<4D F736F F D20819D819D F F9193C18F FEA816A8DC58F4994C52E646F6378>

Similar documents
Microsoft Word - notes①1210(的場).docx

三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後

調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

man2

調査実施の背景 2015 年 4 月から子ども 子育て支援新制度 以下 新制度 が施行され 保育事業の拡大が図られます そのため保育人材の確保が重要な課題となっており 保育士確保のための取組が強化されています しかし保育士のみでは必要量を満たせないことから 子育て分野で働くことに関心のある地域住民に

調査実施の背景 わが国は今 人口構造の変化に伴う労働力の減少を補うため 女性の活躍を推進し経済成長を目指しています しかし 出産後も働き続ける女性は未だ多くないばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も少ない状況が続いています 女性の活躍を促進させるためには 継続就業のための両立支援策ととも

Microsoft Word - wt1608(北村).docx

25~44歳の子育てと仕事の両立

Microsoft Word - ○201701Report(的場)校正会議再修正版.docx

Microsoft Word - rp1504b(宮木).docx

「学び直し」のための教育訓練給付制度の活用状況|第一生命経済研究所|的場康子

調査実施の背景 わが国では今 女性活躍を推進し 誰もが仕事に対する意欲と能力を高めつつワークライフバランスのとれた働き方を実現するため 長時間労働を是正し 労働時間の上限規制や年次有給休暇の取得促進策など労働時間制度の改革が行なわれています 年次有給休暇の取得率 ( 付与日数に占める取得日数の割合

Microsoft Word - Report (北村)最終版2.docx

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

<4D F736F F D DE97C78CA78F418BC B28DB895F18D908F DC58F49817A2E646F63>

3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - rp1507b(北村).docx

男女共同参画に関する意識調査

Microsoft Word - ○Report白書1804修正3(北村).docx

1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

電通総研、「女性×働く」調査を実施

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

Microsoft Word - rp1410a(的場).docx

調査の背景 わが国は今 女性の活躍推進を掲げ 結婚や出産をしても働き続けることを後押しする社会を目指しています しかしながら 出産後も働き続ける女性は未だ半数にとどまっているばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も多くありません こうした中 北海道においても地域や職場 家庭などのさまざまな

Microsoft Word - Notes1104(的場).doc

Microsoft Word - rp1410b(水野).docx

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

調査実施の背景 近年 ライフスタイルの多様化が著しく進んでいます 生涯未婚率が上昇し 単身世帯 一人親世帯も増加するなど 世帯構成が大きく変化しました また 25 歳から 39 歳の就業率が上昇し 共働き世帯も増加しました においては 管理職の積極的な登用が推進される一方で非正規社員の占める割合は高


1. 職場愛着度 現在働いている勤務先にどの程度愛着を感じているかについて とても愛着がある を 10 点 どちらでもない を 5 点 まったく愛着がない を 0 点とすると 何点くらいになるか尋ねた 回答の分布は 5 点 ( どちらでもない ) と回答した人が 26.9% で最も多かった 次いで

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 30~60 代の既婚男女 2. サンプル数 800 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2006 年 1 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 769 名 (96.1%

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

男女共同参画に関する意識調査

資料2(コラム)

「夫婦関係調査2017」発表

2. 調査結果 1. 回答者属性について ( 全体 )(n=690) (1) 回答者の性別 (n=690) 回答数 713 のうち 調査に協力すると回答した回答者数は 690 名 これを性別にみると となった 回答者の性別比率 (2) 回答者の年齢層 (n=6

Microsoft Word - Focus12月(的場).doc

長く働き続けるための「学び直し」の実態と意識

出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D20819C B83678C8B89CA94E48A E C668DDA97706E65772E646F63>


中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

<4D F736F F D C835894AD955C8E9197BF EE CC B83678E9E8E96816A8F4390B38CE32E646F63>

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

目次 Ⅰ 調査概要 1 1. 調査目的 1 2. 調査項目 1 3. 調査設計 1 4. 回収結果 1 5. 報告書の見方 1 Ⅱ 調査結果 2 1. 回答者の属性 2 (1) 性別 2 (2) 年代 2 (3) 結婚の状況 2 (4) 働き方 3 (5) 世帯構成 3 (6) 乳幼児 高齢者との同

◎公表用資料

<342D318A B A2E786C73>

 

