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確実に縮小する国内の石油市場 1 我が国の石油製品需要は ピーク時の 1999 年から 3 割減少 2030 年までに更に約 2 割減少する見込み 我が国の石油精製能力と石油製品需要量の推移 我が国の石油製品需要量の見込み 600 500 400 300 200 100 石油精製能力 ( 万 BD) 国内石油需要 ( 万 BD) 稼働率 (%) 535 510497498 87.2 483 476477483489483479 462 448447 419 408 419415 84.4 409407 386 395 376 392382 83 346 336338338340 352 333 315 311 81 81.4 82.9 82.4 82.7 82.7 306300297 292287 79.2 78.9 78.5 77.7 75.9 74.5 74.2 90 88 86 84 82 80 78 76 74 72 350 300 250 200 150 100 50 0 2015 2020 2030 国内需要量 ( 万 BD) ( 年 ) 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 70 ( 出典 )2020 年及び 2030 年については アジアを中心とした石油製品縦横動向と主な製油所プロジェクトに関する調査報告書 からデータを計算 精製能力は各年度 4 月 1 日時点の能力 2000 年度から 2015 年度までの需要量は実績 2016 年度から 2020 年度までの需要はエネ庁 石油製品需要見通し より 2

確実に縮小する国内の石油市場 2 国内の石油製品需要はガソリン中心に確実に減少するが 軽油などの燃料の国内需要は存在し続ける したがって エネルギー安全保障の観点から 引き続き 国内に低廉かつ安定的に燃料供給できるサプライチェーンを維持することが必要 資源が乏しい我が国においては 国内に一定程度の石油精製能力を維持することが必要ではないか 長期的には 国内外の石油市場は大きく変化することが予想される中 国内に石油精製基盤を維持し 国内の燃料供給サプライチェーンを維持するために どのような対応が必要で 政府にどのような役割が求められるか IEA は パリ協定を履行する場合 2040 年までに乗用車向け需要が 4 割減少すると予測 しかし 世界の EV 化の進展は 今後の各国政府 自動車メーカーの対応や技術開発動向などに依存するため 各種機関による見通し予測には幅がある 3

長期的な石油市場の構造変化 これまでの日本の石油精製元売業は 国内市場向けにガソリンを精製 供給することが主要事業 競争相手も国内の石油精製元売会社同士 ( 国内水準 ) しかし 国際競争の一層の激化と国内需要減の加速化により 海外からの輸入圧力や輸出 海外展開の必要性が高まることにより 長期的には 国際競争に晒されることは避けられない また 国内需要の減少に合わせ 燃料供給サプライチェーン全体が縮小することで 余剰となる土地や設備の増加や燃料供給サプライチェーンの脆弱化が想定される このような構造変化の中で 日本の石油精製元売業界は これまでの国内水準から国際水準へのギアチェンジをすることが求められる 現状 想定される中長期的な構造変化 目指すべき方向性 国内中心の石油精製元売業 国内へのガソリン供給中心 競争相手は国内精製元売会社 国際競争の激化の可能性 電気自動車の普及加速 - 中国の供給増加 中東 欧州の輸出増加 シェ ルガス増加 ( エタンの増加 ) グローバルな競争環境に変化 競争相手が国内から海外石油会社 ( 主にアジア ) に変化 競争市場が国内の石油市場だけでなく海外や新規事業領域に拡大 ( 多角化 ) 軽油 石油化学中心の需要構造に変化 国内水準から国際水準の産業へのギアチェンジ 国際水準の製油所のオペレーション 新事業展開 海外展開できるノウハウ 国内需要減の加速の可能性 - 電気自動車の普及加速 燃料供給サプライチェーン縮小 余剰となる土地や設備の増加 燃料サプライチェーン脆弱化 柔軟かつ強じんな供給能力の確保 4

5 長期的な石油産業政策の目的と対応の方向性 長期的に想定される構造変化の中においても 燃料供給サプライチェーンを維持することが重要 そのためには 国内の石油精製の基盤の維持と柔軟で強じんな供給能力の確保が必要 燃料供給サプライチェーンの重要な担い手である石油精製元売業界は 業界再編による精製マージンの改善や アジアの旺盛な石油 石油化学需要にも支えられ 足下においては 再投資可能な収益を確保 国内の石油精製の基盤の維持のためには 石油精製元売会社が 国内の石油精製業の国際競争力を向上させる再投資 連携を行うとともに 将来的な成長の原資を確保する観点から 海外事業や他事業分野などの事業領域への拡大 を行うことが必要 また 柔軟で強じんな供給能力の確保については 石油のバリューチェーンを海外にも多様化することで 緊急時に 国内への供給にあたっての供給手段や供給量確保の柔軟性や冗長性を向上させる可能性 < 国内の石油精製基盤の維持 > < 柔軟で強じんな供給能力の確保 >

