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麦 大豆の耕うん同時 畝立て播種栽培マニュアル 平成 28 年 3 月 茨城県農業総合センター技術体系化チーム

目 次 耕うん同時畝立て播種栽培の概要耕うん同時畝立て播種とは 1 耕うん同時畝立て播種の特長特長 1 1 台で平高畝と単条畝を成形できる 2 特長 2 未耕起圃場に 1 工程で播種できる 2 特長 3 高い砕土率が得られる 3 特長 4 過湿な圃場条件でも播種作業ができる 4 特長 5 ダイズ茎疫病が抑えられる 4 特長 6 湿害を軽減できる 5 耕うん同時畝立て播種栽培の生育と収量小麦の栽培試験結果 6 大豆の栽培試験結果 7 耕うん同時畝立て播種技術の導入効果 8 耕うん同時畝立て播種栽培の導入事例家族経営での導入事例 9 法人経営での導入事例 10 耕うん同時畝立て播種機の調整方法事前耕起の要否 11 改良型アップカットロータリの仕様 11 耕うん同時畝立て播種の作業手順 14 本県は湿田率が高く 麦類 大豆は長年湿害に悩まされており 収量 品質が低い大きな要因となっています 耕うん同時畝立て播種 は 中央農業総合研究センター 北陸研究センターで開発され 重粘土質土壌での麦 大豆等の安定栽培を可能とする湿害軽減技術です 本県では 農業総合センター技術体系化チーム課題 畝立て同時播種等による麦 大豆の湿害回避技術の確立 実証 において 平成 25~27 年度に本技術の実証を行い各地域での適応性や効果 収益性等について検討を行いました その結果 収量や品質が大幅に向上する成果も得られ 導入農家の生産意欲が向上しています チーム活動を通じて得られた成果をマニュアルにまとめました 本技術がさらに広がって 本県産麦類 大豆の収量 品質向上が図られるようご活用下さい 耕うん同時畝立て播種の導入面積 (ha) 作物 場所 H24 H25 H26 H27 石岡 6 23 73 54 平戸 12 15 15 水戸島田 2 2 2 麦類桜川笠間美浦 14 1 1 計 37 90 87 石岡 9 9 23 水戸大豆桜川笠間美浦 平戸 7 7 島田 3 3 3 1 0 計 9 19 37 耕うん同時畝立て播種機の導入数 ( 台 ) 場所 H25 H26 H27 計 石岡 3 3 1 7 水戸 1 0 1 2 桜川 0 0 1 1 計 4 3 3 10 農業総合センター技術体系化チーム 耕うん同時畝立て播種機調整講習会

耕うん同時畝立て播種栽培の概要 耕うん同時畝立て播種とは 麦類 大豆の湿害茨城県の小麦 大豆は 約 8 割が水田で作付けされています ( 表 1) 一般に 水田土壌は畑土場に比べ過湿になりやすいため 湿害が多収を阻害する大きな要因となっています ( 図 1) 湿害の原因は 水 なので その対策は 排水する か 作物を高い位置に生育させる ことが有効です 表 1. 小麦および大豆の作付面積の推移 作物 作付面積 生産年度平成 22 平成 23 平成 24 平成 25 平成 26 小麦作付面積 (ha) 4,670 4,690 4,710 4,740 4,700 水田での作付面積 (ha) 3,710 3,700 3,710 3,690 3,640 水田での作付率 (%) 79 79 79 78 77 大豆作付面積 (ha) 4,440 4,380 4,080 3,990 3,920 水田での作付面積 (ha) 3,420 3,390 3,220 3,130 3,070 水田での作付率 (%) 77 77 79 78 78 麦類の湿害 ( 出芽時 ) 図 1. 麦類 大豆の湿害 麦類の湿害 ( 生育期間 ) 大豆の湿害 ( 出芽時 ) 改良型アップカットロータリによる耕うん同時畝立て播種とは一般的なロータリによる耕うん作業は 土壌を上から下に耕うん ( ダウンカット または 正転 と称します ) する方法で行われています ( 図 2 左 ) これに対し アップカットロータリは 土壌を下から上に耕うん ( アップカット または 逆転 と称します ) する作業機です アップカットロータリは 砕土性に優れるとともに 粗い土塊が下層に 細かい土塊が表層に分布する特長があります ( 図 2 右 ) 耕うん同時畝立て播種は このアップカットロータリの耕うん軸を従来のフランジ型から 砕土性に優れるホルダー型に改良 ( 図 3) し 耕うん爪の配列を変更することで平高畝または単条畝を成形し 後方の施肥播種機で畝の高い位置に麦類 大豆等を播種する技術で 中央農業総合研究センター 北陸研究センターで開発されました ホルダー型 ダウンカット ( 正転 ) ロータリ 耕うん爪の回転方向 アップカット ( 逆転 ) ロータリ 耕うん爪の回転方向 粗い土 細かい土 粗い土 フランジ型 作業前作業後作業前作業後 トラクタの進行方向 トラクタの進行方向 図 2. ダウンカットロータリとアップカットロータリの特徴 図 3. 耕うん爪の配列例 -1-

