( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 1. 住まいに関する情報取得の現状 インターネットの普及に伴い 不動産の物件情報など住まいに関する情報収集の利便性は飛躍的に高まった 民間の不動産ポータルサイトが普及し 情報の質や量 閲覧の利便性などを競い合っ

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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

RTE月次レポート企画

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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 動き出す安心 R 住宅 1. 安心 R 住宅とは 218 年 4 月の宅地建物取引業法の一部改正に伴い 媒介契約時の建物状況調査 ( インスペクション ) の説明義務化と並んで 今年度の不動産業に関する国の主要施策である安心 R 住宅 (

Quarterly Market Watch Summary Report 季報 Market Watch サマリーレポート <1 年 7~9 月期 > 中古マンション 首都圏の動き ( 成約物件 ) 件数 7,588 件 ( -9.%) m単価.3 万円 / m ( +5.5%) 価格

Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2018年07~09月).doc

Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2018年04~06月).doc

1. 在庫物件の四半期動向 市況変動を捉えやすい在庫データ 本機構の市況レポートでは 主に成約物件や新規登録物件の件数 価格等の動きから市場の動向を説明してきたが 在庫物件の動きに触れることは少なかった 在庫データは月報 Real Time Eyes にも掲載されているが 今回は最新データに基づき在

Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2017年07~09月).doc

PowerPoint プレゼンテーション

中古マンション概況 首都圏における 213 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,663 件 ( 前年同期比 12.2% 増 ) で 6 期連続で前年同期を上回り 増加率は 2 ケタに拡大しています すべての都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

スライド 1

中古マンション ( 近畿二府四県 ) 成約登録 新規登録状況 ( 専有面積 :~35 m2 ) 成約登録 ( 近畿圏全域 ) 成約 推移 推移 2, % 1,8 1,6 1,4 1, % 1, % 1 2

ズームイン要約版

中古マンション概況 首都圏における 214 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,993 件 ( 前年同期比 3.4% 増 ) で 1 期連続で前年同期を上回っています 都県 地域別に見ると埼玉県および横浜川崎地域を除く各都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

年 2 月期関西圏 中京圏 福岡県賃貸住宅指標 大阪府 京都府 兵庫県 愛知県 静岡県 福岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新

ズームイン要約版

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート ズームイン 住宅取得等に関する公的支援 2019 年 10 月に予定されている消費税率 10% への引き上げを控え 住宅取得時の増税の影響を緩和する国の各種対策が打ち出されている 今回はこうした各種支援策を改めて整理するとともに 近畿圏の主要自治体にお

不動産経済 表紙OL

( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

Ⅰ.市場の総括 (1) 首都圏マンション市場 新規供給 数 2,260 件 35,898 前年 (35,772 ) 比 0.4% 増 4 年ぶりに前年を上回る 総販売 数 35,952 前年 (35,043 ) 比 2.6% 増 新規物件の平均初 販売率 68.1% 前年 (68.8%) より0.7

プレスリリース                        2011年9月27日


目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

Microsoft PowerPoint (確定)【住宅事業者様向け】平成29年度市場動向調査

不動産経済 表紙OL

2011年12月21日

Economic Indicators   定例経済指標レポート

目 次 [Ⅰ] 調査方法 2 [Ⅱ] 地域区分図 3 [Ⅲ] アンケート調査票 4~5 [Ⅳ] 第 2 回不動産市況 DI 調査結果の概要 6 [Ⅴ] 設問ごとの回答内訳 [-1] 設問 2,3( 住宅地価格 ) 7~9 [-2] 設問 2,3( 商業地価格 ) 10~12 [-3] 設問 2,3(

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中古マンション概況 212 における首都圏中古マンションの成約は 31,397 件 ( 前比 8.7% 増 ) 3 ぶりに前を上回り 過去最高のとなっています 都県 地域別に見ても すべての都県 地域で増加となっています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で 万円 ( 前比 1.9% 下

中古マンションの平均成約価格は 2,783 万円 前年比 7.3 上昇し 4 年連続でプラス 価格指数は で前年比 9.5 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前年比 成約価格の登録価格比 成約価格 前年比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格 -1

【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

(Microsoft Word -

中古マンションの平均成約価格は 2,661 万円 前比.4 上昇 前年同比は 5 か連続下落 価格指数は で前比.6 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 前年同比 登録価格比 東京 23 区 3,

売買 売買仲介アンケート調査結果とりまとめ Ⅰ 各社の企業概要 (1) 本社所在都道府県 2

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

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報道関係者各位 2019 年 1 月 30 日 アットホーム株式会社 市場動向 - 首都圏の新築戸建 中古マンション価格 (12 月 )- 新築戸建の平均成約価格は 3,557 万円 前月比 1.1% 下落 前年同月比は 6 か月連続上昇 価格指数は で前月比 1.1 ポイント低下 (

Microsoft PowerPoint _公表資料2015

2011年12月21日

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PowerPoint プレゼンテーション

マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

報道関係者各位 2019 年 2 月 1 日野村不動産アーバンネット株式会社 リリースカテゴリー 都市型コンパクトタウン 都市再生 地方創生グローバルへの取組み不動産テック 働き方改革健康 介護ニーズ社会課題定期報告 レポート 不動産情報サイト ノムコム 住宅購入に関する意識調査 ( 第 16 回

中古マンションの平均成約価格は 2,547 万円 前比 4. 下落 前年同比は 2 か連続下落 価格指数は で前比 5.3 ポイント低下 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格

平成 22 年 5 月 7 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214, ) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 3 月調査 ) の結果について

スライド 1

木造住宅の価格(理論値)と建築数

Microsoft Word - 第8回「国際不動産価格賃料指数」(2017年4月現在)

1. 国土交通省土地 建設産業局関係の施策 不動産流通に関する予算要求が拡大 ここ数年 国の住宅 不動産政策において 不動産流通に関する施策が大幅に拡大している 8 月に公表された国土交通省の 2019 年度予算概算要求概要によると 土地 建設産業局における施策は大きく 4 項目あるが 全体の予算額

第7回DIレポート

Economic Indicators   定例経済指標レポート

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

1. 中古マンション価格の属性別変化 物件属性別のm2単価の違いを押さえる方法 近畿圏の中古マンション価格は 213 年以来 上昇を続けているが一貫して上昇するエリアがある一方で弱含みのエリアもみられる 物件属性についても同様で 駅からの徒歩分数や築年数 住棟 住戸の規模 階数 方位などによって 価

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21 年 1 月 29 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 1 都 3 県 TVI 推移 ( 過去 2 年間 ) 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 28 年

ズームイン要約版

Microsoft PowerPoint - N_借換調査2017

PowerPoint プレゼンテーション

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報道関係者各位 2019 年 3 月 26 日 アットホーム株式会社 市場動向 - 当社不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建 中古マンション価格 (2 月 )- 新築戸建の平均成約価格は 3,478 万円 前月比 0.9% 上昇 前年同月比は 8 か月連続のプラス 東京 23 区は前月比

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2009年01月号

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 29 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 29 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート<2005年2月号>

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート9月号

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公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 27 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2006年5月号(訂正版)

半年ごとの地価動向について 地価公示(1 月 1 日時点 ) と都道府県地価調査 (7 月 1 日時点 ) との共通の調査地点で見ると 三大都市圏の住宅地は平成 25 年の前半と後半がほぼ同率の上昇となり 商業地は平成 25 年後半に上昇率が拡大している また 地方圏の住宅地 商業地はともに下落した

9月23日は不動産の日 「 不 動 産 の 日 ア ン ケ ー ト 」  - 不動産に関する意識調査結果 -

Microsoft Word - 第4回(2015年4月)国際指数_記者発表_final

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リクルート住宅価格指数マンスリーレポート2007年11月号

資料1

Microsoft Word NO0173

211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 30 年 4 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所定

1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

3.HWIS におけるサービスの拡充 HWISにおいては 平成 15 年度のサービス開始以降 主にハローワーク求人情報の提供を行っている 全国のハローワークで受理した求人情報のうち 求人者からインターネット公開希望があったものを HWIS に公開しているが 公開求人割合は年々増加しており 平成 27

成績表 (バタフライ)

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 27 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

公益社団法人三重県宅地建物取引業協会一般社団法人三重県不動産鑑定士協会 三重県の地価と不動産市場の動向に関するアンケート調査結果 平成 26 年 10 月 1 日を調査時点とし 公益社団法人三重県宅地建物取引業協会の会員に対しアンケート調査を行った結果をお知らせします 本調査 (DI 調査 ) は所

地域経済分析システム () の表示内容 ヒートマップでは 表示する種類を指定する で選択している取引価格 ( 取引面積 mあたり ) が高い地域ほど濃い色で表示されます 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県

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共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

ズームイン

不動産経済 表紙OL

ズームイン要約版

平成 23 年 11 月 17 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 23 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査

目次 1. 調査の概要 調査の目的 調査対象 対象地域 調査方法 回収状況 結果の概要 住み替え 建て替え リフォームに関する事項 住み替えに関する意思決定 リフォーム

1. 新築戸建登録価格 成約価格 新築戸建の登録価格は首都圏平均で1 戸あたり 3,4 万円 前年同比 1.3 上昇し 14 か連続のプラス 成約価格は同 3,44 万円 同 2.6 上昇し 14 か連続のプラス 平均価格は 3 かぶりに登録価格の平均を上回る 16 年 12 の首都圏の新築戸建登録

9月23日は不動産の日 「 不 動 産 の 日 ア ン ケ ー ト 」  - 不動産に関する意識調査結果 -

第6回 国際不動産価格賃料指数(2016年4月現在)

Transcription:

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート ズームイン 住情報提供に関する最新事情 不動産の物件情報をはじめ 住まいに関する情報を提供する媒体が進化している レインズや不動産ジャパンなど公的機関のサイトがリニューアルしたほか 自治体の住情報サイトの充実も目立つ 今回は 住まいづくりを支援する住情報提供に関する最新事情を紹介する 1. 住まいに関する情報取得の現状 消費者が住宅を取得する際に利用する情報源 ( 媒体 ) で最も多いのはインターネットで 収集 活用の両面で重視されている ( 図表 1) ネットを利用する際の端末はパソコンが最も多いが スマートフォンやタブレットも若年層を中心に急速に伸びている ネットで収集する情報は 物件情報のほかに金利等の住宅ローンに関する情報や販売業者の企業情報 住宅ローン返済額のシミュレーションなどが上位となっている 2. 行政における住情報提供の取り組み 国土交通省の土地総合情報ライブラリーでは 実際の取引価格や市場の価格動向のほか 全国のハザードマップも調べることができ 地域の防災情報を集める際にも役立つ 近畿では住情報サイトが充実しており 大阪府や兵庫県のほか大阪 神戸 京都の各市は独自のサイトを設け 公的支援制度や業者情報の提供 相談窓口やセミナー等の紹介を行っている 3. 不動産業界における住情報提供 近畿レインズでは今年 3 月にホームページをリニューアルし 総合トップページで媒介契約制度や指定流通機構の紹介 売買の流れや市場動向のページなどを設けた 会員向けページでは IP 型システムや全国データベースのログイン画面のボタンが明示され 利用しやすくなった 不動産ジャパンでは 消費者が安心 安全に取引を行うための必要な知識や情報を提供している 業界団体が提供する全国の物件情報や不動産会社の検索サービスのほか トラブル事例やQ&A 相談窓口などを紹介し 実際の取引に役立つ様々なノウハウが収集可能となっている 図表 1 住宅を取得する際の情報源 1 2 3 4 5 6 インターネット折込チラシ住宅情報誌モデルルーム 住宅展示場新聞広告住宅販売事業者新聞記事 ダイレクトメールクチコミ雑誌テレビその他 収集情報活用情報 n=1,41 複数回答 資料 : 213 年度民間住宅ローン利用者実態調査 住宅金融支援機構 213 年 8 月 215/5 No.57 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 1. 住まいに関する情報取得の現状 インターネットの普及に伴い 不動産の物件情報など住まいに関する情報収集の利便性は飛躍的に高まった 民間の不動産ポータルサイトが普及し 情報の質や量 閲覧の利便性などを競い合っている 一方 近年は国や自治体 公的機関等が提供する情報サイトも充実してきた これらの公的サイトは単なる物件情報の提供だけでなく 物件の売買やリフォーム 維持管理 金融等に関するノウハウや 住まいに関する相談窓口 ハザードマップなど多彩な情報を提供している ここでは こうした公的サイトを中心とした住情報提供に関する最新事情を紹介する 住宅取得時の情報源はインターネットが最多 消費者が住宅を取得する際に利用する情報源 ( 媒体 ) で最も多いのはインターネットで 収集する際も活用する際も重要な情報源となっている (P1 図表 1) 従来の折込チラシや住宅情報誌も依然として高い比率を占めるが 消費者が実際に活用している情報源としてはインターネットが最も多い 利用媒体はパソコンと若年層でスマホが急伸 インターネット経由で情報収集する際の端末は 依然としてパソコンが最も多いが スマートフォンやタブレット端末も急速に伸びている ( 図表 2) 世帯主の年齢別にみるとパソコンは各世代で 9 割前後 図表 2 不動産情報収集時に利用したインターネット端末 年次別 世帯主の年齢別 資料 : 第 19 回不動産流通業に関する消費者動向調査 不動産流通経営協会 214 年 9 月 215/5 No.57 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 3 インターネットで収集した情報 1 2 3 4 5 6 7 8 購入 建設を検討する物件情報 ( 評判 ) 75. 住宅ローンに関する情報 ( 金利等 ) 48.5 販売 建設事業者の企業情報 ( 評判 ) 41.5 住宅ローン返済額に関するシミュレーション 34.4 資金計画に関するシミュレーション 32.3 住宅取得に関する税制 2.4 住宅取得に関する各種優遇税策 ( 補助金等 ) 19.9 n=621 複数回答 資料 : 213 年度民間住宅ローン利用者実態調査 住宅金融支援機構 213 年 8 月 を占め圧倒的に多いが 2~3 歳代を中心に若年層ほどスマートフォンの利用が進んでいることがわかる 住まいに関する情報は 物販 飲食店の情報や株価などと違い 日常で頻繁にアクセスするものではないため パソコンでじっくりと情報収集することが適しているようだ ただ 賃貸物件を探す機会が多い若年層では 比較的足の速い賃貸情報をスマホで手軽に収集し 不動産業者にアクセスすることが多いとみられる 主なチェック項目は物件販売業者 資金計画 インターネットで収集している情報としては 物件情報のほかに金利等の住宅ローンに関する情報や販売事業者の企業情報 住宅ローン返済額のシミュレーションなどが上位に挙がっている ( 図表 3) 関心を持った物件の取引条件や住宅の属性等を確認することは当然だが 販売に携わる不動産業者の評判や 大多数が利用する住宅ローンの金利や資金計画等に関する情報も 重要なチェック項目となっている 2. 行政における住情報提供の取り組み ハザードマップも閲覧できる国の情報サイト 物件情報をはじめ様々な住関連情報を提供する民間の不動産ポータルサイトの充実は目覚ましいが 近年は行政機関も住まいに関する様々な情報をインターネット上で提供している 国が提供する代表的なものとしては 国土交通省が設けている土地総合情報ライブラリーが挙げられる ( 図表 4) 215/5 No.57 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 4 国土交通省土地総合情報ライブラリー (http://tochi.mlit.go.jp/) このサイトでは 土地や戸建住宅 マンションにおける実際の取引価格や地価公示等の情報を地図上から探せるほか 土地取引や新築住宅着工数 中古マンション市場 賃貸マンション市場などの不動産市場全般の価格動向などについて見ることができる 全国のハザードマップ ( 地震や津波 洪水 土砂災害等の自然災害時の被害状況や避難施設等を示した地図 ) も調べることができ 住まい探しで関心が高まっている防災情報を集める際に役立つ このほか 国の税制等の制度 施策や都道府県の土地利用等に関する部局へのリンクもあり 不動産に関する主要な行政機関を網羅したサイトとなっている 京阪神を中心に自治体の住情報サイトが充実 自治体が提供する住情報というと 以前は公営住宅や住宅供給公社の募集情報が中心だったが 近年は主な自治体が様々な住関連情報の提供に乗り出すケースが増えている 近畿は 全国でも住情報の提供 215/5 No.57 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 5 大阪府の住情報提供サイト (http://osaka-sumai-refo.com/) が充実した自治体が多いことで知られる 大阪府や兵庫県のほか 大阪市や神戸市 京都市などは独自の住情報提供サイトを設けている 大阪府のサイト 大阪の住まい活性化フォーラム では 中古住宅の住まい方やリフォーム事例の紹介 府及び府下各市町村の公的な支援制度やまちづくり関連の情報 リフォーム事業者等の情報などが閲覧できる ( 図表 5) 兵庫県では ひょうご住まいサポートセンター (http://support.hyogo-jkc.or.jp/index.html) を設けており 住まいづくりに関する相談や各種支援事業を行っている 大阪市では おおさか あんじゅ ネット を開設しており 常設の住まい情報センター ( 大阪市北区 ) での相談事業や住まいに関するセミナー イベント 市の助成制度や支援事業 住宅施策の紹介などを行っている ( 図表 6) 図表 6 大阪市の住情報提供サイト (http://www.sumai.city.osaka.jp/index.php) 215/5 No.57 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 7 神戸市の住情報提供サイト (http://www.smilenet.kobe-sumai-machi.or.jp/) 図表 8 京都市の住情報提供サイト (http://www.kyoto-jkosha.or.jp/sumai/) 215/5 No.57 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 神戸市の委託事業である すまいるネット は自治体における住情報サイトの先駆けであり 阪神 淡路大震災の教訓から住宅の安全性の向上や品質 機能に対する市民意識が高まったことを背景に 安心 安全な住まいづくりを支援するサイトとして 2 年に設置された ( 図表 7) 市民を対象とした住まいに関する相談事業やセミナー イベント 耐震化に向けた支援事業 マンション管理の支援 公的住宅の募集 まちづくり支援など 他の自治体の模範となった各種の情報を網羅している 京都市では 住宅供給公社が運営する 京 ( みやこ ) 安心すまいセンンター が 13 年に開設されている ( 図表 8) 主な事業は 相談業務や住教育などの普及啓発業務 情報発信業務 分譲マンション建て替え 大規模修繕のアドバイザー派遣 京町家など伝統構法にも対応した木造住宅耐震改修支援業務などが挙げられる こうした自治体における住情報ポータルサイトは 住まい探しや新築 リフォームなどの住まいづくりにあたって 消費者が情報収集する際の最も基本的な窓口となる 不動産事業者においても 地元自治体の助成制度や地域の不動産市況やまちづくりの情報 防災情報などを収集する際の有効なツールになると言えよう 3. 不動産業界における住情報提供 近畿レインズのホームページもリニューアル 近畿レインズでは今年 3 月にホームページをリニューアルし より利用しやすいサイトに衣替えした ( 図表 9) サイトの構成は 大きく総合トップページと会員向けページに分かれている 総合トップページでは 一般消費者も意識した媒介契約制度やレインズ ( 指定流通機構 ) の紹介 売却 購入時の流れ 不動産市場動向 一般向け質問などのページを設けた 不動産事業者の会員向けページでは IP 型システムや全国データベースのログイン画面への遷移ボタンが明示され IP 型利用マニュアルの一括ダウンロードや利用に関する所属団体への問い合わせ先なども一覧で表示される 会員へのお知らせやシステムのお知らせ よくある質問のほか レインズ登録物件を元付業者の承諾を得てネットやチラシに掲載する際の広告承諾書ダウンロードのボタンも設けられている リンク先では 関連団体や流通機構の関連協会 他の 3 つの流通機構のほか 不動産の取引 知識 情報や不動産のトラブル 判例を紹介するサイトを紹介している リンク先のサイトの中で 特徴的な 215/5 No.57 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 9 近畿レインズホームページ < 総合トップページ >(http://www.kinkireins.or.jp/) 媒介契約制度の紹介画面 ( 例示 ) < 会員向けページ >(http://www.member.kinkireins.or.jp/) ものとしては一般消費者にも役立つ 不動産ジャパン が挙げられる 安心 安全な取引を促す不動産ジャパン 不動産ジャパンは ( 公財 ) 不動産流通推進センターが運営するポータルサイトで 消費者が安心 安全に不動産取引を行うための必要な知識や情報等を提供 大半の不動産会社が加盟する不動産流通 4 団体 ( 全国宅地建物取引業協会連合会 全日本不動産協会 不動産流通 215/5 No.57 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 図表 1 不動産流通推進センターが運営する情報提供サイト (http://www.fudousan.or.jp/) 経営協会 全国住宅産業協会 ) から提供される全国の不動産物件情報が検索できるほか 全国約 11 万事業所の中から希望の不動産会社を探し出せるサービスも提供している ( 図表 1) このサイトでは購入 売却 賃借 賃貸の各場面で参考となる取引の基礎知識やチェックリストなどを 住まい探し講座 でわかりやすく提示 住まいのトラブル相談室 では 取引時のトラブル事例や住まいのQ&A 各種相談窓口の連絡先などを紹介し 実際の不動産取引に役立つノウハウを多面的に提供している このほか 空き家特集や消費税特集といったタイムリーな話題や 不動産取引に関する国の法制度や施策の最新動向 データで読む市況 街の不動産会社の紹介などもあり 不動産取引に関する基本的な情報は ほぼこのサイトで入手可能といっても過言ではない 215/5 No.57 9

