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42 HBs 抗原陽性で HBe 抗原陰性の変異株が感染を起こした場合は, 劇症肝炎を起こしやすいので,HBs 抗原陽性 HBe 抗原陰性血に対しても注意が必要である. なお, 透析患者では, 感染発症時にも比較的 AST(GOT),ALT(GPT) 値が低値をとること,HCV 抗体が出現しにくいこ

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Ⅶ. カテーテル関連血流感染対策血管カテーテルに関連して発生する血流感染であるカテーテル関連血流感染は 重要な医療関連感染の一つである 他の感染巣からの 2 次的な血流感染は除外される 表 1 カテーテル関連血流感染における微生物の侵入経路侵入経路侵入機序カテーテル挿入部の汚染挿入時の微生物の押し込

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2006 年 5 月 26 日放送 ICT ラウンド時の事例集 崇城大学薬学部医療薬剤学研究室教授 瀬尾量 ICT ラウンドの有効性と実施の現状 本日は ICT ラウンド時の事例集 というタイトルでお話しします 私は 2 ヵ月前まで 病院 薬剤部に勤務し ICD として感染対策委員長を務めていました

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重症急性呼吸器症候群 (SARS) 削除. 新興感染症対策を Xに新設. 5. ウエストナイル熱 空気感染する可能性があり, かつパンデミッ これらは改定版 2 刷発行当時 (2004 年 ), クになった際の透析施設の対応を Xに移行. 新興 再興感染症として問題とされてい 4. ウ

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第 5 条保健所長は 必要に応じ 巡回指導を行い 営業施設の設置状況等の把握に努めるものとする 2 保健所長は 前項の調査の結果 別表に定める基準に適合しないと認めるときは 営業者等に対し 必要な措置を講ずるよう指導し 又は勧告するものとする 附則 この要綱は 平成 15 年 4 月 1 日から施行

2. トイレの後には必ず手洗いをしましょう! 調査から 15.4% の方がトイレの後に手を洗わないことがあるという結果が得られました ( 小便後又は大便後に手を洗うのどちらかを選択しなかった方 どちらも選択しなかった方 トイレで手を洗わないを選択した方 の合計 ) Q10 特にこれからの季節に流行す

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1 項目 内容事項 有 無配点得点有 無配点得点有 無配点得点有 無配点得点 1) 挨拶励行 気持良い挨拶励行の 1 実施 ) 疾病管理 健康診断 : 年 1 回 2 検便 : 年 2 回以上実施しているか ) 4) 5) 6) 製造室入室手洗い 消毒 製造室入室ローラー

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Transcription:

第 1 回東北感染制御ネットワークフォーラム 感染制御ベーシックレクチャー Q&A 感染制御におけるキーポイント 施設内ラウンドのチェックポイント ~ リスク評価に基づく対応 ~ 東北大学大学院内科病態学講座感染制御 検査診断学遠藤史郎

本日の予定 実際のラウンドに際して 施設内ラウンドのチェックポイント 病院の場合 診療所の場合 介護施設の場合

平成 16 年 9 月 3 日朝日新聞 平成 14 年 1 月 18 日朝日新聞 平成 20 年 6 月 13 日産経新聞

院内ラウンド 評価 / 計画 ラウンドによるリスクチェック 問題把握 改 善

ラウンドにおける留意点 1 過去に推奨され 現在は効果が疑問視されている対策環境のホルマリン薫蒸 ( 但し炭疽菌テロには実施 ) 粘着マット 臨床的なエビデンスはないが推奨されている対策結核患者に対する N95 マスク VRE 対策としてのガウン着用足踏み式ごみ箱 ゾーニング 整理整頓 専門家によって異なる意見 ( エビデンス ) がある対策 MRSA 患者の個室隔離 MRSA スクリーニング クロストリディウムディフィシル ノロウイルスと速乾性アルコール手指消毒薬 臨床的なエビデンスはなく 施設によって判断の異なる対策自動手洗い設備 病室のカーペット 指輪 時計 ナースキャップ

