ポジティブリスト制度の総合対策

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目 次 I. わが国における輸入食品中残留農薬の検出状況の推移 各年度の輸入食品中残留農薬の検査結果 輸入食品検査結果の項目について 1-2. 項目数及び違反件数の集計 ~2007 年度に検出された農薬 2. 農薬別の検出状況について

インド 12 3 エビ イカ オーストラリア 13 3 マグロ エビ フィリピン 14 1 マグロ カツオ エビ アイスランド 15 1 その他の魚 ハリバット 魚卵 スペイン 16 1 マグロ タコ マルタ 17 1 モロッコ 18 1 タコ イカ モーリタニア 19 1 タコ ニュージーランド

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国務院は国家質検総局の主要職責 内部機構設置及び人員編成の十三項目の主要職責と 18 の内部機構を批准 国務院弁公庁はこのほど 国務院が認可した 国家質量監督検験検疫総局主要職責 内部機構設置及び人員編成の規定 ( 以下 三定 という ) の通知を公表 配布した 三定 規定は 国務院機関設置に関する

( 権限の委任等 ) 第十五条内閣総理大臣は, この法律の規定による権限 ( 政令で定めるものを除く ) を消費者庁長官に委任する 2 及び3 略 4 この法律に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は, 政令で定めるところにより, 都道府県知事又は地方自治法 ( 昭和二十二年法律第六十七号

表 1-2. コーデックスガイドライン (Codex Guidelines)2018 年 2 月現在 78 ガイドライン コーデックスガイドラインは 食品の安全性 品質 取込み可能性を確実にするために 証拠に基づいて 情報と助言を推奨手順と同時に提供するものである ガイドラインタイトル策定 部会 最

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農林漁業の生産資材に由来する食品安全に関する緊急時対応実施指針 平成 18 年 1 月農林水産省消費 安全局

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第 3 条第 2 項 農薬の登録を保留することができる場合に該当するかどうかの基準 ( 水産動植物被害に係る基準及び水質汚濁に係る基準を除く ) を設定 変更しようとするとき ( 外国製造農薬に係る登録について準用 ) 肥料取締法 ( 食品安全基本法第 24 条第 1 項第 3 号 ) 条 項 食品

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万八千六百円 ) 3 現に機関登録を受けている者が他の機関登録を受けようとする場合における法第十四条第一項の政令で定める額は 前二項の規定にかかわらず 同条第一項の農林水産省令で定める各区分について 当該各区分が次の各号に掲げる区分のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める額とする 一法第二条第二項

神戸市における食品添加物の検査状況 平成 26 年度 保存料 甘味料 着色料 漂白剤 発色剤 酸化防止剤 品質保持剤 防かび剤 その他 計 魚介類加工品 違反内容 違反食品等 調査結果 肉類及びその加工品

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2 有効成分名 添付文書及び審査報告書に基づき記載する 3 品目名 ( 後発医薬品 ) 添付文書及び審査報告書のほか薬価基準収載品目リストにより記載する 複数の品目がある場合は 個別医薬品コード (YJ コード ) 順に番号を振り 記載する ( 複数規格があっても 全規格まとめて YJ コード順とす

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上ある場合は 現行ルールと同様 3カ国目以降を その他 と表示することができる 一方 冠表示には いちごジャム の いちご のように 商品を特徴付ける原料が商品名に含まれるものの他に ブルーベリーガム の ブルーベリー のように 風味を表しているもの さらには たいやき の 鯛 のように 商品名自体

HACCP 導入率 ( 参考 ) 平成 27 年度 29% ( コーデックス原則のみ ) 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度 33 年度 30% 40% 50% 60% 80% 推進に当たっては 以下を 中間アウトカム目標 として取り組んでいく 1 平成 31 年度までに業界団体による手

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1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

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員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

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表 1 検査対象 144 農薬 ( 平成 26 年度 ) GC 項目 :103 LC 項目 :41 EPN ジフェノコナゾール ビフェントリン フルミクロラックペンチル アゾキシストロビン テブチウロン アクリナトリン シフルトリン ピラクロホス プロシミドン イマザリル テブフェノジド アジンホス