耕うん同時畝立て播種の特長 特長 1 1 台で平高畝と単条畝を成形できる耕うん同時畝立て播種機は 耕うん爪の配列を変更することで 1 台で平高畝と単条畝の両方を成形することができます ( 平高畝 単条畝を成形するための爪の配列は P12 図 27 を参照 ) 平高畝を成形し 1 畝あたり複数条の播種機を配置することで 大豆の狭畦栽培 麦 そば等に適用できます ( 図 4 左 ) また 単条畝を成形し 1 畝あたり 1 条の播種機を配置することで 畦幅を 70~75cm とした大豆の普通栽培に適用できます ( 図 4 右 ) 平高畝 単条畝とも 慣行の平面耕に比べ約 5cm 高い位置に作物を生育させることができます ( 図 5) 図 4. 耕うん同時畝立て播種作業 図 5. 平高畝 ( 上 ) と単条畝 ( 下 ) を成形した耕うん同時畝立て播種作業後の畝の断面 特長 2 未耕起圃場に 1 工程で播種できる耕うん同時畝立て播種は 未耕起圃場に 1 工程で播種しても 高い砕土と前作残渣等のすき込みが得られる特 長があります ( 図 6) 一方 耕うん同時畝立て播種の作業速度は時速 1~2km 程度で慣行に比べ遅くなります これは アップカットロータリの特性 ( 図 2 右 ) により いわばトラクタにブレーキをかけながら播種しているような作業となるためです 図 6. 小麦 ( 左 ) と大豆 ( 右 ) 播種での前作残渣等のすき込み 耕うん同時畝立て播種 ( 作業速度 2.0km/hr) 耕うん同時畝立て播種 ( 作業速度 1.5km/hr) 耕うん同時畝立て播種 ( 作業速度 1.0km/hr) 慣行 ( 関東東山 15ha 以上層 ) 慣行 ( 茨城平均 ) 耕うん同時施肥播種 耕うん同時施肥播種 耕うん同時施肥播種 耕起整地基肥播種 耕起整地基肥播種 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 作業時間 ( 時間 /10a) 図 7. 耕起整地から播種にかかる作業時間注 )1. 耕うん同時畝立て播種の作業時間は オペレータ 1 名による圃場作業時間の実測値に実作業率 (0.7) を考慮して算出した 2. 慣行の作業時間は 農産物生産費統計 ( 小麦の作業別労働時間 H24 H25 年産平均値 ) とした 播種作業時間のみを比較すると 耕うん同時畝立て播種は慣行より長くなります しかし 耕うん同時畝立て播種は 播種前の耕起整地作業等を省略できるため 耕起から播種までの一連の作業にかかる時間は 慣行に比べ短くなります ( 図 7) -2-

水水 特長 3 高い砕土率が得られる耕うん同時畝立て播種は アップカットロータリによる耕うん方法と 耕うん軸後方のスクリーン (P13 図 28) により 高い砕土率が得られます 砕土率は 特に表層付近で高い特長があります ( 図 8) 麦 大豆等の種子近傍の土塊が細かく 作物の出芽に好適な条件となり 苗立率が高まります また 耕うん同時畝立て播種での砕土率は 1 播種時の土壌水分が低いほど高く 2 事前耕うんを行うと高く 3 作業速度が遅いほど高い傾向があります ( 図 9 図 10) このため 耕うん同時畝立て播種作業では 土質や土壌水分等の圃場条件に応じて 成形される畝の状態を確認しながら 時速 0.8~2.0km 程度の範囲で圃場ごとに最適な作業速度を設定するのが望ましいと考えられます 土塊の粒径別重量割合 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 事前耕うん後 砕土率 23% 図 8. 播種法が深さ別の砕土率に及ぼす影響 注 ) 試験場所 ( 土壌 ): 石岡市月岡 ( 細粒強グライ土 ) 土壌比40 %) り土壌比75 %) ( 含水分低( 含水分高事前耕うん有 事前耕うん無し ロータリーシーダ (1.5km/hr) 畝立て播種 (1.0km/hr) 畝立て播種 (2.0km/hr) 畝立て播種 (3.4km/hr) 畝立て播種 (1.0km/hr) 畝立て播種 (2.0km/hr) 畝立て播種 (2.8km/hr) 畝立て播種 (1.0km/hr) 砕土率 48% 砕土率 93% 砕土率 86% 砕土率 83% 砕土率 90% 砕土率 83% 砕土率 74% 砕土率 83% 5cm< 4cm< 3cm< 2cm< 1cm< <1cm 図 9. 播種法および播種条件が砕土率に及ぼす影響 注 ) 試験土壌 : 細粒灰色低地土 表層から 5cm の砕土率 図 10. 耕うん同時畝立て播種における事前耕うんおよび播種作業速度が畝の成形および砕土性に及ぼす影響 -3-

