( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

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2 資産 地域 時間等を分散して投資することを基本とし 短期的には市場価格の変動等はあるものの 長い投資期間を活かして より安定的に より効率的に収益を獲得し 併せて 年金給付に必要な流動性を確保する 分散投資 一つの籠に卵を盛るな という西洋のことわざがありますが 年金積立金の運用に限らず 一般に

平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

る 連合会は 管理運用の方針の策定及び変更等退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に係る専門的事項を検討する場合には 資金運用委員会の専門的知見を活用する 3 退職等年金給付調整積立金の管理及び運用におけるリスク管理連合会は 連合会を除く管理運用機関 ( 組合 市町村連合会及び連合会をいう 以下同じ

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

国家公務員共済組合連合会 厚生年金保険給付積立金の令和元年度第 1 四半期運用状況 第 1 四半期末の運用資産額は 6 兆 7,376 億円となりました 第 1 四半期の収益額は 実現収益額が 512 億円 総合収益額が 128 億円となりました 第 1 四半期の収益率は 実現収益率 ( 期間率 )

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

公的年金制度について 制度の持続可能性を高め 将来の世代の給付水準の確保等を図るため 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく社会経済情勢の変化に対応した保障機能の強化 より安全で効率的な年金積立金の管理及び運用のための年金積立金管理運用独立行政法人の組織等の見直し等の

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資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

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公的年金 運用益 15 兆円株上昇で過去最高昨年度 朝日新聞 2015 年 7 月 11 日 厚生年金と国民年金の積立金の運用益が2014 年度は15 兆 2922 億円に上った 積立金の自主運用を始めた01 年度以降の最高益を記録 昨年 10 月末に株式で運用する比率を高めたことが背景にある 年金

共済事業団をいう 以下同じ ) が共同して モデルポートフォリオを定めるとともに 連合会は モデルポートフォリオを参酌して 長期的な観点からの資産構成割合 ( 以下 基本ポートフォリオ という ) を策定し 管理積立金の管理及び運用を行う (2) 運用の目標 リスク管理等 1 運用の目標管理積立金の

⑧(第1回参考資料)積立金の運用状況v2

2. 運用の目標 リスク管理及び運用手法 (1) 運用の目標年金積立金の運用は 厚生年金保険法第 2 条の4 第 1 項及び国民年金法第 4 条の3 第 1 項に規定する財政の現況及び見通しを踏まえ 保険給付に必要な流動性を確保しつつ 長期的に積立金の実質的な運用利回り ( 積立金の運用利回りから名

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野村資本市場研究所|公的年金持続可能性の鍵を握る成長戦略の成否-平成26年財政検証結果から考える-(PDF)

有識者会議提言後の対応 好循環実現のための経済対策 好循環実現のための経済対策 ( 平成 25 年 12 月 5 日閣議決定 ) において 有識者会議の提言を踏まえ 厚生労働省等の関係省庁において 各資金の規模 性格に応じ 長期的な健全性の確保に留意しつつ 必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の

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問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

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日本株市場を泳ぐ 5 頭のクジラ SMBC 日興証券株式会社投資情報部 2016 年 10 月 4 日更新版

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新旧対照表(第2分冊:保険会社関係)1-14-14

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< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

年の家族 2-1 世帯モデル設定本章では 3 つの社会変化をもとに世帯モデルを以下のように設定する 1 専業主婦世帯 ( 標準モデル世帯 ) 平均的な男性賃金で 45 年間厚生年金に加入した夫と 45 年間専業主婦の夫婦 2 生涯単身男性世帯 平均的な男性賃金で 45 年間厚生年金に加

タイトル

日本の低金利の状況が続く中 外貨の好金利で運用し 当面の間 なるべく ふやす 外貨への関心が高まっているのをご存知ですか そして将来は たくわえた資産を 実は 家計における外貨資産は20年で約4倍に増加しています 商商商商品品品品パパパパンンンンフフフフレレレレッッッットトトト 詳細は P.25-2

