累積火災件数 本震震最大震度 6 強の揺れを伴う地震の発生日時前累積火災件数 最大震度 7 の揺れを伴う地震の発生日時 0 4/14 4/15 4/16 4/17 4/18 4/19 4/20 4/21 図 地震の発生日時と火災の出火推定日時の関係

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【集約版】国土地理院の最近の取組

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被害情報 平成 29 年 11 月 13 日 16 時 30 分発表熊本県危機管理防災課 平成 28(2016) 年熊本地震等に係る被害状況について 第 258 報 1 この数値は 現段階の速報値であって 確定値ではありません 速報値 1 1 被害状況 ( 平成 29 年 11 月 13 日 13:

スライド 1

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

161019_発表資料_後日訂正版_HP用

平成17年7月11日(月)

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熊本地震災害調査レポート(速報)

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

概要 気象の状況 6 月 10 日に九州の南海上にあった梅雨前線が 11 日には九州北部までゆっくり北上し 前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み 前線活動が活発化した 熊本県では 九州の西海上から発達した雨雲が次々に流れ込んで 大雨が降りやすい気象状況となった 大雨の状況 熊本県では 11 日朝

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2 活断層との関係 第 1 章熊本地震の概要第 1 節熊本地震の発生状況や特徴等 2 活断層との関係 熊本地震の地震活動領域には 布田川断層帯 日奈久断層帯が存在しており 国の地震調査研究推進本部地震調査委員会によると M6.5 の前震は日奈久断層帯の高野 白旗区間の活動 M7.3 の本震は布田川断

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長崎県 : 諫早市 島原市 雲仙市熊本県 : 荒尾市 南関町 人吉市 あさぎり町 山江村 水俣市 津奈木町大分県 : 大分市 臼杵市 津久見市 佐伯市 玖珠町宮崎県 : 延岡市鹿児島県 : 長島町 (3) 津波津波注意報平成 28 年 4 月 16 日 1 時 27 分気象庁発表有明 八代海 16

2016年(平成28年) 熊本地震

日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

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20企広第  号

1.1 阪神 淡路大震災環境省は 阪神 淡路大震災 ( 平成 7 年 1 月 17 日発生 ) の際に兵庫県及び神戸市の協力を得て 大気中の石綿濃度のモニタリング調査を実施した 当時の被災地における一般環境大気中 (17 地点 ) の石綿濃度の調査結果を表 R2.1 に 解体工事現場の敷地境界付近に

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この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

熊本地震に係る対応について

3.地震の揺れによる人間の行動と負傷の関係

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2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)

エコテックその他火災 ( 産業廃棄物 ) 概要 平成 29 年 6 月 14 日 ( 水 )17 時 00 分飯塚地区消防本部 下線部は 前回からの変更点 1 出火場所嘉麻市大隈 ( 有 ) エコテック代表者氏名代表取締役社長高山和仁 2 出火日時覚知平成 29 年 5 月 28 日 (

九州地方の主な地震活動


長崎県 : 諫早市 島原市 雲仙市熊本県 : 荒尾市 南関町 人吉市 あさぎり町 山江村 水俣市 津奈木町大分県 : 大分市 臼杵市 津久見市 佐伯市 玖珠町宮崎県 : 延岡市鹿児島県 : 長島町 (3) 津波津波注意報平成 28 年 4 月 16 日 1 時 27 分気象庁発表有明 八代海 16

図 東北地方太平洋沖地震以降の震源分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 ) 図 3 東北地方太平洋沖地震前後の主ひずみ分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 )

震度 5 強, 1 震度 6 弱, 7 震度 7, 1 震度 6 強, 8 震度 7 震度 6 強震度 6 弱震度 5 強 図 3 震度別火災発生件数 (3 日間 合計 17 件 ) 震度 6 以下が最大震度であった市区では25 件 合計 18 件であった 4) 震度 7の市区町での出火率は0.96

交付金事業実施状況報告及び推進事業実績報告並びに基金事業実施状況報告及び活性化事業実績報告について 別紙 1. 今年度に都道府県及び市町村が実施した推進事業及び活性化事業 ( 交付金等 ) 事業名 ( 事業メニュー ) 1. 消費生活相談機能整備 強化事業 都道府県は被災 4 県のみ 都道府県 -