特長 4 過湿な圃場条件でも 播種作業ができる 耕うん同時畝立て播種は 砕土性に優れるアップカット ロータリを用いることで 通 常のダウンカットロータリで は作業ができないような過湿 な圃場条件でも播種作業が可 能です ( 図 11 図 12) このため 大豆や麦類の播 図 11. 過湿な圃場での大豆 ( 左 ) および麦 ( 右 ) 播種作業 種時期に降雨があっても 降雨後に比較的速やかに作業を開始することができ 計画的な播種作業が可能と考えられます なお 耕うん同時畝立て播 作業可能 作業不可能 図 12. 同一圃場での耕うん同時畝立て播種 ( 左 ) とダウン種作業は 土壌を強く握ってカットロータリ+3 畝成形機による畝立て播種 ( 右 ) 水が滴らない程度の条件であ れば可能とされているので 参考にしてください 特長 5 ダイズ茎疫病が抑えられるダイズ茎疫病は Phytophthora 属菌によって引き起こされ 大豆の不出芽 枯死 生育不良を招きます ( 図 13) 本病は 播種後の降雨等による水が土壌表面にたまることで発病し易い特徴があり 特に不耕起播種栽培で問題となっています 一方 畝立て播種では 慣行の平面耕に比べ本病の発病が少ない傾向があります ( 表 2) これは 畝立てを行うことで 大豆の株元での滞水が抑えられるためと考えられます 表 2. 播種法の違いがダイズ茎疫病の発病に及ぼす影響 試験年度 供試品種 播種法 ダイズ茎疫病発病株率 (%) H17 納豆小粒 畝立て 5.9 慣行 13.1 H18 納豆小粒 畝立て 2.6 慣行 2.9 H26 タチナガハ 畝立て 0.0 慣行 0.1 畝立て 0.0 H27 タチナガハ 慣行 0.0 畝立て 0.7 慣行 4.6 注 )1. 畝立ては H17 H18はロータリに3 畝成形 機を取り付けて播種した H26 H27は耕う ん同時畝立て播種機で播種した 2. 慣行は ロータリーシーダで播種した 地際の茎に水浸状の病斑 枯死株 発病株 図 13. ダイズ茎疫病の発病 -4-

特長 6 湿害を軽減できる耕うん同時畝立て播種は 作物を高い位置に生育させるとともに 畝間での表面排水が可能です 作物を高い位置に生育させることで 出芽や初期生育が優れます ( 図 14) また 生育期間中の土壌水分を低く保つことができ ( 図 15 図 16) 出芽後の生育も優れる特長があります また 畝間への表面排水により 降雨時の播種条での湛水を抑えることができます ( 図 17) これらの効果により 耕うん同時畝立て播種では湿害が軽減され 作物の苗立率が高まるとともに 生育が優れ 多収となります 20cm 15cm 10cm 5cm( 地下水位 ) 図 14. 地下水位と大豆の出芽および初期生育注 ) 地下水位を一定に保ったポットに20 粒の大豆を播種した 土壌水分 (%) 60 50 40 30 20 10 日降水量土壌水分 ( 畝立て ) 土壌水分 ( 慣行 ) 50 40 30 20 10 日降水量 (mm) 0 11/23 11/27 12/1 12/5 12/9 12/13 12/17 12/21 12/25 12/29 1/2 1/6 1/10 1/14 1/18 1/22 1/26 1/30 2/3 2/7 2/11 2/15 2/19 2/23 2/27 3/3 3/7 3/11 3/15 3/19 3/23 3/27 3/31 4/4 4/8 4/12 4/16 4/20 4/24 4/28 5/2 5/6 5/10 5/14 5/18 5/22 5/26 5/30 6/3 6/7 6/11 6/15 0 土壌水分 (%) 60 50 40 30 20 10 0 7/23 7/25 7/27 7/29 7/31 8/2 8/4 8/6 8/8 8/10 8/12 8/14 8/16 8/18 8/20 8/22 8/24 8/26 8/28 8/30 9/1 9/3 9/5 9/7 9/9 図 15. 播種法の違いが小麦 ( 上 ) および大豆 ( 下 ) 栽培期間の土壌水分に及ぼす影響注 )1. 小麦は石岡市大塚 ( 平成 25 年産 ) 大豆は桜川市富谷 ( 平成 27 年 ) における調査結果 2. 畝立て播種は耕うん同時畝立て播種機 ( 平高畝 ) 慣行はハローシーダ ( 小麦 ) またはロータリーシーダ ( 大豆 ) で播種した 土壌水分は体積含水率を示す 9/11 9/13 9/15 9/17 9/19 9/21 9/23 9/25 9/27 9/29 10/1 10/3 10/5 10/7 10/9 10/11 10/13 10/15 10/17 10/19 10/21 10/23 10/25 10/27 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 日降水量 (mm) 耕うん同時畝立て播種 ロータリーシーダ 表面が乾いている 表面が湿っている 図 16. 降雨後の圃場の乾燥程度 図 17. 降雨後の湛水状況 ( 上 : 平高畝 下 : 単条畝 ) 注 ) 図中の矢印は播種条を示す -5-

