2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

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相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

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[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

2011年税制改正のポイント

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

税金読本(13-2)直系尊属からの贈与の贈与税非課税制度

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

基本資料1-平成25年税制改正ポイント(表紙).pdf

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

スライド 1

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

3種類の贈与税非課税制度を使いこなす

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

Microsoft Word - 平成15年税制改正(2).doc

第 5 章 N

相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

平成16年版 真島のわかる社労士

Ⅰ ワンルームマンション経営と節税 税務署 確定申告 税金還付 20 万 ~30 万円 ワンルーム家賃収入ローン元利返済サラリーマンマンション A 氏 1 戸所有月 70,000 円月 60,000 円 銀行 年 30,000 円 月 8,000 円 固定資産税 管理会社 1 ワンルームマンション投

1. 相続税 (1) 基礎控除額の引き下げ 1) 改正の趣旨現在 ( ) の相続税の仕組みは 下図の通りです すなわち 合計課税価格から 基礎控除額を除いた課税遺産総額が相続税の計算の対象となるため 合計課税価格が基礎控除額の範囲内である場合には 相続税が課税されません その結果として 現状の相続税

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

4. 平成 27 年度税制改正の概要 (1) 住宅の取得に関わる税制 登録免許税 不動産取得税 改正項目ヘ ーシ 改正内容 所有権保存登記 所有権移転登記 所有権の信託 抵当権設定の登記の軽減措置 税率の軽減措置 宅地評価土地の課税標準の軽減措置 軽減税率の適用期限を平成 27 年 3

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

12. 小規模宅地等の特例の見直し 1. 改正のポイント (3) 適用時期平成 30 年 4 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用される ただし (2)1 の改正について 平成 30 年 3 月 31 日においての別居親族の要件を満たしていた宅地等を平成 32 年

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

Japan Tax Newsletter

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

(3) 年金所得者公的年金等の収入金額が400 万円以下であり かつ その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万円以下である場合には 確定申告の必要はありません また 上記 (2) 又は (3) に該当する方であっても 医療費控除や住宅借入金

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

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Microsoft Word 常発041号 改正相続税法等の周知について(・


<ライフプランニング>

2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

スライド 1

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

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相続税の総額の計算法定相続分であん分課税遺産総額実際の相続割合であん分超過累進税率の適用税価格の合計額の総額税額 基礎控除額遺産に係る相続税の基礎知識 (1) 相続税の計算過程 相続人が配偶者と子 2 人の場合課法定相続分 法定相続分 税額 算出税額 法定相続分 税額 相続税算出税額 税額控除相続人

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

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叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

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孫のために教育資金を支援するならどの制度?

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

平成 22 年 11 月 25 日 資料 ( 資産課税 )

税調第18回総会 資料2-2

例題 1 下記の事項につき ア ~ エのうち正しいものを 1 つ 選んでください 所得税および住民税の生命保険料控除 地震保険料控除についてア. 平成 23 年 12 月締結契約で 一般生命保険料の年間正味払込保険料が75,000 円の場合 この契約に係る所得税の生命保険料控除額は 38,750 円

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未成年者が口座開設者となり 原則として その親権者等が未成年者を代理して運用管理等を行います ジュニアNISA 口座に受け入れることができる上場株式等の新規投資による受入限度額 ( 非課税枠 ) は年間 80 万円です その非課税期間は最長で5 年間となります 一般のNISAの場合は 新規投資による

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平成 22 年 12 月 7 日 資料 ( 資産課税 )

自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人のデータ 自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人の 法定相続人の数と相続財産および債務のデータから相続税を試算します 賃貸マンションについては全室が賃貸用かどうか 駐車場については舗装がしてあるかどうかで評価額が違ってくることがあります また

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

金融商品と資金運用

各年の住宅ローン控除額の算出 所得税から控除しきれない額は住民税からも控除 当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額 ( 住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額 ) を控除した際に 残額がある場合については 翌年度分の個人住民税において 当該残額に相当する額が 以下の控除限度額の

