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T76190 建設材料工学 演習問題の解答 解説 第 3 章セメント / 第 10 章特殊なセメント 1. (1) : プレストレストコンクリートには プレストレス導入のための強度確保のため 高強度で早強性のコンクリートが要求され 早期の強度発現の観点から早強ポルトランドセメントが比較的多く利用されている (2) :C 3 S や C 3 A の含有量を減らして水和熱の低減を図った中庸熱ポルトランドセメントは ダムなど温度による悪影響が問題となるマスコンクリートに使用される (3) : 高炉スラグを多量に混和した高炉セメントは 耐海水性 水密性 化学抵抗性 アルカリシリカ反応抑制効果にすぐれた特性を有している (4) : 寒中コンクリートでは 初期凍害を防止するために初期強度を確保する必要があり 一般的には早強セメントや普通セメントが使用され フライアッシュセメントのような初期強度の小さいセメントが使用されることは極めて少ない 2. (1) : ポルトランドセメントの全アルカリは JIS では 0.75% 以下と規定されている (2) : ポルトランドセメントの塩化物イオンは JIS では普通セメントで 0.035% 以下 その他のセメントで 0.02% 以下と規定されている (3) : 中庸熱セメントは C 3 S と C 3 A の含有量を減らしたものであり JIS ではそれぞれ 50% 以下 8% 以下と規定されている (4) : 低熱セメントは C 2 S の含有量を増やし C 3 A の含有量を減らしたものである JIS ではそれぞれ 40% 以上 ( 下限値 ) 6% 以下と規定されている 3. (1) : フライアッシュセメント B 種の混合材分量は 10% 超 20% 以下 高炉セメント B 種の混合材分量は 30% 超 60% 以下と規定されている (2) : 高炉セメント B 種の比表面積は 3000cm 2 /g 以上 普通セメントは 2500cm 2 /g 以上と規定されている (3) : 前出 (4) : 前出 4. 早期強度に寄与する C 3 S の割合は 早強 > 普通 > 低熱の順 長期強度に寄与する C 2 S の割合は 低熱 > 普通 > 早強の順で大きくなる また 高炉セメント B 種の初期強度は低熱セメントよりは大きいが 普通セメントよりは小さく また 長期強度は普通セメントよりも大きい よって A: 早強 B: 普通 C: 高炉 B 種 D: 低熱 解 -1

演習問題 解答 5. (1) :JIS ではセメントの水和熱測定方法として溶解熱法を規定している これは 未水和セメントと水和セメントを酸液に完全に溶解し その溶解熱の差から間接的に水和熱を求める方法である (2) : セメントクリンカー化合物の水和熱への影響は C 3 A C 3 S C 2 S C 4 AF の順で大きくなる C 2 S を少なくし C 3 S を多くすれば 水和熱は大きくなる (3) : 中庸熱セメントは 7 日で 290J/g 以下および 28 日で 340J/g 以下 低熱セメントは 7 日で 250J/g 以下および 28 日で 290J/g 以下と規定されている (4) : 高炉スラグの分量を多くすると 相対的にポルトランドセメントの分量が減少し 水和熱に寄与する C 3 S と C 3 A の割合も減少する 6. (1) : 低熱ポルトランドセメントのモルタルのレオロジー定数は 降伏値が著しく低いが 塑性粘度の減少はさほどでもない よって 高流動コンクリートに求められる高い流動性および材料不分離性という観点に合致したセメントである (2) : 舗装コンクリートは乾燥収縮によるひび割れを抑制する必要がある 中庸熱セメントは乾燥収縮に影響を及ぼす C 3 A や C 3 S の割合が小さいため それに適している (3) : 高炉セメントは 長期強度は大きいが初期強度は小さいので 緊急工事には用いられない (4) : フライアッシュセメントは乾燥収縮や水和熱が小さいため ダムなどのマスコンクリートに使用される 7. 早期強度発現に寄与する C 3 S の割合は 早強 > 普通 > 中庸熱 > 低熱の順で大きくなる 長期強度発現に寄与する C 2 S の割合は 低熱 > 中庸熱 > 普通 > 早強の順で大きくなる 水和熱に寄与する C 3 A の割合は 低熱セメントで 6% 以下 中庸熱セメントで 8% 以下と規定されている よって (a) 普通 (b) 中庸熱 (c) 低熱 (d) 早強 8. (1) : 普通セメントの密度は 3.15g/cm 3 程度であるのに対し 高炉スラグ微粉末とフライアッシュの密度は それぞれ 2.90g/cm 3 および 2.25g/cm 3 程度である よって, 普通セメントを それより密度の小さい高炉スラグやフライアッシュで置換したセメントの密度は 普通セメントよりも小さくなる (2) : 言うまでもない (3) : 海水や土壌中の硫酸塩は 水酸化カルシウムやアルミン酸三カルシウム (C 3 A) と反応してエトリンガイト ( カルシウムサルホアルミネート ) を形成し 著しく膨張してコンクリートを破壊させる (4) : 既に何度も述べている通り 解 -2

T76190 建設材料工学 第 4 章コンクリート用骨材 1. (1) : 実積率の大きい骨材は粒子の形状がよいため 実積率の小さい骨材を用いた場合に比べ 単位セメント量や単位水量が同じならばスランプは大きくなる (2) : 安定性試験は 外的圧力に対する骨材の質量減少率を測定するものであり 損失量が大きいものほど 外的圧力に対する抵抗性 すなわち耐凍害性が低下する (3) : 腐植土や泥炭などに含まれるタンニン酸やフミン酸などの有機不純物は セメント中の石灰と反応して水和を阻害するため その含有量が多くなると凝結 硬化の遅延を引き起こす (4) : 微粒分量試験で失われる量が多いということは 75μm のふるいを通過する微粒分量が骨材中に多く含まれることを意味する 微粒分はモルタルの粘性を増大させるため, 同じワーカビリティーを得るために必要な単位水量が増大する 2. (1) : 吸水率の大きな骨材は 使用前に十分に吸水させておく必要があり その含水状態はスランプの経時変化に影響を及ぼすが 吸水率の小さな骨材はその影響は小さい (2) : 骨材の表面水は 配合計算および製造において 単位水量の一部として補正する したがって 透水性の支配要因である水セメント比は 表面水の多い骨材を用いても低下することにはならない (3) : 前出 (4) : 大小粒が適度に混合した骨材を用いると 骨材間の空隙が少なくなることで また 最大寸法の大きな骨材を用いることで 少ない単位水量で所要のワーカヒ リティーが得られる 3. (1) : 粗粒率 FM A の骨材 A と粗粒率 FM B の骨材 B を 混合比 a:b で混合した骨材の粗粒率は次式で算定できる FM = ( a FM A + b FM B ) / ( a + b ) (2) : 安定性試験では 硫酸ナトリウム溶液を骨材の空隙中に浸透させ ついでこれを乾燥させると硫酸ナトリウムが結晶化して膨張圧を生じ これによって破壊される骨材の割合を調べるものである よって 吸水率が大きいほど損失質量百分率が大きい (3) : ロサンゼルス試験機によるすりへり試験方法が JIS で規格化されている (4) : 骨材の粒度が適当であれば 最大寸法が大きいほど単位容積に占める骨材の絶対容積 ( 実積率 ) が大きくなり したがって骨材の単位容積質量も大きくなる 4. (1) : 質量比 90% が通過するふるいのうち 最小寸法のふるいの呼び寸法で示す (2) : 絶乾密度は 骨材の絶乾状態の質量を 骨材の絶対容積 ( すなわち内部の空隙を含む骨材の容積であり 表面乾燥飽水状態の容積と同義となる ) で除した値で定義される 解 -3

