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公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研

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2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

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日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

研究から医療へ より医療への実利用が近いもの ゲノム医療研究推進ワーキンググループ報告書 (AMED) 臨床ゲノム情報統合データベース公募 対象疾患の考え方の方向性 第 1 グループ ( 主に を目指す ) 医療への実利用が近い疾患 領域の着実な推進 単一遺伝子疾患 希少疾患 難病 ( 生殖細胞系列

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

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化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

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第 20 講遺伝 3 伴性遺伝遺伝子がX 染色体上にあるときの遺伝のこと 次代 ( 子供 ) の雄 雌の表現型の比が異なるとき その遺伝子はX 染色体上にあると判断できる (Y 染色体上にあるとき その形質は雄にしか現れないため これを限性遺伝という ) このとき X 染色体に存在する遺伝子を右肩に

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別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

Transcription:

小児先天奇形発症における環境リスク評価法の基盤整備 研究目的小児先天奇形発症を対象とする環境リスク評価法の基盤整備を行うこと サブテーマ 1: バイオマーカーの開発緒方勤 ( 浜松医科大学 国立成育医療研究センター研究所 ) 深見真紀 吉田理恵 宮戸真美 ( 国立成育医療研究センター研究所 ) 曽根秀子 青木康展 ( 環境研究所 ) サブテーマ 2: 臍帯血 胎盤バンキングシステムの整備緒方勤 ( 浜松医科大学 ) 吉田理恵 ( 国立成育医療研究センター研究所 ) 左合治彦 中村知夫 ( 国立成育医療研究センター病院 ) 曽根秀子 青木康展 ( 環境研究所 ) 対象疾患 : 尿道下裂 停留精巣などの男児外性器異常 口蓋裂

サブテーマ 1: バイオマーカーの開発 1. バイオマーカーとしての多型 ハプロタイプの同定 1 既報告の感受性遺伝子多型 ハプロタイプの機能解析 2 未知の感受性因子の同定 - 関連解析 機能解析 3 感受性因子の世代間頻度解析 2. バイオマーカーとしての単一遺伝子におけるメチル化パターンと発現量変化の同定 1 臨床検体 ( 末梢血や外陰部皮膚組織 ) の解析 2 マウス暴露実験 尿道下裂 日本 感受性 健常者 患者 暴露量

エストロゲン受容体 : 多数の内分泌撹乱化学物質の key molecule ヒト胎児期における合成エストロゲン製剤暴露ジエチルスチルベステロール (DES):1940 年代から 1971 年までの間 米国で流産防止薬として妊婦に投与された 尿道下裂の増加 (DES 暴露群で 4.4% コントロール群で 0.0% P=0.017) 停留精巣の増加 (DES 暴露群で 30.4% コントロール群で 7.9 % P<0.005) ( 妊娠 11 週前の投与では さらに 2 倍に増える ) マウス暴露実験 ( テストステロン産生低下による尿道下裂 ) ( インスリン様 3 ホルモン産生低下による停留精巣 ) 環境化学物質 エストロゲン受容体 女性ホルモン様効果 mrna 男性化障害 遺伝子に作用

SNP15 SNP14 SNP13 SNP12 SNP11 SNP10 SNP9 SNP8 SNP7 SNP6 SNP5 SNP4 SNP3 SNP2 SNP1 内分泌撹乱物質感受性ハプロタイプの同定 ( 尿道下裂 停留精巣 ) ESR1: エストロゲン受容体 α 遺伝子 ( ホルモン産生ライディッヒ細胞で発現 ) ハプロタイプブロック SNP1 Control males (n=47) SNP2 SNP3 D' SNP4 0.0 0.1 SNP5 0.1 0.2 SNP6 0.2 0.3 SNP7 0.3 0.4 SNP8 0.4 0.5 SNP9 0.5 0.6 SNP10 0.6 0.7 SNP11 0.7 0.8 SNP12 0.8 0.9 SNP13 0.9 1.0 SNP14 SNP15 推定ハプロタイプ GAGCC AGATA GGGTA AGGTA ハプロタイプ頻度 ( 患者対対照 ) 停留精巣 P-value 0.044 0.034 0.55 1.00 OR (95% CI) 0.61 1.78 (1.02 3.09) 1.34 1.06 尿道下裂 P-value 0.23 0.0024 1.00 0.084 OR (95% CI) 0.7 2.46 (1.35 4.51) 0.95 0.34 ホモ接合体頻度 ( 患者対対照 ) 停留精巣 P-value 0.10 0.0040 0.10 0.25 OR (95% CI) 0.51 7.55 (1.59 35.82) N.D. N.D. 尿道下裂 P-value 0.66 0.000057 N.D. N.D. OR (95% CI) 0.83 13.75 (2.89 65.53) N.D. N.D. AGATA ハプロタイプのホモ接合体は 顕著な尿道下裂と停留精巣発症感受性を有する性分化臨界期に大量に要求されるテストステロンと Insulin-3 ホルモン産生を阻害する

