医療安全推進総合対策

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Microsoft Word _発刊にあたって.doc

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

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我が国の医療安全施策の動向

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の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

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3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

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国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院医療に係る安全管理のための指針 第 1 趣旨本指針は 医療法第 6 条の10の規定に基づく医療法施行規則第 1 条の11 の規定を踏まえ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 ( 以下 センター病院 という ) における医療事故防止について組織的に


京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

本院における「医療にかかる安全管理のための指針」(以後指針と記載する)を周知していただくために下記の質問への回答をお願い致します

名称未設定

日本医師会「2008年度緊急レセプト調査(4~6月分)」結果報告(2008年8月6日)

Microsoft PowerPoint - 参考資料

我が国の医療安全施策の動向

日商協規程集

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医療法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十七号)広告規制の見直し関係抜粋

Microsoft PowerPoint - 北海道厚生局講演スライド(送付)

PowerPoint プレゼンテーション

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

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医療事故調査・支援センター~センターの役割と手引~

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

●アレルギー疾患対策基本法案

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社団法人日本医師会の組織図

医療事故調査制度についてのこれまでの検討経緯 平成 24 年 平成 25 年 平成 24 年 2 月医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会設置 以降 13 回開催 平成 25 年 5 月 医療事故に係る調査の仕組み等の基本的なあり方 について のとりまとめ 調査の目的 : 原因究明及び

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

富山西総合病院 医療安全管理指針

第3章 指導・監査等の実施

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

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<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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医科診療報酬点数表関係 別添 1 在宅患者支援療養病床初期加算 在宅患者支援病床初期加算 問 1 療養病棟入院基本料の注 6の在宅患者支援療養病床初期加算及び地域包括ケア病棟入院料の注 5の在宅患者支援病床初期加算の算定要件に 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 等の

【資料1】結核対策について

関する基本的考え方 2 医療安全管理委員会 ( 委員会を設ける場合について対象とする ) その他の当該病院等の組織に関する基本的事項 3 従業者に対する医療に係る安全管理のための研修に関する基本方針 4 ( 略 ) 5 医療事故等発生時の対応に関する基本方針 ( 医療安全管理委員会 ( 患者を入院さ

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2 病院次のいずれにも該当する病院のうち 相当程度の患者の見守り体制を有するもの ( 火災発生時の消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの ) 以外のもの ( ア ) 特定診療科名を有するもの ( イ ) 一般病床又は療養病床を有する病院 火災発生時の延焼を抑制

医師等の確保対策に関する行政評価・監視結果報告書 第4-1

東千葉メディカルセンター医療安全管理指針

3 電子情報処理組織の使用による請求又は光ディスク等を用いた請求により療養の給付費等の請求を行うこと ( 以下 レセプト電子請求 という ) が義務付けられた保険医療機関 ( 正当な理由を有する400 床未満の病院及び診療所を除く なお 400 床未満の病院にあっては 平成 27 年度末までに限る

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

地域生活支援事業サービス提供事業者登録要綱

クリニカルパスの 普及・体制の現状と課題

Microsoft Word - 公布通知(医政発0725第10号)

Microsoft Word - 表紙 雛形(保険者入り)高齢者支援課180320

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TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

獨協医科大学病院医療安全対策規程(案)

議案第49号-医療福祉費支給に関する条例の一部改正【確定】

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【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

医療安全対策に関する行政評価・監視 結果報告書 第3 行政評価・監視結果 2 国等における医療安全対策の推進 (3) 医療事故情報収集等事業の実効性の確保

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

出産育児一時金制度の見直しに関する Q&A 平成 23 年 3 月

獨協医科大学病院医療安全対策規程(案)

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平成27年度事業計画書

別紙 常勤医師等の取扱いについて 1. 一日平均患者数の計算における診療日数 (1) 入院患者数ア通常の年は 365 日である イ病院に休止した期間がある場合は その期間を除く (2) 外来患者数ア実外来診療日数 ( 各科別の年間の外来診療日数で除すのではなく 病院の実外来診療日数で除すこと ) イ

