誕生月と運動能力 愛知学院大学 ( 三好ゼミ ) 牛垣翔太滝誠寺島昌平長嶋大貴丹羽涼平廣井優樹廣瀬慶一朗
遅生まれ の運動能力優位 1 月から 3 月に誕生日を迎える 早生まれ に比べ 4 月以降に誕生日を迎える 遅生まれ のほうが 運動能力に優れている傾向がある 幼少期は同じ学年でも 4 月生まれと 3 月生まれで体格の差が大きく 運動能力にも差があることは 経験的に知られている
奈良女子大の田中大貴 准教授らの研究チームは こうした差がいつまで続くのか調べるため調査を行った 調査方法 奈良県内の小中学生計 3610 人が昨年行った体力測定の結果を分析 学年男女ごとに 4~9 月生まれと 10 月 ~3 月生まれにグループ分けし 50m 走 立ち幅跳び 握力 などの成績の平均値を比較した
結果 男子中学 3 年生でも 4~9 月生まれのほうが高い運動能力を示した 女子小学校低学年は男子と同様の傾向を示したが 5 年生以上では差がなくなっていた よって 遅生まれ が優位な傾向は 男子は中学 3 年生まで 女子は小学 5 年生まで続くことが判明した 女子は第 2 次性徴が始まる小学校高学年の頃から 運動を好む子と好まない子の個人差が拡大し 生まれた時期による違いは分かりにくくなる
誕生月とスポーツ選手 運動成績成功者としてのスポーツ選手の生まれ月分布に偏りがあることは 特に若者に人気のある サッカー 野球 では 国内 国外においてよく知られた事実である J リーグのサッカー選手では 早生まれ の選手が少なく 代わりに 遅生まれ の選手が多い これに類似した現象は オランダとイギリスのプロサッカー選手でも報告されている
理由 幼少期における 早生まれ の体力的劣勢の影響と考えられている 幼少期の体格差は月齢に比例しているため 児童群の中で競争が行われる結果 早生まれ の者が正選手になる割合が低くなる 成人になるとこの体力格差は解消しているが 幼少期の体力格差による成功体験が累積的に影響し その結果が成人後まで影響すると考えられる
日本サッカー協会は ヨーロッパサッカー連盟の 早生まれ の影響に対する取り組みに倣い 選手の育成と発掘において 早生まれ の影響を認識した対応をする重要性を報告している 指導者には 早生まれ の子は運動の才能があっても見つけにくく 特に男子にそういう傾向があることを理解してほしい
分析 誕生月と運動能力が関係しているという前提を元に国内と海外の各スポーツにおいての傾向を調べた
各国の新学期
ゴルフ 情報源ゴルフダイジェストオンライン 2017 年 7 月ランキング順 男 150 人女 150 人 日本 アメリカ スペイン イギリス オーストラリア スウェーデン カナダ 韓国 中国など
月別出生率ゴルフ ( 男 ) 25 20 1 2 3 9 月 ~11 月 6 月 ~8 月 15 10 39 人 45 人 5 0 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 男は遅生まれの方が少し多い いろいろな国が混ざりすぎている可能性がある
月別出生率ゴルフ ( 女 ) 25 20 1 2 3 3 9 月 ~11 月 6 月 ~8 月 15 10 43 人 39 人 5 0 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 女は早生まれの方が多い 男と女もはっきりとした差がない 日本など4 月から始まる国が混ざっているからかもしれない もしくは 個人競技のためチーム内でのレギュラー争いなどもなく失敗例がすくないからかもしれない
バスケ
バスケットボール日本代表 http://www.japanbasketball.jp/japan -team/2017/m_all/member から引用
分析 日本代表のグラフでは 遅生まれのほうが人が多い U-16 U-19 の代表では 9 月 ~12 月生まれが少ない 日本代表 U-19 U-16 早生まれの人数 19 7 4 遅生まれの人数 51 12 12
順位 日本代表 1 位 1 7 月 (8 人 ) 3 位 3 4 8 月 (7 人 ) 6 位 5 10 月 (6 人 ) 8 位 12 月 (5 人 ) 9 位 2 6 9 11 月 (4 人 ) U-19 1 位 3 5 月 (4 人 )3 位 6 7 月 (3 人 ) 5 位 1 月 (2 人 ) 6 位 2 4 8 月 (1 人 ) U-16 1 位 4 月 (4 人 ) 2 位 3 月 (3 人 ) 3 位 5 8 月 (2 人 ) 5 位 2 6 7 10 11 月 (1 人 )
年齢制限 大会が行われる時点で決められた年齢以下であること U-19 の場合 1998 年 1 月 1 日以降に生まれた人が対象になる U-16 は 2001 年 1 月 1 日以降に生まれた人が対象になる
テニス
アルゼンチン 6 イタリア 6 ドイツ 5 ロシア 5 イギリス 4 セルビア 4 オーストラリ 4 日本 4 ブラジル 3 クロアチア 3 ベルギー 2 スイス 2 チェコ 2 スロバキア 2 カナダ 2 南アフリカ 1 ブルガリア 1 オランダ 1 南アフリカ 1 ブルガリア 1 オランダ 1 ルクセンブル 1 ウルグアイ 1 ポルトガル 1 ウズベキス 1 キプロス 1 韓国 1 台湾 1 イスラエル 1 ドミニカ 1 ボスニア 1 グルジア 1 ウクライナ 1 チュニジア 1 コロンビア 1 ルーマニア 1 http://tennis.jp/ranking/atp/singles 引用