(3) : 定義通り (4) : 単位容積質量の計測における締め固め条件が JIS で規定されている 演習問題 解答 5. 粗粒率は 80 40 20 10 5 2.5 1.2 0.6 0.3 0.15mm の 10 種類の各ふるいにとどまる量の 全骨材に対する質量百分率の総和を 100 で除した値として定義される 細骨材 : 2.36 粗骨材:7.87 6. (1) : 一般に砕石は粗骨材 砕砂は細骨材に分類される (2) :JIS ではコンクリート用砕石の吸水率を 3% と以下と規定している (3) : 粗粒率が大きい骨材は 相対的に大きい粒径のものを多く含む (4) : 大小粒の混合程度を分布で表したものが粒度分布である 7. (1) : 前出 (2) : コンクリート練り混ぜ時の空気泡の連行しやすさやフレッシュコンクリート中の空気泡の抜けやすさは 細骨材の粒度によって影響を受ける AE 剤や AE 減水剤によって連行される空気泡は 一般に細骨材中の 0.3~0.6mm の細粒分量が多くなると入りやすく 0.15mm 以下の微粒分量が多くなると入りにくくなる (3) : 人工軽量骨材の吸水状態は それを用いたコンクリートの品質 ( 乾燥収縮性状や耐凍害性など ) や施工性 ( ポンプ圧送性やスランプの経時変化など ) に大きな影響を及ぼす 人工軽量骨材は その内部に空隙を多く含んでおり その空隙が十分に吸水されていると施工面では有利であるが その反面 凍結時の膨張が大きくなるため AE コンクリートであっても凍害を受けやすくなる 耐凍害性を改善するには 水セメント比を小さくすること 骨材の含水率を絶乾状態近くまで低くすることなどがある (4) : 人工軽量骨材は その内部に空隙を多く含んでいるため 絶乾状態あるいは気乾状態で用いたコンクリートをポンプ圧送すると コンクリート中の水分が骨材中の空隙に圧力吸水され スランプ低下が大きくなる 圧力吸水が著しい場合には ポンプが閉塞する場合もある これを防ぐためには プレソーキングやプレウェッティングによって 24 時間吸水率以上に吸水させたものを用いるのがよい 解 -4

T76190 建設材料工学第 6 章フレッシュコンクリートの性質と施工 1. (1) : コンシステンシーとは フレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗性のことである (2) : コンシステンシーの測定方法は コンクリートのコンシステンシーの大きさによって適切な方法があるが 一般的に用いられているのはスランプ試験である (3) : 材料分離は 運搬中 打込み中または打込み後において フレッシュコンクリートの構成材料の分布が不均一になる現象のことであり 水の分離であるブリーディングは打込み後に生じる (4) : プラスティック収縮ひび割れは コンクリートの表面からの水の蒸発速度よりブリーディングの発生速度が小さい場合に生じやすく ブリーディングが少ない高強度コンクリートや水の蒸発速度が速い暑中コンクリートに生じやすい 2. 打継ぎとは 硬化コンクリートに新しいコンクリートを打ち継ぐことである 打ち重ねとは 先に打ち込んだコンクリートがまだフレッシュな状態を保っており 締固めなどによって一体化できる場合を言う これまでの研究成果では 下層 ( 先に打ち込んだ ) のコンクリートの凝結がプロクター貫入抵抗値で 0.01~1.0N/mm 2 の範囲まで進むと コールドジョイントが生じる可能性があると考えられている コンクリートの凝結時間の始発時間とは プロクター貫入抵抗値で 3.5N/mm 2 になるまでの時間 終結時間はプロクター貫入抵抗値が 28.0N/mm 2 になるまでの時間である したがって コールドジョイントの発生を防止するためには 始発時間より相当早い時期にコンクリートを打ち重ねる必要がある (1) (2) (4): (3): 3. (1) : 水セメント比が大きくなると セメント粒子間の距離は大きくなり セメントの水和反応速度は遅くなるので 凝結時間も遅くなる (2) : スランプが小さくなると セメントの水和物の接触 絡み合う早さが早くなるので 凝結は早くなる (3) : 塩分は セメントの水和反応を促進させるので 凝結時間は早くなる (4) : 外気温が高くなると セメントの水和反応が促進されるので 凝結時間は早くなる 4. (1) : 一般的に 早強セメントは普通セメントより凝結時間は早く その程度は低温条件の方が大きくなる 初期強度発現性も同様である (2) : 塩化物は セメントの水和反応を促進させるので 凝結時間は早くなる 腐植土などに含まれる有機物は 水和反応を阻害するので 凝結時間は遅れる 解 -5

演習問題 解答 (3) :AE 減水剤の中で分類される遅延形の性能は プレーンコンクリート ( 基準コンクリート ) より始発時間は +60~+210 分 終結時間で +210 分以下と規定されており 凝結は遅延する (4) : 気温が高くなるとセメントの水和が促進されるので 凝結時間は早くなる また 湿度が低いとコンクリート表面が乾燥しやすくなるのでブリーディングの逸散が早くなり 凝結も早くなる 5. (1) : 高性能 AE 減水剤はスランプ保持性能を有しているため 凝結は遅延する傾向にある (2) : セメントの水和反応速度と凝結時間は相関性があり コンクリート温度が低くなるとセメントの水和反応が遅れ凝結は遅延する (3) : スランプが小さくなるとセメントペーストの流動性が小さくセメント水和物の接触が多くなり 凝結時間は早くなる (4) : 水セメント比が大きくなるとセメントの粒子間距離が大きく水和物の接触が遅くなり 凝結は遅くなる 6. (1) : コンクリートの凝結時間は コンクリートからウェットスクリーニングしたモルタルを試料として プロクター貫入抵抗試験により測定する (2) : 再振動締固め可能とは 下層のコンクリートにバイブレータ等により振動を加え上層コンクリートと一体化できることであるが 通常この可能な時間の限度を判断する目安として コンクリートの凝結始発時間が使われる (3) : 水セメント比が小さくなると セメントの粒子間距離が小さくなり 水和物の接触が早くなるので コンクリートの凝結時間が早くなる また スランプが小さいと セメントペーストの流動性が小さいのでセメント水和物の接触が多くなり 凝結時間は早くなる (4) : 海砂や海水中に含まれる塩分はセメントの水和反応を促進させるので 凝結時間は早くなる 糖類や腐植土などに含まれる有機物は水和反応を阻害するので 凝結時間は遅れる 7. (1) : エントラップトエアとは 混和剤を用いなくても コンクリート中に自然に混入する気泡である エントレインドエアとは AE 剤によってコンクリート中に連行される気泡 ( 独立した多数の微小な気泡 ) である (2) : コンクリートの練上がり温度が高くなると セメントペーストの粘性が増加するため 空気量は減少する 所要の空気量を確保するための AE 剤の使用量は多くなる (3) : レディーミクストコンクリートの場合は ミキサ車による運搬あるいはポンプ圧送によって空気量は減少する さらに型枠への充填 締固めのための振動機の使用によって 解 -6