第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

Microsoft Word - wt1607(的場).docx

初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 問 33 問 8- 母 ) 図 95. 初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 母親 ) 初めて親となった年齢 を基準に 10 代で初めて親となった 10 代群 平均出産年齢以下の年齢で初めて親となった平均以下群 (20~30 歳 ) 平均


(市・町)        調査

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

8

Microsoft Word - 修正rp1110_的場_.doc

25~44歳の出産・子育ての意識と実態

出産・育児・パートナーに関する実態調査(2015)

質問 1 母の日 にプレゼントを贈りますか?( 回答者数 :6,916 名 ) 質問 2[ 贈る方への質問 ] プレゼントを贈る理由は何ですか?( 回答者数 :5,134 名 ) 贈る と回答した方は全体の 74.8% で 4 人に 3 人は 贈る と回答した 贈る理由として 日頃の感謝を伝えたいか

夫婦間でスケジューラーを利用した男性は 家事 育児に取り組む意識 家事 育児を分担する意識 などに対し 利用前から変化が起こることがわかりました 夫婦間でスケジューラーを利用すると 夫婦間のコミュニケーション が改善され 幸福度も向上する 夫婦間でスケジューラーを利用している男女は 非利用と比較して

第5回 「離婚したくなる亭主の仕事」調査

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 経済状況に関する事項

1 男女共同参画社会に関する意識について (1) 各分野の男女の地位の平等感ア家庭生活における男女の地位の平等感 問 1(1) あなたは, 今からあげるような分野で男女の地位は平等になっていると思いますか あなたの気持ちに最も近いものを 1 つだけお答えください まず, 家庭生活については, どうで

第1回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

人生100年時代の結婚に関する意識と実態

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 20 歳から 59 歳の会社員の男女 2. サンプル数 700 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2007 年 2 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 601 名

Microsoft Word - 00.表紙.doc

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 日常生活に関する事項

日本医師会男女共同参画についての男性医師の意識調査 クロス集計

人生100年時代の生活に関する意識と実態

1. 結婚についての意識 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚はしたほうがよい ) の割合は男性の方が高い一方 自身の結婚に対する考えについて いずれ結婚するつもり と回答した割合は女性の方が高い 図表 1 図表 2 未婚の方の理想の結婚年齢は平均で男性が 29.3 歳 女性は 2

調査の背景 埼玉県では平成 29 年度から不妊に関する総合的な支援施策として ウェルカムベイビープロジェクト を開始しました 当プロジェクトの一環として 若い世代からの妊娠 出産 不妊に関する正しい知識の普及啓発のため 願うときに こうのとり は来ますか? を作成し 県内高校 2 年生 3 年生全員

Microsoft Word - リリース doc

リスモン調べ 第4回 離婚したくなる亭主の仕事

2015年 「働き方や仕事と育児の両立」に関する意識(働き方と企業福祉に関する

Microsoft Word 年10月(HP).doc

Microsoft Word 年1月(リリース).doc

56_16133_ハーモニー表1

01.ai

1 調査目的 今年度策定する 津山市総合戦略 で 子どもを産み 育てやすい環境づくりに 向けた取組みを進めるにあたり 出産 子育ての現状を把握するために実施した 2 調査内容の背景と設問設定理由国では 出生率を 2.07 まで高めることで 2060 年に現状の社会構造を維持できる人口 1 億人程度を

介護休業制度の利用拡大に向けて

雑貨・インテリア店の利用に関する 調査結果

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

25~34歳の結婚についての意識と実態

関東地方の者が約半数を占める (45.3%) 続いて近畿地方 (17.4%) 中部地方 (15.0%) となっている 図表 2-5 地域構成 北海道 東北関東中部近畿中国四国九州 沖縄総数 (%) 100.0% 8.9% 45.3%

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

調査レポート

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

Microsoft Word - notes①1301(小谷).docx

03 Ⅱ-1 配偶者等からの暴力に関する認知度

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

働き方の現状と今後の課題

第2回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

Transcription:

これからの共働き社会における夫婦のあり方 ライフデザイン白書 調査より 目次 上席主任研究員的場康子 1. 共働きで子育てをする社会へ 16 2. 共働き世帯の家事や子育てにおける役割分担 18 3. 配偶者とのコミュニケーションと家事 子育て分担との関係 21 4. 経済的にも家事等の家庭役割においても夫婦が自立した存在へ 24 要旨 1わが国は今 女性の活躍推進を掲げ 結婚や出産をしても働き続けることを後押しする社会を目指している こうした中 これから増えるであろう 子どもがいる共働き世帯 に注目し 夫婦関係を表す2つの側面 家事や子育ての分担状況と夫婦間のコミュニケーションの状況について分析を行い これからの共働き社会における夫婦のあり方について考える 2 家事分担の状況をたずねた結果をみると ほぼ全て妻が行い 夫はしない と 妻が 7~8 割 夫が2~3 割 の合計が男性 70.8% 女性 86.4% である 子育て分担の状況についても上記の項目が 男性 65.0% 女性 75.3% である 子育てと両立しながら共働きをしている夫婦であっても 妻の方が家事や子育てを負担していると思っている人が男女ともに多数を占めている 3 配偶者との会話の状況別に家事の分担状況をみると 配偶者とよく会話をしている女性は 家事を ほぼ全て妻が行い 夫はしない の回答者が27.3% であるが あまり会話をしない人では67.3% であった 男性も同様の傾向であり 夫婦間でよく会話をしている人の方が 妻側に家事や子育ての負担が極端に偏っていると思っている人が少ない 4 共働き夫婦にとって 家事や子育てなどの役割の分散化は子どもの年齢にかかわらず すべてのライフステージにわたって仕事と家庭生活の両立のための一つの条件である 来るべき共働き社会のためには 両立支援策の充実のみならず 夫と妻が経済的にも家事などの家庭役割においても真に自立した存在としてパートナーシップを構築することができるよう 一人一人がそれぞれの立場で 働き方や夫婦のあり方などを見直すことが必要であろう キーワード : 女性活躍推進 共働き夫婦 ライフデザイン白書 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Report Autumn 2017.10 15

1. 共働きで子育てをする社会へ わが国は今 女性の活躍推進を掲げ 結婚や出産をしても働き続けることを後押しする社会を目指している 実際 一般的に女性が職業をもつことについてどのように考えるか 人々の意識をみても 子どもができても ずっと職業を続ける方がよい の回答割合が 2016 年には 54.4% と半数以上を占めている ( 図表 1) 1992 年には 子どもができたら職業をやめ 大きくなったら再び職業をもつ方がよい の回答割合が 42.7% と最も高かったが 子どもができても就業継続 が 子どもが大きくなったら再就職 を上回り過半数となった この背景には 男女ともに厳しい雇用情勢や経済環境などがあり 夫婦で家計を支えることの必要性を感じていることもあると思われるが 男女ともに自分の持てる力を発揮して活躍できる社会が望ましいとの思いもあるのではないか 図表 1 女性が職業をもつことに対する意識 ( 時系列 ) 1992 年 4.1 12.5 12.9 23.4 42.7 1.5 2.9 2000 年 4.1 7.8 10.4 33.1 37.6 2.7 4.3 2012 年 3.4 5.6 1 47.5 30.8 1.4 1.3 2016 年 3.3 4.6 8.3 54.4 26.2 1.5 1.6 女性は職業をもたない方がよい 結婚するまでは職業をもつ方がよい 子どもができるまでは 職業をもつ方がよい 子どもができても ずっと職業を続ける方がよい 子どもができたら職業をやめ 大きくなったら再び職業をもつ方がよい その他 わからない 注 : 調査は全国 18 歳以上の日本国籍を有する者 5,000 人を対象に 調査員による個別面接聴取法により 2016 年 8 月 ~9 月に実施された ( 有効回収数 3,059 人 ) なお 2016 年から調査対象者の年齢を 18 歳以上に引き下げているが 時系列比較をしている本図表については 20 歳以上を集計対象とした数値を表示している 資料 : 内閣府 男女共同参画社会に関する世論調査 2016 年 9 月調査をもとに筆者作成 こうした人々の意識や社会の変化により 子育てをしながら共働きをする人々が増えれば その夫婦のあり方にも変化が求められる これまでの男女の役割が固定化された夫婦関係から 家事や子育て等においても経済的にも互いに自立した夫婦関係へと変わっていく必要がある このような問題意識から本稿では これから増えるであろう 子どもがいる共働き世帯 に注目し 夫婦関係を表す2つの側面 家事や子育て等の分担状況と夫婦間のコミュニケーションの状況について分析を行い これからの共働き社会における夫婦 16 Life Design Report Autumn 2017.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