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検討の背景 現在 輸入乾牧草と競争力のある粗飼料の増産を中心として飼料自給率の向上を目標に施策を展開 一方 稲わら等を給与された家畜に由来する畜産物の安全を確保することが喫緊の課題 19 年度 ( 概算 ) 551 万 TDN トン 輸入 22% 国産 78% 27 年度 ( 目標 ) 590 万

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目 次 Ⅰ 今回の一部改正の背景と改正前の原料原産地表示制度 1 1 改正の背景 1 2 改正前の原料原産地表示制度 1 Ⅱ 新たな原料原産地表示制度 1 1 食品表示基準別表第 15 追加品目と変更点 1 2 表示の対象と表示方法 2 3 新たな表示方法 3 (1) 又は表示 (2) 大括り表示

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1. 元職員による働きかけの規制 ( 第 38 条の 2 関係 )1 1 離職後に営利企業等 1に再就職した元職員(= 再就職者 ) は 離職前 5 年間に在職していた地方公共団体の執行機関の組織等 2の職員に対して 当該営利企業等又はその子法人と在職していた地方公共団体との間の契約等事務 3につい

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米国食品安全強化法 (FSMA) の概要 背景米国で多数の食品事故が起き 公衆衛生上の大きな負担となっているが ほとんどの場合は予防可能な危害であると考えられている そのため 食料供給の過程で安全を保障することにより公衆衛生を向上する目的で 食品医薬品局 (FDA) の権限を多岐にわたり強化するため

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表 1 種類及び品目数 分類検体数品目数内訳 ( カッコ内は検体数 ) 野菜 果実 生鮮 冷凍 計 214 生鮮 冷凍 乾燥 11 7 アーティチョーク (1) アスパラガス(17) インゲン(1) エダマメ(1) エンダイブ (3) オクラ(10

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第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

2. しゅんぎく ( 試料数 :60 検体 ) 分析試料 以上の結果 濃度範囲 基準値を越える アセタミプリド ~ アゾキシストロビン ~ イソキサチオン エマメクチン安息香

どうして GAP を導入するの? 産地や農家が安定した経営を続けるためには 次のような取組が必要です 産地の信頼を守るための体制を作りましょう 安全な農産物の生産は農家の責務です また 産地の農家のうち 1 人でも問題を起こせば 産地全体で出荷停止や商品回収を行わなければならず その後の取引にも影響

Transcription:

輸入食品等の安全性確保に関する意見交換会 2008.1.29( 東京 ) 30( 大阪 ) 中国における食品安全管理体制 ( 残留農薬検査を中心にして ) ( 株 ) アジア食品安全研究センター青島中検誠誉食品検測有限公司 佐藤元昭 1

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( 万トン ) 120 生鮮野菜の輸入量の推移 中国からの生鮮野菜輸入量は 約 6 割 100 80 82.7 85.7 89.5 69.7 80.3 88.7 99.7 60 59.0 40 27.2 29.4 36.6 32.0 38.8 50.4 20 24.1 26.1 19.5 15.1 14.1 13.8 14.2 0 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 総量 中国 米国 ( 農林水産省農林水産物輸出入概況 2005 5 より )