T76190 建設材料工学も空気量は減少する (4) :AE コンクリート中にはエントレインドエアより小さい毛細管空隙が存在し その中の水が凍結することによって水圧が生じ 凍結していない過剰の水は非凍結部分へ移動する そのとき 飽水状態にないエントレインドエアが近くにあれば 過剰水がその内部に入り水圧が緩和され セメントペーストの組織が破壊するに至らない そのためには小さな気泡が分散していることが必要である 気泡間隔係数とは 隣接する気泡の平均的な間隔を示すものであり この係数が小さいほど耐凍害性は大きくなる 8. (1) : 空気量は コンクリート中のモルタル部分に連行される 細骨材率を小さくすると 粗骨材の占める容積が増えてモルタル量が減るので コンクリートとしての空気量は減少する (2) : 細骨材中の 0.3~0.6mm の粒子が小さくなると空気量は減少する (3) : コンクリートの温度が低くなると粘性が小さくなるので AE 剤の空気連行がしやすくなり 空気量は増大する (4) : セメントの比表面積が大きくなるとコンクリートの粘性が増大し AE 剤の空気連行がし難くなり 空気量は減少する 9. (1) : コンクリートに連行される気泡はモルタル中に存在する 粗骨材の最大寸法が小さくなるとコンクリート中のモルタル量が増大するため 所要の空気量は多くなる (2) :AE 剤の空気連行作用による単位水量の減水効果 ( 強度増加 ) と空気量による強度低下が相殺されるので 強度はほとんど変わらない (3) :AE 剤の空気連行作用はコンクリート温度により影響され 温度が高いほど連行性は小さくなる (4) : 気泡間隔係数は気泡の平均間隔を示すものである 空気量が一定で気泡の平均径が小さいということは気泡数が多いことであり 気泡の間隔も小さい 10. (1) : 粗骨材の最大寸法が大きくなると細骨材率は小さくなり 空気量を連行するモルタル分が少なくなるので 所要の空気量は小さくてよい (2) : 気泡径の大きいエントラップトエアは バイブレータ等の振動締固めにより失われやすく 気泡径の小さいエントレインドエアは あまり減少しない (3) :AE 剤の空気連行性は コンクリート温度により影響され温度が高いと小さくなるので 同一の空気量を得るための AE 剤使用量は多くなる (4) :AE 剤によって連行されるエントレインドエアの気泡径は 数 10~100μm 程度であり ボールベアリング効果により コンクリートの流動性やワーカビリティーの向上に寄与する 解 -7

演習問題 解答 11. (1) : ブリーディングの発生は コンクリートの凝結が開始する ( 始発時間が目安 ) までには終了する フレッシュコンクリートの温度が高くなると セメントの水和反応が促進されるので コンクリートの凝結時間も短くなり ブリーディング量は小さくなる (2) : スランプが大きくなると材料分離が生じやすくなるので ブリーディング量は多くなる (3) : セメントの比表面積が大きくなると 水和反応は早くなるので凝結時間が短くなり ブリーディング量は減少する (4) : ブリーディング量は コンクリート中の微粒分量の大小により左右される 細骨材の粗粒率が小さくなるとコンクリート中の微粒分量が多くなるので ブリーディング量は少なくなる 12. (1) : 通常のプレーンコンクリート ( 化学混和剤を用いないコンクリート ) の空気量は 0.5 ~2% AE コンクリート (AE 剤 AE 減水剤および高性能 AE 減水剤を用いたコンクリート ) の空気量は 3~6% であり それぞれ空気量が異なる 空気量が大きくなるとモルタル分の保水性が増すのでブリーディングは小さくなる (2) : 細骨材率が小さくなると微粒分が減少するのでコンクリートの粘性が小さくなり ブリーディングが多くなる (3) : 単位水量が少なくなると材料分離しにくくなるので ブリーディングは少なくなる (4) : 水セメント比が小さくなるとコンクリートの粘性は大きくなるので ブリーディングは少なくなる 13. (1) : 単位セメント量が多くなるとコンクリートの粘性が大きくなるので 材料分離が生じにくくブリーディング量は少なくなる (2) : 空気量が少なくなると材料分離が生じやすくなり ブリーディング量は多くなる (3) : 細骨材の粗粒率が大きくなると細粒分が少なくなるので ブリーディング量は多くなる (4) : コンクリート温度が低くなると凝結時間が遅延するので ブリーディングが発生する時間が長くなり ブリーディング量も多くなる 14. (1) : コンシステンシーとは 主として水量の多少によって左右されるフレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗性である (2) : セメントの比表面積が大きくなれば 吸水 吸着される水が多くなるのでセメントペーストの粘性が増大し また水セメント比が小さくなると自由水が減少するので粘性が増大する 解 -8

T76190 建設材料工学 (3) : ブリーディングは 1 単位水量が小さく 水セメント比が小さい場合 2 細骨材の粒度が細かい場合 3セメントの比表面積が大きい場合 4コンクリートの練上がり温度が高い場合 に少なくなる (4) : コンクリートの凝結時間は 1スランプが大きい場合 2コンクリートの練上がり温度が低い場合 3セメントの比表面積が小さい場合 4 単位水量が大きく 水セメント比が大きい場合 に長くなる (5) : エントレインドエアとは AE 剤などで連行される気泡で 通常直径が数 10~100μ m の微小な独立した空気泡である エントラップトエアは自然に巻き込まれる気泡で 直径が 100μm 程度以上の比較的大きな気泡である 通常のコンクリートでは空気量として 0.2~2.5% 程度である 空気量試験で測定される値は 両者のエアを合わせたものである (6) : スランプを大きくすると材料分離が生じやすくなるので スランプの増大に伴い 単位粗骨材かさ容積 ( 単位粗骨材量 ) を小さくするような配合修正を行う必要がある ちなみに 一般の AE コンクリート (W/C=50%) の単位粗骨材かさ容積 (m 3 /m 3 ) は スランプ 8cm の場合 0.67 スランプ 18cm の場合 0.61 である (7) : 流動化コンクリートは 通常のコンクリートに比べて スランプの経時変化が大きい (8) : ブリーディングは材料分離現象であり コンクリートの粘性の大小に大きく左右される コンクリートの粘性は 単位セメント量の多少や水セメント比の大小の他に細骨材の微粒分やコンクリート温度によっても影響され コンクリート中の微粒分を多くすると粘性が大きくなるので ブリーディングは軽減する 解 -9

演習問題 解答 第 7 章硬化コンクリートの強度変形特性 1. (1) : コンクリートのヤング係数は 以下のような実験式が一例としてあり 圧縮強度および気乾単位容積質量と密接な正相関の関係にある E 1/3 =0.045ρ 1.5 0.5 F c ここに E 1/3 : ヤング係数 (N/mm 2 ) ρ: コンクリートの単位容積質量 (kg/m 3 ) F c : コンクリートの圧縮強度 (N/mm 2 ) (2) : 曲げ強度もヤング係数の場合と同様に 圧縮強度と正相関の関係にあり 圧縮強度が増大すると曲げ強度も増大する ただし その比率は普通コンクリートで 1/5~1/8 程度である (3) : コンクリートの種類によって破壊時 ( 最大圧縮応力時 ) の荷重 -ひずみ関係は異なるが 同一種類のコンクリートの場合 最大圧縮応力に達する際のひずみは 0.2% 前後で圧縮強度による差は少ない (4) : 建設現場で一般に使用されている鉄筋のほとんどは 表面にリブを持つ異形鉄筋であり 鉄筋とコンクリートとの付着強度は このリブ面のコンクリートの局部圧縮力の大小におおむね比例する 2. (1) : コンクリートのヤング係数は 圧縮強度と気乾単位容積質量と密接な関係があり 1.(1) の解説で示したような実験式が一例としてある 普通コンクリートは軽量コンクリートよりも気乾単位容積質量が大きいため 圧縮強度が同一の場合 ヤング係数は大きい (2) : 一般に 普通コンクリートの引張強度は 圧縮強度の 1/9~1/13 程度である (3) : 上記 (2) および 1.(2) の解説を参照 (4) :1.(4) の解説を参照 鉄筋の配筋方向にコンクリート未充填箇所があると リブ部の局部圧縮力を負担するコンクリートが不足するため付着強度は低下する 3. (1) : 圧縮強度試験などの力学特性試験では 使用する供試体の寸法によって得られる試験結果が異なる これを一般に 寸法効果 と呼び 同一形状の場合 寸法の大きいものほど単位面積当たり 単位容積当たりの測定値は小さくなる (2) : コンクリートの圧縮強度は 供試体の寸法や形状によって大きく影響を受け 見掛けの圧縮強度は変化する 一般に 供試体の直径に対する高さの比が小さいほど見掛けの圧縮強度は大きくなり 1~1.5 以下では急激に大きくなるが 2.0 以上での変化は緩やかである (3) : 圧縮強度試験時の載荷速度が速いほど 得られる圧縮強度は高くなる傾向にある JIS A 1108-1999( コンクリートの圧縮強度試験方法 ) では 載荷速度を 0.6±0.4N/mm 2 /sec と規定している (4) : 圧縮強度試験時の供試体の湿度 ( 含水率 ) が小さいほど もしくは表面が乾燥しているほど 得られる圧縮強度は高くなる傾向にある 解 -10

