第 2 意見調査計画書は おおむね 2020 年東京オリンピック パラリンピック環境アセスメント指針 ( 実施段階環境アセスメント及びフォローアップ編 ) に従って作成されたものであると認められる なお 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案 を作成するに当たっ

Similar documents
1 見出し1

調査時点工事の終了後とする 調査期間調査地点調査手法5.2 生物の生育 生息基盤 5.2 生物の生育 生息基盤 (1) 東京 2020 大会の大会開催前 1) は 表 に示すとおりである 区分 予測条件の状況 表 ( 東京 2020 大会の開催前 ) 生物 生態系の賦存地の改

1 見出し1

1 見出し1

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針 ( 平成二十八年山梨県告示第九十九号 ) 山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針を次のとおり定める 平成二十八年三月二十四日 山梨県知事 後 藤 斎 山梨県世界遺産富士山景観評価等技術指針 ( 趣旨 ) 第一条 この技術指針は 山梨県世界遺産富士山の保全に係る

4. 評価結果の結論予測評価は 5. 予測及び評価 において検討結果を示しているが 小項目ごと ( 最終 ; 二次 ) の予測評価の結果を整理すると表 4-1~ 表 4-3(p4-2~4-13) に示すとおりとなる 会場毎の二次評価においてマイナスと評価される小項目は 大気 生物 生態系 緑 景観

つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

スライド 1

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

(8) 住民等住宅等の居住者又は管理者をいう 説明 このガイドラインで使われている用語のうち 明確にしておかなければならない用語について定義づけしたものです (1) 風力発電設備 とは 風が持つ運動エネルギーを電気エネルギーに変換するための装置の総体をいいます (2) このガイドラインの対象となる発

Microsoft Word - 24_11景観.doc

法 34 条 7 号 既存工場と密接な関連を有する事業の建築物等の用に供する建築行為 提案基準 13 既存工場の事業の質的改善 提案基準 25 工業系ゾーンに位置づけられた区域内の工場 及び提案基準 32 研究施設 における工場又は研究施設の規模及び敷地計画 法 34 条 7 号 立地基準編第 2


目次 ( )

再販入札⇒先着順物件調書

( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

<4D F736F F D2091E E8FDB C588ECE926E816A2E646F63>

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

- -

土地利用計画 土地利用計画面積表 土地利用の区分区分面積 ( m2 ) 比率 (%) 備考 発電施設用地パネル 19, パワーコンディショナー 緑地 5, 計画地面積 24, 太陽光パネル配置図 発電施設計画 発電施設の概要 発電設備規格

News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日

<4D F736F F D A838E738CF68BA48D488E968AC28BAB947A97B68E77906A E646F63>

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4>

2

1

1 吾妻町 平成18年3月27日に東村と合併し東吾妻町になりました 2 六合村 平成22年3月28日に中之条町に編入しました 5.2-2

目 次 第 1 審査概要 本書の位置づけ 審査方式 審査体制... 1 第 2 優先交渉権者決定の手順 参加資格審査 基礎審査 加点審査 優先交渉権者の決定... 6 別紙 1 提案内容の審査項目及び評

(Microsoft Word -

鹿嶋市都市計画法の規定による市街化調整区域における

1 目次 2 背景 目的 指針 設備 整備基準 対策 保守 大会終了後 進捗状況の把握およびフォローアップ / 7

生産緑地制度の概要 市街化区域内の農地で 良好な生活環境の確保に相当の効用があり 公共施設等の敷地に供する用地として適している 500 m2以上 *1 の農地を都市計画に定め 建築行為や宅地の造成を許可制により規制し 都市農地の計画的な保全を図る 市街化区域農地は宅地並み課税がされるのに対し 生産緑

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

Taro-全員協議会【高エネ研南】

3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

神宮外苑地区計画

環境影響評価書 本編 第6章 環境影響評価の結果 6-1-7 電波障害

スライド 1

別紙 Ⅰ 対象事業の概要環境影響評価法 ( 平成 9 年法律第 81 号 以下 法 という ) 第 15 条に基づき 事業者である国土交通省関東地方整備局及び横浜市から 平成 30 年 6 月 22 日に送付のあった環境影響評価準備書 ( 以下 準備書 という ) の概要は次のとおりである 1 事業