ラウンドにおける留意点 2 医療施設は患者からの医療費のみで運営されている 診療が第一であり 対策の有用性の優先順位をつける必要がある ラウンドは現場の意見に耳を傾ける姿勢で行なう リスクはゼロにはならないことも理解しておく必要がある

本日の予定 実際のラウンドに際して 施設内ラウンドのチェックポイント 病院の場合 診療所の場合 介護施設の場合

病院におけるラウンドのポイント スタッフステーション 手洗い設備 水まわり 薬液調剤台 薬液管理など 汚物処理室 手洗い設備 PPE の設置 使用状況 処理室内での導線など 内視鏡室 消毒薬の管理 換気の状態 PPE の使用状況 外来 咳エチケット トリアージ PPE の設置 使用状況など

スタッフステーション ~ 手洗い設備 ~ シンクの大きさは十分? シンク周囲は整理されているか? シンク周囲は乾燥している? 液体石鹸の設置 ペーパータオルの設置および設置状態

シンクの大きさは十分? シンク周囲は整理されているか? シンク周囲は乾燥している? 液体石鹸の設置 ペーパータオルの設置および設置状態 タワシ スポンジの管理

スタッフステーション ~ 水まわり ( 手洗い以外のシンク )~ 水まわりでは微生物の増殖のリスクがある 乾燥を保つことが重要 共用する物品の清潔や消毒にはとくに注意する

スタッフステーション ~ 点滴調剤台 ~ 調剤台の整理整頓 周囲のスペース 速乾性アルコール手指消毒薬の設置 アルコール綿の管理状況 シャープスコンテナ

清潔な点滴台

調剤台の整理整頓 周囲のスペース 速乾性アルコール手指消毒薬の設置 アルコール綿の管理状況 シャープスコンテナ

スタッフステーション ~ 適切な薬液保管のチェック ~ 冷蔵品は冷蔵してあること 用時調製品などが作り置きされていないか 吸入液 注射液などリスクのある共用物品がないか 使用期限が守られているか 冷蔵温度が保たれているか

平成 20 年 6 月 13 日産経新聞

汚物処理室 ( 尿 便を扱う場所 ) ノロウイルスや O157 デフィシル菌 多剤耐性菌の伝播リスクが い場所 袋とガウン ( エプロン ) を着 着 したまま汚物処理室の外へ出ない 汚物処理後の確実な 洗い 流水手洗い設備があること 液体石鹸の設置 ペーパータオルの設置および設置状態 手袋 エプロンの設置および使用状況 尿計量 オムツ廃棄や秤において患者動線が重なる場合の交差感染の防止

内視鏡検査室 専任の内視鏡管理者の有無 消毒薬濃度チェックの記録 検査時の手袋 ガウンの装着と整備 消毒時の手袋 ガウンの装着と整備 1 回毎の消毒 漏水検知 ブラッシング 薬液濃度管理 清潔な保管 超音波内視鏡など自動洗浄消毒器が使用できない内視鏡の消毒と保管 内視鏡検査室の換気状態

外来 手洗い設備 水まわり 調剤台 薬剤管理 一次消毒 外来での咳エチケットポスターの掲示とトリアージの実施 外傷時になどにおける個人防護具 (PPE) の整備 ネブライザー管の消毒と滅菌 散瞳薬など共用する検査薬の管理

サーシ カルマスク 成 供 の衛 指導 パネル テッシュヘ ーハ ー

本日の予定 実際のラウンドに際して 施設内ラウンドのチェックポイント 病院の場合 診療所の場合 介護施設の場合

待合室尿検査場所レントゲン室採 場所 A 医院, 昭和 42 年開業 検査室 診察室 レントゲン室 待合室受付調剤 WC 手洗い 針廃棄箱検査室 回り滅菌器

診療所におけるラウンドのポイント 受付窓口 待合室 咳エチケットのポスター掲示など 診察室 手指消毒剤の設置状況 手洗い設備など 採血場 手袋の使用 血液飛散状況など トイレ ( 採尿 ) 手洗い設備など

受付 待合室 感染症患者の地域における最初の受け入れ先である 隔離するスペースが無い 咳エチケットなどのポスター掲示

診察室 手指衛生が行えるか? リスクは多い? 少ない?