Marker Wild type Homozygous deletion Heterozygous deletion ESR1 感受性ハプロタイプに絶対連鎖する微小欠失の同定 SNP9 Haplotype block SNP11 SNP13 SNP10 SNP12 SNP14 SNP15 -GGAGCTACTGA T[A/C](SNP14)ATGCTTGGAACTGTGC CAGGCACTGCCTGCAT ---------TAGGGACTGCTCCCTG- 2,244 bp deletion SNP14から22 bp ~3,000 bp ~1, 000 bp CAGGCACTGCTCCCTG 感受性ハプロタイプは 必ずこの微小欠失を伴う 非感受性ハプロタイプは 必ずこの微小欠失を伴わない この微小欠失が感受性の本態であることを強く示唆する

イタリア人男児外陰部異常症患者および対照男児における ESR1 微小欠失 遺伝子型解析結果 ヘテロ 欠失あり ホモ 欠失なし 尿道下裂患者 (n=13) 7 0 6 停留精巣患者 (n=80) 22 3 55 対照男児 (n=150) 30 1 119 論文投稿中 統計解析結果尿道下裂患者停留精巣患者 vs. 対照男児 vs. 対照男児アリル頻度の比較 P -value 0.034 0.038 Odds ratio 3.09 1.78 95% C.I. 1.20-7.94 1.03-3.07 遺伝子型頻度の比較欠失なし vs. P -value 0.0066 0.075 ヘテロ欠失 + ホモ欠失 Odds ratio 4.48 1.75 95% C.I. 1.40-14.3 0.94-3.23 欠失なし + ヘテロ欠失 P -value 0.77 0.088 vs. ホモ欠失 Odds ratio 0.28 2.20 95% C.I. 0.011-6.98 1.22-3.99

ESR1 感受性ハプロタイプの世代間頻度解析 論文投稿中 遺伝子型解析結果 非欠失ホモ ヘテロ 欠失ホモ 計 成人男性 201 196 35 432 正常男児 47 33 2 82 欠失頻度の比較成人男性 vs 正常男児 P 値 OR 95%CI 0.034 1.527 1.03-2.26 リスクハプロタイプは 現在の小児において疾患を発症しやすい暴露増加の反映 500,000 450,000 400,000 350,000 300,000 250,000 200,000 ビスフェノール国内生産量 (t) 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002

感受性と暴露量の相関 現在の集団を対象とする相関解析 一般集団 大多数の健常者 ( 白 ) 少数の患者 ( 赤 ) 感受性 高感受性 暴露量 患者 低感受性健常者 一般社会環境における暴露量? 多くの患者は, 高感受性素因を有すると考えられる 暴露量の個体間は小さいと予測される 感受性多型の同定 高感受性集団 小児 ( ピンク ) 成人 ( 青 ) 異なる世代間における高感受性集団の比較 高感受性個体を保護しうる暴露量閾値 感受性 暴露量 患者 健常者 世代間における暴露量の差異? 感受性素因の個体間は小さいと予測される 暴露量の世代間は大きいと予測される 環境リスク評価脆弱な集団を保護する暴露量閾値

微小欠失の機能解析 尿道下裂患者の手術時外陰部皮膚検体の解析微小欠失 (+) の尿道下裂患者と微小欠失 ( ) の患者を同定しえた 両者における ESR1 発現比較 ESR1 は外陰部皮膚組織でも末梢血でもほとんど発現していないエストロゲン様物質暴露後の発現も極めて低い ESR1 Ct 値 35.5 GAPDH Ct 値 21.7

微小欠失の機能解析 ノックインマウスの作製と暴露実験 ( マウスでは相同領域が存在しない ) ヒト ESR1 遺伝子 マウス ESR1 遺伝子 感受性ハプロタイプ 微小欠失 ハプロタイプヒト型化マウス 対照ヒト型化マウス ヒト ターゲティングベクター キメラマウス BAC クローン 薬剤耐性遺伝子 neor neor マウス 約 10 kb のノックイン ES 細胞へ導入薬剤耐性クローン選別相同組み換え体選別キメラマウス作製 相同組み換え ES クローンからキメラマウスの作製に成功 野生型マウスと交配 ヒト型化マウス個体薬剤耐性遺伝子除去 エストロジェン暴露実験

