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断層映像研究会雑誌第 27 巻第 2 号 講座 婦人科領域の MRI 富樫かおり 京都大学医学部 映像医療講座 はじめに 婦人科領域疾患の :MR 画像についてはすでに多数の 報告があり 画像所見はほぼ確立している しかし 子 宮 卵巣のユニークで ある点は 機能によりこれらの画 像が大きく変化することである 本稿では婦人科領域 MRI の現況をまず簡単にまとめた後 機能的な変化に 伴う子宮 卵巣の画像の変化についてのべる. MRI の役割 l 婦人科領域 MR の現況 一般的に MRI の役割はスクリーニングでなく精査で ある 原則である すなわち超音波にて同定された病変の精査が ただ実際は MR は筋腫や腺筋症 内膜 症の診断能が非常に高く かつ非侵襲的であるため これら疾患のスクリーニングに用いられることもある MRI は優れた方法であり 腫療の良性悪性の判別や 手術法の決定に際しての貢献も大きい しかし頚癌の スクリーニングはできない 卵巣嚢胞と腫揚も特異的 に鑑別できるのは一部にすぎないなど MRI の限界も ある MRI の長所と限界を理解し他の診断法と組み 合わせて適切に用いる事が何より重要である MRI は高価な検査である 現在日本では比較的自 由に 各種画像検査が用いられてはいるが 近年は 徐々に検査費用効率の重要性が認識されつつある 骨盤腫痛の鑑別 子宮頚癌の進行期分類等に対し M R を用いることは cost e 妊 ec tj ve と考えられている (1-3 ) すなわち称 ~nu の検索に MRI を用いることで 侵襲的検 査をへらしかっ費用の節減に役立つ しないという選択枝をも可能とする 時には手術を これは MRI が子 宮筋腫 デルモイド 内膜症性嚢胞の特異的診断を可 能とするためである 0. 撮像法 骨盤領域の搬像法については数年前 からあまりかわ らない 現在一般的な撮像方法はコイルは Phased Coil を使用し fast echo ì 法によ り矢状断および水平断 T2 強調像をスライス厚 5mm gap2.5mm 矢状断または水平断 T1 強調画像を spin ec ho にて搬像し これに必要に応じて脂肪抑制 T1 強調画像 ガドリニウムによる造影等を追加するというものである 造影剤の使用は卵巣腫蕩の診断 子宮体痛の評価に役立つ 脂肪抑制は血液と脂肪の鑑別に有用である 高速シーケンスを利用した dyn am ic の報告も散見されるがまだ一定のコンセンサスは得られていない ehoplanar ( EPI) di 妊 us lo n 画 multishot EPI などはまだ試行段階である (4 L 一方 HASTE を用いると 胎児や )J 台盤の MR は短時間に良好な画像を得ることができ 十分臨床に貢献しうる ( 5 ) 子宮 卵巣の正常像生殖可能年齢女性の子宮体部は層構造を呈し 内側から高信号の内膜 低信号の junctional zone 外層の筋層の順に並ぶ 頚部は内側から高信号の頚管上皮 低信号の間質である ( 図 1) 最外層の筋層は見えることも見えないこともある Jzone は最内層の筋層に相当し 水分含有量の少ないこと 平滑筋細胞が密であること等が低信号の原因とされている ( 6 7 8 ) 小児 閉経後女性で は Junctional は認めがたいことが多く 又内膜筋層境界も不明瞭となる これはこの時期には平滑筋細胞が変化し 内膜間質細胞類似の細胞となることを考えると容易に理解しうる 内膜の厚さの上限は一応 10mm とされているが若い女性で は 15mm 前後の内膜を見ることも多く 月経周期に相関して変化することが重要である junctional zo ne に関しては 12mm 以上で あれば腺筋症を疑うとされているが 月経終了直後 1-2 日目で は junctional zo n e は厚く境界不明瞭である (9) 卵巣は最新の装置を用い かつ対象が生殖可能年齢女性であればほとんど全例で同定が可能である (1 0 ) ( 図 2 ) 0 T2 強調像において高信号を呈する多数の卵胞がやや低信号の間質中に見られる 一方閉経後女性では卵胞を目安とできないため 同定が困難である 卵巣は嚢胞形成を周期的に繰り返すため 常に卵胞 機能性嚢胞 嚢胞性腫蕩の鑑別が問題となるが この鑑別に関しては MR は無力で 超音波による経過観察が役立つ 別刷請求先 : 干 606-8507 京都市左京区聖護院川原町 54 京都大学医学部附属病院映像医療講座富樫かおり

