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平成 30 年 8 月 6 日 報道機関各位 東京工業大学 東北大学 日本工業大学 高出力な全固体電池で超高速充放電を実現全固体電池の実用化に向けて大きな一歩 要点 5V 程度の高電圧を発生する全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現 14 ma/cm 2 の高い電流密度での超高速充放電が可能に 界面形

PRESS RELEASE (2015/10/23) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

詳細な説明 研究の背景 フラッシュメモリの限界を凌駕する 次世代不揮発性メモリ注 1 として 相変化メモリ (PCRAM) 注 2 が注目されています PCRAM の記録層には 相変化材料 と呼ばれる アモルファス相と結晶相の可逆的な変化が可能な材料が用いられます 通常 アモルファス相は高い電気抵抗

報道機関各位 平成 30 年 6 月 11 日 東京工業大学神奈川県立産業技術総合研究所東北大学 温めると縮む材料の合成に成功 - 室温条件で最も体積が収縮する材料 - 〇市販品の負熱膨張材料の体積収縮を大きく上回る 8.5% の収縮〇ペロブスカイト構造を持つバナジン酸鉛 PbVO3 を負熱膨張物質

報道関係者各位 平成 24 年 4 月 13 日 筑波大学 ナノ材料で Cs( セシウム ) イオンを結晶中に捕獲 研究成果のポイント : 放射性セシウム除染の切り札になりうる成果セシウムイオンを効率的にナノ空間 ナノの檻にぴったり収容して捕獲 除去 国立大学法人筑波大学 学長山田信博 ( 以下 筑

記者発表開催について

振動発電の高効率化に新展開 : 強誘電体材料のナノサイズ化による新たな特性制御手法を発見 名古屋大学大学院工学研究科 ( 研究科長 : 新美智秀 ) 兼科学技術振興機構さきがけ研究者の山田智明 ( やまだともあき ) 准教授らの研究グループは 物質 材料研究機構技術開発 共用部門の坂田修身 ( さか


QOBU1011_40.pdf

配信先 : 東北大学 宮城県政記者会 東北電力記者クラブ科学技術振興機構 文部科学記者会 科学記者会配付日時 : 平成 30 年 5 月 25 日午後 2 時 ( 日本時間 ) 解禁日時 : 平成 30 年 5 月 29 日午前 0 時 ( 日本時間 ) 報道機関各位 平成 30 年 5 月 25

平成 30 年 1 月 5 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 低温で利用可能な弾性熱量効果を確認 フロンガスを用いない地球環境にやさしい低温用固体冷却素子 としての応用が期待 発表のポイント 従来材料では 210K が最低温度であった超弾性注 1 に付随する冷却効果 ( 弾性熱量効果注 2

【最終版・HP用】プレスリリース(徳永准教授)

ポイント 太陽電池用の高性能な酸化チタン極薄膜の詳細な構造が解明できていなかったため 高性能化への指針が不十分であった 非常に微小な領域が観察できる顕微鏡と化学的な結合の状態を調査可能な解析手法を組み合わせることにより 太陽電池応用に有望な酸化チタンの詳細構造を明らかにした 詳細な構造の解明により

マスコミへの訃報送信における注意事項

AlGaN/GaN HFETにおける 仮想ゲート型電流コラプスのSPICE回路モデル

1 薄膜 BOX-SOI (SOTB) を用いた 2M ビット SRAM の超低電圧 0.37V 動作を実証 大規模集積化に成功 超低電圧 超低電力 LSI 実現に目処 独立行政法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 ( 理事長古川一夫 / 以下 NEDOと略記 ) 超低電圧デバイス技術研究組合(

高集積化が可能な低電流スピントロニクス素子の開発に成功 ~ 固体電解質を用いたイオン移動で実現低電流 大容量メモリの実現へ前進 ~ 配布日時 : 平成 28 年 1 月 12 日 14 時国立研究開発法人物質 材料研究機構東京理科大学概要 1. 国立研究開発法人物質 材料研究機構国際ナノアーキテクト

背景と経緯 現代の電子機器は電流により動作しています しかし電子の電気的性質 ( 電荷 ) の流れである電流を利用した場合 ジュール熱 ( 注 3) による巨大なエネルギー損失を避けることが原理的に不可能です このため近年は素子の発熱 高電力化が深刻な問題となり この状況を打開する新しい電子技術の開

