テーパリング進行下で米国債を買い増す海外投資家

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

チャート編 1 日経平均株価 ( 日経 225) TOPIX( 東証株価指数 ) 2,0 NY ダウ工業株 30 種平均株価 ( 米ドル ) ダウセレクト配当込み指数 3,000 28,000 26,000 24, ,000 26,000 2,0 20,000 1,0 24,000 1

2013 年 8 月 19 日号

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スライド 1

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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日経平均株価 22,27.3 NY ダウ工業株 3 種 25,9.32 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 2, 22, 1, 1, 1, 21 年 月 2 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~

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日経平均株価 22,97. 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1,, 1,,, 21 年 7 月 23 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21 年 7 月第 3 週末 ) 短期 ( 日次ベース ) (217 年 1 月初

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日経平均株価 21,1. NY ダウ工業株 3 種 2,.31 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 22, 1, 1, 1,, 21 年 1 月 29 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21

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第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

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1 年 8 月 11 日 国際マネーフローレポート No.98 テーパリング進行下で米国債を買い増す海外投資家 目次 Ⅰ. 今月のトピックス ~ テーパリング進行下で米国債を買い増す海外投資家 Ⅱ. 国際金融市場 国際マネーフローの動向 1. 主要先進国の金利と為替相場 政策金利 長期金利 金利差と為替相場 実質実効為替相場 株価 実質 GDP 成長率 インフレ率. 世界の流動性 世界の外貨準備 世界の通貨当局の米国債 政府機関債投資残高 主要先進国合計のマネーサプライ 3. 中国とロシアの貿易収支 中国の貿易収支 ロシアの貿易収支. オフバランス取引での円ポジション シカゴ通貨先物市場での投機筋による円のネットポジション 5. 日本をとりまく資本移動 対外証券投資 対内証券投資 6. 米国をとりまく証券投資 対米 対外証券投資 海外資本の米国債保有残高 7. 世界的不均衡 米国の経常収支赤字 米国の貿易赤字 ドル相場 8. アジアの株価 為替相場 株価 為替相場 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 調査部主任研究員塚田裕昭 15-851 東京都港区虎ノ門 5-11- TEL:3-6733-17 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

Ⅰ. 今月のトピックス ~ テーパリング進行下で米国債を買い増す海外投資家 FRB( 連邦準備制度理事会 ) は7 月 3 日の FOMC で 毎月の債券の買い入れ額を 35 億ドル ( モゲージ担保債券 15 億ドル 国債 億ドル ) から 5 億ドルに減額 ( それぞれ 5 億ドルずつ減額 ) することを決定した ( 図 Ⅰ-1) FRB は 昨年 1 月のテーパリング開始決定後 今年 1 月から毎月 1 億ドルのペースで債券買い入れ額を減らしてきており このペースでいくと今年 1 月の FOMC でテーパリング終了の決定がなされる見込みである FRB による米国債購入額が減少し米国債の大口購入者であった FRB の存在感が薄れて行く中で 米国債金利は テーパリングが開始された今年初めより低下傾向で推移してきている ( 図 Ⅰ-1) FRB に代わる米国債の購入者として再び存在感を高めているのが 海外投資家である 3.5 (%) 図 Ⅰ-1 米国長期金利の推移 3.5 1.5 1 1/9 1/1 1/11 1/1 13/1 13/ 13/3 13/ 13/5 13/6 13/7 13/8 13/9 13/1 13/11 13/1 1/1 1/ 1/3 1/ 1/5 1/6 1/7 1/8 ( 年 / 月 ) 米財務省 国際資本統計 から 海外投資家による米国証券投資動向を見ると 1 年に入って以降 海外投資家は米国債の購入額を再び増加させている ( 図 Ⅰ-) 同統計から海外投資家による米国債のネットの購入額を暦年ベースで見てみると 1 年の 9 月に QE3が開始されたこともあって 13 年には 米国債購入の主役が海外投資家から FRB に移り 海外投資家による米国債購入額がそれ以前に比べて著しく減少した 1 年に入ってからは 年半ばの 5 月時点で 13 年通年の水準を超える額が購入されている ( 図 Ⅰ-3) 1 年については 5 月までのデータしかないことから 各暦年の1~5 月までの累計購入額を比較してみても 1 年は 11 年 1 年ほどではないものの 13 年を上回る少なからぬ額の米国債が購入されている ( 図 Ⅰ-) 他の証券の売買動向をみると 米国債の買い越し額が増加となる一方で 米政府機関債や米社債は売り越されており 米株も売り越しとはなっていないが 買越額は少額にとどまっている ウクライナ状勢の緊迫化など 地政学リスクの高まりによって 海外投資家のリスク回避姿勢が高まってきており 質への逃避の観点から米国債が選好されている テーパリングが実施される中で 地政学リスクが高まっていることが 米長期金利の急上昇を回避させている面もあると言えるだろう 1/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