2000 五下 6 月 30 日 図 1 A) 図 1 B) 図 1 C) 図 1 生殖可能年齢女性子宮体部 23 歳 A)T2 強調画像 B) T1 強調画像 Gd-DTPA 造影 T1 強調画像 T2 強調画像 および造影後の商像において 子宮体部には内側から順に内膜 ( 明瞭な高信号 ) junctional ( 低信号 ) 筋層 ( 比較的高信号 ) の 3 層が同定される 頚部にも同様に頚管上皮 ( 明瞭な高信号 ) 頚部間質 ( 低信号 ) 筋層 ( 比較的高信号 ) の 3 層が同定される Tl 強調画像においては全体が中等度の信号を呈し区別し得なし 図 2A) 図 2 B) 図 2 C) 図 2 生殖可能年齢の卵巣 31 歳 A)T2 強調画像 B) T1 強調画像 Gd-DTPA 造影 T1 強調函像 T2 強調像において高信号の卵胞 ( ) と比較的低信号の間質が同定される 造影後は間質は良く染まる ( 矢頭 ) 11 機能性要因による画像の変化 子宮 卵巣の M RI 像は さまざまな機能性要因によ り著しく画像が変化する る特色である これは他の臓器と大きく異な また子宮収縮も特有の現象であり zo neから連続する筋層内の局所的 境界 不明瞭な低信号域として描出される (5 ) との鑑別が問題となる 腺筋症や筋腫 これらの要因は互いに密接に 関連を持つが 大きく 月経周期 子宮収縮 内分泌 刺激に分けてのベる 卵巣に関しては機能性護胞とそ の延長である複数の疾患について簡単にまとめる 月経周期 生殖可能年齢女性の子宮体部にみられる層構造は 月経周期に伴い著しい変化を示す 特に月経周期中 はしばしば層構造が失われ 筋層内に i 禰慢性の低信 号が見られ腺筋症に類似した像を呈することがある ( 図 3 4 ) 一般 こ 12mm 程度の厚さを i 禰慢性の腺筋 症との鑑別点として用いるのが一般的であるが (9) zoneの厚さは機能と関連があり 月経困難 や過多月経に悩む不妊女性の 54% で は ju n ctiona l zone が厚いという報告も見られる (1 J ). 子宮収縮 子宮収縮はユニークな現象で 近年これと子宮の機 能の密接な関連が示唆されている ( J2 13 ) 超音波におい ては 2 種類の収縮が認められており 一つは妊娠中等 に著しい筋層全層の強い収縮であり これは h 四でも明 瞭に同定される ( 14 1 5 )0 T2 強調画像において 内 JJ 英に

断層映像研究会雑誌第 27 巻第 2 号 図 3A) 図 3 図 3 月経周期による変化 31 歳 A, B)T2 強調画像 月経周期 16 日目 (A) では子宮体部は大きく 明瞭な層構造が認められる 月経開始 2 日目では (B) 体部は小さく層構造は失われている junctional zone は不明瞭で筋層内に漏慢性の低信号を認める 図 4A) 図 4 図 4 月経周期による変化 19 歳 A, B)T2 強調画像 月経周期 25 日目 (A) では juncional zone は細いか r ( ) 2 日目では (B) 厚く不 均ーとなっている

2000 年 6 月 30 日 図 5A) 図 5 B) 図 5 C) 図 5 子宮収縮 18 歳 A- C) 約 15 分間隔にて撮像された T2 強調画像 それぞれの画像において内膜の形がかわり 異なった部位に限局した筋層の膨隆と低信号を認める ( ) 子宮収縮は筋腫や腺筋症といった器質的疾患と類似した像を呈するため注意を要する ( 彦根市民病院放射線科 長浜市民病院放射線科津田先生のご好意による ) 図 6A) 図 6 図 6 子宮収縮 21 歳 A)T2 強調画像, 子宮体部は小さく 全体が著明な低信号を呈する B)T1 強調画像 頚管内にはやや高信号を呈する凝血塊が見られる 体部の像はこの凝血塊を排出するための収縮と考えられる 向かって限局した筋層の膨隆とこの部分の一過性の低信号としてとられられる (1 4 15 ) ( 図 5 6) この所見は筋腫や ) 腺筋症とよく間違われる 柴膜側の輪郭は常に平滑であることが一つの鑑別点ではあるが 1 回の撮像では判断困難であることも多い もう一つの収縮は 筋層最内層 1 / 3の規則的かっかすかな収縮で子宮嬬動と呼ばれる ( 1 2 13 ) 子宮嬬動は精子の輸送 月経血の排出 妊娠の保持などとの関連が認められ 月経中は休部から頚部へ 排卵前後は頭部から体部へと向かう 子宮嬬動の MRI による描出の報告はないが 超