6

中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題の経緯 日付 動向 2002 年 3 月 16 日民間団体が 中国産冷凍ほうれん草から基準値を超えるクロルピリホスを検出したと報道 3 月 20 日日本検疫所でモニタリング検査開始 4 月 22 日違反発見により検査の対象を全届出に 4 月 26 日検査数を 2 倍に強化 (6 月 4 日に 4 倍 6 月 14 日に 8 倍に強化 ) 5 月 14 日中国政府に原因調査を要請 (21 日に再び要請 ) 5 月 20 日ディルドリンの基準違反発見 中国大使館に原因調査報告を要請 6 月 1 日法違反に係る輸入者名の公表開始 6 月 4 日中国政府に対策が不十分なほうれん草の輸出自粛要請 6 月 9~14 日厚労省担当官を中国へ派遣 7 月 1 日来日した質検総局担当官に 厚生労働省より 違反が継続していることを伝え 善処を求め 試験方法 輸出前検査データ等の提出を求める 7 月 9 日自民党より厚生労働大臣宛 中国産冷凍ほうれん草問題への対応に係る要請 7 月 10 日輸入業者に輸入自粛指導 日付 動向 7 月 19 日衆議院厚生労働委員会 食品衛生法の改正 提案 7 月 22 日第 1 回局長級会議 ( 北京 ) 7 月 31 日参議院本会議にて改正法案可決 成立 8 月 26 日検査命令の実施 9 月 7 日改正食品衛生法施行 9 月 27 日質検総局より厚生労働省へ書簡が到着 10 月 8~9 日局長級協議 ( 東京 ) 2003 年 2 月 26 日輸入自粛解除 5 月 20 日自粛解除後に違反発見 (2 件 ) 5 月 29 日違反発見 (3 件目 ) 7 月 31 日違反発見 (4 件目 ) 11 月 4 日局長級協議 ( 東京 ) 2004 年 2 月 12 日局長級協議 ( 東京 ) 3 月 29~4 月 3 日現地調査実施 5 月 14 日 29 日 2 件違反 1 件違反 6 月 17 日輸入自粛一部解除 ( 指定 27 工場のみ ) 7 月 31 日 1 件違反 2005 年 8 月 10 日輸入自粛解除に 18 工場を追加 7 ( 厚生労働省ホームページより )

中国の食品安全関連行政組織 国家質量監督検験検疫総局 ( 質検総局 ) 国家食品薬品監督管理局国家工商行政管理総局 衛生部 農業部 税関総局 公安部 鉄道交通管理部 環境局 8

中国国内の安全対策 9

中国の残留基準値設定農薬抜粋 検出不可食用油 ( アルジカルブ ジクロルボス ジメトエート フェニトロチオン マラチオン ホレート ) 西瓜 蔬菜 ( パラチオン ホレート マラチオン ) 低濃度規制 0.005ppm 甘藷 柑橘 ( カズサホス ) 0.01ppm 食用油 ( フェンチオン ) 牛乳 乳製品 ( リンデン ) 中華人民共和国食品衛生法第 9 条より抜粋 10

無公害食品行動計画 国務院 2001 年 4 月制定 農業部 4 つの政策実施 1 農産品質量安全法 (2006.11 施行 ) を制定し 18 農薬の禁止と 9 農薬の使用制限実施 2 農産物の安全に関する監視 監督強化 3 無公害食品生産支援と加工 流通への政策的支援 4 北京市 天津市 上海市 深せん市で無公害食品生産支援を実施し周辺への拡大を図る 11

無公害食品白菜蔬菜基準 農薬検出指標 BHC 0.2 phoxim 0.05 carbendazim 0.5 DDT 0.1 dichlorvos 0.2 chlorothalonil 1 Malathion ND cypermethrin 1 As 0.5 Dimethoate 1 deltamethrin 0,5 Pb 0.2 Acephate 0.2 fenvalerate 0.5 Hg 0.01 Fenitrothion 0.5 cyhalothrin 0.2 Cd 0.05 Chlorpyrifos 1 pirimicarb 1 F 0.5 trichlorfon 0.1 chlorbenzuron 3 亜硝酸塩 4 12

有機食品 農業用化学物質不使用民間主体 緑色食品 農業用化学物質減使用民間主体 無公害食品 禁止化学物質不使用政府主導 13

高毒性有機リン農薬の三段階規制 ( 中華人民共和国農業部公告第 322 号 2004.2.12) 人民の安全と健康 環境保全 市場競争力高揚等のため 高毒性 5 農薬 ( メタミドホス パラチオン パラチオンメチル モノクロトホス フォスファミドン ) の農業上の使用を段階的に規制する 2004 年 1 月製剤登録抹消 2005 年 1 月原体製造業社の保有する製剤の使用を綿花 水稲 とうもろこし 小麦の 4 作物に限定 2007 年 1 月使用を全面禁止 ( 輸出用原体製造を除く ) 14