耕うん同時畝立て播種栽培の生育と収量 小麦の栽培試験結果農業総合センター技術体系化チームでは 県内の同一または隣接圃場で 小麦の耕うん同時畝立て播種と慣行播種での栽培を行い 生育および収量を調査しました 耕うん同時畝立て播種は慣行に比べ 苗立率が 24% 収量が 19% 高い結果が得られています ( 図 18 図 19) 100 700 畝立て栽培の苗立率 (%) 90 80 70 苗立率 60 対慣行比 124% 対慣行差 +17% 50 50 60 70 80 90 100 慣行栽培の苗立率 (%) 畝立て栽培の坪刈収量 (kg/10a) 600 500 400 300 収量対慣行比 119% 対慣行差 +71kg/10a 200 200 300 400 500 600 700 慣行栽培の坪刈収量 (kg/10a) 図 18. 耕うん同時畝立て播種と慣行における小麦の苗立率と収量 畝立て 桜川市富谷 (H27 産 ) 慣行 水戸市平戸 (H27 産 ) 全刈 536kg/10a 全刈 277kg/10a 石岡市大塚 (H27 産 ) 畝立て六条大麦 畝立て 坪刈 530kg/10a 慣行坪刈 475kg/10a 畝立て 排水良好 茨城町駒場 (H27 産 ) 慣行排水不良 石岡市月岡 (H27 産 ) 畝立て作業幅 1.6m 図 19. 小麦の耕うん同時畝立て播種栽培の試験事例 -6-

大豆の栽培試験結果農業総合センター技術体系化チームでは 県内の同一または隣接圃場で 大豆の耕うん同時畝立て播種と慣行播種での栽培を行い 生育および収量を調査しました 耕うん同時畝立て播種は慣行に比べ 苗立率が 11% 収量が 14% 高い結果が得られています ( 図 20 図 21) 100 500 畝立て栽培の苗立率 (%) 90 80 70 苗立率 60 対慣行比 111% 対慣行差 +8% 50 50 60 70 80 90 100 慣行栽培の苗立率 (%) 図 20. 耕うん同時畝立て播種と慣行における大豆の苗立率と収量 畝立て栽培の坪刈収量 (kg/10a) 注 ) 収量のグラフにおける は耕うん同時畝立て播種 ( 平高畝 平均畦幅 30 数 cm) と慣行 ( 畦幅 30cm) は耕うん同時畝立て播種 ( 単条畝 畦幅 70~75cm) と慣行 ( 畦幅 60cm) を比較した結果を示す 400 300 200 収量対慣行比 114% 対慣行差 +35kg/10a 100 100 200 300 400 500 慣行栽培の坪刈収量 (kg/10a) 桜川市富谷 (H27) 畝立て慣行畝立て 全刈 159kg/10a 全刈 190kg/10a 笠間市鴻巣 (H27) 畝立て 坪刈 197kg/10a 慣行 坪刈 81kg/10a 慣行坪刈 358kg/10a 桜川市富谷 (H26) 畝立て 坪刈 374kg/10a 茨城町駒場 (H25) 畝立て慣行 坪刈 465kg/10a 坪刈 322kg/10a 慣行 苗立率 52% 石岡市大塚 (H26) 畝立て 苗立率 69% 図 21. 大豆の耕うん同時畝立て播種栽培の試験事例 -7-

