11総法不審第120号

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処分済み

処分済み

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

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ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

Microsoft Word - H30 市税のしおり最終版

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

目 次 1 固定資産税と固定資産税評価 1 1 固定資産税とは 1 2 固定資産税の課税のしくみ 2 (1) 固定資産税を納める人 ( 納税義務者 ) 2 (2) 税額の計算 2 2 固定資産税評価のあらまし 1 固定資産税評価の意義 2 固定資産税評価によって求める価格とは 3 固定資産の価格を求

Microsoft Word - 暱京髟裆 平拒16年(衄ㇳ)32.docx

1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

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固定資産評価審査申出とは

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

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処分済み

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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し, これを評点 1 点当たりの価額に乗じて, 各筆の宅地の価額を求めるものとしている 市街地宅地評価法は,1 状況が相当に相違する地域ごとに, その主要な街路に沿接する宅地のうちから標準宅地を選定し,2 標準宅地について, 売買実例価額から評定する適正な時価を求め, これに基づいて上記主要な街路の

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販売用不動産の時価評価の基準(案)と論点

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高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

市税のしおり2016表紙再3

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

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ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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す ) 5 地区 地域内の各筆の評価 ( 一画地の宅地ごとに評価額を算出します < 土地に対する課税 > (1) 評価のしくみ固定資産評価基準によって 地目別に定められた評価方法により評価します 平成 6 年度の評価替えから 宅地の評価は 地価公示価格の 7 割を目途に均衡化 適正化が図られています

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

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の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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宅地 雑種地 田に土盛りをして畑とした土地牧草栽培地 農業用施設の内部で用水を利用しないで耕作する土地 家屋建築用地として造成され 道路 上下水道 公共施設等を備えている土地建物に付随する広場 庭園 通路等に過ぎないと認められる土地 工場又は営業場に接続する物干場又はさらし場用地 家屋の敷地内にある

審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領

平成  年(オ)第  号

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

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が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

平成 27 年 8 月 5 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ウ ) 第 239 号固定資産評価審査棄却決定取消請求事件 主 文 1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求吹田市固定資産評価審査委員会が平成 25 年 5 月 15 日付けで原告に対してした別

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

税理士法人チェスター【紹介】

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平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

等調整都市計画税額が 当該商業地等に係る当該年度分の都市計画税の課税標準となるべき価格に 10 分の 6 を乗じて得た額 ( 当該商業地等が当該年度分の固定資産税について法第 349 条の 3( 第 20 項を除く ) 又は法附則第 15 条から第 15 条の 3 までの規定の適用を受ける商業地等で

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12. 地価公示は 土地鑑定委員会が 毎年 1 回 2 人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め その結果を審 査し 必要な調整を行って 標準地の正常な価格を判定し これを公示するものである 13. 不動産鑑定士は 土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては 近傍類地の取 引価格から

はじめに 1 第 1 章土砂災害警戒区域の概要と現状分析 1 近年の土砂災害状況 2 2 土砂災害警戒区域 土砂災害特別警戒区域について 4 3 大阪府内の指定状況等について 6 4 土砂災害警戒区域等指定に伴う不動産価格への影響 8 第 2 章固定資産税評価について 1 固定資産税の概要 10 ⑴

○H30条例19-1

Microsoft Word - 答申書(一)5号本体(公表用・伏せ字有り)

Microsoft Word - 報告書(HP掲載用).doc

二予備的請求主文第二項 第三項同旨第二事案の概要一事案の要旨本件は 本件土地一ないし五を所有する原告 AR 及び本件土地六を所有する原告 CCが 同各土地について固定資産課税台帳に登録された平成九年度の固定資産課税台帳登録価格について 適正な時価を上回る違法なものであるとして 被告に対して審査の申し

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

路線価図

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

議案 1 田園住居地域内市街化区域農地の評価方法 ( 案 ) について 固定資産評価基準を別紙のとおり改正し 地方税法附則第 19 条の 2 の 2 の規定に基づき 平成 31 年度分の固定資産税から適用する 固定資産評価基準第 1 章第 2 節の 2 1