1 月オーストラリア 2 月ブラジル 3 月アルゼンチン 韓国 4 月日本 9 月アメリカカナダスペインイタリアフランスイギリスオランダロシアブルガリア台湾など 日本や韓国などを除き世界の多くの国の学校は 9 月から始まるということがわかった
世界ランキング ( 男子 )100 位以内の選手月別出生数 14 12 10 8 6 4 2 0 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月
12 世界ランキング 100 位以内の選手の国別ランキング 10 8 6 4 2 0
テニスの競技人口を調べた結果やはり四大大会開催国であるイギリス フランス オーストラリア アメリカが多くその中でも特にアメリカとフランスは多い 結果として分かったことは 国の競技人口が多いほど世界ランクの上位 100 位以内に入る選手が多いということが言える
まとめ 小柄な者は サッカーやバスケなどコンタクトスポーツでは不利 小学校低学年で 体が小さく運動能力に劣る というレッテルを貼られた子供は体育が好きでもコンタクトスポーツでは控えになってしまう サッカー バスケといったコンタクトスポーツより団体競技ならバレーボール 個人競技ならテニス バドミントンといったネットを挟む競技を選択しがちになる
サッカー
世代別日本代表 U-16/U-17 U-16 U-17 7 8 6 5 6 5 4 4 4 4 3 3 3 2 2 2 2 1 0 1 1 1 0 1 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月
U-18/U-19 U-18 U-19 11 10 5 8 7 6 3 3 4 2 2 2 3 3 2 2 1 1 1 1 1 0 0 0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月
U-20/A 代表 U-20 A 代表 6 6 8 5 5 5 4 4 5 3 4 4 2 2 2 3 3 2 2 2 2 2 1 1 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月
早生まれと遅生れの比較 早生まれ (1 月 ~3 月 ) 遅生まれ (4 月 ~12 月 ) U-16 12 19 U-17 11 33 U-18 5 53 U-19 4 16 U-20 12 33 A 代表 9 29
まとめ 各年代生まれ月にばらつきは見られ 早生まれの多い年代もある また FIFA( 国際サッカー連盟 ) の規定により国際試合の年齢基準は 1 月 1 日となっている よって アンダー世代は早生まれが有利! しかし...
2017 年に選出された選手の中には 下の世代の代表に上の年代の早生まれの選手は選ばれていなかった 理由 : 早生まれの選手は体格差のでる成長期の時期に挫折をしてしまったと考えられる 参照 : 日本サッカー協会
アメフト
アメフト分析にあたり 参照元 2017 年 NFL TOP100 NFL はアメリカで最も人気のあるプロフットボールリーグ 米国大学でのクラブ活動にて優秀成績を収めた選手がほとんど 大学でのクラブ活動は 入部試験 ( トライアウト ) があり実力重視
アメリカの部活の特徴 アメリカではシーズンごとに異なるクラブ活動をしていることが多く 学校によってはクラブ活動が保健体育の単位として認められる場合もあり 単位を取るために所属する人もいる また クラブに入部するためにはトライアウトと呼ばれる入部試験を受けて合格しなければ入部できない運動部もある アメリカンフットボール 野球 バスケットボールなどは通常 トライアウトがあり 参加を希望しても参加できない場合があるが 一軍 二軍などに分かれており二軍なら誰でも参加できる場合がある
アメフト分析 1 位 12 月 2 位 7 月 3 位 3 月 4 位 5 月 5 位 2 月 6 位 11 月 1 月 7 位 6 月 8 位 9 月 10 月 8 月 9 位 4 月 遅生まれ (9 月 ~12 月 )32 人 早生まれ (5 月 ~8 月 )35 人
まとめ 誕生月による運動能力の差は見られず 若干であるが早生まれのほうが多い アメフトのように始める年齢が 15 歳以上のス ポーツでは 身体的差がほとんどないため差が生まれないと考える
まとめ
バスケやサッカーなどのチームスポーツは遅生まれのほうが有利 アメフトなどの始める年齢が基本的に 15 歳以上のスポーツでは運動能力と誕生月の関係は見られない ゴルフやテニスなどの個人競技には誕生月による運動能力の関係はあまり見られなかった
事実早生まれとそうでない人には差は存在する 一方早生まれでありながら活躍している選手もいる そのため誕生月を気にせず男女で差が生まれる年齢までに身長や体格の差 運動に起こりうる得意 不得意などの個性を受け止め長所を伸ばすことが重要