[ 三多摩腎疾患治療医会 ] 第 58 回研究会 プログラム および 演題要旨 平成 21 年 12 月 6 日 ( 日 ) 於 : 杏林大学大学院講堂
三多摩腎疾患治療医会 [ 第 58 回研究会プログラム ] 2009 年 12 月 6 日 ( 日 ) 13:00~16:55 於 : 杏林大学大学院講堂 < 開会の辞 > 会長長澤俊彦 13:00-13:05 Ⅰ. 一般演題 ( 発表 7 分討論 3 分 ) 13:05-14:35 座長 : 幡谷浩史 13:05-13:35 1. 維持透析導入後に ANCA 陽性の血管炎症状を認めた 12 例の臨床的検討 杏林大学第一内科 : 池谷紀子 平野綾 岩澤彰子 齋藤督芸 野村和史 小路仁 吉原堅 要伸也 有村義宏 山田明 2. 当センターにおける腹膜透析患者の腎移植について 東京医科大学八王子医療センター移植一般外科 : 中村有紀 城島嘉麿 今野理 濱耕一郎 岩本整 葦沢龍人 吉川憲子 長尾桓同腎臓内科 : 吉田雅治 3. クリニカルパス作成による腹膜透析療法の導入 災害医療センター 6 階東病棟 : 須崎泰弘 鈴木恵子 真下千秋 宮澤聡子 諸見紗耶加 山田朗加同腎臓内科 : 前田章雄同泌尿器科 : 檜垣昌夫 座長 : 村上彰 13:35-14:05 4. 当院における透析体操チームの活動報告 すながわ相互診療所 : 森行子 5. 外来血液透析患者のセルフケア支援の取り組み 武蔵野赤十字病院透析センター : 高梨琴恵 石野菜穂子 大槻好栄 岡崎春美 山内恵美子 安藤亮一 6. ターミナルケア: 高齢透析患者アンケートから一考察 府中腎クリニック : 外谷伸江 藤井文江 畠山かおり 笹川幸江 上利貴子 小杉繁 杉崎弘章
座長 : 松川重明 14:05-14:35 7. ダイアライザー内凝固による種々の圧パラメータの変動について 杏林大学保健学部臨床工学科 : 須田健二 鈴木祥史 鈴木直也 副島昭典 8. 透析監視装置の保守点検について 長久保病院透析室 : 中村わかな 鶴田重教 伊藤弘輝 長澤はるみ 塚本拓司 大槻英男 桑原勝孝 下村文彦 長久保一朗 9. カーボスターによるアシドーシス改善について 東京慈恵医科大学第三病院臨床工学部 : 市川宗賢 角田裕士 栗原肇 石井宣大同附属病院臨床工学部 : 平塚明倫同第三病院腎臓高血圧内科 : 吉田啓 川村哲也 Ⅱ. 情報提供 14:35-15:05 座長 : 小泉博史 1. 感染対策委員会報告 14:35-14:45 武蔵野赤十字病院 : 安藤亮一 2. 災害時情報訓練結果報告 14:45-14:55 府中腎クリニック : 富永正志 杉崎弘章 3. 臓器移植法改正後の腎移植 14:55-15:05 東京医科大学八王子医療センター移植一般外科 : 岩本整 Coffee Break 15:05-15:20 Ⅲ. 特別講演 15:20-16:50 座長 : 要伸也 15:20-16:05 1. 透析患者の下肢血流障害に対する治療戦略と血管再生療法の現状 虎の門病院腎センター内科星野純一先生 座長 : 杉崎弘章 16:05-16:50 2. 新型インフルエンザとその対応について 東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座感染制御 検査診断学森兼啓太先生 < 閉会の辞 > 世話人 副会長 : 山田明 16:50-16:55
演題要旨 1. 維持透析導入後に ANCA 陽性の血管炎症状を認めた 12 例の臨床的検討 杏林大学第一内科 : 池谷紀子 ANCA 関連血管炎は透析導入率が高く 再燃率が高いことが知られているが 維持透析期の ANCA 関連血管炎についての報告は少ない そこで我々は 維持透析中に ANCA 陽性の血管炎症状を認めた症例について臨床的検討を行った 対象 杏林大学第一内科で加療した 維持透析中に ANCA 陽性の血管炎症状を認めた 12 例 ( 男性 4 例 女性 8 例 平均年齢 63.3 歳 ) 結果 透析導入時の原疾患は ANCA 関連腎炎 9 例 慢性糸球体腎炎 2 例 急性腎不全 1 例であった 再燃時の血管炎症候は肺胞出血が 9 例 狭心症症状が 1 例 発熱 関節痛が 2 例であった 症状出現時の MPO-ANCA 値は平均 784(34 5000)EU で高力価陽性例が多かった 血管炎症候の出現時期は透析導入から平均 7 年 1 ヶ月 (9 ヶ月 18 年 ) であり 5 年以内が 8 例 10 年以上が 4 例であった 考察 ANCA 関連血管炎の症例では 透析導入後も生涯にわたり 定期的 ANCA 値測定と血管炎症状の早期発見に充分注意する必要があると考えられた 2. 