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固定資産税の課税のしくみ < 評価額と課税標準額と税額の推移 > ( 土地編 ) 課税標準額 評価額 税 額 なぜ, 地価が下落しているのに, 土地の固定資産税が上昇するの!? 2 なぜ, 平成 6 年評価額が急激に上昇したの!? 3 < 公的土地評価相互の均衡と適正化 > < 地価公示価格の一定割

第 1 基本的事項 1 業務内容についての順守事項本業務を行う不動産鑑定士又は不動産鑑定士補 ( 以下 不動産鑑定士等 という ) は 本業務が単に個別地点について行う鑑定評価と異なり 同一価格時点で大量に行う鑑定評価であり 特に面的な価格の均衡が求められる固定資産税評価のための基礎資料を作成するも

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第 5 節 鉱泉地 第 6 節 池沼 第 7 節 山林 第 8 節 牧場 第 9 節 原野 第 10 節 雑種地 第 11 節 その他 第 12 節 経過措置 第 2 章 家屋 第 1 節 通則 第 2 節 木造家屋 第 3 節 非木造家屋 第 4 節 経過措置 第 3 章 償却資産 第 1 節 償

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無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

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ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

富士見市都市計画税条例 ( 昭和 46 年条例第 40 号 ) 新旧対照表 ( 第 1 条による改正 )( 専決 ) 新 旧 附則 附則 ( 改修実演芸術公演施設に対する都市計画税の減額の規定の適用を受けようとする者がすべき申告 ) 6 法附則第 15 条の11 第 1 項の改修実演芸術公演施設につ

されている そして 市町村長 ( 東京都の特別区においては 法七三四条一項の規定により 東京都知事 以下同じ ) は評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないとされ ( 法四〇三条一項 ) 固定資産の価格等を決定し 価格等を登録した場合には その結果の概要調書を作成し 毎年四月中にこれを

第 6 回令和元年度固定資産評価実務者勉強会 第 3 部 税理士による最近の各種課税評価に関するお話 講師 : 税理士 不動産鑑定士 赤川明彦 ( 株式会社土地評価センター取締役 ) copyright 2019 KOTOBUKI PROPERTY ASSESSMENT all rights res

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定にかかわらず 当該都市計画税額とする 5 住宅用地のうち当該住宅用地の当該年度の負担水準が 0.8 以上のものに係る平成 21 年度から平成 23 年度までの各年度分の都市計画税の額は 第 2 項の規定にかかわらず 当該住宅用地に係る当該年度分の都市計画税額が 当該住宅用地の当該年度分の都市計画税

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

第 1 章総 則 ( 趣旨 ) 第 1 条本仕様書は 市原市 ( 以下 発注者 という ) が業務を委託する 固定資産総合資料整備業務委託 ( 評価支援事務 ) ( 以下 本業務 という ) に必要な事項を定めるものとし 受託者 ( 以下 受注者 という ) は 当該仕様書に基づき業務を行うものとす

固定資産の価格は 国が示す基準で評価します 固定資産の評価は 国が示す 固定資産評価基準 によって行うこととされています ( 固定資産評価基準は 総務大臣が告示します ) これにより 評価した価格 ( 評価額 ) は 毎年 3 月 31 日までに市町村長が決定します 平成 30 年度の価格 ( 評価

計算式 1 1 建物の価額 ( 固定資産税評価額 ) =2 長期居住権付所有権の価額 +3 長期居住権の価額 2 長期居住権付所有権の価額 ( 注 1) =1 固定資産税評価額 法定耐用年数 ( 経過年数 + 存続年数 ( 注 3)) 法定耐用年数 ( 注 2) 経過年数 ライプニッツ係数 ( 注