Microsoft Word - 宅地造成・区画形質変更の手引

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

<4D F736F F D A6D92E894C A968795FB8E738E738A5889BB92B290AE8BE688E682CC926E8BE68C7689E682CC834B C98AD682B782E9895E97708AEE8F80>

項目ご意見等の概要部会の考え方 ( 案 ) 1 操業中及び猶予中の工場等における土壌汚染状況調査 有害物質使用届出施設等の廃止後の土壌汚染状況調査が実施されておらず かつ 調査の猶予を受けていない土地についても 土地の利用履歴等の報告や土壌汚染状況調査の対象とする規定を設けるべきである 有害物質使用

PowerPoint プレゼンテーション

計画書

Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

参考資料 ( 美祢都市計画区域 ) 目次 1. 区域区分の二次検討 25 23

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)


市町合併という基本的枠組みの変更に対応した 市全域を対象とした計画の見直し 少子高齢化をはじめとする本市を取り巻く社会経済情勢の変化に対応した計画づくり 総合計画や都市計画区域マスタープランなど 上位関連計画との整合 調整の必要性 都市計画マスタープランは 都市計画法第 18 条の 2 に基づいて策

1 見出し1

新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議 ( 第 2 回 ) 東京都提出資料 平成 27 年 8 月 10 日東京都 新国立競技場の整備計画再検討について 1 はじめに 2 新国立競技場の整備について 1 アスリートや観客の視点に立つ アスリートファースト アクセシビリティの確保 2 大会開催

<4D F736F F D AE8A4F8D4C8D9095A CC8A FF38BB52E646F63>

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

第1号様式(第9条第1項関係)

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

< F2D F090E0967B95B C52E6A7464>

3-3 新旧対照表(条例の審査基準).rtf

1. 趣旨この基本方針は 市がネーミングライツの付与に関する事業 ( 以下 ネーミングライツ事業 という ) を実施するにあたり 郡山市広告事業実施要綱 ( 平成 27 年 4 月 1 日制定 )( 以下 実施要綱 という ) 第 19 条 ネーミングライツ スポンサーの募集 に基づき ネーミングラ

金沢都市計画地区計画の変更

平成16年版 真島のわかる社労士

Microsoft Word - 【291220】北千葉構想段階評価書

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

環境影響評価法に基づく基本的事項等に関する技術検討委員会第2回


(Microsoft Word - \201\23203 \201y\216\221\227\2773\201z\217\360\225\266\221f\210\ doc)

tosho_koudotiku

Microsoft Word 電波障害_通し頁_ doc

<955D89BF8F DC58F498CB48D65816A2E786264>

練馬区空き家等対策に関する基本的な方針

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

1

旧(現行)

05+説明資料

基本的な考え方 羽田空港の機能強化は 首都圏だけでなく日本全体にとって不可欠であり 機能強化の必要性やその実現方策等について 関係自治体の協力も得ながら できる限り多くの方々に知って頂くように努める 基本的な考え方 1 羽田空港の機能強化の必要性やその実現方策等について できる限り多くの方々に知って

6. 高速道路 SA PA 等 への充電設備設置事業の説明と提出書類 高速道路 SA PA 等 への充電設備設置事業の 説明と提出書類 事業名 事業内容 申請できる方 高速道路 SA PA 及び道の駅等への充電設備設置事業 ( 経路充電 ) 高速道路 SA PA 等 ( 注 1) におけ

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4>

Microsoft Word - 10.問題Ⅳ-1-用

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

2. 環境影響評価要因の抽出と環境影響評価項目の選定 2-1 環境影響評価要因の抽出 環境影響評価の対象 2020 年東京大会は オリンピックスタジアムを中心とする半径 8km圏内に 射撃 近代五種 ゴルフを除くすべての競技の決勝の会場 選手村 IBC/MPC を配置することによって 施

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設の整備の方針 地区の立地特性を踏まえ 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため 土地利用の方針を以下に定める 1 国際化に対応した業務 商業 宿泊等の多様な機能に加え 氷川神社と連携した江戸文化や赤坂地域の魅力を伝える歴史