図 Ⅰ- 海外投資家による米国債売買動向 1, 8 6 - - -6 ( 億ドル ) 13/1 1/1 ( 出所 ) 米財務省図 Ⅰ-3 海外投資家の米国証券投資動向 ( 暦年通年 ) ( 億ドル ) 7, ( 年 / 月 ) 6, 5,, 3,, 米株式米社債米政府機関債米国債合計 1, -1, ( 出所 ) 米財務省 図 Ⅰ- 海外投資家の米国証券投資動向 (1-5 月累計 ) 3,5 ( 億ドル ) 3,,5, 1,5 1, 米株式米社債米政府機関債米国債合計 5-5 ( 出所 ) 米財務省 /13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

Ⅱ. 国際金融市場 国際マネーフローの動向 1. 主要先進国の金利と為替相場 ~FRB は資産購入額の減額を決定 政策金利 ユーロ圏 ECB( 欧州中央銀行 ) は 8 月 7 日の理事会で主要政策金利であるリファイナンス金利を.15% に 中銀預金金利を -.1% に 限界貸出金利を.% に据え置いた ( 図 Ⅱ-1) 英国 BOE( イングランド銀行 ) は 8 月 7 日の MPC 会合で政策金利を.5% に据え置いた また 資産買入プログラムの買入規模を 3,75 億ポンドに据え置いた 米国 FRB( 連邦準備制度理事会 ) は7 月 3 日の FOMC で 債券の買い入れ額を 35 億ドル ( モゲージ担保債券 15 億ドル 国債 億ドル ) から 5 億ドル ( それぞれ 5 億ドルずつ減額 ) に減額することを決定した また フェデラルファンド金利誘導目標水準を ~.5% に据え置いた 日本 日本銀行は 8 月 8 日の金融政策決定会合で マネタリーベースが 年間約 6~7 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う 現状の金融政策の維持を決定した 長期金利 ( 国債 1 年物利回り ) 7 月の日 米 英 独の長期金利は イラク ウクライナ等の地政学リスクが意識 され低下基調での推移となった ( 図 Ⅱ-) 1.6 1. 1. 1..8.6.. (%) 図 Ⅱ-1 政策金利図 Ⅱ- 長期金利 ( 国債 1 年物 ) (%). 日本アメリカ日本ドイツ 3.5 イギリスユーロ圏イギリスアメリカ 3..5. 1.5 1..5.. 3/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

金利 (3 ヶ月物 ) 差と為替相場 日本と米国 短期金利(3 ヶ月物 ) は 日本では 7 月に小幅低下 米国は小幅上昇し 金利差は小幅拡大した ( 図 Ⅱ-3) 7 月のドル円相場は一進一退で推移した 日本とユーロ圏 7 月の欧州の短期金利 (3 ヶ月物 ) はほぼ横ばいで推移し 日欧の金利差はほぼ横ばいとなった ( 図 Ⅱ-) 7 月のユーロ円相場は小幅円高となったが 月末に小幅円安に反転した 日本と英国 7 月のポンド金利 (3 ヶ月物 ) はほぼ横ばいで推移し 日英の金利差はほぼ横ばいとなった ( 図 Ⅱ-5) 7 月のポンド円相場はほぼ横ばいとなった 実質実効為替相場 7 月の実質実効為替相場はポンドが上昇 ドル 円 ユーロが低下した ( 図 Ⅱ-6) 図 Ⅱ-3 米 - 日金利差とドル円相場. (%) ( 円 / ドル ) 1.35 米 - 日金利差 (3M) 115.3 ドル円 ( 右目盛 ) 11.5 15 1. 95.15 9.1 85.5 8. 75 図 Ⅱ-5 英 - 日金利差とポンド円相場 (%) 1. ( 円 / ポンド ) 18 英 - 日金利差 (3M).9 17 ポンド円 ( 右目盛 ).8 16.7 15.6 1.5 13. 1.3 11 図 Ⅱ- ユーロ - 日金利差とユーロ円相場 1. (%) ( 円 / ユーロ ) 16 1. 1. ユーロ- 日金利差 (3M) ユーロ円 ( 右目盛 ) 15 1.8 13.6 1.. 11. 1 -. 9 図 Ⅱ-6 実質実効為替相場 1 (5 年 =1) 通貨高 115 11 15 1 95 9 85 8 75 ドル円ポンドユーロ 7 /13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

