目的で発行されることが想定 要望事項 海外投資家が受ける 日本版レベニュー債 の利子を 一般の振替社債 民間国外債の利子と同様に 非課税とすること 上記に併せて 非居住者債券所得非課税制度の手続等について所要の見直しを行うこと 現状 地方公共団体 課税 15% 3

2. 金融資本市場の基盤整備に関して緊急に措置すべきもの 1 金融商品に係る損益通算範囲の拡大 現状及び問題点 金融商品については 商品間の損益通算の範囲が制限されている 投資家が多様な金融商品に投資しにくい状況 要望事項 公社債等に対する課税方式の変更及び金融商品に係る損益通算範囲を拡大すること 金融商品に係る課税方式 現状 現状 損益通算が認められている範囲 上場株式 公募株式投信 債券 公社債投信 預金 インカムゲイン 申告分離 配当所得 源泉分離 利子所得 キャピタルゲイン / ロス 申告分離 譲渡所得 非課税 デリバティブ取引 申告分離 雑所得 平成 23 年度税制改正大綱 抜粋 金融証券税制については 平成 26 年に上場株式等の配当 譲渡所得等に係る税率が 20% 本則税率となることを踏まえ 公社債等に対する課税方式の変更及び損益通算範囲の拡大を検討します 4

参考 個人投資家の株式投資等に係る税制の国際比較 1 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 損益通算の範囲 上場株式等の配当 譲渡所得 上場株式の損失 公募株投の損失 先物取引等の雑所得 有価証券先物取引の損失 FX 取引の損失 商品先物の損失 上場株式等の無価値化損失は 株式等の譲渡所得の範囲内で損益通算可能 譲渡所得 株式の損失 無価値化損失を含む 投信の損失 債券の損失 デフォルト損失を含む 土地等の損失 デリバティブの損失 通常所得 注 1 預金のペイオフ損失 為替差損 譲渡所得 株式 土地等 株式の損失 無価値化損失を含む 投信の損失 土地等の損失 デリバティブの損失 為替差損 預金のペイオフ損失 債券のデフォルト損失は 他の所得との損益通算不可 金融所得 注 2 株式の損失 無価値化損失を含む 注 3 投信の損失 債券の損失 デフォルト損失を含む デリバティブの損失 預金のペイオフ損失 為替差損 譲渡所得 有価証券等 注 4 株式の損失 無価値化損失を含む 投信の損失 債券の損失 デフォルト損失を含む 預金のペイオフ損失 債券のデフォルト損失は 家事費とみなされ他の所得との損益通算不可 譲渡損失と通常所得との損益通算は 年間 3,000 ドルを上限に損益通算が可能 繰越控除 上場株式等 取引所先物取引等の損失については それぞれの範囲内で 3 年間繰越可能 譲渡所得の損失については無期限の繰越可能 譲渡所得 株式 土地等 の範囲内で無期限に繰越可能 金融所得の範囲内で無期限の繰越可能 譲渡所得 有価証券等 の範囲内で 10 年間の繰越可能 注 1 通常所得は 給与 事業 利子 配当 雑所得 注 2 金融所得は 利子所得 配当所得 株式譲渡所得 デリバティブ等に係る譲渡所得等を含む 注 3 株式の譲渡損は 税収確保のため 株式の譲渡所得とのみ損益通算が可能 注 4 デリバティブの損失 預金のペイオフ損失 為替差損の取扱いについては明確に定める規定がないため 事象ごと個別に判断する必要がある 5