耕うん同時畝立て播種技術の導入効果 耕うん同時畝立て播種技術の導入効果図 18 および図 20 の増収率をもとに 現行の経営所得安定対策における収益性を試算しました 耕うん同時畝立て播種技術の導入による増収益額は 慣行栽培に比べ 10a 当たり小麦 ( さとのそら および きぬの波 ) で 6,892 円 大豆 ( タチナガハ ) で 6,846 円となります このため 耕うん同時畝立て播種機の新規購入費用を耐用年数の 7 年間で回収できる作付面積は 小麦単作または大豆単作で利用する場合は概ね 5ha 以上 小麦および大豆に汎用利用する場合は概ね各 2.5ha 以上となります 大規模経営における播種機の所有台数と経済性麦 大豆を各 30ha 作付けする経営で 麦 大豆用播種機の所有台数 ( 耕うん同時畝立て播種機 1 台体系 耕うん同時畝立て播種機 1 台 + ハローシーダ 1 台の 2 台体系 ) と収益性を試算した結果を図 22 に示します (A) のように 耕うん同時畝立て播種の 1 日当たり作業可能面積は 1ha 程度で 作業可能日数率を考慮した 30ha の播種作業期間は小麦で 34 日 大豆で 48 日を要します 一方 (B) のように 小麦 大豆の収量は 播種作業が適期から遅れるにつれて低下します 播種機を 2 台所有することによる播種作業の進捗が 1 台所有の 2 倍になると仮定して収益性を試算した結果を (C) に示します 播種機を 2 台所有することで 償却費は 248 千円増加しますが 適期内播種により経営全体の収穫量が増加することによる増収益額が 2,869 千円となり 2 台所有した方が有益となります また 同様の手法による償却費と増収益額の損益分岐点は 麦 大豆の各作付面積が 10~11ha の間と試算されます ( データ省略 ) このため 麦 大豆を大規模に作付けしている経営では 排水の比較的良好な圃場はハローシーダ等の従来から所有している作業機で播種し 排水の不良な圃場で耕うん同時畝立て播種を行うのが適当と考えられます (A) 耕うん同時畝立て播種による 30ha の播種作業期間 作物 作業可能面積 (ha/ 日 ) 作業可能日数率 (%) (C) 播種機の所有台数と収益性 販売額 + 数量払額 ( 播種機 1 台 ) 販売額 + 数量払額 ( 播種機 2 台 ) 償却費 ( 播種機 1 台 ) 償却費 ( 播種機 2 台 ) 30ha の播種作業期間 ( 日 ) 小麦 1.04 85 34 大豆 0.90 69 48 注 ) 作業可能日数率は 水田作機械化のてびき の水戸 ( 小麦 11 月 大豆 7 月 ) の値を用いた 60 60 Y=-6.99X+107.55 Y=-2.302X 2 +4.077X+98.523 R 2 =0.95 R 2 =0.996 40 11/ 上 11/ 下 12/ 上 12/ 下 1/ 上下 40 6/20 6/30 7/9 7/22 7/31 播種期 ( 月 / 旬 ) 播種期 ( 月 / 日 ) 注 )1. 小麦は 農林 61 号 を供試したH11,14,21 産の試験結果 (N=4) 大豆は タチナ ガハ 納豆小粒 を供試したH14,15,19,20の試験結果 (N=9) をもとに作成 2. 排水の良好な多湿黒ボク土で 同一圃場内で播種期を変えた試験結果 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000( 千円 / 年 ) 小麦販売額大豆販売額小麦数量払額大豆数量払額 差額 248 千円 収量比 (%) 100 80 図 22. 小麦 大豆を各 30ha 作付けする経営における播種機の所有台数と収益性の試算 -8- (B) 麦 大豆の播種期と収量の関係 小麦 差額 2,869 千円 注 )1. (A) で算出した 30ha の播種作業期間および (B) の近似式をもとに算出した 2. 播種機 2 台の播種作業期間は 播種機 1 台の半分とした 3. 販売額は小麦 8 円 /kg 大豆 80 円 /kg とした 数量払額は平均単価 ( 小麦 6,320 円 /60kg 大豆 11,660 円 /60kg) とした 4. 収量は 現地試験における播種期と坪刈収量をもとに推定した全刈収量 (11/ 上旬播種小麦が 346kg/10a 6/20 播種大豆が 231kg/10a とした 5. 償却費は 取得価格 ( 耕うん同時畝立て播種機 218 万円 ハローシーダ 173 万円 ) を耐用年数 7 年で除した 収量比 (%) 100 80 大豆

