今月の野菜 トマトの需給動向 調査情報部 主要産地 2 4 月 ~11 月 トマト ( 産 ) 7 岐阜県周年 8 福島県 7 月 ~ 1 月上旬 6 県周年 3 茨城県 2 月 ~ 7 月中旬 8 月下旬 ~ 11 月 4 県周年 トマト ( 産 ) 1 県周年 5 県 1 月 ~7 月 9 群馬県 5 月 ~8 月 1 長野県 6 月下旬 ~ 1 月上旬 資料 : 農林水産省 平成 27 年産野菜生産出荷統計 注 : 図中の番号は収穫量の多い順番 期間は主な出荷期間を表している トマトは 栄養豊かな野菜として広く料理に使われ 世界で最も愛されている野菜の一つといわれている 南米にあるアンデス山脈の西側のペルー エクアドル ボリビアにかけての高原が原産地といわれ コロンブスの新大陸発見によってヨーロッパ各地へと伝わった 当初はもっぱら観賞植物として栽培され 食用とされるようになったのは19 世紀になってからのことである イタリアやギリシャを中心に いろいろなトマト料理や調味料的加工品が作られるようになり 世界的な野菜となっていった オランダ人によって日本に伝わったのは江戸時代初期で 当時は観賞用や薬用として用いられた 明治時代になり から品種改良されたトマトが伝わったが 酸味が強く香りもきつかったため 当時の食生活に根づくことはなかった その後 戦後の食の洋風化とともに 栽培技術が発展して品種改良も進んだ結果 消費量は急速に拡大した トマトは 果皮の色によって桃色系トマト 赤色系トマト 黄色系トマトの3つに大別される 桃色系トマトは 甘みに富み酸味やトマト臭が少なく 生食用に利用される 赤色 野菜情報 28 217.4
系および黄色系は酸味と甘みが強く ジュー スや加熱調理用に使われる 日本では生食が 中心のため 桃色系が主流となっている 特 に 完熟させてから収穫できるように品種改 良された桃色系トマトである完熟系大玉トマ トが 現在では最も多く出回っている 作付面積 出荷量 単収の推移 平成 27 年の作付面積は 1 万 21ヘクタール ( 前年比 1.%) と 前年と同様である 上位 5 道県では 県 125ヘクタール ( 同 13.3%) 茨城県 937ヘクタール ( 同 99.7%) 879ヘクタール ( 同 11.%) 県 826ヘクタール ( 同 99.5%) 県 511ヘクタール ( 同 98.3%) となっている 作付面積の推移 ( ヘクタール ) 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 平成 2 21 22 23 24 25 26 27 資料 : 農林水産省 平成 27 年産野菜生産出荷統計 茨城 27 年の出荷量は 65 万 34トン ( 前年比 98.2%) と 前年よりわずかに減少した 上位 5 道県では 県 12 万 21トン ( 同 1.2%) 5 万 67トン ( 同 97.6%) 茨城県 4 万 41トン ( 同 96.9%) 県 3 万 88トン ( 同 93.7%) 県 3 万 82トン ( 同 89.%) となっている 出荷量の推移 8 7 6 5 4 3 2 1 平成 2 21 22 23 24 25 26 27 資料 : 農林水産省 平成 27 年産野菜生産出荷統計 茨城 出荷量上位 5 道県について 1アール当たりの収量を見ると 県の1.1トンが最も多く 次いで県の7.95トン の7.2トンと続いている の県で多いのは 県 (9.42トン) 福岡県(8.83 トン ) であり 全国平均は6.1トンとなっている ( トン /1a) 12 1.1 1 8 6 4 平成 27 年の主産地の単収 9.42 7.95 7.2 5.25 5.5 8.83 6.1 2 茨城福岡全国 資料 : 農林水産省 平成 27 年産野菜生産出荷計 注 : 黄色は 出荷量上位 5 道県以外で単収が多い 2 県および全国平均 野菜情報 29 217.4