別紙2

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する なお 年間資金運用計画には 次の事項を記載する (1) 資金収支見込みア収入予定額 ( ア ) 負担金 ( イ ) 掛金 ( ウ ) 利息 利金 ( エ ) その他の収入イ支出予定額 ( ア ) 退職給付金 ( イ ) 繰入金外 ( ウ ) その他の支出ウ短期運用額エ投資運用額 (2) 資金運

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

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第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

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2. 年金改定率の推移 2005 年度以降の年金改定率の推移をみると 2015 年度を除き 改定率はゼロかマイナスである ( 図表 2) 2015 年度の年金改定率がプラスとなったのは 2014 年 4 月の消費税率 8% への引き上げにより年金改定率の基準となる2014 年の物価上昇率が大きかった

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平成23年11月1日

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資産運用関係補足説明資料

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●H00 表紙(案)とれ版

金融リテラシーと老後への準備-ライフプランの設計に必要な知識が不足している

Transcription:

第 106 回運用委員会平成 28 年 5 月 30 日 資料 年金積立金管理運用独立行政法人 Government Pension Investment Fund の定期検証について 定期検証のポイント GPIFは 運用委員会において 現行のの定期検証を行いました この結果 以下の点を確認し 現行のは 見直す必要がないとの結論になりました 年初からの金利低下等により国内債券の期待リターン低下の影響は見られるが 現行のは効率的で 概ね目標利回りを満たしていること 現行のを策定した時と比較して 運用残高が年金財政で必要とされる積立金水準を下回るリスクが低下し 必要な積立金水準を確保できる見通しが高まったこと 定期検証の内容 ( 詳細は別添 ) GPIFは 第 3 期中期計画に基づき 定期的にの検証を行うこととしており 運用委員会において 現行のの定期検証を行いました 長期的に必要とされる年金積立金の水準については 厚生労働省の財政検証で 様々な経済前提に基づき 複数の見通しが示されています 厚生労働大臣がGPIFに示した中期目標では 年金積立金の運用は 財政検証結果を踏まえ 保険給付に必要な流動性を確保しつつ 長期的に積立金の実質的な運用利回り ( 積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの )1.7% を 最低限のリスクで確保することとされています 今回の検証作業では 成長戦略の効果が着実にあらわれる 経済中位ケース と 市場に織り込まれた将来の金利水準を前提とした 市場基準ケース のそれぞれの経済シナリオについて 主に以下の点を実施しました 日本銀行のマイナス金利導入による金利低下の影響と 将来の長期金利上昇による評価損失の発生も考慮し 国内債券については期待リターンを引き下げました 直近四半期末 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) を起点に 現行のが想定している運用期間の期末 ( 平成 51(2039) 年 3 月末 ) に 運用残高が必要な積立金水準を下回る確率を推計しました 検証の結果 国内債券の期待リターン低下の影響は見られますが 現行のは効率的で 概ね目標利回りを満たしていること 運用残高が年金財政で必要とされる積立金水準を下回るリスクが 平成 26(2014) 年 10 月にを策定した時と比べて いずれの経済シナリオにおいても低下することを確認しました 以上から 総合的に見て 現行のを変更する必要はないと判断しました < 髙橋則広理事長コメント> GPIFは 平成 28(2016) 年に3 回にわたって運用委員会で議論を行い 今回の定期検証を行いました 今後とも 長期的な観点から検証を行うとともに 直近の様々な市場環境の変化を注意深く観察しながら 認められたの枠組みの中で適切に対応してまいります