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

2 院内処方 ( 入院外 投薬 ) 及び院外処方 ( 薬局調剤 ) における薬剤点数薬剤点数階級別件数の構成割合を入院外の投薬 ( 以下 院内処方 という ) 薬局調剤( 以下 院外処方 という ) 別にみると ともに 500 点未満 が最も多く それぞれ 67.0% 59.4% となっている また

= 掲載済 12 短期入所生活介護 (P107~P121) 13 短期入所療養介護 (P122~P131) 16 福祉用具貸与 (P153~P158) 17 (P159~P170) 18 入居者生活介護 地域密着型入居者生活介護 (P171~P183) 20 介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉

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責任者 医療安全管理者等をもって構成する (3) 委員会では 医療事故防止対策の検討 医療事故防止のために行う提言 職員に対する指示 啓発 教育 広報などの協議を行い 月 1 回開催するものとする 3 医療安全管理部門の設置 (1) 委員会で決定された方針に基づき 組織横断的に当院内の安全管理を担う

に 正当な理由がない限り無償で交付しなければならないものであるとともに 交付が義務付けられている領収証は 指定訪問看護の費用額算定表における訪問看護基本療養費 訪問看護管理療養費 訪問看護情報提供療養費及び訪問看護ターミナルケア療養費の別に金額の内訳の分かるものとし 別紙様式 4を標準とするものであ

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

Microsoft Word _正当理由通知(薬局医薬品) (反映)

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正誤表 正誤箇所 誤 正 医科 - 基本診療料 -35/47 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注の見直し 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学管理等の 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学

体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に

改定事項 基本報酬 1 入居者の医療ニーズへの対応 2 生活機能向上連携加算の創設 3 機能訓練指導員の確保の促進 4 若年性認知症入居者受入加算の創設 5 口腔衛生管理の充実 6 栄養改善の取組の推進 7 短期利用特定施設入居者生活介護の利用者数の上限の見直し 8 身体的拘束等の適正化 9 運営推

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

医療事故に係る調査の仕組み等について これまでの経緯 平成 19 年 医療事故に係る調査の仕組みについて 自民党 医療紛争処理のあり方検討会 ( 座長 : 大村秀章議員 ) の取りまとめ ( 平成 19 年 12 月 ) において 新制度の骨格や政府における留意事項を提示 平成 20 年 厚生労働省

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中小医療機関における輸血 療法委員会の設置に向けて 長崎県合同輸血療法委員会平成 31 年 1 月 16 日

平成19年度 病院立入検査結果について

平成30年度 患者様満足度調査 【外 来】

医療事故調査制度ガイドライン目次 第 1 章死亡事故発生から医療事故調査 支援センターへの報告まで 1. 死亡事故発生時の判断大原則 2. 死亡事故発生時の判断骨子 1 1 第 2 章医療事故調査委員会設置から医療事故調査 支援センターへの結果報告まで 1. 医療事故調査並びに医療事故調査委員会の設

我が国の医療安全施策の動向

Transcription:

国公私立大学附属病院医療安全セミナー 平成 22 年 6 月 16 日 ( 水 ) 我が国の医療安全施策の動向 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室 1

目次 1. 医療事故等の現状 2. 医療安全に係るこれまでの動き 3. 医療安全に係る取り組み 2

1. 医療事故等の現状 3

妊産婦死亡数の年次推移 ( 年 ) 出典 : 厚生労働省 人口動態統計 ( ただし 1947 年 ~1972 年は沖縄県を含まない ) 4

医療事故に係る紛争の状況 1,200 1,100 医事関係訴訟事件新受件数 ( 第 1 審 )( 民事 ) 1,110 医療事故 の主要新聞における登場記事件数 1,000 900 906 1,003 999 913 3500 3000 3,047 2,756 3,033 2,987 2,790 800 795 824 2500 2,239 700 600 500 400 575 597 632 678 2000 1500 1000 500 161 189 258 296 270 242 540 413 383 1,258 300 平成 16 年までの数値は 各裁判所からの報告に基づくものであり 概数である 0 1990 91 92 出所 : 日経テレコン 21 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 ( 黒川清, 大学病院革命, 日経 BP 社,2007 より ) ( 年 ) 5

