田村一夫の経験者採用試験論文 & 面接講座目次 はじめに 2 田村一夫講師からのメッセージ 添削指導依頼 質問のメール方法について第一章経験者採用試験を理解しよう 3 なぜ経験者採用をするのか 経験者採用試験の概要など第二章経験者採用試験の論文試験対策 9 経験者採用試験における合格答案に求められるもの 実際の出題例 実際の書き方 ( 設計図づくり 時間配分 ) 課題論文 経験論文対策など第三章経験者採用試験ならではの面接試験対策 17 1. 面接の概要を知ろう 17 経験者採用における面接試験の概要と重要性など 2. 具体的な面接対策を始めよう 20 経験者採用における面接試験のポイント 面接対策の基本とツボ 面接のチェックポイントなど 3. 自己 PRを再確認してみよう 26 経験者採用における自己 PRの重要性 面接官を共感させる自己 PRとは 自己 PR 作成手順 それでは自己 PR 考えてみようなど 4. 志望理由を再確認してみよう 32 志望理由の重要性 志望理由づくりの準備 志望理由の考え方 志望理由を考える5つのタイプなどオリジナルな志望理由の第一歩 5. 面接シート等の提出書類はどのように見られているか 41 職務経歴書やエントリーシートの記載内容 面接シートの重要性など 6. 面接官は何をチェックしているのか 44 面接試験のチェックポイント 経験者採用面接だからこそ必要なポイントなど 7. 面接試験ごとの対応 46 個別面接 集団面接 集団討論 プレゼンテーション面接など 8. 経験者採用試験に関してよくある質問 50 併願先を素直に書くべきか? 短期退職歴について書くべきか? など第四章マナー編 51 終わりに面接本番のまとめ 53 経験者採用試験の主な質問項目 55 添削用動画収録のための想定質問 60 参考資料 61 自己 PR 作成シート 志望理由作成シートなど
第一章経験者採用試験を理解しよう 行政現場で経験権者採用を必要とする理由を理解することが 経験者採 用試験を受験するあなたの第一歩です! なぜ経験者採用をするのか? 公務員試験で経験者採用を実施するようになったのはそれほど古いことではありません 私の記憶では 2000 年前後から始まったと思っています 1998 年に 公務の活性化のための民間人材を採用する場合の特例 という人事院規則が施行され 公務部内の育成ではなかなか確保できない弁護士 公認会計士 IT 関係 資金運用などの高度の専門性や多様な経験を持った優秀な民間人材についての弾力的な採用システムが整備され ほぼ同じ時期に 国と民間企業との間の人事交流に関する法律 も施行されました その後 国家公務員試験でも 2007 年度から 国家公務員中途採用者試験 ( 再チャレンジ試験 ) が始まりました これはいわゆる就職氷河期にあった 30 歳から 40 歳程度の人達に就職機会を増やす仕組みとして実施されているようです 地方自治体では 採用職員の年齢制限をそれぞれの自治体で決めることから 新規卒業者に限定せず 受験年齢を 22 歳とするのではなく 35 歳までと拡げるなど 実際には民間企業での経験を持った人財を採用してきた実績があります 実際に 2003 年に千葉県市川市が初めて実施的に年齢制限を撤廃した採用試験を実施し また 2008 年には横浜市などが実質的な年齢上限撤廃を行うなど 59 歳まで受験可能な自治体も増えてきました しかし 年齢制限が撤廃されたとしても 高年齢層の採用は稀なようです 決して簡単な試験ではありませんが チャンスは広く開放されてきているわけです また 並行して登場したのが経験者枠での採用です 例えば東京都は 資金運用 財務 システム 不動産 医療事務のような専門的知識分野の職員として 特別区の場合は 2 級職 ( 主事 ) と 3 級職 ( 主任主事 ) として一定権限を持つ職員として 2007 年度から経験者枠採用選考が始まりました 経験者採用を各自治体が始めた背景にあるのは 1 社会環境の変化にともない 地方公務員にも新たな経営 サービス感覚が求められていること 2 2007 年から数年続いた団塊世代の大量退職への即戦力としての職員充足の必要性があったこと
3 長く続いた新卒の採用抑制によって人数的に薄くなった中堅層職員を補充する必要性があったこと 4 従来の育成では得難い専門性や多様な経験を有する有為の民間人材の確保する必要性があったこと 等であると考えています 経験者採用試験の概要 経験者採用試験の具体的な内容は以下の通りです また 試験のレベルとして 筆記科目はそれほど高いハードルではないと言われおり ポイントは論文試験 面接試験での人物重視である点です! 