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住情報提供に関する最新事情 この不動産ジャパンにベースデータを提供している不動産業界の各団体も 独自に物件情報や地域の情報を提供している 住まい探しを始める際は 探索している地域や物件の所在地域の地元の自治体や業界団体のサイトをのぞいてみると良いだろう ネット社会の拡大で 不動産市場にも情報があふれている 膨大な情報の中から自分にあった内容を選択するには 様々な角度からデータを比較できるポータルサイトが役立つ 今後は スマートフォンで手軽に不動産情報を閲覧する動きも広がる可能性が高い 業界においても新たな媒体を活用しながら 正確な情報提供に絶えず努力する姿勢が求められそうだ 215/5 No.57 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート 特集 市況データの新たな把握方法 これまで市況レポートで取り扱ってきた実数ベースの件数や価格の平均値を補う方法として 様々なデータの捉え方について紹介する ここでは移動平均値を用いた市況の変化点や データの偏り 特異値の排除を目的とした新たな分析手法の可能性について検討する 1. 移動平均に基づく市況分析 市況トレンド等で取り上げてきた原数値の前年比は振れ幅が大きく 特に成約件数の増減率は変化が大きい 一方 移動平均値の変動率は振幅が小さく 滑らかに推移する ( 図表 1) 移動平均は季節的な変動要因を取り除く手法の一つで レインズデータでは 4 四半期後方移動平均を採用することで 春先の転居時期や夏季の閑散期などの季節要因を除去できると考えられる レインズデータで移動平均値と原数値をクロスさせると リーマンショックやアベノミクスなどによる市況の転換点の把握が可能になるとみられる 2. 価格における中央値 最頻値の採用可能性 統計データにおける平均の捉え方では従来の平均値 ( 算術平均 ) 以外に データを小さい順に並べたとき中央に位置する値を示す中央値や データの中で最も頻繁に出現する値を示す最頻値が挙げられる 中古マンション 戸建成約価格の中央値と最頻値は これまで採用してきた平均値より低い 最頻値は市場の実感に近いが データ分布の偏りの影響を説明しながら より客観的に 真ん中 の値を示すものとしては 中央値を採用することが有効とみられる 3. 価格におけるトリム平均の採用可能性 データの中に含まれることのある特異値を除いて算出するトリム ( 刈り込み ) 平均では データサンプルの最大値と最小値付近で刈り込む除外範囲をあらかじめ決めることになる 近畿圏の中古住宅価格について試算すると 除外範囲を大きくしても中央値や最頻値ほどの差は出ない これは 中古物件が低価格帯に偏っており その分布を反映した中央値に比べて価格特性をうまく説明できないためとみられ あえてトリム平均値を採用する必要はないと判断される 図表 1 成約件数 価格の前年同期比における原数値と移動平均値 ( 近畿圏 中古マンション ) 25 前年同期比 ( 原数値 ) 25 前年同期比 (4 四半期後方移動平均 ) 2 成約件数成約価格 2 成約件数成約価格 15 15 1 1 5 5-5 -5-1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15-1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15 215/5 No.57 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 1. 移動平均に基づく市況分析 レインズデータの集計に基づく市況トレンドの把握では これまで実数 ( 原数値 ) ベースの件数や価格の平均値などを採用してきた 今回の特集では こうした基本的な数値に加えてより的確な市況把握の方法がないか検討を行うことにする 季節的な変動要因を取り除く移動平均 ここでは 近畿圏における中古マンションと中古戸建の成約件数と成約価格データを利用して 原数値と移動平均値が示すトレンドの違いについて捉える P1の ( 図表 1) と下図の ( 図表 2) は 中古マンションと中古戸建の四半期別成約件数と成約価格における前年同期比の数値である これまで市況トレンド等で取り上げてきた左図の原数値は振れ幅が大きく 特に成約件数の増減率が大きい 一方 右図の移動平均値は変動率の振幅が小さく 滑らかに推移することがわかる 前年同期比は データの季節的な変動 ( 転居に伴う移動が活発となる毎年 1~3 月期は件数が増加するなど ) を排除する最も簡便な方法だが 前年の動きにかく乱されるといった問題がある 例えば リーマンショックの翌年の増加率や消費税率引き上げ翌年の減少率は 例年より振幅が大きくなるといった現象がみられる 移動平均は 原数値を一定の周期に合わせた期数で平均化することにより季節的な変動を取り除く手法の一つで 上記の現象をならす効果がある ここでは 4 四半期後方移動平均 ( 直近四半期を含む前 4 期分 (1 年分 ) の原数値の平均値 ) を採用することで 春先の転居時期や夏季の閑散期などの季節要因を除去できると考えられる 図表 2 成約件数 価格の前年同期比における原数値と移動平均値 ( 近畿圏 中古戸建住宅 ) 2 15 前年同期比 ( 原数値 ) 成約件数成約価格 2 15 前年同期比 (4 四半期後方移動平均 ) 成約件数成約価格 1 1 5 5-5 -5-1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15-1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15 215/5 No.57 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 原数値と移動平均から市況を読み解く 次に この移動平均値と原数値をクロスさせることで 市況の変化点を探ることにする 近畿圏の成約件数について 原数値と移動平均値の前年同期比を重ねると両者が交差するポイントがみつかる ( 図表 3) 株価のチャート分析では 周期の異なる移動平均線同士の交差から株価の方向性を判断する手法がある 緩やかな長期の移動平均線を短期の移動平均線が 図の下から上に抜ける場合をゴールデンクロス ( 株価が底を打って上昇に転じるサイン ) その逆をデッドクロス ( 下落に転じるサイン ) と呼ぶが 下図の場合にも同様の見方ができる 図表 3をみると 8 年 9 月にリーマンショックが起きた後 原数値が移動平均線を上から下に抜けており 市況が下降局面に入ったことがわかる 消費税率が 8% に引き上げされた時も直前の 14 年 1~3 月期に転換点を迎え 市況が下振れし始めた様子がうかがえる 成約価格についても同様に リーマンショックや消費税率のアップに伴う下振れ 安倍内閣の誕生 ( アベノミクス効果の出現 ) に伴う市況の好転がグラフから読み取れる ( 図表 4) 件数と価格では 価格の方がより明確に市況の転換点を示しているようにみえる 図表 4では 15 年 1~3 月期に原数値が移動平均値を下から上に抜けており 足元で市況が好転する兆しが捉えられる 市況の好転を明確に判断するには 件数も含めて向こう 2 四半期程度のトレンドを追う必要があるが こうしたクロスポイントから市況の転換点を把握することは可能と考えられる 図表 3 成約件数の原数値と移動平均値の前年同期比 ( 近畿圏 中古マンション ) 25 市況の転換点 ( 成約件数 ) 2 リーマンショック 東日本大震災 第 2 次安倍内閣誕生 消費税 8% へ引上げ 15 1 5-5 原数値 4 四半期後方移動平均 -1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15 215/5 No.57 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 図表 4 成約価格の原数値と移動平均値の前年同期比 ( 近畿圏 中古マンション ) 1 8 6 市況の転換点 ( 成約価格 ) リーマンショック? 東日本大震災第 2 次安倍内閣誕生 4 2 消費税 8% へ引上げ -2-4 -6 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 原数値 4 四半期後方移動平均 '12 '13 '14 '15 同様に中古戸建についてみると 14 年以降の成約件数は下降基調にある移動平均値が原数値の回復を押さえ込む上値抵抗線のようにも見え 現状における中古戸建市場の軟調さがうかがえる ( 図表 5) 成約価格の波形を見ると 中古戸建でも成約件数より明確にトレンドの転換を示しているように見える ( 図表 6) 今後はこうしたクロスポイントの把握に加え 移動平均値自体の変化や新規登録と在庫物件で同様の把握を試みるなど より多面的な検証を行うことが必要と考えられる 図表 5 成約件数の原数値と移動平均値の前年同期比 ( 近畿圏 中古戸建住宅 ) 25 市況の転換点 ( 成約件数 ) 2 リーマンショック 東日本大震災 第 2 次安倍内閣誕生 消費税 8% へ引上げ 15 1 5-5 原数値 4 四半期後方移動平均 -1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15 215/5 No.57 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 図表 6 成約価格の原数値と移動平均値の前年同期比 ( 近畿圏 中古戸建住宅 ) 6 4 リーマンショック 市況の転換点 ( 成約価格 ) 東日本大震災 第 2 次安倍内閣誕生 消費税 8% へ引上げ 2-2 -4-6 -8-1 四半期 Ⅰ 年 '8 '9 '1 '11 原数値 4 四半期後方移動平均 '12 '13 '14 '15 2. 価格における中央値 最頻値の採用可能性 データの実情や実感に近い中央値 最頻値 次に 市場の新たな平均像の捉え方について検討を行う 従来の市況レポートでは平均価格について 最も基本的な算術平均のみを採用してきたが 統計データで平均値を算出する方法としては この他に中央値や最頻値といった捉え方がある 中央値はデータを小さい順に並べたとき中央に位置する値を 最頻値はデータの中で最も頻繁に出現する値を指す 図表 7 中古マンション価格の度数分布 ( 近畿圏 /214 年度成約物件 ) ( 件 ) 4, 平均値 1841 万円中央値 159 万円 最頻値 128 万円 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 ( 万円 ) ~499 5~ 1~ 15~ 2~ 25~ 3~ 35~ 4~ 5~ 215/5 No.57 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 図表 8 中古戸建住宅価格の度数分布 ( 近畿圏 /214 年度成約物件 ) ( 件 ) 2,25 平均値 1816 万円中央値 155 万円 最頻値 148 万円 2, 1,75 1,5 1,25 1, 75 5 25 ( 万円 ) ~499 5~ 1~ 15~ 2~ 25~ 3~ 35~ 4~ 5~ 3つの平均平均値 ( 算術平均 ) 総和を標本数で割ったもの (1+2+2+3+4+7+9) / 7=4 中央値 標本群を昇順に並べたとき中央に位置する値 1, 2, 2, 3, 4, 7, 9 最頻値 標本群で最も頻繁に出現する値 1, 2, 2, 3, 4, 7, 9 214 年度の近畿圏における中古マンション成約価格の平均値 ( 算術平均 ) は 1,841 万円であったが 中央値は 1,59 万円 最頻値は 1,28 万円となった ( 図表 7) 中古戸建成約価格は 平均値が 1,816 万円 中央値は 1,55 万円 最頻値は 1,48 万円であった ( 図表 8) 中央値と最頻値は いずれもこれまで採用してきた平均値より低い 平均値は一部の高額物件に数値が引き上げられているのに対し 中央値は物件全体の真ん中に位置する物件の価格を 最頻値は最も多く成約した物件の価格を示している 平均値では中古戸建価格が中古マンション価格を下回るが 最頻値は中古戸建が中古マンションより 2 万円高い これはデータの分布をみれば明らかだが 中古戸建は低い価格帯の物件が多いことから平均値は下がるが 最も成約数が多い物件の価格 ( 最頻値 ) は中古マンション価格を上回る つまり 戸建価格はマンションより本来高いとされる市場の実感に近い値となっている 中央値はデータ分布の実態を表している数値で 最頻値は市場参加者の実感に近い数値と言うことができる 海外の統計データでは中央値がよく用いられており データ分布の偏りの影響を説明しながら 客観的に 真ん中 の値を示すものとして有効とみられる 今後は 平均値に加えて中央値を参考として 図表中に紹介することが可能になると考えられる 215/5 No.57 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 3. 