精子形成障害患者におけるエストロゲン受容体 β 型 (ESR2) ハプロタイプ解析 J Hum Genet, in press ESR2 遺伝子は生殖細胞で発現 SNP1 (rs3020444) SNP2 (rs11625778) 5 17.7 kb 16.6 kb 9.6 kb 10.2 kb 12.9 kb 9.9 kb 10.9 kb 8.2 kb 3 0K 0K, 0N; Untranslated first exons SNP3 (rs17179740) 0N 約 60 kb のハプロタイプブロック SNP4 (rs1256030) SNP6 (rs1256049) SNP8 (rs1256062) SNP5 synonymous SNP7 (rs10148269) (rs1256055) exon1 2 3 4 5 6 7 8 SNP9 (rs1152579) (120 kb) TGTAGA TACGGA CGCGAG TGCGGA < 優性様式 > P 値 0.0063 0.078 0.92 0.031 オッズ比 2.08 0.63 0.98 0.46 95% 信頼区間 1. 23 3. 54 0. 38 1. 05 0. 59 1. 62 0. 22 0. 93 < 劣性様式 > P 値オッズ比 95% 信頼区間 < 遺伝子型様式 > <Trend test> ESR2 特定ハプロタイプと精子形成障害発症の関連 P 値 P 値 0.026 0.34 0.55 0.97 2.16 0.58 0.75 0.95 1. 09 4. 46 0. 17 1. 79 0. 28 1. 96 0. 037 24. 2 0.0098 0.19 0.83 0.089 0.0029 0.071 0.75 0.056 現在 特定ハプロタイプに特有の配列変化を解析中

性ホルモン効果関連遺伝子群 ダイオキシン関連遺伝子群 J Hum Genet, in press 日本人とイタリア人の男児外陰部異常症患者と対照者において アンドロゲン効果関連遺伝子 (CYP17A1) およびダイオキシン効果関連遺伝子群 (AHR, AHRR, ARNT, CYP1A1, CYP1A2, CYP1B1, CYP17A1, CYP19A1, CYP2B6, CYP3A4, NR1I2 など ) を含む 96 個の SNP 解析を行った 両人種に共通する感受性 SNP がダイオキシンシグナル伝達関連遺伝子の AHR で 2 個と ARNT2 で 2 個 bisphenola 受容体遺伝子とされる NR1I2 で 4 個検出された 日本人特有の感受性 SNP が男性ホルモン産生酵素である CYP1A2 で 6 個と CYP17A1 で 3 個検出された 遺伝子 P < 0.001 P < 0.05 両人種で有意日本人のみ AHR rs3757824 rs2158041 rs3757824, rs2158041 rs7811989 ARNT2 rs1374213, rs8024819, rs10851935 rs2278705, rs1020397 rs8024819, rs10851935 rs10431813, rs5000770, rs1374213 NR1I2 (PXR) rs2461823, rs2472680 rs13059232, rs2472682, rs6784598 rs2461823, rs13059232, rs2472682, rs6784598 rs2472680 CYP1A2 rs2069522 rs2069521, rs2069526, rs762551, rs4646425, rs4646427 rs2069522, rs2069521, rs2069526, rs762551, rs4646425, rs4646427 CYP17A1 rs6163 rs3740397, rs4919686 rs6163, rs3740397, rs4919686

内分泌撹乱化学物質とエピジェネティク変化 遺伝子の構造は正常であるが プロモーターのメチル化などのために働きが悪くなる状態 : 環境化学物質暴露は重要な原因 尿道下裂患者の手術時外陰部皮膚検体を用いたメチル化および発現解析 外陰部皮膚で発現している性分化遺伝子 SRD5A2 (5α-reductase) と AR ( アンドロゲン受容体 ) を対象 ダイオキシン胎仔期暴露マウスを用いた精巣および外陰部皮膚検体を用いたメチル化および発現解析 SRD5A2 AR の他に われわれが発見した尿道下裂責任遺伝子 MAMLD1 を対象 暴露マウスの精巣と外陰部から DNA を抽出し 解析中 CG GC Me CG GC Me メチル化による発現抑制

尿道下裂患者の外陰部皮膚検体におけるエピジェネティク変化 尿道下裂男児および非尿道下裂男児 ( 埋没陰茎 ) の外陰部皮膚検体で 3 種の遺伝子のCpG 領域メチル化頻度解析した 尿道下裂 : Total 33 cases 非尿道下裂 ( 埋没陰茎 ): Total 13 cases 標的遺伝子 : SRD5A2, AR, CYP1A1 AR, CYP1A1の過剰メチル化は認められなかった SRD5A2の過剰メチル化が少数の患者に認められた 環境化学物質はエピジェネティク変化を介して尿道下裂を生じうる XRE XRE 705 668 714 654 723 648 673 502 発現レベル基礎値はバラつく ( 発現誘導で再解析中 )

