温度 平成 23 年平均平成 23 年最高平成 23 年最低平均気温 ( 平年値 ) 最高気温 ( 平年値 ) 最低気温 ( 平年値 ) 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 1 生育期間中の気温推移 ( 淡路農技内 ) 降水 3 量

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Transcription:

1. 対象品目キャベツ 実証試験結果報告書 2. 課題名レタス後マルチトンネルを利用した 4 5 月どり寒玉系キャベツ生産技術の確立 3. 目的淡路地域は, 冬季温暖な気象条件を利用して秋から翌春にかけてレタスの2 期作が行われている しかし 同一圃場での長年の作付けにより ビッグベイン病などの連作障害が多発し生産性の低下が危惧される そこで レタスの連作を避け輪作を進めるため 年内穫りレタス収穫後のトンネルを利用した後作の品目として端境期の4 月中旬 ~5 月どり寒玉系キャベツに着目し 生産技術の確立とレタス並みの所得 3 万以上をめざす 4. 実証機関名及び実施場所 (1) 実証機関名 : 兵庫県立農林水産技術総合センター (2) 実証場所 : 南あわじ市八木養宜中 56-1 淡路農業技術センター 5. 試験方法 (1) 試験区の構成試験区 ( 規模 ) 4a 技術項目 1 品種 YR- 春空 中早生 2 号 中生かんらんSE 中生かんらんSE 2 トンネル トンネル トンネル トンネル なし 3 マルチ マルチ マルチ マルチ なし (2) 耕種概要土質 : 埴壌土 前作物 : レタス ( マルチトンネル栽培 ) 播種 :21 年 11 月 2 日 育苗 :128 穴 定植 :211 年 1 月 12 日栽植密度 : 畝間 13cm 株間 35cm 2 条植え (4,4 株 /1a) 施肥法 : 定植時 : 複合硝燐加安 (15-1-1)22gを株元穴肥施用 定植 5 日後 : 同肥料 13gを株間に穴肥施用 定植 8 日後 : 窒素加里化成 (18--18)4kg/1aを谷施用トンネル管理 : 定植時から3 月 25 日まで全閉 以降は裾換気とし4 月 5 日に被覆除去 (2) 試験期間中の気象概要前作のレタスを年内に片付け 年明けから2~3mmの降雨を受けマルチ内に水分が浸透してから1 月 12 日定植した それ以降約 1か月間降雨がなかったが 2 月上旬からは5mm 以上の降雨の日が5 回あり 乾燥傾向は解消された 1 月は 最低気温が氷点下になる日が多く 2 月に入ってからは温暖な日が続いた 2 月 14 日の昼間に1mm 近い積雪があり 低温障害が心配されたがキャベツに被害はみられなかった 3~4 月は低温で推移し 3 月下旬 ~4 月中旬までは降雨も尐なく乾燥した影響で生育が停滞し また 石灰欠乏症の原因となった 4 月中旬以降はまとまった雨があり 生育が一気に進んだ 5 月 29 日には台風 2 号の影響で151mmの降雨があったが 収穫直前のに大きな影響はなかった ( 図 1 図 2) 1

温度 3 25 2 15 1 5-5 平成 23 年平均平成 23 年最高平成 23 年最低平均気温 ( 平年値 ) 最高気温 ( 平年値 ) 最低気温 ( 平年値 ) 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 1 生育期間中の気温推移 ( 淡路農技内 ) 6 2.5 5 4 降水 3 量 ( m 2 m 平成 23 年 ) 1 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 2 生育期間中の降水量の推移 ( 淡路農技内 ) 2

: 2: 4: 6: 8: 1: 12: 14: 16: 18: 2: 22: : 2: 4: 6: 8: 1: 12: 14: 16: 18: 2: 22: 35 3 25 温度 2 ( 15 ) 1 5 トンネル温度 ( ) 外気温 ( ) トンネル湿度 (%) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 湿度 ( % ) 図 3 トンネル内の温湿度 ( 平成 23 年 2 月 22 日 ) 35 3 25 温度 2 ( 15 ) 1 5 トンネル温度 ( ) 外気温 ( ) トンネル湿度 (%) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 湿度 ( % ) 図 4 トンネル内の温湿度 ( 平成 23 年 3 月 2 日 ) トンネル内の温度は 気温の低かった 2 月 22 日 ( 平均気温 :5.2 最高気温 :8.8 最低気温 : -.2 ) では 夜間のトンネル内と外気温との温度差は小さいが 日中の温度差は大きく 平均で 8.5 高く推移した また 湿度は夜間 6~9% 日中 3~5% の範囲で推移した ( 図 3) トンネル被覆により 特に厳寒期の日中の保温効果により 生育の前進につながると考えられた 比較的気温の高くなってきた 3 月 2 日 ( 平均気温 :12.4 最高気温 :18.3 最低気温 :5.6 ) では一日を通してトンネル内と外気との温度差は小さくなった ( 図 4) 3