富士通セミコンダクタープレスリリース 2009/05/19

記者発表資料

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【NanotechJapan Bulletin】10-9 INNOVATIONの最先端<第4回>

機械学習により熱電変換性能を最大にするナノ構造の設計を実現

報道機関各位 平成 27 年 8 月 18 日 東京工業大学広報センター長大谷清 鰭から四肢への進化はどうして起ったか サメの胸鰭を題材に謎を解き明かす 要点 四肢への進化過程で 位置価を持つ領域のバランスが後側寄りにシフト 前側と後側のバランスをシフトさせる原因となったゲノム配列を同定 サメ鰭の前

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論文の内容の要旨

酸化グラフェンのバンドギャップをその場で自在に制御

1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

sample リチウムイオン電池の 電気化学測定の基礎と測定 解析事例 右京良雄著 本書の購入は 下記 URL よりお願い致します 情報機構 sample

報道機関各位 平成 30 年 5 月 14 日 東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター 株式会社アドバンテスト アドバンテスト社製メモリテスターを用いて 磁気ランダムアクセスメモリ (STT-MRAM) の歩留まり率の向上と高性能化を実証 300mm ウェハ全面における平均値で歩留まり率の

平成 28 年 6 月 3 日 報道機関各位 東京工業大学広報センター長 岡田 清 カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムを開発 - 次世代画像センシングに向けオリンパスと共同開発 - 要点 可視光と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子の開発 撮像データをリアルタイムで処理する

互作用によって強磁性が誘起されるとともに 半導体中の上向きスピンをもつ電子と下向きスピンをもつ電子のエネルギー帯が大きく分裂することが期待されます しかし 実際にはこれまで電子のエネルギー帯のスピン分裂が実測された強磁性半導体は非常に稀で II-VI 族である (Cd,Mn)Te において極低温 (

1. 概要有機半導体は 現在 主に用いられているシリコンなどの無機半導体と比べて以下の特長があり 次世代トランジスタなどエレクトロニクス素子への応用開発研究が盛んに行われています 1 塗布法 印刷法といった簡便かつ比較的低温での作製が容易 2 薄型 3 低コスト 4 プラスティック RFID タグや

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Micro Fans & Blowers Innovation in Motion マイクロファン & ブロワー 有限会社シーエス技研 PTB 事業部東京オフィス 千葉県市原市辰巳台西

実験題吊  「加速度センサーを作ってみよう《

新技術説明会 様式例

平成 28 年 10 月 25 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 熱ふく射スペクトル制御に基づく高効率な太陽熱光起電力発電システムを開発 世界トップレベルの発電効率を達成 概要 東北大学大学院工学研究科の湯上浩雄 ( 機械機能創成専攻教授 ) 清水信 ( 同専攻助教 ) および小桧山朝華

世界最高面密度の量子ドットの自己形成に成功

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富士通セミコンダクタープレスリリース 2013/04/22

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報道発表資料 2000 年 2 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 北海道大学 新しい結晶成長プロセスによる 低欠陥 高品質の GaN 結晶薄膜基板作製に成功 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は 北海道大学との共同研究により 従来よりも低欠陥 高品質の窒化ガリウム (GaN) 結晶薄膜基板

背景光触媒材料として利用される二酸化チタン (TiO2) には, ルチル型とアナターゼ型がある このうちアナターゼ型はルチル型より触媒活性が高いことが知られているが, その違いを生み出す要因は不明だった 光触媒活性は, 光吸収により形成されたキャリアが結晶表面に到達して分子と相互作用する過程と, キ

研究成果報告書(基金分)

研究の背景有機薄膜太陽電池は フレキシブル 低コストで環境に優しいことから 次世代太陽電池として着目されています 最近では エネルギー変換効率が % を超える報告もあり 実用化が期待されています 有機薄膜太陽電池デバイスの内部では 図 に示すように (I) 励起子の生成 (II) 分子界面での電荷生

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平成 27 年 7 月 1 日 報道機関各位 国立大学法人広島大学国立大学法人東北大学千葉工業大学公益財団法人高輝度光科学研究センター 月表層の岩石試料 ( アポロ試料 ) から高圧相を世界で初めて発見 ポイント アポロ計画で回収された月表層の岩石試料から 世界で初めてシリカ (SiO 2 ) の高

マスコミへの訃報送信における注意事項

2 磁性薄膜を用いたデバイスを動作させるには ( 磁気記録装置 (HDD) を例に ) コイルに電流を流すことで発生する磁界を用いて 薄膜の磁化方向を制御している

