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原因食品 事件数 (%) 患者数 (%) 食肉 鶏肉 482 うち 生食 鶏刺し,鶏たたき等 306 (16.2) 食品の77 4 鶏肉の 64 (3.1) 牛肉の 98% (0.1) 43 その他* 不明** (1.5) 696 (3.7) 7 (0.2) 281 (1.5) 2,343 (78.

表 1-2. コーデックスガイドライン (Codex Guidelines)2018 年 2 月現在 78 ガイドライン コーデックスガイドラインは 食品の安全性 品質 取込み可能性を確実にするために 証拠に基づいて 情報と助言を推奨手順と同時に提供するものである ガイドラインタイトル策定 部会 最

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Transcription:

生食肉の規格基準 - 生肉食べて大丈夫?- 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 いぎみしずのぶ 五十君靜信 igimi@nihs.go.jp 1 平成 24 年度国立医薬品食品衛生研究所シンポジウム 2012.7.27 Division of NIHS Biomedical Food Research

生食肉の規格基準 実は画期的 生食肉の特殊性 : 対象となった食品は食べる部分を直接殺菌できない特殊な食品 コーデックスの求める基準設定のガイドラインに基づいて作成された最初の規格基準 数的指標??? を導入した初めての規格基準 数的指標を確定するために リスク評価により科学的根拠のある数値の算出 腸内細菌科菌群試験法 ( 国際スタンダード ) の導入 検証のための微生物検査に本格的なサンプリングプランの導入 2

微生物学的リスク管理のための 数的指標 (Metrics) の導入 ( コーデックス委員会 ) 数的指標 Metricsの導入 - FSO (Food Safety Objectives)( 摂食時安全目標値 ) 摂食時点での微生物学的目標値 - PO (Performance Objectives)( 達成目標値 ) フードチェーンのより上流での微生物学的目標値 - PC (Performance Criteria)( 達成基準 ) 例 :44 対数個減少する処理 微生物学的リスク評価を用いた 食品中の数的指標と公衆衛生指標 ( リスク ALOP) との関連付けが望ましい 3 Principles and Guidelines for the Conduct of Microbiological Risk Management and its annex on Guidance on Microbiological Risk Management Metrics (CAC/GL 63-2007)

数的指標 (FSO, PO, PC) から微生物学的基準 (Microbiological i l Criteria) i 設定への流れ (CAC/GL 63-2007 より ) FSO: Food Safety Objective( ( 摂食時安全目標値 ) PO: Performance Objective( 達成目標値 ) PC: Performance Criterion( 達成基準 ) 生産加工流通小売調理 消費病気 3 4 2 達成基準 (PC) 達成目標値 (PO) 微生物学的基準 (MC) 3 2 達成基準 (PC) 3 達成目標値 (PO) 微生物学的基準 (MC) 1 摂食時安全目標値 (FSO) 微生物学的基準 (MC) ALOP ( 公衆衛生上の目標値 ) 3 厚労審議会 配付資料改変原図 : 春日文子

新たな規格基準を設定するためには 5 当該食品と関連する微生物に関するリスクプロファイルの作成とリスク評価項目の決定 科学的根拠のあるリスク評価を実施 リスク評価の結果を受けて リスクマネージメント方法を検討 数的指標 (FSO,, PO, PC, MC) を用いたマネージメント方法の決定 新たなる規格基準案の設定 WTOへ通報し 海外からの指摘に対する対応

生食用食肉規格基準 ( 平成 23 年 10 月 1 日施行 ) 対象となる食品生食用食肉として販売される牛の食肉 ( 内臓を除く ) ユッケ タルタルステーキ 牛刺し 牛タタキなど 管理の対象となる微生物腸管出血性大腸菌 サルモネラ属菌 成分規格の指標として 腸内細菌科菌群とする 加工基準枝肉から切り出した後 速やかに加熱殺菌を行う 保存基準冷蔵 4 以下 凍結 -15 以下で保存 調理基準 6

加工基準のポイント 肉塊が接触する設備は専用のものとする 認定生食用食肉取扱者 ( 適任と認める者 ) をおく 加熱殺菌による加工基準熟成を経ず 加熱殺菌までの処理を速やかに行う肉塊を容器包装に入れて密封し 温浴加熱処理肉塊の表面から1cm 以上 60 2 分間以上 殺菌の検証 25gずつ25 検体以上の検査を定期的に実施検査では腸内細菌科菌群検出されない年 1 回以上行い 記録を保存 7

生食肉の基準における数的指標 (FSO, PO, PC) から微生物学的基準 (MC) の設定 FSO: 摂食時安全目標値 : 腸管出血性大腸菌 0.014014 cfu/g PO: 達成目標値 : 腸管出血性大腸菌 0.0014 cfu/g PC: 達成基準 4 対数個以上減少 生産加工流通小売調理 消費病気 達成基準 (PC) 4 対数以上低下 8 達成目標値 (PO) 0.0014cfu/g MC: 腸内細菌科菌群 25g25 検体全て陰性 摂食時安全目標値 (FSO) 0.014cfu/g 公衆衛生上の目標値 (ALOP) 腸管出血性大腸菌による死者をゼロに