資料 3-2

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

untitled


4-(1)-ウ①

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

第 4 章環境要因及び環境要素の抽出

内部統制ガイドラインについて 資料

Microsoft Word - 土砂指導要綱.doc

<4D F736F F D CF8D5888C48C7689E68F91817A948E91BD B8A58926E8BE62E646F63>

<4D F736F F D D E518D6C8E9197BF32816A90858F7A8AC28AEE967B964082C982C282A282C4>

既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

別紙 第 1 対象事業 1 事業者の名称 代表者の氏名及び主たる事務所の所在地名称 :JFE スチール株式会社代表者 : 代表取締役社長柿木厚司所在地 : 東京都千代田区内幸町二丁目 2 番 3 号 2 対象事業の名称 JFE 扇島火力発電所更新計画 3 対象事業実施区域神奈川県川崎市川崎区扇島 1

Transcription:

26 環都環第 104 号平成 26 年 5 月 29 日 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価調査計画書 審査意見書 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価調査計画書 ( 以下 調査計画書 という ) について審査した結果 20 20 年東京オリンピック パラリンピック環境アセスメント指針 ( 実施段階環境アセスメント及びフォローアップ編 ) (25 環都環第 505 号局長決定 ) に規定する意見は 下記のとおりである 東京都環境局長長谷川明 記 第 1 対象事業等 1 実施者の名称及び所在地名称 : 東京都代表者 : 知事舛添要一所在地 : 東京都新宿区西新宿二丁目 8 番 1 号 2 対象事業の名称 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会 3 対象事業の内容 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会に係る 31 競技会場等 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会に係る 50 競技

第 2 意見調査計画書は おおむね 2020 年東京オリンピック パラリンピック環境アセスメント指針 ( 実施段階環境アセスメント及びフォローアップ編 ) に従って作成されたものであると認められる なお 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会実施段階環境影響評価書案 を作成するに当たっては 次に指摘する事項について留意し その記載内容が一層理解しやすいものとなるよう努めるべきである 1 総括的事項 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会は オリンピック競技大会が 2020 年 7 月 24 日 ( 金曜日 ) に開会式が催され 同年 8 月 9 日 ( 日曜日 ) に閉会式が催される また パラリンピック競技大会は 20 20 年 8 月 25 日 ( 火曜日 ) から同年 9 月 6 日 ( 日曜日 ) までとなっている オリンピック パラリンピック競技大会は 37 施設を会場とし オリンピック競技大会は 28 競技 パラリンピック競技大会は 22 競技が計画されている 1990 年代以降のオリンピック パラリンピックムーブメントにおいて 環境は スポーツ 文化と並ぶ 3 本の柱の一つとして位置づけられており IOC は 立候補都市に対して 大会開催に向け選定した全ての競技会場及びメディアセンターについて 環境影響評価を実施することを求めている 東京が 2013 年 1 月に IOC に提出した 詳細な開催計画である 立候補ファイル においては 東京が 2020 年大会開催都市に選定された場合には きめ細かい実施段階環境影響評価を行うことが明記されている これを受けて実施されている 2020 年東京オリンピック パラリンピック環境アセスメント ( 以下 本アセス という ) は 東京都環境影響評価条例に準じて環境アセスメント制度のチェック機能を活用し 大会開催に伴う環境影響の回避 最小化 代償を行うとともに 大会を契機とした東京の持続可能性の向上に資することを目的としている 本アセスでは 東京都内の競技会場 競技及び全体計画を対象とし また 大会の開催前 開催中 開催後について それぞれの環境影響を予測 評価する さらに 社会経済項目についても予測 評価項目としている 調査計画書における調査事項の選定 予測 評価項目及び事項の選定については 施設計画 大会運営計画それぞれについて未確定の部分が多い段階において実施されたものであり 今後 計画の熟度が向上していく過程で 必要に応じて再検討することが求められる 以下に まず 調査計画書全体に関して 考慮されたい観点についての意見を述べ 以降 中項目毎に意見を付すこととする 今後 評価書案策定に当たっては これらの意見も踏まえ内容の充実を図られたい