6 具体的な政策の方向性 (1) 製油所 コンビナートの国際競争力強化 国内の製油所 コンビナートの競争力が国際水準に到達していなければ 海外展開や輸出を行うにあたっても 国際競争に勝ち残ることができないことから 国内の製油所 コンビナートのエキスポート パリティ実現が最優先課題 しかし 現状では 海外製油所と大きなコスト競争力の差 海外の製油所の規模や効率性との比較を踏まえると 個社単独での取組でアジアの主要製油所に対抗することは限界 政府には 1 デジタル技術やオープンイノベーションを活用した生産性向上 ( 協調領域の深化 拡大 ) 2 エキスポート パリティを確保できる競争力のある製油所 コンビナートを残すための集中的な支援 3 製油所の基盤であるコンビナートの競争力維持のための 作り替え の議論の後押しが求められている < 政府の役割 > 1 デジタル技術やオープンイノベーションを活用した生産性向上 ( 協調領域の深化 拡大 ) デジタル技術を活用した協調領域分野 ( 保安 メンテナンス等 ) のデータ共有プラットフォームの構築 データ共有のルール策定等を通じた稼働信頼性の向上 石油化学分野 AI ビッグデータ等の新技術と連携したイノベーションを活用して 業界共通で研究開発を行うことの可能性 必要性について検討 2 エキスポート パリティを確保できる競争力のある製油所 コンビナートに集中的に支援 アジアの主要製油所をベンチマークとして設定し コンビナート内での石油化学との協業 コンビナート間の石油会社 石油化学会社間の連携 輸出インフラの増強 共同利用 AI, ビッグデータを活用した新たなオペレーションシステムの開発など 個社では実現できない 投資への支援 3 自治体 関係省庁 立地企業 ( 石油会社 化学会社 ) を巻き込んだ形での コンビナート全体の 作り替え の議論の場の立ち上げの後押し 個別自治体等のニーズも踏まえながら コンビナート毎に作り替えの議論を推進

具体的な政策の方向性 (2) 事業ポートフォリオの転換 日本の石油精製元売会社の主力事業であったガソリンの需要減少に伴い 事業ポートフォリオの転換が必要 明確な成長戦略の下 メリハリのある新事業領域への拡大とノンコア事業の売却が必要 例えば 余剰となるガソリン留分や処理能力を振り替える先として 基礎化学分野 その先の誘導品分野 更には 新素材などのベンチャー分野に事業を強化 拡大することは 石油精製業の競争力強化の一つの方向性 他方 基礎化学や誘導品分野においては 国内外の化学の需給バランスが不透明な中 石油精製元売会社が個社単独で投資を行うことはリスクが高い 新素材などのベンチャー分野においては 投資先選定や新事業の育成などについては 石油精製元売会社の既存の人材 ノウハウでは限界 また 事業ポートフォリオの転換にあたっては 新規事業領域の拡大と併せて ノンコア事業の売却も重要な取組 巨大投資に伴う事業リスクの分散 事業シーズ探し ノンコア事業の受け皿として政府系ファンドの活用の可能性あり < 政府の役割 > 1 資本の壁を越えた事業連携の促進 石油精製と基礎化学 誘導品分野での化学会社含め複数社での国際競争力のあるかたちでの連携への資金提供のあり方についての検討 2 目利き能力の提供 新素材ベンチャーなどの事業シーズ探しのために政府系ベンチャーファンドに対する支援 3 事業ポートフォリオ転換の促進 ノンコア事業の受け皿 サブスケール事業の集約などの後押し 長期投資リスクの共有 7

8 具体的な政策の方向性 (3) 海外事業展開支援 海外事業展開は 企業にとっての新たな事業や雇用の受け皿など 各社の経営戦略に基づき行われるものだが エネルギー安全保障の観点からは 石油のバリューチェーンの多様化を通じた 柔軟で強じんな供給能力の確保や産油国との石油の上中下流領域全体の包括的な協力を通じた上流権益確保につながる可能性がある 政府としては このようなエネルギー安全保障に資する海外展開について支援していく 海外事業への参入にあたっては 各社が強みと弱みを踏まえ 他社とアライアンスを組んで案件組成を行うことが求められるが 売りとなるオペレーション能力の明確化 可視化が不十分という課題や民間努力だけではカバーできない現地政府 企業の方針転換などの事業リスクや巨額な投資額などの財務リスクが存在 政府としては 売りとなる強みの強化 事業リスクや財務リスクの低減を通じた後押しを行っていく < 政府の役割 > 1 売りとなる強みの強化 潜在的な強みであるオペレーション能力のデジタル化 データ化 IP 化の支援 ( 製油所の国際競争力強化と表裏一体 ) 2 案件創出 コンソーシアム形成の支援 政府間交渉 (ADNOC JOGMEC METI との包括的協力枠組み エネルギー対話 ) 産油国協力事業 (JCCP) の活用 分野横断的な政府プロジェクト : インフラ事業や医療とのパッケージ 3 長期リスク資本 負債の提供 JBIC NEXI などの政府系金融機関の活用

9 今後の検討課題 今回の研究会においては 国内の石油精製基盤を維持するため エキスポート パリティのある製油所 コンビナートを国内に残し その強みを活かして海外にも展開することがエネルギー安全保障上も国内の低廉かつ安定的な燃料供給に資するという考えの下で議論 しかしながら 将来的には 純粋に国際競争力強化や収益性を追及した場合 石油製品製造装置の構成を合理化していくと すべての石油製品を国内で製造できるようにするよりも 一部の製品は 恒常的に輸入に依存することが経済合理的となる状況も想定される また ガソリン需要の減少を石油化学にシフトすることでカバーできるのではないかという観点から検討を行ったが リスクのある巨額の設備投資を行うためには エチレンや BTX( ベンゼン トルエン キシレン ) などの製品の国内外の将来の需給見通しや海外企業の戦略についての更なる精緻な分析が求められる 長期的な燃料供給サプライチェーンの維持のための国際競争力の強化と有事の際の安定供給とを同時に達成するための方策について 世界の石油 石油化学の需給バランスの見通し 日本の石油精製元売企業の海外展開の状況 緊急時に周辺地域から製品輸入できる可能性なども踏まえながら 今後 検討することが必要