医療安全 のきっかけとなった医療事故 1999 年 ( 平成 11 年 1 月 ) 横浜市立大学附属病院において患者を取り違え 入院目的と異なる手術が施行される事故が発生 社会問題化 1999 年 ( 平成 11 年 2 月 ) 都立広尾病院で血管内に消毒薬を誤注入 2000 年 ( 平成 12 年 2 月 ) 京大病院で人工呼吸器の加湿器へのエタノール誤注入 2000 年 ( 平成 12 年 4 月 ) 東海大病院での静脈内への内服薬誤注入事故 6

京都大学エタノール事件 2000 年 2 月 小児用人工呼吸器の加湿器に滅菌精製水を注入すべきところ 消毒用エタノールを注入 2 日間にわたりエタノールを注入しつづけ 患者は死亡 7

京都大学エタノール事件 エタノール 5L 容器 と 滅菌精製水 4L 容器 容器の形状が極似 呼吸器の下に設置 容器のラベルは死角に 8

To Err is Human 人は誰でも間違える 1999 Institute of Medicine 人は誰でも間違える ことを前提に, 間違っても ( 事故をおこしても ) 障害に至らないようにするにはどうすればよいかを提言 重要なことは, 個人を攻撃して起こってしまった誤りをとやかくいうのではなく, 安全を確保できる方向にシステムを設計し直し, 将来のエラーを減らすように専心することである. 9

医療事故の見方 1990 年代 2000 年以降 医療事故はあってはならないこと 医療事故は起こりうること 個々人の注意で防ぐことができる チームや組織全体の在り方を改善しなければ 事故は防止できない 10

2. 医療安全に係るこれまで の動き 11

国の医療安全施策の経緯 2001 年 ( 平成 13 年 ) 厚生労働省に医療安全推進室が設置 医療安全対策検討会議を開催 2002 年 ( 平成 14 年 )4 月医療安全対策検討会議により 医療安全推進総合対策 報告書が取りまとめられ 日本の医療安全対策の基本的な考えが示された 2002 年 ( 平成 14 年 )10 月病院 有床診療所に 医療安全管理体制の整備を義務付け 2003 年 ( 平成 15 年 )4 月 特定機能病院 臨床研修病院に 医療安全管理者の配置等を義務付け 2006 年 ( 平成 18 年 )6 月医療法において 無床診療所および助産所についても 医療安全管理体制の整備を義務付け ( 平成 19 年 4 月施行 ) 12

医療法改正の経緯 1948 年医療法制定 医療水準の確保を図るため病院の施設基準等を整備 1985 年第一次改正 医療計画の創設 1992 年第二次改正 療養型病床群制度導入 特定機能病院制度導入 1997 年第三次改正 診療所への療養型病床群導入 2000 年第四次改正 病床区分見直し ( 療養病床と一般病床の区分 ) 医療情報提供の推進 臨床研修必修化 2006 年第五次改正患者等への医療に関する情報提供の推進 医療計画制度の見直し等を通じた医療機能の分化 連携の推進 地域や診療科による医師不足問題への対応 医療安全の確保 医療従事者の資質の向上 医療法人制度改革 13

第五次医療法改正 第 1 章総則 第 2 章医療に関する選択の支援等 第 3 章医療の安全の確保 第 4 章病院 診療所及び助産所 第 5 章医療提供体制の確保 第 6 章医療法人 第 7 章雑則 第 8 章罰則 附則 14