耕うん同時畝立て播種栽培の導入事例 家族経営での導入事例 ( 石岡市 谷田部貞雄氏 ) 経営の概況労働力 : 基幹 1 名 臨時雇用年間 230 人日栽培品目 (H27): 水稲 20ha( うち種子 4ha) 小麦 12ha( うち種子 5.8ha) 大豆 10ha( うち種子 45a) そば5ha 中玉トマト10a 技術の導入に至った経緯輪換田での麦類と大豆が湿害により低収で困っていたところ県農業研究所から技術の紹介がありました 平成 24 年に ( 独 ) 中央農研 北陸研究センターの出前技術指導で耕うん同時畝立て播種機を借用し 小麦 4haで実証しました 平成 25 年産の小麦の収量は 432kg/10aで 過去 3 年間の平均収量 207kg/10aを大幅に上回りました 良好な結果を受け 平成 25 年播種の小麦から耕うん同時畝立て播種機を導入しました 耕うん同時畝立て播種技術の感想砕土性が良く 降雨後に土壌表面が早く乾き期待通りでした 作業速度は 事前に1 回耕うんをしておけば最高で時速約 2km 出せました 従来の播種機では 事前に2 回の耕うんを行う必要があったため 全体の作業時間は短くなりました 一方 土壌水分に応じて耕深の調整が必要なため 作業に慣れるまでは確認が必要で作業性が悪かったと感じられました 技術導入の効果と経営評価小麦の収量は 導入 1 年目の平成 26 年産は 470kg/10a 導入 2 年目の平成 27 年産は 442kg/10a と安定して高い結果が得られています また 1 等比率は 平成 26 年産が 57% 平成 27 年産が 86% と年々向上しています ( 図 23) 耕うん同時畝立て播種技術の導入前後の各 3 年間で比較すると 収量は 2.2 倍 ( 導入前 207 導入後 448kg/10a) に増加し 1 等比率は 7.2% から 48.0% に向上しました これらの結果をもとに収益性を試算すると 10a 当たり粗収益は 1.6 倍 ( 導入前 ( kg /10a) 収量と検査等級500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 検査等級 1 等 2 等 (47) (0) (0) (0) (57) (86) H22 H23 H24 H25 H26 H27 慣行播種 耕うん同時畝立て播種 図 23. 石岡市旧八郷地区水田転換畑における小麦の収量 検査等級注 )1. 品種 : きぬの波 2. 当該地域の湿害程度は中 ~ 多 3. () 内の数値は 1 等比率を示す 64,192 円 導入後 102,854 円 ) に増加し 10a 当たり所得は 3 倍 ( 導入前 19,192 円 導入後 57,584 円 ) に増加しました ( 表 3) 表 3. 耕うん同時畝立て播種の導入による小麦作での収益性の変化 耕うん同時畝立て播種 収量 ( kg /10a) 1 等比率 (%) 販売額 ( 円 /10a) 交付金 ( 円 /10a) 粗収益 ( 円 /10a) 経営費 ( 円 /10a) 所得 ( 円 /10a) 導入前 (H22~24 平均 ) 207 7.2 2,530 61,663 64,192 45,000 19,192 導入後 (H25~27 平均 ) 448 48.0 6,577 96,277 102,854 45,000 57,854-9-

法人経営での導入事例 ( 桜川市 ( 有 ) イワセアグリセンター ) 経営の概況労働力 : 常時雇用 13 名 臨時雇用 1 名栽培品目 (H27): 水稲 38ha 麦類 96ha 大豆 28ha そば 74ha そば加工 作業受託 技術の導入に至った経緯平成 16 年度の技術体系化チーム課題 転換畑における麦 大豆の生産安定技術の開発実証 において 当該経営の圃場で 不耕起播種機 小明渠浅耕播種機 耕うん同時畝立て播種機 による大豆栽培を実証しました ( 図 24) その結果 不耕起播種機を最も高く評価し 平成 17 年度に導入しました 当時の耕うん同時畝立て播種機は単条畝を成形するのみで 大豆の狭畦栽培に対応できなかったことなどから導入には至りませんでした 不耕起播種栽培は適期播種を可能とする省力的な技術ですが 播種後の降雨等により水が地表にたまりやすく 圃場や気象条件によって出芽や生育が不安定な場合があり 単収の向上が課題でした 平成 26~27 年度の県農業研究所の試験課題で 耕うん同時畝立て播種による小麦 大豆の実証試験が行われ その作業性や生育 収量が良好であったことから平成 27 年度に導入しました 純正品の新規購入ではなく 従来から所有していたアップカットロータリの爪の配列を変更し 最も外側に自作で爪を追加する工夫をしています ( 図 25) 図 24. 平成 16 年度の技術体系化チーム課題での大豆播種 耕うん同時畝立て播種技術の感想評価できる点は 1 作物の出芽や生育が優れる 2 平高畝により大豆の狭畦栽培に対応できる 3 過湿な圃場条件でも作業できる ことです 作業速度は未耕起の圃場で時速約 2.2km で播種しています アップカットロータリの砕土やすきこみ性が良いのは以前から知っていましたが 更に畝を立てて同時に播種するのは良いアイデアだと思います 水田はブロックローテーションで麦 大豆を作付けしていますが 各ブロックに排水の不良な圃場が 1/3 程度ずつ存在します 今後は 排水の比較的良好な圃場では不耕起播種 排水の不良な圃場では耕うん同時畝立て播種を行い 単収の向上を図りたいと考えています 図 25. 耕うん同時畝立て播種技術の導入 -10-

