金融市場2017年11月号

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金融市場2018年12月号

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米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

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平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

利上げを躊躇させる英国家計債務の増大

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

○ユーロ

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

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米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

資料1

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経済:マーケット・フォーカス

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

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金融政策決定会合における主な意見

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

産業トピックス

経済学でわかる金融・証券市場の話③

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スライド 1

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2016 年 メキシコペソ もとの状況と今後の 通し <メキシコペソ / 円は下落 > < 政策 利とインフレ率の推移 > メキシコペソは もとまで軟調に推移してきました しかし 原油先物価格は2016 年 2 に安値をつけて下落が続いてきた理由として 1 統領選 2メ以降 持ち直す展開

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今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

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今月の経済・金融情勢

アメリカ大統領選とねじれ議会

トランプ政権、税制改革案を公表

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1. トピック : 米国金融政策と通商政策は 次の ステージへ 6 月 FOMC は 0.25% 利上げ フォワードガイダンスを大幅変更漸進的とは言え 利上げ一直線のみの方針に長期水準を超えるタイミングが 2020 年から 2019 年に 2019 年からは 毎回記者会見を実施今後の焦点は緩和的スタ

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経済見通し

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為替相場展望2018年10月号

経済金融・情勢資料  15年7月 

米国経済見通し 個人消費の加速と不透明感

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

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今月の経済金融情勢2018年12月25日号

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

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今月の経済金融情勢2018年11月30日号


産業トピックス

Fidelity Charts & Graphs PowerPoint Template

金融市場2019年01月号

第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

マネーマーケットマンスリー 2018年3月

わが国の経済・物価情勢と金融政策

Invesco Premia Plus Fund

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

外為マンスリービュー 1月号 【ドル/円・ユーロ/円】

1 概 況

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

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当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

一部新興国市場が動揺 アルゼンチンは前四半期から経済危機に陥っていましたが トルコでは 6 月に再選された大統領が米国と対立したこと等を契機に 8 月に通貨が急落しました ブラジルや南アフリカ インドの通貨も下落が加速する局面が見られ 中国元も緩やかに値を下げました これまでのところ個別国の問題とい

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

Invesco Australian Bond Fund (Monthly)

News Release No.214(14-5) 2014 年 ( 平成 26 年 )6 月 13 日 東商記者クラブ 日銀クラブで 資料投函させていただいております 平成 26 年 5 月度貸金情報統計概況 貸金業法の指定信用情報機関シー アイ シー (CIC) は 毎月 貸金情報統計を公表して

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 USHYファンドの分配金について IM pptx

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参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

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変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

脆弱なセクターを中心にバランスシート調整を招く懸念が挙げられる 前者は あまりに も非伝統的なトランプ政権の通商政策の波及効果が読み切れないことに伴うリスク 後者 は過去の景気後退において FRB による金融引き締めが先行するケースがほとんどであっ たという経験則に基づくリスク認識である - - -

Transcription:

情勢判断 米国経済金融 ハリケーンの影響は軽微であり 引き続き堅調な米国経済 ~ 上院での予算決議案の可決により 税制改革は前進 ~ 佐古佳史要旨ハリケーンの復興需要もあり強めの指標が確認されており 米国経済は引き続き堅調に推移していると判断できる 9 月 27 日にトランプ大統領と共和党指導部は税制改革案を公表した 細部が依然として固まっておらず 富裕層優遇との批判はあるものの 大規模減税の実現に向けて一歩前進したといえる 9 月の FOMC 議事要旨から FOMC メンバーの多数が足元のインフレ率の鈍化について 一過性の要因だけでは説明できないと考えていることが明らかとなった 税制改革は年内実現に向け一歩前進 トランプ大統領と共和党指導部は 9 月 27 日に税制改革案を公表した 法人税率については同法案のもとで 現行の 35% から 2% まで引き下げられ 個人事業や有限責任会社などのパススルー事業体の税率は 25% が上限となる 現行では税率区分が 7 段階ある所得税率については 3~4 区分に簡素化される 12% 25% 35% の 3 区分に加え 高所得者が有利になり過ぎないよう 議会税制法案起草委員会に高所得者向けの第 4 の税率区分を追加する裁量が認められている しかしながら 富裕層が節税手段として利用しているパススルー事業体の税率が引き下げられることから 今回の税制改革は富裕層への恩恵が大きいのではとの懸念が根強く 法案の細部をどのように固めて 国民の理解を得ていくのかが争点となろう 19 日に米上院は 18 年度予算決議案を賛成 51 反対 49 で可決した 同案は 27 年度までの 1 年間で最大 1 兆 5 千億ドルの財政赤字拡大を認める内容であり 税制改革案の実現に向け前進したといえる 下院では 上院を通過した予算決議案をそのまま採決する公算であり 1 月末にも採決に付される可能性がある 上院において法案を議事妨害を受けずに可決するには 定数 1 人中 6 人の賛成が必要であるものの 今回の予算決議案では審議時間には制限が設けられており 上院共和党は過半数の賛成で税制改革案も可決できる環境にある 現在 上院で 52 議席を持つ共和党にとって 税制改革実現のハードルが低下したといえる

