第 Ⅱ 部食料自給率 食料自給力 1. 私達の食卓における自給率 天ぷらそばの食料自給率 天ぷらそばは日本食ですが その食料自給率 ( カロリーベース ) は 22% です これは そばは中国産 えびはベトナム産など 多くの材料を輸入に頼っているためです 食料自給率 ( カロリーベース ) 22% 主な材料の輸入先 そば : 中国 アメリカ等 えび : タイ ベトナム インドネシア等 小麦 ( ころも ): アメリカ カナダ等 菜種 ( 油 ): カナダ等 資料 : 農林水産省 食料需給表 財務省 貿易統計 等注 : 数値は平成 25 年度 ( 概算値 ) 私達の食卓における品目別自給率 食料自給率 ( 国内で消費する食料が国内生産によってどの程度賄えているかを表した割合 ) は 品目により異なります 品目別自給率をみると 高い国内生産能力を有する米で高い一方 家畜の飼料の多くを輸入に頼っている肉類等で低い水準にあります 牛乳 乳製品 27% 果実 39% 野菜 79% 魚 60% 海藻 69% 鶏卵 12% 小麦 12% 肉類 8% 米 ( 主食用 ) 100% 資料 : 農林水産省 食料需給表 注 1: 数値は平成 25 年度 ( 概算値 ) 注 2: 畜産物 ( 牛乳 乳製品 肉類及び鶏卵 ) については 飼料自給率を考慮している 大豆 7% 9
2. 食料自給率の推移 食料自給率の推移 我が国の食料自給率 ( 総合食料自給率 ) は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年は横ばい傾向で推移しています 100 80 60 40 (%) 86 85 83 73 60 77 82 54 53 53 75 74 48 37 (H5 ) 43 71 69 69 65 40 40 39 39 20 昭 40 45 50 55 60 平 2 7 12 17 22 25 資料 : 農林水産省 食料需給表 カロリーベースと生産額ベースの総合食料自給率の推移 カロリーベース 生産額ベース ( 年度 ) 将来の食料供給に対する意識 世界の食料需給に不安定要素が存在し 食料自給率が長期的に低下傾向で推移する中 多くの国民が国内生産による食料供給能力の低下を危惧しています 将来の食料供給に対し 不安はない 16% 回答無し 1% 不安の理由 不安がある と答えた人のうち 82% が 不安がある 83% 資料 : 内閣府 食料の供給に関する特別世論調査 ( 平成 26 年 1 月 ) 国内生産による食料供給能力が低下するおそれがあるため と回答 10
コラム 1. 食料自給率の計算方法 食料自給率には 品目別自給率と総合食料自給率があります 品目別自給率は 特定の品目について重量ベースで計算したものです カロリーベース及び生産額ベース総合食料自給率は 食料全体について品目ごとに単位 ( カロリー及び生産額 ) を揃えて計算したものです 畜産物 加工品では 輸入飼料 輸入原料により生産されたカロリーや それらの輸入額を控除して計算しています 品目別自給率 ( 例 ) 果実の品目別自給率 国内生産量 果実の国内生産量 (301 万トン ) 果実の国内消費仕向量 (766 万トン ) =39% 輸出量 消費仕向量 輸入量 在庫 食料 非食用 粗食料 減耗 純食料 不可食部分 カロリーベース総合食料自給率 ( 供給熱量ベース総合食料自給率 ) 1 人 1 日当たり国産供給熱量 (939kcal) 1 人 1 日当たり総供給熱量 (2424kcal) =39% 生産額ベース総合食料自給率 食料の国内生産額 (9.9 兆円 ) 食料の国内消費仕向額 (15.1 兆円 ) =65% 注 : 数値は全て平成 25 年度 ( 概算値 ) 国産供給熱量 総供給熱量 ( 例 ) 牛肉の計算例 牛肉の国産供給熱量 = 純食料 単位カロリー 品目別自給率 飼料自給率 =16.5g/ 人 日 281.7kcal/100g 