参考 個人投資家の株式投資等に係る税制の国際比較 2 日本アメリカイギリスドイツフランス 譲渡益課税 10% 分離課税 2013 年末までの時限措置 2014 年以降は 20% 長期 : 0% 15% 注 2 12ヶ月超保有 8 年超保有 但し 一定額以下 注 6 は土地等の譲渡益と合わせて 税率 10,15,25,28,33,35% 10,100ポンドが 2012 年末までの時限措置 注 3 非課税 短期 : 10~35% 注 2 18% 28% 非課税 25% 分離課税 注 5 一定の場合は総合課税 0-45% を選択可能 注 7 長期 : 非課税 注 8 短期 : 19% 分離課税 注 8 株式等 配当課税 10% 申告不要 源泉徴収 : あり 2013 年末までの時限措置 2014 年以降は 20% 又は 以下のいずれかを選択 15%~40%+ 住民税 + 配当控除 総合課税 2 10% 分離課税 [ 但し 大口株主の場合は総合課税 ] 二法調重人注整課配当所得税額控除方式税 1 措税と 総合課税選択時 置へのの 0% 15% 注 2 税率 10,15,25,28,33,35% 2012 年末までの時限措置 注 3 調整措置なし 10% 32.5% 42.5% 総合課税 部分的インピュテーション方式 注 4 25% 分離課税 注 5 但し 一定額以下 注 6 は 非課税 一定の場合は総合課税 0-45% を選択可能 注 7 調整措置なし 但し 事業所得については 受取配当の 60% を課税所得に算入 19% 源泉分離課税 注 8 又は受取配当の60% を課税所得に算入のうえ 注 8 0~41% 総合課税 配当所得一部控除方式 総合課税選択時 受取配当の 60% を株主の課税所得に算入 20% 10~35% 注 2 10% 20% 40% 50% 25% 分離課税 注 5 19% 源泉分離課税 注 8 利又は 源泉分離課税 子 総合課税 総合課税 但し 一定額以下 注 6 は課 0~41% 税非課税 総合課税 一定の場合は総合課税 0-45% を選択可能 注 7 注 1 配当の二重課税問題は 法人の受取配当においても発生 注 2 アメリカは他に地方税が課税 注 3 本税率は2012 年までの時限的な税率となっており 2013 年以降については譲渡益課税 長期 には原則として10% 又は20% の税率及び配当課税については総合課税が適用 注 4 イギリスにおける部分的インピュテーション方式とは 受取配当にその1/9を加えた額を課税所得に算入し 算出税額から受取配当額の1/9を控除する方法 注 5 ドイツは他に連帯付加税 税額の5.5% が課税される 法人税率を引き下げたうえ 25% 15%+ 地方税 金融所得の一元課税を導入 また 法人においては EBITDA 利子 税金 償却前利益 の30% を超過する支払利子について損金算入制限を措置 注 6 一定額以下とは 年間配当 利子 譲渡益をあわせて801ユーロ以下 注 7 適用される累進税率が25% 以下の場合 総合課税選択可能 注 8 フランスは他に社会保障関連税 12.3% が課税 注 8 6

2. 金融資本市場の基盤整備に関して緊急に措置すべきもの 2 少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置 日本版 ISA の利便性向上 事務手続の簡素化に向けた所要の措置 現状及び問題点 非課税投資額は 口座開設年に 新規投資額で100 万円を上限 未使用枠は翌年以降繰越不可 非課税口座は 年間 1 人 1 口座 3 年間開設可能 毎年異なる金融機関に開設可 口座開設の手続きや口座管理方法が 金融機関及び顧客双方にとって煩雑 要望事項 1 非課税投資額にかかわらず 分配金の同一銘柄への継続再投資を可能にすること 2 非課税口座の管理方法を簡素化すること 3 非課税口座を開設する際の手続きを簡素化すること 7

要望事項 1 非課税投資額にかかわらず 分配金の同一銘柄への継続再投資を可能にすること 現行 要望内容 平成 X 年非課税口座 投資枠残 2 万円 株投株投 A:98 A:98 万円万円 分配金再投資型分配金再投資型 平成 X 年非課税口座 投資枠残 2 万円 株投株投 A:98 A:98 万円万円 分配金再投資型分配金再投資型 分配金 再投資 2 万円 平成 X 年非課税口座 投資枠残なし 株投株投 A:100 A:100 万円万円 分配金再投資型分配金再投資型 分配金 :5 万円 年間非課税投資上限 100 万円 までは再投資可能 分配金 受取 3 万円 非課税 分配金 再投資 5 万円 平成 X 年非課税口座 投資枠残 2 万円 株投株投 A:103 A:103 万円万円 分配金再投資型分配金再投資型 8