価格におけるトリム平均の採用可能性 特異値を刈り込むトリム平均 最後に データの中に含まれることのある特異値を除く形で算出する平均値 ( トリム平均 ) の採用可能性について検討する 物件データでは まれに極端に大きい値や小さい値が混在することがある 居住用物件でも郊外の民家や密集市街地の狭小住宅などが含まれることで 全体の平均値が大きく引き上げたり引き下げたりする場合がある トリム平均はこうした影響を排除するため 極大値と極小値を刈り込み 残りのデータだけで平均値を算出する方法である トリム平均では データサンプルの最大値と最小値付近の刈り込む除外範囲をあらかじめ決める 近畿圏の中古マンション価格について試算してみると 除外範囲 5%( 上下 2.5% ずつ ) の場合は 1,773 万円 1% の場合は 1,742 万円となった ( 図表 9) 中古戸建では除外範囲 5% の場合 1,723 万円 1% の場合は 1,687 万円となった 図表 9 中古住宅成約価格のトリム ( 刈り込み ) 平均値 ( 近畿圏 /214 年度 ) 中古マンション < 参考 > 除外する割合 トリム平均値 平均値 中央値 最頻値 % 1841 万円 1841 万円 159 万円 128 万円 1% 1815 万円 5% 1773 万円 1% 1742 万円 5% 1644 万円 中古戸建住宅 < 参考 > 除外する割合 トリム平均値 平均値 中央値 最頻値 % 1816 万円 1816 万円 155 万円 148 万円 1% 1779 万円 5% 1723 万円 1% 1687 万円 5% 1589 万円 トリム ( 刈り込み ) 平均とは? トリム平均は データの最大値と最小値付近の値を計算から除外して算出した平均の値 特異値の除外では 製造業の品質管理等で用いられる 3σ( シグマ ) 法が参考になる 3σ 法は 製品の誤差 ( 不良品 ) の排除 抑制に用いられ その誤差は正規分布に基づくとの考え方による 例えば 排除すべき特異値が 3σ の範囲に収まっていれば 上下.15% のサンプルを排除 同様に 2σ では上下 2.3% 1σ では上下 15.9% を排除し 平均値を求める 215/5 No.57 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 市況データの新たな把握方法 除外範囲はデータの種類によって異なるが 当該データの分布形状を正規分布と想定して 2σの範囲 ( 上下 2.3% 全体の約 5% 程度 ) を除外することが多いようである 中古マンションの算出結果について平均値と比べると 除外範囲 5% の場合の平均値との違いはマイナス 3.7% で 中古戸建も範囲 5% の場合の平均値との違いはマイナス 5.1% で 中央値や最頻値ほどの差はない 除外範囲を 5%( 上下 25%) にしても 中古マンションでは 1,644 万円 中古戸建は 1,589 万円と中央値より差は小さい これは図表 7 8でみたように 物件データの形状が正規分布ではなく低価格帯に偏った形をしており データの分布特性を反映しやすい中央値に比べて 成約価格の特性をうまく説明できないためとみられる 特異値を排除する目的で居住用物件の特性に配慮したデータは 既に対象面積を限定したマンスリーレポートで公表しており 改めてトリム平均データを作成する必要はないと判断される 215/5 No.57 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート 市況トレンド 214 年度の近畿圏市場と直近の動向 214 年度の近畿圏の中古住宅市場は 中古マンション 戸建とも成約件数が減少に転じた 消費増税に伴う景況感の悪化が影響したとみられるが 中古マンションでは一部需要の積極的な取引により成約価格が上昇 ただ こうした動きが広く波及するには実質賃金の上昇がカギとなる 1. 中古マンション市場の動き 14 年度の中古マンション成約件数は 16,288 件で前年比マイナス 2.4% と 1 年ぶりに減少した 新規登録件数も 3.2% 減少し 売り物件の不足から需給タイトな状況が続く ( 図表 1) 14 年度の成約価格は 1,841 万円で前年比 4.1% 上昇し 専有面積は 7. m2で同.4% 拡大した 成約価格の 1,8 万円台回復は 1999 年度以来 15 年ぶりで 専有面積も 5 年ぶりの水準となった 2. 中古戸建住宅市場の動き 成約件数は 1,937 件で前年比マイナス 2.2% と 中古マンションと同様に減少した 新規登録件数は 52,471 件で前年比 1.6% 増加し 中古マンションとは対照的な動きとなっている ( 図表 2) 成約価格は 1,816 万円で前年比マイナス 1.4% 新規登録価格も同.8% と双方とも 2 年ぶりに下落した 建物面積は横ばいだが 大阪市などの取引が拡大し平均土地面積は縮小した 3. 四半期で見た市場の動き 15 年 1~3 月期は 中古マンション成約件数が前年比.1% 増で成約価格は 4.3% 上昇 一方 中古戸建は成約件数 価格ともマイナスとなり 軟調さが目立った 需給タイトな中古マンション市場では一部の需要層が高額物件を積極的に購入しているが こうした動きが一般的な所得層まで波及するには 物価を上回る実質賃金の上昇がカギとなる 4. 関連不動産市場の動き 賃貸マンションの成約賃料単価は 14 年 1~12 月期から 2 期連続で下落している 大阪市も 2 期続けて下落し 京都市の賃料単価を下回るなど 総じて軟調に推移した 京阪神のオフィス空室率は 大阪梅田地区と神戸市が前年比で大幅な低下 平均募集賃料は大阪市内が前年同月よりやや下落したが オフィス需要は当面堅調に推移すると見込まれる 図表 1 中古マンションの成約 新規登録件数 ( 件 ) 成約 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 新規登録 5, 4, 3, 2, 1, 16,288 1 8 6 4 2-2 -2.4-4 46,417 3 2 1-3.2-1 -2-3 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 年度件数前年度比 図表 2 中古戸建住宅の成約 新規登録件数 ( 件 ) 成約 12, 1,937 12 11, 1 8 1, 6 9, 4 8, 2 7, -2 6, -2.2-4 5, -6 6, 新規登録 15 52,471 1 5, 5 4, 1.6-5 3, -1 2, -15 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 年度 件数 前年度比 215/5 No.57 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 1. 中古マンション市場の動き 14 年度の成約報告件数 1 年ぶりに減少 近畿圏における 214 年度 (14 年 4 月 ~15 年 3 月 ) の成約報告件数は 16,288 件で 前年比マイナス 2.4% となった 件数は 13 年度に次ぐ高い水準だが 4 年度から 1 年ぶりに減少し 消費税率 8% へのアップ後の景気後退の影響などが現れたとみられる (P1 図表 1) 新規登録件数も 46,417 件で前年比マイナス 3.2% と 3 年続けて減少した 成約価格は上昇基調にあり 先高感に伴う売り控えの動きなどから市場の流通量は縮小している 成約件数に対する新規登録件数の倍率は 2.85 倍となり 近畿レインズ発足以来の過去最低を記録し 売り物件の不足から需給タイトな状況が続く 新築マンション発売戸数も減少 14 年度の新築マンション発売戸数は 19,84 戸と 前年比で 15.% 減少した ( 図表 3) 神戸市など一部を除くと ほとんどのエリアでマンション供給は減少し 契約率も低下 消費増税前の駆け込み反動減と建築価格の上昇から 新規の発売戸数を抑える動きが広がった 新築単価は 53.8 万円 / m2と前年比で 6.1% 上昇する一方 発売価格を抑えるため戸あたり専有面積は 67.7 m2で 1.5% 縮小した 中古単価の上昇率は 1.9% にとどまったため 両者の単価乖離率はマイナス 52.% と前年度より 2. ポイント拡大している ( 図表 4) ただ 15 年 1~3 月期の発売価格は前年同期比プラス.2% に抑えられ 発売戸数は前年同期比 23.9% の大幅増となり 15 年の供給量 図表 3 新築マンションの発売戸数 契約率 ( 戸 ) 45, 8 4, 35, 75 74.7 3, 7 25, 19,84 2, 65 15, 1, 6 5, 55 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 年度発売戸数平均契約率資料 : 不動産経済研究所 図表 4 中古 新築マンション単価の推移 1 前年度比 8 6 6.1 4 2 1.9-2 -4-6 -8 成約単価 新築単価 -1 ( 万円 / m2 ) m2単価 53.8-4 5 4 3 25.8-45 2-5 1-52. -55 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 年度 成約単価 新築単価 中古 新築乖離率 新築マンション資料 : 不動産経済研究所中古 新築乖離率 =( 中古成約単価 新築単価 -1) 1 215/5 No.57 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 5 中古マンションの成約価格 専有面積 図表 6 中古マンションの府県地域別成約件数比率 2, 1999 年度 214 年度 (1,845 万円 69.2m2 ) (1,841 万円 7.m2 ) 1,8 13 成 7 約 12 1 9 価 11 格(1,6 1 6 万 5 2 円)1,4 4 1,2 69. 69.5 7. 7.5 専有面積 ( m2 ) 3 年度 % 2% 4% 6% 8% 1% 1 2 18. 17.2 17.1 31.6 33.4 31.8 14.3 13.5 14.2 15.9 17. 18. 8.1 2.43.1 5.7 7.7 2.62.85. 8.7 2.3.14.6 1..8.6 3 16.9 3.4 14.7 17.7 9.4 2.13.84.3.8 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 17.2 16.8 18.2 19.6 19.2 19.4 2.8 2.4 2.6 21.1 19.8 28.4 29.3 27.4 27.2 26.5 26.2 26.4 26.7 26.3 26.9 26.9 15.2 14.4 14.7 14.5 14.5 15.3 14.6 14.6 14.7 14.7 14.8 19.1 19.7 2.3 18.8 19.3 19.1 18.4 18.1 18.6 17.9 18.1 8.8 2.63.34.6 8.2 2.33.8 4.6 8.3 2.23.44.6 8.4 2.53.5 4.7 8.7 1.94. 5. 8.8 2.3.64.5 8.4 2.13.3 5. 9. 2.23.74.4 8.9 2.14.4. 8.4 2.4. 4.3 8.9 1.94.1 4.6.9 1..9.9.9 1.2 1.1.7.8.8.9 大阪市 大阪府他 神戸市 兵庫県他 京都市 京都府他 滋賀県 奈良県 和歌山県 * 大阪府他 兵庫県他 京都府他は それぞれ大阪市 神戸市 京都市を除く各府県内 は 2.1 万戸程度に増加すると予測されている 中古マンションの成約価格と専有面積の関係をみると 14 年度の平均成約価格は 1,841 万円で前年比 4.1% 上昇し 専有面積は 7. m2で同.4% 拡大した ( 図表 5) 成約価格の 1,8 万円台回復は 1999 年度以来 15 年ぶりで 専有面積も 9 年度以来の水準となった 京都市を除く主力エリアの取引は減少 成約件数の府県地域別シェアは 大阪市が 19.8% で前年比 1.3 ポイント低下する一方 京都市が.5 ポイント 兵庫県他は.2 ポイント拡大した 実数ベースで増加したのは 京都市のほか奈良県や滋賀県 和歌山県で 主力エリアの件数は軒並み減少した ( 図表 5) 2. 