4. 医療安全の確保 ( 医療法 ) ~ 基本的考え方 ~ 医療法において医療安全の確保にかかる医療機関の管理者の義務を規定することにより医療安全の確保という施策の方向を明示 都道府県等が設置する医療安全支援センターについて医療法に位置づけ ( 都道府県等 : 都道府県 保健所を設置する市又は特別区 ) 改正前 医療法施行規則において 病院 有床診療所の管理者に対して安全管理体制の整備が義務づけられていた 医療安全支援センターについて法律上の位置付けがなく 機能が明確でなかった 改正内容 医療安全の確保に関する法律上の規定を新設 具体的には 病院 有床診療所に加え 無床診療所及び助産所の管理者に対して 医療の安全を確保するための措置を義務づける 厚生労働省令において 以下のことを定められた 安全管理体制 ( 院内感染制御体制 医薬品 医療機器の安全管理体制等を含む ) の充実 強化 医療安全支援センターを医療法に位置づけた 都道府県等は医療安全支援センターを設置するよう努める 都道府県等は 医療安全支援センターの名称及び所在地を公示しなければならない 15

医療法第 6 条の 10 病院 診療所又は助産所の管理者は ( 中略 ) 1. 医療の安全を確保するための指針の策定 2. 従業者に対する研修の実施 3. その他の当該病院 診療所又は助産所における医療の安全を確保するための措置 を講じなければならない 16

指針の策定事故 ヒヤリ ハット事例発生 安全管理のための委員会 事例分析 改善策の立案 院内研修による再発防止策の徹底 17

医療安全対策の推進について ( 平成 22 年度診療報酬改定 ) 医療安全対策の充実 医療安全対策の評価 医療安全対策加算 ( 専従の医療安全管理者 ) 50 点 新 医療安全対策加算 1( 専従の医療安全管理者 ) 医療安全対策加算 2( 専任の医療安全管理者 ) 85 点 35 点 感染防止対策チームによる抗菌薬適正使用等の取組の評価感染防止対策加算 100 点新 医薬品安全管理の充実 医薬品安全管理の評価 新 医薬品安全性情報等管理体制加算 医療機器安全管理の充実 医療機器安全管理の評価 50 点 医療機器安全管理料 1 50 点 100 点 18 18

3. 医療安全に係る取り組み 19

医療事故情報収集等事業について 20

医療機関における事故等の範囲 医療法施行規則 第 9 条の 23 第 1 項第 2 号 次に掲げる医療機関内における事故その他の報告を求める事案 ( 以下 事故等事案 という ) が発生した場合には 当該事案が発生した日から二週間以内に 次に掲げる事項を記載した当該事案に関する報告書 ( 以下 事故等報告書 という ) を作成すること イ誤った医療又は管理を行ったことが明らかであり その行った医療又は管理に起因して 患者が死亡し 若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかつた 若しくは予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案 21

医療法施行規則 一 二 三 四 五 報告書を求める項目 第 9 条の 23 第 2 項 事故等報告書には 次に掲げる事項を記載するものとする 事故等事案が発生した日時 場所及び診療科名 性別 年齡 病名その他の事故等事案に係る患者に関する情報 職種その他の事故等事案に係る医療関係者に関する情報 事故等事案の内容に関する情報 前各号に掲げるもののほか 事故等事案に関し必要な情報 22

事故等報告書の提出 医療法施行規則 第 12 条 特定機能病院及び事故等報告病院の管理者は 事故等事案が発生した場合には 当該事故等事案に係る事故等報告書を当該事故等事案が発生した日から原則として二週間以内に 事故等分析事業を行う者であって 厚生労働大臣の登録を受けたもの ( 以下 登録分析機関 という ) に提出しなければならない 23

医療事故情報報告システム 医療事故 報告義務大学病院ナショナルセンター国立病院機構の病院など 任意参加の医療機関 ヒヤリ ハット 約 1200 施設 ) Web 報告 分析結果 報告 分析結果 ( 登録分析機関 ) ( 財 ) 日本医療機能評価機構報告書年報 医療事故防止事業部 基本方針 事故の発生予防と再発防止が目的 処分や指導を目的としない 運営委員会専門家部門 機構担当理事 医療安全情報講演など 情報 国民医療機関行政等 学会業界団体など 24

