別添 三陸鉄道 ( 北 南リアス線 ) 復旧工事に係るコスト縮減の検証について

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会社の経営努力による費用の縮減内容について 資料 -7 運用指針 第 2 条 3 供用までの期間を短縮したことによる費用の縮減 フネヒキミハル 磐越自動車道 コオリヤマヒカ シ ( 船引三春 IC~ 郡山東 IC) の早期 4 車線化

住所 : 若林区連坊二丁目 地先 住所 : 若林区白萩町 地先 住所 : 若林区卸町一丁目 1-7 地先 住所 : 若林区六丁の目中町 1-26 地先 荒井駅住所 : 若林区荒井字沓形 85-1 地内 ( 地上 2 階 地下 1 階 ) 3. 昇降機設備昇降機設備は エレベー

出来形管理基準及び規格値 単位 :mm 編章節条枝番工種測定項目規格値測定基準測定箇所摘要 1 共通編 2 土工 3 河川 海岸 砂防土工 2 1 掘削工 基準高 ±50 法長 l l<5m -200 l 5m 法長 -4% 施工延長 40m( 測点間隔 25m の場合は 50m) につき 1 箇所

8 章橋梁補修工 8.1 橋梁地覆補修工 ( 撤去 復旧 ) 8.2 支承取替工 8.3 沓座拡幅工 8.4 桁連結工 8.5 現場溶接鋼桁補強工 8.6 ひび割れ補修工 ( 充てん工法 ) 8.7 ひび割れ補修工 ( 低圧注入工法 ) 8.8 断面修復工 ( 左官工法 ) 8.9 表面被覆工 (

出来形管理基準及び規格値 単位 :mm 編章節条枝番工種測定項目規格値測定基準測定箇所摘要 1 共通編 2 土工 3 河川 海岸 砂防土工 2 1 掘削工 法長 ç 基準高 ±50 ç<5m -200 ç 5m 法長 -4% 施工延長 40m( 測点間隔 25m の場合は 50m) につき 1 ヶ所

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東北地方太平洋沖地震における三陸鉄道の被災と復旧

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コスト縮減方策鉄道トラムトレイン平成24 年度調査鉄道 平成25 年度調査空港接続線の構造変更 平成26 年度調査表平成 27 年度調査でのコスト縮減方策の適用有無 部分単線化 ( 組み合わせ検 討で適用 ) 小型システムの採用 ( 鉄輪リニア ) 施設の簡素化 沖縄自動車道の活用 構造変更 基地跡

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Message From The President

防災対策にも役立つ道路整備 (津波防潮ラインとしても機能する道路盛土)

建設の施工企画 46 図 路線概要図 1 橋りょう 高架橋区間 3 被害の状況 これらの構造物は 最新の耐震基準に基づいて設計 平成 23 年 3 月 11 日 14 時 46 分に発生した本震では 施工されており 被害は比較的軽微であったが 防音 沿線の名取市増田で震度 6 強を観

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6 章擁壁工 6.1 プレキャスト擁壁工 6.2 補強土壁工 ( テールアルメ工 多数アンカー工 ) 6.3 ジオテキスタイル工 6.4 場所打擁壁工 場所打擁壁 (1) 場所打擁壁 (2) 1-6-1

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調査帳票

数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

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産業道路部完成予想図 産業道路駅部完成予想図 1 工事概要 暫定整備区間は 4 工区に分かれて施工してい 乗降客数の産業道路駅とボトルネック踏切である る第 3 工区は施工延長183.5m区間を全線工事 産業道路第 1 踏切道を含む工区であるまた産業 桁で軌道仮受し 開削にて掘削し コンクリート 道


CAD事例集(大本組)

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2.2 構造物内容 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 一次覆工 2400 mm ( m ) 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 一次覆工 ( 二次覆工一体型 ) 2400 mm m 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 二次覆工 2400 mm m 人孔 1 箇