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

ており 土地の個別的要因に係る補正が全て考慮されたものとなっていることから 土地の形状 道路との位置関係等に基づく個別的要因に係る補正 すなわち評価通達 15(( 奥行価格補正 )) から 20(( 不整形地の評価 )) まで及び 20-3(( 無道路地の評価 )) から 20-6(( 容積率の異な

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Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した地方税法 ( 以下 法 という ) に基づく不動産取得税賦課処分に係る審査請求につ いて 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し平成 2 8 年 11 月 8 日付けで行った 別紙物件目録記載の土地 ( 以下 本件土地 という ) の取得に係る不動産取得税賦課処分 ( 別紙処分目録記載のとおり 以下 本件処分 という ) について その取消しを求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人の主張は 要するに次のとおりであり 本件土地に係る課税標準が不当であるとして 本件処分の取消しを求めるものと解される 正当な価格の反映のない不動産価格を元に課税するので 都税事務所は諸悪の根源となっている 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より 棄却すべきである 1

第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 2 9 年 5 月 3 0 日 諮問 平成 2 9 年 6 月 3 0 日審議 ( 第 1 0 回第 3 部会 ) 平成 2 9 年 7 月 2 6 日審議 ( 第 1 1 回第 3 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 本件処分について ⑴ 法令等の定めア不動産取得税は 不動産の取得に対し 当該不動産所在の都道府県において 当該不動産の取得者に課するとされている ( 法 7 3 条の 2 第 1 項 1 条 2 項 ) イ不動産取得税の課税標準は 不動産を取得した時における不動産の価格とするとされ ( 法 7 3 条の 1 3 第 1 項 ) その価格は 適正な時価 をいうとされている ( 法 7 3 条 5 号 ) ウ都道府県知事は 固定資産課税台帳に価格が登録されている不動産については 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとされているが 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は固定資産課税台帳の価格により難いときについては 総務大臣が定める評価基準によって 当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとするとされている ( 法 7 3 条の 2 1 第 1 項及び 2 項 1 条 3 項 ) 2

したがって 本件土地について法 7 3 条 5 号にいう適正な時価とは 上記のとおり評価基準によって評価した価格をいうものと解される エ総務大臣は 評価基準を定め これを告示しなければならないとされている ( 法 3 8 8 条第 1 項 ) オ東京都特別区の区域内においては 評価基準及び評価基準に基づいて定められた 東京都固定資産 ( 土地 ) 評価事務取扱要領 ( 昭和 3 8 年 5 月 2 2 日付 3 8 主課固発第 1 7 4 号主税局長決定 以下 取扱要領 といい 評価基準と合わせて 評価基準等 という ) により土地の評価を行っている カ評価基準等によれば 宅地の評価は 各筆の宅地について評点数を付設し 当該評点数を評点一点当たりの価格に乗じて求めることとされている そして 各筆の宅地の評点数は 主として市街地的形態を形成する地域における宅地については 市街地宅地評価法 ( 路線価式評価法 ) により 路線価を基礎にして 画地計算法 ( 宅地の奥行 形状 角地等に応じた画地補正率を正面路線の路線価に乗じて基本単位地積当たりの評点 ( 基本単価 ) を算出する方法 ) を適用して 付設するものとされており その手順は 以下のとおりとされている ( ア ) 宅地を普通商業地区 普通住宅地区等の用途地区に区分する ( イ ) 各用途地区について 街路の状況 公共施設等の接近の状況 家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等の相違を総合的に考慮して その状況が相当に相違する地域ごとに さらに区分する ( ウ ) 上記 ( イ ) において区分した地域 ( 以下 状況類似地区 という ) ごとに 街路の状況等及び価格事情が標準的なもの 3

