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保発第 号

Microsoft PowerPoint ➁-1 治療用装具に係る既製品のリスト化(案)

No. コード名データ型桁数コード値コード値の内容補装具種目 X 殻構造義肢義手特例 殻構造義肢義足特例 殻構造義肢上腕義手装飾用 殻構造義肢上腕義手作業用 連携後登録不可 殻構造義肢上腕義手能動式 殻構造義肢上

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Microsoft Word - toukyuhyo

治療用装具の耐用年数 装具本体 耐用年数以内の破損及び故障に際しては 原則として修理または調整を行う 区分 名称 型式 耐用年数 下肢装具靴型装具体幹装具上肢装具 股装具 長下肢装具 膝装具 短下肢装具 ツイスター 足底装具 頸椎装具 胸椎装具 腰椎装具 仙腸装具 側彎矯正装具 肩装具 肘装具 手背

選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 女子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック 100m 200m 400m 800m 1500m T T T T33/34 24

3. 肘関節 屈曲 : 基本軸は上腕骨 移動軸は橈骨 前腕が肩に近づく動き 伸展 : 基本軸は上腕骨 移動軸は橈骨 前腕が肩から遠ざかる動き 前腕は回外位で検査 肘関節伸展位 前腕回外位で前腕が橈側に偏位する ( 生理的外反肘 肘角 ) 他覚所見として外反( 内反 ) ストレス時疼痛 屈曲 ( 伸展

足関節

足部について

6 腰椎用エクササイズパッケージ a. スポーツ選手の筋々膜性腰痛症 ワイパー運動 ワイパー運動 では 股関節の内外旋を繰り返すことにより 大腿骨頭の前後方向への可動範囲を拡大します 1. 基本姿勢から両下肢を伸展します 2. 踵を支店に 両股関節の内旋 外旋を繰り返します 3. 大腿骨頭の前後の移

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(Microsoft Word - 00_\225\\\216\206.doc)

JIS T 9216:1991 金属製下肢装具用ひざ ( 膝 ) 継手 評価 ( 可能 おそらく可 不可 評価対象外 ) 9 試験方法 9.1 継手の遊び ( がた ) 量の測定方法 ひざ継手の大腿支柱を固定し 下腿支柱の矢状面内の屈曲 伸展方向に引張力を加え 変位量と引張力を検出できる装置を用いて

質疑回答 [ 肢体不自由 ] ( 肢体不自由全般 ) 1. 各関節の機能障害の認定について 関いずれか一方が該当すれば 認定可能で節可動域 (ROM) と 徒手筋力テスト (MMT) ある で具体例が示されているが 両方とも基準に該当する必要があるのか 2. 身体障害者診断書の 肢体不自由の状況 及

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2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目  次

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六別表の 2 の (5 ) の補聴器の項中重度難聴用イヤホン交換 眼鏡型平面レンズ交換 骨導式ポケット型レシーバー交換 骨導式ポケット型ヘッドバンド交換 FM 型用ワイヤレスマイク充電池交換 F M 型用ワイヤレスマイク充電 用 AC アダプタ交換 F M 型用ワイヤレスマイク外部入力コード交換及び

行為システムとしての 歩行を治療する 認知神経リハビリテーションの観点

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整形外科後期臨床研修プログラム

5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側

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01(別添)告示本文


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等級割合第660% 第7級50% 第8級障害の状態 耳の聴力を全く失い 他耳の聴力が 40 センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの級4せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 51 上肢の3 大関節中の2 関節の用を廃したもの 61 下肢の3 大関節

背屈遊動 / 部分遊動 装具の良好な適合性 底屈制動 重心移動を容易にするには継手を用いる ただし痙性による可動域に抵抗が無い場合 装具の適合性は筋緊張の抑制に効果がある 出来るだけ正常歩行に近付けるため 痙性が軽度な場合に用いる 重度の痙性では内反を矯正しきれないので不安定感 ( 外 ) や足部外

GM アフ タ クター & アタ クター どの年代でも目的に合わせたトレーニングができる機器です 油圧式で負荷を安全に調節できます 中殿筋と内転筋を正確に鍛えることで 骨盤が安定し 立位や歩行時のバランス筋力を向上させます 強化される動き 骨盤 膝の安定性 トリフ ル エクステンサー ニー エクステ