変更理由 備考 地区単価適用年月工期経費適用年月 ( 000 ) 県南 ( H3004 ) 平成 30 年 04 月自当初日数変更平成 30 年 04 月 至 至 当初金額 変更金額 設計 請負 業務価格消費税相当額業務価格消費税相当額 請負増減額 n0-00-V 狭山

平成23年度

設計内訳書 工事名 三陸管内通信設備耐震補強工事 ( 当初 事業区分 電気通信設備 工事区分 工場製作 工事区分 工種 種別 細別 単位 数量 単価 数量増減 工場製作 増減 摘要 工場製作工宮古地区 工場製作工 式 1 1,009,340 式 1 1,009,340 耐震補強部材 ( 鉄塔 亀ヶ森

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ol校正⑦0613-都市計画課様-A4観音折パンフレット_表(外)

第 4 章特定産業廃棄物に起因する支障除去等の内容に関する事項 4.1 特定支障除去等事業の実施に関する計画 (1) 廃棄物の飛散流出防止ア廃棄物の飛散流出防止対策当該地内への雨水浸透を抑制し 処分場からの汚染地下水の拡散防止を図るとともに 露出廃棄物の飛散流出防止を図るため 覆土工対策を実施する

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土木学会全国大会 原稿作成用テンプレート

目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

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最終版 ひずみプレスリリース案ver7 .doc

二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

増加要因 1 F0 破砕帯対策工の追加による増 ( 補足 1/6) <p.14-17> 減勢池部の特殊性 Ⅰ 超大断面空洞 ( 仕上がり内空の高さ 26m 幅 23m 断面積約 500 m2 ) である Ⅱ グラウンドアーチが形成されにくい小土被り ( 掘削高さ D=26m に対して土被り厚 40m

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委員会資料

津波被害(あなたの家は大丈夫か)

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大震災の時のような大都市ではなかったことが大きいと考えられる 地震発生時刻は夕食の準備をしている可能性の高い時間帯であったが 比較的火災も少なく済んでいる この地震でクローズアップされたのは震災関連死 というものであった 内閣府の防災情報に掲載されている死者の死因を見てみると 地震による家屋の倒壊な

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i-Construction型工事の概要 (素案)

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国土技術政策総合研究所資料

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平成 27 年 9 月 14 日 情報通信審議会答申 加入光ファイバに係る接続制度の在り方について の中で ~ 略 ~ NTT 東西において 1 光配線区画を分割 縮小する事例を類型化した上で 公表することが適当である また NTT 東西においては 事後的に分割 縮小される光配線区画等について 接続

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様式-1

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事業計画 ( 岩手県久慈市 ) 1. 海岸対策 1 海岸の状況市内の地区海岸数被災した地区海岸数応急対策を実施した地区海岸数本復旧を実施する地区海岸数 7 地区海岸 6 地区海岸 2 地区海岸 6 地区海岸 2 堤防高 9 月 26 日及び10 月 20 日に堤防高を公表 久慈湾 :T.P. 8.0

3) 工期 : 約 30か月 4) 工事概要 : 橋りょう 260m 1-5 工事名 : 北陸新幹線 福井下莇生田高架橋 1) 工事種別 : 土木 3) 工期 : 約 33か月 4) 工事概要 : 橋りょう 330m 高架橋 970m 1-6 工事名 : 北陸新幹線 第 1 長屋橋りょう ( 合成け

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Top message Contents Top message CTI Engineering CSR REPORT 2017 CTI Engineering CSR REPORT

新     聞:平成15年2月13日(木)夕刊以降解禁

平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

5.2 浸 透 に 対 する 堤 防 強 化 工 法 堤 体 を 対 象 と し た 強 化 工 法 難 透 水 性 材 料 被 覆 材 料 ( 土 遮 水 シート 等 ) 堤 防 強 化 工 法 断 面 拡 大 工 法 ドレーン 工 法 表 のり 面 被 覆 工 法 透 水 性 材 料 ドレーン

1. 目的本市においては 東海 東南海地震の発生が危惧されている 現在施工中の工事現場において 仮設物の損傷 掘削穴の崩壊等の被害が予想され 人身被害 2 次災害等の発生防止や被害軽減 迅速な初期対応に努める必要がある そこで 本マニュアルにおける目的として 1 工事現場の安全確保 被害拡大の防止

