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一太郎 13/12/11/10/9/8 文書

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Transcription:

2013 年 9 月 6 日プレスリリース 発表資料 3 プレスリリース 福井県 エネルギー研究開発拠点化計画 の共同調査 スリット式防波堤を利用した波力発電 の可能性調査を開始しました 大阪市立大学は 福井県嶺南地域において スリット式防波堤を利用した波力発電 の実証試験を実施する可能性を検証するため 関西電力株式会社と共同で調査を始めました この調査は 福井県が進める エネルギー研究開発拠点化計画 ( 1) の取り組みのひとつとして 昨年 11 月以降 本学と関西電力が福井県と協力して準備を進めてきたものです 1 福井県の特徴を活かし エネルギーの総合的な研究開発拠点地域とするため 平成 17 年 3 月に福井県が策定 安全 安心 研究開発機能の強化 人材の育成 交流 産業の創出 育成 の4つの柱に 国 市町 大学 産業界などが参画して様々な施策を展開しています [ 調査の概要について ] スリット式防波堤を利用した波力発電 とは スリット式防波堤( 図 1) 内部の遊水室に水車を設置し 波がスリットを通過する時の速い流れを利用して水車を駆動し発電する方式 ( 図 2) で 本学が研究を進めているものです 波力発電は波の運動エネルギーを利用するもので 防波堤に打ち寄せる波は スリットを通過して遊水室に流入 流出するため スリットで加速した往復流が周期的に生じています このエネルギーを最大限効率的に回収利用するため 実際の防波堤における波の特性を詳細に把握し 水車の最適化研究開発に反映していきます 一例としてサボニウス型水車 ( 図 3) は 水車翼を図のような構成配置とすることで 常に一方向に回転し 配置角度を任意に変えた多連結構造の組み合わせ等により 波の特性にあった水車形状を明らかにできると考えます [ 波力発電に期待される効果 ] 海洋エネルギーの一形態である波力発電は 海上設置の方式が先行的に試験研究されてきましたが これに比べ 防波堤に設置する一体方式は1 基当たりの発電出力が小さいものの 設置コスト面や 船舶航行や漁場操業などへの影響懸念解消などで利点があります 防波堤にある複数のスリットに個々に設置するため 既存のスリット式防波堤への設置や新設時の一体型防波堤などの導入面 さらにメンテナンス面でもフレキシビリティがあり 地産地消のクリーンなエネルギー源として 期待できると考えます 調査を実施する場所は港外側がスリット構造になっている敦賀港鞠山地区防波堤で 波がスリットを通過するときの流速 防波堤前面の波高等 波浪データの計側を行います スリット式防波堤を利用した波力発電の可能性調査のために 実際の防波堤で波浪データの計側を

行うのは今回の敦賀港での調査が初めてになります 波浪データの計側は 今年 9 月 5 日から平成 26 年 8 月まで実施し 計測したデータならびに国土交通省が公表している波浪データを使用して 波力発電のシミュレーションによる理論検証 水車の設計等を行う予定です スリット 港内側 発電機 港外側 スリット式防波堤 遊水室 水流 水車 スリット 図 1 スリット式防波堤図 2 波力発電 ( システム概略図 ) 図 1 スリット式防波堤 : スリット形状の開口部を有し これに連なる内部に空洞の遊水室を設けた防波堤 ( 打ち寄せる波を消波 エネルギー減衰させる構造 ) 図 2 波力発電システムの概略図 : 遊水室に水車を設置し スリットを通過して加速流入 流出する波のエネルギーにより駆動 発電するシステム 図 3 サボニウス型水車 ( 一例 ): 波の特性に合った水車構造の最適化に関する研究開発を推進中 本発表資料の問い合わせ先 大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻教授重松孝昌 TEL:06-6605-3078 E-mail:shige@urban.eng.osaka-cu.ac.jp 図 3 サボニウス型水車 本リリースの発信元 大学広報室小澤 寺西 ( 企画総務課広報担当 ) TEL:06-6605-3570 FAX:06-6605-3572 E-mail:t-koho@ado.osaka-cu.ac.jp

スリット式防波堤を利用した波力発電の 可能性調査について 工学研究科 加藤健司, 重松孝昌

背景 福井県 エネルギー研究開発拠点化計画 ( ) 再生可能エネルギーの普及 利用促進を図るため エネルギー源の多角化 に係る実証等に取組む ( ) 福井県の特徴を活かし エネルギーの総合的な研究開発拠点地域とするため 平成 17 年 3 月に福井県が策定 安全 安心の確保 研究開発機能の強化 人材の育成 交流 産業の創出 育成 の4つを柱として様々な施策を展開 平成 24 年度より エネルギー源の多角化 に関する項目が追加されている 最近では 海洋エネルギーの利用技術に注目 そのひとつとして とし スリット式防波堤を利用した波力発電スリット式防波堤を利用した波力発電 の実現可能性について検討する

研究計画 敦賀湾 実施期間 平成 25 年度 ~ 実施体制 大阪市立大学, 関西電力などの共同研究 実施内容 ( 計画中 ) 波のエネルギーの現地測定 測定値に基づいた理論的検証 発電システムの設計 実証試験による発電方式の有効性の評価 データ測定地および実証試験候補地 敦賀港鞠山地区防波堤

現況

大阪市立大学 既存港湾インフラを利用した 工学研究科加藤健司, 脇本辰郎, 吉岡真弥, 重松孝昌

背景 日本は海岸線が長大であるため, 波力はエネルギー源として有望である.

洋上波力発電システムにおける問題点 荒天時の安定性, 強度や構造, 係留方法などのメインテナン スの問題. 送電コスト. 欧米と比較して, 低い波のエネルギー密度. 船舶の航行安全や漁場確保の観点から, 海上に浮体や構造物 を設置することの厳しい制限. 現実的な発電システムの構築には, 我が国固有の問題に適 切に対処しつつ, 技術的にも優れた総合的な開発が必要.

本プロジェクトチームの提案 我が国では, 洋上での大規模構造物による発電は不向き. 長大な海岸線を考慮し, 沿岸部での地産地消を目指したミニ発電が適している. 既存の構造物であるスリット式防波堤 ( 総延長 1200km) に注目し, その内部に設置する波力発電システムを開 発する.

スリット式防波堤 防波堤外観 Slit 原理 : スリット部を通過する加速流れにより生じる渦で, 波のエネルギーを消費する 特長 : 消波効率が高く, 建設コストが安価. Landward side 3.2m 0.5m 1.7m Ocean 0.5m side Wave 7m 5m Water chamber 0.5m Water flow Slit 2m Side cross-section Front view

発電機構の開発 - サボニウス水車, 屈曲板式 5 3 4 6 7 Wave Cross-section A-A 40 130 2 A A 2 10 00 1 268 40 170 417 35 Flow 42 1 Breakwater 2 Savonius water mill 3 Dynamometer 4 Amplifier 5PC 6 Wave height meter 7 Wave height meter

屈曲板式発電システム 構造が単純, 水流に対する投影面積を大きくできるため, 高出力が期待できる.

本手法のメリット 構造物内部を利用することから, 設置やメインテナ ンスが容易. スリット通過後の, 流速が大きくエネルギー密度の 高い流れを利用できる. 沿岸部に設置するため, 送電コストが低い. 長大な防波堤に多数のミニ発電機を設置することにより, 大きな電力の供給も可能.