中古戸建住宅市場の動き 中古マンション同様成約件数は減少 中古戸建住宅の 14 年度の成約件数は 1,937 件で前年比マイナス 2.2% と 中古マンションと同様に減少した 成約件数の減少は 8 年度以来 6 年ぶりだが 12 年度の件数は上回り 2 年以降で高い水準にあることに変わりはない 一方 14 年度の新規登録件数は 52,471 件で前年比 1.6% 増加し 中古マンションとは対照的に中古戸建の売り物件は増加している (P1 図表 2) 成約件数が減少したことから 成約件数に対する新規登録件数の倍率は 4.8 倍と 13 年度の 4.62 倍から拡大し 需給はやや緩和する動きを示した 215/5 No.57 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 7 中古戸建住宅の成約 新規登録価格 図表 8 成約中古戸建住宅の土地 建物面積 ( 万円 ) 3, 2,75 2,5 2,25 2, 5 -.8-1.4-5 2,32-1 -15 1,816-2 ( m2 ) 18 17 16 15 14 13 12 11 6 4 2-2 -4-6 -8 1,75 1,5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 成約価格 新規登録価格 成約前年度比 新規登録前年度比 -25-3 年度 1 9 8-1 -12-14 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 年度 土地面積 建物面積 土地前年比 建物前年比 成約 新規登録価格とも 2 年ぶりに下落 14 年度の成約価格は 1,816 万円で前年比マイナス 1.4% 新規登録価格は 2,32 万円で同.8% と 双方とも 2 年ぶりに下落した ( 図表 7) 13 年度は価格の下落に歯止めがかかったが 後述のように四半期別の成約価格は下落しており 成約件数も減少している マンションに比べて売値が高く 物件の個別性や地域性が強い戸建住宅は 景況感の悪化などによる影響を受けやすく 弱含みの傾向が強まっている 成約価格に成約件数を乗じた取扱高は 14 年度の中古マンションが前年比プラス 1.6% に対し 中古戸建住宅はマイナス 3.6% と対照的な動きを示した 14 年度の成約戸建住宅の平均建物面積は 14.6 m2で 前年比プラス.3% 土地面積は 138.5 m2でマイナス 1.4% と 価格への影響が大きい敷地規模の縮小が目立つ ( 図表 8) 敷地面積の小さい大阪市のシェア拡大 中古戸建成約件数の府県地域別シェアをみると 14 年度は相対的に敷地面積が小さい大阪市の比率が 7.8% に拡大し 前年比で.8 ポイント増加した 奈良県や和歌山県も.4 ポイント拡大したが 比較的敷地規模の大きい物件が多い滋賀県や兵庫県他 京都府他などはシェアを落とし実数も減少した ( 図表 9) 近畿圏の中古戸建価格が下落に転じたのは こうした動きが影響したものとみられる 3. 四半期で見た市場の動き 15 年 1~3 月期はマンション堅調 戸建弱含み 近畿圏の直近の市況を四半期別にみると 15 年 1~3 月期の中古マンション成約件数は前年比プラス.1% とほぼ横ばいとなる一方 成約価格はプラス 4.3% で 9 期連続の上昇であった 成約件数は 1~3 月期としては機構創設以来で最大の件数を記録し 件数 価格とも 215/5 No.57 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 9 中古戸建住宅の府県地域別成約件数比率 % 年度 2% 4% 6% 8% 1% 1 2 3 4 5 5.3 5.8 6.2 5.9 6.9 6.1 35.5 35.3 35.4 35.1 33.3 32.7 8.7 8.1 8. 8.5 8.3 8.3 15.2 15.4 16.4 16.2 16.7 17.2 8.7 9.9 9.3 1.1 9.3 9.3 7.7 7.2 7.1 7.6 6.8 7.6 7. 6.5 7. 6.3 7.1 6.7 9.8 9.8 8.9 8.3 9.2 9.2 2.1 1.9 1.8 2. 2.4 3. 6 7 8 9 1 11 5.6 6.1 5.7 6. 6.1 6.7 33.9 32.6 3.9 3.5 31.7 31.6 8.3 8.4 8.7 9.7 9.1 9.6 16.5 17.1 17.7 18.2 17.4 17.3 8.4 8.5 8.9 8.8 1. 1. 7.7 7.3 8. 7. 6.5 6.9 7. 6.6 7.1 6.7 7. 6.7 9.5 9.5 9.7 9.3 8.9 8.7 3.2 4. 3.3 3.8 3.2 2.6 12 13 14 6.9 7. 7.8 32.2 31.2 31.2 9.2 9.3 9.2 17.3 17.4 17.1 1.2 1.4 9.7 6.8 6.4 6.2 6.4 7.4 7.2 8.2 8.2 8.6 2.8 2.7 3.1 大阪市 大阪府他 神戸市 兵庫県他 京都市 京都府他 滋賀県 奈良県 和歌山県 * 大阪府他 兵庫県他 京都府他は それぞれ大阪市 神戸市 京都市を除く各府県内 プラスの局面となるなど 復調の兆しがみられる 新築マンションも 1~3 月期は発売戸数 価格とも前年比プラスとなり 消費増税前の駆け込み後に大きく減少した前年同期 (14 年 1~3 月期 ) を上回った 一方 中古戸建の成約件数は前年比で 3.5% 減少し 成約価格も同 1.5% 下落するなど 中古マンションとは対照的な動きを示した 新築戸建も 14 年 1~12 月期から成約件数は増加に転じたが 価格は前年比で 1.6% 下落し マンションと戸建住宅では価格の動きの違いが目立った ( 図表 1) 市況の本格回復は実質賃金の上昇がカギに 14 年 4 月の消費税率 8% への引き上げ以降 新築住宅着工や株価等で構成される景気動向指数の先行指数や 商業販売額等からなる 図表 1 近畿圏の四半期別成約件数 価格変動率 ( 前年同期比 ) [ マンション ] '15 年 月 '13 年 月 '15 年 月 価格 % 1 8 6 4 中古戸建住宅新築戸建住宅 新築戸建 : レインズ会員による成約報告物件 [ 戸建住宅 ] 価格 % 1 8 6 4 2 2 '13 年 月 中古マンション新築マンション -2-4 -6 '15 年 月 '13 年 月 '13 年 月 '15 年 月 -2-4 -6-4 -3-2 -1 1 2 3 件数 % -8-4 -3-2 -1 1 2 3 件数 % -8 215/5 No.57 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 11 景気動向指数 (CI 指数 ) 図表 12 不動産購買態度指数 ( 近畿 ) ( 指数 ) 12 11 1 9 (21 年 =1) 121.5 11.7 14.8 先行指数 8 一致指数遅行指数 7 1 4 7 1 1 4 7 1 1 4 7 1 1 4 7 1 1 4 7 1 1 4 7 1 1 2 月 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15 年資料 : 景気動向指数 215 年 4 月 内閣府 * 先行指数 : 新規求人数 新設住宅着工床面積 東証株価指数など 11 指標に基づく合成指標 * 一致指数 : 鉱工業生産財出荷指数 大口電力使用量 商業販売額など 11 指標に基づく合成指標 * 遅行指数 : 家計消費支出 法人税収入 完全失業率など 6 指標に基づく合成指標 良い 135 13 125 12 115 11 15 1 95 9 85 8 75 7 2 '1 悪い 今後 1 年間 不動産が買い時かどうかを聞いたもの 買い時 買い時でない 双方が均衡する点が 1 6 1 2 6 1 2 6 1 2 6 1 2 '11 '12 '13 '14 資料 :( 一社 ) 日本リサーチ総合研究所 6 1 2 月 '15 年 一致指数は低下しており 足元で一進一退となっている ( 図表 11) 建築費の高止まりに伴う新築販売の減速は 販売価格を抑えることで収束しつつあり 新築着工数も分譲住宅を中心に回復の兆しがみられる しかし 消費者の不動産購入マインドは大きく改善しておらず 買い時感は必ずしも広がっていない ( 図表 12) 成約件数を需要側 新規登録件数を供給側に見立て 成約に対する新規登録の件数倍率を捉えると 15 年 1~3 月期は中古マンションが前期比でよりタイト方向に 中古戸建は緩和方向にシフトした 新規登録 ( 売り出し ) 価格と成約 ( 取引 ) 価格の差を示す価格乖離率は 中古マンション 中古戸建ともに需給はタイト方向に変化している ( 図表 13) 特に 需給がタイトな中古マンション市場では 予算に余裕のあるアッパーミドル層 や一部の富裕層 外国人投資家などが高額物件を積極的に購入している こうした動きが平均成約価格を押し上げているが 一般的な中古住宅取得層まで波及するかは予断を許さない 中古戸建の成約価格は 14 年 7~9 月期から中古マンションを下回り軟調さがみられる 上場企業などを中心にベースアップや一時金の増加が目立つが 物価を上回る実質賃金の上昇がより幅広い層まで広がるかが 今後の市場全体の回復のカギを握るとみられる アッパーミドル層 : 中堅所得者の上位層の意 明確な定義はないが 一般には年収 8~2 万円程度 純資産 5 万円程度以上を指すことが多い 215/5 No.57 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 13 成約 新規登録の件数倍率と価格乖離率からみた近畿圏の需給状況 A. 中古住宅市場の需給ポジション (B. と C. の合成図 ) 価格乖離率 % -2-4 -6-8 -1-12 -14-16 -18-2 -22-24 -26 件数倍率 倍 2 3 4 5 6 7 需給タイト '15 年 月中古マンション '7 年 月中古戸建住宅 '9 年 月 '8 年 1-12 月 '7 年 月 '15 年 月需給緩和 B. 中古マンションの件数倍率と価格乖離率 C. 中古戸建住宅の件数倍率と価格乖離率 ( 倍 ) 2.8 件数倍率 (4 期後方移動平均 )< 左目盛 > 価格乖離率 (4 期後方移動平均 %)< 右目盛 > -2 ( 倍 ) 件数倍率 (4 期後方移動平均 )< 左目盛 > 4.5 価格乖離率 (4 期後方移動平均 %)< 右目盛 > -15 3. 3.2 3.4 3.6 3.8 4. 4.2 需給タイト 需給緩和 '8/9 リーマンショック Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ '7 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15-3 -4-5 -6-7 -8-9 -1 5. 5.5 6. 6.5 7. '8/9 リーマンショック 需給タイト 需給緩和 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ '7 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 '15-16 -17-18 -19-2 -21-22 -23 4. 関連不動産市場の動き 14 年度の賃貸マンション成約単価は弱含み 近畿圏の賃貸市場について四半期別の動きをみると 賃貸マンションの成約賃料のm2単価は 14 年 1~12 月期から 2 期連続で下落している 近畿圏全体の平均単価は 15 年 1~3 月期が 1,777 円と 前年比で 3.5% 下落した ( 図表 14) 大阪市も 2 期続けて下落し 15 年 1 ~3 月期の大阪市は 1,97 円 京都市が 1,992 円 神戸市は 1,865 円と 京都市が大阪市の平均賃料単価を上回った 前年同期 (14 年 1 ~3 月期 ) には一時 下げ止まりの動きがみられた賃貸マンション市場だが 14 年度は総じて軟調に推移する結果となった 1 年間で梅田のオフィス空室率は大幅低下 京阪神ビジネス地区の 15 年 3 月の空室率は大阪 梅田地区が 7.84% と前年比では 1.38 ポイントの大幅な低下となった 神戸市も 8.8% と高いものの前年比では 1.38 ポイント改善 京都市は 6.2% で京阪神では最も低い水準にとどまった 一方 他地区への移転に 215/5 No.57 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /214 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 14 京阪神の賃貸マンション成約単価の推移 ( 円 / m2 ) 21 25 2 195 19 185 18 175 17 165 16 月年 '12 近畿圏京都市大阪市神戸市 4-6 7-9 1-12 '13 4-6 7-9 1-12 '14 4-6 7-9 1-12 '15 四半期別の前年同期比 近畿圏 京都市 大阪市 神戸市 13 年 月 -.4-1. -.5 -.4 4-6 1.5.6 1.4.4 7-9.6 1.5 1.1 2.1 1-12 1. 