参考 1 少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置 日本版 ISA 現行制度の概要 1. 非課税対象 : 上場株式等の配当 譲渡益 2. 非課税投資額 : 毎年 新規投資額で100 万円を上限 未使用枠は翌年以降繰越不可 3. 非課税投資総額 :300 万円 100 万円 3 年間 4. 保有期間 : 最長 10 年間 5. 途中売却 : 自由 ただし 売却部分の枠は再利用不可 6. 口座開設数 : 年間 1 人 1 口座 毎年異なる金融機関に口座開設可 7. 導入時期 : 平成 26 年 20% 本則税率化にあわせて導入 最大 3 口座 300 万円まで累積投資可能 平成 26 年 平成 27 年 平成 28 年 26 年 27 年 28 年 29 年 30 年 31 年 32 年 33 年 10 年間 10 年間 10 年間 34 年 35 年 36 年 37 年 年間一人一口座 口座開設年に限り 100 万円を限度に投資可能 非課税期間は 口座を開設した年から最長 10 年間 9

参考 2 日本版 ISA 少額投資非課税制度 の導入の経緯 平成 21 年度改正 上場株式等の軽減税率が廃止され本則税率が実現する際に 少額の上場株式等投資のための非課税措置を創設 - 措置の施行の日から5 年内の各年 各年 100 万円まで - 金融所得課税の一体化の取組みの中で 貯蓄から投資へ の流れを促進 - 今後 制度設計の詳細について更に検討を進め 平成 22 年度改正において法制上の措置を講ずる 平成 22 年度改正 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置 日本版 ISA を創設 - 平成 24 年から平成 26 年までの各年 各年 100 万円まで - 金融所得課税の一体化の取組みの中で 個人の株式市場への参加を促進 - 平成 24 年から実施される上場株式等に係る税率の20% 本則税率化にあわせて導入 平成 23 年度改正 上場株式等の軽減税率の延長にともない 日本版 ISAの導入を延期 - 上場株式等の軽減税率については 景気回復に万全を期すため2 年 平成 25 年末まで 延長 - 日本版 ISAの導入時期については 平成 26 年 1 月から -これらの措置については 経済金融情勢が急変しない限り 確実に実施 平成 23 年平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 上場株式等の 軽減税率 10% 本則税率 20% 譲渡益 配当 少額投資非課税 ~28 年まで 10

国際課税原則の見直し 総合主義から帰属主義への変更 現状及び問題点 OECD 加盟国のほぼ全てにおいては 外国法人が国内に恒久的施設 PE を有する場合 PEに帰属する所得のみが申告対象 帰属主義 我が国においては 外国法人が国内にPEを有する場合 PEに帰属しているか否かを問わず すべての国内源泉所得について申告が必要 総合主義 税制がグローバル スタンダードから乖離しており 対内投資の阻害要因となっている状況 要望事項 外国法人の申告対象を 恒久的施設 PE に帰属する所得に限定すること PE に帰属する所得の範囲については 本支店間の取引を認識することを前提とする OECD のアプローチ AOA を踏まえて見直すにあたり 金融機関への影響を十分に考慮すること 現状 < 外国 > < 日本 > 支店帰属所得 外国法人 本店 日本支店 PE 本店帰属所得 申告対象 要望 < 外国 > < 日本 > 支店帰属所得 外国法人 本店 日本支店 PE 申告対本店帰属所得 象2. 金融資本市場の基盤整備に関して緊急に措置すべきもの 3 本店に帰属する所得も合算して申告 支店に帰属する所得のみ申告 11

[ その他の要望事項 ] は日切れ関連要望 預金保険法第 102 条第 1 項第 1 号に基づく資本注入に係る資本増加等の際の登録免許税の軽減措置の延長等 金融機能強化法に基づく資本増強又は組織再編法に基づく組織再編成等に伴い負担する登録免許税の減免措置の延長 特定口座の利便性向上等に向けた措置 投資法人が買換特例等を適用した場合の導管性要件の判定式の見直し 投資法人等に係る法人住民税均等割の減免措置の導入 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入割合の引上げ 自動発注サーバに係る非課税措置の創設 外国子会社合算税制の二重課税調整措置の見直し 金融商品取引法上の 有価証券の引受け の範囲の見直しに伴う所要の税制措置 保険会社に係る収入金額による外形標準課税方式の維持 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ 企業年金制度等への移行が不可能な適格退職年金における税制上の特例措置の継続 預金保険法第 101 条の2 第 1 項に基づく反社等債権の買取りに係る不動産に関する権利 の移転登記の際の登録免許税の非課税措置 12