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レポート 論文とは 図書館活用法レポート 論文の作り方 2014 年 5 月 8 日 ( 木 ) 明治大学経営学部長野史麻 レポート 論文とは 問いと答えという形式でできている 意見を述べて議論する文章 特に自分の調査, 研究内容を論理的に記述し, 公表し, 他の人の理解を得るもの レポート 論文を書くとは テーマ ( 主題 ) に関連し, 提起された問題の解明に必要と思われる事実とデータ ( 資料 ) を集める 集めた事実, データを分析し, その意味を解明, 判断し, 自分の主張を裏付ける 筋が通り ( 論理的に ), 説得力のある文章 報告書にまとめる レポート 論文の要件 1. オリジナリティー : 他にも見られない特徴, 独自性, 新しさ 2. 論理性 : 筋が通る一貫性, 合理性 3. 普遍性 : 事実に基づく再現性, 著者の個性によらない客観性 4. 妥当性 : 一般に広く認められた理にかなうこと 図書館活用法 レポート 論文の作り方 2 レポートと論文の共通点と相違点 共通点目的 : 問題 疑問の研究, 解明タイトル : 調査 研究の主題を端的に示す内容 : 事実と考察 理論の論述評価 : 学問的価値 論文 レポート 著者の考えを調査や研究の 調査や研究結果を事実とし 結果として取りまとめ, 他の てまとめた文章 研究者などの理解を求める 著者の見解は必須ではない 文章 レポートの作成は, 通常特定 著者は自らの意思に基づい の関係者の依頼や要請によ て研究対象となるテーマを決 るため, 読者はレポートの提 め, 研究計画をたて, 実施結 出を期待する関係者に特定 果 ( 成果 ) を発表する される 不特定多数の読者を対象と する 図書館活用法 レポート 論文の作り方 3 レポート 論文の構成 概要 要旨要旨 : 成果を含めた数行の要旨 ( 省略あり ) 表題 ( タイトル ): 内容の核心を適切に表す キーワード : 内容を端的に表す語句 ( 省略あり ) 目次 : ページ数が多い場合に付す ( 省略あり ) 序論 : 背景, 問題提起, アプローチの各要旨 本論 : データ, 解釈, 考察, 推論, 意見, 結論 結び : まとめ 確認, 検討 評価, 展望 課題 脚注 末尾注 : 付随 詳細事項, 読者参考事項 文献 : 参考文献 引用文献の出所一覧 図書館活用法 レポート 論文の作り方 4

目的 序論 ( 序文, はじめに ) 文量 : 全体の5~10% あるテーマ ( 主題 ) に関して問いを立てること テーマ自体は問いではない テーマとは論じる範囲のこと 論文の要旨, アウトラインを知らせ, 理解を助ける テーマの設定 背景説明 : なぜそのテーマを扱うのか, 動機や理由を示し, 先行研究などを指摘する 問題提起 : なぜ問題として取り上げるのか, 疑問点, 問題点, 新たな視点の指摘 アプローチ : 論文の目的, 問題への取り組み方, 解決の方法の要旨を説明する 予告 : 各節の概要を記述する 図書館活用法 レポート 論文の作り方 5 本論文量 : 全体の80% 以上 序論で提起した問題に対して, 結論に至るべく議論を展開する 暫定論旨や仮説にたいする論拠を示し, 結論を導く ( 必要に応じて, 章をいくつかの節や項に下位分類する ) 仮説提示 : 提起した問題 課題について論旨となる仮説を提示する 論拠提示 : 論旨の仮説 ( 命題 ) が正しいことをデータを用いて明らかにする 論旨 論文の中心をなす主張 暫定の論旨のことを仮説という 結論提示 : 問題 課題の分析, 仮説の立証結果を結論として述べる 論文のスタイル 仮説論証型, 説明型, 探索型, 比較型, 事象確認型 図書館活用法 レポート 論文の作り方 6 結び ( まとめ ) 文量 : 全体の10% 程度 本論 において展開した議論にもとづいて 序論 で提起した問題にたいして解答を与える部分 自分の最終的な主張 成果の確認 ( 既存研究との比較 ), 次へのステップを示す 要約 : 本論 の短い 要約 を最初につけて, これまでの議論の流れを確認する 結論 : 本論 での議論から導き出される結論, および最終的な主張や考察を論理的過程を示しながら明確に述べる 検討 評価 : 提出した自己の議論 結論の意義を客観的 第三者的に評価する 展望 課題 : 論じ残された問題点や今後の課題などの指摘を行う 文献出典リスト 参照したり, 引用した文献, データ類の出所を提示し 公表し, 次節の裏付けをとる 参考文献 : 論拠を示す過程で考察や判断のたしにした文献や問題提起や論拠の提示の過程で引用した文献の出典 データ : 論拠で必要とする各種データ ( 事実, 記録, 統計, 文献など ) の出典 注 : 論じる注や補足する注 アイウエオ順に列記し, 一覧表にする 図書館活用法 レポート 論文の作り方 7 図書館活用法 レポート 論文の作り方 8