9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

特集大規模自然災害からの復旧 復興 参考 警察が検視により確認している死者数 50 名 災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者数 106 名 6 月 日に発生した豪雨による被害のうち熊本地震と関連が認められた死者数 5 名建物被害全壊 8,360 棟, 半壊 3

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2. 調査手法 Google 3. 調査結果 3. 1 概要.. 表 1 表 1 / / / /

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での停電戸数は3.8 万戸となった 西原村では4 月 18 日 12 時 益城町では同日 22 時に通電が完了したとされているが 家屋倒壊や道路損壊による復旧困難箇所については復旧対象から除外されている 一方 阿蘇地方 ( 阿蘇市 高森町 南阿蘇村 ) では 大規模な土砂崩れにより66KV 送電線の

本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項

浦河沖を震源とする地震(第2報)

熊本県熊本地方を震源とする地震 ( 第 19 報 ) 平成 28 年 4 月 16 日 ( 土 )4 時 15 分消防庁災害対策本部 下線部は前回からの変更点 1 地震の概要 ( 気象庁調べ ) (1) 発生日時 平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分頃 (2) 震央地名 熊本県熊本地

平成28年(2016年)熊本地震の評価

した 気象庁は その報告を受け 今後は余震確率の公表方法を改めることとしたという 2. 被害状況 被害要因等の分析 (1) 調査方針本委員会は 以下の調査方針で 被害調査と要因分析を行っている 1 極めて大きな地震動が作用し 多数かつ甚大な建築物被害が生じた益城町及びその周辺地域に着目して検討を進め

00 表紙・目次

熊本地震での「お知らせ」活用から見えた課題

8km M km M M8.4 1M M M 東北地方太平洋沖で想定されていた地震 Fig % 8 9% M8. 6 3m M % Fig.1 Distribution of

防災情報のページ

地震災害、正しい知識と備え


1 平成 28 年熊本地震の概要 発生日時 前震 平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分 本震 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分 震央地名熊本県熊本地方同左 マグニチュード 震度 6 弱以上を観測した自治体 震度 7 益城町益城町 西原村 震度 6 強

(2 / 5) 震度 1 以上を観測した地震の状況は以下のとおりです 1. 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震 の活動域における地震の発生状況 2016 年 4 月 14 日から始まった熊本県から大分県 ( 領域 a) にかけての 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震 の一連の地震

177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

奏功事例 6 平成 21 年 1 20 時頃 多賀城 たばこ ( 不始末 ) 留守中の住宅から ピーピー とういう警報音に隣接共同住宅の隣人が気付き 119 番通報し 到着した消防隊が消火したもの 早期の発見により 床の一部だけの焼損で済んだ事例 奏功事例 7 20 時頃 塩釜 ガスこんろ 留守中の

資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 について 熊本地震における建築物被害の原因を分析するため 国土交通省は建築研究所と連携して 熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 を設置 国土技術政策総合研究所 建築構造基準委員会 ( 委員長 : 久保哲夫東京大学名誉教授 ) と建築研究

地震発生後の九州地方整備局の活動 4 月 16 日の夜明け 本震の後に再度調査を実施しておりま す その際は 道路崩壊の調査 土砂崩壊の箇所の調査 被 災地に入るための安全ルートの確認等を実施しております 次に九州地方整備局の活動について紹介させていただき ます まず最初に地震発生後の初動体制につい

平成28年熊本地震八次調査報告(HPアップ版v3)反映

2.1-震度分布からの震源域推定_

熊本地震の緊急調査報告

水俣市 津奈木町大分県 : 大分市 臼杵市 津久見市 佐伯市 玖珠町宮崎県 : 延岡市鹿児島県 : 長島町 (3) 津波津波注意報平成 28 年 4 月 16 日 1 時 27 分気象庁発表有明 八代海 4 月 16 日 2 時 14 分解除 (4) 地震活動状況 (4 月 14 日 21 時 26

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Microsoft Word - H19中越沖地震(K1朝日向).doc

緊急地震速報の発表状況 この地震に対し 地震検知から 3.9 秒後の 20 時 42 分 7.9 秒に緊急地震速報 ( 警報 ) を発表 しました 震源要素の切り替え 4 月 18 日 20 時 42 分頃に発生した熊本県阿蘇地方の地震の震源要素を 22 時 15 分に速報値 から暫定値へ切り替えま

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

図 年 [ 高度利用者向け ] 半月ごとの緊急地震速報発報回数 東北地方太平洋沖地震からほぼ単調に減少していた緊急地震速報の発報回数は 2015 年のほぼ安定した発報回数分布が 2016 年は急増しました 熊本地震直後では半月で最大 158 回 福島県沖の地震の後には 98 回となり

熊本地震の概要 発生日時 :4 月 14 日 ( 木 )21 時 26 分震源地 : 熊本県熊本地方 ( 北緯 東経 ) 震源の深さ :11km地震の規模 : マグニチュード6.5 各地の震度 : 震度 7 益城町震度 6 弱玉名市 西原村 宇城市 熊本市 発生日時 :4 月

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隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

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(2) 令和元年地価調査結果の概要 Ⅰ 調査目的等 地価調査は 地価公示と併せて一般の土地取引の価格に対する指標及び公的土地評価の基準等となるものであり 毎年 1 回 7 月 1 日現在の県内の基準地価格を判定し 公表している 基準地数 :482 地点 ( 住宅地ほか :467 地点林地 :15 地

地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

別紙 1600 年分の自然災害を振り返る災害年表マップ ~スマートフォン タブレット対応のお知らせと Web 技術者向け API 配信項目拡大のご案内 ~ 1. 災害年表マップについて災害年表マップは 過去の自然災害事例を発生年ごとに市区町村単位で Web 地図上に表示する Web サービスです 地

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地震保険と当社31 経社会活動資料編保険金の支払 1-1 保険 日 の 1-2 保険 日 の 保険の の 保険 保険の の 保険 保険 の 100% 保険 の 60% の 60% 保険 の 30% の 30% 保険 の 100% 保険 の 50% の 50%

(2/ 8) 4 月の地震活動概要 4 月に内の震度観測点で震度 1 以上を観測した地震は5 回 (3 月は1 回 ) でした 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震続報 28 日 14 時 08 分に熊本県熊本地方で発生した M3.6 の地震 ( 深さ 12km) により 熊本県の八代市 宇

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推計震度分布図 ( 気象庁 ) 出典 気象庁ホームページ 推計震度分布図 (2) 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分頃に発生した地震ア発生日時 : 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分頃イ震央地名 : 熊本県熊本地方 ( 北緯 32 度 45.2 分 東経 130 度

家族みんなの防災ハンドブック 保存版


4. 火災及び地区の概要 4-1. 火災の状況糸魚川市駅北大火対策本部資料 1) によれば 火災等の状況は下記の通りである (1) 日時出火平成 28 年 12 月 22 日 ( 木 ) 10 時 20 分頃覚知平成 28 年 12 月 22 日 ( 木 ) 10 時 28 分鎮圧平成 28 年 1

東日本大震災 鳴らされていた警鐘

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北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

202 国土地理院時報 影の違いなどを総合的に判断して取得した また 今回の地震で生じた亀裂かどうか容易に識別できな い場合は 地震発生前に撮影された空中写真と比較 して確認を行った ただし すべての範囲を同じ縮 尺レベルで判読できている訳ではないうえ 判読者 の違いにより取得基準に若干のぶれがある

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報道発表資料 ( 地震解説資料第 44 号 ) 平成 29 年 7 月 2 日 04 時 30 分 熊本地方気象台 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震 について - 平成 29 年 7 月 2 日 00 時 58 分頃の熊本県阿蘇地方の地震について - 熊本県産山村で震度 5 弱を観測今後

2018 年の山形県とその周辺の地震活動 1. 地震活動の概況 2018 年に 山形県とその周辺 ( 図 1の範囲内 ) で観測した地震は 2,250 回 (2017 年 :2,447 回 ) であった 山形県内で震度 1 以上を観測した地震は 図の範囲外で発生した地震を含めて 47 回 (2017