尿道下裂患者の外陰部皮膚検体における遺伝子発現変化 尿道下裂男児と埋没陰茎の外陰部皮膚検体で遺伝子発現量を比較 尿道下裂群では 埋没陰茎群に比べて 370 遺伝子の発現が減少し 696 遺伝子の発現が上昇した ( Fold Change 2.0 以上 ) Gene Symbol Fold Change 発現変動 FLG 8.97 MSMB 8.09 ACTG2 4.73 SPRR3 23.87 SOX2 14.48 KRT4 9.71 遺伝子の詳細 filaggrin 表皮の角化に必要 遺伝子変異はアトピー性皮膚炎の発症に関与 microseminoprotein, beta 前立腺癌のバイオマーカー ( 血中に高濃度で存在する ) actin, gamma 2, smooth muscle, enteric 平滑筋アクチン small proline-rich protein 3 表皮バリアーの形成に関与 SRY (sex determining region Y)-box 2 遺伝子変異は無眼球症と低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関与 ips 細胞作製に必要な因子の一つ in vitro にて filaggrin の発現を抑制 keratin 4 粘膜に発現 遺伝子変異は白色海綿状母斑 ( 口腔 ) の発症に関与 3 検体とも変動

尿道下裂患者の外陰部皮膚線維芽細胞を用いた暴露実験 UP-REGULATION Gene Fold change DOWN-REGULATION Gene Fold change SLC38A11 7.104141 CSF3-9.93197 MAP3K8 6.803548 CXCL3-7.31956 OLR1 6.629856 MTSS1-6.17392 LOC100132319 6.268278 PTPN22-6.16211 LMOD1 5.190962 NKX6-2 -5.76049 TAGAP 5.011251 MICAL3-5.37948 MRVI1 4.753503 IL8-4.3701 SPRY1 4.213157 ESYT3-3.95613 ASB2 3.857113 TFPI2-3.72549 FRY 3.795805 COL17A1-3.51532 UP-REGULATION E2 TCDD DOWN-REGULATION Gene Fold Gene Fold change change TAGAP 6.186387 FTCD -3.24874 LOC100132319 5.957921 MICAL3-2.58961 C6orf103 5.948178 INMT -2.4473 FABP4 3.643628 SCAND3-2.31426 LDLRAD3 3.117963 SLC40A1-2.26487 LOC100133554 2.733596 FER1L4-2.24806 FAM160A1 2.679635 MBL1P -2.23678 C17orf76 2.66936 CPAMD8-2.18167 LOC440900 2.624016 ZNF846-2.17684 LAMC2 2.56916 CES8-2.13456 UP-REGULATION BPA DOWN-REGULATION Gene Fold change Gene Fold change SPIN4 1.65931 MMP11-2.43083 POMZP3 1.455982 NEK10-2.26265 WDR3 1.453648 TNFRSF10C -1.92235 NHLRC2 1.411471 EPB41L4A -1.91928 CCDC41 1.364746 LDLRAD3-1.91265 MPP1 1.356291 FBXW12-1.79411 FKBP4 1.340357 FSIP1-1.78795 LRCH1 1.332147 TMEM190-1.66348 ZNF850P 1.307375 ZNF546-1.58212 ZBTB25 1.291857 LOC645967-1.47452 3 種類の細胞に共通して up-/down-regulation を示した遺伝子数 Chemicals Up-regulated Down-regulated E2 432 528 BPA 34 75 TCDD 417 308

外陰部皮膚線維芽細胞 36 検体における ARNT2 発現量 /GAPDH 0.014 0.012 P < 0.0001 N=21 0.01 0.008 N=4 0.006 0.004 0.002 0 停留精巣 尿道下裂 尿道下裂患者において停留精巣患者より有意に高発現

Ahr Amh AR Cyp17a1 Esr1 Esr2 Ghr Hsd3b1 Insl3 Mamld1 Pdgfra Rspo1 Wnt4 Relative mrna levels 胎仔期 TCDD 暴露マウスの精巣における遺伝子発現変化 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 投与時期 : 胎生 12.5 日投与量 :3 g/kg mother body weight サンプリング日 : 出生後 1 日 0.0 CYP17A1 における SNP のアリル頻度は 外陰部異常症患者と正常男児で有意に異なる ( 前述の相関解析データ ) TCDD 投与変化なし増加減少 Cholesterol Star/Cyp11a1 Cyp17a1 (17 -hydroxylase) Cyp17a1 (17/20 lyase) Pregnenolone 17-OH pregnenolone DHEA Hsd3b1 Progesterone 17-OH progesterone Androstendione Hsd17b3 Testosterone