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 - - 2.57% 合計 100% - 100.00% 財政検証 用語の解説 財政検証は 厚生労働省が少なくとも5 年ごとに行っている 年金財政の現況と見通しの検証です 直近の財政検証は 平成 26(2014) 年 6 月に公表されています 我が国の公的年金制度は 現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという世代間扶養の考え方を基本として運営されていますが 少子高齢化が急速に進行しており 現役世代の保険料のみで年金給付を賄おうとすると 保険料負担の上昇や給付水準の低下が避けられないため 一定の積立金を保有し その運用収入を活用する財政計画としています GPIF(Government Pension Investment Fund 年金積立金管理運用独立行政法人 ) GPIFは 厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理と運用を行うとともに その収益を年金特別会計に納付し 公的年金制度の安定に資することを役割としています は 財政検証結果等を踏まえた運用目標を達成するために定めた 運用資産の基本的な構成割合で 資産の管理 運用に関して一般的に認められている専門的な知見や 内外の経済動向を考慮して フォワード ルッキングなリスク分析を踏まえて長期的な観点から策定しています 現行のへの変更は 平成 26(2014) 年 10 月 31 日に行われました GPIFは 市場動向を踏まえた適切なリスク管理を行い 定期的にの検証を行うほか 策定時に想定した運用環境が現実から乖離している等必要があると認められる場合には 必要に応じて見直しの検討を行うこととしています 乖離許容幅 乖離許容幅は 実際の資産構成割合がから乖離することを許容する範囲です GPIFは 乖離許容幅の中で 市場環境の適切な見通しを踏まえ 機動的な運用を行うことができますが その際の見通しは決して投機的なものであってはならず 確度の高いものとしています

の検証結果について ( 別添 ) 1. 策定の考え方 平成 26 年 10 月に変更された第 2 期中期目標及び第 3 期中期目標に基づくの策定の考え方は 次のとおりです (1) 運用目標 年金制度の財政検証を踏まえ 保険給付に必要な流動性を確保しつつ 必要となる実質的な運用利回り ( 運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの 以下 実質的なリターン といいます )1.7% を最低限のリスクで確保することです (2) 想定運用期間 平成 26 年 6 月に公表された年金制度の財政検証によれば 経済シナリオによって異なるものの 傾向的には積立金の水準は しばらく低下したのち いったん上昇に転じ 概ね 25 年後に最も高くなった後 継続的に低下していきます 継続的に積立金を取り崩していく局面では流動性の確保に重点を置く必要があるなど運用の条件が異なると考えられます このため 想定運用期間については 積立金の水準が最も高くなり 継続的に低下が始まる前までの 25 年間としました (3) 金利シナリオと想定ケース 長期的な観点から策定する点は変わりませんが 第 2 期までのように長期均衡状態のみを前提とするのではなく フォワード ルッキングなリスク分析を踏まえ 財政検証との整合性をとって 足下から向こう 10 年間の金利上昇シナリオを想定しました また 成長戦略の効果が着実に発現する 経済中位ケース と 市場に織り込まれている将来の金利水準を前提とした 市場基準ケース を想定しました 金利上昇後の実質長期金利は 経済中位ケースで 2.7% 市場基準ケースで 1.9% そのときの物価上昇率は 経済中位ケースで 1.2% 市場基準ケースで 0.9% を想定しました - 1 -

(4) 各資産の期待リターン 標準偏差等 国内債券は 財政検証における足下からの長期金利推移シナリオに基づき計算された想定運用期間の平均収益率を使用しています 国内株式 外国債券 外国株式は いずれも短期金利にリスクプレミアムを加えたものです また各資産の収益率の標準偏差 相関係数の計算には 過去 20 年のデータ等 ( 注 ) を用いました ( 注 ) 国内債券のリスクの計算においては 将来のデュレーションの長期化を考慮しています (5) の属性 経済中位ケース及び市場基準ケースのいずれにおいても の運用目標 ( 名目賃金上昇率 +1.7%) を満たしつつ その一方で 名目賃金上昇率を下回る確率 ( 以下 下方確率 といいます ) が全額国内債券運用の場合を下回り かつ 名目賃金上昇率を下回るときの平均不足率 ( 以下 条件付平均不足率 といいます ) が最も小さいポートフォリオを選定しました 2. の検証 については 中期計画において定期的に検証を行うこととしています 直近 ( 平成 28 年 2 月 ) までの経済 市場データを織り込み 各資産の期待リターンや標準偏差等を基に ポートフォリオとしての特性を検証したところ 策定時に比べ 足下の長期金利の低下により国内債券の期待リターンが低くなった影響は見られるが 現行の資産構成割合は効率的で 目標利回りを概ね満たしていることを確認しました また 今回の検証の諸前提を用いて で長期間運用した場合の積立金の分布を調べるシミュレーションを行い 年金財政が予定している積立金を確保できないリスク ( 確率 ) が 策定時に比べ低下していることを確認しました 今回の検証 ( 平成 28 年 3 月 ) について 3 回の運用委員会 ( 平成 28 年 3 月 10 日 29 日 4 月 15 日 ) の検討を経て 資産構成割合を変更する必要はないと判断しました なお 市場の急激な変動などが生じた場合には 必要に応じて見直しの検討を行います - 2 -