T76190 建設材料工学 4. (1) : 一般に コンクリートの応力 -ひずみ関係は右の図 1に示すようであり 圧縮強度時のひずみは 2,000~3,000 10-6 程度で圧縮強度の増加とともに大きくなる (2) : コンクリートの引張強度時のひずみは 通常 100~ 200 10-6 程度である (3) : コンクリートのヤング係数 ( 静弾性係数 ) は, 普通コンクリートでは 25~35kN/mm 2 程度で圧縮強度の増大とともに大きくなる 物性のバラツキを勘案すると 設問で与えられた 20~30kN/mm 2 という値はほぼ許容範囲であると思われる なお 軽量コンクリートの場合には 普通コンクリートより小さく 15~25kN/mm 2 程度である (4) : ポアソン数は縦方向のひずみを横方向のひずみで割った値であり ヤング係数とは逆に 圧縮強度の増加とともに小さくなる 普通コンクリートでは 5~7 高強度コンクリートでは 3~5 程度である なお ポアソン比はポアソン数の逆数で 普通コンクリートでは 1/5~1/7 程度である 5. 1.~4. の解説参照 ヤング係数や圧縮強度時のひずみ 支圧強度は圧縮強度の増大とともに大きくなる 一方 引張強度は一般に圧縮強度の 1/9~1/13 程度であるが 圧縮強度が大きくなるとその比は小さくなる 解答 :(2) 6. (1) : コンクリートのクリープに影響を与える配合因子としては セメントペースト量 ( 単位ペースト量 ) や水セメント比が挙げられ これらが増加するとクリープひずみも大きくなる (2) : 上記 (1) の解説参照 (3) : 相対湿度が低いほどクリープ係数 ( クリープひずみ 弾性ひずみ ) は大きくなる (4) : 持続応力 ( 持続荷重 ) が大きいほどクリープひずみは大きくなる 7. (1) : 一般に 自己収縮ひび割れはセメント量が多くかつ水セメント比の小さい富配合の高強度コンクリートや高流動コンクリートなどに生じる場合が多い (2) : クリープとは コンクリートに持続荷重が作用した場合 時間の経過とともにひずみが増大する現象を言う クリープに対する影響因子としては 水セメント比 材齢 載荷応力 養生方法などがあり 載荷時の材齢が若いほど 載荷荷重が大きいほど 水セメント比が大きいほど セメントヘ ースト量が多いほど 乾燥状態にあるほど クリープは大きくなる (3) : 乾燥収縮は コンクリート中の水分の蒸発によって発生するものであり その蒸発量 蒸発速度は 硬化コンクリートの比表面積 (= 表面積 体積 ) が小さいものほど小さくなる (4) :(2) 解説参照 解 -11

演習問題 解答 8. (1) : コンクリートの乾燥収縮に影響を及ぼす因子として 単位水量 セメント量 骨材の品質 養生方法などが挙げられる このうち単位水量の影響が最も大きく 水量の増加に伴って収縮量も大きくなる (2) : コンクリートの乾燥収縮は 主としてモルタル部分 さらにはセメントペースト部分の収縮によって生じる (3) : セメントの水和により 凝結始発以降に巨視的に生じる体積減少を自己収縮という なお JIS A 0203-2006( コンクリート用語 ) では 自己収縮を セメントの水和反応の進行によって コンクリート モルタルおよびペーストの体積が減少し 収縮する現象 と定義している (4) : コンクリートの熱的性質は 主としてコンクリート中の 70~80% を占める骨材の性能と単位量によって変化するが 水セメント比や単位水量などの影響を受けることは少ない 一般に 石灰岩を使用したコンクリートの線膨張係数は 6~8 10-6 / 花崗岩や玄武岩などを使用したものは 8~10 10-6 / シリカ分を多く含む珪岩を使用したものは 12~15 10-6 / である 9. (1) : 比表面積はセメントの細かさを表す指標であり フ レーン値ともいう 比表面積が大きくなると凝結時間が早くなり フ リーテ ィンク は少なくなるが 収縮量は大きくなる傾向にある (2) : コンクリートの乾燥収縮は 主としてセメントペースト部分の収縮によって生じるため 水セメント比が同一であっても 単位水量が増加するとセメントペースト量は増減し 収縮量は大きくなる (3) : 弾性係数を除いて 骨材の物性が乾燥収縮の大小に影響することは比較的少ない しかし 単位粗骨材量が少なくなると 同一のワーカヒ リティーを得るための細骨材率が大きくなり 単位水量も増加する さらに 同一の圧縮強度を得るためには単位セメント量も増加し セメントペースト量の増大にもつながるため 乾燥収縮の観点からは好ましくない (4) : コンクリートの乾燥収縮に影響を及ぼす要因として 骨材の弾性係数が挙げられる 軟質砂岩や粘板岩などの弾性係数の小さい骨材を使用したコンクリートは乾燥収縮が大きくなる 10. (1) : コンクリートの乾燥収縮は 主としてセメントペースト部分の水分が移動 蒸発して生じる現象である 単位粗骨材量が多くなり セメントペースト量が少なくなれば 乾燥収縮量も小さくなる (2) : 乾燥収縮に影響を及ぼす要因としては 単位水量や単位セメント量 その他に骨材の品質 空気量 養生方法 部材の寸法などがあるが 最も影響が大きいのは単位水量であり 単位水量が多いほど乾燥収縮は大きくなる (3) : 養生気乾や方法など乾燥までの条件が同じであれば 部材寸法の大きいものほど乾燥収縮は小さい 逆に体積が同一の場合 表面積が大きいものほど乾燥収縮は大きくなる 解 -12