21 されていた橋では 橋の機能回復が速やかにできたか は生じていない 写真 1 の 2 橋は 上部構造の幅 どうかという耐震性能の観点からは 損傷は限定的な 員や橋脚の寸法等に違いはあるが 構造形式は概ね同 ものであった 道路橋では 過去の震災経験を踏まえ 7 様であり 振動特性も近似していると推

山形県県土整備部資材単価及び歩掛等決定要領

考査項目別運用一覧表 ( 土木 ) 1. 施工体制 Ⅰ. 施工体制一般別紙 1-1 共通 Ⅱ. 配置技術者 ( 現場代理人等 ) 施工状況 Ⅰ. 施工管理 土木工事 建築工事 Ⅱ. 工程管理 1-4 共通 Ⅲ. 安全対策 1-5 Ⅳ. 対外関係 1-6 Ⅰ. 出来形 土木工

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許可方針

文部科学省公共事業コスト構造改善プログラム取組事例集(平成20~24年度)(その2)

1. 数量総括表種別材質 規格単位数量備考断面修復工ポリマーセメントモルタル m2 4.7 t=50mm m Co 殻処理 m3 0 表面含浸工 下向き ( 地覆 ) プロテクトシルCIT 同等品以上 m2 27 横向き ( 地覆 ) プロテクトシルCIT 同等品以上 m2 24 上向き

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多様な入札 契約特集 2. 技術提案 交渉方式について 技術提案 交渉方式は, 品確法 第 18 条の規 定により, 発注者が, 当該工事の性格等により, 仕様を確定することが困難な場合に適用される 今回のケースでは, 北側復旧ルートは 1 日も早い完成が望まれるが, 本トンネルの十分な調査が完了し

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橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

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L型擁壁 宅造認定 H=3 5m ハイ タッチウォール KN0202-石乱積み 透水層 止水コンクリート 敷モルタル 基礎コンクリート 土粒子止めフィルター 直高H3.0m超 最大5.0mの プレキャストL型擁壁 宅造法に基づく国土交通大臣認定取得商品です 社団法人全国宅地擁壁技術協会による工場認

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10.2 道路占用規則関係 ( 太田市に関して ) 当該様式は 参考例として掲載しております 申請の際には 所管にて必ず確認を行ってください 111

Transcription:

平成 2 7 年 4 月 三陸鉄道 ( 北 南リアス線 ) 復旧工事 仙台市高速鉄 道東西線建設工事に係るコスト縮減について 鉄道 運輸機構では 平成 25 年 3 月に策定した第 3 期中期計画に基づき 受託工事に係るコスト縮減の状況等について 外部有識者からなる 鉄道工事受託審議委員会 にて検証いただくとともに その結果についてホームページで公表することとしております 受託工事のうち 三陸鉄道 ( 北 南リアス線 ) 復旧工事については 南リアス線が平成 26 年 4 月 5 日 北リアス線が平成 26 年 4 月 6 日に全線運行再開を果たしました また 仙台市高速鉄道東西線建設工事については 平成 26 年 12 月に工事を完了させるとともに 仙台市へ完成施設を引渡しました 平成 27 年 2 月 27 日に同委員会において両工事のコスト縮減の状況等について審議いただきましたので その結果について 下記のとおりお知らせいたします 記 別添資料について 鉄道工事受託審議委員会において検証された