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2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 相続税改正の概要 ( 出所 ) 大和総研作成 2014 年 12 月 31 日以前の相続等 2015 年 1 月 1 日以後の相続等 基礎控除 ( 課税最低限 ) 5,000 万円 + 法定相続人の数 1,000 万円 3,000 万円 + 法定相続人の数 600 万円 税率 10% 15% 20% 30% 40% 50% の 6 段階 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% の 8 段階 小規模宅地等の特例 ( 土地の評価の減額規定 ) 居住用最大 240 m2まで 事業用最大 400 m2まで 80% 減額可能 ( 居住用と事業用を併用する場合は限度面積の調整あり 合計最大 400 m2まで 80% 減額可能 ) 居住用最大 330 m2まで 事業用最大 400 m2まで 80% 減額可能 ( 居住用と事業用は別枠で併用可 合計最大 730 m2まで 80% 減額可能 ) 未成年者控除 (20 歳 - 相続人の年齢 ) 6 万円を税額控除 (20 歳 - 相続人の年齢 ) 10 万円を税額控除 障害者控除 土地等の譲渡益課税における相続税額の取得費加算 (85 歳 - 相続人の年齢 ) 6 万円または 12 万円を税額控除 相続したすべての土地等にかかる相続税相当額を取得費に加算可能 (85 歳 - 相続人の年齢 ) 10 万円または 20 万円を税額控除 譲渡した土地等に係る相続税相当額のみ取得費に加算可能 3

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 1 税率の改正 相続税額の速算表 課税遺産総額のうち法定相続分の金額 2014 年 12 月 31 日以前の相続等 2015 年 1 月 1 日以後の相続等 税率速算控除額税率速算控除額 1,000 万円以下 10% 0 10% 0 1,000 万円超 3,000 万円以下 15% 50 万円 15% 50 万円 3,000 万円超 5,000 万円以下 20% 200 万円 20% 200 万円 5,000 万円超 1 億円以下 30% 700 万円 30% 700 万円 1 億円超 2 億円以下 40% 1,700 万円 40% 1,700 万円 2 億円超 3 億円以下 45% 2,700 万円 3 億円超 6 億円以下 ( 出所 ) 大和総研作成 50% 4,200 万円 50% 4,700 万円 6 億円超 55% 7,200 万円 税率引き上げの影響を受けるのは 相続人が 1 人だけの場合でも課税遺産総額が 2 億 3,600 万円 (2 億円 + 基礎控除 3,600 万円 ) 超の場合に限られる 4

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 2 税額はどう変わる? 法定相続人数別 法定相続分通りに相続した場合の相続税額の総額 ( 単位 : 万円 ) 課税価格 2014 年以前 子 1 人子 2 人配偶者と子 1 人配偶者と子 2 人 2015 年以後 2014 年以前 2015 年以後 2014 年以前 2015 年以後 2014 年以前 5,000 万円 0 160 0 80 0 40 0 10 6,000 万円 0 310 0 180 0 90 0 60 2015 年以後 7,000 万円 100 480 0 320 0 160 0 112.5 8,000 万円 250 680 100 470 50 235 0 175 9,000 万円 400 920 200 620 100 310 50 240 1 億円 600 1,220 350 770 175 385 100 315 2 億円 3,900 4,860 2,500 3,340 1,250 1,670 950 1,350 3 億円 7,900 9,180 5,800 6,920 2,900 3,460 2,300 2,860 5 億円 17,300 19,000 13,800 15,210 6,900 7,605 5,850 6,555 10 億円 42,300 45,820 37,100 39,500 18,550 19,750 16,650 17,810 20 億円 92,300 100,820 87,100 93,290 43,550 46,645 40,950 43,440 ( 注 ) 未成年者控除 障害者控除などの適用はないものとする 配偶者がいる場合 配偶者の相続税額はゼロであるため 実際には子による相続税額の総額を示す ( 出所 ) 大和総研試算 5