T76190 建設材料工学 (4) : 乾燥収縮ひび割れは 拘束されたコンクリートが乾燥によって体積変化する場合に発生する現象である ひび割れ発生の原理は 変形を拘束されたコンクリートが乾燥によって収縮する際に 拘束力の反作用として発生するコンクリート内部の引張応力がコンクリート自身の引張強度を超えることによって発生するものである 11. (1) : コンクリートの乾燥収縮ひずみは セメントヘ ーストおよび骨材の乾燥収縮ひずみと体積弾性率 および骨材の単位容積の関数として表すことができる セメントヘ ーストの乾燥収縮ひずみや骨材の単位容積は いずれも単位水量に関係することから コンクリートの乾燥収縮ひずみは単位水量と密接な関係にあり 単位水量の大きいものほど乾燥収縮量は大きくなる (2) : セメントの比表面積が大きくなると 比表面積が小さいセメントを使用したコンクリートと同等のワーカヒ リティーを得るのに必要な単位水量は増加し 乾燥収縮量が大きくなる (3) : 粗骨材の弾性係数が大きいほど 最大寸法が大きいほど 乾燥収縮は小さくなる (4) : 乾燥収縮は主としてセメントヘ ースト部の収縮が原因であり セメントヘ ースト量が多い または骨材量が少ないほど乾燥収縮量は大きくなる 12. (1) : 水密性は 透水や透湿に対する抵抗性を表す性能の一つであるが 一般にはコンクリートの緻密さを表す指標として知られている コンクリートは本来内部に多数の空隙を有する多孔質体で この孔には毛細管空隙やブリーディングによる水みち 骨材や鉄筋などの下面の水隙などがある 一方 適切な水分量があればセメントの水和反応は長期間に渡って持続し 強度も増進する 湿潤養生は セメントの水和反応に必要な水分を常時供給する方法で 湿潤養生の経過とともにセメント硬化体が緻密になり また骨材とセメント硬化体との境界面の組織も緻密となるため 水密性が向上する (2) : 骨材や鉄筋などの下面の水隙が増加するとコンクリートの緻密性が低下し その結果 水密性が低下する 粗骨材の最大寸法が大きくなると骨材下面の面積に比例して水隙も大きくなるため 水密性は低下する (3) : 人体に有害な放射線として X 線やγ 線 中性子線などがあるが これらを遮蔽する目的で施工されるのが遮蔽用コンクリートである 放射線の種類によって遮蔽用コンクリートは 2 種類に大別され X 線やγ 線の遮蔽を目的とするものと 中性子線の遮蔽を目的とするものがある X 線やγ 線の遮蔽性能は密度と厚さの積にほぼ比例して向上し 中性子線の遮蔽性能は密度の他 水分や硼素などの特殊成分を含むことによって向上する (4) : 水セメント比の小さいコンクリートほど圧縮強度は高いが 火害を受けると圧縮強度は 500 で約半分まで低下する さらに 水セメント比の小さいコンクリートは一般に構造が緻密であるため 火害による内部温度の上昇によって水分が気化しても外部への漏れが少ないため 内部圧が高まる結果 爆裂する危険性が高まる 解 -13

演習問題 解答 13. (1) :12.(1) の解説参照 水セメント比が大きくなると 単位水量も増え 乾燥収縮によるひび割れなどの空隙増加も加わるため 水密性は低下する 一般には コンクリートの水密性を支配する最大の要因は水セメント比と言われている (2) :12.(1) の解説参照 (3) : ポゾラン物質にはフライアッシュや高炉スラグ シリカフュームなどの人工ポゾランと シラスや火山灰などの天然ポゾランがある これらは 水分とともに水酸化カルシウムやカルシウムイオンと反応して水和物を生成する特性を有するもので 良質なポゾラン物質は毛細管空隙やその他の微小空隙を充填し 水密性を向上させる効果がある (4) :12.(1)(2) の解説参照 14. (1) : コンクリートの水密性に最も影響を及ぼす要因は水セメント比であり 水セメント比が小さいほど水密性は向上する なお 透水係数は水密性を表す指標であり 透水係数が小さいほど水密性は向上する ただし 極端に水セメント比が小さくなるとワーカビリティーが低下し 十分な締固めができなくなって水密性が逆に低下するので注意しなければならない (2) : 粗骨材の最大寸法が大きくなるほど水密性は低下し 透水係数は大きくなる 12.(2) の解説参照 (3) :13.(3) の解説参照 (4) : 単位セメント量が同じ場合 同一スランプを得るための水セメント比はプレーンコンクリートよりも AE コンクリートの方が小さくなる また AE 剤や AE 減水剤は エントレインドエアと呼ばれる微小な独立空気泡をコンクリート中に一様に分布させ その気泡のボールベアリング効果によってコンクリートのワーカビリティーを改善させ 単位水量の減少につながる その結果 コンクリートの水密性が向上する 15. (1) : コンクリートの水密性に最も影響を及ぼす要因は水セメント比であるが その他 粗骨材の最大寸法 施工方法 養生方法などがある 粗骨材の最大寸法が小さくなると 骨材下面の水隙が小さくなり 水密性が向上する (2) : フライアッシュや高炉スラグ微粉末などを使用すると空気量が減少し 水密性が向上する (3) : 湿潤養生期間が長いほど セメント硬化体が緻密になり 骨材との界面も緻密となるため コンクリートの水密性は向上する 逆に 養生期間が短く 材齢早期に乾燥を受けた場合は 乾燥収縮によるひび割れが多く発生し 水密性を低下させる (4) :14.(4) の解説参照 解 -14

T76190 建設材料工学 16. (1) :12.(3) の解説参照 (2) : 水セメント比が一定の場合 空気量を 1% 増加させると 硬化コンクリートの圧縮強度は 4~6% 低下する なお 同一水セメント比で同様のワーカビリティーを有するコンクリートを作ろうとする場合は 空気量 1% の増加に対して 細骨材率を 0.5~1% 程度 単位水量は約 3% 程度小さくすることができる (3) :3.(2) の解説参照 (4) : 理論上 曲げ強度は中央点載荷も 3 等分点載荷も同一である しかし コンクリートは不均質で脆性的な材料であり 中央点載荷の場合は破断面の位置が不規則で中央断面と一致しない場合が多い また せん断力の影響により試験値のバラツキが大きくなる傾向にある 一方 3 等分点載荷の場合は 中央部載荷点間であれば曲げモーメントは常に一定であり せん断力もゼロである さらに 載荷点間の最も脆弱な箇所で破壊するため 試験値は中央点載荷よりも小さくなる (5) :4.(1) の解説 図 1を参照 (6) :9.(4) 11.(1)(3) の解説参照 解 -15

演習問題 解答 第 8 章硬化コンクリートの長期耐久性 1. (1) : コンクリート中のアルカリ総量を 3kg/m 3 以下にすることは アルカリシリカ反応の抑制に有効である (2) :JIS 規定を満足する高炉セメント B 種もしくは C 種 または JIS 規定を満足するフライアッシュセメント B 種もしくは C 種の使用はアルカリシリカ反応の抑制に有効である (3) : アルカリシリカ反応が生じるためには 水分の存在が必要であるので アルカリシリカ反応はコンクリートが多湿あるいは湿潤状態にある場合に生じやすい (4) : アルカリシリカ反応による膨張はコンクリート中に含まれる反応性骨材の含有量が多いほど大きくなる場合もあれば その含有量がある値で膨張量が最大になり それ以上の含有量では膨張量が低下する場合もある 膨張量が最大となるときの骨材中に含まれている反応性骨材の割合を ペシマム量 という 2. (1) : 塩化物イオン濃度が高い場合 コンクリート中の鉄筋の腐食速度が上昇するとともに 孔食が発生する場合が多い (2) : 鉄筋の腐食が質量で 5% 以下の場合にはひび割れの発生はないが 一般に 5~8% 程度ではひび割れが発生し始め 10% 程度の場合にはほとんどの場合ひび割れが発生している なお 鉄筋の腐食が質量で 10% 程度の場合には 鋼材の降伏点や引張強さも低下し始める (3) : 亜鉛片を鉄筋に装着すると亜鉛自体が犠牲陽極となり 腐食電流を抑制する (4) : 水平方向の鉄筋の下側には ブリーディングに起因する水隙ができやすいので 鉛直方向の鉄筋より水平方向の鉄筋の方がマクロセル腐食による局部腐食が生じやすい 3. (1) : フェノールフタレインのエタノール溶液を噴霧した場合 中性化していない部分はアルカリ性を保持しているので赤紫色に変色するが 中性化した部分は変色しない (2) : 水セメント比が大きいほどコンクリートの組織は粗になるため二酸化炭素が浸入しやすくなり コンクリートの中性化は速くなる (3) : 空気中の二酸化炭素の作用によりコンクリート中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムになる中性化の反応は 温度が高いほど速くなる (4) : コンクリートの中性化速度は 記述の通り経過年数の平方根に比例するため t 則と呼ばれている 4. (1) :3.(4) の解説参照 (2) : コンクリートの中性化は 相対湿度が 40~70% が最も速くなると言われており 乾燥の度合いや湿潤の度合いが著しい場合には中性化は進行しにくい 設問中の 室外側 は雨の影響により湿度が極端に高い場合が多いこと 室内側 は二酸化炭素濃度が高いこ 解 -16