6. 実証試験の結果 (1) 生育状況 2 月 27 日の生育調査では トンネル マルチをした区の中では の 中生かんらんSE が最も葉数 株張り 最大葉長が大きくなり YR- 春空 がそれに続いた YR- 春空 の最大葉幅は最も大きくなった 中早生 2 号 は その中では最も生育が遅かった の 中生かんらんSE の露地栽培はトンネル マルチ栽培に比べて生育が遅れてはいるが 順調な生育を示した ( 表 1) 表 1 生育状況調査 (2 月 27 日 ) 試験区 ( 規模 ) 技術項目 4a 1 品種 YR- 春空中早生 2 号中生かんらん SE 中生かんらん SE 2 トンネルトンネルトンネルトンネルなし 3 マルチマルチマルチマルチなし葉数 ( 枚 ) 9.8 7.4 1.6 6.2 株張り (cm) 3.1 24.8 38.9 12.2 最大葉長 15.2 13.7 2.8 7. (cm) 幅 14.3 8.8 13.2 4. 4

(2) 収穫物調査結果の YR ー春空 がもっとも早く 4/25から収穫できた 中早生 2 号 も同じく4/25から収穫できたが 石灰欠乏症が多発した また 形状が春系だったため春キャベツとして出荷した の 中生かんらんSE は の YR- 春空 と比べ収穫時期は14 日遅れ 5/8からの収穫となったものの 結球重と収量で最も優れ 端境期どりに十分適した との比較では マルチとトンネルの有無では収穫時期が22 日前進したが 玉の詰まり具合に関してはで最も優れた 表 2 収穫物調査 試験区 ( 規模 ) 技術項目 4a 1 品種 YR- 春空中早生 2 号中生かんらん SE 中生かんらん SE 2 トンネルトンネルトンネルトンネルなし 3 マルチ マルチ マルチ マルチ なし 収穫日 ( 月 / 日 ) 4/25~4/3 4/25~4/3 5/8~5/13 5/3~6/2 結球重 (g) 1,441 1,514 1,834 1,641 球高 (cm) 11.9 17. 13.6 14.7 球径 (cm) 18.6 16.8 19.7 16.8 球形指数 ( 球高 / 球形 ).64 1.1.69.88 結球緊度 (g/cm 3 ).67.61.67.76 芯長 (cm) 6.9 7.7 9.9 8. 収量 (kg/1a) 5,72 5,329 6,456 5,776 写真 ( 収穫直前 ) 5

写真 ( 収穫直前 ) 収穫物の写真 6

(3) 経営収支 農業経営指標 ( 実績 1a 当たり ) 栽培品目 : 作型 : 慣行 4 月下旬穫り春空トンネル マルチ 4 月下旬穫り中早生 2 号トンネル マルチ 5 月上旬穫り SE トンネル マルチ 6 月上旬穫り SE 露地 ( 単位 ) 収穫量 kg 5,72 5,329 6,456 5,776 単価 1 /kg 9 8 8 6 粗収入 1 456,48 426,32 516,48 346,56 経営費 2(=3+4) 生産費 3 種苗費 17,325 17,325 167,825 239,76 6,325 6,325 57,825 57,825 24,24 24,24 21,74 21,74 肥料費 25,63 25,63 25,63 25,63 農薬費 1,455 1,455 1,455 1,455 諸材料費 農用建物 ( うち減価償却費 ) 農機具費 ( うち減価償却費 ) 光熱水費 その他 出荷 調製費 4 2 出荷資材費 11, 11, 11, 181,251 65,846 出荷 運搬費 76,243 出荷手数料 39,161 その他 農業所得 5(=1-2) 286,155 255,995 348,655 17,484 所得率 6(=5 1 1) % 62.7 6. 67.5 31. 労働時間 7( 別紙 5 の数値を記載 ) 時間 125.5 125.5 125.5 92.5 1 時間当たり労働報酬 5 7 2,28 2,4 2,778 1,162 1 出荷単価は過去 3 年の平均単価より算出 2 の出荷調整費に関しては鉄コンテナ出荷のため 一律で 11 万 所得に関しては 試験目的であるレタス並みの 3 万以上をほぼ達成することができた レタス後のトンネルマルチを再利用するため 資材費が抑えられ 畝立てとマルチをする作業時間がなくなっている 7

(4) 作業内容と労働時間 主な作業内容と作業時間 (1a 当たり ) 生産に係る作業時間 ( 単位 : 時間 ) 慣行 育苗播種 3 3 3 3 管理 9.8 9.8 9.8 9.8 本圃準備施肥 3 3 3 4 耕うん ほ場準備 5 本圃管理定植 16 16 16 16 管理 8 8 8 3 防除 3.2 3.2 3.2 3.2 後片付け 37 37 37.5 小計 1 8 8 8 44.5 出荷 調製に係る作業時間 ( 単位 : 時間 慣行 収穫 荷造り 22 22 22 23.2 出荷 23.5 23.5 23.5 24.8 小計 2 45.5 45.5 45.5 48 作業時間の合計 1+2(=7) 125.5 125.5 125.5 92.5 7. 考察 (1) 普及の見込み前作のレタスの収穫が12 月 2 日と遅くなり 残さの片付け作業等で定植が1 月 12 日とやや遅れたが その後の生育は順調での露地栽培に比べトンネル マルチ栽培での生育促進効果が現れ 4 月下旬収穫が可能となり レタスに代わる輪作作物としての収益の確保が期待できる (2) 残された課題レタス後作での適正な施肥量 省力的な施肥方法の検討 (3) 今後の取組みレタス後作での適正な施肥量 省力的な施肥方法の検討 8