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 3 相続税が課税されるのはどのようなケース? 配偶者が遺産を相続する場合 配偶者の税額軽減 が受けられる 配偶者の相続分については 1 億 6,000 万円か 法定相続分かいずれか大きい方までの課税遺産総額について相続税がかからない 夫婦のうちいずれかが亡くなる 1 次相続 においては ( 配偶者が大半の遺産を相続することで ) 相続税がかからないケースが多い 夫婦のうち残された方も亡くなる 2 次相続 においては 配偶者の税額軽減 を受けられないため 基礎控除額 (3,000 万円 + 法定相続人数 600 万円 ) を超える課税遺産総額があると 相続税が課税されることになる 課税遺産総額が基礎控除額を超えるか否かは 自宅の土地の評価額 ( 特に 小規模宅地等の特例の適用を受けられるか否か ) が大きく影響 1 次相続 から 10 年以内に 2 次相続 が発生した場合 1 次相続 の際に負担した相続税額の一部が 2 次相続 の際に税額控除される ( 相次相続控除 ) 6

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 4 小規模宅地等の特例 小規模宅地等の特例 ( 特定居住用宅地等 ) 相続開始の直前において 被相続人の居住の用に供されていた宅地等については一定の要件を満たすことで限度面積まで 最大 80% の評価額の減額を受けられる 限度面積 2014 年 12 月 31 日以前の相続等 240 m2 2015 年 1 月 1 日以後の相続等 330 m2に拡大 減額を受けるためには 取得者ごとにそれぞれ下記の要件を満たす必要がある 配偶者が取得する場合 無条件に減額を適用できる 被相続人と同居していた親族 相続税の申告期限まで継続してその宅地等を居住 保有していること 被相続人と同居していなかった親族 以下の1~5の条件をすべて満たすこと 1 相続開始時において国内居住要件等を満たすこと 2 被相続人に配偶者がいないこと 3 相続の直前において被相続人と同居していた相続人がいないこと 4 相続開始前 3 年以内に取得者 ( およびその配偶者 ) が保有する家屋に住んでいたことがないこと 5 相続税の申告期限までその宅地等を保有していること 7

Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? 5 小規模宅地等の特例の適用の有無で税額はこんなに違う! 設例 以下の財産を有する A さんが 2015 年 1 月 1 日以後に亡くなり A さんの財産は唯一の相続人である子が相続した 自宅の土地 相続税評価額で 7,500 万円 ( 小規模宅地等の特例適用前 ) その他の資産 ( 家屋 預貯金 有価証券など ) 相続税評価額で 2,000 万円 自宅の土地に小規模宅地等の特例が適用されないと 課税遺産総額 9,500 万円 相続税額は 1,070 万円 自宅の土地に小規模宅地等の特例が適用されると 自宅の土地の評価額は 7,500 万円から 80% 減額され 1,500 万円に課税遺産総額 3,500 万円 これは基礎控除 ( 相続人 1 人のため 3,600 万円 ) の範囲内なので相続税額はゼロに 8

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 相続税の評価額を圧縮する 小規模宅地等の特例を活用する 死亡保険金の非課税枠を活用する 生前贈与を行い 相続財産そのものを減らしておく 教育資金の一括贈与非課税制度 住宅取得等資金の非課税枠 暦年課税での贈与 (NISA の活用も一案 ) ( 子 孫の結婚 妊娠 出産 育児を支援するための贈与の非課税制度 ) 9

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 1 死亡保険金の非課税枠 被相続人が保険料等を負担した生命保険金等 ( 死亡保険金 ) は みなし相続財産として相続税の課税対象となるただし 死亡保険金には 500 万円 法定相続人数の非課税枠がある 預貯金のまま相続するよりも 終身の生命保険に加入し相続時に相続人が保険金を受け取るようにすると非課税枠の分 相続税の課税価格を圧縮することができる 生前に受取人を指定できること 確実に現金を渡せるため納税資金を確保できることも生命保険のメリット 10