のあり方について考える 使用するデータは当研究所が2017 年 1 月に実施した 今後の生活に関するアンケート である ( 図表 2) 同調査は人々のライフデザインや生活意識についてたずねており その結果は1995 年から ライフデザイン白書 として発行されている 第 9 回目にあたる今回の調査は 人生 100 年時代 のライフデザイン- 団塊ジュニア世代から読み解く日本の未来ライフデザイン白書 2018 ( 東洋経済新報社 ) として出版された 図表 2 アンケート調査の概要 調査名調査対象調査時期抽出方法有効回答数調査方法調査機関 今後の生活に関するアンケート 全国の満 18 歳 ~69 歳の男女個人 2017 年 1 月 27 日 ~29 日 調査機関の登録モニターから国勢調査に準拠して地域 (10 エリア ) 性 年代 未既婚別にサンプルを割付 17,462 サンプル インターネット調査 株式会社マクロミル 図表 3 既婚者の家庭状況 ( 性 年代別 ) ( 単位 :%) 子どもあり 子どもなし 共働き 妻パート 専業主 無職 その他 共働き 妻パート 専業主 無職 その他 世帯 世帯 婦世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 婦世帯 世帯 世帯 男性 17.8 23.6 27.3 8.1 6.9 6.1 2.8 5.0 1.2 1.2 20 代 19.5 11.2 33.8 0.6 0.5 22.1 5.5 5.0 0.6 1.4 30 代 22.0 21.0 35.1 0.2 0.8 9.6 4.1 6.1 0.1 1.1 40 代 19.8 33.7 27.2 0.3 0.9 8.0 3.4 6.0 0.1 0.5 50 代 22.0 32.5 25.3 0.2 3.8 4.6 3.5 6.2 0.8 1.0 60 代 10.1 11.5 23.4 26.4 18.9 1.3 0.7 2.7 3.1 1.9 女性 12.4 17.2 35.0 11.0 7.7 4.5 3.1 6.8 1.1 1.2 20 代 12.7 13.2 43.2 2.2 10.9 5.3 11.5 0.3 0.6 30 代 16.9 16.0 45.0 0.3 1.6 7.2 4.7 6.9 0.1 1.1 40 代 13.2 26.0 35.7 0.2 1.7 6.5 4.6 10.2 0.4 1.5 50 代 14.9 22.3 36.6 3.6 6.9 3.3 2.6 7.8 1.3 0.7 60 代 6.3 6.4 24.4 36.8 19.4 0.6 0.5 1.8 2.5 1.4 注 1: 共働き世帯 は夫婦ともに経営者 役員 正社員 正職員 契約社員 嘱託社員 派遣社員 自営業 妻パート世帯 は夫は経営者 役員 正社員 正職員 契約社員 嘱託社員 派遣社員 自営業 妻はパート アルバイト 専業主婦世帯 は夫は経営者 役員 正社員 正職員 契約社員 嘱託社員 派遣社員 自営業 妻は専業主婦 学生 無職世帯 は夫婦ともに無職 ( 専業主婦等を含む ) 学生で構成される世帯である なお その他世帯 には夫は無職 学生 妻はパート アルバイトで構成される世帯などが含まれている 注 2: 既婚者 ( 配偶者がいる人 ) 対象 子どもあり については子どもとの同 別居は問わない なお 性 年代別分析における 18~19 歳は対象者が少ないため省略した 本稿では同調査のうち 子どもがいる共働き世帯を分析対象とした ( 図表 3の太枠 ) なお 妻がパート アルバイトとして就業時間の柔軟性の高い働き方をしている場合 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Report Autumn 2017.10 17