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京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより

PRESS RELEASE (2017/6/2) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

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共同開発研究の中核として 研究開発を進めている 研究内容と成果 2 種類のシリコン結晶をひとつのウエハー内に持つという SOI 構造 ( 図 1) の特長を最大限に活かした 高い放射線検出効率を持った信号処理回路一体型の微細ピクセルセンサーを実現した ( 図 2 図 3) 開発した SOI ピクセル

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「世界初、高出力半導体レーザーを8分の1の狭スペクトル幅で発振に成功」

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マスコミへの訃報送信における注意事項

IB-B

背景 現代社会を支えるコンピューティングや光通信では, 情報の担い手として, 電子の電荷と, その電荷を変換して生成した光 ( 光電変換 ) を利用しています このような通常の情報処理に用いる電荷以外に, 電子にはスピンという状態があります このスピンの集団は磁石の性質を持ち, 情報の保持に電力が不

研究の背景これまで, アルペンスキー競技の競技者にかかる空気抵抗 ( 抗力 ) に関する研究では, 実際のレーサーを対象に実験風洞 (Wind tunnel) を用いて, 滑走フォームと空気抵抗の関係や, スーツを含むスキー用具のデザインが検討されてきました. しかし, 風洞を用いた実験では, レー

非磁性原子を置換することで磁性・誘電特性の制御に成功

共同研究グループ理化学研究所創発物性科学研究センター強相関量子伝導研究チームチームリーダー十倉好紀 ( とくらよしのり ) 基礎科学特別研究員吉見龍太郎 ( よしみりゅうたろう ) 強相関物性研究グループ客員研究員安田憲司 ( やすだけんじ ) ( 米国マサチューセッツ工科大学ポストドクトラルアソシ

Akita University 氏名 ( 本籍 ) 若林 誉 ( 三重県 ) 専攻分野の名称 博士 ( 工学 ) 学位記番号 工博甲第 209 号 学位授与の日付 平成 26 年 3 月 22 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 研究科 専攻 工学資源学研究科 ( 機能物質工学

CMOS カメラを用いた強誘電薄膜のドメイン可視化技術 強誘電ドメイン壁の 3 次元構造を捉える 1. 発表者 : 上村洋平 ( 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程 1 年生 ) 荒井俊人 ( 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻講師 ) 長谷川達生 ( 東京大学大学院工学系研究科物理

平成22年11月15日

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

本研究成果は 平成 28 年 8 月 19 日 ( 米国東部時間 ) に米国化学会誌 Journal of the American Chemical Society のオンライン速報版で公開されました 研究の背景と経緯 超伝導現象はゼロ抵抗や完全反磁性 ( 注 2) を示す科学の観点から重要な物理

平成 28 年 12 月 1 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院工学研究科 マンガンケイ化物系熱電変換材料で従来比約 2 倍の出力因子を実現 300~700 の未利用熱エネルギー有効利用に期待 概要 東北大学大学院工学研究科の宮﨑讓 ( 応用物理学専攻教授 ) 濱田陽紀 ( 同専攻博士前期

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平成 27 年 12 月 11 日 報道機関各位 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (AIMR) 東北大学大学院理学研究科東北大学学際科学フロンティア研究所 電子 正孔対が作る原子層半導体の作製に成功 - グラフェンを超える電子デバイス応用へ道 - 概要 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (

2θχ/φ scan λ= å Al 2 (11-20) Intensity (a. u.) ZnO(<1nm)/MgO(0.8nm)/Al 2 MgO(0.8nm)/Al 2 WZ-MgO(10-10) a=3.085å MgZnO(10-10) a=3.101å

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世界初! 細胞内の線維を切るハサミの機構を解明 この度 名古屋大学大学院理学研究科の成田哲博准教授らの研究グループは 大阪大学 東海学院大学 豊田理化学研究所との共同研究で 細胞内で最もメジャーな線維であるアクチン線維を切断 分解する機構をクライオ電子顕微鏡法注 1) による構造解析によって解明する

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がら この巨大な熱電効果の起源は分かっておらず 熱電性能のさらなる向上に向けた設計指針 は得られていませんでした 今回 本研究グループは FeSb2 の超高純度単結晶を育成し その 結晶サイズを大きくすることで 実際に熱電効果が巨大化すること またその起源が結晶格子の振動 ( フォノン 注 2) と