2.4 1.5-2.3 14 年 月 4.4.4 6.4 1.2 4-6.1-1.2 -.1.5 7-9.1-1.8.5-2.5 1-12 -.5 1.1-1.4 1.3 15 年 月 -3.5 2.2-5.2. 伴い大型解約の影響が現れた淀屋橋 本町地区は 9.94% と 前年比で.28 ポイント上昇した 15 年 3 月の坪当たり平均募集賃料は 梅田が 14,118 円 淀屋橋 本町は 1,993 円 神戸市は 1,941 円 京都市は 11,568 円と 大阪市内は前年同月よりやや下落した ( 図表 15) 大阪ビジネス地区では 3 月に大型の新規供給があり 足元の空室率は上昇したが 新築ビルに対する引き合いは順調で オフィス需要は当面堅調に推移すると見込まれている 図表 15 オフィス空室率と募集賃料 15 14 13 12 11 1 9 8 7 6 5 4 月年 3 '9 空室率 淀屋橋 本町 9.94% 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 '1 '11 '12 '13 '14 '15 大阪 梅田大阪 淀屋橋本町神戸市京都市 ( 円 / 坪 ) 募集賃料 16 梅田 15 14,118 14 13 梅田 7.84% 12 11 京都市 6.2% 1 3 6 9 12 3 '9 '1 資料 : 三鬼商事 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 '11 '12 '13 '14 '15 215/5 No.57 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート 地域不動産事情 大阪府 214 年度の大阪府内の中古住宅市場は 中古マンション 中古戸建とも成約件数が減少した 取扱高は大阪市や東大阪エリアが拡大する一方 北摂エリアは減少するなど違いがみられた 中古マンション成約価格は上昇しているが 中古戸建は下落しており弱含みの傾向にある 1. 中古住宅の取引動向 直近 1 年で中古マンション成約件数が多い上位 1 都市には 大阪市の 4 区 南大阪 東大阪 北摂は各 2 市町を占めた 中古戸建では南大阪が 5 市 大阪市が 3 区 北摂 東大阪の各 1 市がランクイン マンションでは価格の上昇も目立つが 総じて価格水準の低い都市が多い ( 図表 1) 府内 4 エリア別の 14 年度の中古マンション 戸建は 主力エリアを中心に成約件数が減少した 中古マンション価格は大阪市が 8 期連続で上昇したほか 北摂 東大阪 南大阪も上昇基調にある 中古戸建は上昇と下落を繰り返すなど 各エリアとも弱含みの傾向にある 14 年度の中古マンションで成約件数が多い駅別商圏は 北大阪急行の千里中央 桃山台 地下鉄谷町線の都島などのほか 香里園と JR 高槻が新たにランクイン 中古戸建では JR 高槻 京阪寝屋川市 南海北野田 近鉄藤井寺などがトップ 1 入りした 2. 特徴的な地域動向 大阪市鶴見区 城東区 旭区 守口市 門真市 寝屋川市のエリアでは 中古マンションで 年以降の築浅物件の増加が目立つ一方 中古戸建では安価な経年物件が需要を集めている 堺市 高石市 和泉市の中古マンションでは 安価な 8 年代築のシェアが拡大 中古戸建も割安感の強い 7 年代の取引シェアが拡大しているが 経年から築浅物件までバランスが整っている 図表 1 都市別の成約件数 TOP1(214 年 4 月 ~215 年 3 月 ) 中古マンション 順成約件数件数成約価格価格m2単価m2単価専有面積専有面積築後年数築後年数 1 万世帯当り地域都市位 ( 件 ) 前年比 ( 万円 ) 前年比 ( 万円 / m2 ) 前年比 ( m2 ) 前年比 ( 年 ) 前年差 ( 年 ) 成約件数 1 大阪市西淀川区 116 31.8 1,398.8 21.9 1.3 63.5-1.1 21.2.1 26.3 2 大阪市鶴見区 118 29.7 2,222 12.4 3.3 8.8 72. 3.8 17.6-1.1 25.3 3 南大阪高石市 4 21.2 1,859 11.4 22.4 1.7 8.5 8.1 2.3 -. 17.4 4 南大阪和泉市 135 19.5 1,346 9. 17.3 9.5 74.5-1.3 18.9-1.2 19. 5 東大阪守口市 112 16.7 1,839 12.3 25.3 7.5 7.9 4.4 19.7-1.5 17.2 6 東大阪寝屋川市 197 16.6 1,37 2.9 18.9 2.6 69.9 -.6 23. 1.3 19.5 7 北摂 箕面市 148 14.7 1,98 1.7 22.7 5.9 84.3 5.5 24. -.8 26.4 8 北摂 島本町 59 13.5 1,65 7.1 22.2 6.9 72.6 -.9 25.1 -. 49.5 9 大阪市東住吉区 77 13.2 1,644-2.2 25.3.9 63.3-2.5 22.2 2.2 12.7 1 大阪市此花区 61 1.9 1,683 5.1 23.3 3.5 7.6 1.9 15.8.4 2.2 大阪府全体 7,615-4.8 1,916 6.8 27. 6.3 69.5.7 21.4.2 19.4 中古戸建住宅 順成約件数件数成約価格価格土地面積土地面積建物面積建物面積築後年数築後年数 1 万世帯当り地域都市位 ( 件 ) 前年比 ( 万円 ) 前年比 ( m2 ) 前年比 ( m2 ) 前年比 ( 年 ) 前年差 ( 年 ) 成約件数 1 大阪市東住吉区 8 7.2 1,769-1.5 68.8 11.3 99.5 11.2 27.3 2.3 13.2 2 南大阪堺市北区 81 28.6 2,137 6.7 92.4 5.6 95. 3.7 26..8 11.7 3 南大阪堺市堺区 86 28.4 1,993 5.5 92.2 4.3 15.5-1.6 23.9 2.3 12.6 4 大阪市西成区 74 25.4 988 -.5 56.1 8.7 8.5-1.4 25.9.4 1.1 5 北摂 摂津市 77 22.2 1,33-12.6 7.5-3.5 79.9-12.5 26.3 5. 21.1 6 大阪市西淀川区 4 21.2 1,283-8.9 65.9 13.1 85. -5.1 25.3 2.7 9.1 7 南大阪岸和田市 87 2.8 1,477 1.8 141. 19. 11.9 2.3 24.9 3. 11.2 8 東大阪門真市 71 16.4 964 23.5 66.3 32.1 89.2 19.1 29.9 1.9 19.4 9 南大阪泉南市 51 15.9 1,32-13.6 161.7-9.7 114.5-2.4 27.8 4.6 22.2 1 南大阪羽曳野市 81 15.7 1,34-1.6 17.9 2.5 95.1 -.4 25.3 1.7 18. 大阪府全体 4,272 -.2 1,727-1.2 16.5. 99.9.8 25.4 1.1 1.9 * 年間成約件数 3 件以上の都市を対象 215/5 No.57 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 1. 中古住宅の取引動向 価格水準の低い都市の伸びが目立つ 大阪府の中古住宅の取引状況について 都市 ( 区市町 ) 別や沿線駅別などの地域特性を踏まえ 大阪市 北摂 ( 淀川以北 ) 東大阪( 大阪市を除く淀川以南 大和川以北 ) 南大阪( 大和川以南 ) の 4 エリアなどに区分して その特徴を捉えることにする 大阪府全体の 214 年 4 月 ~215 年 3 月の中古マンションの成約報告件数は前年比で 4.8% 減少した 一方 伸び率が高かった上位 1 都市をみると 大阪市西淀川区 鶴見区 高石市 和泉市 守口市などが上位に並んだ 地域の取引水準を示す 1 万世帯当り成約件数では 大阪市西淀川区や鶴見区のほか島本町などが目立つが 1 区市中 8 区市は大阪府平均より成約価格が低い 地域としては 大阪市内が 4 区 南大阪 東大阪 北摂がそれぞれ 2 市町を占めた 大阪府全体の平均成約価格は前年比で 6.8% 上昇したが 上位都市でも成約価格の伸びが目立ち 9 区市が上昇した 専有面積や築後年数の動きにはばらつきがあるが 大阪市鶴見区や高石市 守口市 箕面市ではm2単価 専有面積とも前年比でプラスとなり 取引物件の築浅化もみられるなど 都心区以外のエリアでも中古マンション需要は旺盛であった (P1 図表 1) 中古戸建住宅は 大阪府全体の成約件数が前年比でマイナス.2% とほぼ横ばいであった 成約件数の増加率上位都市は 大阪市東住吉区 堺市北区 堺区 大阪市西成区 摂津市などが上位を占めた 1 区市中 7 区市は大阪府平均より成約価格が低く 南大阪が 5 市 大阪 図表 2 中古マンションのエリア別成約件数 成約価格 ( 万円 ) 2,2 2, 1,8 1,6 1,4 1,2 1, 8 1, 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月 年 '5 ( 件 ) '6 成約価格 大阪市北摂東大阪南大阪 '7 '8 '9 成約件数 '1 '11 '12 '13 '14 '15 四半期別の前年同期比 大阪市 北摂 東大阪 南大阪 '13 年 月 -.3 1.4 2.5-4.8 4-6 2. 3.5 -.1 9.7 成約価格 成約件数 7-9 8. -1.1.7 -.3 1-12 16.6 7.3 8.8 9.5 '14 年 月 7.2 2.8 4.1 4.8 4-6 12.9 4.5 5.5 3.9 7-9 19. 8.6 1. 1.3 1-12 8.1.6 7.2-1.5 '15 年 月 6.6 4.9 6.8 3.5 '13 年 月 12.4 17.9 27.3 19.4 4-6 21.2 24.3-5.2 22.4 7-9 2.9 11.5-7.7 9.6 1-12 8. 23.4 7.9 7.3 '14 年 月 8. 12.4 3.6-2.5 4-6 -15.6-11.2 5.9-12.4 7-9 -4. -1.4 18.8-1.9 1-12 -9.2-13.3 3.3-4.1 '15 年 月 -3.1-2.9.3 12.1 215/5 No.57 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 市が 3 区 北摂 東大阪が各 1 市であった 大阪府全体の平均成約価格は前年比でマイナス 1.2% となり上位都市も 6 区市が下落するなど 中古マンションとは異なる動きを示した 建物面積は縮小する区市が多く築年数も経年化しているが 価格への影響が大きい土地面積は 8 区市で拡大した 南海高野線や地下鉄御堂筋線などが位置し比較的価格水準が高い堺市北区では 土地 建物面積が拡大したが 他の安価なエリアは依然として中古戸建の割安感を求める傾向が強い 中古マンションは主力エリアの取引停滞 次に 府内 4 エリア別の四半期動向をみると 中古マンションの成約件数は直近 1 年間で減少が目立った 取引量が相対的に小さい東大阪エリアを除くと 大阪市と北摂エリアは 14 年 4~6 月期から 4 期連続で減少し 南大阪エリアも 14 年 1~3 月期から 4 期続けて減少した 消費税率 8% への引き上げ以前は堅調に推移していた中古マンション市場だが 14 年度は主力エリアの市況が大きく変化した 一方 中古マンション成約価格は大阪市が 8 期連続 東大阪は 7 期連続 北摂は 6 期連続で上昇し 南大阪も上昇基調にある 15 年 1~3 月期の平均成約価格は 北摂が 2,184 万円と最も高く 以下 大阪市が 2,164 万円 東大阪が 1,56 万円 南大阪が 1,423 万円の順となっている 各エリアとも過去 1 年間で最も高い水準にあり 取引量が減少するなかで 高価格帯の物件取引が拡大している ( 図表 2) 中古戸建は各エリアで成約価格の下落目立つ 一方 中古戸建市場は各エリアとも軟調さが目立つ ( 図表 3) 直近 1 年間の成約件数は大阪市が 14 年 7~9 月期から 3 期連続で増加 図表 3 中古戸建住宅のエリア別成約件数 成約価格 ( 万円 ) 3, 2,75 2,5 2,25 2, 1,75 1,5 1,25 1, 75 4 35 3 25 2 15 1 5 月 年 '5 ( 件 ) '6 成約価格 大阪市北摂東大阪南大阪 '7 '8 '9 成約件数 '1 '11 '12 '13 '14 '15 四半期別の前年同期比 大阪市 北摂 東大阪 南大阪 '13 年 月 15.9 2.3-4. -.4 4-6 -12.5 1.3 4.6-4.7 成約価格 成約件数 7-9 -3.4-7.1 3.3 4.4 1-12 12.4 15.1-9.8 4.1 '14 年 月 -17.5 1.8-1.5-1.6 4-6 22.1-8.1-2.7.5 7-9 -8.2 14.9-5.3 3.5 1-12 -6.5-7.2 1.4-2.3 '15 年 月 4.5-13.6 6.5-1.3 '13 年 月 8.8-3.1 11.2 12. 