スライド 1

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第3回 筋系

Ⅰ 医療扶助実施方式

2015 年度手術のうちわけ ( 実績 ) セキツイ脊椎 ナンブソシキ軟部組織 椎間板摘出術 35 アキレス腱断裂手術 40 内視鏡下椎間板摘出 4 腱鞘切開術 ( 関節鏡下によるものを含む ) 0 シュコンカン 脊椎固定術 椎弓切除術 椎弓形成術 ( 多椎間又は多椎弓の場合を含む )( 椎弓形成

靭帯付 関節モデル ( 全 PVC 製 ) AS-6~AS-12 骨格の靭帯部分を 個別関節モデルとしてお買い求め頂けます 弊社カタログでは多くの選択肢の提案に努めています ご希望に合わせてお選び下さい ( 経済型関節モデル靭帯付 AJ-1~7 も良品です )

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要旨一般的に脚長差が3cm 以下であれば 著明な跛行は呈しにくいと考えられているが客観的な根拠を示すような報告は非常に少ない 本研究の目的は 脚長差が体幹加速度の変動性に与える影響を 加速度センサーを用いて定量化することである 対象者は 健常若年成人男性 12 名とした 腰部に加速度センサーを装着し

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運動器検診マニュアル(表紙~本文)

Ⅱ 装具 1 下肢装具 靴型装具 長下肢装具 膝関節 足関節に異常運動や筋力低下 変形 痛みなどがある者 膝関節 足関節に加え 股関節にも異常運動や筋力低下 変形 痛みなどがある者 股関節 大腿骨 膝関節の何れかに異常があるため 下肢への体重負荷が難しい者 膝装具 膝関節に異常運動や筋力低下 変形

10032 O7-8 一般演題 7 TKA 1 11 月 13 日 ( 金 ) 16:00 ~ 17:05 第 3 会場 Room C O13-7 一般演題 13 上肢 肩 11 月 14 日 ( 土 ) 8:50 ~ 10: O8-6 一般演題 8 TKA 2 11 月

椎間板の一部が突出した状態が椎間板ヘルニアです 腰痛やあしに痛みがあります あしのしびれやまひがある場合 要注意です 対応 : 激しい運動を控えましょう 痛みが持続するようであれば 整形外科専門医を受診して 検査を受けましょう * 終板障害 成長期では ヘルニアとともに骨の一部も突出し ヘルニア同様

施術料金表 (1 割負担額 ) 相談支援料算定あり 初検日 + 冷罨法料 初検日 ( 冷罨法料加算なし ) 冷罨法料 初検料 1,460 円 初検料 1,460 円 相談支援料 50 円 相談支援料 50 円 1 部位 760 円 85 円 2,355 円 240 円 1 部位 760 円 2,27

膝関節運動制限による下肢の関節運動と筋活動への影響

要旨 [ 目的 ] 歩行中の足部の機能は 正常歩行において重要な役割を担っている プラスチック短下肢装具 (AFO) 装着により足関節の運動が制限されてしまう 本研究は AFO 装着により歩行立脚期における下肢関節運動への衝撃吸収作用や前方への推進作用に対しどのような影響を及ぼすかを検討した [ 対

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のモチベーションを上げ またボールを使用することによって 指導者の理解も得られやすいのではないかと考えています 実施中は必ず 2 人 1 組になって パートナーがジャンプ着地のアライメントをチェックし 不良な場合は 膝が内側に入っているよ! と指摘し うまくいっている場合は よくできているよ! とフ

クッション 製品名 : ジェイフュージョンクッション メーカー支持部下記参照 JFUSION 58,000 により枝番あり 例 : 15"x16" JFUSION "x17" JFUSION "x18" JFUSION "x16" JFUSION "x

三角巾は 救急処置における包帯処置として 止血に必要な 圧迫 創傷部を空気に触れないようにする 被覆 打撲や骨折箇所を安静に保つための 固定 に使われます Ⅰ. 三角巾の名称 Ⅱ. 三角巾の形態三角巾の使用時の形態により主に3 種に区分されます 1. 全巾体表面を被覆 ( ガーゼ等の支持も含む )

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第1 身体障害者手帳について

氏名 ( 本籍 ) 中 川 達雄 ( 大阪府 ) 学位の種類 博士 ( 人間科学 ) 学位記番号 博甲第 54 号 学位授与年月日 平成 30 年 3 月 21 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 股関節マイクロ牽引が腰下肢部柔軟性に及ぼす影響 - 身体機能および腰痛