オバマケア改廃 の動きは迷走 景気の先行き : ハリケーン被害からの復興により強めの統計が確認される ( 万人 ) 35 3 25 2 15 1 5 5 1 医療保険制度改革法案 ( オバマケア ) を巡り 17 日に議会上院 で超党派の合意がなされ 保険会社へのオバマケア補助金の支払 いを 2 年間延期することや 共和党に配慮して低保険料低補償の プランへの加入資格の拡大などを含む骨子がまとめられた しか し 翌日にはトランプ大統領はツイッターにて オバマケアで巨額の利益を得ている保険会社を救済することは支持できない と批判した 依然として オバマケアを巡る動きは迷走しているといえる 米国経済の先行きについては 引き続き景気拡大局面が継続するとの見方に変更はない ハリケーンの影響は一時的であり むしろ復興需要や税制改革が一歩前進したことなどから 足元ではやや強い経済指標も散見される 9 月の小売売上高は前月比 1.6% 前年比 4.4% と大きく増加している また 設備投資の先行指標となる非国防耐久財受注 ( 除く航空機 ) も 7 8 月はそれぞれ前月比 1.3% 1.1% と増加しており 消費 投資ともに堅調に推移していると判断できる 景況感指数では 1 月のミシガン大学調査の期待指数が 91.3 と 9 月の 84.4 から大きく上昇したこともあり 先行きについて非常に楽観的にとらえている消費者が多いことがうかがえる また ISM 製造業 非製造業の景況感も高い水準を維持しており しばらくは景気拡大が続きそうである また 9 月の非農業部門雇用者数は前月比 3.3 万人減少したものの 内訳をみると 減少したのはハリケーンの影響で客足が遠のいたと考えられる飲食店などのレジャー 接客セクターであり この落ち込みは一時的であろうと想定される 図表 1 非農業部門雇用者数変化 政府部門 教育 医療 レジャー 接客 専門 ビジネスサービス 卸売業 輸送 公益 サービス ( 情報 金融 その他 ) 小売 製造業 合計 15 '15/9 '15/12 '16/3 '16/6 '16/9 '16/12 '17/3 '17/6 '17/9 ( 資料 ) 米労働省より農中総研作成

インフレ率の鈍 化に懸念を強め 一方で インフレ率は依然として鈍いままである 8 月の PCE デフレーター ( コア ) は前年比 1.3% と 7 月の 1.4% から伸びが鈍 る ー FOMC メンバ 化した また 9 月の生産者物価指数 消費者物価指数 ( ともにコア ) は前年比でそれぞれ 2.2% 1.7% と 8 月に続き足踏み状態となっている そうした中 9 月の雇用統計では平均賃金が前年比 2.9% 上昇し 賃金の上昇に主導されてインフレ率の上昇が再開するとの期待が広がった しかし 相対的に賃金が低いセクターであるレジャー 接客セクターの雇用者が減少したことで 平均賃金が高めに推計された可能性もあり 来月以降の修正値も参考にするべきであろう 今回の賃金上昇がインフレ率の上昇につながるかどうかは依然として不透明といえる 12 日に公開された 9 月 FOMC( 連邦公開市場委員会 ) の議事要旨において 多くの FOMC メンバーが最近のインフレ率の鈍化について一過性の理由だけではないと認識していることが明らかとなり 市場にはハト派的な印象を与えた 一方で 足元の弱いインフレ率を考慮しても年内再利上げはなお妥当との判断であり 市場の利上げ予想はほぼ変わらなかった (%) 図表 2 最近の消費者物価指数の推移 3. エネルギーの寄与度 食品の寄与度 2.5 その他の寄与度 消費者物価指数 ( 前年比 ) 2. 1.5 1..5..5 1. 1.5 9 月の消費者物価指数 ( 総 合 ) は前年比 2.2% コアは 同 1.7% 上昇にとどまる 2. '14/1 '14/7 '15/1 '15/7 '16/1 '16/7 '17/1 '17/7 ( 資料 ) 米労働省より農中総研作成 ( 注 ) 丸めの誤差が発生している ローン残高はリーマンショック前のピーク超え ニューヨーク連銀が 8 月に公表した 家計の債務と与信についての四半期報告書 によると 17 年第 2 四半期の家計の負債総額は リーマンショック前のピークである 8 年第 3 四半期の 12.68 兆ドルを抜き 12.84 兆ドルとなっている ( 図表 2) このうち 68% を占める住宅ローンについては リーマンショック以降クレジッ