サブテーマ 2: 臍帯血 胎盤バンキングシステムの整備 1. 試料およびデータの集積と保存対象 : 胎盤 臍帯 臍帯血由来の組織 DNA cdna (RNA) セルライン樹立感受性と暴露量を同一試料で解析 1 遺伝因子解析 : 同定されたバイオマーカーの解析 2 暴露量測定 : バイオマーカー関連環境化学物質の測定 3 臨床情情報 : 長期コホートスタディの基盤 2. 保存試料のプロファイリングと品質管理 1 プロファイリング : 同定されたバイオマーカー 2 品質管理 : インプリンティング遺伝子のメチル化パターンと発現量 環境残留性化学物質の測定 毒性等量の測定など

検体集積システム 浜松医医科大学病院 産科 小児科 こども発達センターなど 研究参加医療機関 産科 小児科など 成育医療研究センター病院 周産期診療科 新生児科 泌尿器科 形成外科 研究参加医療機関 泌尿器科 小児科など これまでに蓄積された検体数 DNA リンパ球セルライン 臍帯血 1,200 胎盤 67 精子形成障害患者 150 尿道下裂 停留精巣患者 350 早発性卵巣機能不全患者 120 口蓋裂患者 60 正常成人 >1,000 組織 線維芽細胞胎盤 67 外陰部皮膚組織 ( 尿道下裂 停留精巣 ) 350 口腔粘膜 ( 口蓋裂 ) 60 今後の見込み臍帯血胎盤外陰部皮膚組織末梢血ゲノムDNA >500/ 年 >50/ 年 >50/ 年 >500/ 年

暴露量推定 妊娠中の曝露評価対象物質と分析法 対象物質測定対象主な作用測定方法 必要尿量 (ml) 進行状況 フタル酸エステル類代謝産物 9 種類抗アンドロジェン LC/MS/MS 1 ピレスロイド系殺虫剤 代謝産物 3 種類抗アンドロジェン LC/MS/MS 5 芳香族炭化水素化合物 パラベン 代謝産物 (1- ハイト ロキシヒ レン ) パラベン 3 種類 代謝産物 3 種類 エストロジェン様? LC/FL 2 エストロジェン様 LC/MS/MS 5 イソフラボン タ イセ イン エクオール エストロジェン様 GC/MS 0.2 クレアチニン クレアチニン 尿量補正 吸光光度法 0.25 喫煙 ( 能動受動 ) コチニン 交絡因子 GC/MS 2 ヒト AGD 測定位置 ( 男性化の指標 )

今後の研究方向 ケミカル - フェノム - ゲノム 3 指標を計測するための効率良い体制の構築 ケミカル 国立環境研究所 尿 血液の供給 化学物質の測定ヒト細胞を使用した化学物質応答性解析 ( バイオアッセイ ) 曝露データの提示 応答性の提示 解析データの提示 フェノム 浜松医科大学 コホート研究におけるサンプリング 表現型 ( 先天異常 ) スクリーニング関連性解析 血液 DNA の供給 解析データの提示 解析領域の選定 成育医療研究センター 次世代シークエンサー マイクロアレイによるゲノム エピゲノム解析 ゲノム

小児先天奇形発症における環境リスク評価法の基盤整備 バイオマーカーの開発 臍帯血 胎盤バンキングシステムの整備 リスク 遺伝的高リスク患者 試料およびデータの集積と保存 プロファイリングと品質管理 バイオマーカー解析 一般集団 大多数の健常者 ( 白 ) 少数の患者 ( 赤 ) 遺伝的低リスク健常者 暴露量 ( 暴露量の個体間は小さいと予測 ) インプリンティング遺伝子解析 感受性多型関与の可能性 相関解析 機能解析 単一遺伝子関与の可能性 メチル化解析 発現量解析 妊娠歴 胎盤 新生児所見 DNA RNA リンパ球セルライン 血清 血漿 組織 線維芽細胞 環境残留性化学物質や毒性等量測定 検体 データ管理 バイオマーカーとしての多型 ハプロタイプ バイオマーカーとしての単一遺伝子発現変化 バンキングとして公表長期フォローアップ 同定したバイオマーカーの使用 新たなバイオマーカーの検出 バイオマーカーの開発とその解析による高リスク小児の同定 バンキングシステム構築による長期フォローアップと今後の研究の基盤整備 環境改善への啓蒙と動機づけ