4-6 5.9 6.4 8.3-2.4 7-9 18.7-13.8 1.5 4.3 1-12 -6.3-6.7 15.7 5.5 '14 年 月 23.7 2.7 24.8 13. 4-6 -3.1-6. -5.1-1.2 7-9 1. -3.6.7 5.4 1-12 34.3-5.9-2.7 -.5 '15 年 月 7.5.4-8.1-2. 215/5 No.57 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 したが 他エリアは減少する期が多くみられた ただ 15 年 1~3 月期の成約件数は 1~3 月期として比較的高い水準を維持している 一方 成約価格は 14 年 4~6 月期以降 上昇と下落を繰り返すなど 各エリアとも弱含みの傾向が続いている 過去 1 年間で最も成約価格が高かったのは大阪市と北摂が 7 年 1~12 月期 東大阪は 6 年 7~9 月期 南大阪は 5 年 1~3 月期で リーマンショックが生じた 8 年以降この水準は一度も上回っていない 15 年 1~3 月期の平均成約価格は北摂が 2,313 万円と最も高く 大阪市の 1,681 万円 南大阪の 1,585 万円 東大阪の 1,516 万円の順となっている 14 年度の中古取扱高は大阪市 東大阪が拡大 成約件数に成約価格を乗じた取扱高をみると 中古マンションの伸 びがみられた大阪市と東大阪エリアで市場規模が拡大し 大阪市は 14 年度が前年比 3.8% 増 東大阪が同 4.4% 増であった ( 図表 4) 大 阪市は全体の 8 割以上を占める中古マンションが前年比 2.3% 増に対し 中古戸建は同 12.% 増と伸びた 東大阪は中古マンションが前年比で 14.% 増加し 中古戸建の落ち込み ( 同 3.9% 減 ) を補った 一方 北摂は中古マンション 戸建とも取扱高が減少し 全体では前年比 5.% 減となり 南大阪もプラス.1% とほぼ横ばいにとどまった 四半期ベースでは 東大阪の中古マンション取扱高が 13 年 1~12 月期以来 6 期連続で増加したほかは 各エリアとも一進一退の状況にある 中古戸建は大阪市が比較的堅調だが 東大阪は 4 期連続で減少し 北摂 南大阪も減少が続くなど 大幅に拡大した 13 年度に比べて市況は停滞気味となっている 図表 4 エリア別の取扱高 ( 億円 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 11 年度 542 111 12 年度 572 124 大阪市 13 年度 682 128 14 年度 697 144 11 年度 12 年度 324 337 217 218 北摂 13 年度 14 年度 49 397 223 24 11 年度 128 147 12 年度 145 156 中古マンション東大阪 13 年度 15 173 中古戸建住宅 14 年度 11 年度 12 年度南大阪 13 年度 14 年度 171 156 169 194 194 167 26 212 223 224 四半期別の前年同期比 大阪市 北摂 東大阪 南大阪 '13 年 月 12.1 19.6 3.5 13.7 中古マンション 中古戸建住宅 4-6 23.6 28.6-5.3 34.3 7-9 11.2 1.3-7. 9.3 1-12 25.9 32.4 17.4 17.5 '14 年 月 15.8 15.5 7.8 2.2 4-6 -4.7-7.3 11.8-9. 7-9 14.3 7.1 3.7 -.6 1-12 -1.9-12.8 1.8-5.5 '15 年 月 3.2 1.9 7.1 16.1 '13 年 月 26.1 -.9 6.7 11.6 4-6 -7.3 17.4 13.2-7. 7-9 14.6-2. 4.8 8.9 1-12 5.3 7.4 4.3 9.8 '14 年 月 2.1 4.6 22.9 11.2 4-6 18.4-13.6-7.7 -.8 7-9 -7.3 1.7-4.6 9.1 1-12 25.5-12.7-1.3-2.8 '15 年 月 12.3-13.2-2.1-3.3 215/5 No.57 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 中古マンション成約上位駅商圏の多くは取引減 エリア別の動向を詳しくみるため鉄道沿線 駅別に成約件数の多い上位 1 駅 (214 年 4 月 ~215 年 3 月 ) の商圏をみると 中古マンションでは北大阪急行線の千里中央 京阪本線の香里園 市営地下鉄谷町線の都島 北大阪急行線の桃山台 JR 東海道線の千里丘などの各駅が上位に挙がった 2 位の京阪香里園と 6 位の JR 高槻を除く 8 駅は 前年と同じ顔ぶれとなっている 1 駅中 8 駅の成約件数が減少し うち 7 駅は前年比 2 ケタの大幅減となり 京阪香里園と JR 高槻を除くと上位駅は沿線エリアを問わず 軒並み成約件数を減らした ( 図表 5) 一方 成約価格 m2単価はともに 7 駅で上昇し 各商圏とも高額物件の取引が平均を押上げたとみられる ただ 大幅に成約件数が伸びた京阪香里園は成約価格が下落し 専有面積も縮小するなど比較的安価な物件取引が拡大した状況がうかがえる これに対し 北大阪急行桃山台や JR 千里丘は専有面積が拡大し 住戸規模が大きく高額な築浅物件にも需要が集まった 中古戸建の成約件数 TOP1 では JR 高槻 京阪寝屋川市 南海北野田 近鉄藤井寺 JR 長尾などの各駅が上位に入った 京阪香里園と泉北高速泉ヶ丘を除く 8 駅は前年同様にランクインしている 成約件数が増加したのは 1 駅中 5 駅で 北摂エリアの上位駅は減少が目立った 土地面積も 5 駅で縮小し 建物面積も 7 駅で縮小するなど総じて多少狭くても安価な物件を求める動きが強まった 図表 5 沿線駅別成約件数 TOP1(213 年 4 月 ~214 年 3 月 ) 中古マンション 順位 沿線 駅 成約件数 ( 件 ) 件数前年比 成約価格 ( 万円 ) 価格前年比 m2単価 ( 万円 / m2 ) m2単価前年比 専有面積 ( m2 ) 専有面積前年比 築後年数 ( 年 ) 築後年数前年差 ( 年 ) 1 北大阪急行南北線 千里中央 163-1.8 2,684 -.3 33.1-1.7 81.5 2.8 19.9 1.9 2 京阪電気鉄道京阪線 香里園 118 63.9 1,554-4.6 2.5-2.4 72.1-2.6 22.6.5 3 大阪市営谷町線 都島 111-29.7 2,445 12.5 32.7 13.8 73.2-1.8 2.1 -.4 4 北大阪急行南北線 桃山台 18-1. 2,32 7. 28.5 4.8 8.2 4.9 21.6-1.2 5 JR 東海道本線 千里丘 16-2.3 2,14 7.9 26.1 5.4 76.3 2.2 2.8 -.3 6 JR 東海道本線 高槻 87 3.6 2,298 2.2 31.3 4.6 7.9-3.4 22.3.7 7 大阪市営御堂筋線 江坂 87-15.5 2,214.3 32.5 2.2 66.3-3.1 19.4 1.1 8 泉北高速鉄道 泉ヶ丘 87-13.9 1,593 6.5 21.2 4.7 72..8 21.2.8 9 阪急電鉄千里線 南千里 84-3. 1,99 7.1 26.3 9.1 74.9 -.6 25. -.8 1 JR 東海道本線 摂津富田 81-13.8 1,916-8.3 24.4-8.1 79.2.1 2. 3.1 中古戸建住宅順沿線位 駅 成約件数 ( 件 ) 件数前年比 成約価格 ( 万円 ) 価格前年比 土地面積 ( m2 ) 土地面積前年比 建物面積 ( m2 ) 建物面積前年比 築後年数 ( 年 ) 築後年数前年差 ( 年 ) 1 JR 東海道本線 高槻 94-23. 2,295-15.3 127.5-5.2 19.4 -.4 23..8 2 京阪電気鉄道京阪線 寝屋川市 73-2.7 1,319 3. 91.2 1.7 89.6-1. 3.6 3.2 3 南海電鉄高野線 北野田 65 25. 1,261-25.7 95. -11.9 87.4-13.6 27.5 5.4 4 近鉄南大阪線 藤井寺 59 28.3 1,599 16.3 18.8 8.8 94.4-1.9 24.7-1.1 5 JR 学研都市線 長尾 59 3.5 1,361-3.7 11. -4.7 89.4-2.4 23.8-2.1 6 京阪電気鉄道京阪線 香里園 47 3.6 1,712 4.2 14.6 11.9 1. 3.8 25..8 7 泉北高速鉄道 泉ヶ丘 47 23.7 2,385 6.1 23.3 3.8 12.8 -.4 26.4.2 8 JR 東海道本線 茨木 45-2.2 2,531 5. 158.2-4.5 113.1 5.1 25.4 -.5 9 阪急電鉄京都線 高槻市 45-3.8 1,764-13.7 82.3-3.7 9.9-1.6 25.5.9 1 泉北高速鉄道 深井 45-22.4 1,54 6.8 1.3 8. 92.2 2.3 24.4 -.6 215/5 No.57 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 図表 6 新築マンションの販売動向 ( 発売戸数 TOP1) 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 6 位 7 位 8 位 9 位 1 位 21 年 区市名 吹田市 豊中市 大阪市中央区 堺市 大阪市此花区大阪市北区 茨木市 摂津市 東大阪市 高槻市 発売戸数 1,58 戸 917 戸 754 戸 739 戸 697 戸 661 戸 656 戸 652 戸 599 戸 594 戸 平均価格 3,951 万円 4,473 万円 2,535 万円 3,5 万円 3,19 万円 4,397 万円 3,881 万円 3,58 万円 2,875 万円 4,288 万円 211 年 区市名 大阪市北区 吹田市 堺市 豊中市 大阪市西区大阪市都島区大阪市福島区大阪市中央区大阪市天王寺区 高槻市 発売戸数 1,58 戸 1,291 戸 772 戸 768 戸 671 戸 61 戸 582 戸 578 戸 487 戸 482 戸 平均価格 4,179 万円 3,783 万円 3,161 万円 4,477 万円 2,54 万円 3,787 万円 3,927 万円 2,523 万円 3,989 万円 4,14 万円 212 年 区市名 吹田市 大阪市北区 大阪市西区 大阪市中央区 豊中市 大阪市浪速区大阪市淀川区 高槻市 堺市 大阪市天王寺区 発売戸数 1,621 戸 1,547 戸 1,347 戸 1,245 戸 1,32 戸 828 戸 794 戸 561 戸 59 戸 4 戸 平均価格 3,594 万円 4,22 万円 3,831 万円 3,77 万円 4,62 万円 2,156 万円 2,341 万円 3,929 万円 3,14 万円 3,931 万円 213 年 区市名 大阪市中央区大阪市北区 豊中市 吹田市 大阪市西区 堺市 大阪市浪速区大阪市淀川区 阿倍野区 高槻市 発売戸数 2,55 戸 1,632 戸 1,549 戸 1,549 戸 1,85 戸 711 戸 665 戸 543 戸 54 戸 445 戸 平均価格 3,3 万円 3,786 万円 3,959 万円 3,248 万円 3,547 万円 3,72 万円 3,43 万円 3,28 万円 3,79 万円 4,383 万円 214 年 区市名 大阪市中央区 吹田市 大阪市北区 豊中市 大阪市西区大阪市浪速区 堺市 大阪市淀川区 八尾市 大阪市天王寺区 発売戸数 1,315 戸 1,261 戸 1,117 戸 773 戸 51 戸 488 戸 448 戸 42 戸 39 戸 354 戸 平均価格 3,621 万円 4,75 万円 3,137 万円 4,52 万円 4,58 万円 1,719 万円 3,221 万円 2,384 万円 3,36 万円 4,993 万円 資料 : 不動産経済研究所 新築マンション上位 9 都市が前年比で供給減 14 年に大阪府内で新築マンションが活発に供給された上位 1 都市みると 大阪市中央区が 2 年連続で 1 位となり 吹田市が 4 位から 2 位となった 上位の顔ぶれは大きく変化していないが 1 位の大阪市中央区から 9 位の八尾市までの各都市は いずれも発売戸数が前年から減少している ( 図表 6) 上位 1 都市の発売戸数は 7,49 戸で前年比 34.6% の大幅減となり 大阪府全体も 9,987 戸で 34.4% 減であった 府全体に占める上位 1 都市のシェアは 7.6% と前年とほぼ同様で 上位都市とそれ以外の区別なく総じて新築マンション供給は減少した 大阪府全体に占める大阪市の供給シェアは 14 年が 62.4% と前年の 56.3% から上昇した 大阪市内で発売戸数が増加したのは 天王寺区や住吉区などの高額物件エリアと 港区や此花区などの比較的安価な物件の供給エリアに二極化している 従来 供給戸数が多かった中央区や北区 福島区 西区 浪速区の都心区は軒並み大幅に減少した 14 年 4 月の消費税率のアップに伴い 全体的に価格水準の高い都心エリアの供給は抑えられた 2. 