86 ( 3 0) 断層映像研究会雑誌第 27 巻第 2 号 図 7 図 7 図 7 タモキシフェン投与に伴う内膜ポリープ 69 歳 A)T2 強調画像 Gd-DTPA 造影 T1 強調画像子宮内膜は著しく肥厚し内部に多数の嚢胞構造が認められる はポリープの茎を指す 音波にてとらえらる臨動機能の異常と MRI にてみられ る junctional の肥厚や不整との関連を示唆する意見もみられる (1 6 ) zoneが厚い不妊女性 ではこの嬬動が消失し けいれん性の不規則な収縮 が見られると言うものである こういったけいれん ' 性の 収縮は内膜症 不妊 月経に閲する諸症状の原因と 考えられている ( J 7 ) 前述のように妊娠時には 筋層全層の収縮がつよく 認められ 筋腫や腺筋症と間違われやすい ( J 4 J 5 ) ま た外妊に際しでも同様に収縮が強いため 筋層内に 腫癒様の低信号を認めても invasive mole 等と混同 しない必要がある Invasive は出血部分が低 信号となることもあるが 腫傷自体は T2 強調像におい て高信号を呈し のシグナルボイドを伴う 内分泌刺激 hypervasucularity を反映して多数 タモキシフェンは乳ガンの治療薬として用いられ基 本的には抗エストロゲン作用を持つが 更年期女性の 子宮に対しては弱いエストロゲン効果をもっ このた め更年期女性においては 不整出血とともに 年齢不 相応に腫大した子宮 著しい内膜の肥厚を認め体癌 等との鑑別が問題となる ( J 8 ) ( 図 7 ) 病理的には内膜に は萎縮性変化があるため 掻胸によって組織を十分に 得にくいことが多く 病歴 画像所見が重要となる ne; 厚した内膜の中に多数の嚢胞性変化を認めれば 体痛との一つの鑑別点となるが 確実ではない 投薬中止による経過観察が必須となる また卵巣エストロゲン産生腫蕩によっても著しい子宮の変化を認めるため 年齢不相応な子宮を認めた場合 器質的変化と同様に必ず機能的変化について考慮する必要がある ( 19)0 器質的疾患の変化機能性変化は必ずしも 正常子宮だけに認められるのではなく 筋腫や腺筋症といった器質性変化もまた多彩な機能の影響下にある 一般に腺筋症内の異所性内膜は基底層であり 通常の内分泌的影響は受けないとされているが 月経出血を伴う例もあり 又妊娠に伴い脱落膜変化を起こす例等も病理的に知られている 画像的にも従来述べられている辺縁不明瞭な低信号病変に加え 内膜の筋層への浸潤そのものをしめす高信号の "striat i on" や 内膜の ps udowid e ning という所見も報告されている ( 2 0 ) これら画像所見の違いは 異所性内膜の量の差に加え活動性の差異を反映している 筋腫は一般にエストロゲン依存 f 生であるが 特に peritoneal leiomyomatos i sは 非常に興味深い病態を示す すなわち妊娠時 あるいは長期にわたる経口避妊薬の使用に伴い 播種と見まがう多数の筋腫結節を腹腔内に認めるにも係わらず 妊娠の終了や投薬の中止とともにこれらが全く跡形もな

2000 年 6 月 30 日 図 8A) 図 8 B) 図 8 C) 図 8 黄体 4 1) 義 A)T2 強調画像, T1 強調画像 Gd-DTPA 造影 T1 強調画像卵巣内部に厚い壁を有する嚢胞を認める ( ) 嚢胞内部の信号はT1 強調像で低信号 T2 強調像で高信号を示し水と同様である 壁は強く造影されている 図 9A) 図 9 図 9C) 図 9 出血性嚢胞 A)T2 強調画像, B) T1 強調画像 Gd-DTPA 造影 T1 強調画像嚢胞壁は厚く造影効果が強く黄体を示唆する 内部の出血は Tl 強調画像で高信号を呈し やや時聞がたった出血であることカずわかる く消失する ( 2 1 ) 卵巣機能性嚢胞卵巣では周期的に嚢胞形成が行われている 主席卵胞は 20 ミリから 25 ミリとなり 大きさだけでは機能性嚢胞や 嚢胞性 j 匝蕩との鑑別はできない この鑑別には超音波による経過観察が最も優れ MR の出番はほとんどない 卵胞嚢胞は dom in a n t fo lli cle における排卵障害 あるいは他の卵胞の退縮の障害に伴い発生する 一般に内容液は水に近く 壁は薄い 一方黄体嚢胞の壁は厚く かつ強い造影効果を伴う ( 図 8) 内容は血性であることが多い 黄体は機能性嚢胞の中で最も出血性である頻度が高く この評価に MR は優れる 血液の信号は出血よりの時期によって異なり 急性期であれば T2 強調画像において低信号 一方亜急性期 慢性期であれば Tl 強調画像において著しい高信号を呈し容易に同定される ( 19 22 ) ( 図 9-11 ) ごくまれに黄体そのものが強い造影効果を示す 1 センチ程度の結節として同定される事もある 胆癌患者などにおいて転移性腫蕩と間違えないようにする必要がある 経過観察により黄体は容易に消退を示す Theca cyst は血中 h cg レベルが高い時 すなわち 純毛性腫蕩などに伴う 妊娠その他に伴う卵巣の腫大排卵誘発剤による刺激 あるいは妊娠中のまれな合併症として著明な卵巣腫大を認めることがある 前者は卵巣過剰刺激症候群として知られ 多数の卵胞嚢胞