も本来は共働き世帯であるが 今回は分析の便宜上 妻パート世帯 とし 夫婦ともに正社員同士が多く含まれる 共働き世帯 とは区別している 本調査の回答者の属性をみると 既婚者 ( 配偶者がいる人 ) のうち 子どもがいる共働き世帯は男性では17.8% 女性では 12.4% である ( 図表 3) 性 年代別にみると 子どもがいる共働き世帯は 男女とも60 代を除き各年代を通じて 男性では20% 前後 女性では15% 前後となっている 子どもがいる共働き世帯の末子の学齢を示したものが図表 4である 男女ともに20 代 30 代は末子が未就学児という人が大多数であり 40 代になると末子が小中学生という人が約半数 50 代以上になると末子が短大 大学 大学院生や就学終了という人が過半数を占める 幼稚園 保育園に入る前 注 : 子どもがいる共働き世帯対象 図表 4 子どもがいる共働き世帯の末子の学齢 ( 性 年代別 ) 幼稚園 保育園児 小学生中学生高校生 短大 大学 大学院生 就学終了 ( 単位 :%) その他 男性 10.1 21.3 15.5 7.2 8.3 8.6 27.3 1.6 20 代 54.9 41.8 3.4 30 代 26.4 55.6 15.1 1.4 1.6 40 代 5.8 24.2 35.0 13.8 9.3 5.5 6.4 50 代 0.8 0.4 6.3 10.3 18.3 19.3 40.5 4.2 60 代 1.4 0.7 1.3 10.1 83.8 2.7 女性 17.8 17.1 12.0 7.0 7.7 7.3 30.4 0.8 20 代 69.4 30.6 30 代 45.8 42.3 11.3 0.6 40 代 7.7 15.9 29.2 18.7 15.1 6.5 6.3 0.7 50 代 3.9 5.9 12.9 18.5 57.0 1.8 60 代 0.8 3.8 94.8 0.6 2. 共働き世帯の家事や子育てにおける役割分担 (1) 家事や子育て分担の状況共働きで子育てをするためには 母親のみならず父親も家事や子育てを担う必要がある 子どもがいて共働きをしている人は 夫婦で家事や子育てをどのように分担しているであろうか まず 家事分担の状況をたずねた結果をみると ほぼ全て妻が行い 夫はしない と回答した人は男性 18.0% 女性 34.8% 妻が7~8 割 夫が 2~3 割 の回答者 ( 男性 52.8% 女性 51.6%) と併せると 男性の7 割以上 女性の8 割以上が妻の方が多く家事を負担していると思っている ( 図表 5) 子育てをしながら共働きをしている夫婦であっても 家事の負担が妻に偏っていると認識している人が多い 18 Life Design Report Autumn 2017.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

性 年代別にみると 男性のうち20 代 30 代の若い年代では妻の方が多く家事負担をしているとの回答割合が相対的に低く 夫婦で半々 と回答している人が3 割を超えている 若い男性の間では 家事の分担意識が広まっているようだ 他方 女性も年代が若い人ほど 夫婦で半々 と回答した人の割合が高い傾向はみられるものの 20 代女性でも16.5% と2 割にも満たず 同年代の男性との分担意識のギャップがある 若い男性を中心に 家事分担していると自己評価をしている人が多いが 女性はそのように思っている人はあまり多くない こうした分担意識の男女差は 男性が行う家事内容及び頻度が 女性が期待しているレベルのものではなく 夫婦で半々 とは女性には認められていないということも背景にあるのかもしれない 図表 5 夫婦における家事分担の状況 ( 性別 性 年代別 ) 性別 男性 18.0 52.8 22.7 5.0 1.5 女性 性 年代別 34.8 51.6 12.4 1.2 男性 20 代 14.7 39.2 34.0 9.0 3.1 30 代 8.1 48.2 34.3 8.1 1.3 40 代 50 代 60 代 19.6 22.7 21.8 52.7 56.4 56.5 23.9 14.9 15.0 2.6 4.2 5.3 1.2 1.7 1.4 女性 20 代 30 代 40 代 50 代 22.8 20.5 39.7 45.1 58.5 63.6 47.7 42.2 2.2 16.5 14.2 11.5 1.6 1.1 11.4 1.3 60 代 37.3 52.5 10.1 ほぼ全て妻が行い 夫はしない 妻が 7~8 割 夫が 2~3 割 夫婦で半々 妻が 2~3 割 夫が 7~8 割 ほぼ全て夫が行い 妻はしない 注 : 子どもがいる共働き世帯対象 次に子育て分担の状況をたずねた結果をみると ほぼ全て妻が行い 夫はしない と回答した人は男性 11.5% 女性 20.2% 妻が7~8 割 夫が 2~3 割 の回答者 ( 男性 53.5% 女性 55.1%) を併せると 男性の6 割以上 女性の7 割以上が妻の方が多く子育てを担っていると思っている ( 図表 6) 家事分担と同様 子育てと両立しながら共働きをしている夫婦であっても 妻の方が子育てを担っていると思っている人が男女ともに多数である ただ 家事分担の場合よりも 夫婦で半々 の回答割合が男 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Report Autumn 2017.10 19