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

としてまとめました 準備実験では 試験体の内外に 518 カ所の温度センサー ( 熱電対 ) と 41 カ所の熱流センサー ( 熱流束計 ) を設置して計測を行ったほか ビデオカメラを試験体内に 13 台 試験体外に 9 台設置して火災の様子を観察しました 2.2 準備実験より得られたこと木造 3

地震 ) が原因の阪神 淡路大震災では職員や家族が亡くなっています ( なお 東日本大震災では津波で多数の職員や家族が亡くなり そのことがその後の被災者支援活動を大きく遅滞させる要因の一つとなりました ) これへの対策は 職場 自宅の耐震化や家具等の固定が基本となります なお 熊本地震は勤務時間外の

Transcription:

第 6 章火災による建物被害 6.1 調査概要火災被害については 総務省消防庁により 16 件の地震に起因する火災 ( 以下 地震火災 ) の発生が報告されている 6.1-1) ただし 地震火災とは 直接 間接を問わず また 時間の経過を問わず 地震を原因とする火災を指している 16 件の火災はいずれも建物火災であり その内訳は表 6.1-1 に示す通りである ( ただし 管轄自治体内で火災の発生した消防本部についてのみ示す ) そこで 本地震に起因する火災の発生状況を把握し 過去の地震における被害との比較や 関連する課題を整理することを目的として 調査を実施した 本調査では まず 火災の概要 ( 出火地点や発生日時 被害程度など ) について各消防本部への問い合わせを行った その上で 熊本市消防局管内で発生している 9 件の火災について より詳細な情報を得るためのヒアリング調査 ( 対象は熊本市消防局と火災現場周辺住民 ) と現地調査を 平成 28 年 4 月 26 日および 27 日に実施した 表 6.1-1 火災の発生状況 消防本部管轄自治体火災件数 上益城消防組合消防本部 嘉島町 甲佐町 御船町 山都町 1 熊本市消防局 熊本市 西原村 益城町 9 八代広域行政事務組合消防本部 氷川町 八代市 2 阿蘇広域行政事務組合消防本部 阿蘇市 南小国町 小国町 産山村 高森町 南阿蘇村 1 宇城広域連合消防本部 宇土市 宇城市 美里町 1 菊池広域連合消防本部 菊池市 大津町 合志市 菊陽町 2 火災件数 ( 計 ) 16 6.2 火災の発生状況 (1) 出火日時地震の発生日時と火災の出火推定日時の関係を図 6.2-1 に示す 前震に起因する火災は 5 件発生しているが その内訳は 前震直後に発生した火災が 2 件 その後時間をおいて本震までに発生した火災が 3 件となっている 本震に起因する火災は 11 件発生しているが その内訳は 本震直後に発生した火災が 6 件 その後時間をおいて発生した火災が 5 件となっている 6-1

累積火災件数 16 14 12 10 8 6 4 2 本震震最大震度 6 強の揺れを伴う地震の発生日時前累積火災件数 最大震度 7 の揺れを伴う地震の発生日時 0 4/14 4/15 4/16 4/17 4/18 4/19 4/20 4/21 図 6.2-1 地震の発生日時と火災の出火推定日時の関係 (2) 出火確率出火地点を 前震 (4 月 14 日 21 時 26 分発生 ) の震度分布に重ね合わせたものを図 6.2-2 に 本震 (4 月 16 日 1 時 25 分発生 ) のそれを図 6.2-3 に示す これらの図からは 震度と出火件数の関係が必ずしも明らかではないが 出火地点は 概ね震度 5 弱以上の領域に分布していることが分かる 同 6.2-1) じく 地表面での揺れの強さの指標であるPGV(Peak Ground Velocity: 最大地動速度 ) の面的推定値の大きさをもとに九州地方の市町村を分類 (0~10 10~20 20~30 30~40 40~80 80~150cm/s 6.2-2) の 6 区分 ) し 平成 22 年国勢調査の結果を利用して世帯あたり出火確率を算出した結果を図 6.2.4 6.2-4) に示す 本地震における 16 件という出火件数は 兵庫県南部地震 (1995) の 293 件や東北地方太平洋沖地震 (2011) の 330 件 ( 津波浸水区域内の出火を含む ) 6.2-5) に比べて少ない しかし 出火確率は PGVの大きな領域でこそ兵庫県南部地震の記録より小さいものの 東北地方太平洋沖地震の記録から大きく隔たりがあるわけではない 図 6.2-5 は 上記のPGV 区分に市町村を分類し 各区分に含まれる世帯数を 本地震と東北地方太平洋沖地震で比較したものである これによると 本地震において強い揺れ (10cm/s 以上とする ) を記録した地域の世帯数は 東北地方太平洋沖地震に比べて大幅に少ない 出火件数は 地震の規模や 出火原因の季節的 時間的変動によって左右されるが 出火確率が大きくは変わらないことを考慮すれば 強い揺れを記録した地域の世帯数 すなわち出火の可能性が高くなる世帯数の少なさが 本地震における相対的な出火件数の少なさの原因の一つであったと言える 6-2