金利やマネーの動きを左右する株価 景気 インフレ率 株価 7 月の主要国の株価は 日本は小幅上昇 米 英は一進一退の後 月末に下落 独は軟調な展開となった ( 図 Ⅱ-7) 実質 GDP 成長率 米 英の -6 月期の実質 GDP 成長率は 前期比で米は+.% 英は+3.% となり 米は 四半期ぶり 英は 6 四半期連続のプラス成長となった ( 図 Ⅱ-8) 消費者物価上昇率 6 月の消費者物価指数 ( 総合 ) は 日 米 英 ユーロで前年比プラスとなった ( 図 Ⅱ-9) ユーロでは 7 月も同プラスが続いているが プラス幅は縮小傾向にある 原油価格 7 月の原油相場 (WTI 期近物) は 中旬にマレーシア機撃墜事件を受けて地政学リスクの高まりが意識され上昇したが その後 米国のガソリン需要が伸び悩んでいることなどを材料に値を下げた ( 図 Ⅱ-1) 18, NYダウ日経平均 17, FT1 DAX3 16, 15, 1, 13, 1, 11, 1, 9, 8, 7, 6, 5,, 図 Ⅱ-7 株価 図 Ⅱ-9 消費者物価上昇率 図 Ⅱ-8 実質 GDP 成長率 ( 前期比年率,%) 1 日本アメリカ 1 イギリスユーロ圏 8 6 - - -6-8 ( 年 / 四半期 ) 図 Ⅱ-1 原油価格 (WTI) ( 前年比,%) 6 5 アメリカ 日本 イギリス ユーロ圏 3 1-1 - ( ドル / バレル ) 1 115 11 15 1 95 9 85 8 75 7 5/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

. 世界の流動性 ~ 世界の外貨準備は対前年比で増加 世界の外貨準備 ( 通貨当局が保有する対外資産 ) 世界の外貨準備は前年比で見て増加が続いているが 伸び率は縮小傾向となっている ( 図 Ⅱ-11) アジア諸国の外貨準備は 概ね横ばい圏で推移している 増加基調が続いていた中国もこのところ横ばいとなっている ( 図 Ⅱ-1) 世界の通貨当局の米国債 政府機関債投資残高 6 月の世界の通貨当局による米国債保有残高 (FRB カストディ残高 ) は 前年比で+.68% と ヶ月ぶりに増加した ( 図 Ⅱ-13) 主要先進国のマネーストック 6 月の日 米 ユーロのマネーストックは前年比で増加 英は減少となった ( 図 Ⅱ -1) 図 Ⅱ-11 世界の外貨準備 ( 伸び ) 図 Ⅱ-1 アジア諸国の外貨準備 ( 水準 ) ( 前年比,%) 16 1 1 1 8 6 先進国開発途上国全世界 (1 億ドル ), 3,5 3,,5 中国 ロシア 台湾 韓国, 日本 1,5 1, 5 図 Ⅱ-13 通貨当局の対米投資と米国金利 図 Ⅱ-1 先進国のマネーストックの伸び (%) (%) 5 世界の通貨当局 米国 1 年債金利 の米国債カストディ ( 右 逆目盛 ) 残高 ( 前年比 ) 1 15 1 5-5 3 5 ( 前年比,%) 1 日本 (M) 米国 (M) 1 ユーロ圏 (M3) イギリス (M) 8 6 - - -6-8 6/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