女ともに高い 夫婦で分担していると思っている人は 家事よりも子育ての方が男女ともに多いということだ 性 年代別にみると 男性のうち20 代 ~40 代では 夫婦で半々 と回答している人が3 割を超えている 特に男性の20 代 ~30 代は家事分担においても約 3 割が 夫婦で半々 と回答しており 若い男性の間では家事や子育ての分担意識が広がりつつあることがうかがえる 他方 女性の回答をみると 夫婦で半々 と回答した女性は 22.9% であり 男性の 夫婦で半々 の回答割合 (32.3%) よりも低い 女性で男性の子育て分担に対する評価が厳しい点では家事の場合と同様である 子どもの成長とともに 子育て の内容は異なる 多くの人にとって 未就学児を育てているときが最も夫婦が協力して家事や子育てを行うことが必要な時期であろうが 20 代 30 代の女性の 夫婦で半々 の回答割合はそれぞれ17.4% 24.9% である 他方 子どもが小さい間は子育て重視の生活を希望している女性もおり それを反映して子育て分担をしている家庭もあることから 必ずしも 夫婦で半々 が全ての夫婦にとって最適な分担であるとは限らない これらを考慮し 各家庭がともに納得感のある分担で 協力して子育てができるようになることが望まれる 図表 6 夫婦における子育て分担の状況 ( 性別 性 年代別 ) 性別 男性 11.5 53.5 32.3 1.9 0.9 女性 20.2 55.1 22.9 1.6 0.2 性 年代別 男性 20 代 7.3 56.3 31.6 1.7 3.1 30 代 9.7 52.4 35.6 1.9 0.4 40 代 50 代 11.4 18.1 53.0 55.6 32.5 24.0 1.7 2.3 1.4 女性 20 代 30 代 16.3 1 63.9 66.3 17.4 24.9 1.2 40 代 50 代 28.2 35.6 47.8 35.6 22.3 22.2 1.1 6.6 0.6 ほぼ全て妻が行い 夫はしない 妻が 7~8 割 夫が 2~3 割 夫婦で半々 妻が 2~3 割 夫が 7~8 割 ほぼ全て夫が行い 妻はしない 注 : 高校生以下の子どもがいる共働き世帯対象 性 年代別分析における 60 代は対象者が少ないため省略 (2) 優先するのは仕事か家庭か共働き世帯でも 家事や子育ての分担が妻の方に偏っていると認識している人が多 20 Life Design Report Autumn 2017.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

いのが現状であるが これを踏まえ 仕事と家事などとの両立に対する意識をみる 妻は仕事よりもまずは家庭を優先させるべきだ という意見に対し肯定的な回答割合は男性 45.8% 女性 48.0% で女性の方が若干高いが大差はない ( 図表 7) 性 年代別にみると 特に女性の20 代の肯定割合が61.8% と他の年代に比べ最も高い 女性の就業が進む中でも 妻は家庭を優先すべきであるという意識をもつ人が男女とも半数近くを占めている しかも20 代の女性でこの意識が強い これは 妻だから家庭を守るべき という旧来の固定観念というよりも 仕事を持っていたとしても 家庭をベースにバランスをとって働きたいという新しい考えの表れではないかと思われる 他方 夫は仕事よりもまずは家庭を優先させるべきだ という意見に対する肯定回答の割合は男性 33.2% 女性 24.6% であり 男性の方が女性より高い ( 図表 8) 特に男性は仕事優先の意識を持ちがちであるが 家庭を優先すべきという男性も30 代以上で3 割前後 20 代では約半数を占めている 特に20 代で子どもがいる人は未就学児を育てている人が多く 子どもに手がかかる生活を送っていることも 家庭を優先すべきとの意識の背景にあると思われる この意識が家事 子育て分担に直接関連しているとはいえないものの 男性においても家庭志向が浸透しつつあることの証左ではないだろうか 図表 7 妻は仕事よりもまずは家庭を優先させる図表 8 夫は仕事よりもまずは家庭を優先させるべきだ ( 性 年代別 ) べきだ ( 性 年代別 ) (%) 80 60 40 20 0 48.0 45.8 61.8 49.2 42.9 41.1 54.1 42.4 男性女性 46.3 42.9 53.5 53.3 全体 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 (%) 80 60 40 20 0 33.2 24.6 47.9 38.0 29.2 35.8 25.4 25.0 男性女性 32.2 32.3 19.2 27.2 全体 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 注 1: 数値は そう思う どちらかといえばそう思う の合計 女性は斜体で示している ( 図表 8 も同じ ) 注 2: 子どもがいる共働き世帯対象 ( 図表 8 も同じ ) 3. 配偶者とのコミュニケーションと家事 子育て分担との関係 (1) 配偶者と会話や相談しているかこれまで子どもがいる共働き世帯の家事や子育ての分担状況などについてみてきたが 次は夫婦関係のもう一つの側面であるコミュニケーションの状況についてみる まず 配偶者とはよく会話をしている と答えた人は男性 66.5% 女性 71.1% である ( 図表 9) 女性の方が夫とよく会話をしていると答えた人が若干多いが大差はない 性 年代別にみると よく会話をしていると答えた人の割合が 男女ともに50 代 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Report Autumn 2017.10 21