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 2 上場株式 投資信託の評価額 上場株式の相続税の評価額は次の1~4のうち最も低い価格となる 1 相続等 ( 死亡 ) の日の最終価格 2 相続等の日の属する月の毎日の最終価格の月平均額 3その前月の毎日の最終価格の月平均額 4その前々月の毎日の最終価格の月平均額円 例えば 相続等の日が 11 月 14 日である場合相続した株の株価が右図のようであったとすると 1~4 のうち最も低い価格は 10 月平均の 793.67 円であるため 相続税の評価額は 793.67 円 ( 実務上は円未満を切り捨て 793 円 ) となる 1000 950 900 850 800 750 大和証券グループ本社株の終値の推移 9 月平均 881.59 円 10 月平均 793.67 円 11 月平均 952.49 円 11 月 14 日 964.4 円 700 2014 年 9 月 証券投資信託の相続税の評価額は ( 出所 ) 大和総研作成課税時期 ( 死亡の日 ) の基準価格をもとに解約請求した場合の源泉税相当額 手数料等を控除して算出する ( 上記の過去 3ヵ月の月平均値を参照する規定は適用されない ) 10 月 11 月 11

( 参考 ) 相続財産の取得価額は原則として被相続人の取得価額を引き継ぐ 被相続人が通常の口座で株式を保有していた場合 50 万円 70 万円 80 万円 相続人は 30 万円の譲渡益に対し所得税等を支払う 被相続人の取得時 相続時 相続人の譲渡時 被相続人がNISA 口座で株式を保有していた場合 70 万円 50 万円 相続時までの譲渡益は所得税等は非課税 80 万円 相続人は 10 万円の譲渡益に対し所得税等を支払う 被相続人の取得時 相続時 相続人の譲渡時 12

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 3 教育資金の一括贈与非課税制度 教育資金の一括贈与非課税制度の概要 贈与者 ( 贈与をする者 ) 受贈者 ( 贈与を受ける者 ) 贈与の方法 教育資金管理契約への非課税拠出額の限度額 拠出できる期間 贈与税の扱い 対象となる教育費 ( 出所 ) 大和総研作成 贈与を受ける者の直系尊属 ( 父母 祖父母など ) 金融庁 文部科学省は直系尊属の要件を外すよう要望中 30 歳未満の贈与者の直系卑属 ( 子 孫など ) 金融庁 文部科学省は直系卑属の要件を外すよう要望中信託会社 銀行 証券会社等と教育資金管理契約を結び 専用の口座に資金を拠出し 管理する 贈与を受ける者 1 人につき 1,500 万円まで ( 贈与する側の人数や金額については制限なし ) 2013 年 4 月 1 日 ~2015 年 12 月 31 日 金融庁 文部科学省は制度の恒久化を要望中 専用の口座への資金の拠出時は贈与税非課税 専用の口座から支払われた資金は 下記の教育費に使い領収書等を金融機関に提出すれば贈与税非課税 ( 教育費に使われなかった金額および領収書を提出しなかった金額については 30 歳到達時等に贈与税の課税対象となる ) 1 学校等の授業料等 2 習い事の費用等 3 学校等の学用品等の3 種ただし 23は合計して上限 500 万円まで 13

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 4 住宅取得等資金の非課税枠住宅取得等資金の非課税枠の概要 贈与者 ( 贈与をする者 ) 贈与を受ける者の直系尊属 ( 父母 祖父母など ) 受贈者 ( 贈与を受ける者 ) 20 歳以上の贈与者の直系卑属 ( 子 孫など ) 資金使途 非課税枠 (2014 年入居の場合 ) 適用期限 居住用住宅の新築 ( 新築に伴う土地の購入も含む ) 中古住宅の取得 増改築 省エネ等住宅に該当する場合 1,000 万円その他の場合 500 万円 国土交通省は最大 3,000 万円に拡大することを要望中 2014 年 12 月 31 日までの贈与であり かつ 贈与のあった年の翌年 3 月 15 日までに入居すること 国土交通省は延長を要望中 制度は一度 2014 年 12 月 31 日で期限切れとなる 2014 年 12 月 30 日に 平成 27 年度税制改正大綱 を発表予定 ( 出所 ) 大和総研作成 14