断層映像研究会雑誌第 27 巻第 2 号 図 10 A) 図 10 B) 図 10 図 10 出血黄体 33 歳 A)T2 強調画像, B) 脂肪抑制 T1 強調画像 Gd-DTPA 造影脂肪抑制 T1 強調画像正常卵巣の中に約 2 センチの嚢胞が見られる 嚢胞壁は比較的薄いが造影効果は強く内部に T2 強調画像において著しい低信号を示す沈澱物を認める ( ) 急性期の出血を示す 骨盤腹膜炎による 中等量の腹水 肥厚した卵管が卵巣に隣接してみられる ( 矢頭 ) 図 11 A) 図 11 B) 図 11 図 11 出血性嚢胞の変化 34 歳 A)T2 強調画像, B) T1 強調画像, 経過観察中の嚢胞の増大が見られたため MR が施行された 嚢胞の底部にT1 強調函像において中等度 T2 強調画像において低信号を示す debris を認め出血で- あることがわかる C ) l ヶ月後 T2 強調画像, 嚢胞の著しい縮小が見られるが低信号の debris はまだ見られる 図 12 図 12 図 12 A)T2 強調画像, B) T1 強調画像, 両側卵巣は多数の卵胞嚢胞により著しい腫大を示し 卵巣癌と見まがう像を呈する ( 福井赤十字病院放射線科のご好意による )

2000 年 6 月 30 日 図 13A) 図 13 図 13 A)T2 強調画像, B) T1 強調画像, 両側卵巣は多数のtheca cystにより著しい腫大を示し 卵巣癌と見まがう像を呈する 鑑別のポイントはこれら機能性変化では病変は嚢胞の集合であるため mult i cyst i c であるが 一方卵巣腫蕩は mult i loculated という点である によりら卵巣は20センチ程度まで腫大し 卵巣破裂 循環障害などを合併しうる ( 図 12 13 ) 妊娠中の急速な卵巣の増大としては Hyperreactio luteinalisがあげられる旬 24 ) 卵巣は同様に著しく腫大し 卵巣痛との鑑別が問題となる これら機能性の卵巣腫大と卵巣嚢胞性腫蕩の鑑別点は多義胞性 ( multicystic ) であるか 多房性 ( mul tiloculate ) であるかという点である 機能性卵巣腫大においては多数の嚢胞の集合により卵巣が腫大するが 一方卵巣腫蕩は基本的には嚢胞の中に多数の隔壁を認める まとめ子宮 卵巣の MR 画像は器質的疾患の描出に優れるのみならず 多彩な機能的変化を反映しうる これらの解明により 従来は原因を明瞭にとらえることのできなかった様々な症状に関しでも画像による診断が貢献する可能性があるものと思われる 文献 LB, E, F, 192 55-60 Hri 回 k CB, Yu 阻 ( pre 田 atment LM, SM, 609 618 M, YO, 1, of 出 e Y, T, Y, M, K, JK, DM, JL, D, G, specimens, S, G, S,

断府 l 映像研究会雑誌第 27 巻第 2 号 LM, SD, DJ, TR, C, S, PM, Di 丘 us e 1 卯 : EK, 加 d NM, T, JE, 50 75-9 PJ, XH, G, CS, K, EA, G, CS, inner 出 ird K, S, 1, K, S, G, G, L, D, SM, JC, A, CJ, RH, 19. 富樫かおり 婦人科 MRI の読み方. 医学書院 1997 年 C, F, L, M, Es, R, Blaustein ユ s Tract, ed., DA, BA, MO, DO, R, R, MA, JN, 1993 187 707-10 J], FG, di 丘 'e rentiation