で宅地評価の指標となる街路 ( 以下 主要な街路 という ) に沿接する宅地のうちから標準宅地を選定する ( ( ア ) から ( ウ ) までについて 評価基準第 1 章第 3 節二 ( 一 ) 2 ) ( エ ) 標準宅地について 売買実例価額を基に 正常な条件のもとにおいて成立する正常売買価格を評定して 適正な時価を求める なお 標準宅地の適正な時価を求める場合には 当分の間 基準年度の初日の属する年の前年の 1 月 1 日の地価公示価格及び不動産鑑定士等による鑑定評価から求められた価格等を活用することとし これらの価格の 7 割を目途として評定することとされている ( 取扱要領第 2 節第 5) ( オ ) これに基づいて当該標準宅地の沿接する主要な街路について路線価を付設する ( カ ) 主要な街路以外の街路 ( 以下 その他の街路 という ) については 主要な街路と比較して 価格形成要因となる街路条件 交通接近条件 環境条件 行政的条件の差異を東京都土地価格比準表 ( 平成 5 年 4 月 1 日付 5 主資評第 2 号主税局長決裁 平成 2 7 年 1 月 2 0 日改正 以下 比準表 という ) により格差に置き換え それらの格差を集計することにより格差率を求め主要な街路の路線価に乗じて 路線価を付設する ( ( オ ) 及び ( カ ) について 評価基準第 1 章第 3 節二 ( 一 ) 3 及び取扱要領第 2 節第 6) ( キ ) 路線価を基礎とし 画地の奥行 形状 地勢等に応じて 画地計算法 による係数を適用して 各筆の宅地の評点数を付設する ( 取扱要領第 2 節第 7 及び第 8 節 ) ( ク ) 付設された評点数に地積を乗じ 評点 1 点当たりの価額を乗じて 価格を求める ( 取扱要領第 2 節第 7 ) 価格は基準年度ごとに決定し 第 2 年度及び第 3 年度は 4

原則として基準年度の価格を据え置く ( 法 3 4 9 条 2 項及び 3 項 ) が 第 2 年度及び第 3 年度においても 地価が下落し 当該価格を据え置くのでは著しく均衡を失すると認める場合には 価格を修正する 第 2 年度に当たる平成 2 8 年度の宅地の評価においては 平成 2 6 年 1 月 1 日から平成 2 7 年 7 月 1 日までの間に 標準宅地等の価額が下落したと認められる場合には 法附則 1 7 条の 2 第 7 項の規定により告示された基準 ( 平成 2 7 年 7 月 1 日付総務省告示第 2 36 号 以下 修正基準 という ) により 評価額に修正を加えることができるとされている ( 法附則 1 7 条の 2 評価基準第 1 章第 1 2 節及び取扱要領第 2 節第 8 ) なお 東京都では 修正基準 に基づいて 地方税法附則第 17 条の2に係る平成 28 年度における固定資産 ( 土地 ) の価格の修正について ( 平成 2 8 年 3 月 2 3 日付 27 主資評第 522 号主税局長通達 以下 修正通達 という ) を定めている キ東京都においては 不動産取得税に係る価格の決定は 原則として納税地を所管する都税事務所長に委任されている ( 東京都都税条例 4 条の 3 第 1 項 6 号 同条例施行規則 3 条 4 号 ) ⑵ 本件土地の価格ア本件土地については 平成 2 8 年 9 月に処分庁が請求人に対し従前の賦課処分を行った後 本件土地の間口認定に誤りがあったことが判明したため 処分庁は 本件処分に当たり 改めて評価基準によって不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定することになったことが認められる イ処分庁は 本件土地の価格を 以下のとおり算出したこと 5