(1) 各資産の期待リターン 将来の実質長期金利 ( 均衡金利 ) については 経済中位ケース では 2.7% という水準を維持し 一方 市場基準ケース では 市場で織り込まれている均衡金利が低下していることから 財政検証を踏まえつつ 1.5% に引き下げました 物価上昇率の想定は 経済中位ケース で 1.2% 市場基準ケース で 0.8% としました また足下の長期金利の低下を踏まえ 均衡金利に至るまでの金利シナリオを修正した結果 いずれのケースでも国内債券の期待リターンは低下しました 国内株式のリスクプレミアムについても 経済中位ケース では変更していませんが 市場基準ケース では均衡金利水準の低下に合わせて より低い値としました 外国債券と外国株式のリスクプレミアムについては 直近までのデータを利用すると水準の上昇が観察されます ( 下表 引き上げ が該当 ) が 保守的な前提とする観点からリスクプレミアムを変更しない場合も想定しました 経済中位ケース (%) 市場基準ケース (%) 外貨資産リスクプレミアム 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 短期資産 賃金上昇率 変更なし 0.9(3.6) 3.6(6.3) -0.4(2.3) 3.2(5.9) 引き上げ 1.4(4.1) 4.0(6.7) -1.6(1.1) (2.7) 変更なし 1.2(3.1) 3.9(5.8) -0.4(1.5) 2.8(4.7) 引き上げ 1.7(3.6) 4.3(6.2) -1.1(0.8) (1.9) ( 注 ) 数値は 実質的なリターン カッコ内は これに賃金上昇率を加えた名目リターンです ( 参考 ) 策定時 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 短期資産 賃金上昇率 経済中位ケース (%) -0.2(2.6) 3.2(6.0) 0.9(3.7) 3.6(6.4) -1.7(1.1) (2.8) 市場基準ケース (%) -0.1(2.0) 3.1(5.2) 1.4(3.5) 4.1(6.2) -1.1(1.0) (2.1) ( 注 ) 数値は 実質的なリターン カッコ内は これに賃金上昇率を加えた名目リターンです - 3 -

(2) 各資産の標準偏差と相関係数 標準偏差と相関係数については 2015 年までの過去 20 年のデータ等 ( 注 ) を用いて更新しました 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 賃金上昇率 標準偏差 (%) 4.2 25.23 11.82 26.78 1.85 相関係数 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 賃金上昇率 国内債券 1.00 国内株式 -0.23 1.00 外国債券 -0.04 0.06 1.00 外国株式 -0.09 0.66 0.55 1.00 賃金上昇率 0.20 0.10 0.09 0.11 1.00 ( 注 ) 国内債券の標準偏差の計算においては将来のデュレーションの長期化を考慮しています ( 参考 ) 策定時 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 賃金上昇率 標準偏差 (%) 4.7 25.1 12.6 27.3 1.9 相関係数 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 賃金上昇率 国内債券 1.00 国内株式 -0.16 1.00 外国債券 0.25 0.04 1.00 外国株式 0.09 0.64 0.57 1.00 賃金上昇率 0.18 0.12 0.07 0.10 1.00 ( 注 ) 国内債券の標準偏差の計算においては将来のデュレーションの長期化を考慮しています - 4 -