作付けされている主な品種等 量販店などには 通常 ミニトマトも含めて2 種から25 種のトマトが並ぶといわれている そうした消費者のさまざまな好みや作型 栽培環境などに応じて トマトの品種は多数存在する また 特定の品種ではないが 水やりを抑えるなど特別な栽培法で甘みを引 き出したフルーツトマトが注目を集めている 比較的多くの産地で作付けされているりんか49は トマトモザイクウイルスや萎凋病などへの耐病性やネマトーダへの耐虫性を持ち 着果性の良い品種である 都道府県名 主な品種 県 りんか 49 桃太郎ピース 桃太郎ホープ アニモ CF 桃太郎ファイト りんか 49 桃太郎ギフト 桃太郎ファイト 茨城県 麗容 麗旬 桃太郎ピース りんか 49 県 麗容 桃太郎はるか りんか 49 桃太郎グランデ 県 りんか 49 麗旬 みそら 64 桃太郎ヨーク 資料 : 農畜産業振興機構の関係者聞き取りによる 東京都 大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績 東京都中央卸売市場の月別入荷実績 ( 平成 27 年 ) を見ると 年間を通じて他の品目よ り比較的多くの産地から入荷している 冬か ら春にかけては産を中心に産 産などの入荷が見られ 夏から秋にかけては 産や青森産などが中心となっている ( トン ) 12, 平成 27 年トマト ( トマト + ミニトマト ) の月別入荷実績 ( 東京都中央卸売市場計 ) 1, 8, 6, 4, 2, (6) 宮崎 (6) (11) (23) (5) 宮崎 (7) (44) (35) (26) (5) 宮崎 (7) (31) (26) 宮崎 (6) (6) (19) (3) (26) 茨城 (7) (9) (2) (25) (3) 茨城 (19) (44) 岩手 (9) 福島 (9) 茨城 (11) (11) 青森 (24) 岩手 (9) 群馬 (1) 福島 青森 (2) (21) (26) (34) 茨城 (11) 福島福島 (9) (1) 青森 青森 (2) 茨城 (19) (2) (4) 茨城 (8) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 平成 27 年東京都中央卸売市場年報 ) 注 :( ) 内の数値は 月別入荷量全体に占める割合 (%) である (38) 静岡 (6) (8) (8) (46) ( 月 ) 野菜情報 3 217.4
大阪中央卸売市場の月別入荷実績 ( 平成 27 年 ) を見ると 東京都中央卸売市場と比 べて入荷トップ産地の全体に占める割合が多 い 冬から春にかけては産が全体の 6% 以上を占め 7 月から 9 月にかけては 産が 4% 前後を占めている ( トン ) 4, 平成 27 年トマト ( トマト + ミニトマト ) の月別入荷実績 ( 大阪中央卸売市場計 ) 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 和歌山 (5) (7) 福岡 和歌山 (7) 和歌山 (6) 福岡 9) 福岡 (64) (64) (65) (4) 和歌山 (4) 福岡 (66) 和歌山 (4) (5) 福岡 (61) (25) (6) 福岡 (7) 石川 (9) (39) (3) 奈良 (4) 石川 (8) (8) 岐阜 (1) (41) 岐阜 (33) (46) 石川 (5) 岐阜 (33) (39) (3) 福岡 (4) 石川 (7) 岐阜 (21) (21) (22) (4) 和歌山 (5) 石川 (7) (1) 徳島 (4) 福岡 (5) (5) 和歌山 (8) (62) (68) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 ( 月 ) 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 平成 27 年大阪市 大阪府中央卸売市場年報 ) 注 :( ) 内の数値は 月別入荷量全体に占める割合 (%) である 東京都中央卸売市場における価格の推移 東京都中央卸売市場の価格 ( 平成 27 年 ) を見ると トマトは1キログラム当たり292 514 円 ( 年平均 371 円 ) ミニトマトは1 キログラム当たり551 93 円 ( 年平均 683 円 ) の幅で推移している 年による差はあるものの 3 月や4 月から下げ基調が続いて6 月には最安値となり その後に上昇する傾向にある ( 円 /kg) 1, 9 8 7 6 5 4 3 2 1 卸売価格の月別推移 ( トマト ) トマト 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 ミニトマト 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 ( 月 ) 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 東京都中央卸売市場 市場月報 ) 野菜情報 31 217.4