Microsoft Word - プレリリース参考資料_ver8青柳(最終版)

鉱物と類似の構造を持つ白雲母の鉱物表面に挟まれた塩化ナトリウム (NaCl) 水溶液が 厚さ 1 ナノメートル ( 水分子約 3 個分の厚み ) 以下まで圧縮されても著しい潤滑性を示すことを実験的に明らかにしてきました しかし そのメカニズムについては解明されておらず 世界的にも存在が珍しいクリープ

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柔軟で耐熱性に優れたポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体

体状態を保持したまま 電気伝導の獲得という電荷が担う性質の劇的な変化が起こる すなわ ち電荷とスピンが分離して振る舞うことを示しています そして このような状況で実現して いる金属が通常とは異なる特異な金属であることが 電気伝導度の温度依存性から明らかにされました もともと電子が持っていた電荷やスピ

平成 30 年 8 月 17 日 報道機関各位 東京工業大学広報 社会連携本部長 佐藤勲 オイル生産性が飛躍的に向上したスーパー藻類を作出 - バイオ燃料生産における最大の壁を打破 - 要点 藻類のオイル生産性向上を阻害していた課題を解決 オイル生産と細胞増殖を両立しながらオイル生産性を飛躍的に向上

A4パンフ

等価回路図 絶対最大定格 (T a = 25ºC) 項目記号定格単位 入力電圧 1 V IN 15 V 入力電圧 2 V STB GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電圧 V GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電流 I 120 ma 許容損失 P D 200 mw 動作温度範囲 T o

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リチウムイオン電池用シリコン電極の1粒子の充電による膨張の観察に成功

TC74HC00AP/AF

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Chapter 1

平成 28 年 12 月 27 日 科学技術振興機構 ( J S T ) 有機 EL ディスプレイの電子注入層と輸送層用の新物質を開発 ~ 有機 EL ディスプレイの製造への活用に期待 ~ ポイント 金属リチウムと同じくらい電子を放出しやすく安定な物質と 従来の有機輸送層よりも 3 桁以上電子が動き

TC74HC14AP/AF

Gifu University Faculty of Engineering

円筒型 SPCP オゾナイザー技術資料 T ( 株 ) 増田研究所 1. 構造株式会社増田研究所は 独自に開発したセラミックの表面に発生させる沿面放電によるプラズマ生成技術を Surface Discharge Induced Plasma Chemical P

ナノテク新素材の至高の目標 ~ グラフェンの従兄弟 プランベン の発見に成功!~ この度 名古屋大学大学院工学研究科の柚原淳司准教授 賀邦傑 (M2) 松波 紀明非常勤研究員らは エクス - マルセイユ大学 ( 仏 ) のギー ルレイ名誉教授らとの 日仏国際共同研究で ナノマテリアルの新素材として注

POCO 社の EDM グラファイト電極材料は 長年の技術と実績があり成形性や被加工性が良好で その構造ならびに物性の制御が比較的に容易であることから 今後ますます需要が伸びる材料です POCO 社では あらゆる工業製品に対応するため 各種の電極材料を多数用意しました EDM-1 EDM-3 EDM

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2015 年 7 月 27 日 報道機関各位 国立大学法人東京工業大学国立大学法人東北大学 強誘電体の極薄単結晶膜を世界で初めて作製 超高密度新規メモリーで長時間使えるスマホ実現に道 東京工業大学元素戦略研究センター ( センター長細野秀雄教授 ) の清水荘雄特任助教と同センター兼総合理工学研究科の舟窪浩教授 東北大学金属材料研究所の今野豊彦教授と木口賢紀准教授らの研究グループは 極薄膜でも特性が劣化しない強誘電体エピタキシャル膜 ( 結晶方位が揃った単結晶膜 ) の作製に世界で初めて成功した 強誘電体膜の組成を検討して選択するとともに 薄膜を成長させる基材の結晶構造とその単位格子の長さを工夫することにより達成した これによって従来 安定した特性の強誘電体膜が得られないためにできなかった超高密度メモリーなど新規デバイスの作製が可能になり 高性能で電池が飛躍的に長持ちするスマートフォンなどの実現が期待される また薄くなるほど特性が劣化するとされた強誘電体の サイズ効果 を覆すもので 逆サイズ効果 特性の起源解明や新物質探索の加速につながる成果だ 最近 強誘電体の薄膜も見つかっていたが 多結晶であり 不純物相も存在するため 安定した特性を得ることが難しい状況だった 今回の研究成果は応用物理分野で影響の大きい学術誌 アプライド フィジックス レターズ (Applied Physics Letters) オンライン版に 7 月 24 日付で掲載された 研究の背景強誘電体は電源を切っても電圧をかけた方向によって 2 つの安定した状態が実現するため データーが保存できるメモリーとして広く実用化されており 電車の IC カードなどで使用されている また強誘電体は力によって電圧を発生したり電気信号により大きさが変化したりする圧電性 ( 用語 1) を併せ持つため ガスコンロの着火器 加湿器のミストの作製 さらにインクジェットプリンタや 3 次元プリンタで使用されるマイクロデバイス (Micro Electro Mechanical Systems MEMS 用語 2) の動力源として利用されている これ以外にも 高性能でありながら電池が長もちするコンピュータが期待されているが これらは現在までに実用化されていない これらの実現のために不可欠な薄い強誘電体膜が作製できないことがその最大の理由である 強誘電体は薄くしていくと特性が低下する サイズ効果 があることが広く知られており 過去 50 年以上にわたって多くの研究者や企業がこの問題に取り組んできたが 解決できていない 1