医療事故収集等事業 財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止事業部 医療事故情報事例 ヒヤリ ハット事例について 事例収集 事例分析 報告書の公表 特に注意喚起が必要な事例について 医療安全情報 として情報提供 25

対象となる医療機関 ( 平成 21 年 12 月時点 ) 報告義務医療機関 (273 病院 ) 特定機能病院大学病院 ( 本院 ) 国立高度専門医療センター国立ハンセン病療養所独立行政法人国立病院機構の開設する病院 参加登録申請医療機関 (427 病院 ) 報告義務対象医療機関以外で参加を希望する医療機関は 必要事項の登録を経て参加することができる 26

医療機関数及び事故報告件数 登録病院数 (H21. 12. 31 現在 ) 平成 21 年事故報告件数 総数 死亡 合計 273 1,895 156 * 平成 21 年 12 月 31 日現在の報告義務対象医療機関の病床数総計は 144,019 床である 資料 : 財団法人日本医療機能評価機構 27

事故の概要による分類 ( 報告義務対象医療機関 : 平成 21 年 1 月 ~12 月 ) 検査 65 件 (3.4%) 指示出し 15 件 (0.8%) 輸血 6 件 (0.3%) その他 239 件 (12.6%) 薬剤 107 件 (5.6%) 療養上の世話 770 件 (40.6%) 医療用具等 165 件 (8.7%) 治療処置 528 件 (27.9%) 資料 : 医療事故情報収集等事業第 20 回報告書 28

報告書の構成 Ⅰ 医療事故収集等事業の概要 Ⅱ 報告の現況全報告の集計表や図 Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況テーマ毎の集計表や図 29

医療安全情報の提供 [No18. 処方表記の解釈の違いによる薬剤量間違い ] 30

医療安全支援センターについて 31

医療法第 6 条の 11 医療安全支援センターは 1. 医療に関する苦情に対応し 又は相談に応ずるとともに 当該患者若しくはその家族又は当該病院 診療所若しくは助産所の管理者に対し 必要に応じ 助言を行うこと 2. 病院 診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者若しくは従業者又は患者若しくはその家族若しくは住民に対し 医療の安全の確保に関し必要な情報の提供を行うこと 3. 病院 診療所又は助産所の管理者又は従業者に対し 医療の安全に関する研修を実施すること 4. 医療の安全の確保のために必要な支援を行うこと 32

患者が不満を感じたときの行動 ( 複数回答 ) 不満を感じたことはなかった 11.9% 無回答 11.9% 主治医 ( 担当していた医師 ) 別の医師 ( セカンドオピニオン外来など ) 36.7 71.1 平成 20 年 医療機関のスタッフ ( 相談窓口を含む ) 36.5 相談したことはなかった 23.3% 相談した 52.9% 行政機関 ( 医療安全支援センターなど ) 家族 友人 知人 第三者機関 団体 ( 医師会を含む ) 25.7 25.0 62.3 その他 14.4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 % 出典 : 厚生労働省 平成 20 年受療行動調査 33

相談の相手別にみた患者の相談結果 単位 (%) 計役立った役立たなかったどちらでもない無回答 主治医 ( 担当していた医師 ) 別の医師 ( セカンドオピニオン外来など ) 医療機関のスタッフ ( 相談窓口を含む ) 100.0 74.6 6.6 15.2 3.6 100.0 51.2 10.3 36.2 2.3 100.0 56.4 10.0 31.7 1.9 行政機関 ( 医療安全支援センターなど ) 100.0 36.8 12.6 48.8 1.7 家族 友人 知人 100.0 60.9 8.3 25.2 5.6 第三者機関 団体 ( 医師会を含む ) 100.0 34.8 11.0 52.0 2.2 その他 100.0 26.2 9.3 59.5 5.0 注 : 相談した患者について それぞれの相談の相手を 100 とした割合 出典 : 厚生労働省 平成 20 年受療行動調査 34