中華人民共和国農産品質量安全法 ( 農産物品質安全法 ) 中華人民共和国主席令第 49 号 (2006 年 4 月 29 日公布 11 月 1 日施行 ) 第 1 章総則 農産品の品質の安全 公衆の健康維持 農業 農村の経済の発展のために本法を定め 農業部が主管する 本法の農産品とは 初級農産品 であり 農作業により得られる植物 動物 微生物 微生物産物をさし 人の健康と安全を保障するために制定する 第 2 章農産品質量安全標準強制的技術標準 ( 化学物質 毒物 微生物汚染等不適合品の販売禁止 ) 第 3 章農産品産地大気 水 土壌 廃棄物 薬物 資材等による汚染指定地域の農産物生産禁止第 4 章農産品生産 ( 農業資材関連法規充実 関連知識教育指導強化 生産記録等 ) 第 5 章農産品包装 表示 ( 偽装表示禁止 生産者 産地 保障期間 等級等表示 ) 第 6 章監督検査 ( 有害物質汚染 基準値違反品販売禁止 安全情報の公開等 ) 第 7 章法律責任 ( 違法行為責任追及 販売免許停止 罰金 2 千元 ~2 万元 第 8 章付則 15

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対日輸出対策 19

日本のポジティブリスト制への対応 日中政府間意見交換 / 説明会約 10 回実施 (2003.5~2006.5) 民間説明会 / 研究会 ( 演者関与分のみ ) 国外食品安全法規培訓班 (2005 年 12 月 20 日 ) 主催中国商務部 国家質検総局共済山東省外経貿庁 山東検験検疫局協力青島誠誉食品安全研究開発有限公司 日本ポジティブリスト制に対応するための輸出企業向け残留農薬検査技術講習会 (2006 年 4 月 1 2 日 ) 主催山東出入境検験検疫局 日本農薬残留新法規制 ポジティブリスト制度 対応及び農産品安全検測技術検討会 (2006 年 4 月 4 日 ) 主催農業部蔬菜研究所 ( 北京 ) 中国農学会 (2006 年 11 月 1 日 ) 主催中国農学会 ( 江西省南昌市 ) 20

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対日主要蔬菜重点検査 19 項目 23 種類の作物に 1~6 農薬を指定 アトラジン ビフェントリン クロルフェナピル クロルピリホス シフルフェナミド シペルトリン デルドリン ジフェノコナゾール デルタメトリン エンドリン フェンプロパトリン フェンバレレート フィプロニル フルミオキサジン フルシラゾール ヘキシチアゾックス メタミドホス ピリメタニル トリアゾホス 未熟エンドウとその加工品 6 農薬 : ( クロルピリホス シペルメトリン ジフェノコナゾール フェンバレレート フルシラゾール ) ネギ 4 農薬 : ( アトラジン フェンプロパトリン トリアゾホス メタミドホス ) ホウレンソウとその加工品 3 農薬 : ( クロルピリホス デルドリン エンドリン ) 生姜 2 農薬 : ( クロルピリホス フルミオキサジン ) 国質検函 (2006)308 号 日本肯定列表制度工作的緊急通知 より演者抜粋 22

日本向け茶葉重点検査 10 項目 名称 分類 LD50 基準値 定量下限 DDT ( 虫 ) 113 0.2 0.01 Dichlorvos ( 虫 ) 80 0.1 0.02 Dicofol ( 虫 ) 1495 3 0.1 EPN ( 虫 ) 36 0.01 0.01 Fenvalerate ( 虫 ) 451 1 0.05 Iprobenfos ( 菌 ) 790 0.01 0.01 Isocarbophos ( 虫 ) 28 0.01 0.01 Triazophos ( 虫 ) 82 0.05 0.02 Quinalphos ( 虫 ) 55 0.1 0.02 S-421 ( 協力剤 ) 0.01 0.01 23