別添 三陸鉄道 ( 北 南リアス線 ) 復旧工事に係るコスト縮減の検証について

N 三陸鉄道 ( 北 南リアス線 ) 復旧工事 事業概要 三陸鉄道は 旧日本鉄道建設公団が昭和 40 年より久慈線 盛線として建設を進めましたが 昭和 55 年 国鉄再建法により工事中止に至りました その後 昭和 56 年 11 月に第三セクター三陸鉄道株式会社が設立され 昭和 59 年 4 月 1 日 新たに北リアス線 南リアス線と名付けられ 第三セクター化第一号として開業しました 北リアス線は 岩手県宮古市と久慈市を結ぶ延長 71.0 kmの路線 南リアス線は岩手県大船渡市と釜石市を結ぶ延長 36.6 kmの路線です ( 図 -1) 三陸鉄道は 地域住民の足として また陸中海岸国立公園の自然豊かで風光明媚な路線として全国からの観光客に親しまれてきました しかし 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震とその大きな津波により 三陸鉄道は壊滅的な被害を受けました 平成 23 年 11 月 1 日に三陸鉄道株式会社からの要請により 機構は全面的な支援を行うことになりました 主な工事内容は 津波で流出した盛土 線路及び通信ケーブルの復旧や駅及び橋りょうの再構築 地震で損傷した橋りょうの修復などです 機構は 三陸鉄道株式会社及び自治体 各関係機関の協力のもと 2 年半という短い工期の中で工事を進めました その結果 平成 24 年 4 月 1 日には北リアス線田野畑 陸中野田間 平成 25 年 4 月 3 日には南リアス線盛 吉浜間 平成 26 年 4 月 5 日には南リアス線吉浜 釜石間 そして同年 4 月 6 日に北リアス線小本 田野畑間がそれぞれ運行を再開し 予定通りの全線運行再開となりました 図 -1 三陸鉄道路線図 - 1 -