機能 苦情 相談への対応 ( 必要に応じて 医療機関の管理者及び患者等に助言 ) 体制 情報提供助言 医療安全支援センター体制図 医療安全支援センター 都道府県 保健所設置市区 二次医療圏 医療安全推進協議会 相談窓口 医療安全の確保に関する必要な 情報提供 活動方針等の検討 連絡調整医療従事者 弁護士 住民等で構成 医療内容等に関する苦情や 相談に対応職員の配置医療安全に関するアドバイス 情報提供 連絡調整 助言 相談 患者 家族国民 医療機関の管理者 従業員に対 する医療安全に関する研修の実施 相談 相談 医療機関 相談窓口 地域医師会等 情報提供 連絡調整国 相談窓口 総合支援事業 東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学講座 相談職員研修の実施 代表者情報交換会の実施 相談困難事例の収集 分析 提供等 情報提供 連絡調整 情報提供 35

医療安全支援センター設置状況 1. 都道府県 ( 平成 21 年 12 月 1 日現在 ) 都道府県 :47 全都道府県に設置 二次医療圏 :36 都道府県 280ヶ所において設置 2. 保健所設置市区 保健所設置市区 :51ヶ所 (89ヶ所中) 指定都市 :18ヶ所 (18ヶ所中) 中核市 :29ヶ所 (41ヶ所中) 政令市 : 3 ヶ所 ( 7ヶ所中 ) 特別区 : 1ヶ所 (23ヶ所中) 出典 : 平成 21 年度医療安全支援センター総合支援事業調べ 36

医療対話仲介者 ( 仮称 ) の推進に ついて 37

医療対話仲介者 ( 仮称 ) の推進について 患者家族 医療従事者等とのコミュニケーションの仲立ちをし 十分な話し合いを促進する業務の重要性 その推進に向け 有識者 実践者等から意見聴取等により実態を把握 38

医療裁判外紛争解決 (ADR) 機関 連絡調整会議 39

裁判外紛争解決手続きとは 訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしよ うとする紛争の当事者のため 公正な第三者が関 与して その解決を図る手続をいう 裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律第 1 条より 40

裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関す る法律 (ADR 法 ) の基本理念 第三条裁判外紛争解決手続は 法による紛争の解決のための手続として 紛争の当事者の自主的な紛争解決の努力を尊重しつつ 公正かつ適正に実施され かつ 専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図るものでなければならない 2 裁判外紛争解決手続を行う者は 前項の基本理念にのっとり 相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない 41

( 目的 ) 医療裁判外紛争解決 (ADR) 機関 連絡調整会議 裁判外紛争解決 (ADR) 機関の活用を推進するため 医療裁判外紛争解決にかかる情報共有 意見交換を行うことを目的とする ( 構成員 ) 裁判外紛争解決 (ADR) 機関 医療界 法曹界及び患者団体等の代表者 平成 22 年 3 月 26 日第 1 回会議開催 平成 22 年 7 月 7 日第 2 回会議開催予定 42

診療行為に係る死因究明制度 ( 事故調査委員会 ) について 43

策定の背景 ( 第一次試案 ~) 患者 家族にとっては 安全 安心に医療が提供される期待あり 医療従事者には最大限の努力を高じることが求められる 診療行為には一定の危険性が伴う 患者と医療従事者の意思疎通が不十分であることや認識の違いによる不信感により 紛争が生じることもある 診療関連死等についての死因の調査や臨床経過の評価 分析等については 制度の構築等の対応が十分でなく 結果として民事手続きや刑事手続きに依存 安全 安心の医療の確保や再発防止等に資する観点から 診療関連死の死因究明の仕組みやその届け出のあり方等について 検討していく 44

医療事故の調査制度の創設に向けた動向 平成 19 年 3 月 平成 19 年 10 月 厚生労働省第一次試案 厚生労働省第二次試案 平成 20 年 4 月 平成 20 年 6 月 厚生労働省第三次試案 厚生労働省医療安全調査委員会設置法案 ( 仮称 ) 大綱案 45