が認められる ( ア ) 本件土地を含む地域は 戸建住宅 共同住宅等が混在する住宅地域であることから 用途地区を 普通住宅地区 とした ( イ ) 当該用途地区を さらに 街路の状況 公共施設等の接近の状況 家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等からみて 価格形成要因がおおむね同等と認められる地域ごとに細分化し 状況類似地区とした ( ウ ) 本件土地が属する状況類似地区の主要な街路に沿接する宅地のうちから 区 丁目 番に所在する土地 ( 以下 本件標準宅地 という ) を標準宅地として選定した ( エ ) 本件標準宅地の沿接する街路について 評価基準の規定に基づき 平成 2 6 年 1 月 1 日時点の不動産鑑定評価から求められた価格を活用し 1 平方メートル当たりの当該標準価格 円の 7 割を目途として 主要な街路 ( 標準宅地の沿接する街路 ) の路線価 点を付設した ( オ ) 本件土地の沿接する街路について 主要な街路との間における価格形成要因の比較を通じ その差異を比準表により格差に置き換え それらの格差を集計した格差率を主要な街路の路線価に乗じて 路線価 点を付設した ( カ ) 本件土地の沿接する街路の路線価を基礎とし 画地計算法を適用して 本件土地の奥行 間口 形状等に応じた画地補正を行い 単位地積当たり評点を算出し これに地積 評点一点当たりの価額を乗じて 本件土地の価格を求めた 具体的には 本件土地は 奥行 メートル 間口 メートルで南側の街路にのみ沿接していると認められることから 当該街路の路線価 点に 奥行価格補正率 間口狭小補正率を連乗して得られた画地補正率を適用し 単 6

位地積当たり評点数 点を求めた 法附則 17 条の2による修正については 平成 26 年 1 月 1 日から平成 2 7 年 7 月 1 日までの間に地価下落は認められなかったため 修正率は 1. 0 0 である ( 修正通達 ) 上記単位地積当たり評点数 点に修正率 ( 1. 0 0 ) 地積 ( m2 ) 及び評点一点当たりの価額 ( 1. 0 0 円 ) を乗じて 本件土地の評価額 円を算出した ウ処分庁は 上記イにより算出した本件土地の評価額 円を 本件土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格と決定し 法附則 1 1 条の 5 第 1 項に規定する課税標準の特例 ( 宅地を取得した場合において 当該取得が平成 1 8 年 1 月 1 日から平成 3 0 年 3 月 3 1 日の間に行われた場合に限り 当該土地の課税標準は価格の 2 分の 1 の額とする ) を適用し 円を課税標準額として決定し 本件処分を行ったものであることが認められる ( 本件処分に係る不動産取得税賦課決定調査票 [ 土地 ] 土地評価計算書 ( 平成 2 8 年度 ) 等 ) また 本件処分に当たり 地目の認定 路線価の付設 時点修正率や画地計算における補正率の適用及び法附則 1 1 条の 5 第 1 項に規定する課税標準の特例措置の適用も適正になされて税額が算出されており 違算等の事実も認められない そうすると 本件処分は 法及び評価基準等の規定に従い 適正になされたものであり 違法又は不当な点は認められない 2 請求人の主張について請求人は 本件土地に係る課税標準が不当である旨主張するものと解される ( 第 3 ) しかし 法は固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されて 7

いない不動産又は固定資産課税台帳の価格により難いときは 評価基準によって 都道府県知事が不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとしている ( 上記 1 ⑴ ウ ) そして 評価基準については 法は固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを評価基準に委任したものであること等からすると 評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するもの である ( 最高裁判所平成 2 5 年 7 月 1 2 日判決 ( 裁判所時報 1 5 8 3 号 2 頁 ) 最高裁判所平成 1 5 年 7 月 1 8 日判決 ( 裁判所時報 1 3 4 4 号 1 頁 ) 参照 ) とされている 以上から 本件処分に当たり 評価基準に従って決定した本件土地の評価額は適正な時価であると認められるから 請求人の上記主張は理由がない なお 請求人は 都税事務所による情報の非公開性の結果 適切な不動産価格が市場に反映されていないこと 土地に関する情報はすべて公表すべきであること等についても本件審査請求において主張するようであり ( 審査請求書及び反論書 ) 口頭意見陳述においても同趣旨を述べるが いずれも本件土地を取得した請求人に対して賦課された不動産取得税 ( 本件処分 ) の適法性に影響するものとは認められず 本件処分の取消理由として採用することはできない 3 上記以外の違法性又は不当性についての検討その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や 法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適 正に行われているものと判断する 8

よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 外山秀行 渡井理佳子 羽根一成 別紙 ( 略 ) 9