コスト縮減 三陸鉄道復旧工事に係るコスト縮減 当初協定額 97.5 億円に対し コスト縮減に努めながら 79.2 億円で工事を行い 18.3 億円節減いたしました (18.8% 削減 ) しかし 一方で震災復興工事の拡大に伴い労務費や材料費が上昇したことや 釜石 駅付近で不発弾の調査費用が発生したことにより 4.3 億円のコスト増が生じました 最終的な実行額は 83.5 億円となり 協定額 97.5 億円より 14.0 億円のコスト縮減 を達成しました コスト縮減及び増加の主な項目は 下記の通りです コスト縮減の主な項目 1 島越地区の構造変更 7.0 億円 2 盛土法面工を格子枠工から張コンクリートへ変更 2.7 億円 3 岩座張り盛土法面へのRRS 工法の適用 1.9 億円 4GRS 一体型橋の採用 既設構造物の再利用 1.6 億円 5 下路式鋼トラス桁をPCホロー桁に変更 1.1 億円 6 発生材の再利用 1.2 億円 7 その他 2.8 億円コスト縮減額 18.3 億円 コスト増加の主な項目 1 不発弾探査調査費 2.4 億円 2 労務費 材料費の増加 1.9 億円コスト増加額 4.3 億円 - 2 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 1 島越地区の構造変更 変更点 :PC ラーメン橋 盛土構造 対象工区 : 北リアス線島越駅付近 当初案 :PC ラーメン橋 ( 旧 ) 島越駅 変更 : 盛土構造 解説 島越駅付近の高架橋は 津波により高架橋や駅舎の倒壊 桁の流出など壊滅的な被害を受けました 被災前と同様の高架橋を再構築しても 今回と同規模の津波が発生すれば 再び構造物が倒壊や流出すると予想され連続 PC ラーメン橋を検討しました また 地元からは橋梁を盛土構造に変更し 二次的な防潮堤としての機能を持たせてほしい等の要望がありました 橋梁から盛土構造への変更は 耐津波性の向上だけでなくコストの縮減も同時に図れることから これを採用することと致しました コスト縮減額 7.0 億円 - 3 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 2 盛土法面工を格子枠工から張コンクリートへ変更 変更点 : 格子枠工 張コンクリート工 ( 海側のみ ) 対象工区 : 北リアス線及び南リアス線の盛土法面 解説 格子枠工 ( 山側 ) 張コンクリート ( 海側 ) 南リアス線甫嶺地区における法面工 盛土法面工の復旧は 現地の施工条件も考慮して格子枠工を基本としていました 工 事実施時に再調査した結果 海側に面した法面に張コンクリートを 山側に格子枠工を 施工した箇所では津波の越流による被害が少ないことが判明しました 張コンクリートは格子枠工よりも経済的ですが 法面保護や耐津波性に対して十分な 機能を確保できることから 張コンクリートを採用してコストの縮減を図りました コスト縮減額 2.7 億円 - 4 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 3 岩座張り盛土法面への RRS 工法の適用 変更点: 緩んだ岩座張りの撤去 + 張コンクリート 岩座張り残置 +RRS 工法 対象工区: 南リアス線盛土法面地震後の岩座張りの状況既設岩座張りの緩み 完成 地山補強材頭部 RRS 工法の施工状況 解説 近年 岩座張りの経験がある石積み職人が少なく その確保が困難であることから 岩座張りを撤去し 張コンクリートを施工することを計画しました しかし セル型補強材と地山補強材を併用する RRS 工法によれば 岩座張りを撤去しないで法面保護をすることが可能であると分かりました RRS 工法により 工期短縮と岩塊の撤去費用や産廃処理等の処理費を低減することができ コスト縮減を図ることができました コスト縮減額 1.9 億円 - 5 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 4 GRS 一体型橋の採用 既設構造物の再利用 変更点 :PC ラーメン橋りょう GRS 一体型橋 再利用 : 被災した既設橋脚の一部を 新設橋脚として再利用 対象構造物 : 北リアス線コイコロベ沢橋りょう ハイペ沢橋りょう 南リアス線荒川橋りょう GRS 一体型橋 ( 例 : コイコロベ沢橋りょう ) 当初案 ( 連続 PC ホロー桁 ) 変更 (GRS 一体型橋 ) 19930 19930 解説 当初は 被災前と同形式の中央の橋脚と桁を一体化した橋りょうを考えました この形式は在来線で一般的に用いられている形式ですが 今回の震災においては 津波により橋台背面の盛土が流出したケースがありました 新技術である GRS 一体型橋は ラーメン構造の橋りょうと背面のセメント補強土が一体化した構造です そのため津波に対して粘り強く抵抗するとともに 桁も流出しません また 当初案に比べて経済的でありました そこで GRS 一体型橋りょうを採用し コスト縮減を図りました さらに 震災により撤去が必要と思われた構造物についても調査を行い 再利用できるものは利用することとし 材料の確保とコストの縮減を考えました コスト縮減額 1.6 億円 - 6 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 5 下路式鋼トラス桁を PC ホロー桁に変更 変更点 : 下路式鋼トラス桁 PC ホロー桁 対象構造物 : 南リアス線荒川橋りょう 当初案 盛方 釜石方 変更 1.6m 解説 荒川橋りょう (PCⅠ 形 2 主桁 ) は 津波により桁が流出しました これは 桁高が 2.7m と高く 津波の力を受ける面積が大きいことが理由として考えられました 復旧に当たっては 耐津波性 架設方法 工期 経済性等を考慮し 下路式鋼トラス桁で検討しましたが 桁高を極力薄く (= 津波の受ける面積を小さく ) できる PC ホロー桁を採用致しました その結果 コスト縮減も図ることができました コスト縮減額 1.1 億円 - 7 -

コスト縮減の主な項目 コスト縮減 コスト縮減項目 6 発生材の再利用 工夫点 : 津波により流出した法面の岩座張りを破砕し 盛土材料として再利用 近傍の道路トンネル工事のトンネルずりを 盛土材料として再利用 対象構造物: 北リアス線島越駅付近の盛土区間南リアス線泊地区盛土区間 岩座張 トンネルずり 破砕 盛土施工 解説 東北各地における復興工事の進展に伴い 工事用資材の逼迫や価格の高騰が懸念されました そこで 被災した構造物についても調査を行い 加工し再利用できるものは利用することとし 材料の確保とコストの縮減を考えました また 近隣工事について情報収集を行い 現地発生材料を有効に利用できる場合は協議を行って再利用することとし コスト縮減を図りました コスト縮減額 1.2 億円 コスト縮減項目 7 その他 コスト縮減額 2.8 億円 - 8 -