(3) の属性 外貨建て資産のリスクプレミアム 実質的なリターン 名目リターン 標準偏差 下方確率 条件付平均不足率 ( 正規分布 ) 条件付平均不足率 ( 経験分布 ) 経済中位 変更なし 1.70 4.40 44.5 9.19 10.83 ケース (%) 引き上げ 1.87 4.57 43.9 9.13 10.81 12.39 市場基準変更なし 1.72 3.62 44.4 9.19 10.82 ケース (%) 引き上げ 1.89 3.79 43.9 9.13 10.81 ( 参考 ) 全額国内債券ポートフォリオの属性 経済中位ケース (%) -0.40 2.30 4.20 53.76 3.53 4.10 市場基準ケース (%) -0.40 1.50 4.20 53.76 3.53 4.10 ( 注 1) 実質的なリターンについては 運用目標は 1.7% ですが 短期資産を 2% 保有するとみなし そのリターンの減少分を逆算すると 経済中位ケースで 1.77% 市場基準ケースで 1.76% を確保することが必要です ( 注 2) 条件付平均不足率 ( 経験分布 ) は 株式等は想定よりも下振れ確率が大きい場合 ( いわゆる テイルリスク ) もあることを考慮し 正規分布に替えて 過去 20 年のデータ ( 経験分布 ) から一定の仮定を置いて乱数を発生させ計算したものです ( 参考 ) 策定時 実質的な名目条件付平均不足率条件付平均不足率標準偏差下方確率リターンリターン ( 正規分布 ) ( 経験分布 ) 経済中位ケース (%) 1.77 4.57 12.8 44.4 9.45 11.2 市場基準ケース (%) 1.98 4.08 12.8 43.8 9.38 11.2 ( 参考 ) 全額国内債券ポートフォリオの属性経済中位ケース (%) -0.20 2.60 4.7 51.7 3.86 3.52 市場基準ケース (%) -0.10 2.00 4.7 50.8 3.83 3.48-5 -

(4) 予定積立金額の確保 年金財政が予定している積立金を確保できないリスクがどの程度あるのかを検証するため 今回の検証の諸前提を用いて 201 5 年 12 月末を起点としてで長期間運用した場合の積立金の分布を調べるシミュレーションを行いました この結果によると 想定運用期間の最終年度 ( 平成 51 年 (2039 年 )) において予定積立金額を確保できないリスク ( 確率 ) は 策定時に比べ低下しました これは主に 2014 年度に積立金が増加したことによるものです 予定積立金額を下回る確率 今回のシミュレーション結果 外貨建資産のリスクプレミアム変更なし 外貨建資産のリスクプレミアム引き上げ ( 参考 ) 策定時 経済中位ケース 24% 21% 40% 市場基準ケース 18% 14% 25% - 6 -

( 兆円 ) 300 積立金見込み ( 経済中位ケース : リスクプレミアム変更なし ) 286.1 ( 兆円 ) 300 積立金見込み ( 市場基準ケース : リスクプレミアム変更なし ) 250 200 150 100 太線 : 財政計画上の予定積立金額 75% タイル 中央値 75% タイル中央値 228.7 182.5 180.8 142.6 134.4 126.7 全額国内債券 250 200 150 100 太線 : 財政計画上の予定積立金額 75% タイル 中央値 75% タイル中央値 223.7 173.7 134.2 122.2 105.5 98.9 92.7 全額国内債券 50 50 0 平成 31(2019) 平成 36(2024) 平成 41(2029) 平成 46(2034) 平成 51(2039) 0 平成 31(2019) 平成 36(2024) 平成 41(2029) 平成 46(2034) 平成 51(2039) ( 兆円 ) 300 積立金見込み ( 経済中位ケース : リスクプレミアム引き上げ ) 297.2 ( 兆円 ) 300 積立金見込み ( 市場基準ケース : リスクプレミアム引き上げ ) 250 200 150 100 太線 : 財政計画上の予定積立金額 75% タイル 中央値 75% タイル中央値 237.3 189.6 180.8 140.5 132.4 124.8 全額国内債券 250 200 150 100 太線 : 財政計画上の予定積立金額 75% タイル 中央値 75% タイル中央値 240.1 186.7 144.4 122.2 105.7 99.1 92.9 全額国内債券 50 50 0 平成 31(2019) 平成 36(2024) 平成 41(2029) 平成 46(2034) 平成 51(2039) 0 平成 31(2019) 平成 36(2024) 平成 41(2029) 平成 46(2034) 平成 51(2039) ( 注 ) 積立金見込み は 実質的な積立金 ( 名目賃金上昇率で割り引いた現在価値 ) で表示しています - 7 -