耕うん同時畝立て播種機の調整方法 事前耕起の要否 事前耕起 ( 耕うん ) が必要な場合アップカットロータリによる耕うん同時畝立て播種は 事前耕起 ( 耕うん ) を行わない未耕起圃場に 1 工程で播種できる特長があります (2 頁を参照 ) しかし 1 排水の不良な圃場で未耕起の土壌表面に溜まった水が排水されない場合 ( 図 26) や 2 労働力に余裕があり耕うん同時畝立て播種作業の能率を向上させたい場合などでは 事前耕起 ( 耕うん ) を行います 事前耕起 ( 耕うん ) の方法事前耕起は なるべく地表に凹凸を生じさせないチゼルプラウ等による粗耕起が適当と考えられます ロータリによる事前耕うんを行う場合は 耕うんから播種までの期間に降雨にあわないように計画します 表面に溜まった水 未耕起圃場 チゼルプラウ等による粗耕起 水の下方浸透を促進 粗耕起後 図 26. 粗耕起による排水性向上のイメージ 改良型アップカットロータリの仕様 適応トラクタ改良型アップカットロータリの価格と適応トラクタは 表 4 のとおりです 適応トラクタは 作業幅 2.2m では 55~ 85 馬力 作業幅 1.6m~1.8m では 30~50 馬力とされています 但し 重粘土質土壌や土壌水分が高い圃場では より出力の大きなトラクタや 牽引力に優れるセミクローラ型トラクタの利用が望ましいと考えられます ( 表 5) なお フルクローラ型トラクタは 圃場の凹凸が大きい場合等に播種作業機の上下方向の振れ幅が大きくなり 成形される畝の形状や播種深度が不安定になる場合があるため注意します 表 4. アップカットロータリの価格と適応トラクタ 作業幅 (cm) 160 170 180 220 アップカットロータリ型式 注 ) メーカー価格表をもとに作成 表 5. アップカットロータリ (BUR2210H) による耕うん同時畝立て播種作業に用いたトラクタ ( 例 ) 使用場所と土壌の種類 適応馬力 (PS) 質量 (kg) 土壌水分 装着方法 1 石岡市大塚細粒灰色低地土普通有 無 2 茨城町駒場多湿黒ボク土普通 ~ やや低無 3 石岡市月岡細粒強グライ土高い ~ 部分的に滞水有 無 4 古河市東山田黒ボク土普通 ~ やや低有 無 5 茨城町野曽マコモ層の客土普通 ~ 高い無 6 笠間市鴻巣多湿黒ボク土高い ~ 部分的に湛水無 7 美浦村木原黒泥土普通 ~ 部分的に湛水有 メーカー希望小売価格 ( 税抜 円 ) APU1610H-4SU 4セット 813,000 400 日農工 APU1610H-3SU 30~50 標準 3P 3セット 793,000 APU1610H-0SU 375 0.1 形 0セット 733,000 APU1710H-4SU 4セット 829,000 420 日農工 APU1710H-3SU 30~50 標準 3P 3セット 809,000 APU1710H-0SU 395 0.1 形 0セット 749,000 APU1810H-4S 4セット 845,000 430 日農工 APU1810H-3S 30~50 標準 3P 3セット 825,000 APU1810H-0S 405 0.1 形 0セット 765,000 BUR2210H-4L 4セット 1,280,000 705 日農工 BUR2210H-3L 55~85 標準 3P 3セット 1,260,000 BUR2210H-0L 670 1.2 形 0セット 1,190,000 事前耕うん使用トラクタ セミクローラ型 75PS ホイール型 83PS セミクローラ型 75PS ホイール型 75PS セミクローラ型 100PS セミクローラ型 110PS フルクローラ型 100PS 注 )1 の圃場において ホイール型トラクタ (55PS) による播種作業は 牽引力不足により不可能であった -11-

耕うん爪の配列と成形される畝の形状アップカットロータリ ( 型式 :BUR2210H) の耕うん爪配列と成形される畝の形状は 図 27 の通りです なお 作業にあたっては 付属の取扱説明書に従って下さい 平高畝 単条畝 L 爪 R 爪 平高畝 L L L L L L L L L L L L L L L L L L L L R R R R P 1 4 5 6 9 10 11 12 14 15 16 19 20 21 24 25 26 29 30 31 34 35 36 2 3 4 7 8 9 12 13 14 17 18 19 22 23 24 26 27 P 28 29 32 33 34 37 L L L L R R R R R R R R R R R R R R R R R R R R 畝の高さ ( c m ) 25 20 15 10 5 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 (cm) 注 ) 耕うん爪の配列は ロータリ後方からみた状態 単条畝 (3 畝盛 ) L L L L R R R L L L L L L L R L L L L L R R R R 1 4 5 9 10 11 12 14 15 16 17 18 19 24 25 26 29 30 P 31 32 34 35 36 2 3 4 6 7 8 9 12 13 14 19 20 21 22 23 24 26 27 28 29 33 34 37 P L L L L R R R R R L R R R R R R R L L L R R R R 畝の高さ ( c m ) 25 20 15 10 5 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 (cm) 注 ) 耕うん爪の配列は ロータリ後方からみた状態 図 27. アップカットロータリ ( 型式 :BUR2210H) の耕うん爪配列と成形される畝の形状 -12-

各部の名称耕うん同時畝立て播種の外観および各部の名称は 図 28 の通りです 作業幅 2.2m のアップカットロータリを使用する場合は ヒッチ 1 つで播種機を連結すると 播種深度が不安定になることがあります ヒッチ 2 つで播種機を連結すると 播種深度が安定するとともに 畝の形状に合わせた播種機の調整が容易となります ( 図 29) 前部 ( トラクタ側 ) 後部 ( 播種機側 ) 2 2 3 4 1 1 前部 ( トラクタ側 ) 下側 右側面 左側面 5 1 1 6 6 7 後方からみた耕うん軸耕うん軸拡大 8 8 4 5 図 28. アップカットロータリ ( 型式 :BUR2210H) 1 ゲージ輪 2 ヒッチ ( 播種機との連結部 ) 3 耕うん軸回転ギアボックス 4 均平板 5 耕うん爪 6 側板 7 チェーンケース 8 スクリーン 2 2 2 図 29. ヒッチによる播種機の取り付け例 ( 左 :2 つ 右 :1 つ ) -13-