執筆作業の流れと項目 1. 予備調査 2. テーマの選定 3. 問題提起, 仮説 暫定論旨の提示 50% 4. 暫定目次の作成 5. 資料 データの収集 6. 資料の整理 ( 解釈 説明, 分析 考察 判断 意見 ) 7. 論旨, 目次の詳細検討 8. 文書作成 ( 論述 執筆 ) 50% 9. 出典表示, 文献整理, 確認 10. 仕上げ 図書館活用法 レポート 論文の作り方 9 1. 予備調査 2. テーマ選定 テーマ選定 日ごろから興味や関心が継続する対象であること 調査, 検討意欲が強く湧くこと 学問的価値, オリジナリティを感じること 調査方法 ( 資料類やツール類 ) があり, 利用できること データが集めにくい対象に注意すること 実力, 時間, 費用からみて難しすぎない, 大きすぎないこと 漠然とした, 注目する視点が定まらない対象ではないこと 小さすぎないこと ( 資料 データが見つからない ) 有効な協力が得られること タイトル 調査 研究を経て本論でまとめられる中心的な内容を簡潔, 適切に示すこと 図書館活用法 レポート 論文の作り方 10 3. 問題提起, 仮説 暫定論旨の提案 テーマを掘り下げ感じとった問題点, 疑問点を吟味し, 特に解明したい事柄を取り上げ, 問題提起する 従来の扱い方や考え方に疑問を感じる事柄 新しい考え方やアイディアがあると思われる事柄 従来の研究に不足していると思われる事柄 提起された問題や疑問を掘り下げて考察し, 対応策や解決策を考える 考え出された筆者の主張 ( アイディア ) は現段階では明らかな裏付けや証拠に欠けるため, 仮説 ( 暫定論旨 ) として提案することになる 仮説は事実やデータを用いて論証され, 論文の論旨となるもの 仮説の提示により問題解決と論述の方向付けがなされる 論旨とは, 論文の中心となる判断の主張のこと 事実やデータをもとに, 調査 研究し, 正しいと論証して導き出した結論のこと 暫定論旨とは, 調査, 研究の過程で最も確からしいと仮に定めた結論 ( 仮説 ) 4. 暫定目次の作成 問題提起と暫定論旨の決定 仮説としての提案, 対策, 主張の正しさ, 妥当性を事実やデータを用いて立証し, 結論 ( 論旨 ) を導く議論 ( 論証 ) の筋道作りを行う 予備調査や現時点の知識に基づき, 作業の方向付け 問題への取り組み方 仮説 提案の調査し, 論述する大まかな筋道の想定 次の資料 データの収集に備える 図書館活用法 レポート 論文の作り方 11 図書館活用法 レポート 論文の作り方 12

5. 資料 データの収集 無駄のない資料の探索, 調査は次のような目標を決めて取り組むとよい テーマに関する全体的な知識 研究動向を調べるる テーマに関する基礎的な知識を得る テーマに関する最新の知識や研究を調べる テーマに関する先行研究を調べる テーマに関連する他分野の知識や研究を調べる 資料をいかに集めるか 資料収集は極めて重要 図書館活用法の授業の第 7 回から第 13 回で資料の種類に応じて, 詳細に収集方法を教えてもらえるので, しっかりと学ぶこと 図書館活用法 レポート 論文の作り方 13 6-1. 資料の整理 ( 分類, 解釈 説明, 分析, 考察 判断, 意見 ) 資料整理作業の流れ 1. テーマに関連した資料の収集 A4サイズに統一してコピー 2. 暫定目次 サブテーマに即しての分類し, 整理する 研究ノートの作成 :1 著者名,2 出版年,3 書名, 論文名, 雑誌名 ( 論文の場合 ),4 巻号 ( 論文の場合 ),5ページ,6 出版社 ( 書籍の場合 ) 3. 分類した資料の解釈 分析 集めた資料 データの要旨を示し ( 引用し ), その意味を正しく解釈し, 事実として説明する さらに資料 データを分析し, その特質をグラフなどで示し, 説明する 4. 分析結果から考えられる ( 推論する ) 事柄を筆者の意見として述べる 5. 