1. 調査目的 東日本大震災の影響に関するアンケート調査結果 3 月 11 日に発生した東日本大震災により 東北経済連合会会員企業も大きな影響を受けまし た 会員企業の被災状況を把握し 今後の経済活動の展望 および支援活動に資するためアンケ ート調査を行ないました 2. 調査期間平成 23 年 7

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(2) 直接的な被害 影響の内容第 図および第 表は 直接的な被害 影響を受けた事業所の具体的な被害 影響の内容を示したものである 全体では 支店 営業店 倉庫 工場等の損壊 が 51.8% で最も多く 商品 仕掛品 原材料等の損壊 が 23.5% となっている 産業分類別で

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新規文書1

質問1

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

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平成10年7月8日

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第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

平成22年7月30日

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平成22年7月30日

アンケートの概要 平成 23 年度 平成 24 年度及び平成 25 年度グループ補助金の東北地域の交付先 7,927 に対しアンケートを実施し 5,809(73.3%) から回答があった ( アンケート調査は第 1 次 ( 平成 23 年 8 月 )~ 第 10 次 ( 平成 26 年 3 月 )

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

2. 有期契約労働者を雇用しているか 設問 1 パート アルバイト 契約社員 嘱託 派遣社員などの有期契約労働者を雇用していますか 選択肢 1 雇用している 2 雇用していないが 今後雇用する予定 3 雇用していないが 以前雇用していた 4 雇用しておらず 今後も雇用しない予定 全体

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熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

2002・2003年度

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

新規文書1

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平成 29 年度下期新潟市景況調査 ( 本報告 ) Ⅳ テーマ別調査結果 93

44 2. i NAC ii iii i HP iip. 43 pp iii HP : % 2-2 : % : 22 iv iv 22

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

目次 平成 30 年 6 月環境経済観測調査地域別統計表 ページ 表 A 地域別対象企業数及び回答率 1 表 1-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 主業別 2 表 1-2 発展していると考える環境ビジネス 4 表 2-1(1) 現在行っている環境ビジネス数 主業別 6 表 2-1(2) 現在行って

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

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2. 中途採用をしたことがあるか 中途採用をしたことがある企業は 全体の 95% で あった 調査対象を 右表の 7 つの業種グループに 分類してそれぞれの傾向を分析すると 建設業 運 輸業 サービス業ではすべての企業が中途採用をし たことがあると回答した その他の業種グループで も 9 割前後の企

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

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平成 22 年度エネルギー消費統計結果概要 経済産業省資源エネルギー庁平成 24 年 4 月 エネルギー種別に見ると 最終エネルギー消費総量の 37.5% が燃料 54.8% が電力 7.4% が熱となっています 調査の対象となった非製造業 製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) 業務部

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平成 24 年 11 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁福島県大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 全世帯主 ( 分散避難している場合は それぞれの代表者 ) 5,378 世帯 2. 調査時期 : 平成 24 年 9 月 7 日 ( 金 )~9 月 24 日 ( 月 )

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 繊維製品 パルプ 紙 化学 石油 石炭 黒転

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( 鉱工業 ) 自動車 : 震災により東北地域の自動車部品メーカーが被害を受け 自動車生産は全国で縮小 停止していたが 現在 生産可能な車種から 操業スピードを調整しつつ再開する等の動きが出てきている 当面は 部品供給の状況にあわせた生産が行われる見通し (4 電気機械 ( 半導体 電子部品等 ):

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景気動向調査平成 3 年 1~12 月期実績 平成 31 年 1~3 月期予想 概況 業況 DI は改善 来期は悪化するもプラスを維持する見込み 今期の全業種総合業況判断 DIは 前期比 2.5 ポイント上昇の 9. と改善した 製造業は前期比 1.5 ポイント上昇の 14. 非製造業は同 2.9

企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 12 月調査 ) 2009 年 1 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