Part 2 相続税の負担を軽減するには? -5 暦年課税での贈与 受贈者 ( 贈与を受ける者 ) において 年間 110 万円までの贈与については贈与税はかからない 受贈者 1 人あたり年間 110 万円以内の金額を 適宜 生前贈与し 相続財産を減らしておく方法が考えられる NISAの非課税枠が年間 100 万円 ( 金融庁は120 万円への拡大を要望中 ) であり 受贈者が 贈与を受けた財産についてNISAを活用して運用する方法も考えられる 金融庁は 20 歳未満の未成年者に対してジュニア NISA の創設を要望中 15

金融庁要望のジュニア NISA( 案 ) の概要 ( 出所 ) 金融庁 平成 27 年度税制改正要望項目 ( 平成 26 年 8 月 )

暦年課税の贈与の税率の改正 贈与税額の速算表 受贈額 (110 万円控除後 ) 2014 年 12 月 31 日以前の贈与 2015 年 1 月 1 日以後の贈与 一般贈与財産 特例贈与財産 税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額 200 万円以下 10% - 10% - 10% - 200 万円超 300 万円以下 15% 10 万円 15% 10 万円 15% 10 万円 300 万円超 400 万円以下 20% 25 万円 20% 25 万円 15% 10 万円 400 万円超 600 万円以下 30% 65 万円 30% 65 万円 20% 30 万円 600 万円超 1,000 万円以下 40% 125 万円 40% 125 万円 30% 90 万円 1,000 万円超 1,500 万円以下 45% 175 万円 40% 190 万円 1,500 万円超 3,000 万円以下 50% 250 万円 45% 265 万円 3,000 万円超 4,500 万円以下 50% 225 万円 50% 415 万円 55% 400 万円 4,500 万円超 55% 640 万円 ( 出所 ) 大和総研作成 特例贈与財産 直系尊属から 20 歳以上の者 ( 子 孫など ) への贈与一般贈与財産 特例贈与財産以外の贈与 税率引き下げ 税率引き上げ

相続時精算課税の概要 ( 参考 ) 相続時精算課税 2014 年 12 月 31 日以前の贈与 2015 年 1 月 1 日以後の贈与 利用できる贈与の条件 65 歳以上 ( 注 ) の親から 20 歳以上の推定相続人 ( 子または代襲相続人である孫 ) への贈与 60 歳以上の親から 20 歳以上の推定相続人または孫 ( 代襲相続人でない孫を含む ) への贈与 特別控除額 2,500 万円 贈与税率特別控除額を超えた分の贈与に対し 税率 20% 注意点 相続時精算課税で贈与を受けた財産は贈与時の時価で相続税の課税対象に加算される ( 贈与時に支払った贈与税額は相続税額から控除できる ) 一度相続時精算課税を選択すると 以後の贈与については全て相続時精算課税の対象となる ( 暦年課税には戻せない ) ( 注 ) 住宅取得等資金の贈与の場合 贈与する者の年齢に条件はない ( 出所 ) 大和総研作成

Part 2 相続税の負担を軽減するには? 6 検討中の施策子 孫の結婚 妊娠 出産 育児を支援するための贈与を目的に設定する信託に係る贈与税の非課税措置等の創設 ( 金融庁 内閣府の要望 ) 金融庁 内閣府は 子 孫の結婚 妊娠 出産 育児を支援し少子化問題に対応するために 信託等の機能を活用し 結婚 妊娠 出産 育児の費用について一括して子 孫へ贈与を行った場合について一定額に対して非課税措置を講じるとしている 2014 年 12 月 30 日に発表予定の 平成 27 年度税制改正大綱 に注目 19

まとめ 何も対策しないと相続税額は多くなるが 相続税額を減らす方法は多数ある まずは相続財産の現状を把握し 親子で対策を考えよう