CGM/FGMデータから見る MODDの解説と日常臨床での活用 産業医科大学 医学部 第1内科学講座 准教授 岡田 洋右 先生 血糖変動の指標について 血糖変動を把握するために 実臨床下ではSMBGの値から得られる血糖値の日毎のSD値やVisit to VisitでのSD値を参考 にしています インスリンの頻回注射をされている患者さんでSMBG測定も1日に複数回されているのであれば 日内の測定 値のSD値も確認します 研究目的はもちろん 強化インスリン療法を行っている糖尿病患者さんや 製剤間の違いやライフスタイルに伴う血糖変動を 把握する上では MAGEやMODDといったセンサーグルコースデータから得られる変動指標を参考にしています 糖尿病診療において CGMやFGMを測定できない環境下であっても まずは血糖値のSD値を確認することが 変動を把 握するために重要と考えられます FGMは あくまで変動を捉えるという点において有用なデータとなりますが 実際の血糖値と乖離するケースもあり SMBGを補完するという位置づけであることに注意しなければなりません 日差変動 MODDという指標について 当施設で行った 外来通院中でインスリン療法中の2型糖 尿病患者さんのセンサーグルコースデータからMODDを 用いて日差変動を調べたところ 生活パターンにより日々血 糖プロファイルが異なることがわかってきました 特にインスリン治療をしている患者さんは 日常の多少の 変化においても血糖値の変動がすぐに反映するため この日 毎の変動 日差変動 を知るということは 血糖変動を考慮す るにあたって重要な指標であると考えており これから普及 する指標として期待しています 血糖変動の指標 日内変動に用いられる指標 SD,MAGE について lunch Saturday dinner 24時間において 血糖変動の変動幅の平均を求めた指標 日差変動に用いられる指標 MODD について Friday lunch dinner Saturday lunch dinner Sunday 日々の血糖変動の違いをする指標 日々の血糖変動パターンに関して 同様なパターンが繰り返されているのか否かを判断する指標 SD Standard Deviation MAGE Mean Amplitude of Glycemic Excursions MODD Mean of Daily Difference of Blood Glucose Ceriello A.: Diabetes Metab Res Rev 16 2 125-132,2000より改変 センサーグルコースデータから読むMODD 既に退職された方と 働いている方の1週間分のiPro2の センサーグルコースデータのイメージを用いて説明します 仮に両者が強化インスリン療法をしており 各注射時に10単 位前後投与していた場合で検討してみました ①の症例では 1週間を通してこれだけの量のインスリン を使用していても低血糖 高血糖もなく 血糖コントロールが 24時間を通して また日毎のばらつきで見ても落ちついて いることがわかります ②の症例では 週末では勤務日の平日とは異なり低血糖 高 血糖が起きています CGMやFGMを取ると イメージ図の様に 平日は一定の 運動量が担保されていますが 週末や休みにはライフスタイ ルが変化し 血糖の変動パターンが変わるケースだと考えら れます T2DM症例イメージ 基礎インスリン製剤10単位 超速効型インスリン製剤10-10-10単位 ①退職された方 水 6.27 mg/dl 400 木 6.28 ②働いている方 金 6.29 土 6.30 日 7.01 月 7.02 平均 mg/dl 400 300 火 6.05 水 6.06 木 6.07 金 6.08 土 6.09 日 6.10 月 6.11 平均 平日のみ 300 200 180 100 70 40 Mean±SD 150 ± 25mg/dl MAGE 73.96mg/dl MODD 22.94mg/dl 200 180 100 70 40 Mean±SD 149 ± 50mg/dl MAGE 168.89mg/dl MODD 55.74mg/dl 詳細はQRコード 読 み 取りア プリ にて動 画 解 説を ご参照ください