図 6.2-2 前震の推定計測震度分布 6.2-1) と出火点 ( 背景地図 : 国土地理院標準地図 ) 図 6.2-3 本震の推定計測震度分布 6.2-1) と出火点 ( 背景地図 : 国土地理院標準地図 ) 6-3

0.001 世帯あたり出火確率 p 0.0001 1x10-5 熊本 (2016) 東北 (2011) 神戸 (1995) 1x10-6 1 10 100 1000 PGV (cm/s) 図 6.2-4 世帯あたり出火確率 ( 文献 6.2-3) に追記 図中の直線は回帰式を示す 1 ) 80-150 40-80 東北 (2011) 熊本 (2016) PGV (cm/s) 30-40 20-30 10-20 0-10 0 2x10 6 4x10 6 6x10 6 8x10 6 1x10 7 世帯数 図 6.2-5 PGV 区分ごとの世帯数の比較 (3) 火災の特徴熊本市消防局管内で発生した 9 件の火災の中には 以下のような事例があった 本震後の深夜にホテルで発生した火災では 自動火災報知設備の鳴動により出火を知った従業員が屋内消火栓設備を使用して消火活動を行い 別の従業員が宿泊客を避難誘導して人的被害の発生を免れている また 同じく本震後の深夜に共同住宅で発生した火災では 地震の発生を受けて居住者が近隣に避難をしている中で出火したために発見が遅れ 消火器で初期消火を試みたが消し止めることができず しばらくしてから消防により消し止められている 本地震に起因する 16 件の火災は いずれも建物火災であった 出火建物の用途の内訳を図 6.2-6 に示す これによると 住宅用途の建物 ( 戸建住宅 共同住宅 店舗兼住宅 ) からの出火が最も多く 10 件 ( 約 6 割 ) となっている 出火原因の内訳を図 6.2-7 に示す これによると 推定や疑いを含め 出火原因が分かっている 13 件の火災のうち 電気関連 ( 屋内配線 電気設備 観賞魚用ヒーター ) の出火が 8 件 ( 約 6 割 ) とな 1 1995 年兵庫県南部地震,2011 年東北地方太平洋沖地震,2016 年熊本地震では,PGV の推定方法が異なっている. 6-4

っている 火災による焼損規模の内訳を図 6.2-8 に示す これによると 焼損規模が分かっている 15 件の火災のうち 6 件がぼやにおさまっている 火災発生件数の多かった熊本市では 揺れによる建物被害が比較的小さかったが このことは火災発生の早期発見や 居住者自身による初期消火活動の実施にもつながっていたものと考えられる なお 出火建物から隣接する建物への延焼 ( 出火建物は全焼 ) は 3 件発生しているが いずれも隣接する 1 棟もしくは 2 棟の建物への延焼である 工場, 3 戸建住宅, 5 ホテル, 1 事務所, 2 店舗兼住宅, 1 共同住宅, 4 図 6.2-6 出火建物の用途の内訳 未確認, 3 屋内配線, 5 隣接建物への延焼あり, 3 未確認, 1 ぼや, 6 不明, 1 全焼, 2 天ぷら油, 3 電気設備, 2 溶融金属, 1 観賞魚用ヒーター, 1 部分焼, 4 図 6.2-7 出火原因の内訳 ( 推定 疑い含む ) 図 6.2-8 焼損規模の内訳 6.3 現地調査結果熊本市消防局管内で発生した 9 件の火災のうち 益城町内の住宅街で 前震後まもなく発生した火災について現地調査を行った この火災では 出火した 2 階建て木造住宅が全焼しているが 三方を囲む住宅への延焼は免れている 出火は建物の 2 階東側と見られているが その原因は明らかになっていない 火災発生後 直ちに消防に通報され ポンプ車が駆けつけている 火災現場までの途上 道路の陥没や 地震後の避難に伴うと見られる交通混雑があったものの 駆けつけ時間の遅れにはつながらない程度であったようである ただし 地震の影響で最寄りの消火栓が使えなかったため 防火水槽から取水して放水が行われている なお 益城町に設置されたアメダス観測所の記録によると 火災発生当時の風向 風速は 北東の風 1.8m/s であった 空中写真 ( 国土地理院 ) をもとに作成した出火建物周辺の状況を図 6.3-1 に示す 6-5