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わたしたちのやりたいケア 介護の知識50

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( 参考 ) 国民年金法施行令別表 厚生年金保険法施行令別表第 及び第

一身体障害認定基準 ( 総括的解説 ) 1 肢体不自由は機能の障害の程度をもって判定するものであるが その判定は 強制されて行われた一時的能力でしてはならない 例えば 肢体不自由者が無理をすれば1kmの距離は歩行できるが そのために症状が悪化したり 又は疲労 疼痛等のために翌日は休業しなければならな

○○大会・大会参加者補償規程

2012 年度リハビリテーション科勉強会 4/5 ACL 術後 症例検討 高田 5/10 肩関節前方脱臼 症例検討 梅本 5/17 右鼠径部痛症候群 右足関節不安定症 左変形性膝関節症 症例検討 北田 月田 新井 6/7 第 47 回日本理学療法学術大会 運動器シンポジウム投球動作からみ肩関節機能

退院 在宅医療支援室主催小児医療ケア実技研修会 看護師のための 緊張が強いこどものポジショニング 神奈川県立こども医療センター 発達支援部理学療法科 脇口恭生 1

オットーボック フィットネスアプリ Fitness for amputees 切断者のためのフィットネス < フィットネスアプリとは > スマートフォンや タブレット端末にダウンロードし 気軽にフィットネスが出来る切断者の皆様のためのアプリが登場しました 既に義足を装着されている方や これから義足を

【股関節の機能解剖】

1 体幹が安定すると早くなる? お腹まわりを安定させ 体幹が安定していると 泳いでいる時に 抵抗の少ない良い姿勢をキープできるようになり 速く泳げるようになる可能性があります体幹が安定せず 抵抗が大きい姿勢となれば 早く泳ぐことができない可能性があります また 脚が左右にぶれてしまうため 抵抗が大き

村上 ほか:片 麻痺 に対す る短下肢装具 の適応基準 2-2 反張膝 反張 膝 は立 脚 中期 か ら後期 にみ られ,下 肢 の支 持 性 の コ ン トロー ル が不 十 分 な場 合 に,膝 関節 を 最 大 伸 展 し軟 部 組 織 に よ る支 持 性 を求 め る結 果 と して起 こ

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渡辺 ほか:脳 卒 中片麻痺者 の異常歩行 と下肢装具処方 ③ 装 具 を 用 い る期 間 は どれ く らいか,④ 装 着 す る の は屋 内 か,屋 外 か,⑤ 患 者 は処 方 しよ うと して い る装 具 を 受 け入 れ て くれ そ うか(身 体 的 心 理 的,経 済 的 に),

葛原 / 日本保健医療行動科学会雑誌 28(2), 焦点 3 筋の不均衡を改善するためのパートナーストレッチング 葛原憲治愛知東邦大学人間学部人間健康学科 Stretching with a Partner to Improve Muscle Imbalance Kenj

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オプション チェストサポート 体幹や骨盤の支持をする事ができ幅の調節や前後のパッドの角度の調節ができます S:47 ー 64cm( 内径 ) M:67 ー 78cm( 内径 ) L:87 ー 114cm( 内径 ) シート 休憩時に座ることができ 歩行時にも荷重を調節することもできます 足が前後にス

(Microsoft Word - \225\266\217\221 1)

P26 3. 肩関節複合体の関節運動肩複合体の関節運動 P27 図 15 P28 4. 肩関節複合体の運動に関与する筋肩複合体の運動に関与する筋 P28 (2) 下制 3 行目 鎖骨下神経 鎖骨下筋神経 P28 下から 1 行目長筋神経長胸神経 P29 図 17 ( 誤 ) 2

筑波技術大学 紀要 National University Corporation 3 レッドコード ニューラックとは レッドコードの正式名称はレッドコード ニューラックといい ノルウェーで生まれたスリングセラピーの新しい技術である スリングセラピーは ただ単に重力を免荷するだけではなく 適切な動き

03-01【参考資料】①柔道整復に係る療養費の概要(25改定請求件数リニュー版)

学術教養特集2 間橋 淑宏

後遺障害別等級表・労働能力喪失率

IV. 対象者および方法 1) 対象者 1 I S 様,54 歳, 男性, 身長 :170cm, 体型 : やせ気味. 胃瘻栄養法 半固形栄養食摂取 脊髄小脳変性症 硬膜下血腫による両上下肢機能の全廃及び体幹機能の障害あり 随意運動なし 両膝関節屈曲拘縮 両足関節に内反拘縮みられる 褥瘡はないが発汗