までは年代が上がるにつれて低くなり 60 代になると上昇している また 配偶者とは困ったときに相談しあっている という人は 男性 65.1% 女性 69.5% である ( 図表 10) 性 年代別にみても 男女ともに全年代を通じてあまり大きな差はないが 会話 と同様 相談しあっているという人の割合は50 代まで緩やかに低下し 60 代になると再び上昇している 子どもが大きくなるにつれて子どもを通じたネットワークが増えたり また年齢が上がるとともに仕事上の責任も変わったりするなど 家族がそれぞれの立場で活動を広げる中で 夫婦のコミュニケーションも減るようである むしろ こうした時期こそ夫婦が向き合う時間を作ることも必要であろう そして子どもが成長した60 代になると 再び夫婦が向き合う時間が増えるようで 会話や相談しあう人の割合が上昇している (%) 100 80 71.1 60 40 20 0 図表 9 配偶者とはよく会話をしている図表 10 配偶者とは困ったときに相談しあっている ( 性 年代別 ) ( 性 年代別 ) 66.5 92.3 83.5 男性 女性 79.7 71.7 65.3 63.4 61.9 61.5 76.6 68.0 全体 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 (%) 100 80 60 40 20 0 69.5 65.1 76.0 76.4 72.4 68.4 男性 女性 67.8 64.8 61.4 60.1 75.6 65.5 全体 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 注 1: 数値は あてはまる どちらかといえばあてはまる の合計 女性は斜体で示している ( 図表 10 も同じ ) 注 2: 子どもがいる共働き世帯対象 ( 図表 10 も同じ ) (2) コミュニケーションと家事 子育てなどの分担状況との関連続いて 夫婦間コミュニケーションの状況と家事や子育ての分担状況との関連をみる 配偶者との会話の状況別に家事分担の状況をみると 男女ともに よく会話をする人の方があまり会話をしない人よりも ほぼ全て妻が行い 夫はしない の回答割合が低い ( 図表 11) 特に女性については あまり会話をしない人では67.3% が家事分担を ほぼ全て妻が行い 夫はしない と回答しており よく会話をする人の2 倍以上の回答割合である 子育て分担の状況についても同様であり 男女ともに あまり夫婦で会話をしない人の方が分担がなされていないと思っている人が多い 特に女性でその傾向が強く あまり会話をしない人では60.1% が子育て分担を ほぼ全て妻が行い 夫はしない と回答しており よく会話をする人の4 倍近くの回答割合である 配偶者との相談の状況別に家事や子育ての分担状況をみても同様の傾向であり 男女ともに 相談しあっている人はあまり相談しない人よりも ほぼ全て妻が行い 夫 22 Life Design Report Autumn 2017.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