41% 27%( 肉用牛 ) =5.1 kcal/ 人 日 食料の国内生産額 食料の国内消費仕向額 ( 例 ) なたね油の計算例 純食料 純食料 生産額ベースでは 食料が生産または輸入された時点で金額を計測するため 減耗量を含む食料を適用する 食料 ( うち国産 ) 食料 なたね油の国内生産額 ( 付加価値額 ) = 食料 ( うち国産 ) 国産単価 - 原料輸入額 =2,413 億円 -1,519 億円 ( なたね ) =894 億円 単位カロリー 単位カロリー 国産単価 単価 付加価値額 (894 億円 ) 品目別自給率 原料輸入額 (1,519 億円 ) 輸入 (27.4kcal) ( 畜産物 加工品 ) 飼料自給率原料自給率 畜産物 加工品は 飼料自給率 原料自給率を乗じる 輸入飼料を用いて生産されている国産牛肉 (13.9kcal) 国内生産 (18.9kcal) ( 畜産物 加工品 ) 飼料輸入額原料輸入額 畜産物 加工品は 飼料 原料の輸入額を控除する 国内生産額 (2,413 億円 ) 国産飼料を用いて生産されている国産牛肉 (5.1kcal) 11
コラム 2. 我が国と諸外国の食料自給率の比較 カナダ オーストラリア フランス アメリカ等の輸出が多い国の食料自給率は 100% を超えている中にあって 我が国の食料自給率は 先進国中最低水準です (%) 258 我が国と諸外国の食料自給率 250 205 カロリーベース ( 平成 23 年 ) 200 生産額ベース ( 平成 21 年 ) 150 121 128 129 127 100 83 92 92 70 72 58 80 61 57 平成 25 年度 70 65 50 39 0 資料 : 農林水産省 食料需給表 FAO Food Balance Sheets 等を基に農林水産省で試算 ( アルコール類等は含まない ) 注 1: 数値は暦年 ( 日本のみ年度 ) スイス及びイギリス ( 生産額ベース ) については 各政府の公表値を掲載 注 2: 畜産物及び加工品については 輸入飼料及び輸入原料を考慮して計算 我が国は 人口は世界の中で上位に位置しますが 国土面積のうち約 7 割を森林が占め 農地面積が限られていることから 1 人当たり農地面積は 3.6a( オーストラリアの約 500 分の 1 アメリカの約 40 分の 1 イギリスの約 8 分の 1) と諸外国に比べ小さくなっています 諸外国の人口 土地等の状況 (2012 年 ) 日本 カナダ オーストラリア フランスアメリカドイツイギリスイタリア 人口 ( 万人 ) 12,752 3,484 2,305 6,394 31,751 8,280 6,303 6,089 国土面積 ( 万 ha) 3,780 99,847 77,412 5,491 98,315 3,572 2,436 3,013 森林面積 ( 万 ha) 2,500 31,013 14,745 1,605 30,479 1,108 290 931 森林面積率 (%) 66 31 19 29 31 31 12 31 農地面積 ( 万 ha) 455 6,535 40,547 2,884 40,871 1,666 1,718 1,373 1 人当たり農地面積 (a/ 人 ) 3.6 188 1,759 45 129 20 27 23 日本を1とした場合 1.0 53 493 13 36 5.6 7.6 6.3 12 資料 :FAOSTAT-Land を基に農林水産省で作成