微弱電流の通電

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歩行およびランニングからのストップ動作に関する バイオメカニクス的研究

方向の3 成分を全て合成したもので 対象の体重で除して標準化 (% 体重 ) した 表 1を見ると 体格指数 BMI では変形無しと初期では差はなく 中高等度で高かった しかし 体脂肪率では変形の度合が増加するにつれて高くなっていた この結果から身長と体重だけで評価できる体格指数 BMI では膝 O

ITTF Para Table Tennis クラス分けルール (2018 年発行版一部日本語訳 ) 翻訳 : 鈴木聖一 大野洋平 ( 日本肢体不自由者卓球協会チームドクター ) * 肢体不自由アスリート向けの部分のみ抜粋して日本語訳しました (

80 武凪沙, 他 態で腰椎のわずかな右側屈により 骨盤を右挙上させ下肢を後方へと振り出す これに対し本症例は 立位姿勢から上位胸椎部屈曲位 胸腰椎移行部屈曲 左非麻痺側 ( 以下 左 ) 側屈位を呈し体幹直立位保持が困難となっていた また右股関節 膝関節が左側と比べてより屈曲していることで骨盤右下

膝蓋大腿関節 (PFJ) と大腿脛骨関節 (FTJ) Femur Tibia Patella

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Q8 慢性疼痛患者指導料を月初めに算定している患者で 20 日は消炎処置のみ施行した場合はどちらを打つのですか? 両方記入するのでしょうか? A8 消炎鎮痛処置での入力か 医療行為欄は空白 ( 診察のみ ) のどちらかで入力お願いします Q9 頭部や顔面は 体幹で宜しいのでしょうか? 鼻骨骨折等はど

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Transcription:

装具 1 装具の定義 装具とは外傷 疾病等による変形や機能障害に対して 変形の予防 矯正 患部の保護 失われた機能 の代償や補助等を目的として 四肢 体幹の機能障害を軽減するために使用する補助装置である 2 装具の機能的分類 装具は機能的に次のように分類される (1) 固定用装具 一定の角度に身体の一部を固定するために使用する装具 (2) 支持装具 一定の姿勢を維持するために使用する装具 (3) 矯正用装具 変形を矯正するために使用する装具 (4) 免荷装具 下肢の一定の部分にかかる体重を免荷または減少させるために使用する装具 (5) 歩行用装具 歩行の際に使用する装具 (6) 立位保持用装具起立のために使用する装具 (7) 夜間装具 変形の予防や矯正のために夜間就寝時またはベッドでの安静時に使用する装具 (8) 牽引装具 牽引を目的に使用する装具 3 装具の身体部位別分類 装具は装着する身体部位により大別すると 下肢装具 体幹装具 上肢装具に分類される 4 下肢装具下肢の機能障害に対して 1 立位の保持 ( 関節固定 )2 変形の予防及び矯正 3 不随意運動の抑制 4 体重の支持 及び免荷等を目的として用いられる 次の種類があり 材質等の違いにより基本構造の型式として金属枠 硬性 両側支柱 軟性等がある ( 靴型装具 足底装具には別な型式があり それについては それぞれの項で説明する ) (1) 下肢装具の種類ア股装具骨盤から大腿下部におよび 股関節の動きを制御する装具 金属枠硬性軟性

イ長下肢装具基本的には 大腿上部より足底におよぶもので 膝関節と足関節の動きを制御する装具 障害の状態により膝関節と足関節に加えて 股関節の動きを制御することもあり この場合体幹装具付長下肢装具が用いられる 足部おおい 足底板 両側支柱片側支柱硬性骨盤帯付両側支柱 ウ膝装具 大腿から下腿におよぶもので 膝関節の動きを制御する装具 反張膝 ( 膝関節が過伸展する状態 ) 用装具としてスウェーデン式がある 両側支柱硬性スウェーデン式軟性 ( 支柱なし ) 軟性 ( 支柱付 ) エ短下肢装具下腿上部より足底におよび 足関節の動きを制御する装具 他の装具と比較して種類が多いため 型式について簡単に説明する ( ア ) 両側支柱両側に金属支柱を持つもの 短下肢装具の中で 最も多く交付される ( イ ) 片側支柱片側のみに金属支柱を持つもの ( ウ ) S 型支柱 S 型のらせん状の支柱を持つもの ( エ ) 鋼線支柱足関節の高さ付近で円形に曲げられたコイルバネの機能の支柱を持つもの