医療に係る情報の提供 相談支援及び紛争の適正な解決の促進並びに医療事故等の再発防止のための医療法等の一部を改正する法律 仮称 案骨子試案 通称 : 医療の納得 安全促進法案 Ⅰ 医療法の改正第 1 医療法第 1 章 ( 総則 ) 関係第 2 医療法第 2 章第 1 節 ( 医療に関する情報の提供等 ) 関係 Ⅱ 1 診療記録の開示及び訂正等 2 診療に係る情報の提供等に関する体制の整備 3 病院における医療対話仲介者 ( メディエーター ) の設置 4 医療の提供の過程において事故が発生した場合に係る情報の提供 第 3 医療法第 3 章 ( 医療の安全の確保 ) 関係 1 医療機関における安全な医療の確保 2 医療安全管理委員会の設置 3 医療安全支援センター 4 事故等分析事業 46

診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業 実施主体 ( 社 ) 日本内科学会 ( 他 37 学会が協力 ) 実施期間 平成 17 年度 ~ 平成 21 年度 ( 昨年度で終了 ) モデル地域 札幌地域 宮城県 茨城県 東京都 新潟県 愛知県 大阪府 兵庫県 岡山県 福岡県 実施状況 受付件数 105 件 今年度より 一般社団法人日本医療安全調査機構 で実施 47

見直しの方向性 ( 平成 22 年 4 月 ~) ( 抜粋 ) 死亡時画像診断の活用の検討 迅速な報告書の作成 評価手順の簡素化 手順の標準化等 評価委員会のメンバーの固定 地域代表 調整看護師との間で 情報共有や研修を行う 可能な地域から情報交換等を行う協議会を立ち上げる 院内事故調査委員会が作成した報告書をレビューする作業モデルも検討 再発防止の提言について その方法論も含め検討 48

http://www.medsafe.jp/ 49

産科医療補償制度について 50

医事関係訴訟事件の診療科目別既済件数 ( 平成 20 年 ) 療科目別既済件 250 200 150 228 診療科目別既済件数 ( 件 ) 医師 1000 人当たりの既済件数 ( 件 ) 180 5.8 数(件)126 100 5.0 50 2.5 1.4 1.7 30 1.1 22 9 18 0 内小皮外神精整泌科児膚科形経神形尿成科科)科(科外器外科科科 診療科目 2.8 99 産婦人科 9.9 2.2 2.1 27 19 眼科 耳鼻咽喉科 70 歯科 0.8 1.1 8 麻酔科 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 医師 1 0 0 0 人あたりの既済件数(件)診 内科 外科等に それぞれ消化器科 ( 胃腸科 ) 等の近接した診療科を含んだ場合の医師 1000 人あたりの既済件数である 注 )1 既済件数については 最高裁判所ウェブサイトによる ( 概数 ) 複数科目に該当する場合は そのうちの主要な一科目に計上している 2 各科の医師数については 平成 20 年医師 歯科医師 薬剤師調査における医療施設に従事する医師の主たる診療科に基づき 以下のように算出している 内科については 内科 呼吸器内科 消化器内科( 胃腸内科 ) 循環器内科 腎臓内科 糖尿病内科( 代謝内科 ) 血液内科 感染症内科の医師数を合計 精神科( 神経科 ) については 精神科 神経科の医師数を合計 外科については 外科 脳神経外科 呼吸器外科 心臓血管外科( 循環器外科含む ) 小児外科 肛門外科 気管食道外科 リハビリテーション科 乳腺外科 消化器外科 ( 胃腸外科 ) の医師数を合計 整形 形成外科については 整形外科 形成外科 美容外科の医師数を合計 歯科については 歯科 口腔外科の歯科医師数を合計 3 医師 1000 人当たりの既済件数は 医師数に基づいて 厚生労働省において算出したものである 51

