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被害 死者数 : 15,782 (9 月 11 日現在 ) 行方不明者数 : 4,086 (9 月 11 日現在 ) 避難者数 : 68,816 倒壊あるいは大破した建物数 : 271, 阪神 淡路大震災 死者数 : 6,400 負傷者数 : 40,000 倒壊建物数 : 94,00

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2012 年 8 月 24 日高知 耐震壁の設計法の過去, 現在 および将来 ( 現在 AIJ で検討している内容 ) 新潟大学工学部建設学科建築コース 教授 加藤大介

耐震壁の設計法の過去, 現在および将来 ( 現在 AIJ で検討している内容 ) 1. 耐震壁の設計法等の歴史 2.2010 年の RC 規準 11 次改定について 3.2013 年 (?) 発刊予定の保有水平耐力規準の作業について 4.2015 年 (?) 発刊予定の応答スペクトル法による耐震設計規準の作業について

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構造設計法関連の歴史 ( 全体 ) 法律 AIJ JBDPA RC 規準終局強度耐震診断 1924( 大 13) 市街地建築物法改正 1933( 昭 8) 初版, 水平震度 0.1 1947( 昭 22) 震度を0.2に引き上げ 長期と短期の概念を導入 1950( 昭 25) 建築基準法 1958( 昭 33) 耐震壁の条文が登場 1971( 昭 46) せん断規定の改正 せん断規定の改正 1977( 昭 52) RC 耐震診断刊行 1981( 昭 56) 新耐震設計法 1981( 昭 56) 構造計算指針 同解説 1983( 昭 58) SRC 診断基準刊行 1986( 昭 61) 構造計算指針 同解説改定 1987( 昭 62) 鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 1988( 昭 63) 第 9 次改定 終局強度型耐震設計指針 ( 案 ) 1990( 平 2) 建築耐震設計における保有耐力と変形性能 RC 診断基準改訂 1994( 平 6) 建築物の構造規定 1995( 平 7) 耐震改修の促進の法律 1997( 平 9) 建築物の構造規定改定 靭性保証型耐震設計指針 ( 案 ) SRC 診断基準改訂 1999( 平 11) 付着 定着規定の改正 2000( 平 12) 性能評価型耐震設計指針 ( 案 ) RC 診断基準改訂 2001( 平 13) 基準解説書発刊 2007( 平 19) 基準解説書改定 2010( 平 22) 第 11 次改訂 2013( 平 25) 基準解説書改定予定 保有水平耐力指針刊行予定 RC 規準改定予定 2015( 平 27) 応答スペクトルによる耐震設計法刊行予定

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新耐震設計法 (1981) 耐震診断 (1977)

壁のせん断強度式 ( 広沢式 ) (4) ) ( 0.1 0.85 0.12 ) /( 18 0.053 0.23 式 N j t p D Q M F p Q e o wh wh c te wsu (3) ) ( 0.1 0.85 0.12 ) /( 18 0.068 0.23 式 N j t p D Q M F p Q e o wh wh c te wsu

2.5 2.5 2.0 せん断強度実験値 / 曲げ強度計算値 2.0 1.5 1.0 0.5 せん断強度実験値 / 曲げ強度計算値 2.0 1.5 1.0 0.5 式 (4)/ 式 (3) 1.5 1.0 0.5 0.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 式 (3)/ 曲げ強度計算値 0.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 式 (4)/ 曲げ強度計算値 0.0 0.0 1.0 2.0 3.0 M/QD (a) 式 (3) の実験値との比較 (b) 式 (4) の実験値との比較 (c) 差に及ぼす M/QD の影響図 2 耐震壁のせん断強度の精度

部材ランク 部材 耐力壁 耐力壁の区分 壁式構造以外の構造の耐力壁 壁式構造の耐力壁 破壊の形式 τ u /F c の値 τ u /F c の値 耐力壁の種類 条件 せん断破壊その他の構造耐力上支障のある急激な耐力の低下のおそれのある破壊を生じないこと 0.2 以下 0.1 以下 WA 0.25 以下 0.125 以下 WB - 0.15 以下 WC WA,WB 又は WC のいずれにも該当しない場合 WD τ u は D s を算定しようとする階が崩壊形に達する場合の壁の断面 ( 断面積は柱芯間距離 壁厚 開口は除く ) に生じる平均せん断応力度 ( 単位は N/mm 2 ) F c はコンクリートの設計基準強度 ( 単位は N/mm 2 )