4 年前に 極微細なトランジスタの絶縁体として広く使われている酸化ハフニウム基物質で これまで不可能と考えられていた薄さで強誘電性が発現することが報告され また 薄いほど特性が良くなる 逆サイズ効果 が見いだされて 大きな注目を集めた ( 図 1) 図 1 酸化ハフニウム基物質で発見された強誘電性の膜厚依存性 ( 赤 ) 従来研究された物質 ( 図の黒 ) が 膜厚が薄くなるほど強誘電性が劣化する サイズ効果 を有しているのに対し 酸化ハフニウム基物質 ( 図の赤 ) では薄くなるほど強誘電性が向上する 逆サイズ効果 を有している しかしこの特性の起源は明らかになっていない だが これまでに報告されている強誘電体は さまざまな方位を向いた粒の集合体 ( 多結晶 ) であり 不純物相も存在するため 安定した特性を得ることが難しい状況だった このため 強誘電性の 逆サイズ効果 の起源についてもほとんど解明されていなかった 強誘電性は結晶の特定の方位に発現するため 非常に薄い強誘電体を用いたデバイスを実用化するためには 結晶方位が揃った単結晶膜の作製が不可欠になる しかしこれまで非常に薄い単結晶膜を作製することはできていなかった 研究手法 成果東工大の清水特任助教らのグループは 強誘電体膜の組成を状態図から再度検討して最適化した Y2O3 を置換した HfO2 を選択するとともに 薄膜を成長させる基材の結晶構造およびその格子の長さを工夫することで 15 ナノメーター (100 万分の 15 ミリ ) まで薄くても特性が劣化しない強誘電体単結晶膜の作製に成功した ( 図 2) また この単結晶膜を用いることで 強誘電体相が 400 以上の高温まで安定に存在することを世界で初めて明らかにした ( 図 3) このことから 広い温度範囲での使用が可能であることが分かった 2

膜 基板 図 2. 作製に成功した単結晶 HfO2 基強誘電体の高分解能像とそのイオンの配列ハフニウムイオン イットリウムイオンおよび酸化物イオンの配列が走査透過電子顕微鏡像で直接確認できる 図 3 強誘電体の XRD 回折強度の温度依存性強誘電相の回折強度が 400 まで確認でき 強誘電体相が 400 以上まで安定して存在できることを明らかにしました 期待される波及効果今回の研究成果は 以下のような波及効果が期待される a) 夢のメモリー 強誘電体メモリーの高容量化の実現強誘電体メモリーは USB メモリーのように電源を切ってもデーターが保存でき USB メモリーより高速で動作できることから 夢のメモリー として IC カードなどで実用化されている しかし多くの情報を入力して管理することを可能にする大容量のメモリーは現在までできていない 今回の研究成果は 電源を切ってもデーターが保持でき 高速動作できる 夢のメモリー の高密度化が実現する b) 新規デバイスの実現強誘電体はこれまで薄くすると特性が劣化する サイズ効果 によって 薄膜を用いたデバイスができなかったが 結晶方位の揃った強誘電体単結晶膜が得られたことで 以下のデバイスの実現が期待できる 1 超高密度新規メモリー抵抗変化型メモリー (Resistance Random Access Memory ReRAM 用語 3) は 消費電力が小さく 大容量化が期待できるとして さまざまな物質が検討されてきたが 安定した動作と信頼性の確保が難しいことから 本格的な普及には至っていない 3