産科医療補償制度の概要 ( 平成 21 年 1 月 1 日 ~) 制度の目的安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として 分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった子及びその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに 事故原因の分析を行い 将来の同種事故の防止に資する情報を提供することなどにより 紛争の防止 早期解決および産科医療の質の向上を図る 補償の仕組み 分娩機関と妊産婦との契約に基づいて 通常の妊娠 分娩にもかかわらず脳性麻痺となった者に補償金を支払う 分娩機関は 補償金の支払いによる損害を担保するため 運営組織が契約者となる損害保険に加入する 補償対象 ( 対象者推計数 : 年間概ね 500 ~ 800 人 ) 通常の妊娠 分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合とする 出生体重 2,000g 以上かつ在胎週数 33 週以上 身体障害者等級 1 2 級相当の重症者 先天性要因等の除外基準に該当するものを除く 出生体重 在胎週数の基準を下回る場合でも 在胎週数 28 週以上の者については 個別審査 補償金額 3,000 万円 ( 一時金 :600 万円 + 分割金 :2,400 万円 (20 年間 )) 保険料 ( 掛金 ) 在胎週数 22 週以降の分娩に限る 一分娩当たり 30,000 円 加入促進 制度周知策 都道府県がHP 等を通じて行う医療機能に関する情報提供の項目に本制度の加入状況を追加 医療機関が広告できる項目に本制度加入を追加 診療報酬上の算定要件に本制度加入を追加 母子健康手帳の任意記載事項に産科医療補償制度を追加 加入機関での分娩に出産育児一時金を3 万円加算 ( 財 ) 日本医療機能評価機構のHPを通じて加入分娩機関を公表 (35 38 万円 ) その他 紛争の防止 早期解決のために 医学的観点から事例を分析し 結果を両当事者にフィードバック 原因分析された各事例の公開により 同種の医療事故の再発防止等を図る 遅くとも5 年後を目処に 制度内容について検証し 適宜必要な見直しを行う ( 注 )1. 平成 22 年 4 月時点の加入率 : 病院 診療所 99.7%, 助産所 98.4% 2. 出産育児一時金は 平成 21 年 10 月から平成 22 年度末までの間 4 万円加算 (38 42 万円 ) される 52

険制度補償の機能 妊産婦 児 産科医療補償制度の仕組み 登録証制度加入保険契約本医各療( 分娩費 ) 分掛金機保険料娩能評機価補償金関保険金保険金日加入者 ( 被保険者 ) 民保険会社機構契約者保険者 間保原因究明 再発防止の機能 原因究明 医学的観点から原因を分析し 妊産婦 ( 児 ) と分娩機関の双方に結果をフィードバックします 事例情報の蓄積 再発防止 収集した事例をもとに整理し 再発防止策を策定します 広く一般に公開 提言 産科医療の質の向上 53

産科医療補償制度における 原因分析 再発防止の流れ 54

内服薬処方せんの安全対策について 55

内服薬処方せんの記載に関する現状と課題 医師及び歯科医師は 患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要がある場合には 患者等に対して処方せんを交付する義務があり 処方せんに記載すべき事項は関係法令において一定程度示されている しかしながら 医師 医療機関の間で統一された記載がなされておらず 多様な記載がなされているのが現状である 56

内服薬処方せんの記載方法の在り方 に関する検討会 平成 21 年 5 月に 厚生労働省に 内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会 を設置 医療安全の観点から 内服薬処方せんの記載方法に係る課題やその標準化等 平成 21 年 11 月まで 5 回にわたり検討 検討会報告書骨子案 ( 平成 21 年 10 月 19 日公表 ) に対してパブリックコメントを募集 平成 22 年 1 月 29 日に検討会報告書を公表 厚生労働省より自治体 関係団体等に通知 57

58

厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/index.html 安全管理体制全般に関する法令 通知について http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/index.html 59

終わりに 医療の高度化 供給側の負担 受け手側の要望 克服するための各種の対応 試み 60