T76190 建設材料工学とにより 室内側 の方が中性化は速い (3) : フライアッシュセメントや高炉セメントなどの混合セメントを用いる場合は 普通ポルトランドセメントを用いる場合に比べて 生成される水酸化カルシウム量が少ないので 中性化は速くなる (4) : 中性化速度は その他の条件が同一の場合には 水結合材比の一次式に比例する 5. (1) : 大気中でコンクリートが中性化する深さは 時間の平方根に比例する (2) : コンクリートの中性化とは 一般に空気中の二酸化炭素の作用を受けて コンクリート中の水酸化カルシウムが徐々に炭酸カルシウムになり コンクリートのアルカリ性が低下する現象である したがって 圧縮強度が高いほどコンクリートの組織が緻密なために二酸化炭素が侵入しにくく 中性化が遅くなる また 周辺空気中の二酸化炭素の濃度が高い方が中性化は速くなる (3) : 上記 (2) の解説参照 (4) :4.(2) の解説参照 設問中の 乾燥状態 と 湿潤状態 は 各々の相対湿度が明確ではないため 厳密な意味では適当 不適当の判断はしにくいが 一般的には乾燥状態にある方が中性化速度は速いと解釈する方が妥当である 6. (1) : 耐凍害性の向上には AE 剤や AE 減水剤の使用により 適当量のエントレインドエア ( 球状の独立した微細な空気泡 ) を連行させることが最も効果的である (2) : 使用する骨材の品質が悪いとコンクリートの耐凍害性は劣る 土木学会示方書では JIS A 1122-1998( 硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験方法 ) における操作を 5 回繰り返したときの損失質量が細骨材で 10% 以下 粗骨材では 12% 以下のものを標準としている (3) : コンクリートの耐凍害性は 気泡間隔係数が小さいほど向上する 普通強度のコンクリートの場合 十分な耐凍害性を発揮するためには気泡間隔係数を 200~250μm 以下にする必要がある (4) : 動弾性係数と強度とは相関があることを利用して 凍結融解の繰り返しに対する動弾性係数の保持の程度で耐凍害性を評価している 7. (1) : かぶりコンクリートにひび割れが生じると そのひび割れから酸素と水の供給が促進されるので 腐食は加速される (2) :3.(4) の解説参照 (3) : 硫酸塩は コンクリート中の水酸化カルシウムおよびセメント中の C3A( アルミン酸三カルシウム ) と反応して カルシウムサルホアルミネート ( エトリンガイト ) を生成するため 膨張破壊を引き起こす (4) : 吸水率の大きい粗骨材を用いたコンクリートが凍結融解作用を受けると 凍結時に 解 -17

粗骨材が膨張し 表面のモルタルをはじき出す ( ポップアウト ) 場合がある 演習問題 解答 8. (1) : 鋼材の腐食は水酸化第二鉄などが生じる酸化反応であり 水と酸素が必要である また コンクリート中に塩化物イオンが一定量以上存在すると鋼材表面の不動態被膜が破壊されるため腐食しやすくなる (2) : コンクリートの海水中の耐凍害性は淡水中の場合の 1/10 程度に低下する報告もある (3) : コンクリート中のアルカリ総量は 一般には セメント中のアルカリ量 塩化物イオン量 混和剤に含まれるアルカリ量から算定する すなわち アルカリ骨材反応は 外部から浸入する塩化物により促進される (4) : アルカリ骨材反応の抑制対策には 1 無害 と判定された骨材のみを使用する 2 低アルカリ形のポルトランドセメントを使用する 3アルカリ骨材反応抑制効果を有する混合セメントを使用する 4コンクリート中のアルカリ総量の規制により抑制する の方法がある 9. (1) : 空気量が同一の場合は 気泡が小さいほど すなわち気泡間隔係数が小さいほど耐凍害性は大きくなる (2) : 軽量骨材が飽和している場合の耐凍害性は一般に低い そのため 気乾状態で使用した方が耐凍害性は強くなる (3) :3.(4) の解説参照 (4) : コンクリートの中性化は 温度が高いほど 二酸化炭素濃度が高いほど 湿度が低いほど速くなる ただし 著しく乾燥している場合には中性化は進行しにくくなる 10. (1) : 潮の干満の繰り返しならびに波浪や波しぶきにより乾湿を繰り返す飛沫帯は 化学的 物理的な侵食を最も激しく受ける 海洋 海岸環境におけるコンクリート中の鉄筋の腐食に作用する激しさは 飛沫帯 > 海上大気中 > 海中の順である (2) : 気泡間隔係数は気泡の平均間隔を示すものであり その値が小さい方が耐凍害性が高い なお AE 剤あるいは AE 減水剤によりコンクリート中に連行された空気 ( エントレインドエア ) の気泡間隔係数は 150~200μm である (3) : アルカリ骨材反応とは 骨材中のアルカリ反応性鉱物とコンクリートの細孔溶液中の水酸化アルカリ ( 水酸化カリウムや水酸化ナトリウム ) との間に生じる反応である (4) : 温泉地域や海洋コンクリート ( 海水の作用を受けるコンクリート ) の場合には 特に注意が必要である 11. (1) :5.(4) の解説参照 乾燥状態 と 湿潤状態 の差が明確でないため 学問上は と 解 -18

T76190 建設材料工学なる ただし 一般的には乾燥状態にある方が中性化速度は速いと解釈する方が妥当であるとも考えられ その場合は となる (2) :6.(3) 9.(1) 10.(2) の解説参照 (3) :10.(1) の解説参照 (4) : アルカリシリカ反応の生じる条件として 水が存在することが挙げられる 解 -19