3. 中国とロシアの貿易収支 ~6 月の中国の貿易収支は 316 億ドルの黒字 6 月の中国の貿易黒字は 前年比 +16.% の 316 億ドルとなった ( 図 Ⅱ-15) 6 月のロシアの貿易黒字は 前年比 +19.8% の 163 億ドルであった. オフバランス取引での円ポジション~シカゴでの円ポジションは売り超 シカゴ通貨先物市場での投機筋 ( 非商業目的 ) による円のネットポジション シカゴ市場での円のネットポジションは 1 年 11 月以降 売り超の状態が続いている ( 図 Ⅱ-16) 図 Ⅱ-15 中国 ロシアの貿易収支 図 Ⅱ-16 シカゴ先物市場とドル円相場 (1 億ドル ) 3 1-1 ロシア - 中国 -3-6 ( 千枚 ) ( 円 / ドル ) 75-8 85-9 -6 95-8 IMMホ シ ション ( 買い- 売り ) -1 日本円 / 米ドル ( 右目盛 ) 1-1 -1 15 7/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

5. 日本をとりまく資本移動 ~7 月の対内証券投資は 流入超過 日本の対外証券投資 ( 日本人投資家の海外資産への投資 ) 7 月は 1 兆 5,655 億円の流出超過 ( 買い越し ) となった 中長期債 短期債 株式のいずれもが買い越されて国外に資金が流出した 6 月の外貨建て投資信託残高は 債券型 株式型 その他型のいずれもが増加し トータルで前月に比べ,5 億円の増加となった 日本への対内証券投資 ( 外国人投資家による対日証券投資 ) 7 月は 兆,37 億円の流入超過 ( 買い越し ) となった 短期債 中長期債の株式のいずれもが買い越されて 資金が国内に流入した 図 Ⅱ-19 日本をとりまく証券投資 ( 兆円 ) 対外証券投資 ( 証券別 ) - -3 資本流入 - -1 1 3 資本流出 5 6 中長期債 短期債 株式 全体 ( 出所 ) 財務省 対外及び対内証券売買契約等の状況 ( 兆円 ) 対外証券投資 ( 主体別 ) - -3 資本流入 - -1 1 3 資本流出 その他 投信等 5 生損保 金融商品取引業者 6 信託勘定銀行勘定 11 公的部門 1 全体 13 1 ( 出所 ) 財務省 対外及び対内証券売買契約等の状況 ( 兆円 ) 外貨建投資信託 ( 証券別 ) の前月差 1-1 - その他 債券 株式 合計 -3 ( 出所 ) 投資信託協会 HP ( 兆円 ) 対内証券投資 ( 証券別 ) -6 資本流出 - - 資本流入 6 中長期債 短期債 株式 全体 ( 出所 ) 財務省 対外及び対内証券売買契約等の状況 8/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

6. 米国をとりまく証券投資 ~5 月は米国へ資金流入 対米 対外証券投資 ( フロー ) 5 月の海外資本による対米証券投資は ネットで 36 億ドルの買い越しとなり資金が米国に流入した 米社債が売り越されたが 米国債 政府機関債 株式が買い越された 一方 米国資本は外国債券を売り越し 外国株式を買い越して ネットで 15 億ドルの資金を流出させた このため 5 月は合計 19 億ドルの米国への資金流入となった 海外資本の米国債保有残高 ( ストック ) 5 月の海外資本による米国債保有残高は 5 兆 9,76 億ドルと前月比で増加した ストック残高を国 地域別にみると 大きい順に 中国 1 兆,79 億ドル 日本 1 兆,1 億ドル カリブ諸国 3,18 億ドル 石油輸出国,579 億ドル ブラジル,51 億ドルとなっている 図 Ⅱ- 対米 対外証券投資の動向 1,5 1, ( 億ドル ) 全世界 ( 証券別 ) 米国債 米政府機関債 米社債 米株式 外国債券 外国株式 合計 ( 米国への資金流入 ) 1,5 1, ( 億ドル ) 全世界 ( 地域別 ) 英国 欧州 ( 除く英 ) 日本 中国 その他アジア 中南米 その他 合計 ( 米国への資金流入 ) 5 5-5 -5 ( 米国からの資金流出 ) -1, ( 米国からの資金流出 ) -1, ( 出所 ) 米財務省 ( 年 月次 ) -1,5 ( 出所 ) 米財務省 ( 年 月次 ) 5 3 ( 億ドル ) 日本 米国債 米政府機関債 米社債 米株式 外国債券 外国株式 合計 ( 米国への資金流入 ) 1, 1, 1, 主要国の米国債保有残高 (1 億ドル ) (1 億ドル ) 7, 6, 5, 1 8 6 中国日本英国 産油国ブラジルカリブ諸国 全世界 ( 右目盛 ), 3, -1, - ( 米国からの資金流出 ) -3 ( 出所 ) 米財務省 ( 年 月次 ) 1, ( 出所 ) 米財務省 ( 年 月次 ) 9/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