構造設計法関連の歴史 ( 全体 ) 法律 AIJ JBDPA RC 規準終局強度耐震診断 1924( 大 13) 市街地建築物法改正 1933( 昭 8) 初版, 水平震度 0.1 1947( 昭 22) 震度を0.2に引き上げ 長期と短期の概念を導入 1950( 昭 25) 建築基準法 1958( 昭 33) 耐震壁の条文が登場 1971( 昭 46) せん断規定の改正 せん断規定の改正 1977( 昭 52) RC 耐震診断刊行 1981( 昭 56) 新耐震設計法 1981( 昭 56) 構造計算指針 同解説 1983( 昭 58) SRC 診断基準刊行 1986( 昭 61) 構造計算指針 同解説改定 1987( 昭 62) 鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 1988( 昭 63) 第 9 次改定 終局強度型耐震設計指針 ( 案 ) 1990( 平 2) 建築耐震設計における保有耐力と変形性能 RC 診断基準改訂 1994( 平 6) 建築物の構造規定 1995( 平 7) 耐震改修の促進の法律 1997( 平 9) 建築物の構造規定改定 靭性保証型耐震設計指針 ( 案 ) SRC 診断基準改訂 1999( 平 11) 付着 定着規定の改正 2000( 平 12) 性能評価型耐震設計指針 ( 案 ) RC 診断基準改訂 2001( 平 13) 基準解説書発刊 2007( 平 19) 基準解説書改定 2010( 平 22) 第 11 次改訂 2013( 平 25) 基準解説書改定予定 保有水平耐力指針刊行予定 RC 規準改定予定 2015( 平 27) 応答スペクトルによる耐震設計法刊行予定

構造設計法関連の歴史 ( 新耐震設計法以降 ) 法律 AIJ RC 規準終局強度 1981( 昭 56) 新耐震設計法 1981( 昭 56) 構造計算指針 同解説 1983( 昭 58) 1986( 昭 61) 構造計算指針 同解説改定 1987( 昭 62) 鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 1988( 昭 63) 第 9 次改定 終局強度型耐震設計指針 ( 案 ) 1990( 平 2) 建築耐震設計における保有耐力と変形性能 1994( 平 6) 建築物の構造規定 1995( 平 7) 1997( 平 9) 建築物の構造規定改定 靭性保証型耐震設計指針 ( 案 ) 1999( 平 11) 付着 定着規定の改正 2000( 平 12) 性能評価型耐震設計指針 ( 案 ) 2001( 平 13) 基準解説書発刊 2007( 平 19) 基準解説書改定 2010( 平 22) 第 11 次改訂 2013( 平 25) 基準解説書改定予定 保有水平耐力指針刊行予定 2015( 平 27) 応答スペクトルによる耐震設計法刊行予定

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構造設計法関連の歴史 ( 新耐震設計法以降 ) 法律 AIJ RC 規準終局強度 1981( 昭 56) 新耐震設計法 1981( 昭 56) 構造計算指針 同解説 1983( 昭 58) 1986( 昭 61) 構造計算指針 同解説改定 1987( 昭 62) 鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 1988( 昭 63) 第 9 次改定 終局強度型耐震設計指針 ( 案 ) 1990( 平 2) 建築耐震設計における保有耐力と変形性能 1994( 平 6) 建築物の構造規定 1995( 平 7) 1997( 平 9) 建築物の構造規定改定 靭性保証型耐震設計指針 ( 案 ) 1999( 平 11) 付着 定着規定の改正 2000( 平 12) 性能評価型耐震設計指針 ( 案 ) 2001( 平 13) 基準解説書発刊 2007( 平 19) 基準解説書改定 2010( 平 22) 第 11 次改訂 2013( 平 25) 基準解説書改定予定 保有水平耐力指針刊行予定 2015( 平 27) 応答スペクトルによる耐震設計法刊行予定

構造設計法関連の歴史 ( 新耐震設計法以降 ) 法律 AIJ RC 規準終局強度 1981( 昭 56) 新耐震設計法 1981( 昭 56) 構造計算指針 同解説 1983( 昭 58) 1986( 昭 61) 構造計算指針 同解説改定 1987( 昭 62) 鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 1988( 昭 63) 第 9 次改定 終局強度型耐震設計指針 ( 案 ) 1990( 平 2) 建築耐震設計における保有耐力と変形性能 1994( 平 6) 建築物の構造規定 1995( 平 7) 1997( 平 9) 建築物の構造規定改定 靭性保証型耐震設計指針 ( 案 ) 1999( 平 11) 付着 定着規定の改正 2000( 平 12) 性能評価型耐震設計指針 ( 案 ) 2001( 平 13) 基準解説書発刊 2007( 平 19) 基準解説書改定 2010( 平 22) 第 11 次改訂 2013( 平 25) 基準解説書改定予定 保有水平耐力指針刊行予定 2015( 平 27) 応答スペクトルによる耐震設計法刊行予定

日本建築学会 (AIJ) の提案 終局強度型耐震設計指針 (1988)

RC 造建物の終局強度型耐震設計指針 (1988) 設計思想 ( 降伏機構設計と降伏機構保証設計 ) 部材の設計式 ( せん断と付着の設計 ) 3 章構造計画 Co 0.25 3.1.1 降伏機構の計画 設定する降伏機構は 明快な全体降伏形とする 3.1.2 部材の計画 実験式からの脱却 降伏ヒンジを計画する部位に対しては 必要な強度を確保するとともに 十分な靭性能を保証するように計画する ( 降伏機構設計 ) 降伏ヒンジを計画しない部位に対しては 十分な強度を確保するように計画する ( 降伏機構保証設計 )