微生物学的基準 (MC) Principles for the Establishment and Application of Microbiological Criteria for Foods (CAC/GL 21 1997) 9 原則的に : 食品製品あるいはあるロットの合否を規定するもの 特定の試験法とサンプリングプランの使用条件下で認められる微生物濃度と汚染頻度 考慮される要素 : 微生物 ( 毒素 ) サンプリングプラン ( 二階級法 三階級法 1 ロットあたりの検体数 基準値 基準値を超してもロットを合 格とする検体の数 ) 検査単位 ( 一検体あたりの重量あるいは容量 ) 試験 ( 検出 ) 法 フードチェーンにおいて適用される箇所 厚労審議会配付資料より原図 : 春日文子

食品衛生における微生物試験法の要点 微生物学的基準 (MC) では 試験法は ISO 法 または同等の感度 再現性 信頼性などが 妥当性確認された方法を採用する 国内の試験法は ISO 法に準拠するか 妥当性確認が行われていると国際的に認知される試験法の整備が急務 10

病原体を対象とした試験法 ( 通知法等 ) サルモネラ属菌 腸管出血性大腸菌 NIHSJ-01 ISO 6579 通知法 O157, O111, O26, O104 1. 腸管出血性大腸菌では 血清型毎培地が異なる試験法が示されているが 上記以外の血清型を検査する方法は示されていない< 検査を行っても穴が出来てしまう> 2. 病原体を対象とした試験では 通常まれにしか存在しない病原体自身を高い精度で検出する必要があり 検体数を充分に大きくしなければならない<サンプリングプラン上不可能 > 3. 病原体を対象とした評価のためには それぞれの対象菌について試験を行わなければならない< 対象病原体を検出 > 11

衛生指標菌試験法の長所 短所 長所 短所 検出可否 サルモネラ 腸管出血性 属菌 大腸菌 腸内細菌科菌群 (Enterobacteriaceae) 分類学的な根拠があり コーデックスでも微生物基準として既に採用されている 国内では あまり用いられていない coliforms 海外で汚染指標として用いられている 国内の大腸菌群とは培地の相違により同一でない 大腸菌群 国内の汚染指標として広く用いられている 海外の coliforms とは 同一でない 糞便系大腸菌群国内の基準として実績がある海外の試験法にはない * 推定大腸菌 海外では 汚染指標として用いられている 国内では あまり用いられていない * 大腸菌 分類学的な根拠があり 遺伝子学的な試験法への移行が可能である IMViC 試験まで行うのは煩雑である * 12 *: 一部の病原菌は増殖しないものがある

腸内細菌科菌群を採用した背景 1. ISO 試験法として 国際的に実績のある妥当性確認されている試験法である 2. コーデックスの乳児用調製粉乳の微生物基準に採用されており EUでは食肉の衛生検査の試験法に採用されている 3. 植物常在菌も含まれるが 食肉検査ではこのような菌は問題となっておらず 糞便汚染として利用可能である 4. 糞便汚染指標に加え 理論的には対象となる病原体の検出も可能である ( 他の衛生指標では サルモネラ属菌は検出できない ) 5. 将来的には遺伝学的試験法にも対応可能と思われる 留意点国内での試験実績は少ないので 試験法普及のための研修会等を行う必要がある 13

達成目標値を満たす加熱加工の検討項目 1. 牛肉検体へのO157 浸潤性 1) 検体の違い ( 部位 熟成度 ) 2) 接種菌数の違い 3) 分布の精査 ( 培養法 顕微鏡像 ) 2. 温浴加熱を用いた殺菌条件の検討 1) 温度の違い 2) 加温時間の違い 3) その他の加熱条件 3. 加熱条件の検証 1) 人工汚染における加熱効果の検証 2) 加熱処理による自然汚染除去検証 14

O157の牛肉内局在 浸潤度に関する検討に関するまとめ 1. O157 添加回収試験において 解体後熟成の進んだ牛肉検体では 解体直後 (4 日後 ) の検体に比べて より深部に接種菌を認めた 解体直後の検体を使用する優位性 2. 10 4 オーダーの O157 を牛肉検体に接種した場合に O157 は表面から5-10mm下まで検出された 表面 10mm下までのモニターが必要 3. 顕微鏡観察により 多くのO157 接種菌表面に滞留するが 部分的には一定の深部浸潤を示した 表面加熱による殺菌方法の検証が必要 15 表面下 10 mmまでの殺菌条件について提案する必要性

温浴加熱に関するまとめ 1. 約 250-300gの牛肉ブロック検体においては 表面下 10mmで 60 2 分間の温度条件を満たす 加熱条件を 85 温浴にて検証 85 10 分として設定 2. ただし これは牛肉検体のサイズが異なると大きく変動する要因である 各機関における条件設定が必要である 3. 約 250-300gの牛肉ブロック表面にO157 サルモネラ属菌を接種した場合の 85 10 分加熱条件による殺菌効果の検証 腸内細菌科菌群, O157, サルモネラ属菌 4. 85 10 分の加熱条件を適用した場合において 約 250-300g の牛肉ブロック表面および内部における衛生度合の検証 腸内細菌科菌群試験法 (n=90 程度 ) の検証 16

数的指標を導入した初めての微生物規格 基準は何をもたらしたか 1. 数的指標を導入した規格基準作りでは 基準を作成するために必要な科学的根拠を明確にする必要がある危害分析 リスク評価などシステムの整備 2. 数的指標 (FSO, PO, PC) の設定により 微生物学的基準 (MC) におけるサンプリングプランと 国際的な試験法の導入が進んだ試験法のバリデーション 精度管理の重要性 3. 数的指標に対応した高い精度の工程管理が求められ 科学的根拠のある微生物管理が求められる 17