3 地域別の業種リストを確認 対象業種の判断は 日本標準産業分類のに基づいて行われます 経営力向上計画の 2 事業分野と事業分野別指針 欄の 事業分野 ( ) が 次ページ以降の7 都府県別の業種リストにおける対象業種 ( ) に該当するかどうかを確認して下さい 経営力向上計画の 事業分野 ( )

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

平成24年度エネルギー消費統計結果概要

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2. 景気後退の影響 (2) 2008 年 10 月以降の世界的な景気後退の影響 ( 業種別 ) 大きなマイナス若干のマイナス影響なし 若干のプラス 大きなプラス 製造業 印刷 出版 (n=14) ゴム製品 (n=35) 金属製品 ( メッキ加工を含む


< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

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<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

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【調査要領】

イノベーション活動に対する山梨県内企業の意識調査

ISO 9001 ISO ISO 9001 ISO ISO 9001 ISO 14001

PowerPoint プレゼンテーション

滋賀県内企業動向調査 21 年 1- 月期定例項目結果 1. 自社の業況判断 (1) 自社の業況判断 DI は 四半期連続のプラス水準を維持も は 四半期ぶりにマイナス水準に低下 1. の動向 ( 図 1-1) 今回の調査 (1 年 1- 月期 ) での自社の業況判断 DI は前回 (-9 月期 )

( その 2 鉱業 ) 寄附金交際費等寄附金支出額交際費等支出額損金算入法人数金額法人数金額法人数金額限度額 100 万円以下 万円超 万円 万円 20

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

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新電力会社(登録小売電気事業者)の実態調査2018年

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2. 県別の生産能力や売上の回復状況 3 県の全体では 生産能力が 8 割以上回復した業者は 4 売上が 8 割以上回復した業者は 2 生産能力が 8 割以上回復した業者は 岩手県では 5 宮城県 4 福島県 2 一方 売上が 8 割以上回復した業者は 岩手県では 4 宮城県 3 福島県 生産能力の

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 母集売上高経常利益純利益集計団 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期社数社数実績予想予想実績予想予想実績予想予想 繊維製品

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29付属統計表(全体)

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

第 2 章 我が国における IT 関連産業及び IT 人材の動向 1. IT IT IT 2-1 IT IT 大分類 A 農業, 林業 B 漁業 C 鉱業, 採 業, 砂利採取業 D 建設業 E 製造業 F 電気 ガス 熱供給 水道業 G 情報通信業 H 運輸業, 郵便業 I 卸売業, 小売業 J

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

30付属統計表(全体)

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28付属統計表(全体)

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「第12回信用金庫取引先海外事業状況調査結果」

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

Transcription:

東日本大震災の影響に関するアンケート調査結果 1. 総括 [ 物流インフラの早期復旧 ] 震災被害の大きな影響としては 物流網の変化により物流コストが増加 サプライチェーンの断 絶により生産が減少 したとする企業が多かった 物流網の変化は サプライチェーンへの影響もあることから東北地方の全産業の産業振興に大きな影響を与えており 港湾 道路 鉄道 空港等の物流インフラの早期復旧が望まれる また サプライチェーンは 一旦断絶すると 製造設備が復旧しても 従前の供給ルートへの復帰は難しくなる場合が多く 今後新たな販路の開拓等が必要となろう [ 市街地復興計画の促進 ] 売上 生産については 製造業を中心に回復が進んでいるが 消費自粛 風評被害を受けた観光 卸 小売業の回復は遅れている また 津波による被災地域をマーケットとする不動産業 金融保険 電気 ガス業 情報 通信については 街の復興計画が見通せないため 売上回復時期を不明としており 早期の地域の復興が望まれる 製造業についても 沿岸地域に工場 設備を有する被災企業は 港湾 港湾設備 道路 鉄道 倉庫等の復旧目途が立っておらず 生産の回復時期も不明としている [ 復興需要 ] 一方で 復興需要により製造業では 電機 機械製造業で売上が増加しており 非製造業では 建設業を中心に受注が増加 拠点の拡充や 人員の増員の動きが見られる 被災地域の復旧が早期に円滑にすすみ 東北地域全体の発展につながるよう 行政の迅速な復 興計画の策定実施が望まれる 2. 調査内容概要 (1).7% 強の企業が震災により被災した 人的被害については 製造業 6.3% 非製造業 7.2% (2). 間接的被害については 製造業においては 物流網変化によるコストが増加した とする企業が 42.2% サプライチェーン断絶 による影響が 29.7% 非製造業においては 消費自粛による売上げ減少 22.1% 燃料 原材料仕入購入コスト増加 16.8% 権回収の遅延 不能 15.5% となった (3). 震災復興需要特需による売上げ増があったとするのは 製造 46.9% 非製造 35.4% (4). 被災社屋 設備の復旧見通し 7% 程度の企業がほぼ復旧している (5). 売上 生産の回復 ほぼ回復 製造業 57.8% 非製造業 4.3% 製造業の回復順調 (6). 売上 生産高が震災前水準に回復する時期の見通し既に回復製造業 5.% 非製造業 28.2% 回復時期不明製造業 28.1% 非製造業 45.3% (7). 自由記入とした要望事項では 東北地方の復旧 復興に向けた意見が出された 以上

1. 調査目的 東日本大震災の影響に関するアンケート調査結果 3 月 11 日に発生した東日本大震災により 東北経済連合会会員企業も大きな影響を受けまし た 会員企業の被災状況を把握し 今後の経済活動の展望 および支援活動に資するためアンケ ート調査を行ないました 2. 調査期間平成 23 年 7 月 5 日 ~7 月 15 日 3. 調査方法東北経済連合会会員企業 675 社に対し FAX により調査票を送付 回答企業 245 社回答率 36.3% 4. 調査回答企業内訳 製造業 64 社非製造業 181 社 飲料 食料品製造 5 社 運輸 倉庫 21 社 化学 医薬品 5 社 卸 小売り 3 社 石油 プラスチィク製品 7 社 不動産 3 社 窯業 土石 4 社 その他サービス 24 社 鉄鋼 5 社 鉱業 1 社 非鉄金属 6 社 建設 46 社 金属製品 6 社 金融 保険 17 社 一般機械 輸送機械 7 社 情報 通信 31 社 電気機械 16 社 電気 ガス 8 社 その他製造業 3 社 ( 事業所 本社回答所在地 ) 県別回答 新潟県 9% 東京都 5% 山形県 7% 福島県 8% 大阪府 1% 宮城県 54% 青森県 5% 秋田県 4% 岩手県 7% 青森県秋田県岩手県宮城県福島県山形県新潟県東京都大阪府 会社規模別回答状況 245 社内訳 27.3 11.4 24.9 36.3 百人未満 1 百人以上 5 百人未満 5 百人以上 1 千人未満 1 千人以上 1