山東出入境検験検疫局 (CIQ) の対応 China Entry-Exit Inspection and Quarantine 2006 年 1 月 27 日付 CIQ( 特急 ) 通達 58 号要旨 日本のポジティブリスト及び EU の新制度に積極的に対応する 1 国外の動きの背景 内容を理解し その実態を把握する 2 農産品輸出への影響を分析し冷静に対処する 以下について真摯に調査し報告すること 1 輸出主要品についての要求事項 2 中国企業の原料 副材料の検査状況 3 農薬 動物薬 添加物について使用 残留状況 中国企業の自社管理体制と CIQ の管理体制を向上させる 1 監督管理を強化し輸出企業の管理水準を上げる 2 中国企業の自社検査能力を向上させる 3CIQ 及び企業管理人の教育と 高水準の安全管理部隊の構築 4 計測技術水準を日本の技術に合わせる 24

農薬別農産食品違反事例 ( 中華人民共和国産 29 件 H18/6.1~11.30 ) 従来基準違反クロルピリホス : メロン類 未成熟さやえんどう 乾燥きくらげ 茸加工品 新基準違反ビフェントリン : 冷凍茸加工品 トリアゾホス : 半発酵茶 ヘキサフルムロん : しそメタミドホス : 蕎麦 はと麦 イチゴ 乾燥きくらげ乾燥白きくらげ その他野菜冷凍食品 一律基準値違反テブフノジェド : ねぎ 乾燥ねぎ 冷凍野菜 アセトクロル : 大粒落花生 松茸フェンプロパトリン : しいたけ スナップエンドウフルシラゾール : スナップエンドウ 未熟さやえんどうインドキサカルブ : その他乾燥野菜 その他野菜再冷凍食品ピリメタニル : にんにくの茎 冷凍にんにくの茎テブフェノジド : 乾燥ねぎ 冷凍野菜 BHC : しょうがイソプロカルブ : 乾燥ねぎ ジフェノコナゾール : スナップエンドウ 従来基準値違反 :14% 新基準値違反 ::31% 一律基準値違反 :55% 食品衛生研究 Vol 57,No 4 2007p10 より 25

平成 18 年度輸入食品監視指導結果抜粋 厚生労働省医薬食品局食品安全部平成 19 年 7 月より 残留農薬の国別品目別違反件数 ( 蔬菜 果物 ハーブ 茶等 ) 中国 173 件 エクアドル 83 件 ガーナ 78 件 台湾 33 件 タイ 24 件等 微生物規格の国別違反件数 ( 冷凍食品 魚肉練製品等 ) 中国 115 件 タイ 62 件 ベトナム 42 件 フィリピン 15 件等 添加物の国別違反件数 ( 冷凍食品 加工食品 調味料等 ) 中国 105 件 米国 22 件 インド 15 件 イタリア 15 件 タイ 10 件等 残留動物薬の国別違反件数 ( 魚介類 蜂蜜関連 蓄肉 卵等 ) ベトナム 113 件 中国 67 件 インドネシア 33 件 台湾 14 件 有害 有毒物質の国別違反件数 ( 穀類 香辛料 貝等 ) 米国 152 件 中国 45 件 タイ 9 件 スリランカ 6 件 ベネゼラ 6 件等 26

主要国別違反率 ( 平成 18 年 ) 国名届出件数検査件数違反件数違反率 (%) 中国 578,524 91,264 530 0.6 米国 196,858 18,172 239 1.0 ベトナム 41,494 9,001 147 1.2 タイ 122,043 17,527 120 0.6 台湾 29,270 5,893 50 0.7 平成 18 年度輸入食品監視統計より演者抜粋 27

中国の食品安全対策 (2007 年 ) 28

中国政府の食の安全に対する取り組み (2007 年度 ) 1/5 3 月 1 日残留農薬等の検査方法 36 項目を国家標準として正式に使用開始 蔬菜 果物中の農薬等 500 種動物用医薬品 131 種生物毒素 7 種 GC/MS や LC/MS/MS を用いた多成分一斉分析法 国内における方法の統一化 欧 米 日の検査における要求 ( 検出限界 ) を満たす 29