( オ ) 板バネ金属またはプラスチックスの板バネ支柱を持つもの ( カ ) 硬性石膏で作られた陽性モデルにより成形されて作られたもの 材質はプラスチックスや皮革等 金属支柱があるものと金属支柱が無いものとがある ( キ ) 軟性ゴムひもを用いて足関節を背屈位に保つもの 両側支柱片側支柱鋼線支柱 S 型支柱板ばね式 硬性支柱なし ( シューホン ) 硬性支柱なし ( 遊動継手 ) 硬性支柱付き軟性 オツイスター 骨盤帯と足部を布ひも ゴムひもまたは鋼製ケーブルによって結び 下肢の内外旋を制御するもの 軟性 鋼製ケーブル カ足底装具足部の変形や疼痛の除去 下肢の短縮の補正や体重支持面の矯正等に用いられるもの ただし靴型装具は除く ( ア ) アーチサポート ( ふまず支え ) 足部の縦アーチを支えるもので 扁平足や凹足等 足部の縦アーチの補正に用いられる ( イ ) メタタルザルサポート ( 中足支え ) 足部の横のアーチを支えるもので 扇足や中足骨部の痛み等 足部の横のアーチの補正に用いられる

( ウ ) 補高左右の下肢長差を補正するもの 足底板 ( 簡易型 ) による補正方法と足部おおいによる補正方法とがある 基本時には 補正数が少なく踵部分のみで補正する場合は簡易型だが 補正数が多く足底全体で補正する場合は足部おおい型が用いられる ( エ ) 内側楔 外側楔楔状で足底の一部を傾斜させることによって足部の内側にかかる体重を外側に移すもの または足部の外側にかかる体重を内側に移すもので 軽度の内外反足 O 脚やⅩ 脚等に用いられる アーチサポート メタタルザルサポート 補高 ( 簡易型 皮革小 ) 補高 ( 足部おおい型 皮革大 ) 外側楔 キ靴型装具足部の変形や疼痛の除去 下肢の短縮の補正や体重支持面の矯正等に用いられる靴の形をした装具 ( ア ) 靴型装具の制作方法による分類整形靴 : 標準木型に皮革 フェルト等を張って作られる靴 特殊靴 : 陽性モデルから作成した特殊木型によって作られる靴 木型 ( イ ) 靴型装具の形状による分類 種 類 具体的内容 短 靴側革が果部より低い靴 チャッカ靴側革の高さが果部に及ぶ靴 半 長 靴側革の高さが果部より高い靴 長 靴側革の高さが下腿の 2/3 以上に及ぶ靴

( ウ ) 付属品等の加算要素靴型装具ではヒールや足底などの補正を行うことができるが ここでは補高について説明する 補高とは左右に脚長差がある場合や尖足変形等がある場合に 長さを合わせたり安定を図るために行う補正 敷き革式 ( 靴の内側 ) での補正と靴底での補正による組合せで行う 短 靴 チャッカ靴 半長靴長靴 補高 ( 敷き革式 ) 補高 ( 靴底式 ) (2) 下肢装具の主な部品と付属品股装具 長下肢装具 膝装具 短下肢装具の主な部品と付属品について説明する 継手等の完成用部品については 完成用部品の項で説明する ア半月下肢装具の支柱に取付け 下肢の後面または前面を半周する半円状の帯板部品 装具を肢体に固定すると共に 支柱の位置決めの機能や装具の強度を高める機能を持つ部品 イカフバンド上肢または下肢の一部を一周するように被覆する部品で 皮革等で作られた固定用のバンド ウ支柱義肢 装具に用いる金属またはプラスチック製の柱状棒材で 義肢の外力負担 装具の外力もしくは変形矯正 予防の力を負担し また 継手等の部品や付属品を取付ける土台となる部品