論文の筋道 論旨に沿うように整理 文章化する 整理した資料 筆者の調査研究作業のテーマに関する結論を導くための考察と判断の裏付けに用いられる 分析の結果から考えられる事柄を, 事実と意見に分けて記録する 図書館活用法 レポート 論文の作り方 14 6-2. 資料 データの解釈と分析 資料と執筆者の見解 意見は別記する 資料 データの解釈 分析における注意点 論文の目的 : 筆者の仮説や主張を明確にしておく 参考, 引用箇所を前後の, また他の部分とのつながりを見ながら客観的かつ正当に解釈する 事実と意見を書きわけて記録する すべてのデータを収集したわけではないタを収集したわけではない 独断, 偏見, 我田引水は避ける 定量 ( 数値 ) データはその意味や価値を理解しやすくするため, 表やグラフの作成も含め, どのような処理 分析が必要か考えておく 数値データを鵜呑みにはしない 疑うことも大切 図書館活用法 レポート 論文の作り方 15 7. 論旨, 目次の詳細検討, 確定 ( 論理の筋道の正しさの確認 ) なぜ目次の詳細検討が必要か 暫定目次は文献の収集前の時点で, テーマ, 問題提起, 仮説 ( 暫定論旨 ) の提示に続き作成したもの 提起された問題にたいし, 執筆者が解決策や対策として提案する仮説の正しさ, 妥当性を結論 ( 論旨 ) を導く議論の仮の筋道 筋道の正しさを確認しておくことが重要 収集文献に基づき, 目次案を節, 項レベルまでみなおし, 論述の流れ, 論理展開の流れを完成させる 暫定論旨の確認も行い, 必要ならば修正する 目次を見直す手順 1. 論文の目的, 各節の目的, 主題, 議論 論証すべき事柄を確認 2. この順序で論理展開に矛盾や無理がなく, 書きやすいかどうか 3. 執筆者の考え, 主張がスムーズに論理的に節や項のレベルまで述べら れるか 4. 読者が読みやすく, 重要個所に関心を引きやすく, 理解しやすいか 5. 必要と判断すれば, 目次や論述の筋書きを修正する 図書館活用法 レポート 論文の作り方 16

8. 文書の作成 ( 論述 執筆 ) 執筆作業のスケジュールを立てる ( 全期間の半分 ) 下書き ( 初稿 ) とその誤りや不備の訂正 参考 引用文献の記入と確認 文章の推敲, みがきをかけて完成 執筆の進め方 序論の下書き ( 背景説明, 問題提起, 暫定論旨を各 2~3 行で簡単に書いておく 最初は備忘録の意味合いなので箇条書きでもよい ) 本論の記述 詳細目次にしたがって, 書き進める ただし, 書けないところは後回しにする 書けない理由も考える 論理の展開, 進め方に気をつけて書き進める 全体の見直し 論理の展開上の誤り, 事実と意見の書き分け, 引用箇所の記載の誤りの有無など 結論の作成 序論の作成 参考文献リストの作成図書館活用法 レポート 論文の作り方 17 9. 出典表示, 文献整理, 確認 引用とは 自分の論を説明 証明するために, 他人の文章や事例を引くこと 引用はしないが参考にした文献 ( 考察のヒントにしたものなど ) も参考文献として出典を明示する 引用の目的 引用の対象を理解するため 自分の意見, 論理の裏付けにするため 自分の立場を明確にするため 引用対象の適切な表現を利用するため 引用の条件 付引用文は原文を忠実に写し, 出典情報を明示する 筆者自身の文章とは区別する 量的目安 多すぎないこと 執筆本文の20% 以下,1 件は400 字以下 図書館活用法 レポート 論文の作り方 18 10. 仕上げ 見直しのチェックポイント 1. 内容のチェック 2. 文章のチェック 3. 引用 図表のチェック 4. 形式のチェック Quiz 論文が論文足りうる形式とは何かを一言で述べなさい また序論, 本論, 結論では何を書くべきであるのか簡単に説明しなさい 参考文献リスト 石坂春秋 (2003) レポート 論文 プレゼンスキルズ レポート 論文執筆の基礎とプレゼンテーション くろしお出版 金子元久 (2007) 大学の教育力 何を教え, 何を学ぶか 筑摩書房 酒井聡樹 (2006) これから論文を書く若者のために大改訂増補版 共立出版 佐藤望 ( 編著 )(2006) アカデミック スキルズ 大学生のための知的技法入門 慶應義塾大学出版会 本多勝一 (2004) 中学生からの作文技術 朝日新聞社 図書館活用法 レポート 論文の作り方 19 図書館活用法 レポート 論文の作り方 20