はしない への回答割合が低い ( 図表 12) 夫婦間でよく会話をしたり相談しあったりしている人の方が 妻側に家事や子育ての負担が極端に偏っていると思っている人が少ない 夫婦間のコミュニケーションと家事や子育ての分担には相関関係がみられることから 夫婦間コミュニケーションが家事や子育ての分担を促進させる一つの方法であるとの見方もできるのではないだろうか 図表 11 配偶者とはよく会話をしている の回答割合別にみた家事 子育ての分担状況 ( 性別 ) 男性 家事分担の状況 よく会話をするあまり会話をしない 16.3 29.5 57.0 40.2 22.0 17.1 4.0 7.4 0.8 5.8 子育て分担の状況 よく会話をする 9.7 57.0 31.4 0.2 1.7 あまり会話をしない 25.3 41.4 25.1 3.0 5.2 女性 27.3 58.4 13.5 0.8 4.4 67.3 26.1 2.2 15.3 58.0 24.5 0.3 1.9 60.1 34.3 5.6 ほぼ全て妻が行い 夫はしない 妻が 7~8 割 夫が 2~3 割 夫婦で半々 妻が 2~3 割 夫が 7~8 割 ほぼ全て夫が行い 妻はしない 注 1: よく会話をする は 配偶者とはよく会話をしている に あてはまる と どちらかといえばあてはまる に回答した人の合計 あまり会話をしない は どちらかといえばあてはまらない と あてはまらない に回答した人の合計である どちらともいえない は省略した 注 2: 家事分担については 子どもがいる共働き世帯対象 子育て分担については 高校生以下の子どもがいる共働き世帯対象 図表 12 も同様 図表 12 配偶者とは困ったときに相談しあっている の回答割合別にみた家事 子育ての分担状況 ( 性別 ) 男性 女性 家事分担の状況 相談しあっている 13.7 56.8 24.6 0.7 4.2 25.1 59.7 14.4 0.8 あまり相談しない 24.5 子育て分担の状況 相談しあっている 8.7 56.4 46.5 19.6 32.7 2.8 6.6 0.2 2.0 14.6 57.7 57.8 33.3 8.2 0.8 25.4 0.3 1.9 あまり相談しない 28.5 35.2 26.2 3.7 6.4 55.7 38.6 3.9 1.8 ほぼ全て妻が行い 夫はしない 妻が 7~8 割 夫が 2~3 割 夫婦で半々 妻が 2~3 割 夫が 7~8 割 ほぼ全て夫が行い 妻はしない 注 : 相談しあっている は 配偶者とは困ったときに相談しあっている に あてはまる と どちらかといえばあてはまる に回答した人の合計 あまり相談しない は どちらかといえばあてはまらない と あてはまらない に回答した人の合計である どちらともいえない は省略した 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Report Autumn 2017.10 23

4. 経済的にも家事等の家庭役割においても夫婦が自立した存在へ 以上 これから増えるであろう 子どもがいる共働き世帯 に注目し 夫婦関係を表す2つの側面 家事や子育ての分担状況と夫婦間のコミュニケーションの状況 及び両者の関連について分析を行った 家事や子育ての分担状況については 共働きであるが 家事にしても子育てにしても妻の方が多く負担している人が多い 妻に家事や子育ての負担が偏っている状況が続くと 妻の仕事の継続は難しくなる場合もある 男性自身も 若い人を中心に 家庭を優先すべき と思っている人が一定数いることを踏まえると 多くの人が その夫婦にとっての最適な分担によって夫婦で協力し 仕事と家庭を両立できるようになることが望まれる そのためには まず 男性がもっと家事や子育てなどを担えるよう 働く人々が共に協力し職場環境を変えることが重要である 男性が家事や子育てのために早めに帰宅したり休んだりしたいと思っても それができにくい雰囲気であれば 家事や子育てなどを担うことができない 現在も働き方改革により 長時間労働の解消や有給休暇の取得促進などの取組が行われているが こうした取組の定着とともに 働く人々が 上司 同僚などそれぞれの立場で 男性社員も家事や子育ての担い手であることを意識し お互いに理解しあえる職場づくりに変えていくことが必要である もう一つ重要なことは 夫婦間のコミュニケーションによって納得感のある分業が進むことである 夫婦でよく会話をしたり 相談しあったりしている人では 家事や子育てを夫婦で分担しているという意識を持っている人が多い 職業生活を続けている間には 仕事の繁閑もあるし 立場によっては責任の大きな仕事を任されるときもある 夫婦がともに家事と子育てを両立させるには こうした自分の仕事の状況などを伝え お互いに理解しあい 相手の仕事の量や責任を考慮しながら 納得感をもって家事や子育ての分担ができることが望ましい 調査結果では 40 代 50 代の共働き夫婦はコミュニケーションが比較的少なく 実際 妻に家事や子育てなどが偏っている傾向がみられた 小さな子どもを育てている間は夫婦で家事や子育てを協力し それぞれの職業生活を送る必要性があるが 子育てがひと段落した後も家事などの家庭役割は続いていく 子どもが小さい間はどちらかというと子育てに重心を置いて働いていた女性でも 子どもが育った後は仕事にシフトする生活を選択する道も開かれている 家事などの家庭役割の分散化は 共働き夫婦にとって 子どもの年齢にかかわらず すべてのライフステージにわたって仕事と家庭生活の両立のための一つの条件である したがって 来るべき共働き社会のためには 両立支援策の充実のみならず 夫と妻が経済的にも家事などの家庭役割においても 真に自立した存在としてパートナーシップを構築することができるよう 一人一人がそれぞれの立場で 働き方や夫婦のあり方などを見直すことが必要であろう ( 研究開発室まとばやすこ ) 24 Life Design Report Autumn 2017.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部