特徴的な地域動向 直近 1 年間の成約件数の伸び率上位都市のなかで 特に活発な取引がみられたエリアをみると 中古マンションでは大阪市鶴見区や守口市 寝屋川市 高石市 和泉市のほか 中古戸建では堺市や門真市などが挙げられる そこで今回は 上記の各都市に周辺を加えた京阪沿線を中心とする鶴見区 旭区 城東区 守口市 門真市 寝屋川市のエリアと 堺市 高石市 和泉市のエリアを対象とし それぞれの築年数や面積帯などの売れ筋について紹介する 215/5 No.57 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 マンションは築浅 戸建は経年物件の取引拡大 大阪市鶴見区や寝屋川市などのエリアでは 7~8 年代からマンション供給が活発に行われており 73 年以降建築のマンションストックは累計で 5.8 万戸に及ぶ ( 図表 7) 供給量は大きく落ち込んだ 91~92 年を境に 7~8 年代 ( 全体の 42.8%) と 9 年代以降 図表 7 大阪市鶴見区 城東区 旭区 守口市 門真市 寝屋川市の成約状況 中古マンションの動向 A. 新築マンションの販売戸数 ( 戸 ) 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 発売戸数累積比率 '73 '75 '77 '79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 '1 '3 '5 '7 '9 '11 '13 14 年資料 : 不動産経済研究所 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 C. 中古マンション築年帯別成約件数の比率 21.6 21.6 2.1 21.4 16.4 18.4 15. 18.1 13.1 13. 中古戸建住宅の動向 A. 持家の建築時期別ストック戸数の比率 '13 年 1 月 9.3 7.2 8.2 7.6 11.8 1.7 7.1 13.1 12.2 12.1 14.4 14.1 15.3 15.8 14.5 13.9 18.5 15.8 1 % 2% 4% 6% 8% 1% 22.2 14.2 1.3 6.7 1.5 12.9 23.3 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ % 2% 4% 6% 8% 1% 32.7 2.7 9.1 11.7 11.6 14.3 '~8 年 '81 年 ~ '91 年 ~ '96 年 ~ '1 年 ~ '6 年築 ~ 8 6 4 2 資料 : 平成 25 年住宅 土地統計調査 21 年度 1.9 211 年度 3.7 212 年度 3. 213 年度 3. 214 年度 2.6 B. 中古マンション専有面積別成約件数の比率 % 2% 4% 6% 8% 1% 14.4 16.6 15.4 16.8 41.2 39.2 4.7 39.2 28.4 26.6 27.4 27.9 9.3.4 1.7 9.82.5 1.7 9.32.8 1.4 1.22..9 12.2 42.2 26.8 11.22.9 2. ~49m2 5m2~ 6m2~ 7m2~ 8m2~ 9m2~ 1m2~ ( m2 万円 / m2 ) D. 中古マンション年帯別成約状況 8 7 6 5 4 3 2 1 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ 専有面積m2単価成約価格 214 年度の成約物件 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 C. 中古戸建の建物面積帯別成約件数の比率 ( 万円 ) 2,5 2, 1,5 1, 5 % 2% 4% 6% 8% 1% 1.9 1.3 11.8 11.7 13.7 21.2 2.6 21.3 23.8 23.7 29.8 36.4 32.1 3. 28.4 26. 23.9 23.4 28.5 22.4 6.4 5.2 5.3 4.7 6. 5.7 5.8 3.6 6.1 1.3 ~49 m2 5 m2 ~ 75 m2 ~ 1 m2 ~ 125 m2 ~ 15 m2 ~ 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 B. 中古戸建の築年帯別成約件数の比率 % 2% 4% 6% 8% 1% 3.9 26. 29.1 29.8 34.6 12. 11. 9.3 7.9 7.5 9.6 9.6 12.7 1.3 15.4 12. 12.9 1.4 11.3 1.7 18.6 18.2 19.2 16.1 13. 13.4 4.5 12. 11.1 11.7 1.4 8.9 9.6 12. 8.2 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ ( m2 ) D. 中古戸建の築年帯別成約状況 12 1 8 6 4 2 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ 建物面積土地面積成約価格 214 年度の成約物件 ( 万円 ) 2,5 2, 1,5 1, 5 215/5 No.57 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 ( 同 57.2%) に分かれる 供給のピークとなった 6 年には 鶴見区と城東区でそれぞれ 1 千戸以上の新築マンションが発売された 中古マンションの築年帯別の成約シェアもこうしたストック構成に近く 特に 8 年代前半以前と 9 年代後半以降が大きな比率を占めるが 近年は 5 年以降の築浅物件が伸びている この築年帯の物件は 14 年度で 23.3% と前年比で 7.5 ポイント拡大した この地域の 14 年度の中古マンション成約件数は前年比で 2.% 増加したが 5 年築以降は 51.8% 増となった 同築年帯の平均成約価格は 2,631 万円で 年代前半築と大差なく 専有面積も 73.7 m2と比較的広く 設備水準の優位性などから人気を集めている このエリアの持家は 8 年代築以前の古いストックが全体の過半数を占めるが 中古物件として取引される戸建も 8 年代以前の物件が半数前後を占める 14 年度の 8 年代以前のシェアは 57.7% と 前年比で 1.4 ポイントも拡大した この地域の 14 年度の中古戸建成約件数は前年比で 4.7% 増加し なかでも 8 年代以前築の取引は 2 ケタの伸びを示している 8 年代以前築の平均土地面積は 7~8 m2台で 建物面積も 6~ 11 m2台と狭いが 成約価格は 1,5 万円を下回り 狭小 安価な物件を求める需要に支持されている このエリアでは 築年帯に応じて多様な物件が流通しているが 中古マンションでは比較的築浅の高額物件 中古戸建は安価な経年物件が需要を集めるようになっている 堺市などでは経年物件の取引が拡大 次に 堺市 高石市 和泉市の状況をみると このエリアのマンション供給は 9 年代以降に集中する傾向があり 73 年以降建築のストック累計 (5.3 万戸 ) に対して同築年帯は 74.2% に上る ストック構成に応じて成約中古マンションの築年帯も 9 年代築以降が 6 割以上を占めるが 14 年度は 62.6% と前年比で 1.4 ポイント低下した これに対してシェアを伸ばしたのが 8 年代築で 14 年度は 2.4 ポイント拡大している ( 図表 8) 同築年帯の専有面積は 6~8 m2台と他の築年帯とも大きな違いがなく 成約価格は 1 千万円前後にとどまるため 安価な物件を求める需要を集めている このエリアは泉北ニュータウンを抱え団地タイプの経年物件も多く 7 年代築も含めて一定の需要層に支持されているとみられる 持家のストック構成は 8 年代以前の住宅が半数弱を占めるが 中古市場で取引される戸建は同築年帯が過半数を占める 14 年度の中古戸建成約件数では 7 年代築及び 8 年代後半築のシェアが拡大した 同築年帯の平均価格は 9~1,9 万台と安価で 土地面積も 215/5 No.57 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート地域不動産事情 / 大阪府 図表 8 堺市 高石市 和泉市の成約状況 中古マンションの動向 A. 新築マンションの販売戸数 ( 戸 ) 3, 1 2,75 発売戸数 2,5 2,25 累積比率 8 2, 1,75 6 1,5 1,25 4 1, 75 5 2 25 '73 '75 '77 '79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 '1 '3 '5 '7 '9 '11 '13 14 年 資料 : 不動産経済研究所 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 C. 中古マンション築年帯別成約件数の比率 % 2% 4% 6% 8% 1% 19.4 7.2 11.8 7.9 21.1 2. 12.6 19.1 21. 4.7 12.6 4.5 11.1 8. 8.3 22.2 19.7 22.9 21.6 1.6 13.7 22.4 21.5 3.61. 6.6 4.1 11.9 6.6 19.4 18.9 17.2 17.5 2.8 19.6 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ 中古戸建住宅の動向 A. 持家の建築時期別ストック戸数の比率 '13 年 1 月 % 2% 4% 6% 8% 1% 31.1 17.7 8.3 13.1 13.9 15.8 '~8 年 '81 年 ~ '91 年 ~ '96 年 ~ '1 年 ~ '6 年築 ~ 資料 : 平成 25 年住宅 土地統計調査 21 年度 % 2% 4% 6% 8% 1% 6.4 7.8 211 年度 4.7 7.3 212 年度 213 年度 214 年度 B. 中古マンション専有面積別成約件数の比率 6.6 7.7 6.4 7.9 29.1 28. 29.2 26.4 33.6 34.4 34.7 36.2 15.4 16. 14.2 6.6 6.5 29.2 33.4 14.9 5.3 ~49m2 5m2~ 6m2~ 7m2~ 8m2~ 9m2~ 1m2~ ( m2 万円 / m2 ) D. 中古マンション年帯別成約状況 9 8 7 6 5 4 3 2 1 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ 専有面積m2単価成約価格 214 年度の成約物件 5.2 6.8 5.9 2.5 2.7 14.4 4.3 3.1 C. 中古戸建の建物面積帯別成約件数の比率 5 2.9 4.1 ( 万円 ) 2,5 2, 1,5 1, % 2% 4% 6% 8% 1% 21 年度 2.7 16.4 36.9 29.2 7.7 7.1 211 年度 4.2 212 年度 3.9 213 年度 2.9 214 年度 14. 19.9 17.4 2.2 32.8 36.7 35.7 3.9 28.5 23. 27.3 27.8 11. 8. 8.7 9. 9.4 8.5 7.9 7.3 4.7 ~49m2 5m2~ 75m2~ 1m2~ 125m2~ 15m2~ 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 B. 中古戸建の築年帯別成約件数の比率 % 2% 4% 6% 8% 1% 31.2 29.9 33.2 3.6 34.6 13.7 13.1 11.3 1.5 9.2 11. 9.2 8.8 14. 11.9 9.5 6.7 1.9 11.7 7.6 7.8 12.5 8.2 6.8 11.1 13.5 14.6 15. 15.6 14.3 9.2 1.8 13.4 14.1 14.5 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ ( m2 ) D. 中古戸建の築年帯別成約状況 18 16 14 12 1 8 6 4 2 '~79 年 '8 年 ~ '85 年 ~ '9 年 ~ '95 年 ~ ' 年 ~ '5 年築 ~ 建物面積土地面積成約価格 214 年度の成約物件 ( 万円 ) 2,5 2, 1,5 1, 5 7 年代築は 8 m2台と狭いが 8 年代後半築は 14 m2台と比較的広く値頃感が強い シェアの大きい 7 年代築は 1, 万円を下回り 独自の需要をつかんでいる この地域の中古戸建は 相対的に安価な経年物件から築浅物件までバランスが整っており 需要者のニーズに応えやすい市場を形成していると言えよう 215/5 No.57 9