輸入量の推移 トマトの輸入量を見ると 生鮮に比べて加工品が圧倒的に多く 平成 28 年は生鮮の 7383トンに対し 加工品は23 万 287トンである 生鮮トマトの輸入量は 25 年をピークに減少傾向にあったが28 年は増加に転じており 一定の水準を維持している また トマト加工品は24 年をピークに漸減している 28 年の国別輸入量を見ると 生鮮では韓国が5% 以上 ニュージーランドが約 16% を占めている 加工品ではイタリアが4% 以上を占め 中国と続いている トマト ( 生鮮 ) の輸入量の推移 1 8 6 4 2 平成 21 22 23 24 25 26 27 28 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 財務省 貿易統計 ) 5 3 トマト加工品輸入量の推移 トマトピューレ等関割 ピューレ等関割以外 トマトケチャップ トマトソース トマトジュース 混合野菜ジュース のトマト加工品 25 2 15 1 5 平成 21 22 23 24 25 26 27 28 21 22 23 24 25 26 27 28 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 財務省 貿易統計 ) ニューシ ーラント 187 8.% 平成 21 年トマト ( 生鮮 ) メキシコ 38 1.6% 国別輸入量 カナダ 72 9.5% 平成 28 年トマト ( 生鮮 ) オランダ 438 5.9% メキシコ 296 4.% カナダ 431 18.4% 788 33.7% 合計 トン 韓国 894 38.2% 1,17 13.8% ニューシ ーラント 1,191 16.1% 合計 トン 韓国 3,74 5.7% 野菜情報 32 217.4
ポルトガル 13,543 トルコ 7% 15,249 8% 25,916 13% 平成 21 年トマト加工品 チリ 5,61 3% 11,21 5% 合計 トン 中国 41,75 21% イタリア 86,225 43% ポルトガル 22,664 9.8% トルコ 11,185 4.9% スペイン 13,461 5.8% 中国 25,11 1.9% 平成 28 年トマト加工品 19,77 8.6% 合計 トン 35,653 15.5% イタリア 12,543 44.5% 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 財務省 貿易統計 ) 消費の動向 トマトの1 人当たり年間購入量は トマトブームの影響もあって平成 23 年から増加傾向にあり 25 年以降は4グラム台と 安定した推移を見せている トマトはそのまま生食でき 一度にたくさん食べられるため 栄養分を摂取しやすい野菜である トマトの赤色の成分はリコピンで 活性酸素を除去する抗酸化作用があり 老化の進行を抑制するほか がんや動脈硬化を予防する働きがある リコピンは熱に強く 煮 たり焼いたりしても抗酸化力が低下しにくい また コラーゲンの生成を促し美肌効果が期待できるビタミンCや 体内のナトリウムの排出を促すカリウムも含んでいる さらに 酸味の主な成分であるクエン酸は 食欲を増進させる働きがあるため 食欲の低下しがちな暑い時期に取り入れると効果的である さまざまな効能を持つトマトは 生食はもちろん いろいろな調理にも上手に使い 健康増進に役立てたい野菜である トマトの 1 人当たり年間購入量の推移 ( グラム ) 5, 4,5 4, 3,5 3,748 3,544 3,675 3,752 4,22 4,64 4,68 4, 3, 2,5 2, 平成 21 22 23 24 25 26 27 28 資料 : 農畜産業振興機構 ベジ探 ( 原資料 : 総務省 家計調査年報 ) 野菜情報 33 217.4