コスト増加 コスト増加項目 1 コスト増加の主な項目 不発弾探査調査費の増加 増額内容 : 工事施工前の不発弾探査調査費の追加 対象構造物 : 南リアス線釜石駅付近の大渡川橋りょう 太平洋戦争時の不発弾残置 仮設桟橋 仮設ベントの設置 = シートパイル 仮設杭等の打設 大渡川 B 仮設桟橋設置状況 工事施工中の不慮の事故を懸念 不発弾調査 陸上部での調査 河川上での調査 ( 台船 ) 河川上での調査 ( 桟橋 ) 陸上部 : 金属探査機の使用 河川部 : 河床部へ探査棒の挿入 解説 探査孔数 =270 孔 レーダーの反射波解析による探査 釜石駅付近では 太平洋戦争中の空襲による不発弾が数多く地中に残っていると考え られています 復旧工事においては 仮設の桟橋やベントの設置に伴って シートパイ ルや仮設杭等の打設 地盤の掘削作業などがあることから 不慮の事故が懸念されまし た そのため 事前調査として不発弾の地下探査が必要となり 調査費が増加しました コスト増加額 2.4 億円 - 9 -

コスト増加 コスト増加項目 2 コスト増加の主な項目 労務費 材料費の増加 間接費増加の背景 東北各地での震災復興工事の進展 工程厳守 : 約 2 年半での全線再開 労務費の増加約 1.1 億円 作業員数は 1 箇所で最大時 200 名以上が必要 震災による作業員宿舎用建物の不足 全国の遠隔地から作業員を募集 作業員宿舎の複数確保が必要 旅費 宿泊費等の増加 作業員不足による労務単価の上昇 材料費の増加約 0.8 億円 資材不足による材料単価の上昇 遠隔地からの資材搬入に伴う輸送費の増加 コスト増加額 1.9 億円 - 10 -

仙台市高速鉄道東西線建設工事に係るコスト縮減の検証について

仙台市高速鉄道東西線 ( 八木山動物公園駅 ~ 扇坂トンネル間 ) 建設工事 事業概要 仙台市高速鉄道東西線は 仙台市の南西部に位置する八木山動物公園付近の丘 陵地から JR 仙台駅を中心とする市街地を経て 市の東部に位置する仙台市東部 道路仙台東 IC 付近に至る延長約 14.4km( 営業キロ約 13.9km) の新規路線で あり 八木山動物公園駅から荒井駅まで 13 の新駅が設置されています 鉄道 運輸機構は 当路線のうち 八木山動物公園駅から扇坂トンネル間の延 長約 4.3km 区間の土木工事を平成 17 年 11 月 軌道工事を平成 23 年 4 月に 受託し 工事を進めてまいりました その後 機構による工事しゅん功監査及び仙台市交通局による完成確認検査を 経て 平成 26 年 12 月に仙台市へ完成施設を引渡しました 受託工事の主な内容は 土木工事では NATM トンネル区間 ( 約 3.0km) 開削区間 (3 地下駅及びトンネル : 約 1.2km) 橋りょう区間 ( 約 0.1km) とその区間の軌道敷設工事です 仙台市高速鉄道東西線路線図 南北線 川内 大町西公園 宮城野通 青葉山 国際センター 青葉通一番町 仙台 連坊 六丁の目 八木山動物公園 薬師堂 卸町 荒井 受託区間 4.3km 東西線 ( 建設延長約 14.4km) 太平洋 - 1 -