当センターにおける腹膜透析患者の腎移植について 東京医科大学八王子医療センター移植一般外科 : 中村有紀腹膜透析 (PD) 患者において QOL の維持により腎移植を選択される場合が増えている 当センターでは 2009 年 10 月までに腎移植を 403 例施行しており PD から移植手術を行った症例が 2000 年 7 月から 11 例ある 平均年齢は 44.2 歳 移植手術前までの PD 歴は 44.2 ヶ月 生体腎移植 10 例 ( 血液型不適合移植 5 例 ) 献腎移植は 1 例 観察期間は 11 ヶ月から 99 ヶ月 平均 33.9 ヶ月 移植腎機能低下により 1 例が透析再導入となった 献腎移植の症例のみ初尿確認まで 15 日を要したが 生体腎移植症例は手術時 血流再開後平均 8.2 分で初尿を確認できた 自尿があるため膀胱容積が保たれ 手術操作がしやすい傾向にあった 術後合併症として 拒絶反応 (27.3%) サイトメガロウィルス感染(18.2%) イレウス(18.2%) 尿管に起因するもの (18.2%) などがみられた いずれの合併症もすべて治療可能であった PD 患者において腎移植を CKD の治療の選択枝として考えられるべきであり 若干の文献的考察を加え移植治療の利点について述べたい 3. クリニカルパス作成による腹膜透析療法の導入 災害医療センター 6 階東病棟 : 須崎泰弘当病棟は 泌尿器科 腎臓内科の混合病棟であり 透析室業務も担当している 平成 20 年度まで当院では末期腎不全治療に血液透析のみを実施しており 患者自身の末期腎不全治療の選択肢を狭めている現状にあった そのため 泌尿器科 腎臓内科の医師と協議の上 2008 年 6 月試験的にフレゼニウス社の CAPD APD システムを使用した腹膜透析患者を受け入れ その後 2009 年 4 月より本格導入に至り 現在までに 6 名の腹膜透析導入を行っている
今回 病棟で腹膜透析患者を受け入れるにあたり 患者指導の利便性を図るために腹膜透析導入クリニカルパスを作成し 一患者ごとに見直しを行った このクリニカルパスを使用することで 患者が CAPD APD システムを理解し 一連の流れを円滑に行うことを可能にするばかりではなく 初めて腹膜透析に関わろうとする当病棟スタッフにとって理解を助け その後の学習や業務改善にもつながったのでここに報告する 4. 当院における透析体操チームの活動報告 すながわ相互診療所 : 森行子運動 体操を継続することで下肢筋力の増加 ADL の改善 転倒予防などを期待して 2009 年 4 月に透析体操チームを結成した 透析中の体操 (NS 介助による簡単な下肢の運動 ) ラジオ体操 ( 自由参加 ) ストレッチ ( 自由参加 ) 3mTUG 測定 ( 歩行可の方のみ ) 体操に対するアンケート調査を実施したので その結果を報告する 5. 外来血液透析患者のセルフケア支援の取り組み 武蔵野赤十字病院透析センター : 高梨琴恵当院では 患者が自身の検査結果を理解していると考え 異常がある時のみ指導を行っていた しかしその際には 貧血だからレバーを食べたよ コーヒーってカリウム高いの? 