経験者採用試験の内容は 自治体によって様々ですが 共通点があります 経験者採用試験では教養試験 + 論文 + 面接 ( プレゼンなども含む ) の組合せが一般的で 事務職 ( 行政職 ) では専門試験は課されないケースが多いようです ( 技術職 専門職の場合には 専門試験が課されたり 特定の国家資格などが要求されたりするケースもあります ) 教養試験の内容は 文章理解 ( 現代文 英文 ) 数的推理 判断推理 社会科学 あたりがメイン その他 時事問題 のウェイトが高くなっている自治体もあります 論文試験は 自分の職務経験をアピールする経験論文と一般的なテーマについて論述する課題論文に大別されますが その両方を書かせるケースもあります 受験資格として年齢の他 民間企業などでの一定期間以上の勤務 ( 自治体によって異なりますが だいたい5 年以上 ) が要求されています 勤務先や勤務年数に関する条件がかなりややこしい場合もあるので 自分に受験資格があるのかをしっかり確認してください また 逆に経験の内容として自営業やアルバイトも含めて良いとする自治体もあります なお 公務員としての勤務期間を算入できるか否かについても 自治体により異なりますが 近年は認めるケースが増えてきているようです つまり 民間から公務員だけではなく 公務員から公務員への受験も可能となっています 特別区 1 次試験は教養択一と経験論文と課題論文が実施され2 次試験と3 次試験は個別面接が実施されます 教養択一試験問題のレベルは特別区上級職よりも低いと言われており 専門試験は課されていません 実際に社会人経験者枠の教養択一問題にⅢ 類 ( 高卒 ) と同様の問題も
第二章経験者採用試験の論文試験対策 択一式の筆記試験と異なって人柄が表れる論文試験 ( 課題論文 経験論文 ) は面接と共に重視されています 改めて論文試験に求められていること 合格答案の書き方を理解して 論文添削にチェレンジしてください! 概要 殆どの公務員試験では論文試験を課しています 教養や専門の択一試験は での採点ですから機械的に成績が出ます 一方 論文は ではありませんから採点は非常に大変です なぜそのように採点が大変な論文試験を敢えて実施しているのでしょうか? それは 論文試験というのは 論点を明確にする力 それを解決するための方策を考える力 加えて それを読み易い文章にまとめる力などを総合的に発揮しなければできないものです したがって そこでは単に知識があるか否かだけではなく その人のものの考え方などの 人物像 ( 人柄 ) が浮き上がってくるからです 論文の内容からは どの様な考え方を持っているのか? 評論家として論評するだけではなく 公務員として問題解決に向けた前向きな姿勢があるのか? 積極的なものの考え方か? などを見極めることができます また 形式的な面からも正しい日本語を使っているか? 読む側の気持ちを推し量った書き方ができているか? などにより 丁寧な仕事ができる人物かも判断することができます つまり 採用者側が論文試験で見ている点は 1 公務員としての社会常識を備え 自分なりの意見を持っており 2 公務員の基本的な能力である読み易い文章を書けるか否かという点です 公務員の世界は文書主義です 内部の意思決定はもちろん 外部との関係も最終的には文書で確認します また 日々の業務でも官公庁との連絡 民間企業や住民への連絡は基本的に文章で行います 従って 職員を採用するに際しては しっかりとした文書を書ける人物を重視しているのです そこで 受験する皆さんに求められていることは 論文を書く という意識です 作文 ではありませんので注意してください 改めて 論文 と 作文 の違いを聞かれたらすぐに答えられるでしょうか? 作文も論文も自己表現の一種といわれますが 作文は 私 のことを直接的に書きます つまり 自分の経験を中心に 感じたことや考えたことを主観的に書く文章です しか
第三章経験者採用試験ならではの面接試験対策 面接試験とは一言で言えば 限られた時間内で 私はこれだけお役にたつ商品です 買わないと皆さん損をしますよ と云ったことをアピールすることです 面接官に こいつを自分の部下にして使ってみよう と思わせることができれば合格切符を手にできます そのために必要なことは 演技しない素直な態度 面接官と対話する意識 意欲 熱意を伝える 抽象論ではなく具体的に話すこと を大切にしてください 1. 面接の概要を知ろう 面接試験の概要と重要性 面接試験とは? 一言でいえば 筆記試験だけではわからない人間性や公務員としての適性を 複数の面接官が見極めるために実施する試験です 官公庁の仕事は多種多様です 定例的な業務での事務処理の正確性を求められるだけでなく 地域の抱える多種多様な問題を解決するには 官公庁間の連携のみならず 住民や企業との連携関係の構築 調整など定例的ではない業務も多くあります つまり 公務員には 基礎的な業務を間違いなく処理できる基本的な能力とともに 関係機関との連絡調整や様々な案件に対して柔軟に自律的に対応しなければならない側面もあり サービス業とも言われるようになりました 従って そこで働く職員には知識の多さだけではなく 対外的な交渉能力や調整力を伴った能力が重要視され 関係機関や外部との交渉 住民の生活満足度を最大にするような柔軟性を持った対応などには臨機応変に行動できる資質が求められています 知識の多さや事務処理の正確性は択一形式の教養 専門試験や事務適性検査などである程度は推し量ることができますが 臨機応変に行動できるかなどの潜在的な能力はわかりません だからこそ 人物の内面を見る 面接試験が重要になる訳です つまり 面接試験とは その人という人間を試す ことで 人間そのものを見極め る試験であるわけです 面接試験が 人物試験 と言われる所以もここにあります