13/ 13/3 13/ 13/5 13/6 13/7 13/8 13/9 13/1 13/11 13/1 1/1 1/ 1/3 1/ 1/5 1/6 1/7 1/8 7. 世界的不均衡 ~ 米国の経常赤字 (1-3 月期 ) は前期比で拡大 米国の経常収支赤字 ( グローバルインバランス ) 1 年 1-3 月期の経常赤字は 1,11 億ドル ( 年率,6 億ドル GDP 比.6%) と前期比で拡大した ( 図 Ⅱ-1) 米国の貿易赤字 ( 国際収支 財サービスベース ) 1 年 6 月の貿易赤字は 15 億ドル ( 季調値 ) と前月比で縮小した ( 図 Ⅱ-) 最大の赤字を計上している中国向けの貿易赤字は 31 億ドルと前年に比べて赤字幅が拡大した 図 Ⅱ-1 米国の経常収支 図 Ⅱ- 米国の貿易収支 ( 億ドル ) (%) -3, -, -5, -6, -7, -8, 経常収支 ( 年率 ) 経常収支 (GDP 比 右目盛 ) -9, -7 3 5 6 7 8 9 1-1 - -3 - -5-6 (1 億ドル ) 1-1 - -3 - -5-6 -7-8 北米欧州中国日本 OPEC その他全体 ( 注 ) 全体は国際収支 ( 財サ, 季調値 ) 地域別は通関( 原系列 ) ベース ドル相場 7 月のドル相場は 対主要国でドル高基調で推移した ( 図 Ⅱ-) 図 Ⅱ-3 ドル相場 ( 名目 月次 ) 図 Ⅱ- ドル相場 ( 名目 日次 ) (5 年 1 月 =1) 15 日本カナダ 1 イギリスユーロ ドル高 13 主要国 1 11 1 9 8 7 6 (5 年 1 月 =1) 13 ドル高 1 日本 カナダ 11 イギリス ユーロ 主要国 1 9 8 ( 年 / 月 ) 1/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

8. アジアの株価 為替相場 ~7 月のアジア株は中国 韓国などが堅調に推移 アジア主要国の株価 7 月のアジア株は 中国 韓国 香港 シンガポール インドネシアなどは堅調な推移となったが その他は総じて一進一退であった ( 図 Ⅱ-5) 図 Ⅱ-5 アジアの株価 3, 中国 ( 上海 ),3 韓国 3,6 シンガポール 3,, 3,,8,6,,,1, 1,9 1,8 3, 3,,8, 1,7,6 1,8 1,6, 香港 6, 5,, 3,, 1,, 19, 18, 17, 16, 台湾 1, 9,5 9, 8,5 8, 7,5 7, 6,5 インド 7, 5, 3, 1, 19, 17, 15, 5,5 インドネシア 7,5 フィリピン 1,9 マレーシア 5,,5, 3,5 7, 6,5 6, 5,5 5,,5, 1,8 1,7 1,6 1,5 1, 3, 3,5 1,3 1,7 タイ 1,6 1,5 1, 1,3 1, 1,1 1, 9 8 11/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

アジア主要国の為替相場 7 月のアジア通貨は 韓国ウォンやインドルピーは通貨安基調で推移 中国元は通貨高基調で推移した その他は総じて一進一退であった ( 図 Ⅱ-6) 図 Ⅱ-6 アジアの為替 ( 対ドルレート ) ( 元 ) 6.7 中国 1, ( ウォン ) 韓国 ( シンガポールドル ) 1.35 シンガポール 6.6 6.5 1,15 1.3 6. 6.3 1,1 1.5 1. 6. 6.1 1,5 1.15 6. 1, 1.1 7.8 ( 香港ドル ) 香港 ( 台湾ドル ) 31 台湾 7 ( ルピー ) インド 7.8 3 65 6 7.78 55 7.76 9 5 5 7.7 8 ( ルピア ) 1, インドネシア ( ペソ ) 6 5 フィリピン ( リンギット ) 3. 3.3 マレーシア 11, 3. 1, 9, 3 1 3.1 3. 8,.9 ( バーツ ) 33 タイ 3 31 3 9 8 1/13 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17

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