演習問題 解答 第 9 章混和材料 1. (1) : フライアッシュは JIS A 6201-1999( コンクリート用フライアッシュ ) においてⅠ ~Ⅳ 種の 4 種類に区分されている これらの二酸化ケイ素 湿分および密度の規定値は同じであるが 強熱減量 粉末度 フロー値比および活性度指数の規定値は異なる (2) : 高炉スラグ微粉末は JIS A 6206-1997( コンクリート用高炉スラグ微粉末 ) において 4000 6000 8000 の 3 種類に区分されている これらの密度 酸化マグネシウム 三酸化硫黄 強熱減量および塩化物イオンの既定値は同じであるが 比表面積 活性度指数およびフロー値比の既定値は異なる (3) : 膨張材は JIS A 6202-1997( コンクリート用膨張材 ) において規定されているが 種類の区分はない 化学成分として酸化マグネシウム 強熱減量 全アルカリおよび塩化物イオン 物理的性質として比表面積 1.2mm ふるい残留分 凝結 膨張性および圧縮強さの各項目について規定されている (4) : シリカフュームは JIS A 6207-2006( コンクリート用シリカフューム ) において 製品形態によって粉体 流体 スラリーの 3 種類に区分されている 湿分を除く化学成分および物理的性質の既定値はいずれの製品形態も同じである 2. (1) : 膨張材は 水和反応によってエトリンガイトまたは水酸化カルシウムを生成し コンクリートを膨張させる混和材である 乾燥収縮などに起因するひび割れ発生の低減や ケミカルプレストレスを導入してひび割れ耐力を向上させることができる (2) : 一般には 高炉スラグ微粉末の置換率を 50% 程度として使用することが多いが 置換により単位セメント量が減少し さらに セメントにより生成された水酸化カルシウムと反応することによって コンクリート中のアルカリ分が少なくなるので 中性化速度は速くなる (3) : 一般に フライアッシュの置換率を 30% 程度として使用することが多いが 単位セメント量の減少によってコンクリートの水和熱が低減され また フライアッシュのポゾラン反応によってコンクリートの長期強度を増進させることができる (4) : シリカフュームは 極めて小さい ほぼ球形のシリカ質微粉末であり 高強度コンクリートのワーカビリティーの改善や 他のセメントや骨材粒子間を埋めるマイクロフィラー効果による強度増進などを目的として用いられる 3. (1) : 高炉スラグ微粉末は潜在水硬性を有しており 置換率 30% として用いたコンクリートの強度は 養生を適切に行えば 材齢 28 日以降において一般のコンクリートより増大する (2) : 高炉スラク 微粉末を 40% 置換して用いると セメントの水和によって生じる水酸化カルシウムが不溶性の化合物となるので耐硫酸塩性が改善される ただし 耐硫酸塩性の改 解 -20

T76190 建設材料工学善を目的として使用する場合は 50~70% 程度の置換が望ましい (3) : フライアッシュを 20% 置換した場合 通常のコンクリートに比べて中性化速度は多少大きくなり 中性化抵抗性は改善されない (4) : フライアッシュのポゾラン反応は 長期に渡って緩慢に進行するので 初期のセメントの水和発熱を抑制する 水和熱による温度上昇の抑制を目的として使用する場合には 置換率を 20~30% 程度とするのが望ましい 4. (1) : フライアッシュに含まれる未燃焼炭素には AE 剤を吸着する作用があるので その含有率が大きいほど所要の空気量を確保するための AE 剤の使用量は増加する (2) : フライアッシュの置換率の増加に伴い アルカリ骨材反応抑制効果は大きくなる その効果を期待するには置換率として 20% 程度以上が必要である (3) : フライアッシュの強度発現性は 初期材齢における乾燥の影響を強く受ける傾向があり 湿潤養生が不十分であると強度低下や凍害による影響を招きやすくなる (4) : フライアッシュのポゾラン反応により 水酸化カルシウムが減少するため コンクリート中の ph が低下して膨張性水和物が生成しにくくなると 水和組織が緻密化することから 耐海水性が大きくなる 5. (1) : 前出 (2) : 高炉スラグ微粉末の潜在水硬性により セメント硬化体の組織が緻密となり 耐海水性 水密性 化学抵抗性が向上する (3) : 高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの強度発現は 一般のコンクリートに比べて養生温度の影響を受けやすく 低温時においては凝結時間や強度発現が遅延する (4) : 潜在水硬性により 長期強度は増進し 材齢 91 日以降では元のコンクリートよりも圧縮強度は高くなる 6. (1) : 減水剤はセメント粒子の界面に吸着し 静電的な反発作用によりセメント粒子を分散させるので 所要のコンシステンシーを得るために必要な単位水量を減少できる (2) : エントラップトエアは 混和剤を用いなくてもコンクリート中に自然に含まれる空気泡である エントレインドエアは AE 剤または空気連行作用のある混和剤を用いてコンクリート中に連行させた独立した微細な空気泡である この微細な空気泡のボールベアリング作用により コンクリートのワーカビリティーは向上し さらにコンクリートの気泡間隔係数が小さくなるので統括融解抵抗性も向上する (3) : 流動化剤は コンクリートの単位水量を増大させることなく流動性を高める ベースコンクリートとは 流動化剤を添加する前のコンクリートのことであり 流動化剤を添加した後のコンクリートを流動化コンクリートと定義されている 解 -21

演習問題 解答 (4) : 高性能 AE 減水剤は それ自身が空気連行性を有するとともに AE 減水剤よりも高い減水性能を有し スランプロスも小さい 7. (1) :AE 剤は 10~100μm の微細な空気泡を連行するため その気泡のボールベアリング効果によりワーカビリティーが向上し また凍結水による膨張圧を緩和する作用によって耐凍害性が向上する (2) :AE 減水剤は AE 剤の空気連行作用と減水剤の分散作用を併有する混和剤である (3) : 高性能減水剤は 空気連行性や凝結遅延性がわずかで 大幅に単位水量を減少できるという長所があるが スランプの経時変化が大きいので 高強度のコンクリート製品の製造に用いられる (4) : 流動化剤の主成分は高性能減水剤と同様なものであり スランプの経時変化が大きい スランプ保持性能が要求される高流動コンクリートに用いる混和剤は高性能 AE 減水剤である また 流動化剤には長期強度を増進させる作用はない 8. (1) :AE 剤はエントレインドエアを連行し ワーカビリティーと耐凍害性を向上させる (2) : 減水剤はセメント粒子を静電的な反発力で分散させる (3) :AE 減水剤は空気連行作用と減水作用の両者を併せ持つ (4) : 高性能 AE 減水剤は AE 減水剤よりも高い減水性能および良好なスランプ保持性能を有する混和剤であるが コンクリートの凝結を速める効果はない 解 -22

T76190 建設材料工学第 12 章コンクリートの配合設計 1. (1) : 水セメント比が小さくなると 強度が大きくなり 一般には耐久性も向上する (2) : 配合強度は 現場におけるコンクリート製造の管理状態や材料の品質管理状態によって決まる変動係数から設定した割増し係数を乗じることによって設計基準強度を定める (3) : 一般に スランプが大きいコンクリートは単位水量が多くなるため 適切に施工可能なワーカビリティーの範囲内で スランプを小さくした方が 単位水量も少なくなり 品質の良い経済的なコンクリートとなる (4) : 示方配合は 骨材の粒度や水分状態を理想化して定めた配合であり 現場配合は示方配合を実際に使用する骨材の状態に合わせて修正した配合である したがって コンクリートの品質自体は全く同じものとなる 2. (1) : 粗骨材の最大寸法を大きくすると 同じコンシステンシーのコンクリートを得るのに必要な単位水量および単位セメント量を小さくすることができる (2) : 粗骨材の実積率が小さくなると 粗骨材間の空隙が増すため 細骨材量を増大することになる (3) : 細骨材の粗粒率が大きくなると 同等のワーカビリティーを確保するためには 細骨材率を大きくする必要がある (4) : 川砂を砕砂に変更すると 同等のワーカビリティーを確保するためには 単位水量を大きくする必要がある 3. (1) : 単位水量が多くなると 強度や耐久性が悪くなることから 所要のワーカビリティーが得られる範囲内で できるだけ少なくする (2) : 細骨材率を大きくすると 単位水量の増加によって耐久性の低下や乾燥収縮の増大によるひび割れを生じる可能性が大きくなるため 所要のワーカビリティーが得られる範囲内で できるだけ小さくする (3) :AE 剤を用いてコンクリート中に多くの独立気泡を一様に連行することによって ワーカビリティーを向上することができる そのため 単位水量を減少することができる (4) : フライアッシュの粒子の大部分は 表面が滑らかな球状をしており フライアッシュをセメントの一部と置換することによりワーカビリティーが改善され 所要のコンシステンシーを得るために必要な単位水量を少なくすることができる 4. (1) : 単位セメント量は 水和熱および乾燥収縮によるひび割れを防止する観点から 所要の品質が得られる範囲内で できるだけ少なくすることが望ましい (2) : 細骨材率が大きすぎる場合は 単位水量および単位セメント量を多く必要とし 粘 解 -23