トスコア ( 注 1) の高い優良な家計に対しての融資が多く 住宅ローン市場は過度なリスクを抱えることなく堅調に推移していると考えられる ( 図表 3) 一方で それぞれ 11% と 9% のシェアを持つ学生ローンと自動車ローンについては状況が異なる 学生ローンでは 残高は拡大していないものの 9 日以上の返済遅延率が 11% 前後と高止まりしている また 6 年連続で拡大中の自動車ローンでは クレジットスコアが低い家計への融資割合が高まっており ( 図表 5) 9 日以上の返済遅延率もやや上昇傾向で推移しており 足元では 3.92% となっている しかしながら FRB( 連邦準備理事会 ) が四半期に一度行っている銀行上級貸出担当者調査 (SLOOS) によると 7 月調査の段階では自動車ローンに対する需要は少なく 貸出基準は厳格化していると報告されている 従って 引き続き自動車ローンの借り手のクレジットスコアが一段と悪化するとは考えにくいであろう ( 注 1) クレジットスコアとは 個人の信用を数値化したもので クレジットカードの履歴や借入手段の多寡などから計算される クレジットスコアが高いほど 信用力が高いとされる ( 兆ドル ) 図表 3 ローン残高の推移 14 217 年第 2 四半期合計 12.84 兆ドル 12 1 8 6 4 2 その他学生ローン自動車ローン住宅ローン 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 1 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 ( 資料 )NY 連銀

(1 億ドル ) 9 図表 4 クレジットスコア別住宅ローン融資額 (1 億ドル ) 18 図表 5 クレジットスコア別自動車ローン融資額 8 7 <62 62-659 66-719 72-759 76+ 16 14 <62 62-659 66-719 72-759 76+ 6 12 5 1 4 8 3 6 2 4 1 2 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 1 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 1 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 ( 出所 )NY 連銀 ( 出所 )NY 連銀 金融市場 : 現 7 月 FOMC 議事要旨の公表を受けて利上げ見通しが後退したこと状 見通し 注や北朝鮮に関する地政学的リスクの高まりなどが影響し 8 月にか目点けて米国長期金利 (1 年債利回り ) は低下基調で推移し 9 月初めにかけて 2% 割れ目前にまで迫った しかし 9 月 FOMC にて 17 年内の追加利上げが適切とあらためて示されたことや 税制改革への期待感 次期 FRB 議長候補にタカ派的な顔ぶれも上がっていることなどから金利は再び上昇基調に転じ 足元では 2.3% 台半ばで推移している 先行きについても FRB が利上げ路線にあることから 基本的には金利上昇局面が続くと考えられるが 1 月末にも明らかになる次期 FRB 議長が ハト派的と考えられるイエレン現 FRB 議長かパウエル FRB 理事となった場合には金利は一旦低下するであろう また中国共産党大会が終わり 北朝鮮情勢に転機が訪れる可能性も指摘されているため 北朝鮮を初め 米 中 ロなど関係各国の動向にも注意が必要であろう ( ドル ) 23,5 23,3 23,1 22,9 22,7 22,5 22,3 22,1 21,9 21,7 財務省証券 1 年物利回り ( 右軸 ) 図表 6 株価 長期金利の推移 ダウ平均 ( 左軸 ) 21,5 '8/1 '8/11 '8/21 '8/31 '9/1 '9/2 '9/3 '1/1 '1/2 ( 資料 )Bloombergより農中総研作成 (%) 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 2

株式市場では 好調な経済指標などを受け 8 月前半にかけて主要株価指数が史上最高値を更新した 8 月半ばには 北朝鮮に関する地政学的リスクの高まりや白人至上主義者と反対派との衝突事件に対するトランプ大統領の発言に端を発した政治的混乱が嫌気されて株価は軟調に推移した その後は 9 月から現在に至るまで ほぼ一本調子での主要株価指数の史上最高値更新が続いている 今後についても堅調な経済指標が確認されていることや 企業業績と税制改革への期待等もありこの上昇トレンドが続くと思われるものの 北朝鮮情勢には注意すべきであろう (17.1.25 現在 )