8. 協力機関等の意見 (1) 試験研究機関 (2) 都道府県の普及関係機関 ( 南淡路農業改良普及センター ) レタスの連作障害を防ぐ対策として 本キャベツの輪作は有望な技術である (3) 実需者 (JAあわじ島 神果神戸青果株式会社を通じて) この度 販売したトンネルマルチ栽培の YR- 春空 は 露地物より一回りボリュームがあり 品質が安定していた 特に 本年度の気象背景からするとトンネル栽培の 中生かんらんSE より扁平で葉肉が詰まっていた 5 月の1 日前後から出荷してもらえれば市場としても 非常に有り難い 実需者の評価としても 形状がよいということで次年度の栽培と出荷をお願いしたいとのことだった 本年度の品質であれば 青果としても加工業務筋でも販売していきたい思う 次年度は ぜひとも栽培と出荷量の増量をお願いする 9. 検討委員会委員の意見本実証試験は 生産を不安定にしているキャベツの抽台をトンネルを利用して防止し 端境期の安定生産を目指すものである レタスで使用したトンネルやマルチ資材を再利用することで加工 業務用生産で求められる低コスト生産も可能になる 今回の試験では トンネルとマルチを利用することにより慣行露地栽培の 中生かんらん SE に比べて YR 青春 が 35 日早い 4 月 25 日から 中生かんらん SE は 22 日早い 5 月 8 日から収穫できることを実証し 所得も当初に目指したレタス並みの 1a 当たり 3 万をほぼ達成した これらの品種は加工 業務用としての品質も高く 実需者からの高い評価を得ることができた また キャベツの導入は 普及センターが指摘しているように当産地で問題となっているレタスビッグベイン病の防止対策にもなることから 本技術が確立されれば産地への普及 定着が進むものと期待される 露地栽培やべたがけ資材等の簡易被覆のみで寒玉系キャベツを 4~5 月に安定生産できる産地は 冬季温暖な一部の地域に限定されるのに対して トンネルを利用できれば安定生産の可能な地域が大幅に広がるもので 本技術を確立することの意義は大変大きいといえるであろう 本実証試験における当面の技術的課題は トンネル マルチ栽培の適品種を明らかにすることであるが 今後はさらに出荷期別の播種適期もしくは適品種 省力 低コスト化を図る視点からセル苗基肥利用の検討やトンネル管理の目安となる温度管理モデルの作成を目指してもらいたい 加工 業務用野菜に対する実需者ニーズの一つは 安定供給で 産地側にはスポット的ではなく一定期間安定して供給できる生産技術の構築が求められる 4 5 月どり寒玉系キャベツ産地は 4 月中旬から 5 月まで切れ間なく出荷するための生産技術確立が必要で 本試験においてはさらに 4 月中旬及び 5 月上旬に出荷できる播種期の選定もしくは品種の導入が必要で 今後の検討を要する課題であろう トンネル栽培に適する品種としては 加工 業務用適性の高い品質と晩抽性を併せもつことに加えて これまで育種であまり考慮されなかった高温 多湿条件下で胚軸が伸びにくいといった特性も重要になる トンネル栽培では トンネル内が露地栽培に比べて高温 高湿度になるために胚軸が伸びやすい 胚軸が伸びると 株が倒伏しやすくなるとともに 葉の巻きが緩い締まりの悪い球になり 加工 業務用で重視される歩留まり率が低下する このようなことから品種の選定に際しては 胚軸の伸長についてもチェックする必要がある 本実証試験では 基肥に加えて追肥を 2 回 計 3 回施肥を実施した 千葉県における試験では セル成形苗の培養土に基肥を施用するセル苗基肥のみで十分な収量が得られており 省力 低コスト化を図る手段として当地においても今後検討すべき課題と考える また キャベツの生育に応じたトンネル管理の目安となる温度管理モデルの作成を目指してもらいたい キャベツは 緑植物春化型植物で ある大きさになった株が 低温に一定期間遭遇すると花芽分化し その後高温 長日で花芽の発育 抽台が促進される 一方 花芽分化前の高温は 低温による春化効果を消去する作用があると考えられ これらの視点に立脚した温度管理モデルの作成が望まれる 温度管理モデルの作成は トンネルを利用した寒玉系キャベツ 4~5 月どり産地の拡大を強力に推し進めるものとなるであろう ( 川城英夫 ) 9