域の指定 直接強風を受ける場所 ( 海岸 河岸 山上 がけ上等 ) での速度圧は 300kgf/ m2以上 近接する建築物や防風林等による速度圧の低減 ( 最大 50% まで ) 等の規定も定められていた また 風力係数は建築物や工作物の断面形状に応じて定められており 当時から閉鎖型建築物と開放型建

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特集 建築基準法の風荷重関係規定について 独立行政法人建築研究所構造研究グループ上席研究員奥田泰雄 1. はじめに 2000 年に建築基準法の風荷重規定 ( 施行令と関連告示 ) が大幅に改正され 1950 年の建築基準法制定後 50 年間同じであった全国一律の速度圧が 地域や周辺状況等を考慮して速度圧を定めることになった また 2007 年には建築基準法施行規則も改正され 建築確認時に屋根ふき材等の構造計算書等を提出することが義務付けられることになった このように近年建築基準法の風荷重規定はこれまでにない速さでかつ大幅に改正が行われたため 鋼板製屋根の製造者 設計者 施工者等から日本金属屋根協会に様々な疑問や質問が数多く寄せられている 日本金属屋根協会と日本鋼構造協会はこのような情勢に対応すべく 鋼板製屋根構法標準 を 15 年ぶりに改訂し SSR2007 として刊行し 日本全国で SSR2007 の講習会を開催している また 屋根を調べる 2008 のような風圧力の算定ソフトも開発している 本報告は 2008 年に開催された SSR2007( 日本金属屋根協会 日本鋼構造協会 ) の講習会において 建築基準法の風圧力規定の疑問に答える の講演原稿をもとに 風荷重規定の変遷と概要を取りまとめたものである 2. 建築基準法の風荷重関係規定の変遷 建築基準法の風荷重規定に関して 1950 年の建築基準法制定時から最近の改正までの変遷 1,2) を以下にまとめた 2.1 制定時 (1950 年 ) 建築基準法は 1950 年に同施行令 同施行規則とともに制定された 建築基準法の第 1 条に この法律は 建築物の敷地 構造 設備及び用途に関する最低の基準を定めて 国民の生命 健康及び財産の保護を図り もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする とあり 最低基準であることが明記されている このときに風荷重に関する規定は 施行令第 87 条において p=c q q=60 h で示されている ここに p: 風圧力 (kgf/ m2 ) c: 風力係数 q: 速度圧 (kgf/ m2 ) h: 地盤面からの高さ (m) である この規定は 日本建築規格建築 3001 (JES3001:1947) に速度圧 q は 室戸台風 (1934) 時の室戸岬での高さ 15m における観測値 ( 最大瞬間風速約 63m/s) に基づいて規定されたものであり 全国ほぼ一律の風圧力を与えるものであった 3) ただし 特定行政庁による速度圧の低減 ( 最大 60% まで ) できる区

域の指定 直接強風を受ける場所 ( 海岸 河岸 山上 がけ上等 ) での速度圧は 300kgf/ m2以上 近接する建築物や防風林等による速度圧の低減 ( 最大 50% まで ) 等の規定も定められていた また 風力係数は建築物や工作物の断面形状に応じて定められており 当時から閉鎖型建築物と開放型建築物が区別されて風力係数が示されていた その後 風力係数は 風洞試験によつて定める という条文が追加され 建築基準法に定められた風力係数以外でも適切な風洞試験によって得られた結果も用いることが可能となった 一方 同時に施行令第 39 条において帳壁及び屋根瓦等の緊結に関する規定が制定された この規定は帳壁及び屋根瓦等の緊結に関する仕様を定める規定 1 帳壁は 軸組みに緊結しなければならない 2 屋根瓦は 軒及びけらばから二枚通り以上を一枚ごとに その他の部分にあつては登り五枚以下おきに一枚ごとに 銅線 鉄線 くぎ等で下地に緊結し 又はこれと同等の効力を有する方法ではく落しないように ふかなければならない 3 建築物に取り付ける飾石 テラコツタその他これらに類するものは ボルト かすがいその他の金物で軸組又は壁に緊結しなければならない であるが 対象とする外力はとくに明記されず 具体的な構造計算の方法等もまだ示されていなかった 2.2 施行令の改正 (1971 1981 年 ) 施行令第 39 条が改正され 屋根ふき材等の緊結に関する規定 1 屋根ふき材 内装材 外装材 帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告塔 装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは 風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない 2 屋根ふき材 外装材及び屋外に面する帳壁は 建設大臣の定める基準に従つて安全上支障のないようにしなければならない となり 対象とする外力が具体的に施行令に明記され それまで施行令に記されていた緊結の仕様等は関連告示である昭和 46 年建設省告示第 109 号にまとめられた さらに屋根ふき材 外装材及び屋外に面する帳壁については 具体的な構造計算の方法等が同告示に示された 屋根ふき材については p=c q q=120 4 h で示される風圧力 p(kgf/ m2 ) に対して安全上支障がないことを確認することになった 風力係数 c は施行令第 87 条をそのまま使用し 軒先やけらば等の屋根端部 (3m 以内 ) での負の風力係数を 1.5 とした 一方 高さが 31m 超の建築物の帳壁についても p=c q q=60 h (h<16m) q=120 4 h (h 16m) で示される風圧力 p(kgf/ m2 ) に対して安全上支障がないことを確認することになり 風力係数 c も施行令第 87 条をそのまま使用し 帳壁の周辺部での負の風力係数を 1.5 とした 速度圧 q(kgf/ m2 ) は これまでの 60 h から新たに 1954 年に名古屋テレビ塔で観測された風速分布に基づいて 120 4 h が導入された また 帳壁に使用するガラスについては 風圧力 見付面積等からガラスの厚さを求める関係式が示された 1971 年の改正で外装材用風荷重の速度圧に q=120 4 h が導入されたが 構造骨組用風荷重の速度圧は q=60 h のままであった 1970 年代の超高層建築物の出現により 高層部での過大な風荷重が問題になるようになった 1981 年の改正では この高層部での過大な風荷重を低減し より合理的な風荷重を設定する目的で構造骨組用風荷重の速度圧にも q=120 4 h が導入された 風力係数 c は施行令制定時とほぼ同じものが用いられていた 一方 日本建築学会では 建築物荷重規準案 同解説 (1975) の風荷重規定の項を全面的に改訂し 建築物荷重指針 同解説 (1981) を刊行した 建築基準法が最低基準を規定するものに対し 建築物荷重指針は設計者等が適正な荷重値を設定できるようにその手法や考え方を示したものであり 統計的手法の導入 構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の明確な区別 基準風速 Vo 地表面粗度区分 ガスト影響係数等の導入など 建築基準法にはない新しい設計手法が提案された その後建築物荷重指針は 1993 年と 2004 年に約 10 年毎に改訂され現在に至っている 図 1 2 種類の速度圧 2.3 風荷重関連規定の大改正 (2000 年 ) 4) 日本建築学会の建築物荷重指針の風荷重規定が当時の最新の研究成果を反映し約 10 年毎に改訂されたのに対し 建築基準法の風荷重関連規定は 1981 年の施行令第 87 条の改正以来 あまり大きな改正が行われて

(4) こなかった しかし 耐候性 1998 年の建築基準法の改正 ( 建築基準の性能規定化 TPOフィルムは 耐候性に優れ メタルウェザー試験 ) に基づいて 2000 年に施行令や ( 強い日差しや熱 雨などの過酷な自然条件を短時間で再現す関連告示の大幅な改正や新設がなされた 風荷重規る促進試験定に関しては 建築物荷重指針 ) 2,100 時間においても外観の変化は全くない (1993) に基づいて大幅メタルウェザー試験結果の外観を写真な改正がされた 具体的には 2に またサンシャイ ン ウェザー オ メーター 2,000 時間の結果データを表 2 1 構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の明確化に示す 2ガスト影響係数の導入 (5) リサイクル性 3 地表面粗度区分の導入 TPOフィルムは塩素等のハロゲン元素を全く含まず リサ 4 限界耐力計算における2つの荷重レベル ( 損傷限界イクルの際に有害なダイオキシンが発生しない それぞれと安全限界 ) の設定のフィルム種類ごとの構造式の比較を表 2に示す 5 風力係数等の充実 (6) フィルム密着性 6SI 単位化 TPOフィルムの優れた耐透湿性 水蒸気の遮断により ラ ミネートプライマー層の劣化が少なく長期のフィルム密着等が挙げられる これにより全国ほぼ一律で定めら性が確保できる 従来のラミネート鋼板でしばしば起こるれていた風荷重が 地域 周辺状況 建築物の構造特フィルムの剥離現象がない それぞれのフィルム種類ごと性等を反映したより合理的な風荷重を規定することの透湿性および密着性の比較を表ができるようになった 構造骨組用風荷重は施行令 2に示す また井型エリクセン試験結果の状況を参考として写真第 87 条と平成 12 年建設省告示第 1454 3に示す 号に 外装材用風 (7) 荷重は施行令第めっきの曲げ加工性 82 条の5( ( 展延性現施行令第 ) 82 条の4) と平成 12 下地めっき鋼板には 年建設省告示第 1458 GF( 号に整理された 施行令第ガルファン )[ JIS G 3317 溶融亜 82 鉛条の -5% 5アルミニウム合金めっきは屋根ふき材等の構造計算として新設された政 ] を採用しているため めっき層がやわらかく 曲げ加工においてもめっきの割れが生じにくい 令であり 屋根ふき材 外装材及び屋外に面する帳また 本年新たに開発した壁については 建設大臣の定める構造計算によつて風 JFEエコガルは現行 JFEガル圧に対して構造耐力上安全であることを確かめなけファンの耐久性を向上させたものであり 今後 JFEエコればならない となった 関連告示である平成 12 年建ラミの下地めっき鋼板として使用することにより更に商品設省告示第 1458 号には 外装材用風荷重とガラスの許のバージョンアップが可能になる 容耐力の規定が定められ 昭和 46 年建設省告示第 109 号は屋根ふき材 外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法 ( 仕様規定 ) だけに整理された 平成 12 年建設省告示第 1458 号に示すガラスの許容耐力の規定は 昭和 46 年建設省告示第 109 号のガラスの厚さを求める関係式とほぼ同等のものである 2.4 施行規則の改正 (2007 年 ) 5) 表 2 フィルム種類による比較 2005 年に耐震偽装問題が発覚し 建築物の構造安全 性に対する信頼性が大きく損なわれることになり 2007 年に 建築物の安全性の確保を図るための建築基 F 準法等の一部を改正する法律 が施行された これに F 3 伴い建築基準法施行規則も改正され 同第 1 条の3( 確 認申請書の様式 ( ) に 施行令第 82 条の4( 屋根ふき材等 n F n n の構造計算 ) に関連する構造計算書等 ( 表 1) が追加さ (μ μ μ μ れた これにより 建築確認時に設計者は建築主に代 わって施行令第 2 82 条の 5 4に関連する屋根ふき材等の構 - 造計算書等を作成し提出することが義務付けられる ことになった これまで屋根ふき材等の設計 生産 5 施工の責任関係が明確でなかったが この施行規則の * 5 改正により設計者の責任が明確になったと考えられ る また屋根ふき材等の建材製造者は建材の耐風性 能等の構造性能を明らかにし 設計者が求める構造性 能をもつ建材を供給することになった 3. 建築基準法と建築物荷重指針の違い 3.1 建築基準法と建築物荷重指針の原則剥離異常なし試験前現行の建築基準法の風荷重規定は建築物荷重指針 写真 3 参考 : 井型エリクセン試験結果 変化なし (1993) に基づいているが 建築基準法と建築物荷重指 針には根本的な違いがある 建築基準法は法的拘束力があるため 法律で定められている事項については判断が異なることは許されない また 最低基準を示メタルウェザー 2,100 時間後写真す荷重レベルを定め これを下回ることはできないが 2 メタルウェザー試験結果の外観これ以上の設計は許容されている 一方 建築物荷重指針には法的拘束力はなく 設計者が構造設計するための考え方や指標を示し 荷重レベルは設計者が選択できるようになっている ( 基本値は再現期間 100 年で換算係数により任意の荷重レベルを設計者が選べる ) 表 1 施行令第 82 条の 4 に関連する構造計算書等 ( 建築基準法施行規則第 1 条の 3) 4