等の言動が聞かれ患者の知識不足を感じた 透析生活を快適に続けていくためには セルフケアが大変重要になってくる 自分の検査値についての知識を持つことは 合併症を未然に防ぐ意味でも重要であるといわれている そこで今回外来透析患者 34 名に対し 検査値について確認アンケートを行い リン カリウムのみ 3 ヶ月間のデータを調査した 結果 リン カリウムについては ほぼ全員の患者が理解していると答えていた しかし約 3 割の患者が基準値を逸脱しており 理解はしていても行動化できていないことが予測された これらをふまえ 知識を補い セルフケア能力の向上を目指し 支援方法を見直したのでここに報告する 6. ターミナルケア: 高齢透析患者アンケートから一考察 府中腎クリニック : 外谷伸江 65 歳以上の高齢透析さん48 名について 今後の健康状態が変化した場合の対応について アンケート調査し 若干の知見を得たので報告する 今後 がん末期 あるいは 重度の認知症 になった場合 今後の延命治療について回答をお願いしたところ 延命治療 ( 透析療法 ) 継続を希望する患者さんが それぞれ17% 21% 希望しないが60% 35% であった そしてわからないが23% 44% と 自分の死 について考えない 考えたくないという傾向を認めた 自己決定 事前指示についても52% が誰にも相談していない結果であった 今後 高齢透析患者さんのターミナルケアの問題として 患者さんと継続的な話し合える体制が必要と考えられた
7. ダイアライザー内凝固による種々の圧パラメータの変動について 杏林大学保健学部臨床工学科 : 須田健二 背景 目的 ダイアライザーが血液で凝固すると有効膜面積が減少し透析効率が低下する 本研究ではダイアライザー内の中空糸を人工的に閉塞させ 有効膜面積の減少に伴い動脈圧 (A 圧 ) 静脈圧(V 圧 ) 透析液圧( 液圧 ) 流量がどのような変化をするのか検証した 方法 ダイアライザー F60S(PS 膜 1.3m 2 ) を使用した 中空糸をシリコーンパテを用いて 0~90% まで閉塞させ それぞれに対する A 圧 V 圧 液圧 流量の変化を測定した 透析装置は日機装社製 DBB72 模擬血液としてキサンタンガム水溶液を使用した 結果 考察 ダイアライザーの閉塞に伴い A 圧と液圧は緩やかに上昇し 閉塞率 80% 付近から急激な上昇をすることが確認された V 圧と流量は常に一定で変化は認められなかった 透析装置の圧力計では凝固の予測が困難であることが示された 経時的な圧力変化を解析することで凝固の予測ができる可能性が示唆された 8. 透析監視装置の保守点検について 長久保病院透析室 : 中村わかな 目的 2007 年 10 月の病院化に伴い 医療機器の保守点検に関する計画と実施の義務付けに沿って透析監視装置 ( 以下透析装置 ) の保守点検計画を策定し施行した 保守点検計画を実施してから 前後 2 年間の施行状況を比較検討する 方法 日機装社製 透析装置 30 台を対象に 保守点検計画実施前の 2005 年 10 月から 2007 年 9 月の 2 年間と実施後 2007 年 10 月から 2009 年 9 月までの修理件数 修理費用を比較検討する 結果 修理件数は施行前との差があり施行後は減少 修理状況から判断して各部品とも半数ほどになっている 定期交換時間の基準を作ることにより 修理費用は施行後から下降傾向になった 考察 定期的な点検と適切な時期に部品交換を行う事で 故障を未然に防ぐことが出来ると考えられる また 修理時期の把握や修理費用の分散 平均化 計画的な装置運用につながると考えられる 結論 保守点検業務において 保守管理計画の施行は有用であった 9. カーボスターによるアシドーシス改善について 東京慈恵医科大学第三病院臨床工学技士 : 市川宗賢昨年より当院においてもカーボスターの使用が開始している それまで少なからず組成に含まれ ph の調整に含まれていた酢酸を含まない透析液として 酢酸不耐症による低血圧になりにくい特徴と効果が期待される透析液として脚光を浴びている 現在までに様々な学会 講習会において その効果が紹介され 導入する施設も増えてきている 今回我々は その従来型透析液とは異なるカーボスターの組成 特に高い重炭酸濃度 それに伴う高い ph に注目し 呼吸苦を主訴とする救急来院の透析患者に使用し 血液ガスデータ SpO2 モニタ 透析後の患者の自覚症状などから 一定の評価が得られたので紹介する