演習問題 解答性の大きい流動性の悪いコンクリートとなり 耐久性の観点からも好ましくない (3) : スランプを大きくすると単位水量が増大し 必要な強度を確保するために 単位セメント量も多くしなければならないことから 所要の施工性が得られる範囲内でできるだけ小さくする (4) : 単位水量が大きくなると 乾燥収縮 ブリーディング 打込み後の沈降などが大きくなり 構造体コンクリートにひび割れ等を生じさせ 耐久性上からも好ましくないので 所要のワーカビリティーが得られる範囲内で できるだけ小さくする 5. (1) : 一般に 骨材の粒度が適切であれば 最大寸法が小さいほど所定のスランプのコンクリートを得るための単位粗骨材かさ容積は小さくなり 単位細骨材量は多くなる したがって細骨材率は大きくなる (2) : 一般に骨材の粒度が適切であれば 粗骨材の最大寸法を小さくすると 同じコンシステンシーのコンクリートを得るために必要な単位水量および単位セメント量が増す (3) : 空気量を小さくすると コンクリートの流動性が悪くなるため 所定のスランプのコンクリートを得るための単位水量が増大する (4) : 空気量が 1% だけ小さい ( 大きい ) ごとに 細骨材率は 0.5~1% 大きく ( 小さく ) する 6. (1) :2.(1) 5.(2) の解説参照 (2) : 粗骨材の実積率が大きくなると 粗骨材間の空隙が減少するため 細骨材量を減らすことができる したがって 細骨材率は小さくなる (3) : 細骨材を砕砂から川砂に変更すると 一般に細骨材の実積率が大きくなり 単位水量を減らすことができる (4) : 細骨材の粗粒率が小さくなると 同等のワーカビリティーを確保するためには 細骨材率を小さくする必要がある 2.(3) の解説も参照 7. (1) :2.(1) 5.(2) の解説参照 (2) : 粗骨材の実積率が小さくなることは コンクリート中のモルタル分が増加することになり 単位水量が多くなる (3) : 粗骨材を砕石から川砂利に変更する場合は 実積率の小さいものから大きいものに変更することになる この場合 細骨材の絶対容積は減少することになる (4) :6.(4) の解説参照 8. (1) : 空気量を多くすると 耐凍害性の増大やワーカビリティーの改善には役立つが 強度の低下を生じる そのため 耐凍害性が得られる範囲内でなるべく小さくする 解 -24

T76190 建設材料工学 (2) :2.(1) 5.(2) の解説参照 施工に支障のない範囲で できるだけ大きくする (3) : 水は コンクリートの構成成分の中で流動性を持たせるための成分であり 単位水量が増せばスランプは大きくなる しかし過大になると ひび割れの発生や耐久性の低下を著しく促すため 所要のスランプが得られる範囲内でできるだけ小さくする (4) : 最適細骨材率は 骨材の形状 粒度 粗骨材の最大寸法 混和材料の有無などによって異なり 所要のワーカビリティーが得られる範囲内で 単位水量が最小となるように試験によって定める 9. (1) : 細骨材率が大きくなると空気量が増すため 所要の空気量を確保するためには AE 剤の使用量を減少させることになる (2) : 粗骨材中の砕石の混合率を大きくすると 粗骨材の実積率は小さくなり所要のスランプを得るための単位水量は増大する 7.(2) の解説も参照 (3) : 粗骨材の実積率が小さくなると 同等のワーカビリティーを確保するためには 細骨材率を大きくする必要がある 6.(2)(3) 7.(3) の解説も参照 (4) : 細骨材の実績率が大きくなると 同等のワーカビリティーを確保するためには 細骨材率を大きくする必要がある 10. (1) : 粗骨材の最大寸法は 構造物の種類 部材の最小寸法 鉄筋の最小あき かぶりなどを考慮して定める (2) : 試験練りでは 運搬中に生じるコンクリートの品質変化 ( 例えば スランプ低下や空気量の変化 ) を考慮して単位水量を定める (3) :1.(2) の解説参照 割増しを 加える のではなく割増し係数を 乗じる (4) :8.(4) の解説参照 11. (1) : 質量比ではなく 容積比 である (2) : 示方配合どおりの単位水量を厳格に管理するには 使用する骨材の含水状態 5mm 超の細骨材量 5mm 以下の粗骨材量 混和剤の希釈水量を考慮する必要がある (3) :9.(3) の解説参照 12. (1) : 水セメント比と単位セメント量から 単位水量 =329 0.52=171kg/m 3 となる (2) : 全骨材容積 =1000l -(171+329/3.16+45)=680l/m 3 単位細骨材量 =680 0.44 2.55=763.0kg/m 3 (3) : 単位粗骨材量 =680 (1-0.44) 2.65=1,009kg/m 3 (4) : 単位容積質量 =171+329+763+1,009=2,272kg/m 3 解 -25

演習問題 解答 13. 単位セメント量 =180 0.55=327kg/m 3 全骨材容積 =1,000l -(180+327/3.15+45)=671l/m 3 単位細骨材量 =671 0.48 2.59=834.2kg/m 3 細骨材の計量値 =834.2 1.05=875.9kg 876kg 単位粗骨材量 =671 (1-0.48) 2.64=921.1kg/m 3 粗骨材の計量値 =921.1 1.005=925.75kg 926kg 水の計量値 =180-834.2 0.05-921.1 0.005=133.68kg 134kg (1) が誤り 14. (1) : 水セメント比と単位水量から 単位セメント量 =170 0.5=340kg/m 3 (2) : 全骨材容積 =1000l -(170+340/3.15+50)=672 l/m 3 単位細骨材量 =672 0.43 2.57=742.6 kg/m 3 743kg/m 3 (3) : 単位粗骨材量 =672 (1-0.43) 2.67=1,022.7 kg/m 3 1,023kg/m 3 (4) : 単位容積質量 =170+340+743+1,023=2,276 kg/m 3 15. < 修正前の配合 > 全骨材容積 =1,000-157-314/3.14-50=693 l/m 3 細骨材と粗骨材の密度が同じなので, 骨材密度 =(721+1081)/693=2.6 kg/l 細骨材率は変えないことと, 密度が同じであることから, 細骨材率 =(721/2.6) (721/2.6+1081/2.6)=721 (721+1081)=0.4(=40%) < 修正 > スランプ 5cm 増 (7cm 12cm) の修正を行うと 単位水量は 5 1.2=6% の増加 < 修正後の配合 > 単位水量 =157 1.06=166.4 kg/m 3 166 kg/m 3 単位セメント量 =166.4 0.5=332.8 kg/m 3 333 kg/m 3 全骨材容積 =1,000-166.4-332.8/3.14-50=677.6 l/m 3 単位細骨材量 =677.6 0.4 2.6=704.7 kg/m 3 705 kg/m 3 単位粗骨材量 =677.6 (1-0.4) 2.6=1,057.0 kg/m 3 1,057 kg/m 3 16. 圧縮強度の割増し係数 =1/(1-1.645 8.5/100)=1.1625 1.163 配合強度 =30 1.163=34.89 N/mm 2 35 N/mm 2 水セメント比 =24.2 (35+13.0)=0.504 50 % 単位セメント量 =158 0.5=316 kg/m 3 全骨材容積 =1,000-158-316/3.15-45=696.68 l/m 3 細骨材率 =(730/2.60) 696.68=0.403=40.3 % 単位粗骨材量 =(696.68-(730/2.60)) 2.65=1,102.1 kg/m 3 1,102 kg/m 3 解 -26