耕うん同時畝立て播種の作業手順 アップカットロータリによる耕うん同時畝立て播種の作業手順と留意点をまとめました なお 機械作業にあたっては 付属の取扱説明書に従い 安全に充分に配慮してください 1 着脱 着脱方式は 3 点リンク ( 日農工標準オートヒッチカプラ ) です 2 前後バランス 前輪の浮き上がりを防ぐため フロントウェイトはダウンカットロータリより増やすことがあります 左図では 75PS セミクローラ型トラクタで BUR2210H を使用する際に 25kg のウェイトを 10 個装着しています 前輪荷重を全重の 20% 以上とし 3t の 75PS トラクタでは 400kg のウェイトが必要とされています ( 中央農研 北陸研究センター資料 ) トラクタに向かって左右 3 耕うん軸回転ギアの設定 耕うん軸回転ギアボックスを開け ( オイル漏れに注意 ) 設定ギアを確認します 4 つのギア ( 手前 2 トラクタ側 2) が入っています ギアはトラクタ側で設定します 下表のように 20T( 変速側 A)-23T( 入力側 B) を標準とし 土が重く湿っている場合は耕うん軸の回転を少なく 土が軽く乾いている場合は多くします PTO 回転数 540 rpm ギア組合せ 変速側 A 入力側 B 耕うん軸回転数 20T 23T 256rpm 石岡市大塚細粒灰色低地土普通有 無 茨城町駒場細粒灰色低地土普通 ~ やや低無 25T 18T 160rpm 石岡市月岡細粒強グライ土高い ~ 部分的に湛水有 無 23T 20T 193rpm 石岡市月岡細粒強グライ土やや高 ~ 高い有 無 18T 25T 309rpm 試験地および土壌の種類 土壌水分 事前耕うん 古河市東山田黒ボク土普通 ~ やや低有 無 茨城町野曽マコモ層の客土高い ~ 普通無 50cm 4 ロータリの角度調整 耕うん作業中に Niplo の文字が水平またはやや前下がりになるようにトップリンク長を調整します ( 図では 50cm) アップカットロータリのトップリンクは ダウンカットロータリより短いものが必要となることがあります 長いトップリンクは短いものに交換が必要です -14-

5 耕深の調整 耕深はゲージ輪で調整します また ゲージ輪を取り外すことで 耕深が深く 耕土量が増加するため 高い畝を立てる場合はゲージ輪を取り外しての作業も可能です 3cm C B A 6 播種機の調整 角度調整ハンドル ( 左図 A) で 播種機の種子 ( 肥料 ) 容器の天面が水平になるように調整します 高さ調整ハンドル ( 左図 B) で 適正な播種深度になるように深さを調整します 播種深度は 左図 C の播種ディスク ( ダブルディスク ) の深さで判断します 播種ディスクが畝の上面から土中に 3cm 程度貫入している状態が適正です 25 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 7 畝高さの確認 畝の上部で垂直に定規を挿します ( 左図 ) 平高畝で 15cm 以上 単条畝で 20cm 以上の畝になっていれば充分です 8 作業時の留意点 基本的に モンロー ( 自動水平調節機能 ) は OFF にします PTO 回転数は 540rpm 程度 エンジン回転数は 2000rpm 程度とします 作業速度は時速 1km 程度から開始し 成形される畝の形状を確認した後に 播種機を調整します 作業に慣れるまでは 平高畝の工程間の幅 ( 畝間 ) が広くなりすぎる傾向があります チェーンケースが前工程の畝肩にぶつかる位の感覚で作業するのが適当です 2 工程目以降の作業や圃場の端の作業等で 片方の耕土量が少なく種子の露出が目立つ場合は ロータリの左右の傾きを調整します 9その他の留意点 平高畝の中央部が凹む 土が軽い場合に見られることがあります 耕うん軸の回転数を上げます 畝の高さが低い 作業速度を下げます 均平板の接地圧が高い場合は 均平板を上げます ( 通常は 均平板の接地圧はフリーとします ) 耕土量が少ない場合は ゲージ輪の高さを調整するか ゲージ輪を取り外し 耕深を深くします 作業機にワラ等が絡まる 側板やゲージ輪を取り外します 播種機の接地輪が回転しない 畝間の低い位置では回転しないことがあります 播種条の間など 充分に回転する位置に調整します 10 延長用のチェーンケース( 左図 ) も市販されています -15-