南側の住宅は 2 階建て ( 構造不明 ) で 出火建物と最も近接している場所で 0.8m ほどしか離れていなかった 出火建物に面する北側の外壁は変色しており 強い加熱を受けていたものと見られるが 開口部が設けられていなかったことに加え 窯業系サイディングが使用されていたことで延焼を免れたものと考えられる 東側の住宅は 2 階建て ( 構造不明 ) で 出火建物と最も近接している場所で 3.3m ほど離れている 出火建物との間にあった植栽は焼け焦げ 2 階開口部の樹脂製サッシには溶融痕があったものの 外壁や開口部にこの他の目立った被害は確認できなかった 北側の住宅は 2 階建て ( 構造不明 ) で 出火建物と最も近接している場所で 6.3m ほど離れているが 北側の敷地は 出火建物の敷地に比べて 2m ほど高くなっており 実際の離隔距離はさらに大きい ただし 北側の敷地の植栽は焼け焦げたものも少なくない 2 階の南側屋根の樹脂製雨樋は 2~3m ほどの幅で溶融していたが 外壁や開口部にこの他の目立った被害は確認できなかった 西側の住宅は木造 2 階建て 金属系サイディング張りである 前震 本震のいずれによるものなのかは確認できていないが 揺れにより建物は傾斜し 屋根や外壁の木製下地が露出した状態になっていた 出火建物とは 最も近接している場所で 6.4m ほど離れている 外構の植栽は茶色く変色しているが その程度は東側や北側の敷地の植栽に比べると軽い 通りに面して設けられた樹脂製の雨よけ庇は黒く変色し 溶融していたが 外壁や開口部にこの他の目立った被害は確認できなかった N 7.9m 6.3m 出火建物 3.3m 6.4m 0.8m 図 6.3-1 住宅火災現場の状況 6.4 まとめ本章では 2016 年熊本地震で発生した火災被害について調査を行った結果を整理した 火災件数は 16 件と 1995 年兵庫県南部地震の 293 件 2011 年東北地方太平洋沖地震の 330 件に比べて少ないが 出火確率の観点からは大きな違いは見られなかった この原因は 2016 年熊本地震において 強い揺 6-6

れを記録した地域内の世帯数が少なかったためと考えられる 今後も 調査結果の分析を継続し 本 地震で大規模な火災被害が発生しなかった理由等の整理を進める 参考文献 6.1-1) 消防庁 : 熊本県熊本地方を震源とする地震 ( 第 68 報 ) 2016 年 7 月 29 日 6.2-1) 産業技術総合研究所 : 地震動マップ即時推定システム (https://gbank.gsj.jp/quiquake/) 6.2-2) 総務省統計局 : 平成 22 年国勢調査 (http://www.e-stat.go.jp/) 6.2-3) 樋本圭佑 山田真澄 西野智研 :2011 年東北地方太平洋沖地震における津波浸水区域外の出火傾向の分析 日本建築学会環境系論文集 Vol.79 No.697 pp.219-226(2014) 6.2-4) 総務省消防庁 : 阪神 淡路大震災について ( 確定報 )(2006) 6.2-5) 総務省消防庁 : 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 ( 東日本大震災 ) について 第 153 報 (2016) 6-7