コスト縮減 仙台市高速鉄道東西線に係るコスト縮減 縮減額 15 億円 (4.5% 削減 ) コスト縮減額 コスト増加額 協定額 ( 計画額 ) 15 億円 3 億円 336 億円 321 億円 321 億円 324 億円実行額 12 億円 当初 協定額は 336 億円でしたが コストの縮減に努めた結果 15 億円のコスト縮減 ( 縮減率 :4.5%) を達成しました 一方で 東日本大震災に伴う工事一時中止に要した費用によりコスト増加の費用が3 億円となったため 最終的な建設費は 324 億円で 当初の協定額より 12 億円のコスト縮減となりました コスト縮減及び増加の主な項目 コスト縮減の主な項目 1 NATMトンネル内空断面及び覆工厚の見直し 2 駅部大断面区間トンネルを経済的な掘削工法に変更 3 中間立坑部の平面形状と埋戻し方法の見直し 4 駅部躯体と電気機器室躯体の一体化 5 駅部柱列式地下連続壁の一部工法変更 6 長大橋りょうの側径間を桁式構造から土構造に変更 7 橋台 橋脚施工の仮桟橋の設置高さ変更 9.0 億円 0.7 億円 1.1 億円 1.2 億円 0.9 億円 1.3 億円 0.8 億円 コスト縮減額合計 15 億円 コスト増加の主な項目 東日本大震災に伴う増加 3.0 億円 ( 材料費及び労務費の高騰分 工事一時中止に伴う経費 ) - 2 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 NATM トンネル工事 コスト縮減項目 1 NATM トンネル内空断面及び覆工厚の見直し 掘削断面積 66 m2 53 m2 ( 約 20%) 覆工厚さ 60cm 50cm 対象工区八木山トンネル 青葉山トンネル 亀岡トンネル 八木山トンネル青葉山トンネル亀岡トンネル 開削開削橋梁開削 開削 掘削断面積 66 m2 当初案 掘削断面積 53 m2 変更 ( 解説 ) 当初は 扁平であったトンネル断面を 鉄道車両の建築限界に近づけた省スペースな経済断面に見直した これにより NATM トンネルの掘削標準断面積を 66 m2から 53 m2 ( 約 20% 減 ) に縮小した また 追加地質調査を行い 荷重等の設計条件を精査し 覆工巻厚を 60cm から 50cm に変更してコスト縮減を図った コスト縮減額 9.0 億円 - 3 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 NATM トンネル工事 コスト縮減項目 2 駅部大断面区間トンネルを経済的な掘削工法に変更 掘削工法を中壁分割工法から多段ベンチ工法に変更 対象工区 亀岡トンネル 中壁分割工法 多段ベンチ工法 当初案 変更 ( 解説 ) 当初は中壁分割工法で計画されていた掘削工法を 先行した同一地質の青葉山トンネルの掘削計測結果を活用して 経済性 施工性に優れた多段ベンチ工法に変更しコスト縮減を図った コスト縮減額 0.7 億円 - 4 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 NATM トンネル工事 コスト縮減項目 3 中間立坑部の平面形状と埋戻し方法の見直し 一般的な矩形の立坑形状を円形に見直し 切梁コストを縮減 中間立坑の埋戻し方法について 大型鉄筋コンクリート二次製品を用いた埋戻し方法から 現場打ちコンクリート併用した埋戻し方法に変更 対象工区青葉山トンネル 矩形 40m 埋戻し 大型コンクリート二次製品 埋戻し 円形 キーストンフ レート + 吹付け + 鋼製支保工 コンクリート 当初案 変更 鋼製支保工の建込みキーストンフ レート+ 吹付け円形立坑の埋戻し ( 解説 ) 当初は 立坑部の平面形状が一般的な矩形であったが 施工性の向上と切梁コストを抑えるため 円形形状に見直した また 立坑内本坑のアーチアクションの形成が課題であった埋戻し方法について 大型鉄筋コンクリート二次製品の使用を見直し 経済性及び施工性のよい鋼製支保工 + キーストンプレート + 吹付コンクリート及びその上部に貧配合コンクリートを打設する方法に変更し コスト縮減を図った コスト縮減額 1.1 億円 - 5 -