耐震壁の役割 全体崩壊形を実現

梁柱 壁 接合部 部材の設計式 終局強度型 靭性保証型 トラスアーチに中子筋の効果を強度せん断よる半理論式取り入れる 変形能強度 強度式を転用実験式 強度式を転用中子筋の効果 付着付着破壊を考慮変形能 したせん断強度 曲げ 変形能 軸力比制限と拘束効果を考慮配筋詳細した設計式 せん断 連層を考慮柱梁の式を転側柱拘束用開口の扱い 曲げ変形能 軸力比制限 拘束効果考慮 接合部 せん断強度式定着 柱梁の通し配筋 性能評価型 復元力特性 損傷評価と各種限界状態

トラスとアーチ機構によるせん断強度理論式 (a) トラス機構 (b) アーチ機構

耐震壁への適用 Vu=tw lwb ps sy cotftanq(1-b tw lwa n B /2 tanq(hw/lwa) 2 +1) 0.5 - hw/lwa b1cot 2 qps sy/n B ) 側柱の拘束効果を取り入れる アーチの層間での伝達確保

無開口耐震壁の実験値との比較

no = 0.7 - B/200 (MPa) nm : effectiveness factor to assure the flexural strength Shear force flexural strength shear strength with no shear strength with nm ultimate limit Deformation 変形能力の評価

日本建築学会 (AIJ) の提案 靭性保証型耐震設計指針 (1997)

設計思想 ( 性能評価型志向 ) RC 造建物の靭性保証型耐震設計指針 (1997) 部材の設計式 ( 最新の研究成果反映 ) 3 章構造計画 ( 終局強度型と基本的に同じ ) 4 章設計方法 4.1.1 原則 以下の 3 段階の限界状態に対応する目標性能を満足することを確認する (1) 使用性 - 使用限界状態 (2) 復旧可能性 - 設計限界状態 ( 損傷制御限界状態 ) (3) 安全性 - 終局限界状態 ( 倒壊限界状態 )

梁柱 壁 接合部 部材の設計式 終局強度型 靭性保証型 トラスアーチに中子筋の効果を強度せん断よる半理論式取り入れる 変形能強度 強度式を転用実験式 強度式を転用中子筋の効果 付着付着破壊を考慮変形能 したせん断強度 曲げ 変形能 軸力比制限と拘束効果を考慮配筋詳細した設計式 せん断 連層を考慮柱梁の式を転側柱拘束用開口の扱い 曲げ変形能 軸力比制限 拘束効果考慮 接合部 せん断強度式定着 柱梁の通し配筋 性能評価型 復元力特性 損傷評価と各種限界状態

部材の設計式 側柱の拘束効果の定量化

部材の設計式 連層トラス機構 連層アーチ機構

部材の設計式 開口壁の力の流れ概念図 開口壁の設計部位

日本建築学会 (AIJ) の提案 性能評価型耐震設計指針 (2000)

RC 造建物の性能評価型耐震設計指針 (2000) 設計された建物 ( 暗黙了解 ) の耐震性能の評価 3 段階の限界状態に対応する目標性能 (1) 使用性 - 使用限界状態 (2) 復旧可能性 - 設計限界状態 ( 損傷制御限界状態 ) (3) 安全性 - 終局限界状態 ( 倒壊限界状態 ) 部材の性能の評価法 応答変形の評価 ( 簡易法, 時刻歴解析 )

梁柱 壁 接合部 部材の設計式 終局強度型 靭性保証型 トラスアーチに中子筋の効果を強度せん断よる半理論式取り入れる 変形能強度 強度式を転用実験式 強度式を転用中子筋の効果 付着付着破壊を考慮変形能 したせん断強度 曲げ 変形能 軸力比制限と拘束効果を考慮配筋詳細した設計式 せん断 連層を考慮柱梁の式を転側柱拘束用開口の扱い 曲げ変形能 軸力比制限 拘束効果考慮 接合部 せん断強度式定着 柱梁の通し配筋 性能評価型 復元力特性 損傷評価と各種限界状態

7. 耐震壁部材の性能評価法 1) 耐震壁のモデル 2) 復元力特性 ( スケルトンカーブ ) 算定法 ( 主にせん断変形 ) 3) 各限界変形算定法 4) 曲げひび割れ幅算定法 5) せん断ひび割れ幅算定法 6) 評価例

部材の設計式

a) 曲げ降伏せずにせん断破壊する場合 τ 2 = s τ u τ 1 = s τ cr τ G trs1 p.196~198,205~206 2) 復元力特性算定法 ( せん断変形 ) sτ cr : せん断ひびわれ強度時せん断応力度 sτ u : せん断終局強度時せん断応力度 G trs1 : 第 2 折れ点算定用トラス剛性 γ 0 : 軸力によるせん断ひずみ度の変動値 γ γ 0 γ 1 γ 2

b) 曲げ降伏が生じる場合 ( s τ u < b τ u ) τ 3 = s τ u τ p.196~198,205~206 2) 復元力特性算定法 ( せん断変形 ) τ 2 = b τ y τ 1 = s τ cr G trs1 G trs2 G trs2 の起点 bτ y : 曲げ降伏強度時せん断応力度 G trs2 : 終局点算定用トラス剛性 γ γ 0 γ 1 γ 2 sγ u γ 3