採血場所 診療所の中では比較的リスクが潜んでいる場所である 注射器はディスポーザブルを使用している アルコール綿の管理 採血時の手袋の使用 針捨てボックス

トイレ 流水による手洗い設備 ペーパータオルの設置 液体石鹸の設置

本日の予定 実際のラウンドに際して 施設内ラウンドのチェックポイント 病院の場合 診療所の場合 介護施設の場合

河北新報平成 20 年 8 月 25 日

高齢者介護施設とは? ~ 感染管理の視点から 抵抗力の弱い高齢者集団生活する場所感染管理の知識を学ぶ機会が少ない 感染症が広がりやすい場所 平成 16 年度厚生労働科学研究費補助金 ( 厚生労働科学特別研究事業 ) 高齢者介護施設における感染管理のあり方に関する研究一部改変

世の中の流れは 院内感染 Nosocomial infection 医療関連感染 HAI: healthcare associated infection 介護施設は MRSA のリザーバーになりうる可能性がある MRSA をコントロールしていくためには病院と介護施設との間での共同的な戦略が必要である Infect Control Hosp Epidemiol 2007; 28:853-859

高齢者介護施設の多くは 安定した経営を行っていくためには経費の問題は避けて通れない ( 現場の声は ) 感染対策をしなければならないと言う事は 分かってはいるが 現状では感染対策に回せる予算の問題が

介護施設内ラウンドのポイント 1. 療養ユニット ( ユニット入り口 ユニット内部 手洗い場 ) 家族などの外来者への周知と協力の要請 入居者の共用スペースにおける清潔保持に努める 2. 詰所 ( 周辺の棚 作業台 保管庫 ) 清潔 不潔の区分け 薬品 器材の整理整頓 清潔保持 3. 居室 ( 洗面所 トイレ ) 清潔の保持 共用部分の整理整頓 清潔保持 4. 汚物処理室 整理整頓 清潔保持 5. 医務室 感染性医療廃棄物の保管と処理を確実に行う 機器 薬品の適正使用と清潔保持に努める 6. その他 ( 洗濯場 リネン庫 物品庫 ) 清潔物品を適正に保管し 汚染物との交差を避ける ( 高齢者介護施設における感染対策マニュアル厚生労働省東北厚生局東北大学感染管理室 )

トイレ 確実な手洗いが求められる 不十分な手洗いは集団感染の発端

汚物処理室 便 尿 ノロウイルスや 0-157 ディフィシル菌 多剤耐性緑膿菌 その他耐性菌の伝播リスクが高い 流水手洗い設備があること 液体石鹸の設置 ペーパータオルの設置及び設置状況 手袋 エプロンの設置及び使用状況

まとめ 1 過去に推奨され 現在は効果が疑問視されている対策 環境のホルマリン薫蒸 ( 但し炭疽菌テロには実施 ) 粘着マット 臨床的なエビデンスはないが推奨されている対策 結核患者に対する N95 マスク VRE 対策としてのガウン着用足踏み式ごみ箱 ゾーニング 整理整頓 専門家によって異なる意見 ( エビデンス ) がある対策 MRSA 患者の個室隔離 MRSA スクリーニング クロストリディウムディフィシル ノロウイルスと速乾性アルコール手指消毒薬 臨床的なエビデンスはなく 施設によって判断の異なる対策 自動手洗い設備 病室のカーペット 指輪 時計 ナースキャップ 医療 介護施設は患者 入居者からの医療費 施設利用料のみで運営されている 診療 介護が第一であり 対策の有用性の優先順位をつける必要がある ラウンドは現場の意見に耳を傾ける姿勢で行なう リスクはゼロにならないことを理解しておく必要がある

まとめ 2 1, 処置 介護時における 洗いの励 2, 調剤時における交差感染防 3, 汚物処理時における交差感染防 4, 職業感染防 処置調剤汚物

ご静聴有り難うございましたご質問はいつでもどうぞ ain@mail.tains.tohoku.ac.jp 日々の基本的な対策の積み重ねが重要