15m コスト縮減の主な項目 コスト縮減 駅部開削工事 コスト縮減項目 4 駅部躯体と電気機器室躯体の一体化 電気機器室躯体施工時の土留め工が不用 RC 壁を削減 対象工区 川内駅 平面図 八木山動物公園駅 仙台駅 駅部躯体 電気機器室躯体 駅躯体 電気機器室躯体 駅躯体と電気機器室躯体の一体化 地下 1 階 地下 2 階 地下 1 階 地下 2 階 RC 壁削減 地下 3 階 ホーム階 地下 3 階 ホーム階 土留工削減 当初案 変更 ( 解説 ) 当初は 個別に計画していた駅躯体と電気機器室躯体の設計 施工を経済性および耐震性の向上を図るため 一体化する計画に見直した これにより 掘削に伴う土留め工および RC 壁を不用とし コスト縮減を図った コスト縮減額 1.2 億円 - 6 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 駅部開削工事 コスト縮減項目 5 駅部柱列式地下連続壁の一部工法変更 芯材 (H 鋼 ) を 50% 削減 不透水層以下の遮水壁を親杭 + 吹付コンクリートに変更 対象工区青葉山駅 親杭 + 吹付コンクリート 40m 遮水壁 ( 土砂部 ) 20m 遮水壁 ( 土砂部 ) 遮水壁 ( 軟岩部 ) 20m 親杭 + 吹付 ( 軟岩部 ) 芯材 (H 鋼 )@0.6m 芯材 (H 鋼 )@1.2m 当初案 変更 ( 解説 ) 新たに地質調査を行った結果 掘削深中間付近に不透水層が確認され その下層は N 値が高く地下水の滞留がないことが分かった このため 鋼材の芯材間隔を当初の 50% に見直し かつ 全面遮水壁として計画していた柱列式地下連続壁方式を 不透水層以深については 親杭 + 吹付コンクリート方式 に変更して コスト縮減を図った コスト縮減額 0.9 億円 - 7 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 橋りょう工事 コスト縮減項目 6 長大橋りょうの側径間を桁式構造から土構造に変更 鉄道階側径間を桁式構造 (PC 桁 ) から土構造に変更 橋台 橋脚の基礎杭及び桁支承が不用 対象工区竜の口橋りょう 八木山トンネル側 側径間 道路階 側径間 青葉山トンネル側 鉄道階 桁式構造断面図 PC 桁 土構造 当初案 PC 桁 土構造 基礎杭の削減 変更 基礎杭の削減 土構造断面図 ( 解説 ) 当初 竜の口橋りょうの側径間は PC 桁式構造および基礎杭の構築で計画していた しかし 施工に際し現地盤の追加地質調査を行い精査した結果 支持層が浅いことが確認されたため 桁式構造を土構造に見直した これに伴い 橋台 橋脚のスリム化と基礎杭 桁の支承 支承部等の検査用通路を不用とし コスト縮減を図った コスト縮減額 1.3 億円 - 8 -

コスト縮減 コスト縮減の主な項目 橋りょう工事 コスト縮減項目 7 橋台 橋脚施工の仮桟橋の設置高さ変更 現地の地形及び施工性を考慮し 仮桟橋の高さ変更 対象工区 竜の口橋りょう 八木山トンネル側 青葉山トンネル側 竜の口橋りょう 当初案 変更 仮桟橋の設置高さを変更 ( 解説 ) 当初は 橋脚施工や桁架設における大型クレーンの動線を考慮し 仮桟橋形状を 1 段構造としていた しかし 現地地形条件の精査と施工計画を再検討した結果 段差構造としても施工性が確保できると判断し 上段 下段の 2 段構造に変更した これに伴い 鋼材仮設 撤去数量を削減し コスト縮減を図った コスト縮減額 0.8 億円 - 9 -

参考 鉄道工事受託審議委員会委員名簿 ( 敬称略 ) 委員長杉山武彦成城大学社会イノベーション学部教授 委員足立紀尚一般財団法人地域地盤環境研究所代表 飯島英胤 入江健二 大藪卓也 東レ株式会社特別顧問 東京地下鉄株式会社常務取締役 公認会計士 税理士 松橋功株式会社ジェイティービー相談役 武藤泰明 山内喜明 早稲田大学スポーツ科学学術院教授 弁護士