(1) 本事業は 近年にない大規模なイベントであり 事業計画地の周辺には 多くの住宅 教育施設 福祉施設 医療機関等の環境上配慮すべき施設が存在している このことから 本事業の実施に伴う環境負荷の低減や適切な環境保全のための措置を実施するなど 周辺地域への環境負荷の一層の低減に努めること (2) 本事業は コンパクトな会場配置をコンセプトとし 競技施設の多くが選手村から半径 8 キロメートル圏内に建設されることから 当該圏内において環境への影響が特に懸念される このことから 工事の施工計画を明らかにするとともに 使用する建設機械の種類や台数 工事用車両の走行ルート及び環境保全のための措置等について 評価書案において記載すること (3) 一部の事業計画地について 周辺に住居等が存在しないことから 予測 評価項目として選定しないとしているが 周辺に教育施設 福祉施設 公園等の環境上配慮すべき施設が存在している場合には 必要に応じて予測 評価項目として選定すること (4) 一部の事業計画地について 延床面積 1 万平方メートル未満の仮設施設であることや 既存施設内を一部改修して利用することなどから 予測 評価項目として選定しないとしているが 工事の施工方法や工事期間等が明らかでなく 影響を及ぼすおそれはないとした根拠についての記述も不足している このため これらの施工方法等について明らかにしたうえで 必要に応じて予測 評価項目として選定すること 2 項目別事項 (1) 主要環境 ( 大気等 水質等 土壌 ) ( 大気等 ) 事業計画地の周辺には 工事の施行や大会の開催に伴い 多くの関連車両の走行が考えられることから これらの車両が市街地で待機や違法駐車等をすることがないよう必要な環境保全措置を講じるとともに 関係機関等とも事前に十分協議を行うなど 周辺地域における交通の円滑化 交通安全の確保及び関連車両の走行に伴う環境負荷の低減に努めること 生活環境 ( 騒音 振動 ) 交通 ( 交通渋滞 公共交通へのアクセシビリティ 交通安全 ) 共通 ( 水質等 ) 水泳競技が開催される夏季は 東京都内湾の水質が悪化することも考えられることから 競技会場周辺の公共用水域について 頻度を上げて水質調査を行うなど 夏季における水質の状態を適切に把握すること

( 土壌 ) 廃棄物の埋立地に競技会場を建設する計画があることから 当該予定地に係る土地の履歴等の調査を実施し 必要に応じて予測 評価項目として選定すること (2) 生活環境 ( 騒音 振動 日影 ) ( 騒音 振動 ) 1 事業計画地の周辺には 工事の施行や大会の開催に伴い 多くの関連車両の走行が考えられることから これらの車両が市街地で待機や違法駐車等をすることがないよう必要な環境保全措置を講じるとともに 関係機関等とも事前に十分協議を行うなど 周辺地域における交通の円滑化 交通安全の確保及び関連車両の走行に伴う環境負荷の低減に努めること 主要環境 ( 大気等 ) 交通 ( 交通渋滞 公共交通へのアクセシビリティ 交通安全 ) 共通 2 3 事業計画地の周辺の道路交通騒音は 現状においても環境基準を超えている地点があることから 工事用車両の走行に当たっては 計画的な運行管理 規制速度の厳守 急発進 急加速を避ける等 道路交通騒音の低減に努めること 大会開催中においては 会場設備等 ( 拡声機器 冷房施設 換気設備等 ) の稼動に伴う騒音 振動が生活環境に影響を及ぼすことも予想されることから 必要に応じて予測 評価項目として選定すること ( 日影 ) オリンピックスタジアムの周辺には 日影が生じることによる影響に特に配慮すべき施設等が存在することから 現地調査においては 既に選定している調査地点に加えて 工事の施工計画等が明らかになった段階で 新たな調査地点の追加について検討し 予測 評価すること (3) アメニティ 文化 ( 景観 史跡 文化財 自然との触れ合い活動の場 歩行者空間の快適性 ) ( 景観 ) 1 圧迫感の変化の程度について 建築物の高さが低く圧迫感を生じない場合は 予測事項から除外するとしている しかし 建築物の高さが低い場合であっても 幅広の建築物や 緑地 公園等の開けた空間において新たな建築物が建設される場合などには 圧迫感の程度が変化する可能性もあることから 必要に応じて予測 評価項目として選定すること