CGM/FGMデータから見る 血糖変動パターンの読み解き方 神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座 糖尿病 内分泌内科学部門 助教 廣田 勇士 先生 CGMやFGMを活用する意義について 血糖コントロールを評価する際に HbA1cだけでは血糖コントロールの質を把握することはできません 血糖自己測定器で の測定を行い 1日に複数回の血糖測定データを見ることにより情報量が増えますが それでも十分ではないことが実臨床下 ではよくあります 特に 就寝中の時間帯は 血糖の変化を把握しにくい時間が長く続きます 隠れた血糖変動をすべて明らかにするために CGMやFGMを行っています 血糖変動を理解することは 低血糖を減らし 高血糖を減らす 質の高い血糖コントロール を 目指すことに繋がります 実際に血糖の日内変動がより大きいことが 糖尿病合併症(糖尿病神経障害)の進展につながる可能 性を示唆する報告があります1 また 日差変動が大きいことが 低血糖リスクの増大につながる可能性を示唆する報告2 3 も あり 私は血糖変動を意識した治療介入は重要なポイントだと考えております CGMやFGMを活用する対象としては 特に血糖変動が大きく現れやすい1型糖尿病患者さんが対象として挙げられると思 います また 2型糖尿病患者さんでは インスリン治療やSU薬による治療を行っており 低血糖を来たしている可能性のある 患者さんには積極的に活用していくべきであると考えられます 1 Xu F, et al.: Diabetol Metab Syndr 6 1 139, 2014 2 Niskanen L,et al.: Diabetes Res Clin Pract 86 2 e-15-e18, 2009 3 Zinman B,et l.: Diabetologia 61 1 48-57, 2018 センサーグルコース値について CGMとFGMの違いについて ①SMBGの測定値は血液中の糖濃度 血糖値を測定しているのに対して CGMやFGMでは 間質液中の糖濃度を測定しております ②血糖値 BG とセンサーグルコース値 SG は 10分程度の時間差があります 共通 センサーを一定期間留置して 皮下の間質の糖濃度を測定 センサーグルコース値 血糖値 1 両者の比較として異なる点は センサーの使 用期間です ipro2では6日間の測定が可能で FGMでは14日間の測定が可能です 2 SG 血液中の グルコース BG 間質液中の グルコース ipro2 FGM センサ試用期間 6日 14日 同じ曜日が2回 較正 12時間に1回以上 不要 ポイント数 5分に1点 15分に1点 食後解析 可 不可 解析タイミング 2週以内 いつでもOK 共通の問題点 皮膚トラブル 早期脱落 データ欠損 廣田 勇士 糖尿病の最新治療. 9(2): 61-67,2018より作成 CGM/FGMから得られるデータを読む際の手順 CGMやFGMの解析手順に ついて紹介します 最初に夜間 帯 の 血 糖 推 移を確 認し そ の 後 日中の血糖推移を確認しま す その中で 低血糖の評価 低血糖に対する対処法を優先 的に考えます 次に高血糖につ いての評価 対処法を検討して いきます CGM/FGM解析の手順 ①低血糖事象 夜間の評価 日中の評価 まず低血糖の評価 処置を優先 低血糖が確認された場合は まずその対応を行う 低血糖が確認されない場合は 高血糖についての評価を行う ②高血糖事象 変更幅を考慮 患者さんのCGM/FGMデータに低血糖が見られない場合 あるいは低血糖事象に対する対応が行われた後に 高血糖への対応を行う 確認された事象に対して適切に対応を行い その後は再度確認していく 治療調整は CGM/FGM実施ごとに1 2 つ 詳細はQRコード 読 み 取りア プリ にて動 画 解 説を ご参照ください ランタスXRの用法及び用量 通常 成人では 初期は1日1回4 20単位を皮下注射するが ときに他のインスリン製剤を併用することがある 注射時刻は毎日一定とする 投与量は 患者の症状及び検査所見に応じて増減する なお その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は 通常1日4 80単位である ただし 必要により上記用量を超えて使用することがある ランタスXRの用法及び用量に関連する使用上の注意 一部抜粋 3 他の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合 以下を参考に本剤の投与を開始し その後の患者の状態に応じて用量を増減するなど 本剤の作用 特性 薬物動態 の項参照 を考慮の上慎重に行うこと 2. 重要な基本的注意 の項参照 1 インスリン グラルギン100単位/mL製剤から本剤に変更する場合 通常初期用量は 前治療のインスリングラルギン100単位/mL
HbA1c 8.5% 69mmol/mol 126 70 350 mg/dl 300 250 200 150 100 50 0 03 00 05 00 07 00 09 00 11 00 13 00 15 00 17 00 19 00 21 00 23 00 01 00 03 00 10 90 25 75 OK 10 OK
SAJP.TJO.18.03.0681