5. アンケート結果 (1). 震災被害の状況 9 8 7 6 5 4 3 2 92.9 8.6 73.4 74. 68.5 65.6 57.4 51.6 53.6 52.8 5. 5.7 34.4 31.5 26. 17.9 19.4 26.6 6.3 7.2 5.6 7.1 9. 3.3 製造業非製造業 1 百人未満 1 百人 ~5 百人 5 百人 ~1 千人 1 千人以上 被害なし建物 設備被害人的被害間接被害 回答のあった 245 社では 製造業 非製造業の 7% 強の企業に建物 設備被害が発生した 従業員規模別では 5 百人超 1 千人未満の企業では 92.9% が被災しており 1 千人超の規模では 8.6% の企業が被災した 人的被害も5 百人超 1 千人未満の企業が 17.9% と被害が最も高く 以下 1 千人超の企業の 9.% に被害があった (2). 間接的被害の内容 45 42.2 4 35 29.7 3 25 22.1 2.3 18.4 17.9 2 16.3 15.5 17.9 16.8 15 12.7 11.6.9 11.9 12.7.5 11. 9.4 8.2 9. 7.8 5.7 3.9 3.1 5 1.6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 全体製造業非製造業 質問項目内容 1サプライチェーン断絶による生産の減少 2 風評被害による売上減少 3 消費自粛による売上減少 4 節電に伴う生産 売上減少 5 物流網の変化によるコスト増加 6 債権回収の遅延 不能 7 燃料 原材料仕入れ価格の上昇 8 労働コスト増加 9その他 間接被害の内容は 製造業においては 物流網の変化によるコスト増加 要因が最多の 42.2% サプライチェーン断絶による生産の減少 29.7% 燃料 原材料仕入れ価格の上昇 が 2.3% とな った 非製造業においては 消費自粛による売上減少 22.1% 燃料 原材料仕入れ価格の上昇 が 16.8% となっている 物流網の変化によるコスト増加 は 業種別では 石油精製業において %(3/3 社 ) 化学製品製造 製鉄 非鉄金属 金属製品 セメント製品製造の各業種において 56.2%(18/32 社 ) であった 太平洋側の港湾 港湾施設 物流倉庫, 油槽所の被害が甚大であり 燃料やセメント 建 2

材 金属製品等の沿岸部にあった配送センターが大きな被害を受けているため 物流経路を大幅に変更していることや 輸出入についても 積出 受入港を変更しているため 陸送コストが増加している 福島県小名浜港においては 外国船の入港拒否や製品の放射線検査費用等も発生しており 影響は燃料 原材料仕入れ価格の上昇にもつながっている また 津波被災地域の倉庫 油槽所 デリバリーセンターの再建については 復興プランが明示されないため建築制限があり 復旧プランが立てられないという声も聞かれた 非製造業の回答は 消費自粛 燃料 原材料仕入れ価格の上昇 の順となっている 特に建設業では 燃料 原材料仕入れ価格の上昇 41.3%(19/46 社 ) 労働コスト増加 21.7%(/46 社 ) となっており 復興需要により資材の上昇 労働コストが上昇している その他の内容 震災に伴う広告の自粛 イベント コンサート 国際会議の中止により減収 ( 放送 観光 ) 顧客が被災 避難し地域の需要が喪失 ( 通信 卸小売り 運輸 ガス ) 震災復興費用捻出の経費削減による売上げ減少 ( 情報システム 電気設備 広告 ) 港湾 空港等のインフラ設備復旧遅れにより 操業が低下 ( 運輸 ) 放射能自主検査費用発生 ( 卸 小売 製造全般 ) (3). 震災後の復興需要の事業展開への影響 5 46.9 46.3 4 35.4 36. 33.7 39.3 3 特需による売上げ増 2 14.3 9.9 11.5 3.9 3.4 5.6 3.6 4.5 7.5 復興需要取り込み新部門設立 その他 製造非製造 1 百人未満 1 百 ~5 百人 5 百人 ~1 千人 1 千人超 特需による売上増加があったとする企業は 製造業では 46.9% 非製造業で 35.4% 企業規模においては 従業員規模 1 千人超の企業の 46.3% 5 百人超 1 千人規模の企業 39.3% 1 百人超 5 百人未満の企業で 33.7% 1 百人未満の企業で 36.% となった 復興需要取り込みの新部門の設立については 現状では大きな動きは見られない その他の内容 復興需要取り込みのため 東北支店の再開 東北拠点人員の増員 ( 建設 ) 節電需要の増加対策 商品戦略の変更 ( 電機 建材卸 機械 ) 震災復興基金を設立し 被災企業支援 ( 金融 ) 発電用燃料調達の増加 発電機受注増加 耐震補強工事増加 ( 電機 機械 建設 ) 復旧需要はあるが 復興受注は少ない 本格的復興需要は 6 カ月 ~1 年先を見込む ( 電機 建設 ) 復旧工事が増加しているが 新規設備工事 増設工事 定期補修工事が減少している ( 建設 電機 機械 ) 公共工事が被災地域に集中 他地域での工事が減少している ( 建設 ) 3