2 オリンピックスタジアムは 四周が道路等で囲まれ 会場へのアクセスルートも複数あることが考えられることから 現地調査においては 既に選定している調査地点に加えて 工事の施工計画等が明らかになった段階で 新たな調査地点の追加について検討し 予測 評価すること ( 史跡 文化財 ) 事業計画地及び周辺には多くの指定文化財等が確認されており また 周知されていない埋蔵文化財等が存在する可能性もあることから 既存資料調査に加えて地元教育委員会等関係機関の最新情報を踏まえた調査を行い これらの調査結果に基づき 必要に応じて予測 評価すること ( 自然との触れ合い活動の場 ) 自然との触れ合い活動の場について 会場ごとに位置等を図示するとともに 機能及び利用経路について明らかにし 現況調査全体の結果を踏まえて事業計画や工事施工計画を策定し 予測 評価すること ( 歩行者空間の快適性 ) 現況調査について 既存資料調査のみとしているが 各会場へのアクセスルートの状況等について 必要に応じて現地調査を実施すること (4) 生態系 ( 生物の生育 生息基盤 水循環 生物 生態系 緑 ) ( 生物の生育 生息基盤 ) 現況調査について 既存資料調査のみとしているが 建設工事等による改変が予想される会場については 生物 生態系 と合わせて 現地調査を実施すること ( 水循環 ) 1 地下水の貴重な涵養源である武蔵野台地に立地する会場等について 雨水浸透対策により雨水浸透量を増加させることが可能であることから 必要に応じて予測 評価項目として選定すること 2 施工計画が具体化し 地下掘削や地下構築物を設置する場合 地下水の流動阻害を引き起こす可能性があることから 必要に応じて予測 評価項目として選定すること ( 生物 生態系 ) 1 総括的事項 (4) において指摘したとおり 一部の事業計画地について 延床面積 1 万平方メートル未満の仮設施設であることや既存施設内を一部改修して利用することなどから 予測 評価項目として選定しないとしているが 工事の施工方法や工事期間等が明らかでなく 生物 生態系に影響を及ぼすおそれはないとした根拠についての記述も不

足している このため これらの施工方法等について明らかにしたうえで いったん損なわれると回復が容易でない生物 生態系の特質に鑑み 必要に応じて予測 評価項目として選定すること ( 緑 ) 1 1 総括的事項 (4) において指摘したとおり 一部の事業計画地について 延床面積 1 万平方メートル未満の仮設施設であることから 予測 評価項目として選定しないとしているが 工事の施工方法や工事期間等が明らかでなく 緑に影響を及ぼすおそれはないとした根拠についての記述も不足している このため これらの施工方法等について明らかにしたうえで いったん損なわれると回復が容易でない緑の特質に鑑み 必要に応じて予測 評価項目として選定すること 2 オリンピックスタジアム計画地周辺の明治神宮外苑については 歴史的な経緯を有する場所であるとともに 風致地区であることに鑑み 緑の保全 保護について最大限の配慮をすること なお 現地調査等においては 緑の状況等を把握するほか 樹木等が有する歴史的な経緯や地域社会とのつながりなどについても 慎重かつ丁寧な調査を行うこと 3 緑の状況の調査方法 ( 現地調査 ) については 調査時期 期間を秋の一季とするとしているが 植物が繁茂し 2020 年東京大会が開催される夏季の調査について 検討すること (5) 資源 廃棄物 ( 水利用 廃棄物 エコマテリアル ) ( 水利用 ) オリンピック パラリンピック開催後も施設は存続することから 新設だけでなく既存施設についても 予測 評価項目として選定すること ( 廃棄物 ) 既存資料調査について 2012 年ロンドンオリンピック競技大会のほか 1998 年長野オリンピック競技大会や 2002 年サッカーワールドカップ等の日本で開催された大規模な国際競技大会等における 廃棄物の削減に関する取組についても調査すること ( エコマテリアル ) 大会開催に伴い使用する各種物品類について 他の国際大会における環境配慮型製品の使用状況を調査することを検討すること (6) 温室効果ガス ( 温室効果ガス エネルギー ) ( 温室効果ガス エネルギー共通 ) 仮設施設について 予測の対象時点を大会開催中のみとしているが