強誘電体は電源を切った時に 2 つの状態が実現し 抵抗値も異なる 従って強誘電体を用いた抵抗変化型メモリーの基本アイデアは 50 年以上前に提案されていた しかし強誘電体を用いた抵抗変化型メモリーを実現するには 非常に薄い強誘電体層が必要なため ほとんど検討されてこなかった 今回の成果により 強誘電体抵抗変化メモリーの実用化研究が始まる 2 高性能で電池の寿命が飛躍的に延びたスマートフォン現在のスマートフォンやノートパソコンなどは 性能を重視すると電池の消費量が大きくなるため 電池をもたせて数時間使えるように性能を落として使用している そのため低消費電力でも高速で動作する新しい演算素子が必要とされている 極薄膜でも安定した強誘電性が得られると 高性能で使用しても消費電力が低く 電池の持ちの良い新タイプのトランジスタを作製することが可能となる これによって 高性能で電池の寿命が飛躍的に延びたスマートフォンやノートパソコンが実現できる c) 逆サイズ効果 を有する強誘電性の起源の解明と新物質探索の加速 2011 年に見つかった酸化ハフニウムを基本組成とする強誘電体は これまで多結晶のみしか得られておらす 単相も得られていなかった そのために 薄いほど特性が向上する 逆サイズ効果 がなぜ発現するのかは明らかになっていない 単結晶が得られたことで こうした基礎的な知見が明らかになり 酸化ハフニウム基強誘電体の 逆サイズ効果 特性の起源解明が期待できる また新物質の開発の知見になると考えられ 新物質の探索が加速する 論文情報 題名 :Growth of epitaxial orthorhombic YO 1.5 -substituted HfO 2 thin film 日本語訳 : 斜方晶 YO 1.5 置換 HfO 2 エピタキシャル薄膜の成長著者 :Takao Shimizu, Kiliha Katayama, Takanori Kiguchi, Akihiro Akama, Toyohiko J. Konno, and Hiroshi Funakubo ジャーナル名 : Applied Physics Letters 掲載日 : 2015 年 7 月 24 日 DOI: 10.1063/1.4927450 特記事項 今回の研究は 文部科学省元素戦略プロジェクト < 研究拠点形成型 > 電子材料領域 東工大元素戦略拠点 日本学術振興会の科学研究費 文部科学省の科学研究費 文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業 ( 東北大学微細構造解析 ) プラットフォームの一環として行われた 用語説明 (1) 圧電性 : 結晶が外力による圧力に応じて誘電分極を生じる効果を圧電効果という また電場を結晶に加えることで結晶が歪む効果を逆圧電効果という 通常 両方の効果を合わせて圧電性と呼ばれている また このような現象を示す結晶を圧電体という (2) MEMS( メムス Micro Electro Mechanical Systems): 機械要素部品 センサー アクチュエーター 電子回路を一つのシリコン基板 ガラス基板 有機材料などの 4

上に集積化したデバイス (3) ReRAM ( 抵抗変化型メモリー Resistance Random Access Memory) は 電圧の印加による電気抵抗の変化を利用した半導体メモリー 低消費電力で 高密度から可能で 読み出し速度が大きいのが特徴 現在多くの方式の多くの物質が検討されており 実用化も始まっている 問い合わせ先 ( 研究に関すること : 全般 ) 東京工業大学元素戦略研究センター特任助教清水荘雄 TEL & Fax: 045-924-5446 E-mail: shimizu.t.aa@m.titech.ac.jp 東京工業大学大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻教授東京工業大学元素戦略研究センター教授舟窪浩 TEL & Fax: 045-924-5446 E-mail: funakubo.h.aa@m.titech.ac.jp ( 測定に関すること ) 東北大学金属材料研究所教授今野豊彦 Tel: 022-215-2125 Fax: 022-215-2126 E-mail: tjkonno@imr.tohoku.ac.jp 東北大学金属材料研究所准教授木口賢紀 Tel: 022-215-2128 Fax: 022-215-2126 E-mail: tkiguchi@imr.tohoku.ac.jp ( 取材申し込み先 ) 東京工業大学広報センター Email: media@jim.titech.ac.jp Tel: 03-5734-2975 Fax: 03-5734-3661 5