(4). 被災社屋 設備等の復旧見通し 障害となっていること 8 7 6 5 4 3 2 7.3 7.5 7.8 68. 68.7 57.1 12.5 11.5 13.5 14.3.9 9.8 11. 5.5 8.2.1 3.4.7 13.4 14.3 8.9 7.5 製造非製造 1 百人未満 1 百 ~5 百人 5 百人 ~1 千人 1 千人超 ほぼ復旧半年内復旧 1 年内復旧 1 年 ~2 年内復旧不明 被災社屋 設備等の復旧については 製造業 非製造業において 7% の企業がほぼ復旧している 製造業 非製造業の差は特になし また 今後の復旧見通しについて製造業 % 非製造業において 5.5% の企業が復旧見通しは不明と回答している 障害となっていること 被災地の工場 倉庫 設備の代替地については 行政の対応が遅れており 移転用地確保の目途が立たない ( 製造業全般 建設 電気工事 ) 福島原子力発電所事故避難区域に営業 生産施設があるため 復旧の目途が立たない ( 卸小売 機械 通信 ) 建設労働者が不足しており 工場設備の復旧工事が遅れている 資材の納期も遅れている ( 全般 ) 行政の復興計画が不明確なため 沿岸部施設の本格的な復旧工事ができない ( 運輸 倉庫 ) 社屋 工場 設備被害が大きく復旧費用が不足 ( 飲食品製造 機械 ) 道路 港湾の復旧工事の目途が立たず 隣接する設備 社屋の復旧目途が立たない ( 運輸 倉庫 ) (5). 貴社の売上 生産高が震災前の水準と比べた回復状況および障害となっていること 7 6 5 4 3 2 57.8 52.2 42.7 42.9 4.3 41. 32.1 21.3 2.9 21.5 2.3 18. 18 19.1 15.6 12.7 11.5.7 9.4 8.8 9.8.4 9. 7.2 7.5 8.2 7.1 7.5 6. 4.5 3.6 3.6 3. 1.6 製造業非製造業 1 百人未満 1 百人 ~5 百人 5 百人 ~1 千人 1 千人超 25% 以下 5% 以下 75% 以下ほぼ回復震災前上回る無回答 売上 生産 がほぼ回復 と回答した企業は製造業 57.8% 非製造業 4.3% 次いで 75%~5% の回復と回答した企業は 製造業 21.5% 非製造業 18.% 震災前を上回る回復 と回答した企業は 製造業 15.6% 非製造業 8.8% となっている また 障害となっていることとしては 以下の回答があった 原子力発電所事故により 住民が避難し地域が空洞化 回復見通しが立たない ( 通信 卸小売 金融 ) 4