大会開催後における仮設施設の扱いが明らかになった段階で 必要な環境保全措置を講じるとともに 大会開催後についても 必要に応じて予測 評価項目として選定すること (7) 土地利用 ( 土地利用 地域分断 移転 ) ( 土地利用 ) 臨海部における会場整備について 将来の土地利用と矛盾しないよう配慮すること ( 地域分断 ) 1 会場等が未利用地に立地の場合 新たな地域分断は生じないとして予測 評価項目として選定していないが 未利用地に分類した土地のなかに 公園等の公共施設が含まれているため 生活動線の分断及び進展について 必要に応じて予測 評価項目として選定すること 2 仮設施設については 一時的なものであり恒常的な地域分断は生じないとしているが 会場設置により一定の負荷を生じるので 開催前の施設の存在について 必要に応じて予測 評価項目として選定すること ( 移転 ) 住居 店舗等の移転が必要となる場合は 関係住民等への情報提供に努めるなど十分に配慮すること (8) 社会活動 ( スポーツ活動 文化活動 ) ( スポーツ活動 文化活動共通 ) 既存資料調査について 1998 年長野オリンピック競技大会や 20 02 年サッカーワールドカップ等の日本で開催された大規模な国際競技大会に関する調査や 民間シンクタンク 区市町村が実施した各種関連調査等についても幅広く情報を収集し その活用を検討すること (9) 参加 協働 ( ボランティア コミュニティ 環境への意識 ) ( ボランティア コミュニティ 環境への意識共通 ) 既存資料調査について 1998 年長野オリンピック競技大会や 20 02 年サッカーワールドカップ等の日本で開催された大規模な国際競技大会に関する調査や 民間シンクタンク 区市町村が実施した各種関連調査等についても幅広く情報を収集し その活用を検討すること

(10) 安全 衛生 安心 ( 安全 消防 防災 衛生 ) ( 安全 ) 大会には 日本国内はもとより 世界各国から様々なアスリートや観客が訪れる 全ての人にとって安全 安心 快適な大会となるよう 点字案内板やピクトグラムなどの図記号を利用した視覚的に分かりやすい案内表示 バリアフリー ユニバーサルデザイン等による物理的障壁の解消に努めること ( 消防 防災 ) 既存施設の耐震性及び防火性に関しては 改修や天井脱落対策等の履歴を把握する等により 安全性を確認すること ( 衛生 ) 大会には 世界各国からアスリートや観客が訪れることから 水道水基準について 他国の基準値との比較調査を行い 東京の水道水の安全性を明らかにすること (11) 交通 ( 交通渋滞 公共交通へのアクセシビリティ 交通安全 ) ( 交通渋滞 公共交通へのアクセシビリティ 交通安全共通 ) 事業計画地の周辺には 工事の施行や大会の開催に伴い 多くの関連車両の走行が考えられることから これらの車両が市街地で待機や違法駐車等をすることがないよう必要な環境保全措置を講じるとともに 関係機関等とも事前に十分協議を行うなど 周辺地域における交通の円滑化 交通安全の確保及び関連車両の走行に伴う環境負荷の低減に努めること 主要環境 ( 大気等 ) 生活環境 ( 騒音 振動 ) 共通 (12) 経済 ( 経済波及 雇用 事業採算性 ) ( 経済波及 ) 1 2012 年ロンドン大会及びその他のオリンピック パラリンピック競技大会において どのような新規ビジネスとビジネス機会が生じたのかについても調査すること 2 首都高速道路の建設等による大規模な経済波及があった 1964 年の東京大会についても調査すること ( 雇用 ) 2012 年ロンドン大会の際 オリンピック関連の雇用は一時的なものが多かったという報告もあることから 大会開催後の雇用について他開催都市の事例も調査すること

( 事業採算性 ) 1 個別の会場毎に予測せず全体計画で予測するとしているが 個別の会場毎にも予測 評価を行うこと 2 環境影響要因として 開催前の 施設の建設 及び開催中の 大会の運営 について選定しているが 新設及び既存 ( 改修 ) の会場等については 開催後も施設が存続することから予測 評価すること