エ継手股継手 膝継手 足継手があり それぞれ股関節 膝関節 足関節の動きを制御する部品 完成用部品と完成用部品でないものとがある ここでは完成用部品でない継手 ( 製作要素のみの継手 ) について説明する 遊動継手と固定継手とがあり 遊動継手は材質の弾性を利用した継手であり 固定継手は一本棒状の金属支柱をもった全く動きのない継手である 完成用部品でない継手は足継手に用いられることが多いので 以下 足継手のみ図示する オ Tストラップ Yストラップ足関節の内反 外反変形を矯正する目的で支柱に向かって引きよせる T 型または Y 型の帯状のもの カあぶみ足継手と足部を連結するもので 支柱の足継手以下の部分 半月 カフバンド 支柱 Y ストラップ 足継手 あぶみ 短下肢装具の構成部品 継手 継手 継手 完成用部品でない継手 ( 遊動継手 ) 継手 完成用部品でない継手 ( 固定継手 )

5 体幹装具 (1) 体幹 ( 脊椎 ) の部位的分類 体幹 ( 脊椎 ) は部位により次のように分類される 頸椎 胸椎 胸郭 脊椎 腰椎 腸骨 仙骨 恥骨 骨盤 坐骨 (2) 体幹装具の種類体幹装具は 体幹の機能障害に対して 1 変形の防止 2 変形の矯正 3 体重の支持 4 不随意運動の抑制等を目的として用いられる 次の種類があり 基本構造の形式として金属枠 硬性 軟性等がある ア頸椎装具基本的には肩甲から頭蓋におよび 頸椎の動きを制御する装具 金属枠硬性カラー ( あご受けあり ) カラー ( あご受けなし ) イ胸椎装具 骨盤から胸背部におよび 胸椎 腰椎 仙腸関節の動きを制御する装具 金属枠硬性軟性

ウ腰椎装具 骨盤から腰部におよび 腰椎と仙腸関節を制御する装具 金属枠 ( ナイトブレース ) 硬性軟性 エ仙腸装具 骨盤をつつみ 仙腸関節の動きを制御する装具 金属枠硬性軟性骨盤帯 ( 芯あり ) 骨盤帯 ( 芯なし ) オ側弯矯正用装具側弯の矯正に用いられる装具で 構造的に骨盤から頭部におよぶもの ( ミルウォーキーブレース ) と 頭部におよばないものとがある 頭部におよばないものの型式としては 金属枠 硬性 軟性がある ミルウォーキーブレース 硬性

6 上肢装具上肢の機能障害に対して 1 機能を失った筋または起動力の代用 2 弱筋または関節の補助 3 固定 保持及び矯正等を目的として用いられる (1) 上肢装具の種類ア肩装具肩関節の動きを制御する装具 肩関節を外転位に保持し 骨盤から前腕に及ぶものを基本とする イ肘装具上腕から前腕に及ぶもので肘関節の動きを制御する装具 肩装具 肘装具 ウ手背屈装具前腕から手部におよび 手関節を背屈位に保持する装具で 主として手関節 手指に障害がある者に用いられる 次のような種類がある ( ア ) バネル型前腕部と手部を板ばねによって結ぶもの ( イ ) トーマス型ゴムによって手関節を背屈位に 母指を外転位に保つもの ( ウ ) オッペンハイマー型鋼線を主材料として手関節を背屈位 M P( 指の基節部 ) 伸展 母指外転位をとらせるもの ( エ ) 硬性プラスチックス 皮等硬性材料で作られたもの 手背屈装具 ( 硬性 )

エ長対立装具前腕から手部におよび 手関節を背屈位に保持し 母指を対立位に保つ装具 手関節 手指に障害があり 母指と示指との摘み動作ができない者に用いられる オ短対立装具母指を対立位に保つ装具 手指の機能障害で 母指と示指との摘み動作ができない者に用いられる 長対立装具 短対立装具 カ把持装具前腕から手部におよび 母指と示指 中指間でつまみを可能にする装具 手関節駆動式と ハーネス駆動式とがある キ M P 屈曲装置 ( ナックルベンダー ) M P 伸展装置 ( 逆ナックルベンダー ) 手部から母指を除く他指の基節におよび M P 関節を屈曲または伸展させる装具で 手指の変形の矯正に用いられる 基準では使用材料等によりバネル型 プラスチックス 軟性等に分けられている ク指装具 ( 指用ナックルベンダー 指用逆ナックルベンダー ) PIP( 末節 ) 及び DIP( 中節 ) 関節を伸展位 または屈曲位 あるいは内外位に保持する装具で 指一本ごとの変形矯正等に用いられる ケ B F O( 食事動作補助器 ) 前腕を平衡をとった状態で支え ボールベアリングを利用してわずかな力で運動を可能にする装置 上肢の機能がほぼ全廃に近い者に用いられる