空港 港湾 道路の復旧が遅れ 風評被害があり観光需要の回復目途がたたない ( 観光 卸小売 運輸 ) 製造業にとり 電力は血液のようなもの 早急に安定供給体制を構築して欲しい ( 製造業全般 ) 応援増産要員の確保 増員用社宅 宿泊先の確保 ( 製造業全般 建設 ) 建設資材不足 労務費高騰により 受注工事採算確保が困難 ( 建設 ) 全般的に非製造業の業種に売上回復の遅れがみられ 特に回復が遅れている業種は以下の 3 業種となっている 1その他サービス業 2 運輸 倉庫業 3 卸 小売業 1その他サービス業 (21 社 ) においては 売上回復 75%~5% の企業が 41.7% 5%~25% の企業が 16.7% 25% 以下 が 4.1% あり 観光 飲食 旅行業等の回復が遅れている 2 運輸倉庫業 (24 社 ) においては 売上回復 75%~5% の企業が 19.% また空運 港湾関係の企業を中心に 売上回復 5%~25% との回答も 33.3% あった 一方で陸運関係を中心に 震災前を上回った とする企業も 9.5% あった 3 卸小売業 (3 社 ) においては 売上回復 75%~5% の企業が 36.7% 25% 以下 が6.7% あった 震災 津波 原子力発電所事故による避難により 商圏の人口が減少し 売上が大幅に減少したとの回答があった (6). 貴社の売上 生産高が震災前水準に回復する時期の見通し 6 53.6 5 5. 45.3 44.8 4 41. 38.2 38.8 3 2 21.9 28.1 28.2 26.5 31.5 29.5 29.5 3.3 25. 21.4 16.4 既に回復 1 年以内 不明 製造業非製造業 1 百人未満 1 百人 ~ 五百人五百人 ~1 千人 1 千人超 売上 生産の回復時期については 既に回復 と回答した企業は 製造業で5% 非製造業では 28.2% となった 1 年以内に回復 と回答した企業は製造業 21.9% 非製造業 26.5% 売上 生産の回復時期不明 と答えた企業は 製造業 28.1% 非製造業 45.3% であり 非製造業の売上回復についての目途が立っていない 業種別の動向を見ると 既に売上 生産が回復した とする業種は 製造業では 1 一般機械 輸送機械 85.7% (6/7 社 )2 電気機械 62.5%(/16 社 )3 金属製品 5.% (3/6 社 )3その他製造 5.%(3/6 社 ) となった 非製造業では 1 建設業 39.1%(18/46 社 ) 2 卸 小売業 36.6%(11/3 社 )3その他サービス 25.% (6/24 社 ) となった 一方で 1 年超を要し 不明 とした業種は 製造業では1 飲料 食料品製造 6.%(3/5 社 )2 窯業 5

土石 5.%(2/4 社 )3 金属製品 5.% (3/6 社 ) となった 生産設備の復旧見通し 周辺のインフラの整備の見通し 需要の動向等の状況が不明のため見通しが不透明とみられる 非製造業においては 1 不動産業 %(3/3 社 )2 金融 保険 58.8%(/17 社 ) 3 電気 ガス 5.%(4/8 社 ) 4 情報 通信 48.4%(15/31 社 ) となった 非製造業で回復時期を不明とする比率が高い 非製造業の場合は 施設 設備への被害を受けたことに加え マーケットとする地域が甚大な被害を受けたことから インフラの復旧が進まないと営業基盤が回復せず 売上の回復見通しが不透明なためと見られる 6. まとめ [ 被害状況 ] 被災企業の直接的な設備被害は7% 強の企業が震災により被災した 間接的な被害については 物流網の変化により物流送コストが増加 サプライチェーンの断絶により生産が減少 したとする企業が多かった 物流網の変化は サプライチェーンへの影響もあることから東北地方の全産業の産業振興に大きな影響を与えており 港湾 道路 鉄道 空港等の物流インフラの早期復旧が望まれる また サプライチェーンは 一旦断絶すると 復旧しても 従前の供給ルートへの復帰は難しくなる場合が多く 今後新たな販路の開拓等が必要となろう [ 回復状況 ] 被災企業の直接的な設備被害は復旧が進んでいるが 工場 設備周辺道路 港湾倉庫等のインフラ復旧が進まないと本格的な生産 営業再開には至らない状況となっている 製造業を中心に生産の回復が進んでいるが 非製造業の回復は業種にばらつきがあり 被災地域 風評被害地域企業の回復が遅れる状況となっている 今後の迅速な復興計画策定 実施が望まれるところである [ 復興需要 ] 建設業 機械 電機製造業等の業種では 復興特需が見られ 人員増強 拠点強化の動きが見られる 迅速に復興計画の策定 実施を行い 復興需要をばねに 被災地域が復興し長期期的な繁栄に繋がるような施策を望むものである 以 上 6