3. 食料自給率の向上に向けて (1) 新たな食料自給率目標 平成 27 年 3 月に閣議決定された新たな食料 農業 農村基本計画では 食料の安定的な供給の基本となる国内の農業生産の増大に向けて 平成 37 年度の食料自給率をカロリーベースで 45% 生産額ベースで 73% に高める目標が掲げられ その実現に向けた施策を推進することとされています 食料自給率の目標平成 25 年度 ( 現状値 ) 平成 37 年度 ( 目標値 ) カロリーベース総合食料自給率 生産額ベース総合食料自給率 39% 65% 45% 73% 飼料自給率 26% 40% 品目別施策の例 食料自給率目標の実現に向けた施策品目横断的施策の例 主食用米 行政による生産数量目標の配分に頼らない需要に応じた生産や生産コスト低減の推進 食の簡便化志向等の消費者ニーズや外食 中食等のニーズへ対応 ( 目標 )859 万トン (H25) 752 万トン (H37) 小麦 パン 中華麺用を中心とした国産小麦の需要拡大に向けた産地化 ブランド化の推進 排水対策等による収量 品質の高位安定化 ( 目標 ) 81 万トン (H25) 95 万トン (H37) 野菜 現状では成人の目標摂取量 (350g/ 日 ) に達していない野菜の消費拡大 加工 業務用野菜の生産基盤の強化 ( 目標 ) 1,195 万トン (H25) 1,395 万トン (H37) 畜産物 国産飼料を用いた特色のある畜産物 ( 例 : こめ育ち豚 地鶏 ) の生産拡大 ( 目標 ) ( 生乳 )745 万トン (H25) 750 万トン (H37) ( 目標 ) ( 豚肉 )131 万トン (H25) 131 万トン (H37) 消費者 食品産業事業者等による積極的な国産農産物の消費拡大 国内外での国産農産物の需要拡大 ( 例 : 消費拡大の国民運動 輸出促進 ) 食育の推進 ( 例 : 日本型食生活 の実践推進 ) 食品の対する消費者の信頼の確保 ( 例 : 食品の品質管理の向上 ) マーケットイン の発想による多様かつ高度な消費者ニーズに対応した国内農業の生産拡大 優良農地の確保と担い手への農地集積 集約化 担い手の育成 確保 農業の技術革新や食品産業事業者との連携等による生産 供給体制の構築等の実現 13
4. 食料自給率の向上に向けて (2) フード アクション ニッポン ( 民間企業 団体 行政等が一体となって国産農林水産物の消費拡大を推進する取組 ) では 食料自給率の向上に向けた様々な取り組みを行っています フード アクション ニッポンの各種取組 このマークがついた商品等をチェック! フード アクション ニッポンアワード国産農林水産物の消費拡大に寄与する全国の企業 団体等の取組を募集し 優れた取組を表彰します 食べて応援しよう! 東日本大震災の被災地やその周辺地域の農林水産物 加工食品の消費拡大を通じて復興を応援します 日本の食でおもてなし観光関連業界の企業や団体との連携により 地域の食材を活用し その消費拡大を目指します 米粉倶楽部国産米粉の消費拡大を通じて 食料自給率の向上を目指します 食料自給率の向上のために 国民の皆さんが今すぐ始められることがあります カロリーベース食料自給率を 1% 上げるためのアクション ごはんを 1 日にもうひと口 (17g) 食べると 1% 向上 国産米粉パンを月にもう約 6 枚 (400g) 食べると 1% 向上 国産大豆 100% 使用の豆腐を月にもう約 2 丁 (552g) 食べると 1% 向上 国産小麦 100% 使用のうどんを月にもう約 2 玉 (198g) 食べると 1% 向上 14
コラム 3. 食料自給率向上のための 5 つのアクション フード アクション ニッポンでは 食料自給率の向上に向けて 国民の皆さんが 出来ることから取り組む 5 つのアクションを提唱しています コラム 4. 料理の自給率を計算できるソフト けいさん! こくさん の御紹介 食料自給率向上のためのアクションにつながるよう フード アクション ニッポンのホームページ上で 毎日の食事の自給率を簡単に計算できるブラウザソフト けいさん! こくさん を公開しています 近日 農林水産省大臣官房食料安全保障課 HP 知ってる? 日本の食料事情 において リニューアルソフトを公開予定 http://syokuryo.jp/keisan/ 15