中国政府の食の安全に対する取り組み (2007 年度 ) 2/5 6 月 1 日 国家質検総局 輸出食品の検査済み標識貼付に関する告示 発布 2007 年 9 月 1 日から 出入境検験検疫機構の検査に合格した全ての食品に検査実施を示す標識 (CIQ シール ) を付さなければならない 検査履歴のトレーサビリティーの徹底化 通関時 証書に不具合があったり検査済みの標識がない食品の輸出を禁止 30

中国政府の食の安全に対する取り組み (2007 年度 ) 3/5 7 月 10 日農業部 衛生部 工商総局 質検総局 食品薬品監督局 国家食品薬品安全十一五規画 の発表 第 11 次 5 カ年計画に基づき 食品 薬品 外食衛生などの監視作業の増強 5 年後に食品検査率 90% 食品安全重大事故処理率 100% 等を達成する 食品安全モニタリングの増強 食品安全検査水準の向上 食品安全に関与する基準制定 食品安全情報システムの設立 食品安全評価システムの確立 食品安全突発事故等対応体系樹立 31

中国政府の食の安全に対する取り組み (2007 年度 ) 4/5 7 月 26 日中華人民共和国国務院令第 503 号公布 施行 食品等の生産物の安全監視管理強化に関する国務院特別規定 生産経営者 監督管理部門 地方人民政府の責任を更に明確にし 各監督管理部門の連動性を高める これまで法律による規定がなかったもの全てが本法の対象となる 法律違反の原料等の使用を禁止 検査報告書 ( あるいはそのコピー ) がない商品の販売を禁止 輸出用の商品は 輸出先 ( 国あるいは地域 ) の基準を満たす必要 違反した場合 利益 設備等を没収し 生産金額の 10 倍 ~20 倍の罰金 免許取消 犯罪は刑事責任 地方政府等が監視 管理を怠った場合主要責任者の降格 免職等 32

中国政府の食の安全に対する取り組み (2007 年度 ) 5/5 10 月 31 日 国務院常務委員会 中華人民共和国食品安全法 採択 12 月 26 日 全国人民大会常務委員会 中華人民共和国食品安全法 審議 11 項目の禁止事項 禁止命令物質を含有する食品の製造販売 病死 毒死 原因不明死した動物等の肉類 製品の製造販売 非食品原料を用い 添加した食品の製造販売 栄養成分が安全基準に合わない乳 幼児食品の製造販売 腐敗 変質 異物混入等異常食品の製造販売 病原菌 残留農薬 重金属等 人体に有害な物質が国家標準超過して含まれる食品の製造販売 動物検疫検査を受けないか 不合格の肉類の製造販売 偽物食品 表示ラベルの無い食品 汚染された包装材料等の製造販売 33

中国政府の輸出対応 モニタリング検査の強化 20% のモニタリング実施 違反 50% 再違反 100% 相手国における違反情報により違反企業の輸出停止処分 企業名公表 検疫検査合格食品への検験検疫マーク (CIQ マーク ) の表示 34

日本の対応 医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長通知 ( 食安輸発 0823002 号平成 19 年 8 月 23 日 ) 中国政府の措置の有効性検証のため 違反事例について輸入業者から 輸出登録 輸出企業登記の有無 検査の結果 検験検疫マークの貼付の有無等を報告させる 輸出停止企業については 引き続き当該企業の全ての食品の輸入手続を保留する 検験検疫マーク貼付の有無にかかわらず 従来どおり 検査命令 モニタリング検査等を実施する ( 輸入時検査の取り扱いは変更しない ) 35

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まとめ 1 農産物貿易は日中双方の国益に関わる重要課題 2 中国の消費者にも安全意識急伸 ( 大都会を中心に ) 3 人民の啓蒙 教育に躍起 ( 文革後の価値観の再転換 ) 4 外圧の利用 ( ポジティブリスト 北京五輪 上海万博 ) 5 諸制度 法令の整備 (WTO 加盟各国並みへ ) 6 共産党一党独裁 ( 強い指導力と高い行動力 ) 7 中国は急激に進化発展している ( 日本の数倍の速度?) 8 日本農業の 守り から 攻め への転換急務 ( 米 果物 長芋等 ) 9 一部マスコミの煽り報道に要注意 ( お化け屋敷効果?) 38