3.2 建築基準法の風荷重規定の具体的な相違旧基準では 速度圧 q が 60 h で与えられ全国でほぼ一律の風荷重が定められていたが 現行基準では 速度圧 q は基準風速 Vo 地表面粗度区分に基づく風速鉛直分布 ガスト影響係数等で定められ 地域 周辺状況 建築物の構造特性等も考慮したものとなっている 図 2 は基準風速 Vo 図であり 基準風速は全国の市町村別に 30 ~ 46m/s 2m 間隔で与えられている 最近の市町村合併により市町村名が変わっても 2000 年改正時の全国の市町村での風速を用いる 基準風速は全国の気象官署の観測値 ( 年最大風速 ) に基づいて再現期間約 50 年に換算された数値 (10 分間平均値 ) であり これに Gf(Gf: ガスト影響係数 ) をかけて最大の荷重効果を示す 建築物荷重指針では 地表面粗度区分は表 2 に示す 5 区分と写真を使って設計者の判断で選択することになる 建築基準法でも建築物荷重指針とほぼ同じ風速鉛直分布 ( 図 3) であるが 建築基準法では曖昧さをできる限り排除するために 表 3 に示すように地域によって明確に地表面粗度区分の線引きがなされている 地表面粗度区分 I と Ⅳ は特定行政庁が規則で定めることになっているため 大半の地域では地表面粗度区分 Ⅱ または Ⅲ が用いられることになる 表 2 建築物荷重指針における地表面粗度区分と地表面の状況 5

図 3 図 2 基準風速 Vo 図 建築基準法が定める風速鉛直分布 旧基準では構造骨組用と外装材用の風力係数を一部共通にしたように 構造骨組用風荷重と外装材用風荷重があまり明確に区別されていなかったが 現行基準では 構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の区別をより明確にし それぞれ施行令と関連告示を設けた 構造骨組用風荷重は建築物全体に作用する風力であり 風向によって異なるものである 外装材用風荷重は屋根ふき材のような外装材の部分 ( 面積 1 ~ 5 m2程度 ) に作用する風力であり 全風向中の正負の最大値を示している 従って単位面積あたりの風圧力は 外装材用風荷重 構造骨組用風荷重の関係がある これまでの建築基準では工学単位系が用いられていたが JIS の SI 単位化 (1991) にならい建築基準法も SI 単位化した これまでの工学単位系では質量 (kg) と力 (kgf) という曖昧な表現で紛らわしく誤解されることがあった しかし SI 単位系では質量 (kg) と力 (N) を明確に区別し 1 kgf=1kg g( 重力加速度 ) =9.8N の関係がある その結果 これまで風圧力等は kgf/ m2と表現されていたが SI 単位系では N/ m2となり約 9.8 倍した数値になる 3.3 建築基準法の風荷重規定の整備民間の技術力を使って建築基準を整備することを目的として 2008 年から建築基準整備促進補助金事業が始まった 2007 年の施行規則の改正により 建築確認時に屋根ふき材等の構造計算書の提出が義務付けられたが 風力係数の未整備 耐風性能の明確でない建材等 建築基準の更なる整備が必要な課題が残されている そのため 風荷重や耐風設計についても 風力係数等の充実 屋根ふき材等の耐風性能評価法の確立等を目指して調査研究が実施されているところである これらの調査研究成果は順次関連告示や技術報告等の形で公表される予定である なお これらの建築基準の整備は 2000 年の風荷重規定の大改正に沿ったものである 都市計画区域内 都市計画区域外 表 3 建築基準法が定める地表面粗度区分 6

4. まとめ 建築基準法の風荷重関係規定についてその変遷と概要をまとめた 行政府が定めた建築基準の構造規定は明治以降 100 年以上の歴史があり 建築基準法も 1950 年に制定され 60 年近い歴史がある 1950 年に制定された全国ほぼ一律の速度圧が 2000 年の大改正でようやく地域や周辺状況等によって合理的に定められるようになった また 2007 年には施行規則の改正により 建築確認時に屋根ふき材等の構造計算書の提出が義務付けられた 現在 建築基準整備促進補助金事業により風荷重規定がさらに改正される このように 近年建築基準法の風荷重規定が改正される速さが増してきている そこで 鋼板製屋根の製造者 設計者 施工者等の疑問や質問に答える意味で 建築基準法の風荷重規定の変遷と概要を取りまとめた 参考文献 1. 大橋雄二 : 日本建築構造基準変遷史 日本建築センター 1997 2. 日本風工学会風災害研究会 : 強風災害の変遷と教訓 2000 3. 河井宏允 : 建築物の耐風設計と風荷重基規準 日本建築総合試験所機関誌 GBRC Vol.32 No.657 2007.10 4. 建築研究所 : 改正建築基準法の構造関係規定の技術的背景 ぎょうせい 2001.3 5. 奥田泰雄 : 屋根の耐風設計における注意点 日本建築学会大会 ( 九州 ) 構造部門 ( 荷重 ) パネルディスカッション 最近の風被害とその対策 資料 pp.19-24 2007.8 7